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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:47:41 (5639d)

178 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/16(木) 02:08:37 ID:gWP1sLXk
ヴァリエール別邸の朝は早い。
寝室に差し込む朝日でこの屋敷の主人が、日の出とほぼ同じ時間に起き出すからだ。
もちろん使用人たちはそれより早く起き出し、主の為に朝の準備を整えねばならない。
それは、才人の隣で眠る黒髪のメイドも例外ではないわけで。
シエスタはまだ日も差し込まないうちからもぞもぞと起き出し、全裸のままベッドから降りる。
ベッドの上では、シエスタの愛しい主人と、その婚約者がすやすやと眠る。
シエスタはすやすやと眠る才人の頬に口付けして。
そしてなんと、隣で眠るルイズの頬にも口付けした。

「頑張りましょうね、お互い」

言ってベッド脇に置いてあった下着を着こんで、メイド服に袖を通す。
メイド服を調え、そして音を立てないようにそっと扉を開け、寝室を後にする。
シエスタは才人のメイドである。だから、どれだけ昨晩激しく抱かれたとしても、主人の朝の準備は彼女がしなくてはならない。

「さ、急がないとサイトさん起きちゃう」

ぱたぱたとシエスタは厨房へと駆けていく。
そして厨房に向かうまでのほんの少しの間、彼女は昨晩の出来事を思い出していたのだった…。

179 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/16(木) 02:09:23 ID:gWP1sLXk
時は一日ほど遡る。

朝からルイズは不機嫌だった。
それはもちろん、朝食の場で才人をかいがいしく世話する黒髪のメイドが気に食わないからである。

「ちょっと、サイトにあんまりひっつかないでくれる」

貴族の食卓というのはこういう時不便だ。
ルイズと才人は、長いテーブルを挟んで、対面に掛けている。
その間には、朝を彩る花が飾られ、朝食に彩りを添えている。
シエスタはルイズの反対側にいる才人に、厨房から届いた焼きたてのパンを供していた。
もちろん、必要以上に接近しながら、いつでも『あーん』できる体勢で。

「あら、主人の世話を焼くのはメイドの務めですもの。
 ミス・ヴァリエールに文句を言われる筋合いはありませんわ」

言って今度はパンを手にとって一口大に千切ると、今度こそ才人に向かって『あーん』をする。
それを見たルイズの手に力がこもり、紅茶の入ったカップの取っ手がぱきん!と音を立てて割れた。

「し、シエスタ、俺自分で食べれるからさ」

ルイズの殺気と形相に、才人は思わず逃げ腰になる。
シエスタから逃げるように手を振り、彼女の『あーん』を拒絶する。

「あら、そうですか?」

シエスタは残念そうに引き下がると、「お代わりお持ちしますね」と言って、広間から出て行った。
ちなみにこの広間で朝食の世話をしている者はシエスタだけ。他の小間使いは、シエスタが二人の身の回りの世話をしているので、他の仕事をしている。
ルイズはシエスタが出て行ったのを確認すると、才人を問い詰める。

「ねえ」

机の対面からそう語りかけてくるルイズに、才人は食事の手を止め、ルイズに聞き返す。

「何?」
「いつになったらあのメイドを追い出すワケ」

言いながらもおかずのベーコンを切るナイフを休めないのがちょっと怖い。
才人はちょっとの間、あー、とかうー、とか唸っていたが、

「だ、だって追い出したりしたらシエスタ行くとこないじゃん」

そう結論付けた。

180 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/16(木) 02:10:28 ID:gWP1sLXk
実際、もし才人がシエスタを追い出したとすれば、彼女は生まれ故郷のタルブに帰るしかない。
しかも彼女は既に才人のお手つきである。帰ってもなかなか嫁の貰い手はないだろう。
しかしルイズは納得しない。

