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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:54:26 (5645d)
猫と七夕〜猫のルイズ せんたいさん
曇天の下馬を飛ばし、才人はトリスタニアへとやって来ていた。
ルイズが学院を発ったのとほとんど入れ替わりで、女王からの書簡を持った早馬が学院に着いたのである。
その書簡には、『夕刻までに王宮に来られたし』と書いてあった。
才人は仕方なく馬で王都へとやってきたのだが。
「陛下は明日まで予定が一杯なんだが。何かの間違いじゃないか?」
王宮の西門に着いた才人を出迎えたアニエスは、そう言った。
「でも確かにこの手紙には夕刻までにって」
言って才人は書簡をひら、と開けてみせる。
アニエスはそれを受け取って、呆れたように言った。
「サイト、字を読み違えたんじゃないのか?
ほれ、『明日の昼までに』って書いてあるぞ」
そう言って才人に向けて手紙を広げてみせる。
才人はそれを受け取ってしげしげと眺める。
確かにそこには、『明日の昼までに王宮に来られたし』と書かれている。
「アルェ?俺が見た時は確かに『夕刻までに』って…」
「だから見間違いだろう。私も忙しい身なんだ、仕事に戻らせてもらうぞ」
そう言ってアニエスは才人を西門に残し、さっさと王宮内に戻っていく。
残された才人はぽけー、っと閉まっていく城門を見つめた。
用件がなければ一介の騎士でしかない才人に、閉じられた王宮の門を開ける権利はない。
ちなみにこの書簡、アンリエッタがインクに水魔法で細工をして一定時間で書面の内容が変わるようになっていたのだが。
そんな事は、『ディテクト・マジック』の使えない才人には知る由もない。
「…しゃーねえ、今日はここで一泊かなあ」
そーいやルイズも王都に来てたっけか。せっかくだし合流するかな。
などと考え、くるり、と西門に背を向ける。
そして、王宮の城壁に沿って東へ歩き出した。
魅惑の妖精亭のある、チクトンネ街へはこっちが近道だからだ。
正直宿代がもったいないので、魅惑の妖精亭の屋根裏でも借りよう、という魂胆だった。
ルイズは猫の身体を持て余していた。
そもそも四本足で歩くなんて経験は、今までなかった。
ベッドの上以外では。
『こ、今夜はアナタがご主人様にゃんっ』
じゃーなーくーてー!
思わず思い出してしまったとんでもなくイタく恥ずかしい記憶を頭を振って振り払う。
そしてもう一度、城壁の上を歩き出す。
短い寸足らずの足でてちてちと凹凸だらけの石壁の上を歩く。
肉球のおかげか、裸足で歩いていると言うのに痛くない。
…そういえば服とかそのまんまだけど、どうなってるのかしらね。この魔法。
ちょっと疑問に思ったが、今は上手く歩くことの方が先決だ。
でないと、先行したタバサに才人を先に発見されてしまう。
それどころか、後発のわたあめとメイドにも、追い抜かれる恐れがある。
ルイズはとりあえず、歩く事に集中する。
てち、てち、てち。
しかしルイズのイメージしているような、軽快な猫のステップには程遠い。
ルイズが猫の体に不慣れなせいもあるが、その猫の体にも問題があった。
クリーム色の毛並みはふわふわと羽毛のよう。そんなふわふわの身体には、同じくふわふわの短い尻尾。
小さな体のわりに大きな顔には、大きなブルーの瞳と、へにゃりとしおれた丸い耳。
そして、小さな身体を支える足は、身体に較べて極端に短い。ただ、身体を支えるには十分以上にしっかりしていて、小さな丸太のようだった。
そんな姿のルイズが、てちてちと城壁の上を歩く姿は、まるでぬいぐるみがおっかなびっくり歩いているようだった。
あーもう!まだるっこしいいいいいいい!
ルイズは半ばヤケ気味に、短い尻尾をぴんと立て、四本の足を交互に振り回し始める。
てちてちてちてちてちてち!
