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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:54:39 (5640d)
退廃と哀歓の休暇〈下〉・後編1 ボルボX氏
離宮の典雅な庭はそのむかし、名をはせた建築家に王家が依頼して、造園させたものである。植わった木々の一本一本にいたるまで配置を計算されつくしており、これを専門の庭師が一年を通じて完璧に管理している。
アンリエッタの泊まる寝室が、夏の夜にしては涼しいのも、庭の地形により風が導かれて吹き抜けてくるためである。
その涼気ある青みがかった闇を、淡いランプの光がそっと遠ざける室内。
透ける夜着をまとった優美な少女が、艶っぽく光る唇にビスケット片を押しこまれ、胸部布地を押し上げる豊かな乳房をふるんと震わせてあえいだ。
アンリエッタはあお向けに組み敷かれ、ばんざいをするように腕は頭上にのばさせられて、枕もとのクッションをつかまされていた。
「腕を下ろしちゃだめですよ」と才人に命じられているのである。
「思ったとおり似合ってますよ、その格好。綺麗でいやらしく見えるや」
自分は裸でのしかかりながら、直截的な批評を才人が降らせてくる。
「夕食」をとらされているアンリエッタは、彼の真下で恥じらいに目を固く閉じ、つつましくもぐもぐ咀嚼していた。
やがて、少年の「よし」という許可とともに飲み下す。
宵闇のなか、ベッド枕元のランプのおぼろな輝きが、才人に組み敷かれてベッドに横たわるアンリエッタの姿を浮かび上がらせている。
白い裸をくるむのはベビードールの夜着であり、可憐な耳朶にはガラス細工のイヤリングが装着されていた。
ランプの隣には、庭師が手折ってきたレモンの花が、枝ごと筒型の花瓶に挿されてある。
少女がつけた耳飾りの装飾もまた、ガラス細工のレモンの花――
――その白い花をかたどった細工が、ツリガネソウ型のランプの光に同調して、ピンクトパーズのきらめきを放つ。
彼女がいま身につけているホルターネックのベビードールは、もともと布で覆う面積が少ないうえ、布自体が極薄仕様になっている。
艶美な体の線がほとんど透視できるデザインになっていて、気品を保ちながらも危ういほど官能的な印象を与えているのである。
そのレースの入った透ける淡いピンク色の薄布は、うなじと背中の二箇所で結んだリボンに留められ、少女の美麗な胴体を包んでいた。
覆っているのは主に前面で、肩は完全に露出し、背中にも大きくV字の切れ込みが入って素肌をのぞかせているのだが。
背後から見れば、まず首の後ろで蝶結びされたリボンの首紐が目につく。栗色の髪をかきあげれば、純白のうなじの艶っぽさをリボンが引き立てているのがよくわかる。
背面は大胆なV字カットで、腰の上まで裸の背がさらけだされており、途中でこれまた大きな蝶結びのリボンが、左右の布をつないでいる。
若い素肌のなめらかさと白さが見るものの声を呑ませる。さながらしんしんと降り積もった新雪が音を吸うように。
けれどこの夜着をまとった上半身は、やはり前から見たときのほうが引き立つ。
この優雅な、桃色の霞のドレスに似たベビードールの上体では、流麗な線をえがく胸乳が肉感たっぷりに極薄の夜着を盛りあげて、先端の儚く揺れる乳首の形までをあらわにしていた。
乳輪の淡い桜色さえも隠せない極薄の布は、そこから光のカーテンのようにさらさらと下に落ちて、くびれた胴体をゆるやかに包む。
若々しく肉の薄い腹部と、そこにおさまったつつましやかな縦長のへそも、当然のようにレースの向こうに見えている。
下半身は、前後どちらからも淫麗な眺めだった。
ベビードールのすそは、丈が太ももに届く程度と短く、かろうじて美尻を隠せる程度だった。
腰骨の上の両横腹まですっと伸びた脚の線。それが形づくる恥丘の三角州は、布の向こうでひっそり生える恥毛の栗色にけぶり、秘めやかなたたずまいを見せている。
弾みそうなほどみずみずしく実って成熟しつつある桃尻は、レースの入る透け布が張りついた妖美な双つの半球となり、男の視覚に訴えかけて効果的に欲情させる。
夜のベッドの上で男性の情欲をあおりたてるのに、これ以上ふさわしい服もそうそうなかった。
だがいたたまれなさそうにしているアンリエッタは、この格好そのものにはそれほど恥ずかしさを覚えているわけではない。
今日、才人が街で買ってきたこのベビードールは、たしかに大人びて扇情的な印象が強いのだが、デザインも素材もそう悪くない。というより素材は貴顕の者が身に着けるような上質のものであり、どこで手に入れたのか不思議にさえなってくる。
羽衣のように軽く、肌触りもきわめて柔らかく、着心地が非常によい。最上のものを幼少から知っているアンリエッタの審美感覚でさえ、違和感を感じなかったくらいだった。
また、普段から召使らに身の回りをゆだねている王族ゆえに、肌があらわな衣装や裸身そのものを見られること自体には、どちらかといえば大らかなほうである。
少なくとも猫コスチュームだの首輪に犬耳だのの格好をさせられるよりは、格段にましだった。
アンリエッタが消え入りたさを感じるのは、この体勢で「夕食」の世話をされていることである。
「ぁぅ……ふ……」
上半身に体重をかけないようにしてくれてはいるが、男にのしかかられているのである。深く沈むような感触のベッドの上で、開かされた脚の間に少年が入っている。
互いの恥部をすりつけるように、下半身が押し当てられてきていた。ベビードールとセットになったショーツに、上を向いて硬くそそりたった男根の裏側を押しつけられている。
ショーツに浮いた大陰唇の縦筋にそって、柔らかな女性器に硬い肉棒がめりこみ、ちょうど亀頭裏筋のあたりがクリトリスを圧迫してくる。
ほとんど動かれることはないとはいえ、またしても焦らされているようなものである。
その状態で、上の唇では簡単な食事を少年に与えられている。
少年が硬い干しイチジクをすこし噛んでやわらかくし、それを口移しに含ませてくる。
ゆるゆるした性感とおなじみの羞恥に頬を真っ赤に染めながら、アンリエッタは唇を閉じてそれを咀嚼していく。
ランプを置いた枕元には、水差しや果物が置いてある。
上にのしかかっている才人が、少女の前髪をかきあげてやりながら言った。
「今度もしっかり噛み噛みしてからごっくんするんだぞ。
……よし、もういいです」
許しを与えられ、のどを鳴らしてすっかりオートミール状になった果物を飲みくだす。
眉を切なく下げてあえいだところで、開いた唇にこんどは皮をむいたブドウを指でおしこまれた。
汁気たっぷりの果物の酸味が、こころよく口中にひろがる。
「ぅ……」
唇から離れた才人の指がするる――と、アンリエッタの下唇から鎖骨下までを縦になぞった。のどを撫でるような動き。
「んっ」と身を震わせて、うっかり小さなブドウの粒を丸のみしてしまう。
「次はまた果物? それとも飲み物にする?」
「じ……自分で食べられますわ……
……せめて、あの、脚を閉じさせてほしいのですけれど……」
「ん? もっとしっかりおま○こグリグリしてたほうがいい?」
才人の腰がM字に開かされた少女の脚のあいだに、ぐぐっと沈んだ。反り返った肉棒の裏側が、密着していたショーツごしに女の秘部を圧迫する。
とたんにアンリエッタは小さく叫ぶ。腰にぶるるッとわななきが走り、布の下でグチュと音がした。肉棒の裏側で、じんわり濡れたショーツがさらに熱く湿っていく。
