騎士隊の受難
Last-modified: 2014-06-02 (月) 21:54:20 (3610d)

その日、サイト達は騎士隊の拠点の小屋で飲んでいた。
オンディーヌ騎士隊設立一周年を祝って、ギーシュと
サイトが中心となって打ち上げをする事になったのだ。
その間、ルイズ達女子生徒も 食堂でお茶会をしていた。
サイトとギーシユ による乾杯の合図で始まり、暫く
はみんな大人しく飲んでいたのだが、そのうち飲み
すぎでぐだぐだ文句を言う奴がでてきたのは当たり
前だが問題はそいつだったのである.....。
サイトはギーシュと二人で飲んでいた。
もちろん、話題は互いの恋人との関係である。
ギーシュはサイトに唐突に聞いた。
「なあ、サイト。最近、ルイズとしてるのかい?」
サイトはそれに対し、「ああ、こないだトリスタニ
アの『魅惑の妖精亭』にシエスタの代わりに二人で
手伝いに行ったとき、調子に乗ってやりすぎて疲れ
たから最近はしてないぜ....それよりお前はモンモン
としているのか?」と逆にギーシュに聞き返した。
するとギーシュは酔っているらしく嬉しそうににや
にやしながら「まあ最近ちょくちょくしているよ、
モンモランシーも素直になってきてな」 まあ、フラ
フラしている割りには本命には惚れてる二人である。
そんな事を楽しそうに話している二人の側にたちの
悪い酔っぱらいがふらふらとやって来た。
「やあ、サイトとギーシュ。僕にも教えてよ…」
それは騎士隊一モテない男マリコルヌである。
「よう、お前が聞いて参考になるかい?」
するとマリコルヌはいい加減酔っているのか二
人に絡みはじめた。「はん、サイトとギーシュ。
僕には分からないな、あんな色気ゼロで嫉妬深
いルイズやモンモランシーとやろうという君達
の気持ちが…。君達はモテモテなんだから他に
相手がたくさんいるだろう?例えばあのメイド
や他の女子生徒とか」するとサイトとギーシュ
は顔を見合わせ、大げさにため息をついて鼻で
笑った。「これだから未経験な奴は困るし、話
したくないんだよな、ギーシュ?」
「ああ、サイト。全く君のいう通りだよ、マリ
コルヌ。君は貧乏くさいな・・・」
「どういう意味だ?それっ!」
「一番気持ちよく出来るのはな、初めてした相
手なんだよな、これがっ」
「そんな馬鹿なっ!誰としても同じだろう?」
「いや、マリコルヌ。全くサイトのいう通りな
んだよ、どうもほかの子としようとすると気持
ちが昂らくてしつこくしようと思わない…」
「あのな、ルイズは普段ああいう強気な態度だ
けどよ、二人でベッドに入ると俺のテクにメロ
メロで人が変わった様にもう大変なんだな、そ
れが可愛くてよ、ついつい可愛がっちまうんだ。
あそこまでメロメロになられると他の女とはし
たいと思わなくなっちまうよ!」とサイトが自
慢気に言えば、ギーシュも続けて「全くサイト
のいう通りでね、モンモランシーも僕が他の子
を口説くのを見たときは嫉妬するくせにベッド
の中では甘えん坊になってね、本気で抱いてし
まうのだよ」とにやにやしながら言った。
するとマリコルヌが悪態をつきはじめた。
「はん、ルイズとモンモランシーなんて色気
がそんな無くて、嫉妬深いバカ女じゃないか!
でもタバサはもっとごめんだな。全く色気も
可愛さもないんだから!ケティもごめんだ、
振られても君達と仲良くしてるんだから、
馬鹿もいいところだよ!!キュルケはキュ
ルケであの色気ならどんな奴でも落とせる
のにコルベール先生なんかに恋してるんだ
から変わりもんだろっ!ベアトリスは姫殿
下だからって威張ってたくせにテファと仲
良くなってんだからあれは馬鹿だし、はあ、
この学院の女の子はサイトとギーシュに惚れ
てる頭が悪いのしかいないけど、テファはち
がうよなあ。やっばり僕は初めての相手はテ
ファでしたいなあ・・・」と悪口いいまくっ
た挙げ句の果ての妄想である。
サイトはマリコルヌに「テファもお前の相手
はごめんだとさ」と言ってやったがそれでも
マリコルヌの妄想は止まらず、さらに女子生
徒の悪口も続けているのをサイトとギーシュ
は呆れて眺めていたその時、マリコルヌ以外
は背中に強烈な殺意を帯びた視線を感じた。
振り返るとルイズを始めとする女子生徒が
殺意を帯びた眼で睨み付けていたからだ。
ルイズとモンモランシーは同時に聞いた。
「サイト、ギーシュ、私達の事、バカ女だ
と本気で思っているのかしら?」
「いや、ルイズ。思ってない、思ってない。
可愛くて素晴らしい女の子だよ」
「モンモランシー全く、君に勝る子は他にいないよ」
するとキュルケが冷やかな口調で聞いた。「じゃあ、
さっき私達の事馬鹿にしてたの、誰かしら?」
ギムリとレイナールが震えて冷や汗を感じながら答えた。
「マ、マリコルヌだよ。自分がモテない腹いせにあ
んなバカ女どもなんかより、もっといい女がいるっ
て言ってたんだよ。酔っぱらった勢いで僕達が止め
るのを聞かずに」騎士隊員全員がうなずくと「よく白
状してくれました」とキュルケは薄気味悪い笑顔で
言って真っ青になって震え上がっているマリコルヌの
首筋を掴んで引きずっていった。
サイト達はほっと息をついた。「アブねえ、危うく殺される所だったぜ」
「なあ、サイトとギーシュ、さっきの話、本当かい?」
「本当の事だよ。な、サイト?」
「当たり前だろ、隊長と副隊長が嘘つかねえよ」
「全くだよ、もう解散して部屋に戻ろうか」
「そうだ、そうしよう!」「もう、寝ようぜ・・・」
「そうだな、マリコルヌには悪いけど・・・」
「ああ、あのバカのせいでまたルイズを抱いてルイズの可愛い喘ぎ声を
いっぱい聴きたくなっちまったよ・・・」
「サイト、君もか・・・。僕もそうなのだよ、モンモランシーのすべすべな
肌と触れあい、モンモランシーの可愛い声を聴きたいという気持ちで
僕の心は狂ってしまいそうだよ・・・」
「じゃあ、ベッドの中で待ってますか」
「そうしよう、そうしよう!」
他の騎士隊員はそんな二人をうらやましそうに眺めていた。
「ギーシュ隊長とサイト副隊長、本当にモンモランシーさんと
ルイズさんには首ったけだなあ・・・」
「あれだけふらふらしても好きな子は一人だけなんだよ・・・」
「ほんと、うらやましい・・・」
「俺たちも部屋に戻ってご機嫌とろうか・・・」
「そうだな・・・」
その後、マリコルヌの悲鳴だけがしばらく聞こえていた。
さらにサイトとギーシュはルイズとモンモランシーに
せがまれ、二人の相手を朝までして、さすがに翌日は
疲れたのか、騎士隊の訓練を休みにしたという。
マリコルヌがさらに女子生徒から相手にされなくなり、
騎士隊解散に繋がりかねない事件を起こしたのはこれ
が原因だったのは言うまでもない・・・。


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