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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:44:11 (4544d)

117 名前:1/6[sage] 投稿日:2006/12/30(土) 23:45:38 ID:Li/A3Zox
「正直、こんなに上手くいくとは思って居なかったな……」
レイナールの呟きに、マリコルヌ達は頷いた。
「もっと難しいものだと思っていたが……簡単なんだな」
周りに居る五、六人のクラスメイトと……目を見交わす。
とある目的のために集まった同士。
「ちょっと……なによっ?サイトどこよ?」
サイトが呼んでいると言うだけで、何の疑問もなく空き教室まで付いて来たルイズ……
「もぅ……なに、これ?痛いんだけど?」
縛り上げられて魔法で持ち上げられているというのに、未だに事態を理解していない辺りは大物だった。
「僕達はね……納得いかないんだよ」
ルイズの前まで進んだマリコルヌが皆の思いを代弁した。
「サイト……確かに彼は凄いさ、他の者に真似できない偉業を成した」
従軍した者、していない者、皆一斉に悔しげな表情を浮かべた。
「だがっ、それとこれとは話が別だっ……何故だっ、何故っ?」
「「「「なんでサイトなんだ?なんでサイトなんだ?」」」
呪文のように皆が唱和する様を、ルイズは不気味そうに見つめていた。
そしてようやくサイトが来ないことに気が付き、この不気味な状況に恐怖し始める。
しかし、マリコルヌはそんなことに気付かぬままに演説を続ける。
「どうしてアイツばかりがもてるんだ?平民だろう?今はシュヴァリエでもっ!!
納得できない!!貴族の僕らが居るのにっっっ!!
いまや下級生までアイツの虜だ!!昨日なんか差し入れまで貰いやがってぇぇぇえ」
わたしが取り上げたじゃない、ルイズはそう思ったが、軽口を挟める雰囲気では無かった。
冷静に部屋を見回して、きっちりカーテンが引かれていたり、一人が防音の魔法を使っていることなどに気付く……
逃げられない。冷徹な事実のみが確認できた。
「不思議だ!おかしい!ありえないっ!ならばっっ!!
検証しよう……そのために僕らは集まったんだよ、ルイズ」
ねっとりと哂うマリコルヌの顔から目をそらしても、部屋に居る全員が同じ顔をしていた。
「ど、どうするつもりよっ」
ピタリと黙り込んだマリコルヌの代わりにルイズが叫ぶ。
沈黙のもたらす緊張に耐え切れなくなったためだった。
帰ってきたのは……嘲笑。
「なぁに……比べてもらうだけさ、サイトと……僕ら全員をね」
空中に居るため何一つ抵抗できないまま、血走った目の中心に降ろされる。
「ねぇ……なによ?どうするつもりよ?」
異様な雰囲気の男達に囲まれても、ルイズは何とか意地だけを張り通した。
それでも前を見れば後ろが気になり、後ろを見れば前が気になる。
誰が、いつ、何を始めるか分からなかった。
自由の利かない身体で、視線だけでも相手を威嚇しようと、ルイズは一人一人を睨み付けた。
助けて……助けてよ……サイト……
心は必死に助けを求めていたが、周りに悟られるのはルイズのプライドが許さない。
「彼を待っているのか?」
誰かの呟きに、びくりと身体が震える……
「そ、そんなはずないじゃないっ……」
喋っている間は安全、そんな思い込みを砕くように、ルイズの言葉の途中で小さな音かした。
ポン、と密閉された容器を開ける音。
「強情だな、ゼロのルイズ」
魔法薬の入った瓶っっ、ルイズの血の気が引いた。
薬――けして嫌ではなかった記憶。
でも……抵抗一つ出来ない恐怖。
「コレで少し素直になってもらおうか」
「いやぁぁぁぁぁあ」
怯えたルイズはとうとう悲鳴を上げた。