それらの明敏な肉の反応にいっさいかまわず、才人がそのままぐっぐっと下半身を強く押し付けてくる。大陰唇が歪まされ、クリトリスが肉棒にクニュッと押しつぶされる。
手を下ろすなとの言いつけを忘れて、アンリエッタは両手で少年の胸板をおしあげ、首を振って切迫した声をあげた。
「ひいいッ、ちがっ、そっ、そんなこと言っておりませぬ、腰を引いてっ」
「あ、ごめん」
わざとらしく謝りながら、才人が腰を少し引いた。「ぁっ、ふ……」と艶めく息をこぼす少女の濡れた唇に、また果物があてがわれる。
「そら、もう一個ブドウ。今度はちゃんと味わって。
それとつぎ腕を下ろしたら、手を縛っちまうからな」
つぷ、と唇に押しこまれた。少年のひとさし指が、ブドウを舌まで送り届けるかのように口内に入ってくる。
肉棒への奉仕を仕込まれてきた口がつい反応し、甘えるようにその指に舌をからめて吸ってしまい、ますます少女は羞恥に上気する。
(食べさせられながらなんて、こんな、はしたないわ……)
いまでは言われたことはたいてい受け入れられるつもりだったが、さすがにこの状況には抵抗を覚える。
まるで乳児のように扱われている。いや、飲み下すことまで「おあずけ、よし」を出されることを考えると、愛玩動物に近いかもしれなかった。
その屈辱的な恥ずかしさが、とろ火で煮立てられるような責めと溶けあっている。
本当は、今すぐにでも肉体の欲求を「満足」させてほしい。
挿入されず秘部に押し付けられているだけではなかった。上半身を手で愛撫されている。薄すぎる布を通し、ほぼダイレクトに男の手の感触は伝わってきていた。
悩ましい量感のある乳房は執拗に玩弄されているし、わき腹や腕、太ももなどのなめらかな肌も、たびたび触れるか触れないかのタッチで円を描くように撫でられる。
子宮をじっくり性感で温められていく。
またしても焦らされているとわかっていても、体の芯から待ちわびて、気が変になりそうなのだった。
「ん、んんン……」
与えられたナッツを噛み砕きながら、汗ばむ乳肉をねっとりと愛撫された。
布ごと乳首を強めにつままれて、ぷりぷりした肉突起を甘痛くひねられ続けると、華奢な鎖骨あたりまでさあっと肌の紅潮を強め、胸で達しそうになってしまう。
ほんとうに達する前にじんじんする乳首から指を離され、「よし」を出されてどうにかこうにかこくんと呑みくだす。
左右の乳房の横に手をそえられてフルフルと震わされながら、かがみこんだ才人にささやかれる。
「食べ終わったらいっぱいしてあげますよ。
こっちだってわざわざ四日も我慢してためてたんですから。嫌だって言っても許してやんないからな。
ぜんぶ詰め込んであげますよ」
「はふ……」
このすぐあとに待つ淫らな責めを通告されて、アンリエッタのあえかな息がこぼれる。
それはおののきだけでなく熱っぽい何かをはらみ、細くたなびいていった。
その間も男の手で揺らされ、さざなみ立たされるきめ細かい乳肉が、徐々に甘ったるく燃えていく。
内部で乳腺が細かく震動しているのかと思うほどで、やるせない肉情が胸を満たしていく。
わずかに盛り上がった乳輪を、肌着の上から指ですりすりとこすられると、とっくに限界まで勃起していると思っていた両乳首がぷくんぷくんとさらに張って、痛いほどにしこった。
少女は嬌声を必死にかみ殺そうとしたが、その赤い肉の実をクリクリとつまみしごかれると、否応もなく声帯を震わせられた。
「ふああっ、それもどうかやめて、お乳の先を触らないで!」
「あれをするな、これをするなって言うばかりだよな。ま、いいさ」
乳首をひねられるのは止んだが、また乳房をねちっこく揉みたてられだす。今度は力をややこめられている。
男の手の力強さを確認させられるような揉まれ方で、才人の指が肌着の布ごと、白いふかふかの胸脂肪に溺れそうなほど深く埋まってくる。
そのたびに少女の乳肉の中で疼痛がおこり、それが淫らな火をあおって乳首を固くしこらせ、子宮をもうずかせていく。
餌を与えられるように食事を世話されていきながら、上気したアンリエッタは哀切的にいっそう眉を下げた。
…………………………
…………自分の手を使うことを許されないまま、「夕食」が進む。
才人が食堂から取ってきた夕食は、空きっ腹をなだめる程度のほんの少量だったが、食べさせられるアンリエッタにはこの時間がことに長く感じられた。
才人がさわさわ撫でるくらいの、少女を達させないように注意を払った愛撫を、美肌のあちこちにほどこしてくる。
そうしながら、すっかり楕円形に愛液の染みをつくったショーツを、肉棒の幹でなおも圧迫してネチュニチュとこすりたてるのだった。
ベッドに組み敷かれたアンリエッタの体は、熱を増していく。焦れったい性感の高まりにより血の色をうっすら透かした肌に、甘美な汗が流れ始めている。
すっかり張りつめた乳肌の横を指でくすぐられながら、少女はのどを反らしてあえぎ、ひたすらに念じた。
(はやく終わって、はやく……)
焦燥感が身をあぶる。終わったらしてもらえる、という思いだけが膨れ上がっていた。もとより、夕方に「抱いてほしい」と言ったのはアンリエッタ自身である。
食べながらするのははしたない、という一念だけで我慢していたが、それもとうに限界がきていた。自分から腰を動かしてしまわないようにするだけで精一杯である。
これは明らかに、夕方の淫らな遊戯の続きだった。
あのとき肘かけ椅子の上で口唇愛撫されて一度だけ味わわせてもらった歓楽の極みを、少女の肉体が恋うている。あれのせいで、かえって色情がどろどろに煮詰まっているのかもしれなかった。
ひたすら耐え続けるアンリエッタは、高々とさしあげた手でクッションを固くつかみながら、ひざを立てた脚のほうでも足指をにぎりこみ、ベッドのシーツを巻き込んでしまっている。
ぷるぷると紅潮した肌が震えていた。
「これで終わりですよ」
そう言いながら才人が、水差しをとって自分の口にふくんだ。中身はミントエキスと蜂蜜の入ったレモン水である。
覆いかぶさって、少女に口移しで与えてくる。
おとなしく唇を開いて重ね合わせ、アンリエッタは与えられるその飲料を受け入れた。
たちまち口内に爽やかな刺激が満ちる。が、それだけではなかった。
「んむ――」
アンリエッタがのどを鳴らしてレモン水を飲み下しても、才人の唇は離れなかった。続いてぬるりと舌をすべりこませてきたのである。
くぐもったうめきをもらした少女の舌とからみあわせて、陵辱するようにねぶり回し、ミントレモン水の清冽な甘酸っぱさの残る口内をまさぐってくる。
同時に男の両手が、ばんざいの格好を取った少女のなめらかなわき下に当てられ、愛撫してきた。手のひらでリンパ腺を刺激するようにさすり、じっとりと押し揉んでくる。
「んむっ、んうー! んむン、んんん!」
煮えた悲鳴が、才人と重ねた口のなかではじける。その声さえ奪うように急に舌を、千切れるかと思うほど吸われた。
さらに、またも腰を押し付けられる。ぐりぐりと秘部を圧迫される。
恥部と露出したわきを責められながらの深い口づけの中で、焦らされ続けた性感がせきを切りそうになり、ビクンと背がたわんでアンリエッタの体が反った。
その瞬間に、さっと才人の腰が引かれ、キスも離れた。
絶頂の寸前で解放され、アンリエッタの硬直しかけていた体が徐々に弛緩する。甘い汗が雪肌に浮き、薄布を貼りつかせていく。
突き出して震える舌と舌の先を、唾液の銀の糸がつないでいた。
「はぁ……ぁっ……」
「いまのって、限界突破しかけたんだろ? ちょっと強めにキスしただけでさ。
そこまで焦らしてたつもりはねえんだけどな。やっぱり今夜は体が燃えてるっぽい?
