19-312
Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:48:15 (5645d)
312 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/09(日) 20:29:57 ID:rkjsIcgH 戦争前に比べて、コルベール先生の授業を真面目に聴くようになった学院生はかなり増えた。 そんなことを思いながらぼーっとしていた時だった。 「諸君らは、自分が何故魔法を使えるのか、考えたことがあるだろうか」 貴族だから。 最初に浮かんだのがコレ。私だけじゃなく、ほとんどの生徒がそう考えたはず。 「もちろん、貴族だからです。ミスタ・コルベール」 頭の可哀想な金髪がやおら立ち上がり、左手で髪をかき上げ右手の薔薇を前に突き出してほざいた。 314 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/09(日) 20:31:25 ID:rkjsIcgH サイトは今、何を思ってるのだろうか。横顔が少し固い。 「しかし勘違いをしてはいけない。魔法を使えるから貴族なのか、貴族だから魔法を使えるのか」 魔法を使えない貴族。私はだから、気概だけは、貴族たらんとした。 「諸君らが、魔法を使えない者を見下してしまうのは、ある意味仕方ないことなのかもしれない。しかしなればこそ、自分が魔法を使える意味を考えてもらいたいのだ」 私が魔法を、『虚無』を使える意味……。 「では、理論の側面で我々が魔法を使えるのは何故だね? ミス・ヴァリエール」 考え事をしてた時に限って当てられるのは何故なんだろう。 「魔法とは杖を介して、呪文を鍵(キー)に自己の意志を世界に表出させることです。その際に世界に影響を与えた分だけ術者から消費される『魔力』を体内で精製出来るのが魔法使いです」 理論は徹底的に叩き込んだが、当時はまったく身を結ばなかった。 まぁ、ちょっと本気で使ったらすぐすっからかんだけど、と心中で呟く。 315 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/09(日) 20:32:19 ID:rkjsIcgH 昔、エレオノールお姉さまに同じような話をしてもらったことがあったような…… 316 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/09(日) 20:33:49 ID:rkjsIcgH 確かに。 「これは、マナに魔力を乗せて作った一塊のサイズが、術者の実力によって大きく異なるからであり、基本的にドットよりもラインの方が大きく、またトライアングルはさらに大きい。 そりゃあ、マリコルヌもぶっ飛ぶわけだ。 317 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/09(日) 20:35:32 ID:rkjsIcgH ってことはタバサってやっぱ凄いのね……キュルケはトライアングルだけど『火』しか使えないみたいだし。あれ? 私ってば何メイジなんだろ? ドットなのかな……。なんかイヤね……前は何でもなかったから考えたことなかったけど。 318 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/09(日) 20:37:15 ID:rkjsIcgH キュルケに聞いた所によると、先生の『火』はその威力も制御も桁違いとか。やっぱりスクウェアなのかな 「あの……『虚無』はどんなマナを……その……」 声のした真後ろを振り向き見上げれば、何かが。脳が理解することを拒否した何か二つが。それは顔がなく、何か二つが喋ってるとかそんなアレである。 「いや別にっ…それは誰かが虚無の使い手とか……そんなんじゃなくて…えっと……」 ソレがあたふたするとたゆんたゆんと揺れる揺れる。 「んぎぃやぁぁぁいあああああああああッ!!!!!!」 取り出した杖をこちらに半身になってだらしない顔で後ろを見上げていた犬の股間に突き立てた。 サイトの悲鳴で(どこからか、人が溺れるような音もした)落ち着きを取り戻した先生は 先生は少しためて 「何せ、失われた系統だからね」 319 名前: 名無しさん@ピンキー [sage] 投稿日: 2007/09/09(日) 20:38:23 ID:rkjsIcgH 「そろそろ時間か。今日も少し本来の授業からは横道逸れてしまったが、一番言いたかったのは、魔法は強い、強くなる力だということ。それと、強い力を何のために使うかということだ。 はかったように鐘がなる。 キュルケは猛スピードで先生の方に走っていった。ティファニアはおともだちと約束があるとか。そして何故か隣にサイトの姿がない。 一緒に消えたタバサが目下、一番怪しい訳だが。 いや、でも今日は、 「あー、姉さまにもらった新しい鞭があったわね」 END |
|