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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:54:08 (5639d)

悪夢の代償  せんたいさん

 

それは、とある月のない夜。
空では星だけが瞬き、大地では虫たちも鳴りを潜め、風の囁きと草のざわめきだけが響く、そんな静かな夜。
静かな静かな夜の中、トリステイン魔法学院の一室で。
虚無の少女は、夢を見ていた。
それは悪夢。
目の前から、彼が消えてしまう悪夢。
だがそれは、彼女の望む結末。そして彼が望むであろう結末。
そして、彼女が、彼の望みを叶えようと決意したあの日から、苛まれ続けている悪夢。

いなくなってしまう。彼が。ここから。

でも、ここは彼の居場所じゃない。

あるべき姿に。あるべき場所に。

それが彼の望む事。私の望んだ事。

そして、夢の中、彼はいなくなる。私の…世界から。

いつもは、その悪夢はそっと胸の奥に仕舞い込む。誰にも見せぬよう、自分の目にも届かぬよう、厳重に鍵をかけて。
しかし、その夜は違った。
彼と自分を象徴する月の光のない夜。
あまりにもリアルなその悪夢は、ついに彼女の現実を浸食した。

「いやあああああぁぁぁぁぁぁっ!」

突然声を上げて、ルイズは跳ね起きた。
目の前で消えて行く彼を追いかけるように、何もない中空に手を伸ばす。
その頬には熱く滾った滂沱の涙が跡となり、彼女の深い悲しみを物語っていた。
そのすぐ隣で。
やわらかなベッドの上で、このベッドに進入することを許された、ただ一人の男性がむくりと起き上がる。

「どーしたんだよルイズ…こんな夜更けに…」

寝ぼけ眼をこすり、睡眠を邪魔された才人は起き上がる。
ルイズの身体がびくん!と震え。そして。
彼の姿を確認した瞬間に、一度枯れた涙が再び滂沱となって彼女の頬を伝った。
ルイズは激情を抑えきれず、目の前で寝ぼけ眼をこする愛する人の首筋に、しがみついた。
放したくない。離れたくない。

「サイトっ、っサイトぉぉぉぉぉぉぉぉ…っ!」

まるで母親から引き離された幼子のように、ルイズは面食らう才人の胸の中で泣きじゃくる。
この温もりは嘘じゃない。夢じゃない。

「ど、どうしたんだよルイズ」

わけも話さず泣きじゃくるルイズを、才人は持て余していたが。
ぎゅ。
優しくルイズを抱き締めて、その柔らかい桃色の髪をそっと漉き上げた。

「えぐ、さい、と…?」

泣きじゃくっていたルイズの嗚咽が少し落ち着く。
効果ありと見たのか、才人はそのまま両腕でルイズを抱き締め、優しく髪を撫でる。

「大丈夫だよ、ルイズ。俺はここにいるからさ」

しがみついて離れようとしないルイズに、何の考えもなしにそう言った才人だったが。
その言葉を聞いた瞬間、ルイズは再び泣き出した。

「ふぇ、ふぇ、ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…」
「お、おい?」

てっきり泣き止むと思っていただけに、才人は慌てた。
彼は気付いていなかった。
ルイズが再び泣き出したのは、安堵のせいだと。
『ここにいる』と言ってくれたことが嬉しくて、思わず泣いてしまったのである。

そして。
才人が泣き止まないルイズを持て余して、しばらくの時が流れた。

嗚咽はすでに止んでいた。
しかしルイズは今度は才人のシャツを掴み、その胸板に顔を埋めていた。
恥ずかしさで顔が火を噴きそうだったし、それに。
今ここから離れたら、彼が夢の中のように消えてしまいそうな気がして。
今は彼のにおいの中、安寧に浸っていたかった。

「あ、あの、ルイズ。そろそろ大丈夫?」

しかし彼女の使い魔は伝説級の空気の読めなさで、そう言ってしまう。
ルイズは才人の胸に顔を埋めたまま、ふくれっつらになる。
そして言ってやる。

「…大丈夫じゃない」

言いながら、才人に抱きついて、おでこをぐりぐりと彼の胸板に押し付ける。
才人の胸板で、ルイズの柔らかい前髪がふりゅふりゅと広がる。

「で、でもさ、もう遅いし」

…ほんっっと、空気の読めない男なんだからっ…!