「アンタ、そんな事言いながら、あの娘の身体が目的なんでしょ」

言いながら、ルイズの脳裏にぽよよんと揺れるシエスタのおっぱいが浮かぶ。

「あ、あああの、あのイヤラシイおっぱいが目的なんでしょ」
「ちょ、ルイズ」
「おち、おちちがいいのね、アンタ結局おちちの大きい女がいいのね」
「違うって、話聞けよルイズ!」

才人は話を聞こうとしないルイズに思わず声を荒げてしまう。
才人がシエスタを手元に置くのは、彼なりの責任感の表れだった。
彼女が納得するまで、自分の傍にいさせてやりたい。
それは結局彼女が死ぬまで彼の傍にいると言うことなのだが、それでも。
才人は、身を捧げてくれたシエスタの望みを、できるだけ叶えてあげようと思っていた。
しかし。

「何よ、何の話を聞けってのよ!」
「あのなあ、そんな喧嘩腰じゃ話すこともできないだろうが!」
「だ、だってしょうがないでしょ!アンタが悪いのよアンタが!」
「だから頭ごなしに決め付けんなって…」

言い合いの様相を呈してきた二人だったが、才人は深いため息をひとつハァ、とつくと。
おもむろに席を立つ。

「何、やろうっての?」

ルイズもそれに合わせて席を立つ。
もうすでに頭の中はすっかり沸きあがっていて、どうやってこの生意気な使い魔を躾けてやろうか、とかそんな事しか考えられなかった。
才人はそんなルイズに取り合わず、背中を向け、広間の外へと歩き出す。
ルイズはそんな才人の背中に問いかけた。

「ちょ、どこ行くのよサイト!」
「…ちょっと外出て頭冷やしてくる。
 このままじゃ俺、お前と思いっきり喧嘩しそうだ」

応えた才人の声は、いつにも増して低く、冷たかった。
それゆえ彼の本気を感じさせ、ルイズの怒りを完全に静めてしまうのに十分だった。
そしてルイズは出て行く才人を黙ったまま見送り。
ぱたん、とあまりに軽い音を立てて、広間の扉は閉じてしまう。

181 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/16(木) 02:11:01 ID:gWP1sLXk
そしてしばらくして。

「あ、あああああによ!」

突然ルイズは怒ったように声をあげて、もう一度席に着く。

「あ、あんなに怒る事ないじゃない!わ、悪いのは節操のない犬なんだし…」

そう言って食べかけの朝食に目を落とすルイズの頬に、一筋の雫が走る。
ルイズの目尻から、涙が零れ落ちていた。

「…どうしたんですか?ミス・ヴァリエール。サイトさんは?」

シエスタがいつの間にか戻ってきていた。
手には、焼きたてのロールパンを乗せた籠を下げている。
どうやら厨房でお代わりのパンをもらってきたらしい。
シエスタは泣いているルイズが心配になって、ルイズの傍に歩み寄る。
なんのかんの言っても、シエスタはこの生意気な貴族の娘が嫌いではなかった。
そりゃあ、普段は一人の男を取り合う恋敵ではあるものの、同じ男を好きになった者どうしである。気の合う部分はたくさんあった。
ルイズはそんなシエスタに、涙をぬぐおうともせず顔を向ける。

「どうしよう…」

シエスタはこんな弱気なルイズを見るのは二度目だった。
以前に見たのは、才人がアルビオンの七万の軍と戦い、戦死したと聞かされたとき。
彼女は見る影もなく弱りきり、全てを投げ出していた。
それは、ルイズが何よりも心の拠り所を才人に求めているからで。

「サイトと、喧嘩しちゃったよぉ…」

そこまで言うと、堰を切ったようにルイズの目尻から涙が流れ始めた。
サイトに嫌われた。
ルイズにとって、才人の心が自分から離れる事は、それこそ彼が死ぬのと同じくらい悲しい事だった。
そして、シエスタは。
泣き出したルイズを、かつて彼女の友人がそうしたように、優しく抱き締めたのだった。
226 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/20(月) 03:57:10 ID:S5yhwcVR
しばらくシエスタは、黙ってルイズを抱き締めていたが。
少しルイズが落ち着いて、嗚咽が止まったのを確認すると、ルイズの肩を掴んで身体を離す。
最初ルイズは驚いた顔をしていたが、自分の置かれている状況を思い出すと、真っ赤になって顔を逸らす。

