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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:49:03 (5642d)
131 名前: 1/5 [sage] 投稿日: 2007/09/19(水) 03:44:08 ID:V6NdQuWM 「さあベアトリス、今日もお話しましょうか?」 ほんの数週間前まで溢れていた覇気が微塵も感じられなくなった少女がそこに居た。 「お友達だから、テファでいいよ? ベアトリス」 何かがおかしい、つい先日までそんな事で悩んだりもした。 「おいで、ベアトリス」 ティファニアの抱擁から、その暖かさから逃れる事は出来ない。 彼女の望みを叶える度に、また一つ自分は自分じゃなくなってしまうのに。 「ベアトリスを好きになってくれた人の話しをしようね」 思い出が、また一つ消えていくというのに。 『お友達だから、一度ゆっくりお話しましょう』 ティファニアの無知を嘲笑おうと、あわよくば弱みに一つも握ろうと、 昼過ぎから話していた筈なのに気付くと日が落ちていた事。 ――そんな”些細”な事が気にならなくなるほどの衝撃。 『またね』 優しく回されたテファニアの腕の中。 ”記憶に残る限り、生まれて始めて”優しくされたベアトリスは…… 「ひっ……あっ……うああぁぁぁぁぁぁ」 泣き崩れながら……ティファニアの腕の中に絡め取られてしまった。 『みんなに迷惑が掛かるから』 サイトは本当は強いのに、黙って頭を下げてくれた。 腰抜けだって噂して、 ――それでもサイトは平気だった。 『テファが無事でよかったな』 そう言ってくれたから……他の子が馬鹿にしても、 それに変わりは無かったのに、 「ミス・ウェストウッド、貴方のお抱えの騎士は頼りに成りますわね」 他の子が教えてくれるまで、ベアトリスのその言葉が嫌味だって気付かなかった。 「うん、サイトは凄いんだよ」 そう言った時の周りのざわめきが理解できなかった。 それは何度も繰り返されて、 ――わたしを使ってサイトを馬鹿にしていると教わった時、 ベアトリスがどうしても理解できなかった。 どうして? どうすればあんな風に育つのか、わたしにはどうしても理解出来なくて…… 「あの子達みたいに、優しくなってもらおう」 そう……思った。 お父さんも、お母さんも、わたしの事が嫌いなんだ、そう言って、泣いていた子。 あの子はとても素直で……優しかった。 「……ベアトリス、貴方の優しい記憶……貰うね」 それは復讐でもなんでもなく、ただ……不器用な親切。 更に数日がたって、ベアトリスの記憶の限りの愛された記憶をティファニアは消滅させてゆく。 ――愛された記憶を持たない少女は、すっかり別の性格へと変貌を遂げ、 「あ……の……え……と……」 今のベアトリスはティファニアの側に居るためになら何でもした。 「あ、……そ、そうだ……あのね、3歳の時、おじいさまがプレゼントをくれて……」 彼女がここまで恐れる罰の正体は、単に数時間彼女を無視する。 ベアトリスの世界はティファニアを中心に回っていて、 「そう……じゃあ、目を瞑っててね、ベアトリス」 短い呪文が部屋に流れると、また一つベアトリスが壊れた。 あの人の事を話す度にテファが笑う。 『サイトが居なかったら、わたしは学院に来てなかったわ』 テファがそう言ったから、ベアトリスはサイトを凄い人だと思う。 だって、テファがそう言うんだから間違いない。 わたしは知ってる。 テファだけがわたしに嘘をつかない。 そのテファが信じる人。 テファが居る教室に、わたしも早く帰らなきゃ。 