モンモランシー、ギーシュを取り戻すための策略
Last-modified: 2014-03-26 (水) 15:21:13 (3681d)

 モンモランシーはキュルケの部屋のベッドで眼を覚ましたが
そこにはキュルケはいなかった。「もう、キュルケったらこん
な朝早くからどこ行っちゃったのかしら…?」と呟く。すると
昨日の事を思い出すだけで涙が出てくる。「もう、君と居るの
は限界なのさ、だから別れよう。サヨナラ、モンモランシー…」
とギーシュに言われたのが悔しかった。「何でこうなっちゃう
の?私、ずっとギーシュの事が好きだったのに」と思っていると
キュルケが戻ってきた。「あら、モンモランシー、よく眠れた?」
と聞くキュルケに「ねぇ、キュルケ…。私、どうしたらいいのかし
ら?」と思わず尋ねるとキュルケは「そうねえ今、ギーシュに本当
の想いを伝えても聞いてくれないと思うわ、残念だけどね。でも暫
く様子を見てみるのも悪くないわ」「どうして?どうしてなの!」
と声を荒らげるモンモランシーにキュルケは「どうしてって、離れ
かけた二人の気持ちを素直にするにはこれが一番いいんだってお姉
さんから教わったってルイズが言ってたから…」「ルイズが?」
キュルケが言ってたのはあながち嘘ではない。
さっき、ルイズに聞いたからだ。
「これからモンモンの奴、どうするのかな…」とサイトが呟くと
「多分、今すぐギーシュに想いを伝えると思うわよ…」キュルケは
返した。するとそれまで黙っていたルイズが突然キュルケに対し、
「ねえ、キュルケ。私がサイトと姫様が恋仲になった腹いせに家出
した事を覚えてる?」「ええ、実家に帰ってしまった時でしょう?」
「あの時、どうしたらいいのか分からなくてちい姉さまに相談した
の、そしたら『今すぐ本当の想いを伝えちゃダメ。暫く様子を見るの
も大切なの、貴方が一番想っている相手なら例え、他の人に向かって
いても心の中にあるあなたに対する想いに気づいて戻ってきてくれる
から…」って教えてくれたの。それを実行したらサイトは私を選んで
くれた。だからモンモランシーにも教えてあげて、今は様子を見なさ
いって」といった。
それを聞いたサイトは「前から思ってたけど、カトレアさんって
キュルケの様に恋の事がよくわかるよなあ…俺とルイズの気持ちを一番
最初に分かったし…」と呟くとルイズは「ちいねえ様は優しいから、
人の心の中が読めるのよ…」照れながら返した。
話を聞いたモンモランシーは「なるほどね、あのルイズもそこまで追い
詰められた事があったのね、分かったわ。そうしてみる。キュルケ、
私、部屋に戻るわ」「ええ、気をつけてね」キュルケは見送った。
そして、授業開始後。モンモランシーはギーシュの方を見るといつもの
様子で授業を聞いていた。ルイズもいつも通り失敗してるしである。
休み時間になるとギーシュはいそいそとケティの教室の方に走っていった。
「あれは本当、暫くほっておいた方がいいわね…」と昼休み、キュルケは
サイトにルイズと一緒にランチを食べながら言った。「でもよ、ルイズ。
何日くらいあのままにしておくんだ?」サイトが聞くとルイズは「そうね、
一、二週間は様子を見ましょう」と答えた。「しかし、あのギーシュの
バカ、昼間っからあんなことしてやがって…」とサイトが睨み付けると
ギーシュはケティと昼間から熱いキスをしていたのだ。
ルイズとキュルケも黙って頷いて、「本当、昨日一人の少女を振った
悪党とは思えないわね…」とキュルケが冷ややかな口調で言えば、
ルイズも「悪党どころか悪魔よ、一人の女の子の心を傷つけたのに
その子が見ている前で別の女の子とイチャイチャしてるんだから…」
と怒りに声を震わせながら言った。実際、モンモランシーはその
光景を見て、顔を強ばらせると何処かに行ってしまった。
そして、授業を終えた放課後、騎士隊の訓練に隊長のギーシュが
