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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:50:21 (5644d)

446 名前: サイトの後悔〜因果応報編〜 [sage] 投稿日: 2007/11/12(月) 23:04:49 ID:pj3PQsKs
 気持ちのいい朝。小鳥の鳴く声をBGMに、サイトはベッドに腰掛けている。
 物憂げな様子で何度も窓の外を見ては、ため息を何度もついている。
 実際、サイトは憂鬱であった。朝食も、食欲が無いと言って抜いてしまった。ルイズの心配そうだった表情を、はっきりと覚えている。
 無理しないでね? サイト。
 そう言って覗き込んできたルイズはとても可愛くて、普段なら抱きしめそうだったけれど、そのときのサイトは、そんな気分にならなかった。
「お兄ちゃん……か……」
 ぼんやりと、雪風と呼ばれる少女が言ってきた言葉を呟く。
 あの時、サイトはタバサを抱いてしまった。本人が望んでいたとはいえ、理性があれば抱くことは無かっただろう。しかし、抱いてしまった。
 セーラー服姿のタバサ。
 反則だった。
 お兄ちゃん、と呼んでくるタバサ。
 魅力的だった。
「俺ってロリコンなのか?」
 サイトが憂鬱の理由。それは、タバサを抱いてしまったという罪悪感と、自身がロリコンなのではないかという不安だった。
 俺はロリコンじゃない! と声高に宣言したかったが、タバサを抱いてしまったという事実がある以上、完璧に否定することが出来ない。
 とりあえず洗濯でもして忘れようと思い、ルイズが散らかしたネグリジェや制服を、愛用している洗濯籠に放り込む。しかし、、気持ちを切り替えても、どうにも振りほどくことが出来ない。
 タバサの柔らかさ、感触、声、香り。その全てがサイトの脳に甘い毒を振りまいて、サイトの思考を鈍らせる。
 駄目だな、俺。
 ロリコンなのかもしれない、という思いがサイトに嫌な汗を噴出させる。その汗の感触が嫌で、ふと手が触れた柔らかい布のようなもので、汗を拭く。
 しかし、サイトの思いも汗も、甘い毒の誘惑を振りほどけるわけも無く、サイトはタバサの様子を思い出してしまう。
 タバサの声は、天国へと誘う天使の調べ。
 タバサの姿は、理性を狂わす狂気の花。
 タバサの感触は……ええい! やめろサイト! 勃ってしまう!
 やっとの思いで思考を中断するが、時既に遅し。サイトの愚息は、立派に自己主張していた。
 ああ、やばいなぁ。
 思わず、手に持っている布で顔を隠してしまう。なんとなく匂いを嗅ぐと、それはそれはよく知った匂いであった。
 そして開かれる扉。朝食を食べ終えたルイズが、戻ってきたのである。
「サ……サイト?」
 ああ、死んだな、俺。
 直感がそう告げる。サイトが手に持っているのは、いつも洗濯しているルイズのパンツ。ご主人様のパンツで顔を隠して、愚息をそそり勃てているサイトは、何処からどう見ても変態であろう。
 このあとに待ち受けているのは、容易に想像できる。折檻折檻、また折檻である。
 鞭で叩かれ、虚無で吹き飛ばされ、蹴り飛ばされる。いつものこととはいえ、少々辛い。
 今回は、少々どころではなさそうだ。いつもの三倍の折檻で、三倍の赤さに腫れ上がるのは間違いない。次に出来上がるのは、アンパンマンと化したサイトだ。
 覚悟を決めたサイト。しかし、そんなサイトの予想とは正反対な言葉が、ルイズから飛び出してきた。
447 名前: サイトの後悔〜因果応報編〜 [sage] 投稿日: 2007/11/12(月) 23:05:28 ID:pj3PQsKs
「も、もう……しょうがないわね……」
 はい? 今何と?
 予想外のルイズの言葉に、目を丸くするサイト。そんなサイトに気づいたのか、慌ててルイズが言い訳する。
「か、勘違いしないことね! 使い魔の管理は主人の義務! 別にあんたが好きだからとかそういうのはまったくないんだからね!」 はて、いったいどうしてこうなっているのだろう。サイトは考える。
 今の状況は、ルイズのパンツを片手に、愚息を勃てている使い魔が一人。そして、その主人が目の前にいる。
 吹き飛ばされてもおかしくない状況なのに、それが来ない。
「そ、それに……あんたが他の女の子を襲ったりしたら私の名誉に関わるからよ!」
 ごめんなさい、ご主人様。それもう手遅れです。でも、タバサが言わない限り、大丈夫なのか。
 そんなことを考えながら、サイトはボンヤリとルイズを見つめる。いつものきつい表情をしながらも、何処か恥ずかしげに頬を赤らめている。内に秘めた恥ずかしさを見せているその表情が、サイトの理性を崩壊させていく。
 待て、サイト。待つんだ。これ以上の暴走は許されない。
 しかし、鋼の自制心がその暴走に歯止めをかける。鋼鉄の意志が、サイトのヤル気を萎えさせ……ることは出来なかったが、欲望を強く押しとどめる。
 よし、いいぞ俺!
 サイトは心の中でガッツポーズだ。
「サ、サイトが他の子を襲わないように……」
 なんというか、この状況はひどくまずい。こっちは既にやる気が無いというのに、あっちは既にやる気満々だ。こんな勢い任せでヤルのは、少々ごめんだった。
「ごめん! ルイズ!」
 パンツを放り出すと、勃っている愚息を気にせずにサイトが駆け出す。その勢い、脱兎のごとくである。
「あ、待ちなさい!」
 しかし、ルイズもさすがである。素早い動きで折檻から逃れるサイトを確実にしとめるルイズの鞭。その秘密は、ルイズの反応速度にあったのだ。
 サイトが部屋の扉を開けて廊下に出ようとする頃には、ルイズがサイトに己の体をぶつけていた。うつ伏せに倒れたサイトに馬乗りになり、問いかける。
「ねえ、そんなに嫌なの? 逃げ出したくなるくらい、私が嫌なの?」
 そうじゃない。そうじゃないです! ただ! 今ここであなたを抱いてしまうと、色々と駄目になりそうだったんです!
 とは言えず、お茶を濁すサイト。その様子に、ルイズが寂しそうに微笑む。
「そうよね、こんな幼児体型の私だもん。こんな私に迫られても、嫌だよね?」
 そうじゃない、と必死に否定するが、ルイズの気持ちは固く、わかってくれない。
 ああ、どうしようかと悩んでいるところに聞こえてくる足音。それは救いの女神は破滅の悪魔か。
 結果的には、まずかったです。
「……」
 無言で見下ろしてくる雪風のタバサ嬢の視線が痛い。どんな感情がこもってるかはわからないけど、その視線が痛い。
 サイトとルイズはその視線に背筋が凍るような思いをする。そして、タバサが放った一言は、サイトを地獄へと招待した。
「……また、してね。お兄ちゃん」
 それだけ告げると、タバサはさっさと歩き去ってしまった。
 そこに残されたのは、二人だけ。哀れな使い魔とその主人である。
「あああああああんたタバサに何したのよおおおおおお!!!!」
 その答えは言えるはずもなく……。
 その場にサイトの悲鳴が響き渡った。


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