あ、ちょ、ちょっと……」
唇を離して白々しく言った才人が、直後にあわてた声をあげる。
ひくんとアンリエッタの両脚が上がって、少年の腰に下からからみついたのである。
すべやかな美脚を少年の体にまわし、きゅっと引き寄せながら無我夢中でアンリエッタが懇願する。
「もうしてくださってかまいませぬ、ですからはやくしてえっ、もう限界なのですっ」
焦らされすぎて余裕を完全になくした声だった。潤みきって揺らめく瞳の奥底で、女の欲求が渦まいている。
先ほどまでは焦らし責めで情欲をぎりぎりまで高めつつも、食べながらということにわずかに抵抗感を覚えていた。
けれど今はもう「してもいい」。そう認識したとたん、今しがた寸止めで性感を放り出されたこともあいまって、情欲の熱が沸点を超えたのである。
「お、おい、待ってってば、すぐ挿れて最初の一発目を出すつもりですから……
うわ、こ、こらぁっ、こすりつけるなっ」
肌に張りのある若々しい太ももが、腰までまくれあがったベビードールの裾から伸びて、才人の胴体をはさみつけている。
そして煮込まれてきた少女の腰が、下着ごしとはいえ秘肉を肉棒に密着させたまま、恥知らずにクイクイと動きはじめていた。
数日感ちゃんと抱いてもらえず焦らされたことで、「ちゃんとしっかり気をやりたい」とアンリエッタはそれしか頭に無くなるほど追い込まれていたのである。
痴女のように男を美脚で巻きしめ、下から腰を揺する。濡れて透けた下着ごと秘肉を男根にクチュクチュこすりつける行為を、肉体が止められなくなる。
快美感が股間から流れ込んできて、甘ったるく理性を溶かされてしまうのだった。
アンリエッタはただ無我夢中なだけだったが、その動きははからずも才人から主導権を奪い、彼を追い詰めることになっていた。
レースの下着に覆われたプリュプリュした柔らかな肉に、肉棒を根元から裏筋までこすりたてられて、少年は急速に追い込まれていく。
なんとか制止しようとする少年の声がせっぱつまる。
「姫さまやめろってば、今してやるからっ、こすられたら出ちまうんだってっ!
こっちだって四日間我慢して、うっ、くぅ……!」
ぴゅるっと先走りが鈴口からあふれ、精子を充填した陰のうがぐぐっと持ち上がる。
「ああ、くそ、もうっ! だめだ、俺ももう出るっ」
やけになった声をあげて、才人は腰を自分から強く押し付けた。アンリエッタの「ひぁん」という甘鳴きにかまわず、射精間際の動きで激しく腰を使いだす。
血管を浮かせたがちがちの肉棒が、下着に浮く大陰唇の縦筋に深くはさみこまされる。愛液でべっちょり透けたレース布地に、ムニュリと歪む土手肉が浮き上がった。
その熱い湿りを楽しむように、男の肉がずりずりと前後していく。
こすりたてられて布の下でクリトリスの包皮がずりおろされ、肉豆がニュルンッと剥けて飛び出す。
あまりの劇感に、今度はアンリエッタが制止の叫びをあげた。
「ひあああああッ、ちょ、ちょっと待って、
それっ、激しすぎますから――お豆が直接こすれておりますぅっ」
「待ってって、さっきはあんなおねだりしたくせに! くううっ、出る……!」
聞く耳を持ってもらえず、薄布を押しあげて甘く勃起するクリトリスを、硬度を増して脈動しはじめた肉棒でコリコリとひきつぶされていく。
崖ぎわまで来ていたアンリエッタの性感がたちまちに昂揚し、ジュッと灼熱した。
「もうっ、こんなぁ、ふああっ、あああっ、だめえ、
んん、んんんんーっ、イっ、んっ、イきます、うあああ――ああああああっ!」
脚で才人の腰を強く巻きしめ、双の腕でも少年の首をぎゅうっと抱きしめて、極みに達したことを少女は告げた。
秘部がジンジンと痺れ、ベビードール裏地にこすれる両乳首がひくんひくんと脈動を覚えた。
ほとんどそれに合わせるように、アンリエッタの恥丘の上で才人の肉棒も大きくはね、ビュクビュクと精液をまき散らして踊った。
優艶なレースのショーツが、特濃の白濁で汚されていく。
…………目くらむ一時が去った後、余韻と気だるい熱が、抱き合ったままの二人を包んでいた。
沈黙が少々気まずかった。アンリエッタは、少年の腰にからみつけていた美脚をそろそろと外す。
無言のまま自分にのしかかっている才人の首筋に、恥ずかしさであらためて真っ赤になった頬を寄せる。
(わたくしったら何ということを……)
食べさせられながら求めるのははしたないと思って我慢したのだが、そのせいで情欲がたまりにたまった結果、よっぽど目を覆いたくなる痴態を直後にさらしてしまった。
脚をからめて腰まですりつけて、自分からせがんだのである。言い訳のしようもない。
それでも、ほう、と艶やかなため息をもらしてしまう。
頭が煮えるほど恥ずかしい姿を少年に見せてしまうことには、今では安心感と妖しい疼きをともなった不思議な喜びがあるのだった。
どれだけ淫らな、どうしようもない女になっても、この人になら見せられる。
けれど責め手の少年は、その甘い気分に長く浸らせてはくれなかった。
才人は抱きしめてくる腕を振りほどくように上体を起こしてから、いきなり手をつっこんできた。
アンリエッタのまくれあがったベビードールのすそに。
「サ、サイト殿、何を」
「パンツ脱がせますよ。腰上げて」
べっとりと精液で汚れたショーツの両横、腰骨のあたりに手をかけられていた。
アンリエッタに脚をそろえさせて腰を浮かせると、少年はゆっくりと脱がしはじめた。たちまち濡れそぼつ恥毛をやどらせた恥丘の三角州があらわになる。
非常にゆっくりと脱がされることで羞恥心を刺激され、ついアンリエッタは両手で恥丘をにぎりこむように隠してしまう。
が、そこで才人の手が止まり、「隠すなよ」と感情の読み取れない声が降ってきた。
ショーツはまだ艶麗な太ももの半ばまでしか引き下ろされていない。
「……姫さま、お豆を自分でしっかり剥いたままにしといて。おしゃぶりされるときみたいに。
思いっきりイきたいんでしょう?」
「……っ」
命令に新たな羞恥がこみあげ、アンリエッタは恥丘を押さえたまま凍りつく。クリトリスと子宮が連動しているように、両方がトクトクとうずく。恐怖と期待のないまざった妖しい感覚。
しばしためらった後、けっきょく彼女の手はそろそろと動き、従順に恥部の肉豆周りを押さえた。プクンと勃起した丸い肉豆が剥き身を主張する。
さらに言われるまま尻を締めて腰を浮かせ、恥丘を突き上げるようにしてクリトリスを強調させられたところで、才人の手がそこに触れてきた。
赤剥けした快楽器官を指でつままれて、脳裏でバチッと電光が閃く。アンリエッタは閉じていた目をさらにかたくつぶった。
クリトリスを撫ぜる指はなぜかヌルヌルとした感触で、周囲の粘膜ごと肉豆がすぅっと冷えたように感じ――急に感覚がかっと燃えあがった。
「ひいいいいぃ!!?」
アンリエッタのうわずった悲鳴があがった。
ヤスリ状の猫の舌で、敏感な粘膜を舐められているような鮮烈な感覚に、目を見開く。
いつのまに傍らのシーツの下からでも取り出したのか、才人は片手に潤滑用クリームの入った小ビンを持っていた。
「サ、サイト殿、わたくしに何をしたのっ!?」
「いや、ちょっと町で買ってきたえっち用の新しいのを塗ってみたんですけど、どう? スースーします?」
「ばかぁ! これ、刺激物入りではありませんか!」
「そういや店の人が、ミントとか胡椒とかが入ってると言ってたような。
ほーら、つまんでクニクニっと……まだしてねえってばさ、そんな悲鳴あげるなよ」
「だめっ、いくらなんでもこれはだめ!」
また恥丘を両手で隠し、涙目で声を高くして拒否する。
クリトリスは、この前までアヌスを躾けられながらさんざん弄られていたせいもあって、ここ最近きわめて敏感になっているのである。このまま一生戻らなかったらどうしようと悩んでしまうほどに。
まして夕方に椅子のうえで唇で優しくついばまれ、時間をかけて悦びを極めさせてもらった肉豆は、赤い宝石のようにぷくんと膨らんでしまっている。
口唇愛撫や軽く触れられる程度ならいいのだが、情け容赦もなく責められると、泣き叫ばずにいられないほどの劇感が燃えあがってしまう。
そこに刺激薬入りのクリームを塗られて、さらに過敏にされたのである。
確かに体のうずきはどうにかしてほしかったが、限度を超えて責め嬲られるのもごめんだった。
「塗り薬なんていやよ、普通がいいですのに……」
