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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:52:38 (5639d)

アニエスに生えてきた

 

ハルケギニアに朝が来た
イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ

「うーん」
銃士隊隊長アニエスは眼を覚ますとベッドの中で伸びをした。
トリステイン銃士隊の朝は早い。
朝日が昇る前にその一日は始まっている。
アニエスは寝起きが悪い方ではなかったが、
それでも常に遅寝早起きを続けるというのは中々に大変な事だ。

(さて、今日の予定は………あれ?)
アニエスは体の下の方に妙な違和感があるのに気づいた。
一気に目が覚めたアニエスは素早くベッドから身を起こす。
(まさか…)
下半身を覗き込んだアニエスは、硬直した。
(なんだ、この妙なふくらみは??)

アニエスはおそるおそる、だが勇気を持ってそのふくらみを観察した。
…どうやら彼女の体と繋がっているらしい。
(まさか)
どうも嫌な予感がする。だが、毛布の上からでは実体は見えない。
アニエスはなぜか周りをきょろきょろと見回した。
(誰も見てない、誰も見てない)
それでもいきなりそれとご対面するのは、何故かはばかられた。
そうだ、触って確かめればいい。
アニエスはそっと毛布の中に手を差し込むと、ゆっくりと手を伸ばした。
ごそごそ、ごそごそ。
狭い毛布の中である。ゆっくりと進んでいった手は、すぐに目標の至近まで到達した。
と、アニエスの手はそこで硬直する。
(触りたくない…)
できるなら触りたくない。でも確かめない訳にはいかない。
思い切って毛布を跳ね上げて…いや、それはもっと気が進まない。
速断実行を旨とするアニエスが、珍しくためらった。

いっそこのまま…いや、駄目だ。
もうすぐ朝の日課が始まる。
トリステイン銃士隊隊長たる者が、さしたる理由もなく勤務をサボるわけには…
(今日は仮病でも使ってサボってしまおうか)
動揺のあまり、そんなことまで考えてしまうアニエス。
いいえ、例え何があろうとも、このアニエスはトリステイン銃士隊隊長。
女王アンリエッタの信頼厚い、誇り高き銃士達の束ねなのだ。
自分の身に何が起きているか。目を背けてなんとする!
そう心の中で自分を叱咤するアニエス。
(もしかして、ただの布か何かだったりするかも知れないし。いや、きっとそうだ!)
深呼吸をすると、アニエスは思い切って手を伸ばした。

ぐにゅ

アニエスの希望的観測は見事に裏切られ、右手に確かな感覚が伝わった。
同時に、下半身の大事なところにも、しっかりと。

うぎゃああああああああああーーーーーーー!
アニエスの悲鳴が銃士隊の宿舎に響き渡った。

「隊長!」
廊下に駆け足の音が響いた。
「アニエス隊長!」
宿直の銃士が駆けつけてきて、扉越しに声をかけてきた。
(まずい!今の姿を見られるわけにはいかない!)
アニエスはもう一度深呼吸をして、できるだけ落ち着いた声を出そうとした。
「大丈夫だ。何でもない」
「そうですか?しかし、先ほど大きな声がしましたが?」
「あれは、その、何だ、出たんだよ」
「出た?」
「その、何だ。君だっているだろう?見ただけで悲鳴が出そうになる奴が」
「はあ…、ですが、しかし…」
「なんだ、私がそういうのを持っていてはいかんのか?」
「隊長がそういうの苦手されているとは、思いませんでした」
「むろん、任務の時は別だからな。幾らでも平気であしらえる。
 だけど、寝起きでいきなり出てこられたら、君だって驚くだろう」
「そう言われれば、そうですね」
「そうだ。だからもう大丈夫。落ち着いた。もう戻っていいぞ」
「はい」
「そうだ。ちょっと頭が痛い。すまないが、朝の日課は欠席すると
伝えておいてくれないか」
「了解しました」
宿直の銃士が戻っていくと、アニエスはほっとため息をついた。
とりあえずは見られずに済んだ。ついでに時間稼ぎもできた。
アニエスは下半身に眼を戻した。

間違いない。
生えてきた。
あれが。

…初めて見るものでは、ない。
アニエスは銃士隊隊長になるまでに、この年代の女性にしては多すぎるほどの、経験を積んできている。
そう、あれを間近でまざまざと見ることだって、あったのだ。
(あのときは、必死だった…)
絡み合う肉体。息を荒げ、互いが互いの体をまさぐり、何とかして相手の急所を探りあて、責め上げようと試みた。
それも、一度ではない。
(今さら驚くようなものではない、か…)
アニエスは自嘲するように呟いた。
いや、そんな経験。それらを含めて、今のアニエスがあるのだ。

さあ、頭を上げよ、トリステイン銃士隊隊長、アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン!
毛布を跳ね上げると、アニエスはすっくとベッドから降り立ち、姿見に眼をやった。

凝視。凝視。凝視。

(…やっぱり、見るとの生えてくるのは違う…)
アニエスはくじけそうになった。
どうして、こんなものが、私に生えてきたのだろう?

アニエスのお尻には、可愛らしいしっぽが生えていた。


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