安心したら、だんだん腹が立ってきた。
こうなったら、意地でも離れない。絶対に。

「…全部、サイトのせいなんだから」
「へ?」
「怖い夢見るのも、その夢の原因も、全部サイトなんだからっ…!」

そして、今度は悪夢の内容がまざまざとルイズの中に蘇り。
じわり。
目尻に、再び真珠のような涙が浮かぶ。

…やだ、私こんなに涙もろかったっけ…?

再び心を浸食する失うことへの恐怖が、彼女の心をぐちゃぐちゃにする。
不安が、再び彼女を押しつぶそうとする。
ルイズは囁いた。

「…ねえ」

密着するほど近い距離である。才人が主人の声を聞き漏らすはずもない。

「ナニ?」
「…今すぐに、私を抱いて」

身体の繋がりが欲しい。この不安を埋めるために、彼の肉体が欲しかった。
でも、それだけでは駄目。

「あの?ルイズサン?」

突然の申し出に思わずそう返してしまう才人。
しかしルイズは完全にその言葉を無視して、泣きそうな顔で才人を見上げ、言った。

「お願いだから。今すぐ、して…」

腕の中で震え、涙を流す恋人の願いを、才人が断れるはずもなく。
才人は、優しくルイズの唇を奪ったのだった。

…昔の私なら、夢にも思わなかったに違いない。
使い魔として呼び出したオトコノコに、自分から「して」なんて言う様になるなんて。
サイトに逢ってちょっとしてからの私なら、想像くらいはしてたと思う。
でも、ベッドの上で…。

ぴちゃ、ぴちゃ、ぴちゃ。

裸のサイトの舌が、私の口の中を、優しく嘗め回す。
裸にされて、舌や唇の裏や、歯茎まで舌で犯されて。

ちゅく、ちゅく、ちゅく。

サイトの指が、とろとろと涎をこぼす私の割れ目を出入りする。
指で、女の子の中をこりこりされるなんて、微塵も想像しなかったでしょうね。
もし想像しても、きっと、『こ、こんな格好でっ』とか真っ赤になって照れながら、サイトを蹴っ飛ばしてたと思う。
なんて考えてると。

くりゅ!

「ふぁぁぁぁぁぁっ!」

…あっ…!きたぁっ…!
視界が明滅して意識が暗転して、快感が私の思考を焼き切る。
サイトが、私の真ん中を、優しく押しつぶしたせいで、私はイってしまう。
…いっつも思うんだけど、サイトに弄られると、なんで自分でするときよりずぅっとキモチイイのかしら?
自分でする時はせいぜい、身体が浮くような感じ程度なんだけど、サイトにされると…。
まるで、身体から意識が飛んでいくようなカンジ。言葉の通り、「イって」しまうカンジになる。
こんなの覚えちゃったら、自分でするのとか、バカらしくてできないわよね。
ていうか、殆どの宗教で性交を自重してる理由が、今の私には分かる。
…こんなの続けてたら、おばかさんになっちゃって、神とか世界とかどーでもよくなっちゃうもの。

「えへへ…さいとぉ…いっちゃったぁ…」

私は思わず、愛撫を続けてくれるサイトに抱きついて彼の耳もとでそう呟く。
言ってから自分の発言に呆れ返る。
…今の私がおばかさん代表かしら。
…でもいいや。おばかさんで。

「…ルイズ、なんかソレアホの子っぽい」
「いいもんアホの子で。だってサイトがキモチイイんだもん」

言いながら生意気言った使い魔をぎゅ、ってしてあげる。
すると。
…やっぱり。

「びんびんになってるわよぅ…こーの、変態犬♪」

密着したおなかに、かちんこちんになったサイトが当たる。
だいすきな、サイトが当たる。

「どっちが変態だよ全く…」

呆れたようにそう言うサイトだけど。
ふんだ。ご主人様の事こうしたのは誰なわけ?
何度も何度も、人の事犯しといて。
許さないんだから、絶対…♪
そして私は、生意気を言い続ける使い魔を。
ガマンできなくなって、ベッドに押し倒す。

器用に身体を入れ替え、ルイズはベッドに才人を押し倒す。
そのままルイズは才人の下腹部に馬乗りになって、柔らかい尻の谷間でガチガチに固まった牡を挟み、くにくにと刺激する。
興奮で桃色に染まった臀部の肉の谷間を才人が擦る。
真っ赤に充血した牡が排泄に使う肉の門に当たるたび、ルイズの中を背徳的な快感が暴れまわる。

