30-518
Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:54:05 (5639d)

○。○○がいっぱい 

 

その日、才人は困っていた。
学院の門の前で、とてもとても困っていた。
具体的に言うと板ばさみだった。
むしろ、並んでいるのは板というより山脈だったが。
むしろ、挟まれるのは本望というか。
とにかく才人は困っていた。
挟まれて、困っていた。

事の起こりは、演習が中止になって才人が急に暇になったその日の朝に遡る。

メイドとて立派な職業である。
主に仕えているからといって、常に働いているわけではない。
たまには息抜きだって必要だし、休息も必要だ。
だから、学院で働くメイド達のほとんどは、定期的に交代で休日をもらっている。
だが、中には例外もいる。
休日返上で働くメイドだっている。
休日分も給金を稼ぐ必要があったり、することもないんで働いてみたり。
シエスタもその一人だ。
だが彼女はお金が必要だったり、することがないわけでもない。
彼女は、愛する主人の傍を離れたくないがゆえ、休日返上でメイドとして働いていた。
しかし。
現代日本の一般常識を尺度に持つ彼女の主人は、休みもなく働く彼女に対し、申し訳なさでいっぱいだった。
自分が暇してすることもなく椅子で舟をこいでいるというのに、目の前では黒髪の少女がかいがいしく働いている。
男としてこの状況はよろしくない、と思っていた。

「なあ、シエスタ。たまには休んだら?」

洗濯物を干し終えて部屋に帰ってきて、箒を手に掃き掃除を始めたシエスタに、才人はそう提案する。
しかしシエスタは、床を掃く手を休めずに、応える。

「いいえ、お気遣いなく♪
 サイトさんにお仕えするのは、私の人生そのものですから」

人生、とまで言い切った。
そんなシエスタに、でもなあ、と才人は食い下がる。

「休みも必要なんじゃない?身体壊しちゃ元も子もないだろ」
「そうなったら休みますよー」

シエスタは主人の話を軽く流し、今度はあらかじめ用意しておいたバケツと雑巾で、机を拭き始めた。
やれやれ、と才人はもう一度考える。
この頑固で一途なメイドを、休ませてやりたい。
そう考えた才人は、ない知恵を絞って考える。
そして。

「じゃあさ」

まーだ食い下がりますかー、次はどう反論しようかしら、とシエスタは拭き掃除をしながら次の手を考える。

「一緒に街に買い物行こう。今から」
「え?今から?何かありましたっけ必要なもの」
「うん。ちょっとね。シエスタの服なんてどう?」

要するにデートのお誘いである。
その言葉にシエスタの動きが止まる。

「…だめ?」

やっぱダメかな、などと才人は思ったが。
シエスタはくるん!と振り向くと、にっこり笑って、応えた。

「じゃあすぐ支度してきますから!正門で待っててください!」

ばびゅん!と突風のように走り去ってしまった。
これが30分ほど前の出来事。

ペットは年中無休でペットである。
ペットの主な仕事といえば、主人に対して尻尾を振って愛想を振り撒き、癒しを与える事。
しかし、ティファニアは最近、とんとそのお役目を果たせていない。
なぜかといえば、主人に接する機会があまりないからだ。
ティファニアが避けているわけではない。むしろ主人の方が避けているのだ。
ティファニアの胸は凶器である。全力全開でそんなもの押し付けられて、あまつさえ耳元で甘い声で囁かれて、正気を保っていられる男はこの世に存在しない。
だからこそ、才人は自身の健康のため、ティファニアとの接近を避けていたのだが。
役目を果たせず不満なペットは、今日こそ全力で主人を癒すべく、鼻息も荒く学院内を彷徨っていた。

「タニアっ!サイト見なかったっ?」

ここは通称『メイド長屋』。学院で働くメイド達が寝泊りする宿舎である。
そこに学院の生徒が立ち入ることはあまりない。
メイド達のプライベートを邪魔するほど野暮な生徒はいなかったし、メイド達とそこまで親しい関係を持つ者もあまりなかったからだ。
しかし中には例外もいる。
専属のメイドを囲っているシュヴァリエ・サイトと、タニアの元保護者の立場である、ティファニア・ウエストウッドである。
タニアはその日お休みの日で、仲のいいメイド達数人と、街に出かける用意をしていたのだが。
今のティファニアに、タニアのプライベートを気遣うほどの余裕はなかった。
鼻息も荒く、目をぎらつかせて個室の扉を開けるなりそう言った元保護者を、タニアは冷めた目で見つめる。

