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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:53:12 (5635d)

アンリエッタの野望   せんたいさん

 

ルイズの部屋をノックするのは、なにもルイズに用事のあるものだけではない。

「おーい、サイトー」

今彼女の部屋のドアをノックしているのは、ギーシュ。
モンモランシーに逢いに行くついでに、親切にも才人の所へ届け物を持ってきてやったのである。
それは、王都よりの書状。
近衛騎士団銃士隊隊長、アニエスの封蝋の施された才人宛の封書を、ギーシュは才人の届けにきたのである。
しかし。

「あによギーシュ、サイトならいないわよ」

ドアを開けたのは才人でも、そのメイドでもなく、意外なことにこの部屋の主人だった。
その美麗な眉をへの字に曲げた不機嫌そうな顔で、ルイズはギーシュを睨む。
ギーシュは、当然の疑問を口にする。

「なら、彼はどこへ行ったんだい?」

まあ聞いた所でギーシュは封書をルイズに預けるつもりでいたが。
ルイズはその台詞を聞いて更に不機嫌になる。
理由は単純。
シエスタがクルデンホルフ嬢のパーティをするとかで、厨房の手が足りないとかいうので、才人を攫っていったからである。
せっかく珍しく二人一緒に一日暇だから思う様イチャコラしようと思ってたのに。

「今ごろ厨房でヒィヒィ言いながら手伝いしてるわよ。
 …でサイトに何か用事なワケ?」

もう殆ど肩をぶつけて因縁をつけるチンピラの形相で、ルイズはギーシュにそう促す。
ギーシュはそんなルイズの表情など気にも留めず、封書を差し出す。
ぶっちゃけ、ルイズの機嫌がどうだろうが知ったこっちゃない。今の彼はただひたすらに愛の道を征き、愛を司る男なのだ。モンモランシーに逢う事に較べたらルイズの機嫌などアリの行進並みに些事である。

「これ、サイト宛ての手紙。彼に渡しておいてくれないか」

人差し指と中指で気障につまんで差し出された封書を、ルイズは勢い良く毟り取る。

「それじゃあ、僕はコレで〜♪」

謳うようにそう言い放ち、世界中の幸せを掻き集めた絨毯の上を跳ねるようなスキップで、ギーシュは去っていった。
対照的に、ルイズの眉根はこれ以上ないくらい引き絞られ、眉間の皺が深淵を刻む。
ルイズはその封書を隅から隅まで、嘗め回すように観察する。
宛名は書かれていないが、封書を綴じている封蝋は、銃士隊隊長のもの。
ということは、この手紙は王宮絡み。
ルイズの中の、正妻センサーがビビビと反応する。

…あンのわたあめ姫、また人の男に手ぇ出そうってぇの…?

ルイズはこの手紙がアニエスからのものではなく、アンリエッタからのものだろうとアタリをつけた。
ていうか、最近アニエスはコルベールにえらくご執心だ。
この間も、似合わないふりふりのスカートなんぞ履いて、手作りの弁当なぞ差し入れにきていた。
当然キュルケとひと騒動あったわけだが、そのへんは割愛。
というわけだから、アニエスが今更才人に手を出すなど考え難い。
ルイズは、その封蝋を何の遠慮もなく開く。常識的に考えて、法治国家で他人宛の封書を許可なく開けば手が後ろに回っても文句は言えないのだが。
才人はルイズの使い魔なのだからして、使い魔宛の封書を勝手に開けたところで何の問題もない、とルイズは考えている。
そして。
その封書の中身を読んだルイズは。

「ああああぁぁぁンのわたあめ姫ぇぇぇぇぇぇぇぇ…!」

怒りのあまり思わず握りつぶしそうになったが、思いとどまった。

それは、王から騎士に宛てられた親書であった。

『親愛なる我が騎士へ。
 温かい春の風が吹きましたが、まだまだ夜風は冷たく、健勝であることを願います。
 さて、今度の虚無の曜日、王宮にて、デムリ伯の誕生日を祝う晩餐会がございます。
 その晩餐会にて、剣舞を披露していただきたく思います。
 その剣舞を以って王家よりの祝いとしたいので、何卒良いお返事を期待しております。
 それでは、王都にてお待ちしております。
 国王 アンリエッタ』