「ねえサイトぉ…。コレ、どうしたい…?」

尻の肉で才人を挟み込み、腰を上下に振って刺激を与えながら、ルイズは尋ねる。
答えはわかっていたが。

「…入れたい。ルイズの中に、入れたい」

ルイズは淫靡に微笑むと、才人の腹から腰を上げる。

にちゃぁ…。

愛撫で粘度を増したルイズの愛液が、才人とルイズの間で糸を引く。
ルイズは愛液を滴らせるそこを、言葉のままに滾る才人の上に持っていく。
しかし。
ルイズはそこで腰を止める。
そのまま才人の胸板に両手を突き、腰を浮かせたまま、才人の瞳を覗き込む。
そして言った。

「ねえサイト、お願いがあるの」
「え?何?」
「入れたら、思い切り激しくして。壊れるくらい、激しくして。
 ちょっとくらい痛くても構わないから、思い切り、突き上げて…」

何故ルイズがそんな事をお願いしてくるのか、才人には分からなかったが。
泣きそうに切ないそうな顔で、そう懇願してくる主人の願いを、才人は叶えることにする。

「わかった。おもいっきり犯してやるよ」
「…うん…」

才人の言葉に、ルイズは嬉しそうに微笑んで。

ぶちゅう…。

溢れる愛液に才人の剛直はあっさりとルイズに飲み込まれてしまう。
小さなルイズの身体は、才人にあっさりと埋め尽くされ、奥の奥まで犯される。
ぐに、とルイズの子宮の入り口に才人の器官が押し当てられる。

「あぁっ…奥ぅ…っ!」

ゆるやかな快楽は、その接合を合図に砕かれる。

ぶちゅっ!ごずっ!

才人は主人の望みどおり、ルイズの腰を抱え込み、一気に己を引き抜くと、ルイズの中に音が響くほど強く己を突き刺す。
あまりにも強く押し出されたため、才人の肉棒は限界まで勃起しているにも拘らず、ルイズの中で歪にゆがみ、異形の快楽をルイズに打ち込む。
ルイズの中に鈍い肉の衝撃が伝わり、意識を鈍い痛みが引き裂く。
まさに、『愛されている』というより、『犯されている』という行為だった。

「くはぁっ…!」

快楽と痛みの混ざった感覚に、ルイズの喉は快楽のそれではない歌を謳う。
眉根は鈍痛に歪み、目元に涙がにじむ。
だがそれでも打ち込まれる快楽に膣道はぎゅうぎゅうと牡を締め付け、確かに感じる快感は脳髄を焼き、股間からだらしなく愛液を零させる。

ごりっ!ぐちゅぅ!ずっ!ごずっ!ぐじゅぅっ!

「いたっ、ひっ、ぎっ、ひぃっ…!」

しかし、流石に苦痛交じりの声で啼かれては、下から突き上げる才人が動きを止める。
奥まで差し込んで一旦動きを止め、目の前で荒い息をつくルイズを労わる。

「お、おいルイズ、大丈夫か?」
「大丈夫じゃ、ないわよっ…!」

才人の胸板に手を置いて、ルイズはそう文句を言う。
自分からしろと言っておきながら、なんて自分勝手な、と才人は思ったが。
続けたルイズの台詞に、才人は何も言えなくなる。

「でも、刻んで欲しいから。サイトをいっぱい、私に刻んで欲しいからっ…!
 だから…っ!」

言って、自分から腰を使い出す。

ぶちゅ!ごりっ!ぶちゅぅ!ごずっ!

その勢いは才人のしていたそれと変わりなく。
自らを傷つけながら、ルイズは続けた。

「お願い、続けて…!いっぱい、犯してぇ…!」

才人はもう何も言わなかった。
乱暴に、欲望の赴くまま、ルイズを犯し始める。
不器用に腰を揺らし、乱暴に突き上げ、互いの性器を苛んでいく。
ぐちゃぐちゃと二人の間で愛液が泡立ち、真っ赤に腫れた恥肉を濡らす。
だが、ルイズの脚が脱力しはじめ、だんだん才人の腰に負担がかかってくると、動きが鈍くなってくる。
才人は一旦動きを止め、主人の様子を伺う。
ルイズは激しい陵辱に肩を上下させ、荒い息をつく。そして、下で動きを止めた使い魔に気付く。
そして、もう一つの事実に気付く。
この体勢では、すぐに疲れが出てしまう。
そう悟った主人は、使い魔の上から立ち上がろうとする。
しかし激しい行為に腰が抜けかけ、上手く動かせない。
そんなルイズに気付いたのか、才人は主人を抱き締めると。
繋がったまま位置を入れ替え、今度はルイズをベッドに組み敷いた。
二人の目が合う。

