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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:54:44 (5638d)
『ゼロの使い魔』 ユーモアショート
二つの月が煌々と照らす庭。二人きりのサイトとモンモランシー
「何なの?急に呼び出して相談事だなんて、珍しいじゃない。」
まさか変な事する気じゃないでしょうね。そんな言葉が喉まで出掛かったモンモランシーを前に、サイトはちょっと決まり悪そうに口を開いた。
「いや実はさ、モンモンて薬とか作るの得意じゃん?
それで、ちょっと訊いてみようと思ってさ。
……あのさ、女の子の胸を大きくする薬とかって、作ることはできないかな。」
「まあ、何かと思ったらそんなこと。」
モンモランシーは一瞬驚いたような顔をしたが、すぐに軽く目を閉じて、やれおあいにくさまという体で首を横に振った。
「それはいくらあたしでもちょっと難しいわね。
第一そんな薬があるなら、とっくに自分で使ってるわよ。」
成る程ごもっとも。ルイズ程ではないにしても、決して豊満とは言いがたい彼女の胸にちらっと目を遣るサイト。
「そうか、やっぱ流石に無理か。そりゃそうだよな…。」
「あ、でも」とモンモランシーは思い出したように話を続ける。
「ずっと前の話だけど、シエスタのひいお爺様の持ち物の中に、キュウリュウチュウとかいう男性用の秘薬が有って、ある学者がそれを応用してそういう薬を作ろうとした、っていう話は聞いたことがあるわね。」
「へえ。やっぱり世の中似たようなことを考える人はいるんだな。それで、その薬はうまくいったの?」
「それがね…年頃の女の子に試してみたら、確かに胸の辺りが二倍くらいの大きさにはなったらしいんだけど……でも結局、失敗だったみたい。」
「二倍くらいになったのに失敗?どういうこと?」
ルイズのあの胸だって、二倍になったら十分成功じゃないか。
と思わず想像を膨らませながら聞き返すサイト。
「それは、その……」
モンモランシーは急に口ごもってしまった。
サイトはしばらく首をひねっていたが、ふとある考えが頭に浮かんだ。
「分かった。胸だけじゃなくて、身体全体が二倍になったとかいう事じゃない?」
サイトの思考時間とは対称的に、モンモランシーは即答だ。
「いいえ、そんな非現実的なことじゃないわよ。」
そうか。良い線いってると思ったんだけどな。サイトはまたちょっと考えた。
「それじゃ、片方の胸だけ二倍になっちまったとか?」
「いいえ、両方とも大きくはなったわ。」
ううむ、これも違うか。
「じゃ何だ?分からないな。教えてくれよ。」
「仕方ないわね……」
モンモランシーはやれやれという風に口を開いた。
「乳輪だけが二倍に広がったのよ。」