あ……でも…… 『そのうちサイトにちゃんと、お詫びしようね?』 テファがそう言っていた。 そんな事を考えてしまうと、その場から離れられなくなる。 (し、知らない人に話しかけるのいやだなぁ……) 昔は平気だったはずなのに、最近のわたしは人間が怖い。 騎士とかクラスメイトになら、どう『命令』すれば良いのか分かるのに。 そうやって悩んでいると、相手のほうがわたしに気付いた。 「ん? あーお前は……」 (お、お前……お前って言われた……) 「テファ苛めてた、馬鹿か?」 …………心の深い所に、鋭い何かが刺さる。 忘れたいのに忘れられない事実、その事を思うたびに辛くて、悲しくて…… ――涙が……溢れる。 「悪いな、泣くほど反省してるんなら、もう言わない、ごめん」 びっくりして……涙が止まる。 『始めて』男の人に優しくされた。 わたしの胸が高鳴る。 「泣き止んだか?」 そう言いながらわたしの顔を覗き込もうとするけれど、泣いている顔を見られるのが恥ずかしくてつい俯いてしまう。 「言い過ぎたか? ごめんな」 優しい言葉と一緒に、人目の無い木陰まで連れて行ってくれた。 「年下の女の子だもんな、俺、もうちょっと気を使わないといけないんだろーなぁ」 この人の事……悪く言ってたんだ…… また……涙が溢れる。 なかなか泣き止まないわたしを、シュヴァリエ・サイトがおろおろと慰めるのが楽しくて…… いつの間にか授業が始まっていたけれど、気が付くと始まっていたシュヴァリエ・サイトとのお話が楽しくて、 ――凄く凄く楽しい時間だった。 わたしは知らなかった。 大切な思い出だから、テファにも話さなかったこの事が、 ――その時は……まったく知らなかったんだ。 501 名前: 1/7 [sage] 投稿日: 2007/09/25(火) 02:16:50 ID:qOHZlljg 「?」 皆がわたしを見て話を止めた気がしたけど、どうかしたのかな? どんな形でもクルデンホルフの名前が役に立つのなら、うれしかった。 でも、今日はなんだか違った。 ――嫌な目だ。 冷たい目、覗き込むような、見下すような……わたしを突き放した目。 「ベアトリス?」 テファがわたしの名前を読んでくれると、テファの陰に隠れていた女の子たちが慌てて逃げ出す。 他の子が羨ましそうに見守る中、わたしはわたしの特等席に……テファの隣に座る。 「何かいい事有った? 凄くうれしそう」 シュヴァリエに優しくしてもらった事を話すのが、ちょっと恥ずかしくて、ついテファにも内緒にしてしまう。 …………教室の空気が揺れた。 教室中の視線がわたしに集まる。 わたしの返答を聞いた皆が、ヒソヒソと話を始める。 「そう……何も……無かったんだ」 テファが笑ってる。 「後でわたしの部屋に来てね? ベアトリス」 テファの部屋はいつも良い香りがする。 「お邪魔します、テファ」 穏やかに笑うテファが大きく腕を広げてくれると、わたしは耐え切れなくなってテファに向かって駆け出す。 「テファァッ……テファ、テファテファっ」 子供をあやす様なテファの声。 「テファ――、ずっと、甘えたかったのっ、今日も一日我慢したんだからっ、 だってわたしは本当に子供みたいになってしまうから。 森の中のような部屋の中で、華の様なテファに抱かれていると、 「ベアトリスは良い子よね?」 目を瞑ったまま、テファの胸に頬を擦り付ける。 「ベアトリスは、嘘なんかつかないわよね?」 何も考えずに、テファにお返事。 「じゃあ、あの子達が嘘ついたのかな?」 テファの手がわたしを抱きしめてくれる。 抱きしめられていると、テファの顔が見えなくて…… それが凄く怖かった。 っ! テファに言い訳をしようとした…… でも……教室で一度テファに何も無かったっていっちゃった。 