しかし。
そんな寸足らずな短い足を、体に見合わない速度で振り回すと。
てちてちてちてちてっ…。
凹凸に足が引っかかり、小さな体がくるん!と宙を舞う。
「に!?」
そしてそのまま、城壁の上から足を踏み外す。
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
まっさかさまに、城壁の下へと落下していった。
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
真上から聞こえた猫の鳴き声に、才人が上を仰ぐと。
クリーム色の毛玉が空から降ってきた。
「へ?」
べち。
避ける暇もなく、顔の上に毛玉が乗っかる。
「ぶは!なんだよもう!」
才人はその毛玉を抱き上げる。
そして、毛玉の正体に気付く。
「…なんだ猫か」
才人の手の中で、その寸足らずな猫は落下のショックで目を回している。
「…可愛いなコイツ」
目を回してへにゃへにゃになっているが、その猫は今まで才人が見たことのあるどの猫よりも愛らしかった。
ふわふわでつやつやの毛に、ディフォルメされたような手足。大きな目に、へにゃんとしおれたような耳。
ペット雑誌の写真でしか見たことのないような種類の猫だ。
…首輪はないな。野良なのかな?だったら飼ってもいいかな。ルイズに許可をもらって飼おうかな。
などと考えながら目を回したその猫を才人は抱きなおし、胸に抱く。
その才人の頬に、冷たいものが当たる。
ぽつ…。ぽつ…。
「げ、雨かよ…」
曇天だった空から、雨の糸が垂れ始めていた。
才人は猫を濡らさないように、パーカーの内側に入れ、道を急ぐ。
「コイツだけは濡らさないようにしねえとな」
雨は少しずつ、強さを増していた。
不意の夕立に、才人はずぶ濡れになってしまった。
「あはは。災難だったね?」
濡れ鼠の才人を出迎えたジェシカは、笑顔で温かいスープの入ったカップを差し出す。
才人は借りたタオルで濡れた髪を拭きながら、カップを受け取り、応える。
「いきなりだったしなあ。ホント夕立はカンベンだぜ」
言いながら、少し膨らんだお腹の部分を空いた左手で庇いつつ、スープを飲む。
「んんー?そのお腹なに?」
目ざとく膨らんだパーカーに目を付けたジェシカが尋ねる。
才人はパーカーの下から猫を取り出す。
「猫拾ってさ。濡らさないように抱えてたんだ」
「わ。可愛い!ナニコレ可愛い!」
すぴょすぴょ眠る寸足らずの丸い猫に、ジェシカは興奮する。
無防備に眠るそのクリーム色の毛玉は、この世の者とは思えないほど愛らしかった。
寸足らずな前足に大きな頭を載せ、薄く口を開けてひゅこひゅこ息をする様は、まさに生きたぬいぐるみだった。
「ね、ね、抱いていい?抱いていい?」
飛び跳ねそうに興奮するジェシカに、才人は応える。
「悪い、起きてからにしてやってくんない?
少し濡れたから拭いてやりたいんだ。服も乾かしたいし、屋根裏部屋貸してくれない?」
心なしか、クリーム色のその猫は、少し震えている様な気がした。
「…起きたら抱かせてね?絶対だよ?」
残念そうにうなだれながら、ジェシカは屋根裏部屋の鍵をカウンターの下から取り出し、手渡す。
「さんきゅ、ジェシカ。ま、コイツの機嫌しだいだけどな」
鍵を受け取り、スープを飲み終わった才人はそそくさと屋根裏部屋に篭ったのだった。
ルイズが目を醒ますと。
何か温かい肌色の上に乗っかっていた。
…なんだろこれ…?