「な、なにやってんのよシエスタ!」

ついさっきまで慰めてくれていた相手に随分な物言いである。
シエスタはそんなルイズを見てくすりと笑う。

「あ、あに笑ってんのよ!」
「いーえー。さっきまで『サイトに嫌われたー』ってベソかいてたひとが、随分元気になったなー、って」
「いいいいいいいい今のは気の迷いよ!なんかおかしかったのよ!」

言ってルイズは食べかけの朝食に向き直る。
そんなルイズに、シエスタはぽそりと言い放つ。

「それじゃあいいんですね?サイトさんと仲直りしなくても」

その言葉に、ルイズの身体がぎしっ!と音を立てて硬直する。
それでも気丈にルイズは、振り絞ったような声で応える。

「い、いいいいのよあんな犬!放って置けばお腹すかして帰ってくるわよ!」

何故かスクランブルエッグをナイフで切り分けながら。
シエスタはふーん、と呟くと、広間の扉を眺めて言った。

「あんなに怒ったサイトさん初めて見たかも」

再び、ルイズの身体がぎししっ!と音を立てて固まる。
シエスタはそれを確認して続ける。

「ひょっとするとこのままお屋敷出ていっちゃうかもー」

ぎしししっ!

「サイトさんあれで結構なんでもできますからねえ、ほっといたら自分で元の世界帰っちゃうかもー」

ぎしししししっ!!

「追いかけるなら早めがいいかもしれませんねー。あ、でも仲直りしなくてもいいんでしたっけ?」

そこまで俯いて黙っていたルイズが顔を上げる。
また泣きそうな顔をしていた。

227 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/20(月) 03:58:04 ID:S5yhwcVR
ぷるぷると震えながら、何か言おうともごもご口を動かしているが、下唇を噛み締めているせいで上手く言葉にならないらしい。
シエスタはうーん、と考え、ルイズが何を言おうとしているのか推察する。

「えっと?『どうしようシエスタ』?」

こくこく。

「えと、『とりあえずサイト捜してきて』?」

こくこくこく!

「なるほどなるほど。『見つけたらその場で押し倒してもいいからね』?」

ぶんぶんぶん!

…ちっ。
最後の捏造をしっかり否定され、シエスタはルイズに見えないように舌打ちする。
でも、とりあえず急ぐ必要はありそうですね。
シエスタはそのままルイズに背を向けると、ルイズに言った。

「じゃあ、捜して連れ戻してきます。とりあえずミス・ヴァリエールはお食事を片付けてくださいな」

シエスタはにっこり笑うと、主人を連れ戻すために広間を出て行った。

才人は、湖畔でぼーっと朝日を反射する湖面を眺めていた。
そしてちょっと後悔していた。
…ずいぶんきつい事言っちゃったなあ…。
ルイズが一方的に突っかかってくるので、ついカッとなって出てきてしまった。
もうちょっと、言い返す隙でもあれば、あそこまで頭に血は上らなかっただろう。
…今から戻るのも、なんだかなあ。
才人は戻った場合を脳内でシミュレートしてみる。
ケース1。戻ったとたんにルイズにぼこられる。俺半死。
ケース2。戻った後は大丈夫だけどしばらくしてルイズにぼこられる。俺瀕死。
ケース3。そもそも屋敷に入れてももらえない。俺オワタ。
…悲惨な結果しか待っていないのは気のせいだろうか。
あの時は頭に血が上って、状況をよく考えていなかったが、実際この状態はよろしくない。
どうしたもんかな、と才人が湖面を眺めてボーっとしていると。

