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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:48:34 (5617d)
116 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2006/08/24(木) 01:36:47 ID:PVvLOUZr
アンリエッタはワインを一気に飲み干すと、ベッドに腰を下ろし、そのまま後ろに倒れて横になった。
ため息が漏れてしまう。身体が熱く、重たいのはワインのせいだろうか。
連日の激務の疲れもあるが、ここまで深く落ち込ませるモノではない。
アンリエッタを深く悩ませる事件が起きたのは、今日の夕方のことであった。
かねてより城下の情報収集は続けていた。政治について平民たちのあいだでどのような評判になっているか地道な調査を続けていた。
評価は益々厳しくなってきたようだ。税金が高い、役務が辛い、兵役には行きたくない……などどれも理解できない話ではなかった。
戦時中とはいえ、たび重なる重荷に平民たちも嫌気が差し始めている。貴族のあいだにも厭戦気分を持つ者が出始めた。
そこでお忍びで街の様子を見てみたくなった。平民たちはいったいなにを求めるか、どうすれば不満を少しでも解消できるのか
それが知りたかったのだ。
貧民街の外れに酒場がある。店の名前は「プロスパー亭」という。
最下層の貧民や傭兵くずれ、犯罪者まがいの連中が粗悪な安酒でくだを巻いているような場所だ。
店内は、すえた臭いとアルコール臭が充満し、下品な笑い声や怒声といった喧噪に包まれている。
まともな市民がやってくるような場所ではない。
その酒場へフードを目深にかぶった2人組が入ってきた。アンリエッタとアニエスである。
カウンターでラム酒を頼むと店の隅に陣取って、男たちの話に耳を立てた。
ある男が愚痴をさんざん披露した後、イヤらしい笑みを浮かべながら言った、
「あの姫さんによ、俺たちの苦労をよ、ねぎらってもらいてぇもんだ、あの若い身体でな」
「肖像画でみたが、たいそうな上玉じゃねぇか……げへへへ」
「俺はパレードでちらっと見たぞ、おっぱいも相当デカいなありゃ」
「あれだけでけぇ胸だ、淫乱に違いねぇ……揉みてぇなぁ〜」
男たちはアンリエッタをネタに下卑た話を延々と続けている。アンリエッタは顔を赤らめてうつむいてしまった。
すると男がこういった、「淫乱女王め、あの身体を味わえるなら、日頃の苦労も許してやらねぇこともねぇがな!!」
ギャハハと下品な笑いがわき起こる。そうだそうだとはやし立てる声が続く。
いたたまれなくなってアンリエッタは店を飛び出し、アニエスも後に続いた……。
アンリエッタはそんなことをベッドの上で思い出していると、身体が熱くほてり、自然と下腹部へ手が伸びてしまう。
最初はネグリジェの上から触れるだけであったが、だんだんと意識して膣の周りをなで回した。
快感が広がると同時に安堵感に満たされた。日々の心労もゆるゆると溶けていくような気がした。
「そんな、んん、あぁん……わたくしがあのような連中と?……んぁ……だめぇ……」
胸の先端を指でつまんだとき、ふと「身体を味わえるなら許してやらねぇこともねぇ」といった言葉が浮かんできた。
甘い声が漏れるのを抑えながら、そんな言葉を反芻したのだった。
アンリエッタは自慰もすんで、心地よい疲れに身を投げ出した。
平民の苦労への罪悪感と、それを許してもよいという言葉ばかりを思い出す。
「んふぅ……しかし、報いるところが……なくてはなりませんね……」
アンリエッタは火照る身体を興奮に浸して、ある決心をしたのだった。