ちゃんとした王よりの親書のカタチを取っていたが、ルイズの自動翻訳機はその文章をこう訳していた。。

『愛しい愛しいサイトさまへ♪
 めっきり春めいてまいりました。でも一人で寝る夜の床はちょっぴり冷たいです…。なんて♪
 さて、今度の虚無の曜日、王宮でパーティをします。
 サイトさまのちょっとカッコイイところが見たいので、是非とも来てくださいな。
 来てくれないと泣いちゃうゾ♪
 それじゃ、待ってますから。絶対来てね。アンリエッタとの約束DA・ZO♪
 あなたのアンリエッタより』

しかしそれはルイズの妄想上の文章でしかないので、この親書を握りつぶすわけにはいかない。
というよりルイズとて貴族の端くれである。王よりの親書を握りつぶすことがどれだけ重い罪か理解していた。
だからこそ。
裏の意味の読み取れたルイズには業腹ものであった。

「やってくれんじゃないの、あンの色狂い…!」

幼馴染かつかつての親友かつ現国王を色狂い呼ばわりである。
しかし、正式な親書のカタチを取っている以上、この内容を正式なトリステインの騎士である才人に伝えないわけにはいかない。
どうしたものか、と考えるルイズ。
そして、思いつく。
それは、才人を晩餐会に参加させ、なおかつ、アンリエッタの毒牙から彼を守る方法。
それは。

「…私も一緒に行くっきゃないわね…」

とりあえずそれにはサイトを丸めこまなきゃね、とルイズは意気込む。
そして、意気込むルイズの前で、再び扉は開く。
間抜け面の使い魔が、その開いた扉の向こうにいた。

 

そして次の日。
才人はトリステイン王宮へとやってきた。
才人が門衛に書状を見せると、そのまま謁見室に通される。
そして、玉座の前で才人は恭しく礼をし、顔を上げる。
もんのすごいイヤそうな顔のアンリエッタがそこにいた。

…いやたぶん見間違いだな。
まさかねえ?ひめさまが公の場であんな、平野○太のマンガのキャラみたいな顔するわけが…ねえ?

才人がそう考えるとおり、今のアンリエッタは慈愛に満ちた美しい笑顔で二人を玉座から見下ろしている。

「なんでルイズがいるんですか?」

笑顔のまま、ずいぶんとドスの利いた声で女王陛下はそうのたまわった。
才人のとなりに控えるルイズは、見逃していなかった。
ほんの数瞬アンリエッタの見せた、もんのすごいイヤそうな顔を。
ルイズはその顔を見たことがある。
それは、二人がまだ小さい頃。
アンリエッタのだいっっっっきらいだったピーマンが、昼食に供された時、たしかあんな顔をしていた。
その顔に、ルイズは自分の立てた作戦が上手くいったことを知る。

やっぱサイトとにゃんにゃんするつもりだったなこの淫乱変態女王ッッ…!

そんな思惑は微塵も顔に出さず、ルイズは頭を垂れたままアンリエッタに告げる。

「姫様におかれましてはご機嫌麗しゅう。
 使い魔の管理をするのは主人の務め。なれば、ここに私がいるのも当然の道理かと」

あーそう。そういう理屈なワケねルイズ・フランソワーズ?

「あら。そうは申しましても、シュヴァリエ・サイトはトリステインの騎士ですのよ?
 わ・た・く・し・の!ちゅ・う・じ・つ・な!臣下ですから。
 主人の管理などなくとも、立派に職務を果たしてくれると信じております」

…誰がッ!誰のだってェ?こんんんんんんんの、ロイヤルビッチ!

「いえいえ。まだまだ、騎士としても人としても途上の身ですわ。
 なれば、主人たるっ!わ・た・く・し・の!下で、学院にて修を積むのがわ・が!使い魔の成すべき事かと」

ああもう、毎度毎度、事あるごとに主人主人って。
サイトさまは私のご主人様だっつってんでしょうにこの超絶壁平面胸!

