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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:50:41 (5638d)
440 名前: 降臨祭でデートだもん。でもその前に・・・(1/2) [sage] 投稿日: 2007/12/06(木) 21:52:42 ID:h9IVSfRF
トリスティンの学院では、1年の最後の月であるウィンの月のティワズの週から、
最初の月のヤラの月のダエグの週まで休みになるのが慣わしだった。
いわゆる冬休みというやつである。
そして今日は、ハルケギニア最大の祭り、始祖の降臨祭の前日つまり、一年の最後の日。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
ルイズとサイトは、彼女の実家、ラ・ヴァリエール公爵邸へ帰省している。
学院の寮では同じ部屋だったが、
この屋敷では、父親や母親の目が光っているため同室というわけにはいかない。
彼女はせめて自分の隣の部屋をサイトに使わせるようにお父様にお願いした。
無事その願いはかない、二人は隣どうしの部屋になっている。
一年最後の日とあって、屋敷の中も慌しい。
それは、ルイズの部屋の中でも同じことであった。
彼女は自分の大きなベットにちょこんと座らされていた。
ふんふんふーん♪
鼻歌交じりに妹の髪の毛を三つ編みにする姉カトレアの姿があった。
あーっ。じっとなさい!ちびルイズ。
小言交じりに妹の髪の毛を三つ編みにする一番上の姉エレオノールもいる。
441 名前: 降臨祭でデートだもん。でもその前に・・・(2/2) [sage] 投稿日: 2007/12/06(木) 21:53:15 ID:h9IVSfRF
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「あねさまも、ちぃねえさまも、こんなことしなくってもいいのにぃ」
「おだまり。ちびルイズ。髪ボッサボサで行くつもり?」
「まぁまぁ、そんなこといっていいのかしら。ルイズ。これから特別な人と一緒に過ごすんでしょ?」
二人の姉は、それぞれ彼女に言い聞かせる。
その二人の言葉に、ルイズは少し頬を紅色に染めて口を尖らせるのだった。
「えー。でも、あいつとはいっつも一緒にいるんだし――あふ。いはいれふ。あねはま。」
彼女の言い訳は、エレオノールに赤くなった頬を軽く抓られて止められてしまった。
「あの黒髪の男の子。なんてったっけ?サイト?そう、サイト。はじめ会った時はそうでもなかったけど、
今回はなんか妙なオーラが漂っちゃってるじゃない。他の女の子にとられたら、やじゃないの?あんだ」
「あうあ。ひひゃれふ。」
彼女は抓っていた手を離し、頬をさする妹に顔を近づけた。
「だったら、いつもと変えないとダメなのよ。とくにこういう特別の日は。分かったか、おちび」
エレオノールの口に薄い微笑みが浮かんだ。彼女はピンっと妹のおでこを指ではじくと、
三つ編みの作業を再開した。
「まぁ、お姉さまも言うじゃないですか♪」
カトレアがニコニコしながら彼女に言う。
「い、いいじゃない。ちょっとは。」
エレオノールは、思いっきりカトレアからの目線から逃げるように作業に集中するのだった。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
もちろん、サイトの反応は上々だった。
嬉しくなったルイズは、みんなが見てるというのに彼に腕を絡ませる。
サイトは、彼女の父親の殺気をびしびし浴びつつ、馬車に乗り込んだ。
目指すは、トリスティンの市街地。
公爵の領地からすこし離れているので、前日から出る必要がある。
二人だけを乗せた馬車が動き出した。
〜「聖なる夜に」につづく。