118 名前:2/6[sage] 投稿日:2006/12/30(土) 23:46:38 ID:Li/A3Zox
恐怖に呑まれたのはほんの一瞬。
少しだけ残った理性が、ルイズに口を閉じるように指示する。
何が有っても開くものか、そう決心したルイズが奥歯をかみ締める。
「賢明だな、ルイズ……ま、見当違いだけどね」
レイナールは吊り上げられたルイズの足元に魔法薬を置いて……
芯を刺し火を付けた。
「煙で十分なんだ、この薬はね」
ピンク色の煙が、ゆらゆらとルイズの身体を愛撫するように這い上がった。
「んっっっ、んん〜〜〜」
僅かに残された自由で、必死に煙をよけるルイズだったが……
誰かが魔法を使ったのだろう、煙はルイズの頭の周りで漂うだけで、決して室内に広がらなかった。
(やだやだやだやだやだぁぁぁぁぁ、サイト……サイト……いやぁぁぁ)
呼吸を止めているにも限界があった。
男達が満足そうに見つめる中、ルイズの口に怪しい色の空気が入り込む。
「げほっっ、くっっ、はっ……」
舌を刺す様な、喉を焼くような感覚に、むせかえる。
必死に吐き出すが、周り中煙だらけのために吐いた以上に吸い込んでしまう。
「いやっ、止めて……なんなのよぅ……」
頭の奥にじわりと広がる痺れ。
一人を残して全員が席に付き、何かを取り出した。
何が起きているのか分からない……
「助けて……ねぇ……なに?なんなの?
返ってきたのは幸せそうな微笑。
「直ぐに分かるよ、ルイズ」
「僕達の望みなんてシンプルな物だからね」
「……満足させてもらうよ」
「時間はたっぷり有るさ……」
善良だ、そう思っていたクラスメイトの口から彼らの欲望が吐き出される。
頭の奥で何かのたがが外れる。
理性は必死に制止しても、今のルイズは彼らの思いのままだった。
「さて……次はね……ルイズ」
「……はい(いやあああああああああああああ)」
ルイズにとって地獄のような時間が始まった。

119 名前:3/6[sage] 投稿日:2006/12/30(土) 23:47:10 ID:Li/A3Zox
「さて、何時から好きになったんだ?」
「最初に気になったのは、ギーシュと戦って剣を握った時です。
(ちがうぅぅぅぅぅぅ、気に成って無いっ、全然気にしてないぃぃぃ)」
皆が一斉にノートに何事か書き込む。
「あ、忘れてた……そもそも、この確認からしないと」
な、何?何聞かれるの?
魔法の自白剤、一切の嘘がつけなくなったルイズは恥ずかしくて死にそうだった。
「サイトの事好きなんだよな?」
(ばっ、ばかぁぁぁぁぁ、そんな事聞くにゃぁぁぁぁ)
「はい……」
教室中がどよめいた。
「あー、やっぱりかぁ、そうだと思ってたんだよなー」
「ここまでしないと、話すら聞けないって強情すぎだよなルイズ」
(…………そんなんだから、もてないんじゃないぃぃぃぃ)
ルイズの心の絶叫は聞かれたことでないため口から出なかった。幸いにも。
「さ、次 ファーストキスは?」
「はい、契約の時です」
皆見てたじゃない、どうでもいい質問に胸をなでおろす。
「あ、じゃ、二回目は?」
(ぎゃあぁぁぁ、やっやめっ」
しかし口は勝手に動き出す。
「アルビオンからの帰りに……竜の上で……」
(ひ、ひとのっ、ひとの秘密をぉぉぉぉ)
「嬉しかったか?」
「はい、幸せでした」
「状況をもっと詳しく」
「眠ったフリをしていたら……サイトが無理矢理」
身体が動けば口を塞ごうとしていただろう……が、そうさせない為の拘束だった。
(ひっ……ひどいっ、わたしとサイトの思い出ぇぇぇぇ)
「ルイズからキスしたことはー?」
ノートを取りながら誰かが質問した。
「3回目に……眠ってるサイトに……」
(いやぁぁぁぁぁあ)
無邪気に、そして興味本位だけで『ルイズのヒ・ミ・ツ』が次々と暴かれていった。

120 名前:4/6[sage] 投稿日:2006/12/30(土) 23:47:43 ID:Li/A3Zox
「浮気についてどう思いますかー?」
「許せないけど……嫌われたくないし……」
乙女心を散々蹂躙されたルイズは何も考えられないまま、機械的に返事をするようになっていた。
(早く……おわって……)
「今何考えてますかー」
調子に乗った誰かのふざけた質問に、ルイズの目がかっと見開かれる。
「復讐」
ルイズを除いて和やかだった空気が凍りついた。
「……ちなみにどのような?」
「全員殺す」
全員がだらだらと冷や汗をかきながら、自分の行いを省みた。
((((ヤバイ、狩られる))))
その瞬間、みんなの心は一つになった。
「こ、殺さないとしたらどうしますかっ?」
「ヴァリエールの権力を使って、社会的に抹殺」
躊躇なく自分達の死刑宣告書にサインがされていた。
日頃かさに着る事が無い為忘れ気味だが、彼女は国内でも有数の貴族だった。
「ゆ、許してもらえますか?」
「無理」
一切嘘がつけない、つまりルイズは本気だった。
「どうすれば許してもらえますか?」
「どうしても許せない」
ルイズを襲った地獄の時間が、立ち位置を変えて男達に襲い掛かった。