「…いやテファお姉ちゃん必死すぎでしょ」

呆れたようにそう呟くタニア。
ティファニアははっとして、大きく深呼吸を三回。
そして改めてもう一度。

「タニア、サイトどこにいるか知らない?」

タニアははぁ、と大きく溜め息をつく。
くっつくまでは面白かったんだけど、くっついちゃたら面白くないどころかメーワクだわ…。
早いとこ自分も相手探さなきゃねえ、などと思いながら。
ついさっき、廊下で自分とぶつかりそうになりながら、物凄い勢いで自室に飛び込んでいった黒い髪の先輩の事を思い出す。

『ご、ごめんねタニアさんっ』
『どうしたんですかシエスタ先輩』
『あ、うんちょっとね。あ、そうだ、私ウチのご主人様とお出かけするから、今日は一日いないってみんなに言っといて』
『はーい』

…お出かけするんだったっけね。

「そーいえば、出かけるとか言ってたから正門に行けば逢えるかも」

そこまで言うと。

「ありがとタニア!」

それだけ言うと、ティファニアはばびゅん!と突風のように走り去ってしまった。
タニアは続きの言葉を言おうとしたが、急遽変更して呟いた。

「…テファお姉ちゃん必死すぎでしょ。マジで」

こりゃあ捕まったらタダじゃすまないなあ、お兄ちゃん。
これが10分ほど前の出来事。

そして現在。

「…どうしてミス・ウエストウッドがここにいるんですか」
「し、シエスタ目が怖いんだけど」

精一杯おめかしして、正門前にやってきたシエスタを待ち受けていたのは、ティファニアに絡まれる才人。
物の例えではなく、実際に首筋に全力で抱きつかれ、絡まれている。
まるで、大型の犬が主人にじゃれついているようだ。
ティファニアは敵対的な視線を向けるシエスタに、にっこり笑って応えた。

「私はサイトのペットだから、一緒に連れてってもらうの」
「…は?」

シエスタの目が点になる。
そしてシエスタは言葉の意味を飲み込んで、心の中だけで、ほんと、この節操なしわぁ、と呆れると。
空いている才人の左腕に絡みついて、才人越しにティファニアを見つめて、言った。

「…今日は、サイトさんは私と『二人きりで』お出かけの予定なんです」
「…私も、行きます。ね、連れてってくれるよね、サイト?」
「サイトさんっ?」
「サイト?」

自分の両側から寄せられる二つの視線と胸に挟まれて。
才人は、困り果てていた。





















結局、才人は困り果てたまま。
荷馬車にメイドとペットを乗せて、街に向かっていた。
どっちを置いていっても角が立つのでじゃあとりあえず皆で行こう、という事になったのである。

「あ、あはは、いい天気だね」

しーん。

「か、買い物日和かな、お店見て回るにはいいんじゃないかな」

しーん。

針のむしろとはこのことか。
返事のない二人に耐え切れず、才人は荷台を振り向く。
そっぽを向いて怒った顔の、外出用のベージュのワンピースのシエスタと、おろおろしながら困った顔をしている大きな帽子を被った学院の制服のティファニアが好対照だった。
シエスタはとりあえず才人の節操のなさと、新たな女の存在が気に入らない。
ティファニアはとりあえず才人と一緒にいられればそれでいいので、シエスタとも仲良くしたかった。
そんな二人の意図が奇妙に食い違い、気まずい空気を生み出していた。

「あ、あのさ二人とも」
「あ、あの、シエスタさん!」

才人の声を遮るように、ティファニアが声をあげた。
ティファニアは不機嫌そうにそっぽを向くシエスタに続けて話しかける。

「わ、私別にサイトを独り占めしようなんて思ってないから…」
「それはわかってます」

シエスタは理解していた。
この娘はただ才人の傍にいたいだけで、他に女がいようが関係ないのだ。
自分もそうは思っていた。しかし。
いざ新しい女を目の前にすると、才人の節操のなさと、そして忘れようとしていた嫉妬心に腹が立った。
しかもなんか微妙に立場被ってるし。