「それも一理ありますが…。サイト様の剣舞は、他の何物にも換え難い催し物として、デムリ伯を喜ばせるでしょう。
 それが終わってからでも、サイト様には学院にお戻りいただきますわ。
 ルイズも学業があるでしょう?先に学院に戻れるよう手配いたしましょう」

させるか、この色狂いの変態コスプレ女!

「お気遣い感謝致します、女王陛下。しかし、学院には既に休暇を届けてあります。
 デムリ伯の誕生会が終わるまで、私が!サイトを!管理いたしますのでッ!」

…うざっ!大平原の小さな胸超ウザっ!サイトさま置いてとっととカエレっつってんでしょうに!
……まあいいわ。そう来るならプランBに移行するとしますか…。

「そうですか。わかりました。
 では、王宮に部屋を用意させます。デムリ伯の誕生会まで、そこに滞在なさい」

アンリエッタはにっこり笑ってそう言って、次の謁見者を呼んだ。こうなっては、ルイズは大人しく引き下がるしかない。
ルイズは形だけ恭しく礼をすると、才人を引っ張って謁見室から退出する。
とりあえず、王と虚無の水面下のバトルが終わった事で、その場に居合わせた臣下達はほっと胸を撫で下ろしたのだった。

結局、さんざいぶかしむルイズの心配を他所に、次の日、何事もなくデムリ伯の誕生会の日を迎えた。
才人は一日中剣舞の打ち合わせで相方となるアニエスと中庭で練習に励んだ。その間も結局アンリエッタが姿を現すことはなく、ルイズの心配は杞憂に終わる。
しかし結局ルイズはアンリエッタの来襲に備えて一晩中起きていたため、少々寝不足になってしまったが。

「大丈夫かルイズ?」

盛装の桃色のドレスで生あくびをかみ殺すルイズに、これまた盛装の白い礼服の才人が心配そうに声を掛ける。

「ん。大丈夫よ。
 あんたこそ、しっかりやんなさいよ。変なところでミスって恥かかされるのは、主人の私なんだからね」

言って指先を才人の鼻先に突きつける。
才人は大丈夫、失敗なんかしねーよ、と笑って、デルフリンガーの代わりに、王宮より渡された刃引きの剣を手にする。
もうすぐ、晩餐会の始まる時間だった。

 

晩餐会は、王家の財政事情を考慮してか、それほど豪勢でないメニューで、立食形式で行われた。
場所は王宮謁見の間。貴族の館で行っても良かったが、身内だけの晩餐会という事で、ここが選ばれたのだった。
それでもデムリ伯は財務大臣らしく、食器の出所やら食材の値段に気を配っていたが。
そして、宴もたけなわ、といった所で、上座からアンリエッタが宣言する。

「では、王家よりささやかながら、我が騎士による剣舞を披露したいと思います。
 シュヴァリエ・サイト、シュヴァリエ・アニエス。前へ」

アンリエッタの号令に、部屋の中央から丸く人ごみが退き、白い礼服に身を包んだ才人と、薄いブルーの礼服に身を包んだアニエスが、その中から前に出る。
二人はアンリエッタに向けて恭しく頭をたれ、剣を収めた鞘を両手に持ち、捧げ持つ。
二人の騎士の所作を確認したアンリエッタは、その中心で頷くと、宣言した。