「あ、こんなとこにいたんですね」

背後から、聞きなれた声がした。
振り向くとそこに、シエスタがいた。
シエスタはすたすたと才人の隣まで来ると、すとん、と腰を下ろした。
才人は彼女になんと声を掛けていいのか分からず、一緒に湖面を見下ろす。
シエスタは、ちらりと才人の顔色を伺う。
その横顔が、いつもの優しい才人のそれだった。
シエスタは、まるで独り言を言うように、才人の方は見ずに、朝日の爆ぜる湖面を見ながら言った。

「…ミス・ヴァリエールなんですけども」

隣で才人がびくん、と震える。
シエスタにはその様子は見えていなかったが、なんとなく雰囲気で才人の挙動を察知していた。
…結局二人とも、お互い気になってしょうがないのね。
ちょっとジェラシーなど感じながら、シエスタは才人に真実を告げる。

「サイトに嫌われたー、って、泣いてましたよ」

言って隣を見ると。
口を『い』のカタチにした才人が固まっていた。

228 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/20(月) 03:58:54 ID:S5yhwcVR
才人はその姿勢のままシエスタに尋ねる。

「マジで?」
「マジです」

嘘マジなんでルイズそんなんで泣くの、とか口の中でもごもご言っていた才人だったが。
彼のモグラ頭脳は、すぐに考え直した。
いやまて泣いてたって言ってもそれは怒りのあまりの可能性が。泣くほど怒るってどんなのですか。俺死ぬ。死んだ俺。
そして再度シエスタに尋ねる。

「い、いやでも怒ってたでしょ?」
「んー、ちょっとは怒ってましたけどー。
 どうなんでしょ。たぶん今行けば涙ぼろぼろ流しながら『さいとぉ〜』って抱きついてくるんじゃないですか?」

しかしシエスタの説明にも、才人は『冗談だろ』という顔を崩さない。
…どこまで疑り深いんだか。

「サイトさんは、もっと自信持っていいと思いますよ」

シエスタは、そんな才人に笑顔を向けながらそう言う。

「へ?」

唐突な台詞に、才人は思わず間抜けな顔でそう応えてしまう。
シエスタは続ける。

「ミス・ヴァリエール、サイトさんにメロメロなんですから。
 サイトさんがいなきゃ生きていけないってくらい」
「そ、そうかな」

言いながら才人は照れたように頬を掻く。

「そうですよ。それにサイトさんも好きでしょ?ミス・ヴァリエールの事」
「い、いやまあたしかに」

むか。

自分で振っておいて、目の前でニヤつく才人に軽くムカっ腹が立つシエスタ。
まあ、振ったの私ですけどー。
そこではたと思いつく。
シエスタはそれを実行するべく、才人に気付かれないようににじりよって彼我の距離を狭める。

「それに、私も」

そして膝がくっつくほど密着した状態まで近寄ると。
そう言って、才人の腕を絡め取った。
シエスタの胸の谷間に、容赦なく才人の腕が埋められる。

「私もサイトさんがいないと生きていけません。
 サイトさん、私の事好きですか?」

いきなりの行動と言葉に、才人は再び固まる。
そして、煮えたぎった頭で応えた。

「い、いやシエスタも確かに好きだけど!でもそれは二股とかそういう意味でじゃなくて、えっとだな」

ホントにもう、この人はー。
シエスタはしどろもどろの才人の腕をさらにぎゅっと抱き締め、その肩に頭を預ける。

229 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/20(月) 03:59:45 ID:S5yhwcVR
「いいですよ、二股で」
「え」
「二股でもいいです。私、サイトさんがお傍に置いてくれるなら、二股でもなんでも許しちゃいます」