「な、なあ二人とも仲良くしてくれよ…」

前の御者台から、そんな情けない声が聞こえてくる。

…ふんとにもう。この節操なしわぁ…。

流石のシエスタもガマンの限界だった。

「…ダレのせいだと思ってるんですか」

ちょっと怒った声で言ってみる。
さすがにこうかはばつぐんで、御者台で才人は小さくなった。

「…すいましぇん」
「あ、あの、サイトは悪くないの!」

謝る才人に、すかさずティファニアがフォローを入れる。
ペットにして、って言ったのは私だし…。
続けようとしたティファニアのその台詞を遮って、シエスタは荷台から身を乗り出して、背後から手綱を取る才人に抱きつく。

「そーですよねー。悪いのは節操のない誰かさんの下半身ですよねえ」
「ちょ、わ、シエスタっ?」

才人の背中にその豊満な胸を押し付けながら、才人の股間に手を伸ばし、ズボンの上からちょっと膨らんだところをもみもみする。
才人は手綱を繰らなければいけないので、その責めから逃げることは赦されない。
最初はなだらかな丘だったズボンの前が、やがて徐々にその頂を盛り上げていく。

…いーなー…。

思わず指を咥えてその光景に見入ってしまうティファニア。
シエスタはそんなティファニアの視線に軽い優越感を感じながら、言った。

「そんな節操のない下半身には、全力で責任とってもらわなきゃ。
 ねえ、サイトさんのペットのティファニアさん?」

淫靡に微笑んでティファニアの方を振り向き、ウインクするシエスタ。
ティファニアは思わず頷き、

「あ、は、はいっ!そ、そうですね、責任とってもらわないといけませんねっ!」

同意してしまう。

「あ、あのう?この場合責任って…?」

もうすでに時は遅し。
メイドはズボンの中で完全に屹立した主人をむにむにともみ上げながら、言った。

「メイドもペットも、『きちんと』面倒見ないとだめですよ、旦那様?
 それが主人の義務というものです。ね。ティファニアさん?」

言いながら、ティファニアにおいでおいでをして、才人の左側を開ける。

「はい、はい!そのとおりです!飼い主はちゃんとペットの面倒みないといけないの!」

シエスタの意図を理解したティファニアは、その空いたスペースに抱きついて、凶悪なももりんごを全力で才人に押し当てた。
才人の牡はいよいよ限界で、ズボンのジッパーが押し上げられて開き始めていた。
街はもうすぐそこまで迫っていた。

「あ、シエスタさん、その服カワイイです!」
「うん、いいかんじかも。ティファニアさん、あなたはどれにするの?」
「あ、うん、これがいいかな、って…でも、お値段がちょっと…」
「それは気にしなくても、ご主人様がなんとかしてくれるでしょ?ですよね?」
「…聞かないでください…」
「…ちょっと、可哀想かも…」
「気にしたら負けですよ。サイトさん面倒みるって言ったし♪」
「あ、うん、でも…」
「すいませーん、これとこれでお願いしまーす」

これが仕立て屋での会話。
特級シルクの仕立て服二着、胸のサイズは大と特大。しめて貴族年金半月分。

「あ、今度はあの店行きましょう!りんごのパイが美味しいそうですよ!」
「け、結構食べるのねティファニアさん…」
「えへへ…甘いもの、大好きなんですよ実は」
「私も好きだけど…ここまでお店はしごしたのは初めてかも」
「もう限界ですか?」
「いやいやいや。甘いものは別腹だし!お財布は別にあるし!ねえ、ご主人様!?」
「…もう好きにして…」

これが、話題のスイーツのお店巡りの途中経過。
クロザクロのケーキセット二人分、特濃ミルクのココア二人分、蜂蜜キャラメルプリン二人分、黄金りんごのパイ二人分、甘口イチゴスパゲッティ二人分。
しめて貴族年金四分の一か月分。

「さてと、それじゃあ…」
「そ、そうですね」

すっかり打ち解けた二人は、才人を宿に残すと、昼間買った服に着替えて、夜の街へと繰り出した。
才人は財布の中身を泣きながら確認する。

「うあー…こりゃ今月、水精霊騎士団の飲み会控えないとなあ…」

メイドとペットの浪費で、すでに貴族年金は底をつきかけていた。
そして今夜の宿代。
けっこう高級な宿で、才人の財布の中身が更に目減りするのは目に見えていた。

…二人のいない間に、逃げちゃおうかなあ…。

そんな事すら考える。
しかし。
そんな暇はなかったのである。

「ただいま帰りました!」
「た、ただいま…」

謎の荷物を手にして、メイドとペットが帰ってきた。
二人とも、大きめの布袋を手にしている。
どうやら二人は、その袋の中身を買いに、街に出ていたらしい。
才人がそれなに、と尋ねる前にシエスタが応えた。