寝ぼけ眼で辺りを見渡す。
肌色の上には、見慣れた顔があった。
「お、起きたか」
その顔は、見慣れた使い魔の顔。
才人は上着を脱いで部屋の梁に渡した細いロープに干し、上半身裸でベッドに寝転がり、その胸板の上に猫になったルイズを載せていた。
才人にとっては寝ている猫を愛でているだけだったが。
ルイズにとっては違っていた。
さ、ささささささささサイトだ!い、いつの間に?
いつの間にか目標に接敵しているこの状況に、混乱してしまう。
そして思わず、才人の裸の胸の上で暴れてしまう。
「にー!」
猫の本能で爪が飛び出し、才人の胸板をかしかしかしと削ってしまう。
「いててててててて!」
仔猫とはいえ、鋭く尖った爪で生肌を削られてはたまらない。思わず才人は声を上げてしまう。
その声にルイズは平静を取り戻す。
「ふにっ」
一声鳴いて、才人の胸板の上でへちょん、と伏せる。
『ごめんなさい』と言いつつ、頭を下げたつもりだった。
しかし、意外なことに謝ったのは才人の方だった。
「わ、悪ぃ、驚かせちゃったか」
そう言いながら、才人はそっとルイズを持ち上げる。
そのままベッドから起き上がり、床の上に仔猫を置いた。
「に?」
な、なんで?
お座りの姿勢で思わず小首をかしげるルイズ。
大きなくりくりの青い目が、驚きに見開き、傾けられた右側の耳が、へにゃりと三角に開く。
ジェシカがこの場にいたなら、あまりの可愛さに腰をくねらせていただろう。
「お前目ぇ回してたし、濡れるとまずいと思ってな。悪かったな」
言って、ルイズの頭をくしゃくしゃと撫でる。
それがなんだか気持ちよく、ルイズは思わず。
「な〜〜〜〜〜〜ぅ」
ごろごろごろと喉を鳴らし、頭を才人の手に擦り付けて甘えた声で鳴いてしまう。
はっ!?私なにやってんのっ!?
「なんだ、ずいぶん甘えん坊だなお前」
才人は抱いても大丈夫と思ったのか、もう一度ルイズを抱き上げ、胸元に抱く。
仔猫のほわっとした体温と、ふわふわの毛が心地よい。
そしてそのまま、抵抗の素振りを見せないクリーム色の仔猫の頭を撫でる。
「ふにぃ、にぃ、にぃ」
撫でられるたび、ルイズは浮き上がるような心地よさを感じてしまい、目を細めて撫でてくる大きな手に頭を摺り寄せる。
あ、だめ、なんかこれすっごいキモチイイ…。
才人の体温と、頭を愛撫される快感に、ルイズはとろけてしまいそうだった。
「はは。人懐っこいなあお前。やっぱ飼おうかな」
そんな言葉が降ってくる。
ルイズはほわんとした頭で考える。
サイトに飼われるのかぁ…。
毎日だっこされて…。
毎日なでなでしてもらって…。
あーだめ、すっごい幸せかもそれぇ…。
そんな事を夢想しながら、夢心地で才人の手にじゃれつくルイズ。
「にぃ、にぃ、な〜〜〜〜〜ん」
ごろごろごろと鳴る喉から、甘い甘い鳴き声が漏れる。
もうこのまま猫でもいいやぁ、だってサイトが飼ってくれるって言うしぃ、などとペットの快楽に墜ちていきそうになった瞬間。
「そだな、じゃあ名前決めないとな」
「に〜?」
名前を考えるために顎に手を当てたせいで、才人の愛撫は止まってしまう。
ルイズはそれに不満の声を上げる。
え〜?なに?やめちゃやだ、もっとナデナデして。ナデナデ〜〜〜。
「に。に。に〜」
目を細めたまま、才人の胸板に自分で頭を擦りつけ、おねだりを開始する。
そして、奇跡が起きる。
「よし、なんか甘えてる時の雰囲気が似てるし」
「にぃ、にぃ」
今度はてちてちと爪を引っ込めた前足で胸板を叩いて抗議。
ちょっとぉ、もっとナデナデしなさいよぉ、ナデナデだってばぁ。
「ルイズにしよう!」
ぼふん!