言ってにっこり才人に微笑みかける。

「し、シエスタ…」

そんなシエスタに、才人は言いようのない愛しさと、申し訳なさの入り混じった妙な感情を抱く。
シエスタはそんな才人を見上げると、言った。

「だから、何も言わずにここで抱いてください…」
「し、シエスタ…」
「『押し倒される分には問題ないですよね〜』とか考えてるでしょシエスタ」

突然。
背後から二人のよく知った声が聞こえた。
その声に、才人はぎこちなく。シエスタは慌てた様子もなく、振り向く。
そこには、桃色の髪の、才人の婚約者がいた。

「わわっ!?ルイズっ!?いやあのこれはだなっ!?」
「あら、結局ご自分で探しに来たんですねミス・ヴァリエール」

二人はそれぞれにそう答え、才人は両手をぶんぶん振りながら、シエスタは冷静にスカートについた草を払いながら、立ち上がる。

「…全くもう、シエスタ一人にまかせるとこれだから油断ならないのよ」

さっきまで才人に嫌われたとか言って泣いていたルイズはどこへやら。
二人のいちゃつく所を見て、急にもとの調子を取り戻したルイズだった。
しかし、その中身は、朝食前とは違っていた。
ルイズは、才人につかみかかるようなこともせず、かといってシエスタに難癖つけるわけでもなく、頬を掻きながら二人から視線を逸らして思案している。
そして考えを纏めると、言った。

「…いいわよ。シエスタとなら」
「え」「はい?」

信じられない何かが、目の前で起こっている。二人はそう感じた。
ルイズはそんな二人に構わず、続ける。

「…し、シエスタとならシてもいいって言ってんの!
 ほ、ほら大貴族になると第二夫人とかいるじゃないの!そういうのよ!」

それはルイズなりの結論だった。
ルイズだって、シエスタが嫌いなわけじゃない。できることなら仲良くしたい。
だったら、才人を取り合って喧嘩するよりは。

「ま、毎日顔合わせるメイドと取り合いするのもタルいから、きょ、共有した方がいいってことよ!」

そこまで言い切って真っ赤になって顔を逸らす。
才人はあまりの展開に開いた口が塞がらなかったが。
シエスタは突然ルイズに駆け寄って、ぎゅうっとルイズを抱き締める。

「ちょ、何すんのよシエスタっ!」
「あーもう、ありがとうございますミス・ヴァリエールっ」

べ、別にアンタのためじゃないんだから、いいんですよぉ隠さなくてもぉ、なんて言いながらじゃれあう二人。
そんな二人を才人はぼーっと見つめる。

230 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/20(月) 04:00:48 ID:S5yhwcVR
…ん?デジャヴ?
才人はそういえばこんな光景を前に見た覚えがある気がした。
そういえば、以前二人が半分和解したときは…。
しかし気づいた時は既に遅かった。
ぼーっとしている才人の腕を、二人が仲良く両脇から抱え込む。
それはまるで、捕まった犯人が連行されていく姿のようにも見えた。

「ま、まあそういうわけだから」
「頑張ってくださいね、旦那様♪」

2倍はカンベンしてください…。
二人に連行されながら、そう思う才人だった。

そんなわけで、その夜は。

「それじゃあ、たっぷりご奉仕しちゃいますね、サイトさん」
「はは…お手柔らかに…」

早々に夕食を済ませた三人は、速攻でコトに及んだわけで。
全裸のシエスタは同じく全裸で横たわる才人の股間に陣取り、既に臨戦態勢の才人をしごいていた。
部屋に着くやシエスタはさっさと全裸になり、才人も脱がせてベッドに押し倒したのである。
ルイズも、既に服を脱いで才人のとなりにいる。
そして。

「ちょ、ちょっとシエスタずるい!私も!」

言って才人の下半身に回ろうとするルイズだったが、シエスタがそれを手で止める。

「ミス・ヴァリエールは、サイトさん『に』シてもらってください」

え、と一瞬ルイズは考えてしまう。しかしすぐに気付くと。
淫靡な笑顔を才人に向けると、おもむろに横たわる才人の顔を跨いだ。

「ちょ、ルイズっ!?」

驚く才人にルイズは。

「だ、黙って舐めなさい!ちゃ、ちゃんとイくまでするのよ!」

言って、そのまま才人の顔の上に腰を下ろした。
才人の鼻がルイズの真っ白な臀部の谷間に埋まり、丁度口の部分にルイズの裂け目が当たる。
しょうがねえなあ、と才人がルイズの腰を腕でロックし、舌を伸ばすと、ルイズの薄く茂る陰毛が舌に触れるのが分かった。
才人はそこから肛門の手前まで、丹念にルイズの溝を嘗め回す。