体を火照らせつつも、本気で怯えた声が出てしまう。
才人が片頬をゆがませた笑みを見せ、嗜虐的な命令を下してきた。
「されたくないんだったら、自分でそこをいじれよ。
……自分でもしないって言うんならそれでもいいんだぜ。さっきはあんなにがっついていたんだもんな、そこまで欲しかったなら今夜はとことんしてあげますよ。
ここを俺の手で、今からずうっと一晩中クニクニいじっとこうか。何度イったって許さないからな」
後のことを考えれば、ここで屈してはいけなかったかもしれない。
それでもこのときの少女には、言われるまま自分でする以外の選択はできなかったのだった。
…………………………
………………
……
くちゅっ、くちゅっ、くちゅっ、くちゅ……と、小刻みに一定の速度で、潤んだ肉の音がベッドから響く。
座った才人に背をむけてまたがり、尻を下ろして、アンリエッタは後ろから貫かれていた。
要するに背面座位である。そして、自分で腰を動かさせられていた。
「……はっ、……あふっ、あん、……ひぃ……っ、ふ……!」
白い細やかな指は自分の股にもぐりこみ、結合部の上で丁寧にクリトリスを転がしている。
そうやって自分で愛撫しているとたまらなくなり、アンリエッタの尻は肉棒をくわえこんだままくちゅんくちゅんと上下するだけでなく、ひゅくりひゅくりと円を描く。左右にクリクリとよじり、卑猥に前後にくいくいと振りたてさえしてしまう。
後ろに腰を押し付けながらくなくなと揺すり、みっちり肉のつまった若々しい白桃を踊らせていく。大きな運動ではないが、牝の本能を引き出された動きだった。
上気してうすく薔薇色に染まった尻を揺すりたて、快楽にふやけた鳴き声をあげながら着実にのぼりつめていく。
後ろから抱っこされるような体位で少年に抱かれ、ぷるんとして女らしい美麗な尻をはしたなく動かし、自分で自分を追いつめている状況だった。
ベッドに脚をなげだしてそんな情熱的な奉仕を受けている才人が、少女の恥ずかしさと性感を増幅させるように、すぐ背後から軽い揶揄の言葉をかけてきた。
「動きがやらしーなぁ」
「……あなたが、あなたが動けとおっしゃったのですっ……
あふ、わたくしのせいじゃないわ……こんなの、どうしようもありませぬ、ンン……っ」
「せいじゃないって、そんな夢中でお尻ゆすゆすさせてるくせにさあ……
ちょっと手伝ってやるよ」
そう宣言すると、才人が腰を微妙に突き上げはじめた。子宮口をコンコンと軽くノックされる。
それほど強い動きではないが、男のほうからの抽送を受けたとき、すでに兆していた少女の肉体がはっきりと絶頂への秒読みを始めた。
「あうっ、ぁぁっ、う、動かれてはぁ……!」
「アンが自分でちゃんとしないなら、俺のほうからするって言っただろ。
またおっぱい揉んでやろうか」
才人が手を上げて、少女のわきのほうから、ベビードールの薄布の中に両手を滑りこませる。豊麗な両乳を手のひらでじかに包み込む。
布地の下で、上気して薄い桜色になりつつある白い乳房をこねまわし、タプタプと揉みあげてくる。
「だめっ、うぅん、だめ、あああっ……あふっ、お乳……ぃ」
絶頂に向けて震えだした少女を優しく導くように、才人の手がベビードールの下でもぞもぞと動き、白い豊満な乳肉をふんわりとこねあげる。
同時に女の肉を馴染ませるような抽送を、下から肉棒がもたらしてきて、少女の情炎を燃え立たせていく。
ぷりぷりの乳首肉を指の間にはさまれ、くにくに揉みつぶすマッサージをほどこされて、アンリエッタの十分に高まっていた淫熱がふつりと臨界を突破した。
「お乳、おちちきもちいい、ぅぅん、気をやりそう、ふぅっ、イきます……んっ、んんんん、いくぅ……っ」
静かに官能が灼け、たまらず報告の言葉をつむぐ。
前にうつむいて背中を丸め、絶頂の中でも乳肉を愛撫される切ない感覚に耐える。
ベビードールにもぐりこんできた男の手に、ピンク色の乳頭を強くつままれるたび、薄衣の下で肌が紅潮の度を強め、悩ましく透ける体のラインがぴくんぴくんと震えた。
責めも官能の高まりも一段落ついてから、ようやくアンリエッタが顔を起こすと、才人が背後から声をかけてきた。
「姫さま、今夜はとくに体の反応がいいみたいだけど、それにしたってもう何回イったんだっけ……軽くイくの含めて二ケタ超えてるよな?
調子に乗ってあんなにお豆、自分でクニクニいじりまわしちゃうからですよ」
陶然と弛緩した表情を、青い瞳に悔しげな色を浮かべることで引き締めて、アンリエッタは紅潮した恥じらい顔を肩越しに才人に向けた。
「これだってあなたがさせているのに……指を止めるなと……ンン……」
白大理石の細工物のような繊麗な指の下では、クリームを塗られたクリトリスが悲惨な状態になっている。
妖美な肉の粒は最大限に膨れあがってジンジンと熱を持ち、虫にでも刺されたかと思うほどひどくうずき続けている。本当のところ、触れと言われていなくても、触らなければ狂いそうになる。
触れば触ったで、その器官が生みだす脳まで痺れる感覚に惑溺してしまう。結果、才人に挿入されながら、自分の手でそこを愛撫するのをやめられなかったのだった。
まして挿入された最初のときから、才人はまたも焦らすような責め方をしてきたのである。
先ほどクリームを塗られたあと、まずショーツを完全にはぎとられてから、両足首を持たれて脚を扇のように開かされた。
そして膣口に亀頭を噛ませるようにして、浅く浅く犯された。
ときおり不意打ちでずるっと奥まで入ってこられるほかは、才人の肉棒をほんの少ししか与えてもらえなかった。
絶頂を簡単に与えてもらえないことにたまりかねて、自分の指の制御を忘れ、とうとう自分で肉豆を転がしながら絶頂をむさぼってしまったのだった。
最初のうちはこっそり「触れているふり」であまりクリトリスをいじらず、快楽をコントロールしようとしていたのだが、それがその一回の絶頂で無駄になった。
そのあとも相変わらず男から薄い官能しか与えてもらえないことが、「もうちょっとだけ、もう少しだけ今のを」という欲求のささやきを延々と続かせた。
自我をうしなわず楽しむに都合のいい快楽のレベルと、肉体が貪欲に欲するレベルの間に、大きなへだたりがあったのだった。
要は、欲情しきった肉体の自制がきかなくなり、挿入されたまま夢中で手淫にふけり、浅ましく絶頂をむさぼったのである。
そしてわかりにくかったが、才人の挿入の深度はゆっくり、少しずつ深くなっていた。
アンリエッタは途中でそれに気づいたが、そのころにはもうどうしようもなかった。
体位が変わって肉棒の上に座らされ、今度はクリトリスをいじるだけでなく腰を振らされることになっても、頭が酔ったようになって快楽運動を中止することができなかった。
今となっては思惑に乗せられたまま、艶っぽい表情と甘い声で少年をなじるしかできない。
「わたくしに、どこまで恥をかかせようとなさるの……」
「どこまでも何も、そっちが勝手に乱れるんだろ。俺は優しく抱いてるだけですよ、こういうふうに」
そう言うと、才人は小刻みに腰を突き上げるのを続行してきた。
たちまち、少女は嬌声以外のほとんどの言葉を封じられてしまう。
「あ、あ、……あっ、ふぁあああぁ」
子宮口をトントンと小突かれ、最奥の膣肉を張りだしたカリで掻かれていく。
胎内からほだされ、肉体も心も“女”のすべてが悦びにざわめく。艶にくずれていく様を、少年に残さず見せてしまう。
たちまち性感をもとの絶頂に近い高みまで押し上げられる。だがそこで少年の動きが止まった。
気がつくと、少女の腰は中断された快楽を追いかけて、ゆるやかにくねり出していた。
間際まで追い込まれれば、牝の反応を高められた体がほとんど勝手に動くのである。
何度も繰り返された流れに、アンリエッタは恥じらって鳴く。
「また、またこれなのですか……こんなことをいつまで続けるのっ……」
「じゃあやっぱり、もっと激しくされるほうがいい?」
アンリエッタの繊美な胴を抱きしめていた才人の両手が、わざとらしく下腹の前まで下がってくる。
あわてて結合部の上側でひくつくクリトリスを手で隠し、震える言葉をつむぐ。
「あ、あまり強くされるのも嫌です、丁度いいくらいにしていただければ……」
「と言ったって、そっちの『丁度いいくらい』は範囲が狭いんだよなあ。
優しい刺激だったら『焦らさないで』ってせっつくし、ちょっと強めにしたら『激しくしないで』だろ?