奇妙な爆発と共に、魔法が解ける。
上半身裸の才人の上に、半分だけ元に戻った制服を着たいつもとちょっと違う、ルイズがいた。
へにゃりと折れたクリーム色の丸い耳の生えた。
短いスカートの下から丸いふわふわの毛の短い尻尾の生えた。
ちょっと八重歯の鋭い。
ルイズが、背中を丸めて、才人の胸板に手を丸めて、てちてちてちと猫パンチをかましていた。
「なによぅ、名前なんてどーでもいいからもっとナデナデしなさいってばぁ」
「…る、ルイズ…?」
「へ?」
才人の驚いたような視線に、ルイズは思わず自分の身体を確認する。
元 に 戻 っ て る。
そして、先ほどの発言を思い出し。
一気に真っ赤になると。
「ばかーーーーーーーーーーーーー!」
顔を逸らして、全力で才人を両手で突き飛ばしたのだった。
吹き飛ばされた才人はすぐに復活した。
「な、なんでルイズがいるんだよ!」
当然の疑問である。
ていうかむしろ。
「そ、それにその耳は何の冗談だ!」
ルイズの頭の横にはへにゃりとしおれたクリーム色の三角形が、くっついていた。
それは間違いなく、先ほど才人が胸に抱いていた仔猫の耳。
問われたルイズといえば、才人の腰の上に乗っかって、真っ赤な顔で横を向いている。
「べ、べつにどうってことはないわよ。ちょっと中途半端に魔法が解けただけで」
言いたい事はわかるが、質問の答えになっていない。
「いやそうじゃなくてだな」
しかし続く才人の言葉はルイズの耳に届いていなかった。
やばいまずいどうしよう。
ルイズは焦っていた。
今自分がしなきゃいけない事は理解している。
まず、何故猫に化けていたのかを説明し、そしてアンリエッタとの勝負の話をして、才人の忠誠、もとい愛に対するご褒美をあげなきゃいけない。
しかし、そんな前提など軽くすっ飛ばすほど魔法が半端に解けたルイズはやばい状態だった。
無意識のうちに、腰がぐねりと蠢く。
ぐぶ、と重い音がルイズの中に響く。溜まりはじめた濃い液体が、牝の袋が動くことで、肉の道に染み出してきたのだ。
まるで灼熱の溶岩のように感じられるその液体は、ルイズの中で精製された獣欲そのものだった。
その粘り気のある濁った液体は、容赦なく牝の裂け目から溢れ出し、薄いショーツに染み込む。
真っ赤に染まった顔で、ルイズははぁ、と溜息をつく。
それが終わると、今度は息を吸う。
個室に満たされた、雄の香りと、雄の空気が、ルイズの鼻腔と喉を灼く。
そう。
ルイズは発情していた。自分でもはっきりと分かるほどに発情していた。
それは、今まで才人に対して感じたことのある、ヒトとしての『抱いて欲しい』という感情とはかけ離れていた。
いや、感情ですらない。
身体が、訴えるのだ。まるで空腹になった胃袋が、餌を寄越せと鳴るように。
ルイズの子宮が、『子種を寄越せ』と吼えていたのだ。
それは、猫と人間の狭間となった今のルイズの身体が原因だった。
『サイトに抱かれたい』という欲求と、『サイトと一緒にいたい』という想いが、混じった感覚。
ヒトの理性と妄想と、ケモノの野生と感覚が、混じりあった結果。
今、ルイズは『獣のように交わりたくない』という最後のプライドだけで、必死に欲望に抗っていた。
こんな状態で才人の顔を見たら、きっと間違いなく。
ルイズは、自分から腰を振り、才人を求めるだろう。
とんでもなく淫らな声で啼きながら、哀願しながら、脚を開き、股を開き、上からも下からも涎を垂らしながら。
そんな恥ずかしいコト、できるわけないじゃない…!