「あ、心配しなくても、この袋の中身は私たちの自腹ですよ〜」
「い、いろいろ捜してきたの…」

そして広げられた二つの袋の口からは。
薬品の入っているらしきガラス瓶や、どう見ても男のアレにしか見えない黒い棒や、あやしげな何かが覗いていた。
当然、今からの行為で使うつもりなのだ。
シエスタは自分の袋から一本の薬品を取り出した。
そして、才人に突きつける。

「それじゃあ、まずは、コレ飲んでください」
「あ、あの、一応聞くけどコレ何」
「もちろん、
 ガンガンに効く精力剤に決まってるじゃないですか♪」

言ってシエスタは袋を床に置いて、がばぁ!と上着を脱ぎ去る。
豊満な胸がぽよよん、と揺れた。
その隣では、ティファニアが同じように上着を脱ぐ。
凶悪な胸がぼよよん、と震えた。

「今夜はそれ飲んで頑張ってくださいね…旦那様♪」
「今夜は…寝かさないんだからっ…!」

言って二つの肉の球が、才人の前で揺れた。
才人は、何も言わずにその瓶の中身を一気飲みした。
血の味がした。

あまりにも圧倒的な物量だった。
ベッドに腰掛ける才人の太股は、今や完全に白い柔肉に覆われていた。
右側では黒い髪がリズミカルに揺れ、左側では長い金髪がぎこちなく揺れていた。
そして時折白い谷間から姿を見せる充血した牡に、交替でキスの雨を降らせる。
それと同時に、互いの唾液を才人に塗りこむ。唾液と先走りがローションの役目を果たし、肉の摩擦を打ち消していた。
才人の一物は、シエスタとティファニアの合わされた胸の谷間の奥で、もみくちゃにされていた。
尋常ではありえない文字通り肉の快楽に、才人の堰は容易く崩れ去る。

「くぁっ!」

びゅるるるるるっ!

肉の隙間に埋もれた才人から、火山から湧き出る溶岩のように、どろどろの牡の欲望が吐き出される。
それは圧倒的な肉の圧力の中で行き場を失い、二人の胸の隙間から溢れ出し、二人の胸を、そして下腹部をどろりどろりと流れる。

「あは…出ましたね、サイトさん…」
「あ…熱い…熱いよぉ…」

主人の射精を感じ取ったメイドとペットは、ようやく互いの身体を離し、胸の牢獄から才人を開放する。

ぬちょぉ…。

大と特大の肉の球の間で、白い粘液が糸を引く。
それは、通常の射精ではありえないほどの量。精力剤の効果で、才人の一回の射精は通常の数倍の量に達していた。
二匹の牝は下腹部に零れた白い粘液を掬い、本能のまま口許へ運ぶ。

ぺろ…ぺろ…にちゃ…。

「んッ…にがぁい……でも、でも、おいしいですっ…んふ」
「サイトの…せいえきのあじ…えっちなあじぃ…」

シエスタは何度も味わった才人の味を反芻し、ティファニアは必死に主人の味を脳髄に刻み込む。
そして、下腹部だけでなく、胸にも飛び散った精液を、二人は舐め取る。
自分の乳房を掲げ持ち、飛び散った白濁を、届く範囲で舌で舐め取っていく。

ちゅる…ぴちゃ…ぴちゃ…。

自分の出した子種を必死に舐め取る二匹の牝に、才人の息子は再び立ち上がる。

さて、どうすっかな。

剣は一本。収める鞘は二本。
どちらに収めるべきか、才人は考える。
その前には、白濁を舐めきり、主人に向かって熱い潤んだ視線を投げかけ待っている二匹の牝。

同時とか、正直しんどいのよね…。

そして思いつく。

「ね、二人とも、欲しい?」
「はい!」
「う、うん…」

朱に染まった頬で、床にぺたんと腰を下ろす二人は、期待に満ちた目で、黒髪の方は嬉しそうに、金髪の方は恥ずかしそうに、応える。
そして。
二人の主人は、命令を下す。

「でも俺のちんぽは一本しかないんだよね。
 それじゃ、こうしよう。
 二人で弄りっこして、先に逝っちゃった方を、抱いたげる」
「え」
「それって…」
「そ、そういうのって普通、『相手を逝かせたほうが』じゃないんですか?」
「んー。まあ俺もしんどいし。こういう変わった趣向もいいんじゃない?」