121 名前:5/6[sage] 投稿日:2006/12/30(土) 23:48:15 ID:Li/A3Zox
「で?この惨状」
「うん」
ルイズは教室の椅子に座っていて、床の上には青い顔の犯罪者達が震えていた。
拘束を解かれ、動けるようになってもルイズは手を出さず……
却って皆を恐怖のどん底に落としいれていた。
そんなルイズが解毒したいと言うと、五分ほどでモンモラシーがさらって来られた。
「……何に使うか聞いてから売れば良かった……ごめんね、ルイズ。何とかして欲しい?」
「何とかして」
「無理」
にっこりと答えるモンモランシーにルイズは詰め寄るが、自分からは何もいえなかった。
「ま、自分から喋れるようにするくらいなら……これ飲んで」
モンモランシーが出した薬をひったくる様にして奪ったルイズが一気に飲み干した。
「どーゆーことっ?」
自分から喋れるようになったルイズがモンモランシーを睨みつける。
「使い魔の事好き?」
「うん」
はっ、とした様子で口を押さえるが、もう喋った後だった。
「そーゆー事よ、嘘がつけないのはしばらく続くわよ?」
その場に崩れ落ちたルイズに、モンモランシーは声を掛けた。
「こんなのはどうかしら、ルイズ」

122 名前:6/6[sage] 投稿日:2006/12/30(土) 23:48:46 ID:Li/A3Zox
「サイト、だぁ〜いすきっ」
やや硬い動きで、サイトに抱きつくルイズを見て、走りよろうとするシエスタをモンモランシーが抱きとめる。
「仕方ないじゃない、惚れ薬なんだからっ」
「しっ、しかしっ、ミス・モンモランシ……」
そんなシエスタをちらりと盗み見たルイズが勝ち誇った顔で宣告する。
「サイト、キス、キスして、してくれないと、寝ないよ?」
「しかたねぇなぁ……」
シエスタとモンモランシーを気にしながらも、惚れ薬の効力を知っているサイトは甘々だった。
「ね、もう一回、もう一回だけぇ」
「離してぇぇぇぇ、ミス・モンモランシ――――離してくださいっ」
離す必要もなく、人一人を引きずりながらシエスタはにじり寄っていく。
「あー、ほら、ね?たまにはいいじゃない?」
全てを知るモンモランシーは内心では
(調子に乗りすぎよっ、ルイズ!)
と、思っていても口に出せなかった。
「ほら、ルイズ、キスしたら寝るんだろ?うそつきは嫌いだぞ?」
「いや……嫌いになっちゃやだぁ」
サイトの扱いにも慣れが見えた。
「じゃ、皆で寝ましょうね?」
目を血走らせたシエスタに、ルイズはにこやかに答えた。
「うん、サイトもシエスタも好きだから、皆で寝ようねっ」
ルイズがシエスタの手を掴んで引き寄せ、共にサイトに抱きついた。
二人に押しつぶされたサイトの悲鳴が響く部屋から、数分後にモンモランシーは部屋を出たが……
(す、砂吐きそう……)
三人は幸せそうだった。

――――――
「ふ、復讐の心配は無いんだよな?」
マリコルヌ達はこの三日間生きた心地がしなかった。
「まー大丈夫じゃない?すっかり忘れてるみたいだし」
冷めた目でルイズを見ながら、モンモランシーは答えた。
あの日からサイトに甘え続けるルイズは絶好調だった。
黙っていようと思ったが、どうしても人に言いたいことが一つだけあった。
それは、『しばらく』の期間
「昨日から薬解けてるけど……あの子全然気付いてないし」
――――――

「サイト、大好きよ」
仕方ないわよね?自分に言い訳しながらサイトに抱きつく。
薬のせいですもの、わたしのせいじゃないわっ。
「ずっと側にいてね?」
照れながら答えるサイトの声を聞きながら、ルイズはとても幸せになっていった。


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