知らなかった。 「ベアトリス、サイトと仲悪かった筈なのに、凄く楽しそうだって聞いたけど…… ……わたしは……何も言えない。 「ベアトリス?」 身体が勝手に震えだす。 考えたくも無い想像が私を押し潰す。 わたしの肩を掴んだテファが、ゆっくりわたしを引き離すと静かにわたしの目を見つめる。 ――全てを見透かすような目と視線を合わせる事が出来ないわたしは、咄嗟に…… 目を逸らしてしまって…… テファにはそれで十分だったらしい。 「……さようなら、ミス・クルデンホルフ」 どこまでも優しいテファの、どこかよそよそしい態度に押し出されるように部屋から出たわたしは、 前までのベアトリスなら、サイトとお話したりは出来なかったから、 『サイトにバレちゃうし……』 ティファニアの魔法の存在を知るサイトに関する記憶を消すと、 『……なんだか怒られちゃいそうな気がするし……』 変わり始めたベアトリスを見て、ティファニアは自分の魔法に疑問を持ち始めていた。 でも……消えた記憶は還らない以上、最早できる事は何も無い。 『内緒、内緒』 どうしようもない事で延々悩める程、ティファニアは余裕のある人生を送っていなかった。 それよりも…… 「サイトとお話……いいなぁ……」 自分も学院に来てからサイトとゆっくりお話なんかしていないのに。 そんな想いがわだかまっていて、その所為で、不必要なまでにベアトリスに冷たくしてしまった自分の心に、 「……サイト……」 窓を開けて、サイトの部屋のある方を眺めるティファニアの目は伝えられない思いで溢れていた。 『テファに嫌われた』 そう考えると、眠ることも起きることもできない。 「下がりなさいっ!!」 ベアトリスの記憶には騎士達の忠誠を信じるに足る根拠が無い。 なにより…… 『授業に出ないと……テファに会えない』 ――ひょっとしたら……昨日の事は夢かもしれない。 朦朧とした頭で教室に入ると、ティファニアは既に教室に居た。 「あ……」 ベアトリスと目が合って……ふわりと、花がほころぶ様テファの笑顔。 『……よか……っ……たぁ……』 やっぱり自分の勘違いだったんだ、夢だったんだ。 「おはよう、ミス・ クルデンホルフ」 ――世界が止まる 「……おは……よぅ……ミス・ウェストウッド……」 泣いちゃだめ…… 「き、気分が悪い……から……今日は失礼させていただく……わ……」 泣きたかった。 テファは何時だって優しくて素敵な人だから…… 「さ、さようならっ」 誰にも顔を見られない様、睡眠不足の身体に鞭打ってベアトリスは逃げ出していた。 ――テファに迷惑が掛かったらどうしよう? ――遺書……書きたいな…… 「ひっ……ぅ……っく……うぇ……」 人気の無い廊下を、一人でぽつぽつと歩く。 今テファは授業を受けていて、自分はそこに居ない。 寂しい時に一人で居ると、思考は暗い方へ暗い方へ転がり落ちてゆく。 誰にも愛されない自分、 ……いや……もう一人…… 「おー、また泣いてんのか?」 授業中の廊下を徘徊する変な人、 「シュヴァリエ……サイト……さん?」 新鮮な逡巡、ベアトリスの周りの者はベアトリスの名前を知っている。 なのに、ティファニアと同じくこの男は…… 「ベアトリス……です」 ――とても新鮮だった。 テファが大切にしている人だから。 「ん〜? 喧嘩じゃないのか?」 嫌われたから、お友達じゃない自分は、もうテファって呼べないから。 「と、とりあえず泣かないでくれー」 世の男の常として、サイトも女の子の涙には弱い。 なにしろ……年下。 「い、苛めてるみたいじゃねーかぁぁぁぁ」 一向に泣き止まないベアトリスに、サイトの神経は追い詰められてゆく。 