だから、才人とは視線を交わさないようにしていた。
「なあルイズ、聞いてんのか?」
聞いてない。聞こえない。聞いたら負けなんだから聞かさないでよ!
必死に聞こえない振りを続けていたルイズだったが、それは無駄な行為だった。へたりと頭に付けて閉じている耳には、しっかり才人の声が届いている。
甘い台詞を囁かれているわけでもないのに、才人の言葉が、雄の鳴き声が、純粋な重低音となってルイズのめしべをずんずんと鳴らす。
そのたびに雄を誘う蜜がこぷこぷと際限なく溢れてくる。
上に乗っかっているせいで、伝わってくる雄の体温が余計にそれを促進していた。
そしてルイズは間違いに気がついた。
こんな風に密着しているから、欲情してしまうんだ。
ルイズはそう考え、才人の方にはけして目はやらずに、ベッドの上を見る。
隅の方に、畳まれた毛布が置かれているのが見える。
ルイズは最後の気力を振り絞って、そこに逃げ込んだ。
…なにやってんでしょうねこのご主人サマは。
今、ルイズは俺の目の前で、毛布を頭からひっかぶってぷるぷる震えている。
ていうか、さっきのアレは何だったんだほんとに。
可愛い仔猫がルイズになって、そのルイズにはその仔猫と同じ色で形の猫耳が生えていた。
状況から考えるとさっきの猫はルイズが化けてたってことだろうけど。
…まあ可愛かったな。仔猫も、猫ルイズも。
なんで猫に化けてたのかはしらないけど、まあ俺にじゃれ付いてたってことは、甘えたかったんだろう。
だけど、今は違う。
全身毛布の中に納まって、丸まってぷるぷるしてる。
何かガマンしてるようにも見えるけど。
…ひょっとしておしっこか?
まあとりあえず聞いてみるか。
「おーい、ルイズー?」
俺はとりあえず、手前側にある、ルイズのお尻がある辺りの毛布の膨らんだところをぽふん、と叩いてみた。
毛布の塊は一回ぴくん!と震えたが、声は返ってこない。
くい。
ん?なんかお尻が上がったぞ…?
「おーい、どしたー?」
ぽふぽふ、ともう一度叩いてみる。
くい、くい。
さらに、お尻が上がってくる。
しかし声は返ってこない。
「おーい、おいってば」
ぽぽぽぽぽぽぽ。
今度はリズミカルに何度も。
くいっくいっ、くいっ。
ルイズのお尻は膝が完全に伸びた状態まで一度限界まで押し上げられると、今度は左右にくいくいと動く。
でも返事はナシ。
…何のつもりなんだか。
仕方なく、俺はルイズから毛布をひっぺがした。
…そして、理性がキレイに吹っ飛んだ。
才人が毛布を剥ぐと。
そこには、ひくひくと震えながら、白く濁った粘液をにゅるにゅると吐き出す、真っ赤な花が開いていた。
ルイズはうつ伏せから脚だけで腰を高く上げ、下半身だけ裸で、才人に恥部を晒していた。
「やら、こんなの、やらのにっ…」
ひっく、ひっくと嗚咽を漏らしながら、肥大化した八重歯を覗かせ、牝の裂け目の遥か下で、しおれた猫耳のルイズが訴える。
その花弁には白魚のような指が桜色に染まって添えられ、ひくひくと蠢く花弁を押し開き、牝の深淵を晒していた。
才人の喉がごくりと鳴る。
溢れ出る牝の液体が芳香を放ち、目の前で晒される痴態が、才人の理性を根こそぎ奪っていた。
新たに視線という刺激を得た牝は悦び、子宮から新たな蜜を溢れさせる。
膣圧によって押し出された酷く粘液質なルイズの愛液は、こぷり、と蜜壷から溢れ出し、雫となってベッドに垂れた。
「やらのにっ…やなのに…!