「ひぁ!そ、そうっ、サイト、じょうず…!」

ルイズは才人の下腹部に手を置いて、才人の愛撫に耐える。
その下では、シエスタが才人の一物を咥えこんで、頭を上下にスライドさせていた。
己が高められる感覚に、才人はさらに激しい行為でルイズを刺激する。
手でルイズを広げ、広がった奥に舌を差し込む。
広げた谷間の上で、自己主張を始めた小さな肉芽を、指の腹で押しつぶす。

「あ、だめ、そこだめぇっ!」

弱点を責められ、ルイズの背中が丸くなる。

231 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/20(月) 04:01:46 ID:S5yhwcVR
そして、かくかくと震えて。

ぷしっ…!

ルイズの股間から、透明な液体が才人の顔に飛び散る。

「や…はぁ…」

ルイズはそのままくたん、と才人の上に潰れる。
そして、その下では。

どくどくどくっ…!

「んんんーーー!」

シエスタの口に咥えられた才人が、爆発している最中だった。
ルイズの下で、かくかくと才人の腰が震えているのがわかった。
…あ…サイトも逝ってるんだ…。
なんだか、自分と才人が一緒に逝けたみたいで、少し嬉しくなるルイズ。
しかし、んく、と才人の精液を飲み干したシエスタを見て。

「…やっぱ、ずるい」

半眼でシエスタを睨む。

「なんで?ミス・ヴァリエールはちゃんと逝けたじゃないですか」

シエスタはこくん、と首をかしげてルイズに尋ねる。

「だって…私も欲しいもん」

言ってルイズはシエスタに抱きついて。
シエスタの口の端から零れた、一筋の才人の精液を舐める。

「サイトの…精液」
「大丈夫ですよ。ね、サイトさん」

言ってシエスタは、そのままルイズを抱き締め、こてん、と横になる。
器用に脚をルイズの脚に絡めると、ルイズの脚を開かせた。
すると、牝の粘液に滑る桜色の肉の花が二つ、上下に並んだ。
才人の喉がごくりと鳴る。その股間では、放出を追えたばかりの彼の分身が、再び天に向かってそそり立ち始めていた。
そんな才人を、ルイズは身体を起こして、シエスタはそのまま首だけを起こして、じっと見つめる。

「じゃ、サイト」

艶を含んだルイズの声に、シエスタの声が続く。

「両方の穴、使って、いーっぱい」

そして二人で。

「「出してね?」」

にっこりと、淫靡に微笑んだのだった。

232 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/20(月) 04:02:56 ID:S5yhwcVR
ぷっつん。

才人の中で何かがキレた。

「やぁってやるぜっ!」

才人はそのまま、上になっているルイズの腰を抱え、一気に奥まで貫く。

「はぁっ…!きたぁっ…!サイトのっ…!」

ぐちゅ!ぐちゅ!ぐちゅ!

そしてそのまま、既にぬかるんでいたルイズの中を数合、掻きまわす。

「ずるいです…ミス・ヴァリエールだけぇ…」

下から感じているルイズを見上げていたシエスタから、不満の声が上がる。

「大丈夫…っ!」

才人はそれだけ言ってルイズから一物を引き抜くと、今度はシエスタの腰を抱え、一気に貫いた。

「やっ!いきなりそんなぁっ!」

ぶちゅちゅちゅ!