「わ、わたしなんか死んじゃえば良いんです」 一度揉めた相手とはいえ、目の前で自殺されるのは勘弁して欲しかった。 「テ……ミス・ウェストウッドの事、釜茹でにしようとしたし……わ、わたしなんて、 サイトは絶叫と共に、ベアトリスの肩を力任せに掴んだ。 「った……」 ――サイトの頭も茹っていた。 431 名前:1/7[sage] 投稿日:2007/10/25(木) 02:03:59 ID:CWgsQxO4 「本当に……有ったんだ」 大きな釜。 大きな釜が有るから、そこで待っているようにシュヴァリエはそう言った。 テファに嫌われたわたしは何にも興味が無かったけれど、 ――テファになら殺されてもいいから。 (ここで死ぬんだ) テファに謝った後なら、もう何も要らない。 そんな事を考えていると、夕闇の中から声が響いた。 「ベアトリス?」 ……テファ……が……テファが……ベアトリスって呼んでくれた。 それだけで、良いや。 「ベアトリス、ずるい」 わ、わたしまた何かしたのかな? 繰り返し謝りながら、恐る恐るテファの方を見ると、すねた表情のテファが居た。 「仲直りの仲介をサイトに頼むなんて、ずるい」 ナカナオリ? 「……あ……の……?」 ……ぇと…… 「仲直り……して……くれるの?」 突然訪れた幸せに何も考えられないまま、わたしはテファを抱きしめた。 432 名前:2/7[sage] 投稿日:2007/10/25(木) 02:04:32 ID:CWgsQxO4 わたしが泣き止んだ時にはテファの服が涙でベトベトに成っていた。 「でも、丁度良いかな?」 妙な事を呟いた。 「丁度良い?」 ――釜茹で用の釜じゃなかったんだ…… 「い、一緒に?」 皆で入るお風呂と違って、これは小さいけれど。 特別なお友達、そう言ってもらえたみたいだ。 「うん、一緒に」 テファの言葉に導かれるように、わたしは服を脱ぎ始めて、 433 名前:3/7[sage] 投稿日:2007/10/25(木) 02:05:05 ID:CWgsQxO4 お湯も、テファの側もすごく幸せで気持ち良い。 「どうしたの?」 ここにいられる事がうれしくて、テファを見ていると笑いかけてくれた。 このまま、時間が止まればいいのに。 「テファー、仲直りした〜?」 男の子の声に、慌てて首までお湯の中に隠れる。 「ん、じゃあ俺行くわ」 あぁ、シュヴァリエは優しいんだ。 「……ありがとう」 わたしの声は、多分小さくて聞こえなかっただろうけれど、 次に会ったら、ちゃんと聞こえる声で…… 「? どうして?」 ? なにが『どうして』なんだろう? 「サイトは、お風呂入らないの?」 ……はい? 「お友達だったら、仲良くお風呂でも入れってサイトが言ったのに、 ……テファはどこかずれていると思う。 435 名前:4/7[sage] 投稿日:2007/10/25(木) 02:05:36 ID:CWgsQxO4 そんな問題じゃなーい。 「あの……テファ、ちょ〜っと、あっち向いてて欲しいんだけど」 シュヴァリエが可哀想に成って、黙ってテファの頭をわたしの方に向けると、 「ったい……ベアトリス? どうかしたの?」 テファの向こうで、シュヴァリエが申し訳なさそうに頭を下げているのに気付いて目で返事をしていると、テファが面白くなさそうに呟いた。 「二人だけで……楽しそうね」 ほんの少しだけ声に混ざった冷気に、わたしの背筋はあっさりと凍りつく。 「そ、そうだぞ、テファ」 シュヴァリエの声が聞こえた瞬間、わたしを襲っていたプレッシャーは消えたけど、 テファの誤解を少しでも解こうと、シュヴァリエの視線から隠れるようにテファの背後に回りこむ。 ……なんだかずるい。 