ルイズの目が語る。    犯して。いっぱい犯して。サイトでいっぱいにして。
才人の目が語る。     犯したい。俺でルイズをいっぱいにしたい。

言葉は要らなかった。
二人はお互いに抱き合い、唇を貪りあう。
舌と舌が絡み合い、お互いの唾液を嚥下する音が夜のしじまに響く。
重力の枷を解かれた牡の腰が激しく前後し、牝を掻き出し、蜜でシーツを汚していく。
二人の淫靡な合唱が、双つの月さえ形を潜めた静かな夜を汚していく。
やがて、才人の動きがクライマックスに達する。
それまでルイズをすべて使って犯していた腰の動きが、奥の方だけを使った細かい動きに変わる。
ルイズも限界だった。
絶頂の予震が如く全身が震え、足が勝手に才人の腰を抱え込む。

そして、二人は同時に、互いの名を呼びあった。

「サイトっ──────────────!」
「ルイズぅ──────────────!」

二人の唇が重なると同時に。

どくどくどくどくっ!

熱い契約の印が、ルイズの聖域に最後の刻印を施した。

ルイズは、才人の腕枕の上で、彼の胸に頭を預けながら、言った。

「ねえサイト。お願いがあるの」
「ん?もう一回、以外なら聞いてもいいよ」

もうばか、何言ってんのよ、と軽く怒ってルイズは続ける。

「…サイトがね、もし故郷に帰る時が来たら。
 私を殺して欲しいの」
「え」
「私、最近何度も夢に見るの。サイトが帰っちゃう夢。
 それはいいことだとおもうんだけど、でもね。
 その後。サイトがいなくなった世界の事を考えると…辛くて…わたし…。
 だ、だから…。そんな世界じゃ、わた、わたし、生きていけないから…」

それ以上は言葉にならない。悪夢がまたぶり返し、ルイズを苛む。
『抱いて』と言い出した時のような泣き出しそうな顔で、ルイズは才人を見上げる。
そんなルイズを。
才人は乱暴と言えるほどの力でぎゅっと抱き締める。
そして怒った声で言った。

「馬鹿やろう!」
「…えっ?」
「俺が、お前置いてどっか行くわけねーだろうが!
 帰るときもそうだよ!もしこっちと行き来できないんだったら、俺は帰らない!」
「え、でも、サイト、向こうに家族とかいるんじゃ」
「家族だったらお前と作ればいいじゃねーか」

その台詞に、ルイズの顔がぼきゅん!と火を噴く。

「ば、ばか、何いいいいいいいい、言ってんのよぅ、もう、ばかいぬのくせに」
「馬鹿じゃねえよ。お前こそ馬鹿だろ。殺せとか。できるわけねえだろ。
 こんな、可愛いご主人様をさ。むしろ俺が死ぬ」
「も、もう、ほんとに、ばかいぬぅ…」

ぎゅっと抱き締められ、優しい言葉をかけられ、ルイズの中で悪夢が消えていく。

そして、その代わりに。
『俺の嫁』発言に火のついた性欲が、ルイズの中で暴れだす。

「ほ、ほんとに、いう事聞かない馬鹿犬なんだから…♪
 きっつぅいオシオキが、必要よね…♪」

ルイズの瞳の色がさっきと変わっていることに気付いた時には遅かった。
抱き締めて密着したせいで、逃げ出すことも不可能だった。
ルイズの手が、あっという間にしぼんだ才人に絡みついた。

にちゃぁ…。

才人の一物は、どろどろのルイズの愛液と、どろどろの才人の精液でコーティングされて、握るとぬめぬめしていた。
ぐにゃりとしおれていた才人の自慢の息子は、節操なくその刺激に反応する。

「ちょ、もう一回はナシって言っ」
「はーんろーん、禁止っ」

言ってルイズは才人の唇を奪う。
今度は、才人が犯される番だった。

そして、その夜以来、ルイズは悪夢を見なくなった。
代わりに、幸せな夢を見ることが多くなった。
それは、黒髪の使い魔と、桃色の髪の主人の、幸せな、家庭の夢。
二人の子供に囲まれた、幸せな家庭の夢だった。〜fin

*何故か同時に、浮気をさんざん指摘するような夢も見るようになったというがそれはまた別の話*


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