シエスタも一気に奥まで貫き、そして掻き回す。
知らず知らずのうちに、ルイズとシエスタはいつの間にかお互いに指を絡ませあっていた。

「ふぁ!いい!いいのぉ!」

自分の下で悶える黒髪の少女を見て、ルイズの中にふと疑問がわく。
そしてルイズは、その疑問を、黒髪の少女を犯す己の婚約者にぶつけた。

「ね、サイト。
 私の中とシエスタの中、どっちがいい?」

才人はいきなり何聞いてんだコイツ、とシエスタの中を往復しながら思ったが。
すぐ思い直すと、シエスタの中を数合楽しんだあと、またルイズに突き刺す。

「あはぁっ!」

質問の答えではなく、才人の牡の器官が帰ってきた事に一瞬驚いたルイズだったが、中を削られる快感にそんなものはすぐに打ち消されてしまう。
しかし、才人はルイズの耳元に口を寄せると、応えたのだった。

「ルイズの中は、ぎちぎち狭くてキモチイイよ」

そして一番奥まで貫き、そして引き抜く。

「あっ、なんでぇっ」

たった一度の往復で抜き出された才人を追うように、ルイズの腰が動く。
しかし才人はそのまま、シエスタの中に己を埋めてしまう。

「ひゃぁっ!」

急に襲ってきた快楽に、シエスタの喉が踊る。

233 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/20(月) 04:03:38 ID:S5yhwcVR
才人はそんなシエスタの中をさっきルイズにしたように一番奥まで犯すと、ルイズに言った。

「シエスタの中は、柔らかいけど奥まで行くと締まって、キモチイイんだ」

ぬぽん!

「やぁっ!」

また才人は分身を引き抜き、言った。

「どっちがいいか、なんて俺には決められないや…でも」

言ってまた、ルイズの中に戻る。

「あんっ!」

喘ぐルイズに、才人は応える。

「どっちも、最高の女の子だよ」

言って、激しく腰を使い始めた。

ぐぷ!ぐぷ!ぐぷ!

粘液に塗れた肉の擦れあう音が容赦なく響き、それと同時に女の啼き声が響く。
ルイズの次はシエスタ。シエスタの後はルイズ。
交互に数合ずつ繰り返し、才人は二人を犯す。
犯され、引き抜かれ、そしてまた犯され、それを繰り返すうち、お互いの喘ぎ声を聞くうち、ルイズとシエスタはどちらが今されているのか、だんだんわからなくなってくる。
お互いに絡めあった指が、だんだんきつくきつく結ばれ始める。絶頂の前触れであった。
最初に絶頂を迎えたのはルイズ。

「ひぁ、だめ、いくのぉ、いっちゃうのぉ!」

かくかくと震え、シエスタの上で声を上げる。
そして引き抜かれた愛液塗れの才人が、今度はシエスタを絶頂に導く。

「うぁ!きちゃう、きちゃうのっ!」

ぎゅうぎゅうと最後の力で才人を締め上げ、シエスタは絶頂する。
そしてその中で、才人が弾けた。

どくどく!

しかしいつもよりずっと早いタイミングで、それは引き抜かれる。
才人の一物は精液を零しながら、今度はなんと、絶頂で緩んだルイズの割れ目に突き立てられた。

「や!だめ!まだだめぇ!」

絶頂の余韻で敏感になっているルイズの中を奥まで削って、才人はその奥で放出の続きをする。

「やぁ!せーえきでいっちゃう!またいっちゃうぅ!」

熱い迸りに意識までも焼かれ、ルイズはシエスタの上で果てたのだった。

234 :月は東に日は西に ◆mQKcT9WQPM :2007/08/20(月) 04:04:09 ID:S5yhwcVR
シエスタの左隣では、才人が気持ちよさそうに寝息を立てている。
さらにその向こうでは、ルイズが安らかな寝顔を見せている。その身体は半分ほどシーツからはみ出ていた。
シエスタははだけたシーツをルイズにかけ直し、そして自分もシーツの中に戻る。

「これからは、ずっと一緒ですよ、サイトさん」

言いながら、彼の胸板を枕に決め込む。
そして、その向こうで眠る、優しい友人に語りかけた。

「ルイズも…ずっと、一緒ですよ♪」

そして、シエスタもまどろむ。
三人一緒の、楽しい未来を夢見ながら。〜fin


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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:47:41 (5639d)

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