シュヴァリエも見ないように気を使っているつもりだろうけれど、 「どうかした?」 シュヴァリエの様子がおかしいのに気付いたテファが近寄ろうとするのを、慌てて後ろから止める。 裸なのに、男の子と女の子なのに、そんなに側に近寄るのは駄目。 「あ、赤ちゃんできちゃう」 必死になったわたしは、ついそんな恥ずかしい言葉を大声で叫んでしまった。 「そーなの?」 え? 本気で不思議そうな顔をしたテファが、優雅に振り返って、 「赤ちゃんて、側によるとできるの?」 ……えっと…… 436 名前:5/7[sage] 投稿日:2007/10/25(木) 02:06:12 ID:CWgsQxO4 わたしを見ているテファの目がすっと細くなる。 「ふーん、嘘……また吐いたの? ベアトリス」 恐怖に震えながら、助けを求めてシュヴァリエの方を見るけれど、 「後でゆっくりお話しましょうね? ミス・クルデンホルフ」 また捨てられる。 その恐怖は何よりも強くわたしの心を縛る。 「ま……って、まってテファ」 ちらりとシュヴァリエの方を見る。 「あの、あのねテファ、知ってるの。本当だから。後で説明するから」 だから捨てないで、側に居させて。 「んと……ね、ベアトリス、じゃあねぇ、今教えてくれるなら良いよ」 ……男の子が居るのに? 「あの……あのね、テファ……男の子の…………をね……その……女の子の……」 お湯の熱さとは違う熱が、体の中からわたしを熱くする。 「……ねー、ベアトリス」 テファが話し掛けてくれているのに、熱くなった頭はゆっくりとしか反応しない。 「説明の意味がよくわからないから、もっとちゃんと説明して」 不満そうなテファの目。 「あの……ね……テファ……ココに……ね……」 わたしはお湯の中から立ち上がっていた。 437 名前:6/7[sage] 投稿日:2007/10/25(木) 02:06:50 ID:CWgsQxO4 女の子の『赤ちゃん出来ちゃう』発言はなんとゆーか、妙にニヤニヤしてしまう。 見るからに幼い少女が唐突に 『赤ちゃん出来ちゃう』 ……イロイロ考えていたサイトの妄想を覚ましたのは、お湯の音だった。 「あの……ね……テファ……ココに……ね……」 立ち上がったベアトリスが、俯いたままテファに自分の奥を見せようと、 「男の子のね、オチンチンを……差し込んでもらって、男の子が気持ちよく成ってくれたら、赤ちゃんができるんで……す……」 ベアトリスの語尾は小さく消えてゆき、伏せられた瞳は小さく震える。 「……本当? サイト」 マチルダねえさんは教えてくれなかったら、そんな言葉が小さく消えていったけれど。 結局、ルイズにもシエスタにも一度も見せてもらったことの無いサイトは興味深々だったし、 「あ、サイト聞こえなかったんだよね? ベアトリス、もう一回」 ほとんどお湯の外に出ているのに、ベアトリスの身体がっくりと桜色に染まっていった。 「ちょっ、テファっ! やりすぎ」 立ち上がったサイトを見たテファは、一瞬止まった後ベアトリスを睨む。 「ベアトリス、もう一回」 ベアトリスはサイトの視線を浴びながら、もう一度恥ずかしい台詞を口にする。 その結果は…… 「嘘つき」 テファの冷たい宣告だった。 439 名前:7/7[sage] 投稿日:2007/10/25(木) 02:07:21 ID:CWgsQxO4 ベアトリスの言葉を遮るように、テファの指が広げられていた入り口をなぞる。 「ひゃっ、テ、テファ? 何? 何で?」 テファの細い指先が、柔らかな入り口を一周する。 「こんなに小さい所に『あんなの』入るはず無い」 目の前で繰り広げられた痴態に、すっかり『あんなの』を大きくしていたサイトも、 「だって、ベアトリスのここ、指だって押し込まないと入らないんだよ?」 