シエスタ、タバサ、テファ、アンリエッタの葛藤
Last-modified: 2015-07-23 (木) 12:07:44 (3199d)

 古文書に書かれていた世界の危機は終わった。
虚無の担い手のルイズとその使い魔ガンダールヴのサイトの活躍によって。
しかし、その代償はかなり大きかった。何故ならリーヴスラシルの力、
つまりサイトの命をかなり使った事によって、体力が著しく消耗されたからだ。
一度意識を取り戻したサイトはルイズに
「俺と結婚してくれ!」
とプロポーズしたものの、再び意識を失った。
すぐさまコルベール先生とギーシュがサイトを抱えあげて学院のルイズの部屋に意識を失ったサイトを運んだ。
そして、トリスタニアから医者が呼ばれ、サイトを診断すると冷酷な診察結果がルイズ達に告げられた。
「とても強い力を一気に使った事によって、体力が相当弱っています。二、三日意識が戻らなかったら絶望的でしょう」
ルイズは涙を抑えながら尋ねた。
「体力を戻すにはどうすればよいのですか?」
それに対し、医者は
「そうですな、ロマリアにあるとても高価な秘薬を飲めば、どうにかなる可能性はあります。
しかし、何も手を打たなければ亡くなられるのは確実だとしか言えません」
暫く沈黙が続いた後、アンリエッタがジュリオに尋ねた。
「ジュリオさん、その薬をすぐに手配出来ます?」
ジュリオはそれに対し、
「そうですね、アンリエッタ女王。僕が今すぐロマリアに帰って手配すれば、明日の夕方までには届けられます。ですが僕も噂を聞いた事があるのですが、とても量が少
ないので急いで手配すると高額になりますが宜しいですね?」
と答えた。
「いいわよ、サイトが助かるためなら」
とルイズが即答すると
「私が費用を出す」
とタバサが口を挟んできた。アンリエッタが即座に言い返す。
「いいえ、シャルロット女王。費用はトリスティンから出しますからご心配なく」
ここからどっちが出すを巡ってアンリエッタとタバサが言い合いを始めたのを
ギーシュ達は冷たい視線で見ていた。ルイズが声を挙げようと
した時、シエスタがルイズの気持ちを言った。
「いいえ、アンリエッタ様やシャルロット様が出すのは筋が通っていません。
サイトさんが一番愛していらっしゃるミス・ヴァリエールが
出すべきです」
「それこそ、筋がありませんわ!」
とアンリエッタとタバサが声を荒らげるとキュルケも
「そうよ、シエスタの言うことが正しいわ。だってサイトはルイズの恋人ですからね」
と言う。
ルイズも
「バカにしないでよ、私だって貯金があるのよ。全額
叩いてでもサイトを助けるためなら使うわ!」
と言った。
ジュリオも
「僕もポケットマネーを半分出しますからご心配なく」
と続けた。
そういう方向で話がまとまり、ジュリオはすぐさまロマリアに向かい、出発した。
薬を手配するために。その間、モンモランシーが調合した薬を飲ませて様子を見ることになった。
 その晩遅く、シエスタがルイズの部屋に入るとルイズは寝ている
サイトの側に付きっきりだった。
シエスタはルイズに声をかけた。
「ミス・ヴァリエール。余り、根を詰めるとお身体に障りますよ。
朝まで私が様子を見るので少しお休みになってください」
するとルイズは
「シエスタ、ありがとう、でもサイトはずっと私を護ってくれた。どれだけ傷だらけになろうと今回の様に生死の境目をさ迷う羽目になっても… だから今回は私が助けてあげる番なの」と答えた。
[あの時と同じだわ…サイトさんがギーシュさんと決闘した時と…あの時も三日三晩ずっとサイトさんに付きっきりだったから…]
ルイズのサイトに対する想いの熱さに胸を打たれたシエスタは
涙を堪えながらルイズの部屋を出て廊下を歩いていた。
そして、ヴェストリの広場の方に眼を向けるとテファがお祈りをしている
のが見えたのでシエスタは声をかけた。
「ミス・ウェストウッド。こんな時間にここにいると風邪をひきますよ」
するとテファは
「私が風邪をひくのは別にいいの。でもサイトさんが死んでしまったら
私、一生償わなければいけないわ」
と答えた。
シエスタは考えた。確かに自分もサイトが好きだ。しかし、ルイズのサイトに対する想いの大きさは自分やアンリエッタとタバサ、そして目の前にいるテファは到底勝つ事は出来ないと思った。
シエスタは心に決めた。
[サイトさんが死んでしまったら私はミス・ヴァリエールをずっと支え続けようと」
それがずっと二人の仲を邪魔していた自分が出来る唯一の贖罪だと思った。
シエスタは
「大丈夫ですよ、サイトさんがミス・ヴァリエールを残したまま、死ぬな
んてあり得ません。そんな事したら私が一生サイトさんを呪います」
と言った。そう言った途端、大丈夫だと本気で思えた。

 シエスタとテファがお祈りを捧げていた頃、学院の寮の一部屋に
三人の人影があった。キュルケは目の前にいる二人の女王に言った。
「アンリエッタ様、それにタバサ、あなた達の気持ちが分からないこ
とはないわ。でもサイトとルイズの想いを承知の上で恋仲になるのは
どうかと私は思うけどね…」
するとアンリエッタは
「そんな事言われても仕方ありませんわ。好きになってしまったんですもの」
と答え、タバサも頷くのを見たキュルケは聞き返す。
「それではお二人はサイトが命を懸けてまで帰ってきた理由を何だと考えているの?」
今度はタバサが答えた。
「私達のため」
キュルケは本気で答えている二人に呆れて言葉が出なかった。
[全くこの恋ボケ女王二人と来たら!!サイトがルイズにプロポーズした
のを冗談か何かだと思いこんでいるのかしら?]
同時に思った。
[これから先、トリスティンとガリアはどうなるのかしら?こんな思い込みの激しい女王が国のトップになって…]
とトリスティンとガリアの行く末に想いを馳せた。意を決してキュルケは言った。
「でもね、お二人がいくらサイトに想いを馳せてもサイトは振り向かないわ。
だって私がいくら誘惑しても来なかったんですもの」
するとアンリエッタは
「ルイズが恐いからでしょう」
と答える。
[こりゃ、参ったわ…]
とキュルケは心からそう思った。ここまで思い込みが激しいとなるとへまするとルイズを捕らえて幽閉してでもサイトを奪い取ろうとするかも知れない。
[明日、シエスタと相談するしかないわね…]
と思ったので
「ごめんなさい、私、眠いんでお引き取り頂けない?」
とできるだけ低く出て二人の女王に退出をねがった。
その2に続く。


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