「では、始めてください」

アンリエッタの言葉に、二人は剣を腰に戻し、お互いに向き合って、少し間合いを離す。
そして視線が絡むと。
全く同時に剣を抜き、お互いの剣先を合わせる。
ちゃり…と小さな金属音が響く。その次の瞬間、才人が仕掛けた。
一瞬後ろに引くと、そのまま勢いよく片手突きを繰り出す。
アニエスはそれを、剣を上段に振り上げながら回転しつつ紙一重でかわす。
その勢いを利用し振り下ろされたアニエスの剣はしかし、背後に飛び退った才人のステップでかわされる。
二人は大仰に回転しながら間合いを離し、そして。
上段、下段、中段と、同時に斬檄を繰り出す。甲高い金属音がリズムよく、まるで楽器を奏でるように謁見の間に響く。
中段を打ち合うと、剣を交差させながら位置を入れ替え、そして、振り返りざまに才人は下段から切り上げる。
それをアニエスはいなし、剣を振り上げて隙だらけの才人の胴へ回し蹴りを繰り出す。
才人は持ち上がった剣の勢いを利用し、バック転で間合いを離す。アニエスの蹴りが宙を凪ぐ。
間合いが離れた二人は一瞬見つめあう。
そして突然弾けたように間合いを詰める。甲高い金属音をたて、二人は鍔迫り合いに入る。
ほんの数秒、二人は息がかかるほどの距離まで顔を寄せ、そして、離れる。
お互いに踏み込めば再び鍔迫り合いになる距離まで離れ、そして、再び打ち合う。
今度は先ほどより早いリズムで、お互いに剣を合わせる。
まるで鉄でできた打楽器のように剣がリズムを奏でる。そのスピードが少しずつ速くなっていく。
そして、そのスピードがクライマックスに達した時。
二人は一瞬で距離を離し、離れた位置でくるりと円のステップを描く。
そしてアニエスは薙ぎ胴で空を薙ぎ、才人は下段からの逆袈裟で同じく空を薙ぐ。
アニエスの構えが打突と同時に停まり、才人もまた同じように、上に切り上げた姿で動きを止める。
二人はそのまま互いに背中合わせに立ち、剣を鞘に収める。
そして、固唾を呑んで剣舞を見守っていた観客に、深々と礼をして、剣舞の終了を告げた。

ぱち…ぱち…ぱち…。

最初に拍手を始めたのはデムリ伯。
それに追従するように、アンリエッタとマザリーニもその拍手に加わる。
そして、謁見の間は拍手の音で埋められた。
ルイズは拍手を受け、いつもの表情に戻った才人を見て、ようやく。
はぁ、と一つ息を吐いた。
剣舞中の才人がかっこよくて、思わず息をするのも忘れて魅入っていたのである。
しかしそんな事を気付かれでもしたら、一巻の終わりである。
ルイズは自分に真っ直ぐ近寄ってくる才人を迎え撃つべく、わざと視線を逸らして、才人から見えないように深呼吸する。
そして、間近までやってきた才人は主人に語りかける。

「どうだった?俺の剣舞は?惚れ直した?」

ルイズはなんとか平静を取り戻すと、言ってのけたのだった。

「まあまあってとこね。惚れ直すには一億と二千年早いわね?」

んだよそれ、と才人は目の前で文句を垂れる。
そんな使い魔を見て、ルイズは思った。
とりあえず、ご褒美に今夜は思いっきり可愛がってあげましょ♪
すでに疼き始めている自分の体に正直に、ルイズは行動する事にした。

そして晩餐会が終わり、その夜。
才人はアンリエッタに呼び止められ、謁見の間に残っていた。
それを全力で止める筈の、隣にいたルイズはいつの間にかいなくなっていた。
灯が落とされ、窓から差し込む月明かりだけが薄青く玉座を照らす。
才人はひめさま遅いなあ、もう帰っちゃおうかなあ、などと思っていたが。

「お待たせしました。サイト様」

青い月明かりに照らされ、白いドレスに身を包んだ、王冠のない女王が現れた。
才人は、小さな衣擦れの音を立てて近寄ってくるアンリエッタに、尋ねた。

「どうしたんです?こんな夜更けに」

まあだいたい想像はついちゃいるけど。
どうせまたこのいやらしいメス奴隷にお仕置きをしてくださいまし、なんだろうなあなどと才人が心の中だけで溜息をついていると、アンリエッタは応えた。

「ええ。今日はちょっと練習をしようと思いまして」

…なんの?またエロいことですか?
才人の心の疑問に応える代わりに、アンリエッタは彼の服の袖口を引いて、玉座の前に連れて行く。
呆気に取られる才人に、アンリエッタはにっころ笑って、言った。

「さ、ここに掛けて下さいまし」
「へ?で、でも待って、ここって玉座じゃ…」

才人の指摘どおり、そこは、一介の騎士ごときが掛けていい場所ではない。
このトリステインの全てを背負う、王のみが掛ける事の許された、神聖なる場所。
しかし、アンリエッタは笑顔を崩さず、言ってのけた。