ばかいぬ、あほいぬ、見てないでなんとかしなさいよぉっ…!」
否定の言葉が懇願の言葉に代わる。
そして。
才人は、主人の言葉通り、高く高く上げられた真っ赤な熟れた果実に、指を当てる。
くちくち。
「ひにゃああああああああああああああっ!?」
粘液をかき混ぜる音と同時に、ルイズの喉が弾けた。
蜜の溢れる秘唇を擦られるだけで、ルイズはとんでもなく感じていた。
視界に虹が弾け、欲望が理性やプライドを押し流す。
「うわ…すげえにちゃにちゃだな、今日のルイズ」
ぶじゅ、ぶじゅる。
まるで蜜を指に絡ませているような感覚に、才人は感嘆の声を上げる。
「なぁ、んっ、にゃぁんっ」
びくびくと身体を震わせ、啼くルイズ。
その声はまるで猫のよう。確かに喉もごるごると鳴っていた。半分猫になっているせいだろう。
熟れきって割れ、溢れんばかりの果汁を零すルイズの実を、才人は遠慮なくこね回す。
指を差し込むたび、ルイズの腰は淫らにうねり、才人の指をくわえ込んでいる。
まるでおねだりしているようなルイズの動き。愛撫を止めるのは、可愛そうな気がしたから。
「やらっ、こんにゃの、やらぁっ」
しかしルイズは泣き声を上げ、猫の耳をしならせて頭を振る。
才人はその声と動きに、背徳的な嗜虐心を覚えてしまう。
ぬぷんっ。
粘った音と粘液の糸を引きながら、才人はルイズの果実から指を引き抜く。
嫌がる素振りを見せたルイズを、虐めてやろうと思ったのだ。
「そうかぁ、イヤならやめちゃおうか?」
指に絡みついたルイズの粘液を弄びながら、才人はルイズに言う。
しかし。
ルイズは、嫌がっているのではなかったのだ。
身体中を縛り付ける快楽の電流が止んだおかげで自由になったルイズは、立膝で脚を広げ、背中を曲げて脚の間から才人を覗き込む。
指を股間に絡めて、先ほどしていたように自らの花弁を引き伸ばし、果実を才人に晒す。
掻き回された愛液が白濁となってこぷり、と溢れる。
そして、甘い甘い甘い声で啼きはじめた。
「ゆびじゃやなのぉ…とどかないのぉ…」
「…へ?」
才人の動きが止まる。指先に絡む液体をこね回すポーズのまま。
ルイズは構わずに続けた。甘い甘い甘い、蕩けそうな声で。
「サイトのながくて…ふといのでぇ…」
「は、はひ」
「おくまで、ちゃんと、おくまでずぷずぷしてぇ…」
一番熱く疼く子宮の裂け目に、雄を押し当てて欲しいと懇願した。
指でさらに牝の顎を押し開く。くぱぁと開いたルイズの水門から、とろりとろりと欲望で煮込まれた白く濁ったスープが溢れ出す。
ここまで甘く誘われて、応えない雄はいないだろう。
そして才人の沸点は、通常の雄よりも微妙に低い。
才人はあっという間にズボンを脱ぎさる。その下半身では、熱く滾る雄がそそり立っていた。
そして、際限なく涎を零す牝猫の腰を両手で抱え込む。
「よ、よし、じゃあするぞルイズ」
「うん…サイトがしたいこと、して…」
待ちきれないルイズは、さらに腰を上げ、甘えるように視線を送る。
柔らかいクリーム色の耳がへなん、と頭に張り付き、短い尻尾が期待にふるふると振れている。
もう、限界だった。
ずぷぷぷ…!