来なかった。「おい、マリコルヌ。ギーシュ、何でいないんだ?」
とサイトが八つ当たり気味に聞くとギムリがサイトの側に来て、
「ギーシュの奴、今日は訓練に出ないからサイトが全指揮をして
くれとさ」「あの野郎、どういうつもりだよ!隊長のくせして!!」
憮然とするもサイトが指揮して軽く訓練をして解散した。
そして、訓練を終えた後、部屋に戻るとルイズとキュルケが居て、
「あら、もう訓練終わったの?」とサイトに聞いてきた。「ああ、ギ
ーシュの野郎、隊長のくせして訓練サボったからみんな頭に来て、途
中で取り止めた」とぶっきらぼうにサイトが答えるとキュルケが
「訓練、サボる隊長なんてはじめて聞いたわ」と呆れた口調でいった。
「あのバカ、訓練サボって何処いきやがった?」とサイトが聞くと
ルイズが「ケティとどっか行ったみたいよ』と答えた。
それから二週間ギーシュは訓練を毎日サボって、放課後になると
ケティと出掛けていた。みんな耐えていたがさすがに頭にきたサ
イトはギムリに訊ねた。「なあ、お前の部屋って、ギーシュの部屋と
近いよな?』「ああ、サイト。そうだよ』「あいつ、夜部屋にいるか?」
サイトが聞くとギムリは「いや、サイトだからはっきりいうがここ最近、
こっそり部屋を抜け出しているのか、ギーシュのいびきが聞こえんな」と
ギムリは深刻な顔をして返した。「やっぱな…」とやれやれという顔の
サイトの顔を見てギムリは「サイト、心当たりあるのか?」と聞いた。
「ああ、あの野郎、女に会ってやがるよ」と苦々しい口調だった。
サイトからギーシュが夜、ケティの部屋に通っているらしいという報告
を受けたルイズとキュルケ、モンモランシーの三人は「殿下の宝刀
を抜くしかないわね…」とキュルケが言えば、ルイズも「ええ…少しあの
女ったらしにお灸を据えた方がいいわね…」モンモランシーも
「じゃあ、ルイズとキュルケ、力を貸してくれる?」と聞くと
二人は「勿論よ、あのバカをこらしめましょう」と応じた。
「サイト、騎士隊使って大丈夫?」「ああ、ギーシュのここんとこの
態度にみんなご立腹だからな、喜んで協力するって言ってたぜ…」と
ルイズとキュルケの問いにサイトは不敵な笑みで返した。
 そして、翌日。いつもの様にケティと抱き合って熱いキスをして
いるギーシュの側に騎士隊員達が来た。先頭のサイトが「ギーシュ、
ちょっと話があるから小屋にご同行願おうか?」と言うと「なんだ、
君たち、僕たちの愛を邪魔するつもりか?」と強気な口調である。
サイトが黙って合図すると下級生の隊員がギーシュの腕を掴んで
騎士隊の小屋へと連行した。椅子に無理矢理座らされるといやに
正装のレイナールが出てきて「被告人はたちたまえ」と命令した。
同じ頃、ルイズ、モンモランシー、キュルケの三人は土の塔の屋上
にいた。「ねえ、モンモランシー。本当にするき?」ルイズとキュル
ケが聞くとモンモランシーは「ええ、あいつに別れを告げられたここ
で芝居をすれば堪えるはずよ」と答え、「ルイズ、サイトとキュルケ
と話した通りの芝居をしてよ」とルイズに言った。その頃のギーシュ、
二人の隊員に無理矢理立たされると前の机の中央の席に座っていた
サイトが「これからギーシュ・ド・グラモンの最近の行動に問題が
多々あるのでそれを裁く裁判を始める」と冷酷な口調で宣言した。
「被告人の反論は一切認めません」とギムリも冷静に告げた。
「君達、僕は女王陛下から直々に任命された隊長なのだ、こんな
横暴が許されると想っているのか!」とわめき散らすギーシュに
サイトが目ばくせするとギーシュの口に猿轡が噛まされてしまった。
マリコルヌが訴状を冷ややかな口調で読み上げる。
「主文、被告人ギーシュ・ド・グラモンはオンディーヌ騎士隊の隊長
である身に関わらず、女性と少しでも一緒にいたいという気持ちを抑
えずに行動し、騎士隊の行動に多大な影響を与えただけでなく、騎士
隊の名を傷つけた名誉毀損の罪でここに起訴する」「ご、誤解だ。
