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152 名前:魔法戦隊メイガスファイブ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:02:47 ID:MSsTQ+w2 第1話「5人目の戦士」 その日、いつものように授業を受けていると、唐突に教室が揺れた。 ドカン!ズズズズズズ…。 慌てて立ち上がる生徒たち。しかしその生徒を、壇上の教師が制止した。 「いいですか皆さん!落ち着いてください!この教室にいる限りは安全です!」 彼の名はコルベール。二つ名は「炎蛇のコルベール」。生徒の間での通り名は、「閃光のコルベール」。 「始まったか…!」 そして、コルベールは教室の扉を開け、外に駆け出していった。 「ついに始まったってワケね」 長い真っ赤な髪をかき上げ、立ち上がったのは『微熱』のキュルケ。 「出番」 読みふけっていた本を閉じ、身体に見合わぬ大きな杖を手に取ったのは、『雪風』のタバサ。 「フッ…とうとう覚悟を決めるときが来たようだね…」 バラを模した杖を口に咥え、立ち上がったのは『青銅』のギーシュ。 「あーあ、来ちゃったかあ…」 仕方ない、と言わんばかりに立ち上がる、『香水』のモンモランシー。 「あ、お前ら、大人しくしてろって先生が言ってたろ!」 才人は慌てて止めるが、4人は才人の制止など意にも介さず、出て行ってしまった。 「お前も止めろよ、ルイズ!」 しかし才人の呼びかけに、隣で座っている桃色の髪の少女は、応えない。 「私も行かなきゃ…でも…」 ブツブツと呟き、自分の手をじっと見つめている。 「お、おい。ルイズ?」 顔を上げたルイズは、才人の手を取り、教室から駆け出した。 153 名前:魔法戦隊メイガスファイブ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:03:36 ID:MSsTQ+w2 「おのれバリアーか!小賢しい!」 アルヴィーの大群を率いているらしき妙に露出の高い女が、金切り声を上げていた。 「これが、正門前の現状です」 そこは、コルベールの実験室の、さらに奥。 「彼女は、暗黒神聖帝国ガリアの手先、「土くれのフーケ」。 「暗黒」なのか「神聖」なのかはっきりせんかい。 「アルヴィーにバリアーが敗れないと悟った彼女は、ゴーレムを出してくるでしょう。 最初っからゴーレムで突っ込めばいいんじゃあ…。 「そこで、あなたたちの出番です」 コルベールは、目の前に整列した5人の生徒を眺めた。 「出動!魔法戦隊『メイガスファイブ』!」 『ラジャー!』 「ちょっとまてええええええええええええ!!!」 さすがに今度は突っ込んだ。 「何か質問ですか?使い魔くん」 あまりにアレな展開に、流石に才人はついていけなくなっていた。 「なんだよ魔法戦隊って!なんだよ暗黒神聖ナントカって!」 154 名前:魔法戦隊メイガスファイブ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:04:22 ID:MSsTQ+w2 「そして私がメイガスファイブ司令、コルベールだよ」 才人は床に突っ伏していた。 「じゃ、じゃあなんで、コイツらが戦わなきゃいけないんだよ!」 さらに、コルベールは説明を続ける。 「そう、彼らの普段の姿は世を忍ぶ仮の姿!彼らの正体は、正義のために戦うヒーロー、『魔法戦隊」 もっともな疑問である。 「実は彼女は、魔法が使えない」 コルベールの言葉に、ルイズはぎゅ、っと唇を噛む。 「ゆえに彼女は、『ゼロ』のルイズ。しかし彼女は選ばれた。彼女も立派なメイガスファイブの一員なのだ!」 その言葉と同時に、真っ赤な光とアラートが、部屋を包む。 「まずい!バリアーが限界だ!すぐ現場に向かってくれ、頼んだぞ!」 5人は敬礼すると、司令室から飛び出していった。 「…あのー」 熱に浮かされたように語り掛けるコルベールに、才人はなんだかイヤになった。 155 名前:魔法戦隊メイガスファイブ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:05:54 ID:MSsTQ+w2 「ほーっほっほっほ!トリステインの防御結界もたいしたことないわね! なんだかフーケはノリノリだ。 「待ちなさいッ!」 光とともに、声が降ってくる。 「何奴っ!?」 門の上から聞こえた声に、フーケが見上げると、そこにいたのは長い赤い髪を風になびかせたキュルケ。 「ガリアの野望は、我らが砕く!とぅっ!」 そして門の上から飛び上がり、空中で高々と天空に杖を掲げる。 「チェンジ・フレイム!」 声とともに、空中にキュルケの使い魔、フレイムが姿を現す。 これこそが、スクウェア最大奥義、『合身』である。 そして、キュルケは手に持った杖に軽く口付けする。 「『灼熱』のキュルケ、見参!」 キュルケは結界に群がるアルヴィーに、銃口を向ける。 「私の『お熱』はちょっとアツいわよぉ…」 そして、トリガーを引く。 「くっ、しかしまだまだアルヴィーはいるわよ!怯むな!突き進め!」 しかし、進軍を始めようとしたアルヴィーたちを、突風が押し返す。 156 名前:魔法戦隊メイガスファイブ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:06:36 ID:MSsTQ+w2 タバサがルーンを唱えると、巨大な杖が二つの光に裂かれ、タバサの手の中に納まる。 「チェンジ・シルフィード」 小さく唱えたルーンに呼応して、疾る彼女に、彼女の使い魔、シルフィードが併走する。 