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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:55:18 (5644d)

才人君の華麗なる日常  せんたいさん

 

項王の軍垓下に壁す。兵少なく食尽く。漢軍及び諸侯の兵、之を囲むこと数重なり。
『四面楚歌』の原典の一文である。
まさに、才人の今日がそれにあたる。
しかし、彼はその状況でもなお、希望を捨てていなかった。
楚軍と違い、あらかじめの蓄えもある。
並み居る困難を、打ち払うための計略も立てた。
あとは、そう、あとは自分が上手くやるだけ。
十分な蓄えがあり、困難があらかじめ予想されていれば、乗り切れる──────。

ある虚無の曜日。
目を醒ますと。
というよりも、目が醒めると。
寝る前に掛けられていたシーツははだけられ、ズボンは綺麗に下げられ。
朝立ち真っ最中の才人のナニは。
黒髪のメイドによって、全力で咥えられていた。
じゅぽじゅぽと頬をすぼめて音を立てて吸い上げ、舌を絡めて陰茎全体を刺激してくる。

…シエスタ、上手くなったよなあ…。
じゃなくて!

「ちょ、ナニやってんだよシエスタっ!」

才人が慌てたように叫ぶと、シエスタはちゅるぽんっ、とわざと唾液の音をたてて朝立ち真っ最中の才人の息子を口淫から開放する。
そして、あらかじめはだけておいた胸の谷間で、切なそうに震える才人の肉棒をぎゅむっ、と挟み込む。

「ナニって、朝のご奉仕です、ご主人様♪」

言って今度はその豊満な胸を両手で挟み込み、ぐにぐにと才人の肉棒を押しつぶす。

「ちょ、待てってば!」
「うふ。キモチイイですか?」

股間から喘ぐ才人を見上げ、嗜虐的な笑みで才人を責める。
火照った頬で見つめられ、柔肉で容赦なく責め立てられ、才人に限界が来る。

「いや、ちょ、マジ出るっ…!」
「かしこまりました、ご主人様♪」

限界を告げる才人の声に、シエスタはくぱぁ、と唾液の糸を引く口を大きく開け。
もぐ、と喉の奥まで才人を飲み込む。

「で、出るっ!」

才人の肉棒がどくりと脈打ち、シエスタの喉の奥にびゅるりびゅるりと白濁を吹きかける。
その勢いに、一瞬咽そうになって涙ぐんだシエスタだったが、何とか堪えると、目尻に涙を湛えたまま、白い喉を蠕動させて白濁を飲み込んでいく。
んく、んくとシエスタの唇から喉が鳴る音がする。
それと同時に、ちゅうちゅうと才人の肉穴から残り汁を吸いだしていく。
口の中の才人を全て呑み干すと、シエスタはようやく主人を解放した。
ちゅるん、と唾液の糸を引き、ぐったりとした才人を吐き出すシエスタ。
はぁはぁと荒い息をつく才人の横でうふ、と軽く微笑んで、乱れたメイド服を直す。

「お疲れ様でした、サイトさん♪」

いつものメイドの格好で、ベッドの脇に立ち、シエスタは才人の労をねぎらった。

才人はいきなり襲いかかってきた不埒なメイドに尋ねる。

「…いきなりなんなんだよ…」
「シーツ剥いでも起きないんですもん、サイトさん。今日は用事があるからこの時間に起こして、って言ってたのに。
 それに、サイトさんのおちんちんがいつもの朝より、ずぅっと切なそうだったので♪」

それはそうだ。
今日の一日に備え、昨日のうちに、卵を約1ダース、鳥のささみを二匹分、緑黄色野菜の濃縮ジュースをワインボトル一本分、とどめにサラマンダーの睾丸を飲んだのだ。
抜いたばかりだというのに、今も徐々に才人は復活し始めている。

「あ、ほらだんだん元気になってきましたし」

嬉しそうな顔で、元に戻り始めた才人を潤んだ瞳で見つめるシエスタ。今にもメイド服をはだけて襲い掛かってきそうだ。
いやまあ確かにまだまだいけそうではあるが。
才人は鋼の意思をもって応えた。

「だめ、シエスタ。今日は『シエスタの日』じゃないだろ?」

そう、今日は正式には『ルイズの日』である。
二人の取り決めで、ルイズとシエスタは月に数回、才人と『シテいい日』を決めている。
それはもちろん危険日には被らない日で、もちろん才人が疲れているときは自重する、と二人で決めていた。
当然、互いの『シテいい日』は不可侵で、相手の『シテいい日』にシた場合、その月の『シテいい日』は全部相手のものになる。