「んにゃぁっ!」
柔らかく蕩けきっていると思っていたルイズのそこは、雄が入ってきた瞬間にそれを締め上げる。
しかし、溢れんばかりに滲み出た牝猫の潤滑油が、いやらしく雄に絡みつき、閉まった肉門の摩擦を打ち消す。
そして、才人の槌はルイズの底に容易く達する。
ぎちゅ…。
「ふにぃぃぃぃぃ…」
奥を突かれて夢心地のルイズの表情は緩みきり、はふはふと舌をだらしなく垂らしながら、次の刺激を待つ。
しかし。
才人はルイズの子宮口に己の先端が当たった瞬間、動きを止める。そのまま、才人は動かなかった。
先ほど刺激された嗜虐心が、再び彼の中で復活していた。
「ふに…?どうしたのサイト…?」
膣内を満たす雄の温度に焼かれながら、しかしさらに強い刺激を欲している発情した牝猫は、己を犯す雄にそう尋ねる。
才人はそんなルイズの耳元で、いやらしく囁く。
「ほんっと、ルイズは天性の淫乱だな?」
「ふにっ!?」
『淫乱』という言葉にルイズのプライドが蘇る。
違うもん…!私、淫乱なんかじゃっ…!
「ちが、ちがうもんっ」
「じゃあ何?この止まっててもウニウニ動いて締め付けてくるこのいやらしいおまんこは?」
才人の言葉どおり。
動きを止めている間も、ルイズの膣肉は休まず動き続け、もっと奥へ奥へと雄を導くべく蠢いていた。
「いやらしくないもん…!う、うごいちゃうのは、お、女の子なんだからしょうがないのっ…!」
「ふーん?じゃあ、そのお尻を押し付けてくる脚はエッチじゃないんだ?」
最奥までくわえ込んでいるにも関わらず、ルイズは膝で腰を押し上げ、ぐぷぐぷとさらに深く才人を咥えこんでいっていた。
それに気付いたルイズは、なんとか脚の動きを止めようとするが、意思に反して脚はぐいぐいと流線型のヒップを才人の腰に押し付ける。
仕方なく、言葉だけで抵抗するルイズ。
「にゃぁっ、ち、ちあうのぉ!そんなの、ちがうのぉ!」
「挿れてから、尻尾も嬉しそうに振りっぱだし、涎だって垂らしっぱなしじゃんか」
言って才人は、ふりふりと悦びを表すふわふわの尻尾をつまみ、根元からこしゅこしゅとしごき上げる。
「ふにぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
その瞬間、ルイズの喉から猫の声が漏れ、視界が真っ白に染まり、才人を咥えこむ膣肉がぎゅりり、と絞られる。
「うわ、すげえ締めつけ…」
「だめ、しっぽだめぇ!」
尻尾を擦られた瞬間、ルイズの理性が完全に飛び、腰が勝手に動き出した。
自分の身体が自分のモノではなくなったようなその感覚に、ルイズは軽い恐怖を覚えた。
しかし。
その声に、才人はさらに興奮してしまう。
「何がだめなんだよ。尻尾こすった瞬間、腰がびくびくってしたぜ。
キモチイイんだろ?ご・しゅ・じ・ん・さ・ま♪」
言って、こしゅこしゅと再びルイズの新しい性感帯を擦りあげる。
「ひにゃぁ、にぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
擦りあげられるたびに腰と足が勝手に動き、淫らなピストンを開始する。
才人は一切動かず、ルイズが四つん這いで激しく腰を使っている格好。
粘り気のあるぢぷぢぷという愛液の泡立つ淫乱極まりない音が、部屋に響く。
まるで、淫らな淫魔が、快楽を貪るために雄を喰らっているようだ。
「だめっ、ふかいのだめっ!だめだったらぁ!にゃぁ!」
否定の言葉を吐き続ける上の口とは全く別の生き物のように、下の口は腰と連動してさらに深く才人を咥える。
そして、ルイズの腰の動きに合わせるように、徐々に子宮口がずるずると下がってくる。
直接どろどろの愛液を才人の先端に吐き出し、膣肉で絡め、さらに結合をスムーズなものにしていく。
