24-364
Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:50:40 (5639d)
364 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:46:46 ID:iv147R+v 耳慣れた声に目を醒ます。 「んあ?シエスタ…?」 寝ぼけ眼で身体を起こす。 「うわさぶっ!?シエスタ何すんだよっ?」 上半身裸の才人は、身体を抱えてシエスタに抗議する。 「はーい、今日はせっかくの冬の晴れ間ですからねー。 言って今度はベッドのシーツに手を掛ける。 「だから寒いって!」 快晴で室内とはいえ、冬の空気は半裸の才人にはキツかった。 「いつまでもそんな格好してるからです。 さすがにこのまま凍えているわけにはいかないので、才人はシエスタに言われるまま服を着る。 「シエスタって、なんだかお母さんみたいだな」 なんとなく呟いた才人の言葉に。 「…もう、何言ってるんですか。 そういえば、既に部屋にルイズの姿はなかった。 「やっべ、急がないとまた不機嫌になる!」 シエスタに見送られ、才人は寮の廊下を駆け抜ける。 365 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:47:50 ID:iv147R+v 「起きて下さい!才人さん!」 夢は唐突に終わる。 「うわっ!?なんだなんだっ?」 慌てて辺りを見渡す。 「ほら、早く着替えて!また遅刻する気ですか?」 言いながら、手に持った橙色の折りたたみ式の携帯を開いてみせる。 「うわっ?もうこんな時間っ?」 慌ててベッドから飛び降りる才人。 「はい、着替え。ネクタイはあとで締めてあげますから、制服だけ着て。 手渡すとすぐに、ぐちゃぐちゃのベッドの掛け布団をばさっ、と開いて直す。 「あーもう!脱いだらきちんと畳んで! 言いながら才人のネクタイを締める少女の名前はシエスタ。 「行って来ます!」 パンを咥えた才人を、シエスタが押しながら駆けていく。 366 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:48:46 ID:iv147R+v 閉じた校門の内側で、才人は肩で息をする。 「これで、無事冬休みが迎えられますね」 言ってにっこり笑うシエスタだったが。 「…残念ながら、そういうわけにもいかないんですよ」 言って二人に話しかけたのは、生徒指導部教諭、コルベール。 「え?それってどういう…」 そう尋ねる才人に、コルベールは手元のボードに挟まれたプリントを才人に見せる。 「遅刻三十回。罰則規定により、終業式の後片付けをお願いします」 才人の言うとおりだった。 「お忘れですか?夏休み中の登校日、才人君遅刻してきましたよね」 頭を抱える才人だったが、結果は覆らず。 367 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:50:26 ID:iv147R+v 「うっわ、もうこんな時間かよ!」 コルベールは手を振って、会釈だけ返した才人を見送った。 「…オコッテル?」 恐る恐る、才人は尋ねてみる。 「…怒ってます」 言ってシエスタはぷい、と横を向く。 「…今日、帰りにデートしてくれる約束でしたよね」 むすっとした顔で、シエスタは才人を責める。 「あ、あのさ」 言ってシエスタは、テーブルの上のフライドチキンの皿を電子レンジに突っ込む。 「え、えと、怒ってる?」 さっきと同じ質問を、才人は繰り返す。 「えーえ、怒ってます」 背中を向けたまま、シエスタは応える。 「…全く。どこかの遅刻魔人のせいで、せっかくのクリスマスがダイナシです」 言って、温め終わったフライドチキンの皿をどすん、とテーブルの上に置く。 「あ、あの、シエスタ?」 その満面の笑顔は、才人には何故か怒っているように見えた。 368 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:51:47 ID:iv147R+v 「さーいーと、さん♪」 超ミニのサンタが、ベッドの上でおいでおいでしていた。 「あのー、シエスタさん…?」 疲れきった顔で、才人は部屋の入り口から黒髪のミニスカサンタを見つめる。 「まだ、なさるんで…?」 若いとはいえ、さすがに一夜で立て続けはこたえる。 「何言ってるんですか。ここからが本番ですよ♪」 言って、それまで横で組んでいた足を才人の方に向け、膝を立てる。 くぱぁ。 自らを両手で割り開き、真正面から才人に晒す。 「ほぉらサイトさん♪」 立てられた膝の間で、シエスタはにっこり笑う。 「サイトさんの、クリスマスプレゼント…。 才人は一瞬くぅ、と考え込んだが。 「ええいもう、明日っから冬休みだし!どーとでもなれー!」 叫んでパジャマを脱ぎ去り、シエスタに飛び掛ったのだった。 369 :戦場のメリー・クリスマス〜シエスタの見た夢 ◆mQKcT9WQPM :2007/12/03(月) 03:53:06 ID:iv147R+v シエスタは才人の耳元でそう囁き、彼の耳朶に熱い吐息を吹きかける。 「うわっ!?もうカンベンっ!?」 意味不明な叫び声を上げ、才人はがばっ!と起き上がった。 「さぶっ!?」 そして慌てて布団の中に戻る。 「おはようございまぁす」 シエスタの声は布団の中から聞こえた。 「ちょ、シエスタなにしてんだよっ!」 言って、柔らかい二つの肉球で才人を包み込む。 「ほ、欲しくなるって何を?」 この状況で何を言ってるんだか、とシエスタは思ったが。 「『クリスマスプレゼント』ですよ♪いっぱい出してください、サンタさん♪」 才人に反論する隙も与えず。 |
|