何度も簡単にイける体で、なにが不満なんだか。だいたい、いつも思ってたけど一人だけイキすぎなんだよな、姫さまは。
ちょっと不公平じゃねえ?」
そう返してきた才人が、思いついたとばかりに目を輝かせた。
「そうだ、今からは同じ数だけイかせあおうぜ。それでこそ対等ってもんだろ。
どっちかが余計にイったままで終わったなら、そのぶん相手に借りがあるってことにしましょう」
狼狽の汗が少女の背筋を伝わる。
同じ数だけ。そんなことができるわけがない。
いつも才人が一回射精するまでに、少女の体は何度も絶頂に押し上げられるのが常なのである。
「でも……むりですわ、わたくし、そんなのは……」
「そりゃ最初は無理かもな、こらえ性のない体だもんな。
でも無理でもなんでもやってもらいますから。きっとそのうち成長して、俺に借りを返せるようになりますよ。
それまでは『借金』がたまってるみたいなもんかな」
一方的に通告すると、才人はアンリエッタの腹にまわした腕に力をこめ、後ろに少女の体を引き戻してきた。
中腰でお尻を後ろに突き出すようにして結合していた体勢から、才人の肉棒の上にまっすぐに座らされた。
体重がまともに下にかかり、蜜壺に根元まで肉棒が沈み、亀頭がぐりっと子宮を押し上げる。
「〜〜っっ……」
アンリエッタの瞳が潤み濁り、肉のくさびを深々と受け入れさせられた腰がわなないた。
「こっち向いてくださいよ、キスしてあげますから」
ちゅっと頬に軽いキスをされ、少女はつい愛戯の誘惑に負けて肩越しに振り向く。
言葉通りに、才人が唇を重ねてくる。
肉に耽溺させられて朦朧とした瞳が、じわりと甘える色を帯びた。口づけのなかで、その瞳はまた悦びに拡散していく。
「ちゅむ……ぢゅ……俺の言ったこと、わかったよな?
公平に同じ回数イクのなんて簡単ですよ、俺が出すのに合わせていればいいんです。できますね?」
「あむ、ん、わかったかなどとぉ、言われても……
はぷっ、あん、ちゅ、ぁむン……」
唾液を飲まされ、舌を吸われる深いキス。
その合間合間にささやかれ、抱きしめられた腰を返事をせまるように揺すぶられて、蜜壺に絶え間なく刺激を送りこまれる。
脳裏がさらにぼんやりして、思索をめぐらせることもできなくなっていく。
これでは駄目と感じて顔をそむけても、才人の口での愛撫は横顔とうなじに続いていく。痕が残らない程度のキスを、点々と。
細いうなじをぺろりと舐め上げられて、生え際の産毛がぞわっと逆立った気がした。白皙の肌に血の色を透かし、素直に鳴いてしまう。
「これちょっと脱がせときますよ」と声をかけられた。
そのことを少し遅れておぼろに知覚したとき、すでに彼の口は、うなじで結ばれているリボン紐をくわえ、引っ張ってしゅるりとほどいてきていた。
うなじの紐がほどけるとすぐ、アンリエッタの胸部を覆うベビードールの布がはらりと胸下まで落ちた。
双の乳房が、ふるんと夜気の中にあらわになる。艶美な白い肉丘を露出させられた少女のあえぎが、切なげに揺らめいた。
こういうことをしながら男の手で脱がされるのは、すでに愛戯の一環だった。自分で脱ぐときはさほど意識しないことだというのに。
体にまとう布を少しずつはぎとられていくことが、心まで裸にされるようで、アンリエッタに妖しい気分を呼び起こさせるのだった。
背中のリボン紐はほどかず残したまま、才人が耳をくすぐるように声と息を吹き込んでくる。
「俺は二人で一緒にイけるほうがいいですよ。
それなのに、姫さまは一人だけさっさと気持ちよくなるほうがいいんですね?
ちょっとの我慢もしてくれないわけだ」
「そんな、そういうわけでは……
……ぁふっ……おなかの奥……奥ばかりぃ……ふぅっ……トントンってしないで……」
背後からささやかれつつ、丁寧に小刻みに、一定のリズムで蜜壺を突き上げられる。
才人があらためて胸の前に回してきた手で、両の乳をタプンと支えるように持った。悩ましい重みのある双の乳に男の指が沈みこみ、肉の歪みを淫猥にうつろわせた。
温かくなめらかな肉房を、しこりきった先端に向けて搾るように優しく揉みたてられる。
「ぁん、いや、お乳、またなのぉ……ン……
あ、……それはいやぁ……お乳の先をさわらないで……、……ひぃ……」
眉を下げ紅潮した切なげな顔で、アンリエッタは耐えかねるように拳を口に当て、指の関節を噛む。
少年のひざの上で優しい責めに甘いあえぎをもらし、細めた瞳を艶っぽくうるめかせ、哀訴の声をもらす。
「姫さま、そんなに一緒にイクのは嫌?」
「嫌だなんてぇ……うぁん、ですから、そういうことでは……ああ、
ひんん、ひいっ」
「ちょっとだけ我慢して、タイミング合わせるくらいの努力もしてくれねえのかなぁ」
ぷくっと膨らんだ乳頭をこりこりと指で潰され、いっしょに肉棒を小刻みに抽送されていると、頭の中に肉色の霧が流れこんで、脳髄を溶かしていくのである。
両乳首をつまみしごかれながら耳たぶを甘く噛まれると、少女の腰が悩ましげにわなないて、トロトロと愛液がさらに結合部からしたたった。
切ない官能の熾火にあぶられて、ついにぽろっと言ってしまう。
「ど、努力くらいなら、いたしますけれど……」
「よし、約束ですよ。俺が出すまでに勝手にイったら駄目ですからね」
言質をとったとばかりに才人が背後でそう念を押し、優しくだが本格的に動き始めた。
アンリエッタの「努力する」という曖昧な返答は、あっという間に「約束」と都合よく歪められたのだが、愛撫に悶える少女にそれを深く考えることはできなかった。
…………………………
……無理があることは、わかっていた。
まだ時間はそれほど経っていない。それなのに、アンリエッタの全身は燃えそうだった。
懇願まじりのあえぎさえも、沸騰しそうに熱い。
「はやくして、サイト殿、はやく出してください……!
