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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:46:51 (5645d)
871 名前:1/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:31:18 ID:jS7CC32r 「…………」 残りのページを眺めて、今日中に読みきってしまうか、続きは明日に回すか黙って悩む。 ――結論は直ぐに出る。今日はもう休む。 学院に戻ってからのタバサが床に付く時間は、日に日に早くなっていた。 最近は毎日この時間が楽しみで、日が傾き始めると気付くとこの事ばかり考えてしまう。 寝巻きに着替えると、ランプの火を落とす。 小さく口笛を吹く。 使い魔への合図。 「お姉さま、お姉さま、今日も一緒に寝てもいいの?」 ベットの側でシルフィードを見つめるタバサの頬はほんのり上気し、 「お姉さま、入るのね、入るのね、きゅいきゅい」 焦れ始めたタバサが、側に置いてある杖を握りしめると、シルフィードは慌てて詠唱を始めた。 『我をまといし風よ、我の姿を変えよ』 何時も通りの詠唱で、シルフィードの姿が見る見るうちに縮んでゆく。 「お姉さま、今日も可愛いのっ」 自在に姿を変えられるシルフィードに、『サイト』の姿と声で賛美される。 「こ、こっちに……」 夕日に負けないほど赤くなったタバサは、自分だけの『サイト』をしっかりと抱きしめて…… 「おやすみなさい」 872 名前:2/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:32:04 ID:jS7CC32r すっかり暗くなった廊下を、サイトはひたひた歩いていた。 「やっぱり自分で作った奴の方が、愛着があるよなぁ」 シュヴァリエに成った今なら生徒用の風呂も使えるが、サイトは自分の作った風呂に入るほうが好きだった。 「うわっ……風つえーなぁ……」 昼のうちに用意しておいた薪に火を点けるのも一苦労だったが、 「今頃、ルイズは風呂だろうしな」 今更生徒用の風呂に向かっている途中に、すれ違ったりしたら…… 「ば、馬鹿にされるしな」 テファを連れて学院に戻ってから、ルイズとは付かず離れずの距離を保っていた。 なにしろ学院にはシエスタが居る。 シエスタになびく振りをするだけで、ルイズの虚勢はあっさりと看過され、 「かわいーよな」 結果的にはサイトもルイズもどっちもどっちだが。 にやにやと笑いながら、サイトはその辺の木に、自分の服を掛ける。 「うはーー、幸せーー」 冷え切ってしまった身体を湯に浸けて温める幸せは、何物にも変えがたい。 「あー、このまま死んでもいいやー」 鼻歌など歌いながら、上機嫌に騒いでいるサイトは…… マント以外の服が全て風に飛ばされ始めている事に気が付きもしなかった。 873 名前:3/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:32:47 ID:jS7CC32r そう思ったサイトは濡れた身体のまま、辺りを探し回り…… 身体が乾く頃には、すっかり身体は冷え切っていた。 「ひゃ、ひゃむぃ……」 紫色の唇から紡がれる言葉は掠れ、誰かに聞こえたとしても意味の無い呟きとしか取れなかった。 「…………し、しむ……もーふぐ、ひんでひまぅ」 学院の構内で凍死、伝説の使い魔の死に方としてはなかなか最悪だった。 誰かに助けを求めたい気もしたが、それは最後の手段。 ――助かる前に、通報される。 どう考えても、碌な事になりそうにない。 (だ、誰か……助けてくれ……) そろそろ声も出なくなってきた。 (今寝たら……気持ち良いだろーなぁ) 限界突破! 「どこまで行ってたの?」 サイトの冷え切った身体に、タバサの体温が伝わっていく。 (……ぅぁ……あ、あったけぇ……) ただただ震えてタバサの体温を貪るサイトの手を、タバサは当然のように引き自分の部屋に連れ込み…… ――廊下には鍵の音が鳴り響いた。 874 名前:4/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:33:29 ID:jS7CC32r (お、女の子のベット……) ルイズやシエスタと毎日一緒に寝ているとはいえ、 「冷たい」 サイトの声はまだでない。 「背中に手を回して」 お互い抱き合った姿勢のまま、サイトにとって幸せだが居心地の悪い時間が流れていく。 (待て、まて、マテェェェ、俺、なんかしたか? なんだよこのタバサの豹変っぷりはなんだっ! 「まだ寒い?」 そろそろ喋れそうな気はしたが、声を出すと解ける魔法が掛かっている。 何も喋らない『サイト』を不思議そうに見ていたタバサが、ふと身体を反転させると、 「はーーっ」 サイトの心臓が高鳴る。 「まだ寒い?」 首がもげる。 「良かった」 サイトがいけない道に旅立とうとしていた。 875 名前:5/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:34:10 ID:jS7CC32r (いつもの事) タバサはそんな疑念を切って捨てた。 『おなか空いたのー』 そう言って何時までも帰ってこないシルフィードを迎えにいった所為で、すっかり目が覚めてしまった。 ……こんな格好のサイトが、こんな時間にわたしの部屋に出入りしてたって…… ……いいかも。 ! 違うの、違うのっ、サイトを独り占めしたいわけじゃないのっ ルイズを助けに行くって決めたときのこの人が、 わたしは…… なんだか悲しくなってゆく。 どうしてこんなに冷たくなったのか分からないけれど、冷えてきっているわたしの『サイト』 切なくて、切なくて、 何度もシルフィに言い聞かせて、やっと内緒にする事を約束させた事を宣告。 「久しぶりに、『練習』する」 練習なんて言い訳、 でも……『練習』のお陰で、サイトは真っ赤に成ってた。 この子が本物なら良いのに、そう……思いながら、わたしは『サイト』と唇を重ねた。 