テファに導かれるまま、サイトは至近距離で少女の襞を観察した。 「ほら、開いてもこんなに狭いんだよ?」 お湯の中に逃げ込めば二人に観察されることも無くなるが、 「ピ、ピンク……」 唯一テファを止められるサイトの頭の中は、いろんな意味で真ピンクだった。 すっかり意識の飛んでいる二人のサイズを、手で何度も測ったテファが最後の宣告をベアトリスに送った。 「ベアトリスは悪い子だね」 その一言で、羞恥一色だったベアトリスの頭の中は凍りついた。 「さようなら、ミス・クルデンホルフ」 お湯から上がったテファにすがりつきながら、ベアトリスは叫ぶ。 「い、今から、今から入れて見せるから、本当だから、嘘じゃないから、まってよぉぉぉぉっ」 675 :1/9:2007/10/30(火) 03:30:21 ID:dNJ8GqAX 男の子の事情でお湯から上がれないサイトは、鍋の縁をベアトリスから逃げるようにぐるぐると逃げていく。 なにより、ベアトリスの見た目は幼い。 (こ、ここでヤッチャッタら、犯罪者だぁぁぁぁ) 美少女二人に囲まれていても手を出さない紳士、サイト。 別名 ヘタレ 「に、逃げない……で」 ベアトリスに迫られて逃げ回るサイトを、しばしテファは不思議そうに眺めていたが、 「はい、ベアトリス」 ――杖 メイジが魔法を使うのに必要なもの。 「げ」 サイトはあっさり吊り上げられ、何も無い空中に拘束された。 「ま、まて、お、女の子がナニをしようとしているんだ」 デルフリンガーの無いサイトでは魔法を無効化することもできないし、 「ちょっ、二人ともどこ見てるっ」 ただし、今回は全裸。 「……やっぱり、ベアトリス嘘吐いてるよね?」 「入れるなっ、ってか見るなぁぁっぁ」 サイトの叫びは無視された。 676 :2/9:2007/10/30(火) 03:31:04 ID:dNJ8GqAX 「くっ……」 サイトの身体に馬乗りになっているベアトリスの一番柔らかい所の感触が、 「……ほ、本当に、入るの?」 お腹の上をベアトリスのお尻がもぞもぞ進んでいくし、 「う、動いてるよ?」 お湯に浸かったまま見ているらしいテファの息が微かに当たる。 「や、止めるんなら今のうち……」 サイトの最後の忠告も、あっさりとスルーされる。 「こ、ここ?」 熱い感触がサイトの先端を擦る。 「ベアトリス、入ってないよ?」 話でしか知らないベアトリスと、話も知らないティファニア。 サイトの荒い息に怪訝な顔をしながら、無心に動かすベアトリスの腰に少しづつ違和感が積もる。 「はっ……あっ……と、ま……れって……やばい……」 荒くなり始めたサイトの息に、無性に相手の顔が見たくなったベアトリスは、 (きも……ち……いっ……よぉ……) 自分でするのとは別種の快感に、理性がゆっくりと崩壊を始める。 677 :3/9:2007/10/30(火) 03:31:56 ID:dNJ8GqAX いつのまにかうつ伏せになったベアトリスが、サイトと自分の間にはさんだ硬直の上で暴れている。 「「あっ」」 わずかに解れたベアトリスに、サイトがわずかにもぐりこんだ瞬間、二人の動きが止まった。 (このまま……) くらくらと考えのまとまらない頭のまま、ベアトリスが自分の中に迎え入れようと、 「あー、本当に入っていくね」 テファの言葉に、サイトとベアトリスの理性が僅かに戻る。 「や、やっぱり、止めと……け、お、女の子だろ」 理性を振り絞ったサイトが、視線を彷徨わせながらベアトリスを制止する。 優しい言葉に、ベアトリスが動きを止める。 「あ……の……」 彼女がサイトに何を言おうとしたのか、その言葉が綴られる前に。 「入るのって、やっぱり嘘なの?」 