「そうです。玉座です。
 いずれあなたが座ることになる場所ですわ」

「なんですモガっ?」

思わず声を上げてしまう才人。
アンリエッタは慌ててその口を手で塞ぐ。
いかに王宮がアンリエッタのものであるとはいえ、今は深夜。大声を出せば、賊なのかと思われても文句は言えない。

「しっ!声が大きいです!
 …言ったでしょ、いずれ私を娶っていただきます、と…」

アンリエッタは口を塞いだついでに体を密着させて才人を拘束し、耳元で優しく囁く。

「心配なさらなくても大丈夫です。政は、私とマザリーニ卿が、全力でサポートします。
 でもそれは先の話ですわ。だから…今は練習。ね?」

ドレス越しでも分かるアンリエッタの柔らかい肢体に体の一部分を滾らせながら、才人はしょうがない、と諦めた。

「じゃ、今だけですよ」
「はい♪」

そして誘われるまま、玉座に掛ける。
玉座はまるで才人の背中に吸い付くようなすわり心地で、彼の体を包む。
王は、一日の大半をここに座ってすごすのである。すわり心地が悪くては致命的だ。
アンリエッタは、玉座に納まった才人を見て、満足げに微笑んだ。

「ふふふ。とてもよく馴染んでいます…流石ですわ。我が王」

そう言って、アンリエッタは才人の前で頭をたれ、普段自分がそうされているように、才人に向かってかしずく。
才人はなんだか背筋がむずがゆくなった。

「はは。なんか調子狂うなあ」

ぽりぽりと頬を掻きながら、才人は照れ笑いを返す。
そんな才人の前まで、アンリエッタは近寄る。
そして玉座に掛ける彼の前に立つ。
今まで暗くて気付いていなかったが、その頬は朱に染まり、目が潤んでいた。

あ、やべ。

思ったときには遅かった。
アンリエッタは才人の目の前で、するするとスカートの前をたくしあげる。
真っ白なガーターベルトと、白いニーハイソックスが目に眩しい。
そして、その間で。
濃い褐色の陰毛に彩られた、女王の蜜でべとべとに塗れた女陰が、はくはくと牡を求めて蠢いていた。

「あ、あの、サイト様の剣舞を見てから私…もう…」

やっぱしかー!やっぱしこうなるのかー!

しかし才人の牡は主人以上に素直で、すでに才人の前は限界まで膨らんでいた。
こうなったらもうしょうがない。
才人は、この状況を愉しむことに決めた。
才人はとりあえず、自分が王様だったらこうするだろうな、という行動に出た。
玉座の肘掛に右ひじをつき、頬杖をつく。
そして言った。

「して欲しいのかい?アンリエッタ」
「は、はい…」
「でもタダじゃあしてあげられないなあ。まず、王に対する忠誠を見せてもらおうか」

才人の言葉に、アンリエッタはほんの少しの間、考える。
そして、メス奴隷の本能が、すぐに答えを導き出す。
アンリエッタは才人の足元に跪くと、はち切れんばかりに膨らんだ前をなで上げた。

「ご奉仕、致します…我が王…」

そう言って、才人のズボンのジッパーを下ろす。
限界まで勃起した才人が、布の隙間から顔を出した。
アンリエッタは一度視線で、己が王に確認を促す。
才人はその視線を受け、頷いて返した。
アンリエッタは主人の許しを得ると、熱く滾る牡を口に含んだ。
それと同時にアンリエッタの中に満たされる、牡の香り。
アンリエッタの頭が上下にグラインドしはじめ、才人に刺激を与える。
謁見の間で、唾液と先走りの立てる水音が響く。
そして。
しばらく刺激していると、アンリエッタの口中で不意に才人がはじけた。
不意の放出に、アンリエッタは才人を口から吐き出してしまう。
アンリエッタの顔を、髪を、才人の白濁が容赦なく汚す。

「あぁ…熱い…」

肌に絡みつく粘液に、溜息をつきながら、アンリエッタは呆けたようにその白濁を手で掬い、口に運ぶ。
そんなアンリエッタの痴態に、才人の肉棒は再び硬さを取り戻す。
それを見たアンリエッタは、今度こそ己の中に注いでもらおうと口を開こうとする。
しかし、それより先に才人が言った。