わたくし、もうすぐだめになりますから、はやくぅっ……!」
いまは蜜壺以外の部位への刺激はほとんどない。組み合わせた責めをされれば、簡単に絶頂を迎えてしまいそうなのである。
呪わしく充血したクリトリスは、早いうちに触れなくなった。少年に両の胸をいじられるのも、懇願の末にやめてもらった。
片腕をつかまれて上げさせられ、わきを舐められたときは、予想外のことに危うく一瞬で達しそうになった。即座にその愛撫は、耳たぶを甘噛みする責めともども少年に禁止したが。
本来は好きなキスさえも拒んで、どうにか絶頂をこらえている。
そこまでしてもなお、「もう駄目」なのだった。
背後から密着されて抱きしめられて、子宮を優しく小突かれ、肉体の芯から火照って甘い汗にびっしょり濡れている。胎内に与えられるリズムによって、快美感に背筋がざわめく。
男の腕の中で、半分剥かれたベビードールと灯火に映える玉の肌が、淫惨なほど耽美的な雰囲気をかもしだしている。
(あなたが終わるまで、わたくしは耐えなければならないのに……
それなのに、なんでいつまでもゆっくり動くの!)
いまでは子宮近くに精液を出されれば、体がひとりでに呼応して、嫌でも絶頂を合わせられてしまう。
だから才人が射精さえすれば必ず「一緒に気をやる」ことができるというのに、少年は今日に限ってやたら長引かせているのだった。悠々とうそぶきさえしてくる。
「まだイったら駄目ですよ、我慢して。次は一緒にイこうって言ったばかりじゃないですか」
「がんばっております……くっ……あふっ、ですから今のうちにと、んんうっ……
ひあ!?」
語尾がはねあがったのは、いきなり少年の舌がヌルリと耳の穴に入ってきたからである。
一瞬体がおののき凍り、それから惑乱の声をあげて、逃げるように首をかたむけた。それを追いかけて、なおも才人の舌が可憐な耳を玩弄してくる。
執拗にヌルヌルと耳を犯されて脳が煮えかけ、焦って叫ぶ。
「禁止します、それも禁止します! ひんん、
いっ、いっしょにとおっしゃったのはあなたですわ、嬲って面白がらないでっ、
んんんんっ、……んっ!? やっ、だめ、ん、とまってっ、ん、んーっ……!」
アンリエッタは自分の手の甲を強く咬んだ。
目をかたくつぶって白いのどをくんっとそらし、きりきりと噛みしめて手に歯型を付けながら、気力を総動員して波をやりすごそうとする。
「イきそうになってます? 我慢してる顔ってなんだかいいなあ」
耳から舌を抜いた少年の憎たらしい批評の声さえ、気にする余裕は無かった。
背をそらしたため突き出される形になった乳房が、しこった先端のピンクをふるふる揺らす。結合部から大量の愛液があふれ、蜜壺に刺さっている肉棒をつたって、陰のうの表面までをべっとり濡らす。
……寄せては返す高まりの波は、さいわいにしてあと少しのところで堤防を乗り越えることはなかった。
だというのに、かろうじて息をついた瞬間、ずんっと下から突き上げられた。
「ひやあああっ!?」
それまでと違ってやや強めの動きに、子宮がはねた気がした。アンリエッタの瞳が見開かれる。
そこへ加えて、ゆるやかだった下からの抽送がグチュグチュと速まった。
「なっ、なぁッ、何をなさるのっ、やめて、やっと我慢できたところなのにぃっ!」
数瞬前まではもどかしく思っていたはずだが、今ここで強めにされるのは最悪のタイミングだった。
押しとどめたはずの性感が、取り返しのつかないところまで踏みこんでいく。
「だって、早く出してほしいんだろ?
俺もそろそろ出そうになってきてるので、このまま出しちゃおうかなって。
あとすこしですからもうちょっと頑張って」
腕の中でくねるアンリエッタの半裸の体を、逃がすまいとするかのようにしっかり抱きしめて、才人が突き上げてくる。
彼は悶える少女の耳元に、再度口を寄せてくる。
「さっきは『はやくはやく』なんて連呼してましたね。そんなに出してほしいか?
まあ、中で出されるの好きですからね、奥で射精されるときは必ずイクし。
犬みたいに後ろからして精液出してやると、イキながら自分からお尻上げて、少しでも多く子宮に入るようにしてたっぷり味わってるもんな」
少年の粘っこいささやき声を構成する、温かい息と低い音程と嬲る言葉。それらがアンリエッタの鼓膜と脳を愛撫する。
「約束したとおり、もうすぐ中にいっぱいびゅーびゅーってごちそうしてやろうな、アンの大好きなのをさ。
ドクドク流れこんで、ねっとり濃くて熱くて……」
「よして、うううっ、言わなくてよろしいのですっ!!」
「『言うな』ってより『想像させるな』、なんだよな?
さっきまたビクンっておま○こ締まったぞ。奥のほうで子宮がはやく精液飲みたいってヒクヒクして、ドロッとしたよだれこぼしてる。
こってりした濃いのを、子宮口にびちゃびちゃぶっかけられたいってさ」
「ちが、や、いやあ、あああああっ、だめ、だめ、いや、とめられなくなりますっ」
確かに想像させられてしまっていた。
口でうけとめたときの精液の味、胎内でしぶくときの熱、雄そのものを凝縮した淫臭、最初のうちのこってりした濃度、肌にこびりついて白くねばつく感触。
絶頂の半歩前で必死にふみとどまっているというのに、才人にそのイメージを思い浮かべさせられたのだ。
「すぐだからな……子宮がトプンと揺れるくらいに、いっぱい白いのを満たしてやるから。
いままでどんなふうに注がれてイッてきたのか覚えてるよな、姫さまのここ」
ベビードールの上から才人の手のひらに、すべらかな下腹を円をかくように撫ぜられたとき、アンリエッタの頭のどこかがジジッと音をたてて焦げついた。
子宮を下腹ごしに押さえられて、淫らな記憶があふれだす。
正常位で口づけされながら与えられたとき。騎乗位で両乳を揉みたてられながら、自分で腰を動かして恵んでもらったとき。
側位でグシュグシュとかき回され、いつもと違う角度に身もだえながら注がれたとき。四つんばいの後背位で犯されつつアヌスにも指を入れられ、泣きながら流し込まれたとき。
それらの記憶のひとつひとつが呼び覚まされるたび、しばらく精を受けていない発情した子宮がしこり、ビクビクと絶頂へのわななきを倍加させていく。
「……おい? 俺もあとちょっとなんですよ。
一緒にイくって約束したのに、何やってんだよ? この期におよんで先にイったりしたらお仕置きしますからね」
「ごめんなさい、ごめんなさい、がまんできませぬ、もうほんとうにだめなのです、だめなのぉっ」
愛欲の高まりからくる汗が流れて、きめ細かい雪肌が艶やかに灯火に輝く。
汗に濡れた乳首と、クリームを塗られて燃えそうなクリトリスが、限界まで勃起してトクトク脈打ちっぱなしになる。
蜜壺が痙攣しつつ入り口から段階的に締まりはじめて、食い締めた肉棒の形をはっきり意識してしまい、腰がわなないて背筋をなにかが駆け上り、ぐぐっと体が弓なりに反って急速に脳裏が濁り……