「『風』を捕らえられるものはいない。 空に舞い上がったタバサに、フーケはアルヴィーたちに命令を下す。 「あの忌々しい風使いからやっておしまい!」 しかし、アルヴィーたちは動かない。 「ダメだよ、レディーにそんな顔は似合わない」 そこにいたのは、バラを模した杖を口に咥えた、ギーシュがいた。 「チェンジ・ヴェルダンデ」 ギーシュが囁くように言うと、彼の前の地面から巨大なモグラが姿を現した。 「『金剛』のギーシュ。 鋭い眼光とともに、ギーシュは大地を蹴る。 「砕けて散れ」 片手で真横に振り抜いた槌が、動きの取れないアルヴィーたちを粉々に打ち砕く。 「大地の女神は私にぞっこんなのだよ、レディー?」 157 名前:魔法戦隊メイガスファイブ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:07:31 ID:MSsTQ+w2 「おのれえ!まだ終わったわけではないぞ!アルヴィーはまだまだいるんだからな!」 そして、フーケの背後からゾロゾロと湧き出るアルヴィーたち。 「あとからあとからゾロゾロと…しつこいったらありゃしない」 呆れたような声で、そこに現れたのはモンモランシー。 「チェンジ・ロビン!」 彼女がルーンを唱えると、彼女の足元にいた小さなカエルが、一瞬で彼女を乗せられるほどに巨大化する。 「私は『怒涛』のモンモランシー。 そう言ってルーンを唱えると、彼女の手にしていた杖が光り輝き、二振りの小剣に姿を変える。 「押し流せ!タイダルウェイブ!」 モンモランシーが小剣を振り下ろすと、津波がアルヴィーたちを飲み込んだ。 「おのれ、おのれえ!神聖皇帝から頂いたアルヴィーたちをよくも!」 怒りに震え、フーケはルーンを唱える。 「出でよ、ゴーレム!」 ゴーレムとの戦いを門の影から見守りながら、才人は言った。 「お前も行かなくていいのかよ」 その傍らには、ルイズがいた。 「だって私…『合身』できないもん」 魔法の使えないルイズに、スクウェアクラスの力を必要とする『合身』は不可能だった。 「でも、押されてるぞ、あいつら」 確かに、4人は押されていた。 158 名前:魔法戦隊メイガスファイブ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:08:23 ID:MSsTQ+w2 悔しさに唇を噛むルイズ。 『使い魔くんとキスをしたまえ、ミス・ヴァリエール!』 いきなりのコルベールの声に、二人の目が点になる。 『君の魔力を、使い魔くんに貸すのだ!君が魔法を使えなくとも、使い魔くんが力を引き出せる!』 そういうの、アリなのか? 「こ、今回だけだかんね」 そして重なる、二人の唇。 「くっ、なかなかやるわね!」 4人は、いまだゴーレムに苦戦していた。 「アルヴィーの時はやられたけど、ゴーレムじゃそうはいかないよ!」 ゴーレムの拳が、4人を薙ぐ。 「トリステインの魔法戦隊もたいしたことないねえ!」 いい気になり始めたフーケの耳に、鋭い声が届いた。 「いい気になってんじゃねえぞ、悪者!」 門の前には、才人がいた。 「目覚めたのね」 うあー、やっぱやんないとダメなんかなー。 159 名前:魔法戦隊メイガスファイブ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:09:19 ID:MSsTQ+w2 「チェンジ・ガンダールヴッ!」 才人が拳を振り下ろすと、光の柱が天から降り、才人の体が光に包まれ、漆黒の鎧を身にまとう。 「来いっ、デルフリンガァぁぁーーーーーーッ!」 伸ばした才人の右手に吸い込まれるように、天空から一振りの大剣が舞い降りた。 「待ってたぜ相棒っ!いっちょ、暴れるかっ!」 大剣が楽しそうに才人に語りかける。 「『虚無』のガンダールヴ、平賀才人! 大地を蹴り、肩口にデルフリンガーを構え、一直線にゴーレムめがけて突っ込んでいく。 「バカが!捻りつぶしてくれる!」 フーケが残酷な笑みを浮かべ、ゴーレムの拳が振り下ろされる。 「うおぉぉぉりゃあああああああ!」 その巨大な拳めがけて、才人はデルフリンガーを振り下ろす。 「バカなっ!?」 驚くフーケに、デルフリンガーが勝ち誇ったように笑う。 「見たか!これが『虚無の剣』!見えない自在の刃さね!」 そして、才人にもう一度語りかける。 「相棒!遠慮はいらねえ!ぶったぎれ!」 才人は、ゴーレムより高く高く跳びあがる。 「トドメだっ!ゼロ・スラーーーーーッシュ!」 デルフリンガーから伸びた不可視の刃が、ゴーレムを真っ二つに切り裂いた。 ずがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! 巨大な爆発とともに、フーケのゴーレムは消し飛んだ。 160 名前:魔法戦隊メイガスファイブ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:10:16 ID:MSsTQ+w2 司令室に帰ると、コルベールがねぎらいの言葉を掛けてきた。 「よろしくね、サイト♪」 しかし、才人が気になっていたのは、その4人ではなく、自分の後ろに立つ、小さなご主人様の事だった。 「大丈夫」 才人は、所在なげにしているルイズの頭を優しく撫ぜた。 「俺が、お前の力になってやる。俺はお前の使い魔だしな」 第1話 完 次回予告 「妖精のシエスタ」 161 名前:あとがぬ[sage] 投稿日:2006/09/09(土) 14:12:30 ID:MSsTQ+w2 |
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