逃げ道は閉ざされる。 「見てて……ね、テファ」 ――ベアトリスは今から無理やり犯す、その相手を見下ろす。 ――サイトは、泣き出しそうな瞳から目が離せなくなる。 鋭い痛みを感じながら、ベアトリスは一思いに自分を引き裂いた。 678 :4/9:2007/10/30(火) 03:32:39 ID:dNJ8GqAX 痛みを感じながら、必死にテファに説明を続けようとするが、 風呂の内壁に叩き付けられ、その衝撃でベアトリスが自力で押し込んだ所よりもさらに奥へと、 「き……ぁ……ぁ……」 激痛に、悲鳴すら出なかった。 その痛みを誤魔化すために、ベアトリスは必死でサイトにしがみつく。 「ひっ、あ……う……い……たぃ……」 ベアトリスの豹変に驚きながらも、テファが話を進めた。 がくがくと頷くベアトリスに、テファは質問をぶつけた。 「でも、サイトぜんぜん気持ちよさそうじゃないよ?」 ベアトリスは身体の痛みとは別の痛みを感じながら、サイトの表情を確かめた。 ――気持ち良くない訳は無かった。 いつイってもおかしくない。と、言うよりも初めてのサイトは意志の力だけで踏みとどまっていた。 何時もなら、とっくに限界を超す状況でも。 『赤ちゃんの作り方』 そんな連呼をされた状態で、胎内に放てるほどの度胸は無い。 ――全身に力を入れ、歯を食いしばり、眉間には皺。 ……未経験の少女二人には、到底気持ちよさそうには見えなかった。 679 :5/9:2007/10/30(火) 03:33:22 ID:dNJ8GqAX 痛みに掠れる思考で、ベアトリスはサイトのことをひたすら考える。 自分の身体がまだ子供なせいで、シュヴァリエが不快なのだろうか? (でも、子供が好きな男の人も沢山居るって……) 痛みに耐えながら、ベアトリスはさらに思考を…… ――痛み? 「シュ……ヴァリエ……初めて……で……すか?」 ひとつだけ思い当たったベアトリスが言葉を搾り出した。 ――初めてのわたしがこんなに痛いんだから、きっと始めての男の人も…… 自分と同じ痛みを感じている。だからこんなに苦しそう。 「ベアトリス?」 彼女はメイジで、杖はその手の中にある。 回復魔法 (あ……れ?) サイトの表情は苦しそうなままで、何の変化も無かった。 (ど……して?) 何か間違えたのだろうか? そう思ったベアトリスが自分に回復をかけた瞬間、二つのことが同時に起こった。 ――ひとつは再度の激痛。 時間がたってからの回復ならそんなことは無いのだろうけれど、 結果、ベアトリスは人生二度目の破瓜の痛みを受けることと成った。 ――もうひとつは…… 「ぐあぁぁぁっ、だめだぁっ、それっ、気持ちよすぎっ……やめっ……」 ベアトリスと間逆のサイトの感想。 680 :6/9:2007/10/30(火) 03:33:55 ID:dNJ8GqAX 「……ち……った、です……か?」 蒼ざめた表情で、気持ちよかったのか聞く少女の顔には悲壮な決意が有った。 「良すぎるからっ……駄目だ……」 離れてくれ、そう続けようとするサイトの唇が、ベアトリスのそれで塞がれる。 さっきの激しい締め付けの時と同じ呪文だと気付いたサイトは青くなる。 さっきの魔法には未成熟なベアトリスの身体を貫いたサイトを、人の身体ではありえない強さで締め上げる。そんな効果が有った。 (こ、子供……でき……る) しかも、ルイズ以外の。 (そ、それは……ヤバい……) 子供も自分の非常に危険だ。 背中で杖が小さく振られるのがわかった。 「がぁあああああっっっ」 サイトの喉が獣の様な咆哮を上げる。 「ちょっ……なん……だぁぁぁぁぁああっっ」 限界だった。 サイトは…… 「?! なっ……やばっ……」 強すぎる締め付けに、射精する事も封じられ。 