「イく、っ、んんんんんン……っ!」
絶頂に達した女の肉のなかで、肉棒が最大限のもてなしを受けはじめた。
亀頭周囲の落ち窪んだ部分、張り出したカリの段差まで膣壁の肉ひだが入りこみ、にゅるりとからみつく。
女の柔肉が男根を放さないとばかりに密着抱擁し、にゅぐにゅぐと引きしごいて精液を搾りだそうとする。
このとき才人は少女を背後から抱きながら、ひそかに頬の内側の肉をきつく噛みしめて「ぐぅ……」とうめいていた。
じつのところ彼は、相当な努力をついやして何度も射精をこらえていたのである。口の内部を噛みすぎて少し出血までしている。一度出していなければ保つはずもなかった。
彼の腕のなかで、我慢した末の絶頂に長く甘い叫びをもらし続けているアンリエッタは、それに気づかなかったが。
ややあってアンリエッタの艶声も切れ、総身の痙攣も下火になるころ、才人が彼女にわざと不機嫌な声をかけた。
「ったく、ちょっとくらい我慢できねーのかよ」
「ぅあ……ひ……そんな……いえ、ごめ、ごめんなさい……もうしわけ、ありませぬ……
でも……こんらのは、むりですわ……」
呆然としつつもアンリエッタは涙を浮かべた瞳をまたたかせ、謝罪と言い訳をした。
底意地の悪そうな表情で、才人が「いいや」と首をふる。
射精を我慢していたことなどおくびにも出していない彼は、抱いていた腕を解いてずるりと肉棒を抜き、冷たく少女に命令した。
「ベッドから下りて床に這ってください」
「え……?」
「聞こえませんでしたか? お仕置きしますから」
アンリエッタの茫洋としていた瞳の焦点が、それを聞いてきゅっと結ばれた。
彼女は抗議しようとして口を開け、それから閉じて沈黙する。
何度も才人に「まだイくな」と叱咤され、鳴きながら我慢しつづけたのに、けっきょく直前に達してしまったのである。
納得いかない部分は多々あるが、負い目はいちおう負い目である。
それに忘れかけていたが「離宮滞在の間は言うことを聞く」という約束もあった。
やむをえず彼女は優美な猫のように四つんばいで動き、柔らかいじゅうたんの床に下り、ベッドと平行にそのかたわらで這う。
才人が背後に下りてくる気配がした。
(床へ下ろされて、後ろから抱かれる……)
その事実の認識に、アンリエッタの耳たぶが真っ赤になる。
恥辱と屈辱が心にべっとりへばりつき、四つんばいの美少女の肢体が新たに紅潮していく。
結合部に落ちかかっていたベビードールの裾をあらためてまくりあげられた。
白く柔艶な牝尻を、包皮を剥かれる肉豆のごとくにゅるんと才人の視界に飛びださせてしまう。すぐさまぴとっと亀頭が、秘部に触れてきた。
「ぁ…………」
少女のぴくっとした反応をよそに肉棒が進む。
ふっくらした大陰唇を亀頭で分け、その先の小陰唇をカリでめくりかえし、膣口の粘膜の輪にぬぷりとめりこみ、後はずぷずぷと膣道に進入していく。
「ぁ……ぁ……」
「姫さま、こっちの足を上げてベッドに乗せて」
しかも、少年がアンリエッタの片脚に手をかけ、大きく上げさせてきた。
アンリエッタは両手と片脚のひざをじゅうたんにつき、横のベッドにもう片脚を乗せる格好になる。
犬が放尿するときのような体勢に、目まいがしそうな恥ずかしさを覚える。
――「一緒にイこう」などと言ってきた最初から、才人はこういう展開に持ちこむつもりだったのだと、アンリエッタは理解した。
けれど貫かれた少女の口から出るのは、もう怒りの声ではなく、とろみのついた懇願だった。
「おねがい……あまり激しくしないでくださいまし……」
「あれ、変だな。夕方には『抱いて』と聞こえたし、ここでごはん食べたすぐ後には『もう限界だから』とか言われて腰をすりつけられたけどよ?
あんなにいやらしくおねだりしといて、『激しくするな』とか今さらの気がしねえ?」
「あ、あれだけ焦らしておいて……いえ、なんでもありませぬ、
ただあなたは、ときにわたくしの限度を無視しますからそれが怖くて……
先ほども言いましたけれど、できることならほどよく加減していただければ……ひわあああっ!?」
アンリエッタの声がいきなりせっぱ詰まったものになった。
少年の指に、クリトリスをキュッとつままれたのである。
才人が犬這いの少女のうるみきった女性器を貫きながら、結合部の前に手を伸ばしていた。クリクリ肉豆をいじられて悲鳴がますます上ずっていく。
「ぁひいいいッ、だめ、待ってっ、待ってえ、それはいちばん駄目でしょうっ、
それにわたくしが触ればあなたは触らないって言ったのに!」
「そりゃちょっと前までの話ですんで」
「そんなっ、いやあ、離してっ、卑怯です、嘘つきは嫌いだわ、
――それっ、それいやぁ! か、皮を剥かないでえっ」
戻ってしまっていた包皮をあらためて根元までずり下ろされる。
刺激薬入りのクリームを塗られ、自分でいじらされていた肉豆は、羽でなでられただけでも腰がはねるほど過敏になっていた。
その性感神経の密集した粘膜器官を、今度は加減できる自分の指ではなく、男の指につままれたのである。
骨盤に痺れが走り、脊椎にそって優美な背にわななきが駆け抜けた。
「『ほどよく加減しろ』ねえ? これがお仕置きだってわかってますか?
俺、姫さまに置いてけぼりにされて、さっきイキそこねたんですからね」
「謝りましたわ、謝ったでしょう、ひうぅぅっ、だからつままないで、ひぐうっ……!
やめぇ、やめなさ、あんんんッ! つ、つまんだまま動きださないでええぇっ」
「動かないで、じゃないだろ。
アンはいま、ち○ぽしごきのための道具なんだから、俺が満足するまで終わるわけねえじゃん。
お肉の穴しっかり締めてち○ぽ搾れよ」
「おどうぐ……ひっ、ひどいっ、ひぃん、ああうッ、
そんなぁ、そんなものになりたくありませぬっ」
「いいや、お道具ですよ。
いっしょにイくまで我慢することもできない、簡単に自分だけさっさとイっちまうような駄目な子には、それしか能がないもんよ。
そうだろ? 言えよほら、言いやすくなるよう、このままずっと牝ちんちんコリコリしててやろうな」
「ひいいいいいっ!! それはだめ、おまめコリコリするのはだめえ!」
必死に閉じようとする体の快楽水栓をむりやり全開にされ、アンリエッタの脳裏に奔流のように強烈な刺激がなだれこむ。
「んー……姫さまのお豆こんなに膨れちゃって、えっちな汁でやらしくツヤツヤにぬめって、感触がヌルヌルプリプリしてる……
ほらほら、恥ずかしく勃起した牝ちんちんが気持ちいいかよ?」
刺激クリームと愛液でぬめった肉豆を、指にヌルヌルとつまみしごかれつつ、蜜壺を奥まで繰り返しえぐられて、官能が煮えたぎっていく。
充血した肉の粒が受け取るあまりの劇悦に、女体が激しくくねった。
「止めて、止めてぇっ、んんんっ…………ひぐ、止めてくださいまし、言う、言いますからっ!