「王の恵みを零すなんて、なってないな。
 罰として、アンリエッタが自分でしなさい。俺は一切動かないから」

頬杖を突いたまま、才人はそう言う。
アンリエッタは才人の意思を汲み取った。
スカートを両手でたくし上げると、いつも自分がそうしているように、玉座にむけて腰を下ろす。
ただ、そこには、いつもと違い、才人が、才人の牡があった。
指で才人をつまみ、自分の入り口に導くと。
アンリエッタはそのまま、上下に体を揺すり始めた。

「あっぁっ…いいですっ…サイトさまぁ…!」

天上の声が淫らに謳い、謁見室を娼館に変えていく。
肉と布に阻まれ、くぐもった水音が卑猥に響き渡る。
才人の中で、快感が高められていく。
しかし、才人は鉄の意思でアンリエッタの攻めに耐え、一切動かずにアンリエッタのするがままにまかせる。

「ひぁ、ふぁ、も、いく、らめ、いくっ…!」

やがて高められた雌が先に限界を迎えた。
腰を深く肉の玉座に押し付け、アンリエッタはびくびくと痙攣する。
アンリエッタの内襞が才人を絞り上げ、最後の快感を打ち込む。
才人も限界だった。

「アンリエッタっ…!」

名を呼ぶが、しかし抱き締めることはせず、女王の中に白濁を注ぎ込む。

「あっあっあっ…きてます、サイトさまが、いっぱいぃ…!」

この上なく幸せそうな表情で、女王は未来の王の子種を、子宮に受けたのだった。

行為が終わった後。
飛び散ったお互いの淫液をアンリエッタの魔法でキレイにし、二人は謁見の間を出る。
渡り廊下を歩きながら、才人は当初から疑問に思ってたことを、アンリエッタに尋ねた。

「そういえばルイズはどうしたんです?」

あれだけ才人と一緒にいることに拘っていたのに、晩餐会のあと、一切姿を見ていない。
その質問に、アンリエッタはくすりと笑って応えた。

「ふふ。ルイズには、サイト様に化けさせたスキルニルを付けてあるのです」
「い?」
「そのスキルニルには、『ルイズを徹底的に悦ばせてあげなさい』と指示しておきました。
 今頃あの子、相手がスキルニルだとも知らずに、天国に逝ってますわ」

…なんつーことを…。

才人は、後はスキルニルと入れ替わる時に失敗しないようにしなきゃな、と余計な心配をする。
しかし、その心配は杞憂に終わった。

「ああらヒメサマにサイト?
 こんな夜更けにどうしたのかしら?」

そこにはルイズがいた。
今頃与えられた部屋で才人に化けたスキルニルとよろしくやているはずの。

「あ、あらルイズ。随分遅くまで起きてるのね?」
「ええまあ。どこかの誰かさんの送り込んだスキルニルのお陰で、眠れなくなるところでした」

言ってルイズは懐から人形を取り出し、放り投げる。
それは間違いなく、魔力を解かれたスキルニルだった。

「な、どうやって…!」

スキルニルは、本人の姿かたちどころか、思考パターンまで真似ることができる。
したがって、スキルニルを見破るのは至難の業のはずだ。

「簡単よ。ベッドの上で気付いたのよ。
 サイトは終わった後に、『可愛かったよルイズ』なんて気の利いた台詞言うわけないからね」

なるほどそういう事か。完璧すぎるスキルニルの所作を見破られたというわけだ。
しかし、落ち着いている場合ではなかった。
ルイズの手にしている杖が青白く光っている。虚無の魔力が充填されているのだ。

「ちょ、待てルイズ、こんなとこで魔法使ったらっ!」

慌てて才人は止める。
しかしルイズは聞かなかった。

「問答無用ッッッ!死ねぇぇぇぇぇぇぇ!」

ちゅどーん。

 

結局その日の爆発は、才人とルイズの痴話げんかということで納められたのだった。〜fin


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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:53:12 (5635d)

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