681 :7/9:2007/10/30(火) 03:34:32 ID:dNJ8GqAX 機械的な締め付けならば、サイトがここまで狂うことも無かった。 身体が繋がっているだけなのに、心までも犯しているような、 それに気付いた、どこか蒼ざめた表情のベアトリスは優しく頭を抱き寄せ、背中を撫でる。 「二人でずるぅい」 サイトの心が堕ちる寸前、テファが背後からサイトに抱きついた。 「うあぁぁぁぁっっ」 ベアトリスはサイトを間に挟んだまま、テファに触れようと手を伸ばした。 (せ、背中が……おぱ……で、胸が……むねがぁぁぁ) 革命的なボリュームが背後から襲いかかり、 「イ、逝くって……い、逝けな……いぃぃぃぃっ」 男なら誰もが望みそうなサンドイッチにされた状態で、サイトは二人の腕の中で弄ばれる。 ベアトリスがテファを抱き寄せたため、テファはサイトにしっかりとしがみ付く形になり、 (テ、テファのっ……テファのぉぉぉぉっ) ベアトリスの内に差し込んだまま、テファの感触でサイトは更に狂い始めた。 682 :8/9:2007/10/30(火) 03:40:00 ID:dNJ8GqAX 逝けないまでも、何度目かの限界を超えたサイトが暴れるのを感じたベアトリスが鳴いた。 (あ……れ……?) 何度も裂かれ、同じ回数癒されることで、ありえない短時間ですっかり馴染み始めていた。 「……っあ……逝け……るっ……やっと……うあぁぁぁぁっ」 サイトの悲鳴と同時に、お腹の奥に何かが広がる感触がベアトリスを満たす。 (……キモチイイ……) 焦らしに焦らされたサイトは、ぐったりと脱力しながらも高度を失っていなかった。 「サイト、気持ちよくなったの?」 少し悩んだテファが、こくりと頷くとベアトリスはもう一度杖を振るい、 「こんなに深く繋がるんだね」 サイトの精をテファに示そうとするが、ベアトリスとサイトの結合は隙間無く、 「い、痛そうだったね」 サイトの背後から見ていたテファは、ベアトリスの表情をしっかりと観察していた。 (わたしは、当分……したくないなぁ……) ベアトリスはとてつもなく痛そうだった。 683 :9/9:2007/10/30(火) 03:42:27 ID:dNJ8GqAX 浮いたまま風呂の外に出たベアトリスは、テファに精液を見せるためにサイトとの結合を解こうと、立ち上が……ろうとした。 「ひゃっ? うっ……」 ベアトリスが腰砕けに成るのと同時に、サイトが飛び起きた。 「や、休ませてくれぇぇぇぇ」 ? 「楽しい?」 「「離れようとすると中から引っ張られるのぉっ」」 サイトのを差し込んだまま、何度も再生を掛けた結果ベアトリスのソコは、 が、 「抜こうとすると、吸い上げられるんだぁっ」 離れようとするたびに、尿道に残った精を吸い上げられたサイトは快感で動けなくなるし、 「お、お願い、テファ……」 そんな二人を不思議そうに見ていたテファが、ふと……言った。 「サイトから何か出るんだよね?」 天使の微笑みと共に、サイトにとって悪魔のような宣告がなされた。 「それで、ベアトリスの中いっぱいにしたら、離れるんじゃないかな?」 硬直したサイトを、ベアトリスが口封じする。 「ベアトリスのお尻引っ張ったら、吸い出されるんだよね?」 「えいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいえいっ」 この次の日、ベアトリスはここ最近の不調を吹き飛ばすようなハイテンションだったが…… ――サイトは数日行動不能だった。 |
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