「何がダメなのかな?俺何もしてないぜ」
もう、才人は尻尾をしごいてすらいなかった。
ルイズの暴れる腰に手を優しく沿え、ルイズが動くがままにしている。
しかし。
ルイズにはもうその言葉は届いていない。
「だめっ、だめだめだめぇ!いくっ、いっちゃうにゃぁ!」
猫の鳴き声と同時に、ルイズの腰がぎゅぷ、と押し付けられ、牝猫の膣肉がぎゅり、と最後の締めつけを雄に与える。
「くぁ…」
押し当てられた子宮口がぱっくりと開き、才人の亀頭を咥えこむ。早く子種を寄越せと、先端を吸い上げる。
その締め付けに才人の雄が応える。
ごぷりごぷりと、ルイズの弛緩した子宮に熱い熱い精子が吐き出される。
「ふに、ふにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ…」
その刺激に、ルイズの腰がふたたびびゅくんびゅくんと脈動した。
才人が性器をルイズから引き抜くと、そこからどろり、と白濁が溢れる。
その白濁の半分はルイズの愛液で、半分は溢れた才人の精液だった。
「ふいー、良かったぜ、ルイズ」
猫耳のルイズを堪能した才人は、ベッドの上でうつ伏せのまま放心するルイズの頭を、ペットにそうするように撫でた。
そして、そのままベッドから降りようとする。
がし。
その手を。
少し爪の鋭い、ルイズの手が掴んだ。
「へ?」
嫌な予感がする。
才人は屋根裏部屋の壁に逸らしていた視線を、ルイズに戻した。
半分泣いているような、半分怒っているような顔と、目が合った。
「…待ちなさいよばかいぬ」
言いながらルイズは才人の下半身に覆いかぶさる。
腰は半分抜けていたので、腕でひきずるようにしながら。
「あ、あの、ルイズさん?」
「誰が淫乱よ。エロいことすんのはあんたでしょうが。私は淫乱なんかじゃないわよ」
言いながら、ルイズは才人のしおれた一物をきゅむ、と握る。
少し飛び出た爪が、かりっ、と才人の返しを削る。
その瞬間、悲しいかな、雄は刺激に完全復活する。
復活した才人を見て。
ルイズは、これ以上ないくらい、淫らで優しい笑顔になった。
それはまるで、発情した牝猫のよう。
「ほら、こんだけでおったてて。エロいぬのくせに生意気なのよ」
「あ、あのすんません撤回しますから許して?」
その笑顔に背筋の凍るような何かを感じた才人は、思わず腰を引く。
「許さない。絶対許さない。ちゃんとできるまで許さないんだから」
「あ、あの。できるって何が?」
ルイズは才人の間抜けな質問に、再び熱く滾り始めた才人のナニをこしゅこしゅと指で擦りながら応えた。
「ちゃんと孕むまでスルんだから。逃がさないんだから。へんたいいぬ。な〜〜〜ん」
言って、ごるごるごると喉を鳴らして、才人の肉棒にすりすりと頬ずりする。
「ま、待って、今日危険日なんすかルイズさんっ?」
「ふに?違うわよ?アブない日は明後日からかにゃあ」
ま さ か。
「あ、あのまさかルイズさん?」
「うーふーふー。だからー。明後日までずーっとスルのよ。ちゃんと孕むまで・ね♪」
「いやまってムリだってそれムリ!」
「反論禁止ー。言い訳禁止ー。ついでに私が音を上げるまでこのえろちんぽの休憩もき・ん・し♪うふ♪」
「悪かった俺が悪かったからーーーーーーーっ!
アッー!!」
世の理不尽を全身で感じながら、ルイズのちょっとザラザラした舌の愛撫を息子に感じながら、才人は自分の行いを悔いたのだった。
次の日。
魔法が解けて完全に『猫』の抜けたルイズは、猫だった期間の記憶に真っ赤になり、才人が記憶を完全に封印すると宣言するまで、才人を踏み続けた。
世の中は理不尽で出来ている、そう心の底から実感した才人であった。〜fin