ティファニアと絡むのを躊躇していたシエスタは、そう反論する。
才人は一切それに取り合わない。そして。
隣で呆気に取られる己がペットに、目配せする。
ティファニアはその視線の意味を汲み取ると。

「えいっ」
「え、ちょ、何っ?」

シエスタに抱きつき、床に押し倒す。
そしてすぐ近くに転がっていた例の布袋をまさぐると、中から小さな丸薬を取り出す。

「あ、それ!」

シエスタはその丸薬が何か知っていた。
感度を高め、性交の際の不感症を補う薬。
ただし、不感症でない人間が使うと過敏になり、軽度の刺激で達してしまうようになる。
ティファニアはそれをあっという間に飲み込む。
もちろん、先に逝って才人に抱いてもらうためだ。
シエスタはそんなティファニアの思惑に気付くと。
自分もその布袋に手を伸ばし、同じ丸薬を取り出す。
そして同じように丸呑みする。
しかし、さすがに飲んだ直後では効いてこない。
そこで、シエスタはもう一度布袋に手を突っ込むと。
今度は、真っ黒な張形を取り出す。
それは、二本の男性自身を根元でくっつけたような形をしている。
シエスタはそれを、自分の股間に突き刺す。

ぶちゅう…。

「あはっ…」

既に才人の精液の味と匂いで濡れていた女性器は、容易く異形の張形を飲み込む。
シエスタはそれでずぷずぷと自らを犯す。
少しでも、ティファニアに対して先んじるために。

「あ、ずるいですシエスタさんっ!」

シエスタの意図に気づいたティファニアは、その反対側、余ったもう一つの男性自身を、自らの牝の顎で飲み込んでいく。

ぐぶぶぶ…。

しかしそれは中ほどまでも行かずに止まってしまう。
ティファニアが止めたのではない。肉の抵抗でこれ以上先に進まないのだ。
シエスタよりも開発の進んでいないティファニアの肉体は、まだそうやすやすと男性器を受け入れるまでには至っていなかったのだ。
しかし、負けてはいられない。
ティファニアは腰を捻り、突き出し、より深く張形を飲み込もうと動かす。

「ひぁ!」

その動きにシエスタの中で反対側の男性器が暴れ、シエスタの中をかき回す。
快楽に意識の煙始めたシエスタは、ティファニアに釣られるようにリズミカルに腰を動かしはじめる。

ぶちゅ、ぶちゅ、ぶちゅ…。

二人の間で、淫液をかき回す濁った音が響く。

「ふぁ、ティファニア、さんっ、つよっ、つよいぃっ!」
「や、やぁ!奥ぅっ、ぐりぐりっ、しないれぇ!」

二匹の牝の声と水音が淫らに響き渡る。
傍らのベッドの上で主人は二人の対決が終わるのを待つばかりだ。すでに萎えていた一物は二人の痴態に完全に戻り、先走りを流して待機している。
そして。
均衡が崩れる。
シエスタの視界が急にぼやける。
身体中の神経に電流を流されたような感覚が、全身に駆け巡る。
薬の効果が現れ始めたのだ。
シエスタの身体ががくがくと震え始める。開いた口から、長い啼き声が漏れる。絶頂の前触れである。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、やぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

それに数刻遅れて、ティファニアの視界に光が弾ける。
視界に映るものが急速に色を失い、そして虹色に染まる。
呼吸が止まり、身体中の血が沸騰したような感覚に襲われる。
ティファニアの身体が快楽に硬直し、開いた口はぱくぱくと動くばかりで、声にならない。ティファニアは今まさに、絶頂していた。

「かっ────────!はぁっ─────────!」

二人の間で潮が飛ぶ。
互いの身体を汚した潮が吹き終ると、二人の意識が暗転する。
そして、身体が意識を放棄する。

とさ。
とさっ…。

二つの音が続けて聞こえ、二匹の牝は床に突っ伏し、ひくひくと痙攣していた。
二人の主人は、その片方、先に床に横たわった方に、約束どおり近づいていく。
黒髪の方。シエスタが、先に絶頂し、事切れていた。
才人はシエスタから乱暴に張形を引き抜く。

「くはっ──────!」

ぴゅるるるるっ!