「ルイズにチクるぞ」

そうすると、当然才人もきっついお仕置きを受けるのだが。
最近ルイズと仲の良いシエスタは、その言葉を聞いて。

「それは困りますねえ…。ナイショにしておいてくださいます?」

にっこり笑ってそう主人にお願いした。

「いいけど、『じゃあその代わりに』もナシだかんな」
「…サイトさんのいけず」

先手を打たれ、シエスタは口を尖らせて仕事に戻る。

「じゃあ、早く準備なさってください。昼から王都へいくんでしょ?」
「ああ、そうだった。悪いなシエスタ、マントとってきて」

言って才人は、器用に脱がされたズボンを履きなおし、ベッドから降りた。
シエスタがクローゼットへシュヴァリエのマントを取りに言っている隙に、壁に立てかけられたデルフリンガーに寄って行く。
昨日、紙に書いてデルフリンガーの鞘に巻き付けておいた予定表を確認する。

朝食後、シャルロットの部屋へ。いらなくなった本を一緒に図書館に寄贈しに行く。
(攻略:できるだけ図書館内部で襲うべし。羞恥プレイでさっさと終わらせる)
テファと一緒に昼食。その後、王都へ。
(攻略:弱点の耳を重点的に。胸は使わせたら負け、相手の自由を完全に奪え)
王都で姫さまと合流、流行だというケーキを食べに行く。
(攻略:おそらく『私もたべて』で来ると思われるので、この間買ったアレで徹底的に虐める)
学院に帰還後、部屋でルイズとディナー。本番。
(攻略:ここまで来れたら後は大丈夫。正攻法で攻めればよい)

何故このような無茶な予定がたったのかというと。
才人が、軽い口約束を連発したせいである。

発端は、一週間前の、アンリエッタ女王からのベルネエール褒章授与式の後からはじまる。
街道沿いに居座っていた盗賊団を拿捕し、女王からの褒章を受け取った才人は、例によって女王に個人的な呼び出しを受ける。
その後、アンリエッタ女王は情熱的な一発をなさったあと、愛する人にデートのお誘いをかける。

『最近、王都で評判のケーキ屋さんがあるんです。来週丁度暇ができますので、変装して一緒にいきません?』

女王の癖になに考えてんだ、それに来週必ずヒマってわけじゃないだろ、と全裸で才人は女王を叱ったのであるが。

『そうですか。サイトさんは私とデートなんて嫌なのね。心までは愛してくれないのね!
 私の肉体だけが目的だったのねぇ!よよよよよ…』

あからさまな嘘泣きだったが、そこまで言われては、才人も引き下がるしかない。
わかりました、でもケーキ食べに行くだけですからね、と守れそうもない約束をしてしまう。

その次の日、ももりんごのピンポイント爆撃を喰らった後。
女子寮前でティファニアに発見され、首筋に抱きつかれて全力でその巨大な胸を押し当てられながら、才人はペットにおねだりされる。

『ね、ね、サイト!来週、ヒマだったら一緒にお昼食べない?』

なんで来週?と才人が尋ねると。

『うんとね、注文しておいたももりんごの蜂蜜漬けが、来週届くの!
 でも、そんなに多くないから、お昼も一緒に、って。ダメ?』

へえおいしそうじゃん、と返す才人。
ももりんごの蜂蜜漬けにも興味があったし、ティファニアがお弁当を作ってくれるというので、才人は快諾してしまう。

そしてその次の日。
うかつに二人きりの時に『タバサ』と呼んでしまい、恒例のおしおきに才人が付き合わされている時。
つい、才人はタバサの部屋の片隅に山積みになった本に目をやってしまう。
あの本どうすんの、とだっこの真っ最中でへにゃへにゃのだらしない笑顔になっているタバサに尋ねる。

