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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:47:18 (5639d)

208 :パピ☆ヨン!:2007/07/10(火) 15:38:35 ID:vsfNfHwJ
 青空に太陽が燦々と笑っている時分。
「……なんだこりゃ」
 男、平賀才人は一人、部屋のど真ん中で胡坐をかいていた。
 床に置かれた肌触りのよい群青の包装紙には、ラ・ヴァリエールの家紋が刻まれており、その内包されていたモノは才人の手中に
収まっている。
「映画とかTVで見たことあんな、こーいうの」
 随分と珍しいものを目の当たりにして、あらゆる角度からそれを夢中で眺め回す才人。
 その右膝の上。
 そこに器用に乗せられた一枚の純白の便箋には、簡潔な一文が細く滑らかな文字で認められていた。
『追伸
 前に貴方が話していたものが偶然手に入ったので、ついでに同封しておきました。余計なお世話だったかしら?
                                                                ちい姉さまより』
 本当はもう一通別に、これまたラ・ヴァリエールの家紋の蝋で封がされた(随分分厚い)封筒があるのだが、さすがにそちらには手を着けず、
ルイズの机の上に置いておいた。
 このメモ(にしては手触りのいい紙だ……)は、咄嗟のはずみで包装紙の封が取れてしまい、その時に転がり出てきたものなのだ。
 今、才人が手に取っているものと一緒に。
「あれか、また舞踏会の予定でもあるのかもな。アイツ、その時にこれ着けてくつもりなのかも」
 くっく、と意地悪な笑みを浮かべる。
 なんたって才人の世界じゃ、こんなものを着けてダンスを踊る状況ってのは、文化祭の打ち上げのようなハイになってる場合か、
勝負に負けて罰ゲームを架せられたようなのっぴきならない事情がある場合くらいのもんだ。
 どう考えたってギャグだ。お笑いだ。爆笑だ。全身タイツで、超・人☆パピヨ○! とか叫んでる学友の姿が思い出される。
 その学友をルイズに挿げ替えてみた。
「ぶふっ! ぶぶっ!」 
 想像すればするほど面白くなってきて、噴き出すばかりだったのが、終いには腹を抱えて笑いだす。
「だーーっははははは! や、やっべ似合う! コレすげえ似合うぞあいつの金切り声に! ちち蝶☆似合う! なんちゃって!」
 落ち込めば底無しな彼は、調子に乗れば成層圏を突き抜ける性質なのだ。
 ひー、ひーと息を切らしながらもまだ笑い転げる彼は、デルフが何か言いかけ鯉口を切った(?)のに全く気がつかなかった。
 あんまりにも爆笑してるもんで、独り残されたデルフは拗ねちゃっていた。よって、別にどうなってもいいもんデルフ知らないもんふんだ、と
その見覚えのある、才人が握っているモノについて語ることを止めたのだった。
 一人部屋でごろごろ転がり回りながら爆笑する彼の手には、薄紫色に染まった、パピヨンマスクが収められていた。


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