876 名前:6/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:34:51 ID:jS7CC32r 「んっ……はぅ……んんっ……あ……」 無心にタバサが俺の舌を吸い上げる。 (なんだか分からんが、コレはいかん、コレは……堕ちるっ……) どうも誰かと間違われている気がする、そう思ったサイトはタバサの腕から逃れようと、じたばた暴れだした。 (ひっ……ちょっ……まっ……) サイトに馬乗りになったタバサが、小さな身体を擦りつけながら。ルイズが見ていた時には決して見せなかった、 抵抗をしようとしていた手は力を失い、絡み合ったままベットに崩れた。 「気持ち良い?」 タバサの問いに、首を振る事でしか答えられない。 (もっと……) 何も考えられなくなった、いや、気持ち良い事しか考えられなくなったサイトが、 「喋っちゃダメ」 サイトの悲鳴は心の中だけに響いて、 (って、俺は女の子じゃっ……っっ!) 未知の快感がサイトを襲う、タバサが優しく優しくサイトの乳首を吸い上げ、 「っ……っん……っ! ……」 サイトはいつの間にか、魅入られたようにタバサの言葉に従う様に成っていた。 877 名前:7/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:35:36 ID:jS7CC32r まるでサイトが感じてくれているみたいで嬉しい。 「『サイト』キスが欲しい?」 コクコクうなずいて、一生懸命わたしにキスをねだる『サイト』 喋るとシルフィードだって分かるから、喋っちゃダメって言ったのは正解だった。 「あ……れ……」 わたしの目から涙が零れる。 今頃……『本物』は……ルイズの……側で…… 「っ……ぅ……いいもん、この『サイト』は…… ルイズも、メイドも、女王も、エルフも、ここには居ない。 「わたしだって……、サイトを好きだもの……」 驚いた顔をするシルフィードが喋らないように、もう一度キス。 「サイト……好き……」 言葉にすると、想いが胸から溢れそうになる。 「愛してる……だから……側に居て……」 すっかり硬くなった『サイト』に、すっかり湿って熱を持った、わたしの一番柔らかい所を擦りつけながら、 苦しげに呻く『サイト』でも、知ってる。 「ひっ……だっ……もっ……逝く……」 もぅ……喋っちゃダメって言ったのに……。 「喋っちゃダメって言ったのに……どんなオシオキが良いの? 『サイト』」 シルフィードが何を言っても、優しくしてあげる。 「じ、直に……直に……」 878 名前:8/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:36:21 ID:jS7CC32r シルフィードにそんな事、教えてない筈だけど。 ……正直ちょっと怖い。 「どうしても?」 竜の癖に、捨てられた犬みたいな目。 「わたしを見て……『サイト』」 キスは好き、『サイト』が、わたしだけを見てくれている。 舌を絡ませたまま、湿った布を脱ぎ捨てる。 『サイト』の熱が直接伝わってくる。 そんな事を考えている間にも、わたしの下で『サイト』は必死になって腰を振り、 「ほら、『サイト』……見える?」 わたしと『サイト』の間から、『サイト』の先っぽが見えていた。 シ、シルフィードなのに……変なわたし。 879 名前:9/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:37:29 ID:jS7CC32r 怒涛のごとく押し寄せてくる快感に、俺はされるがままだった。 「どうしたら、気持ちよくなるの? 『サイト』」 羞恥プレイか? そう思ったりもしたけど、たまにぶつけられる疑問は、 「う、動いて……タバサ……」 タバサとの呼びかけに、一瞬だけ怪訝そうな顔をしたけれど、 「……! っ……ひ……なに? ……だめぇっ……『サイト』これ……な……に?」 いつの間にか、ほんの少しだけ開いたタバサの襞が俺の裏筋の上を上下する。 俺のモノに全身の神経が集中しているかの錯覚を覚える。 「……ゃぁっ…………と、止まって……怖い……怖いよぅ」 ……俺に動く余力は無い、お互いじっとしているだけなのに、 「ひっ……やぁっ……な……に? 『サイト』っ、『サイト』ぉっ」 助けるつもりでタバサを支えた腕も、タバサにとっては快感しか与えないらしかった。 「ひゃっ……だ、だめっ…………っとに、やぁっ……」 抱きかかえる事で互いの密着が増す、もっと気持ち良くなりたくて、タバサを強く抱きしめると、タバサも俺を抱き返す。 「……キス……して……」 不思議と泣きそうに聞こえる声に従って、抱き寄せたタバサの唇を奪う。 驚いたように俺を見たタバサの、 「『サイト』からのキスだぁ……」 幸せそうな呟きに、俺は我を忘れて…… 880 名前:10/10[sage] 投稿日:2007/05/29(火) 02:38:18 ID:jS7CC32r 中身はシルフィードだから、出ないと思ってた。 乱れたシーツの上に、いくつか跡が残っている。 二人とも力尽きるまでお互いを探り合って、 でも…… 「癖になったら困る」 シルフィードが、何時もの姿で窓から…… え? ……『わたしの横で眠るサイト』を見つめる。 いつの間にか握りしめていたシュヴァリエのマントを広げると、 「トリステインの……」 って事は…… 「本物?」 満足気なサイトを見つめながら、タバサの脳裏に昨夜の痴態が思い返される。 (きゃ―――――――) 声にならない悲鳴を上げていたタバサは、正気に返ると真っ直ぐ机に向かった。 「どーしたの、お姉さま」 数分後、何かを書き上げたタバサは黙って部屋から出ていこうとした。 「どこに行くの? お姉さま」 ……数分後、不審に思ったシルフィードがキュルケに『遺書』を届けて、 「死ぬ……絶対死ぬ……死にたいのぉぉぉ」 世紀の説得が……今、始まる。 |
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