『…いらない本。来週、図書館に寄贈する』

その本は魔法の専門書で、非常に難解な内容だが、とてもためになる。
しかし、最近増えた新しい蔵書のせいで、タバサの部屋にはその本たちは置いておけなくなった。
部屋の一角を占める、外からは蔵書のタイトルが見えないよう薄いヴェールの掛けられた本棚に、それらは納められている。
最近タバサのお気に入りの、『素直になれない女主人』シリーズと、『イーヴァルディの花嫁』シリーズ、そして、『始祖のみぞ知る世界』シリーズである。
最近刊行の始まった、『始祖のみぞ知る世界』はまだいいのだが。
過去にたくさんの作者によって派生の書かれた『イーヴァルディの花嫁』シリーズと、既刊の多い『素直になれない女主人』シリーズは、他の蔵書を圧迫するほどの冊数になっていた。
そして、ふとタバサは思いつく。

『…手伝って』

確かにこの量の本を図書館まで運ぶのは骨が折れる。
しょうがねえなあ、と才人はタバサを抱きなおしながら快諾してしまうのである。

『…来週、朝から夕方まで帰って来れないから』

ぶすっとした顔で三日目の夜、ベッドの上でルイズは言った。
ルイズの話によると、カトレアとエレオノールが学院に来るというので、一日ルイズが学院を案内をするそうだ。
というよりも、ルイズの学院での生活を査察するのが目的なのは目に見えていた。

『来週はせっかくの『シていい日』なのにぃ…』

不機嫌にそう呟くルイズ。
そんなルイズの髪に優しく口付けしながら、才人は、じゃあ夕方からいっぱい可愛がってやるよ、と言った。

『ばばばばばばばか、なにいってんのよばか、もう、ばか』

真っ赤になりながらも物凄く嬉しそうな怒り顔というルイズくらいにしかできなさそうな表情で、ルイズは才人に抱きついた。

以上が事の顛末。
気付いてみれば見事に同じ日に予定がブッキングしていた。
なんという死亡フラグ。
しかし才人は負けない。負けるわけには行かない。

「俺は伝説の『ガンダールヴ』なんだぜっ…!」

朝食のパンを握り締めながら、才人は今日の勝利を太陽に誓った。

トリステイン魔法学院の図書館はべらぼうに広い。
地下へ地下へと増築をしているせいで、地上に顔を覗かせている部分からは想像もできないほどだ。
だから、その構造は迷宮に例えられる。知らない者が入り込めばたちまち迷う事だろう。
だがそれは地下構造に限っての話。
地上部分は普通の図書館で、整然と並べられた一般的な民家の高さくらいある書棚はせいぜい五十といったところ。
大きく開けられた窓から差し込む光で、その書棚は茶褐色に光っていた。
その書棚の林の奥。
一番人の入る事のないと言われる、『図書目録』の収められた場所には、『サイレンス』の魔法がかけられ、音を打ち消していた。

「──────!────、─────!」

声にならない声をあげ、書棚に手を掛けさせられ、お尻を突き出すような格好で。
『サイレンス』を周囲にかけた青い髪の少女は、背後から愛しい騎士に犯されていた。
それも、普通の場所ではない。
肛門を、ゆっくりと優しく、丁寧に丹念に犯されていた。
少しでも集中を解くと、『サイレンス』の効果が解けてしまうため、才人は細心の注意をもってタバサを犯していた。
きゅうきゅうと己を締め上げる少女の直腸は、つるつるとしていて心地よい。
しかし、少女はゆっくりと犯されるたび、イヤイヤと首を振る。
彼女の中で、とんでもないものがせめぎあっていた。
こんな所でこんな場所を使ってこんな事をして居る所を、誰かに見られるわけには行かない。
だから、魔法に集中しないと。
それとは相反する、もっと激しく犯して欲しい、もっと刺激が欲しい、という開発されたタバサの欲求が、腰をくねらせ、肉棒に肛肉をまとわりつかせる。

「───────!──────っ!」

タバサの淫らな声は、だらしないほど開かれた涎の零れる唇から、容赦なく漏れている。
『サイレンス』がなければ、その甘い甘い声は、静寂を満たした図書館に響き渡るだろう。
だから、魔法を解くわけには行かない。
でも、もっと激しく犯して欲しい。
そんな二律背反が、少女の性感を高めて行く。
そして。
才人はタバサの小さな身体を抱き上げると。
自分達がこの谷間に侵入した方向、書棚と書棚の間の通路めがけ。
タバサの脚を容赦なくM字に開かせ、ゆっくりとした腰の動きを早めていく。