僕は女の子より、騎士隊の事を考えているぞ!!」と怒りに任せ、
騒ぐギーシュにサイトは言った。「てめえは喋るな…。レイナール、
どう思う?」とサイトがレイナールに尋ねるとレイナールは「やっぱ
り隊長なのだから騎士隊の事を考えてから行動すべきだと僕は思う」
と言うと他の隊員も「そうだ、そうだ」「隊長だからと図に乗るな」
「この色ボケ」と声を荒らげる。「裁判長、判決は?」
レイナールが尋ねるとみんなで「隊長解任!」ならよいが過激な意見
で「騎士隊追放を望む!!」と声があがる。
ギムリが判決を高々と読み上げた。
「被告人を即刻、隊長の職を解任と共にオンディーヌ騎士隊からの
追放並びにサイト副隊長の隊長昇格をここに宣言する」
「そうだそうだ!」「サイト隊長万歳!!」
「君達、この判決は無効だ!、僕は隊長のままなのだぞ!!」
と顔を青ざめて叫ぶギーシュに対して、
サイトは冷酷な笑みで「さ、用のない奴はさっさと出ていけ」
と言ったところに「サイト、大変よ!」とルイズが走ってきた。
「どうした、ルイズ?」「モ、モンモランシーが…」涙声で
ルイズは言った。「キュルケが止めたけど一歩遅く土の塔の屋上
から飛び降りたの、レミテーシヨンでキャッチしようとしたけど
一歩遅くて頭を強打して意識不明なの…」と言った途端にサイト
に抱きついてきて大粒の涙を流した。
「モ、モンモランシー!!僕はなんという取り返しのつかない事
をしてしまったのだ〜」とギーシュは崩れた。
するとマリコルヌが突然サイトに聞いた。「なあ、サイト…。
こいつ殺していいかい?」ギーシュは答えた。
「ああ、君達。僕の事を殺してくれ…今すぐに」
するとみんな突然吹き出した。「何だよ、僕が本気で言っているのに!!」
「いや、悪い。悪い。まさかほんとに引っ掛かるとは思わなくてよ!」
とサイトが言えば、ルイズも「本当、キュルケの作戦通りだわ」と言った。
「じゃあ、今までの話って…」とギーシュが呆れた声で言うと
「全部、嘘よ。ギーシュ…」とモンモランシーがやって来た。
「モ、モンモランシー!!済まなかった、許してくれぇ〜」
するとキュルケが「モンモランシーは許してくれるでしょうけど、
二回も振られたケティがどういう反応を示すかしら?」といった。
するとそれまで黙っていたケティが「ギーシュ様、世界で一番好き
なのは私だとおっしゃったの、嘘だったんですね…」怒りに声を
震わせて言った。「いや、ケティ。君も確かに好きだがな、僕が
一番好きなのはモンモランシーなのだよ」と小声で言った瞬間、
「ギーシュ、よくも私を傷つけてくれたわね…ちょっと話があるから
こっちに来て、このモグラ…」とモンモランシーが言うとギーシュは
「あ、ああいいとも。香水のモンモランシー」と
震える口調で応じたのを嘲笑うかのようにケティも「モンモランシー
さん、私も一緒にしていいですか?」とモンモランシーに聞いている。
「ええ、ケティ。このバカの女ったらしを一緒に懲らしめましょう」
と二人でギーシュのマントを掴んでヴェストリの広場に引きずっていった。
「ありゃあ、ヘマすっと半殺しだぞ。ギーシュの奴」と
サイトが言うとみんな、黙って頷いていた。
それから一日中、ギーシュの悲鳴が聞こえていた。
「この色ボケモグラの女好き、覚悟なさい!!」
「ホラ吹きの女狂い、今回は許しませんわ〜!!」
「二、二人とも落ち着きたまえ!僕が死んでしまうぞ〜、ぎゃあああ!」
翌日、モンモランシーとケティの顔はすっきりしていたが、ギーシュの
顔はくたびれ果てていたが放課後はサイトが中心となり、
毎日地獄の様な訓練が騎士隊からギーシュに課された。
さすがのギーシュも女の子を口説く元気もなくなったようで
暫く、ギーシュの浮気癖が治ったのは言うまでもない。


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