それすらも絶頂の波となり、シエスタは股間から潮を吹く。
そして主人の腕の中に抱かれていることに気付き、意識を保とうとする。
しかし、愛する人の匂いが、体温が、触れ合う肌の感覚が、重なる快楽となって、シエスタを襲う。

「は、はぁ、はぁっ」

濃厚な快楽の刺激の中、息をするだけで精一杯だった。
トびそうになる意識を必死に繋ぎとめるしか、今シエスタにできる事はなかった。

とさ。

永遠に思えた数瞬の後、シエスタは快楽の波から放り出される。
肌に触れたのはシーツの感覚。
才人はシエスタを抱き上げ、ベッドの上に横たえたのである。
桜色に染まった白い肌。上気した頬。広がる黒髪。そして、扇情的に牡を誘う、頂に桜色を配した柔らかい乳房。

才人は限界近くまで勃起している己自身で、あっという間にシエスタを貫いた。

「あひ────────────!」

先ほどの快楽にも倍する快楽が、一瞬でシエスタを絶頂に導く。
進入するまでは完全に脱力していた膣肉がわななき、襞を締め付ける。
才人は絶頂を繰り返すシエスタの中を、乱暴に割り開いていく。

ぶじゅじゅじゅじゅじゅっ!

引きつる肉を引き裂く音が、水音混じりに響く。
シエスタの蜜壷は容赦なく牡を締め上げ、そしてそれによって密着した襞は、快楽をシエスタの脊髄に打ち込む。
最奥に達するまで、実にシエスタは3回の絶頂を迎えていた。

ぶりゅりゅりゅりゅりゅっ!

「ふわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

今度は返しがシエスタの中を削る。
掻き出される愛液と、削り取られる肉襞に、シエスタの中は再び痙攣する。
混濁した意識の中、ついにシエスタは屈服する。

「やは、ひぁぁぁぁぁぁぁぁ!も、やらあ!こ、な、いきっぱ、ひぃっ!やら、またぁ、やらぁ!あぁぁぁぁぁぁぁ!」

絶頂の頂から降りてこられない。
まるで責め苦のような快楽の渦の中、シエスタは絶頂を繰り返す。
そして。

「だ、出すよシエスタっ!」

もう何合しただろう。もう何回向こう側を見ただろう。
視界が歪み、意識が朦朧とし、息も絶え絶えなシエスタに。
才人は、その膣内に熱い精液をぶちまける。

「─────────────────────────っ!」

最後の絶頂は、完全に色を失った世界が、暗転すると同時に訪れた。
声も出せずにシエスタの身体は意識を手放し、まるで糸の切れた人形のように、かくん、とシエスタの首が落ちる。
完全に、失神していた。

「ふいー」

才人は気絶したシエスタをベッドに横たえると、一息つく。
やっぱり、二人に絡ませて正解だった。
もし、二人同時に相手していれば、疲労はこの程度では済まなかっただろう。
さらに、二人に絡ませる事で、前戯に割く時間もなくて済んだ。

…今度から、これでいってみようかなあ。

などと不埒な事を考える才人。

それに、天罰が下る。

「さいとぉ♪」

どさ。

突然ももりんごに襲われ、才人はベッドに押し倒される。
横たわる才人の上で、ティファニアが馬乗りになり、完全にイった目で淫靡に微笑んでいた。
どうやら、ティファニアには微妙に薬の効き方が違っているらしい。なんだか物凄く楽しそうだ。

「うふふ。さいと。さいとぉ♪」

腰を持ち上げ、愛液を滴らせる花弁で才人を飲み込もうとする。
悲しいかな、才人の一物は本能と薬のお陰で元気いっぱいだった。

「ちょ、ま、テファおちつ────」
「いっただっきまぁす♪」

ぶちゅり。

あっという間にティファニアは才人を飲み込み。
『お預け』を食ったペットは、思う存分主人を貪ったのであった。

 

翌日。
三人は一日遅れで学院に帰る。
別人のようにやせ細り、目の虚ろな才人と、妙に血色のいいシエスタとティファニアに、才人の主人が何かを察しないわけがなく。
怒り狂った主人の手を止めたのは、二人の買ってきた『おみやげ』。それを才人で試したらこうなっちゃった、と説明すると、主人はなぜか納得した。
そしてその夜、『おみやげ』と称したもろもろのいろんな道具で、才人はもう一度、今度は三人に襲われることになるのだが。
それはまた、別の話。〜fin


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