『わたくしのぉ、おまん、おま○こぉ、あなたのお道具っ、おどうぐですうっ!』」
髪を振り乱して、さきほど少年が言った言葉を反復していく。屈辱は、拷問じみた責めによる肉悦で消し飛んでいた。
いちばん怖れていたように、容赦なく嬲られはじめていた。アンリエッタのもっとも弱い、されればされるほど性感がはねあがっていく二つの部位、膣奥と肉の芽を同時に責められているのである。
性感を甘やかして育てられてから、一転して無残に嬲られるのはここ最近の責めの流れだったが……それにしてもいつもより一段と強烈だった。
「『あなたのおちんちん搾りますっ、おま○こ締めていっぱい搾りまふっ、わたくしぃ、これしか能がありませんっ!』
いっ、言いましたわ、気をやらせないれぇっ……――いやぁ! なんで激しくするのですかぁっ」
舌をもつれさせながら、自分をおとしめる恥辱の言葉を吐いた。
それなのに、変則的な後背位での交合が、やむどころかますます苛烈になっていく。
「ひいいっ、恨むぅ、うらむわ、うらみますからぁっ!」
「これはお仕置きかねて、簡単にイっちゃうのを克服するための特訓ですから。
矯正するのを手伝ってやるから、反省しつつがんばって直せよ」
「むりっ、いやあああッ、がんばっておりまひゅ、あうっ、がんばっておりますう、ひぅううんっ、
でもむりなの、我慢れきませぬっ、どれだけがんばっても無理なのぉっ!!」
今からが本番とばかりの過激な床での責めに、ベッドで長々と下ごしらえされた肉体がたやすく音をあげていた。
頭の裏で白い火花が連続して弾け、優美な身をよじるたび汗とともにまともな思考が飛び散っていく。
甘く泣き狂うアンリエッタの頭が、唐突にガクンとのけぞった。
「むりです、むりですっ、いくぅっ、ふぁんん、イクイクっ、
――ううあああああっ、イクううううっ!!」
絶頂の叫びのなかで蜜壺がきゅーっと締まって、男のものを柔らかく搾りあげていく。
動かずとも油断すれば一瞬で達しかねない絞り上げに、才人はまたも必死に口内を噛んで射精をこらえ、それから気をまぎらわせるように問いかけた。
「今夜もそろそろ素直になるころかな。
なんだかんだ言うけど、こうやって無理やりイかされるのが好きなんだろ?」
問いかけられながら、うなじに続き背中でも、ベビードールのリボン紐をほどかれていた。完全にあらわになった流麗な背が反り、ぷるんと重みある乳房が宙におどる。
「あああっ、ひくっ、ひっ、ひいっ……しゅきれは、すきではありませんっ……、――んんんんーっ!!?」
「でもこの体は、好きって言ってるみたいだぞ。
皮むいた牝ちんちんつまんでクニクニシコシコしといてやると、キュッキュって締めてくる」
「あうっ、イク、イクぅ、すきじゃないのぉ、イクうぅぅっ」
「またイった? どんどん『借金』ばっか増えていきますね。そのままだと、一生かかっても返せないんじゃねえの?
んっ、すごく締めますね、お豆いじってると……俺ももう二回目が我慢できないからさ、すぐ今度こそたっぷり中に出してあげますよ」
アンリエッタの答えを待たず、才人が腰をいっそう振りたてはじめた。
淫叫をほとばしらせる少女の膣肉を利用して、あとはこのまま射精に至ろうとする激しい動きだった。
少女の肉体が、真っ白な奔流にのみこまれて狂乱する。
「うあああぁぁっ、感じすぎるうっ、いや、こんなのはいやああっ、
もどらないのっ、イクのがおわらないいっ!」
絶頂させられた後も蜜壺をグシュグシュと肉棒でかきまわされ、過敏な肉の尖りをくにくにとしごかれ続ける美尻が、ビクビクはね踊っている。
荒れ狂う性感の海で、女体を完全に波に乗せられてしまっていた。
絶頂癖のついた肉が、落ち着きどころを与えてもらえず痙攣と収縮をくりかえす。
「ほんと連続してされるの大好きな体ですね。じゃ、あとはこのまま俺がイくまで突き上げさせてもら――
……あれ? 姫さま、これ……」
才人が目を丸くする。クリトリスをつまんだ少年の手が、結合部から飛ぶ液体で温かく濡れていた。
快楽の極みにある少女が、悶えながら潮液を漏らしたのである。犬の放尿じみた形で、潮がジュッジュッと断続的にほとばしり、飛び散っていく。
苛烈な性感をぶちこまれる肉体が官能に狂ったか、あるいは精一杯の防衛反応を起こしているのかだった。
最初こそ驚いたもののすぐに状況を理解した才人が、責めの手を休めず、嗜虐の笑みを頬に刻んだ。
「……あはは、またこんなにお潮ためちゃってたんだな?
しょうがねえなあ、全部ピュッピュッ出してすっきりしちまえ。にしても、いまじゃ完全に早漏イキの体だよな。
牝ちんちん指でクニクニしながら、おま○こやお尻をち○ぽでグチュグチュしてやると、すぐにイってこんなやらしーお潮射精まで見せてくれるんだから」
「やめへぇ! ひとでなしぃぃっ、指をもう使わないでえっ、
イクっ、いやです、恥ずかひいのぉっ、いくうっ、おもらしさせないで、ひいい、離してぇぇっ」
発作を起こしたような絶頂に、淫らな白い獣となって身をくねらせる。
犬のように四つんばいで片足を上げさせられた破廉恥な格好で犯され、股間の剥かれたクリトリスには刺激薬入りクリームを塗られてしごかれている。
この激悦は耐えられるようなものではなかった。官能の程度ではなく種類の問題なのである。
しかも、才人の抽送はますます速まっていく。
男の最後の瞬間に向けての性運動で、子宮を突き上げられ、呼吸さえできないほどに官能が錯乱していく。
「そろそろ、ん、出るっ……!」
才人のうめきとともに、肉棒が精液をうち出した。
子宮口のふくらみに密着した鈴口が開き、奔騰するような勢いで精液がドピュッ、ドピュッと放出され、その熱が少女の子宮にこってりとかかっていく。
濃く重い官能の衝撃に、アンリエッタの感覚世界が強烈に弾けた。のどを反らして狂おしく淫叫する。
「あぁああっ! いくう、いくうううっ、あああああああああっ!
――いやあああああっ! くふッ、お豆もイくっ、もう止めてぇ、ああああぁあああっ……!」
クリトリスをくりゅくりゅとひねられながら、ドクドクと女の源に精液を注がれていく。才人の今夜の放出は二回目だが、二番搾りでも濃度はじゅうぶんに高かった。
その濃い精液を数日振りに飲まされる子宮が、ビクビクはねて興奮している。熱い粘液が最奥でしぶくたび、なぜか少女は舌の付け根にその味を感じた。
「ああッ……はあっ、あああ……あーっ、うああぁぁ……っ」
強烈すぎる快楽に腰がくだけているのに、固定するように肉豆をつまみあげられて、崩れ落ちることもできない。
精液を噴きだす肉棒でねちっこく奥を小突かれて、半裸の体を揺らし、脱ぎかけのベビードールをまといつかせた腰を妖艶にうねらせていく。
片足を上げて貫かれた股間から、量の減ってきた潮をピュッ、ピュッと、男の射精のリズムに合わせて飛ばしてしまう。ベッドの脚元の床が濡れていった。
「しみる、ひぐっ、奥にぃ……しみてきまふ……ぅあ……あ……
……またイッ……イって、おりますぅ…………ぁぁぁぁ……」
じゅうたんに爪をたてて、凄艶に髪をほつれさせて舌をこぼし、いやがおうにも堪能させられた絶頂を噛みしめる。
才人が後ろから潮にまみれた手を伸ばし、半開きの唇に指をねじこんできた。
半ば放心したままその指をねぶらされながら、自分が壊れた微笑を浮かべていないか、アンリエッタは少し怖くなる。
最後は半ば犯されるという表現に近い、強引な抱かれ方だった。自分は女を剥きだしにされ、少年に組みしかれて嬲られる。
いつもこういう抱かれ方のときはどこまで抵抗すればいいのか悩み、けっきょく約束事のように折れて、いつのまにか溺れている。
――与えられる前は恐怖をおぼえ、最中は本気で逃れたいと思うほどの凶暴な快楽だけれど。無理やりに満たされて終わった直後、頭と体が残響に震えるとき、自分がどれだけ病み付きになっているのかよくわかる。
「……ぁ……」
突っ張って体重を支えていた肘がかくんと折れて、くたくたと突っ伏すように床に上体が崩れ落ちる。
闇に沈むようにアンリエッタの視界が暗転していく。
今夜は意識はぶつりといっぺんに切れるのではなく、官能の甘美な沈潜にともなってゆっくりと消えていった。
もっとも彼女が思っていたのと違い、夜はまだ途切れていないのだったが。
後編2に続きます。