「────────────!!─────────────ひ!」

声が、漏れた。
タバサの集中が切れ、『サイレンス』の魔法が解けたのである。
それと同時に、ぴしゅっ、とむき出しの真っ赤なタバサの割れ目から潮が吹き出る。
びくんびくん、とタバサの体が震え、肛門がきゅうきゅうと切なく才人を絞る。
そしてタバサの淫声が、飛び散ろうとした瞬間。
もぎゅ、とタバサの口の中に押し込まれる布の塊。
それは、先刻まで自分がはいていた、薄い水色のショーツ。
愛液のたっぷり染み込んだそのショーツは、口の上に被された才人の手と相まって、素晴らしい防音効果を発揮した。

「っあ、んぐ────────!ふぐ────────────!」

口に自分の下着を押し込まれる恥辱と、誰かに見られるかも、という恐怖に、タバサはいよいよ激しく痙攣する。
そのタバサの肛門の中に、才人は一滴残らず己が欲望を吐き出した。

「…サイトのえっち」

完全に腰が抜けたタバサは、ベッドの上で口までシーツに埋まって、ここまで運んでくれた才人に文句を言った。
肛虐で気絶したタバサを、才人は虫に驚いて気絶した、と司書に言ってかついできたのである。
ベッドの中のタバサに、才人は意地悪な笑顔を向ける。

「そんなこと言って。シャルロットももんのすごい感じてたじゃん?」
「──────!ば、ばかぁ…」

図星を突かれ、真っ赤になってシーツに包まるタバサ。
そんなタバサを見ながら、才人はさりげなく外を確認する。
日はまだ中天に達していない。いける!
才人はタバサを気遣うふりをして、優しくタバサの青い髪を撫ぜた。

「ま、今日は俺も悪かったし。ゆっくり休め。な?」
「う、うん」

真っ赤な顔を目だけ出して、タバサは部屋から去っていく才人を見つめ、思った。

…なんだか今日のサイト、無理してるみたい…?

でもまあ気持ちよかったしその事は明日にでも聞こう、と思い、とりあえずその場は眠る事にしたタバサだった。

 

最近才人は思うことがある。
世に『ちちくらべ』なる胸のサイズを比較した画像があるが、才人は思うのだ。
大きさだけではなく、形ややわらかさ、乳首の色、大きさ、乳輪のサイズ、感度なんかも大事だよな、と。
純粋にサイズだけで較べるなら、ティファニアがダントツでトップなのは言うまでもない。
柔らかさだけを見るなら、シエスタとティファニアの二人がいい勝負だ。
しかし、こと柔らかさと弾力のバランスにおいては、アンリエッタ陛下の右に出るものはいない。
ルイズやタバサにはそもそも胸にふくらみが存在しない。最近タバサは少しずつ成長しつつあるが。
挟んだり揉んだりする分にはそのサイズと柔らかさが重要になってくるだろう。
だが、行為の際重要になってくるのはそれだけではない。
大事なのは感度だ。
女の子が胸でどれだけ感じやすいかが大事なのである。
胸の感度においては、タバサとティファニアが一番感じ易いと才人は感じる。
ティファニアは全体を鷲掴みにして虐めると、ものすごい善がり方をする。
タバサはその先端をこね回すと、ひきつけを起こしたように身体をひくつかせる。
他の女の子はどれも似たり寄ったりだ。ルイズに至ってはひょっとすると演技かもしれない。

…ていうか、ルイズあんま胸さわらしてくんないしなあ。

なんてことを、才人はティファニアの部屋で、彼女の手作り弁当の奥でぽよんぽよん揺れるももりんごを見ながら、思った。

「お味のほうはどう?サイト」

自分の手作り弁当を頬張る才人に、机に頬杖をつき、胸を机の上でたゆん、とたゆませながら、笑顔でティファニアは尋ねてくる。
もぎもぎ、とティファニアお手製の茹で鳥を頬張りながら才人は頷く。

「そ。よかった」

才人が食べ終わったのを確認して、にっこり笑ってティファニアは膝の上に置いてあった、大人の両の拳を合わせたほどの小さな緑色のガラス瓶を机の上に置く。
上蓋についたラベルには、『ももりんごの蜂蜜漬け』。これがティファニアの言っていたものだろう。
ティファニアは封蝋を取って留め金を外し、蓋を開け、瓶の中から蜂蜜に浸けられて柔らかくなった薄黄色い果実を、フォークで刺して取り出す。
そしてそれをあむ、と口に咥える。
そしてそのまま席を立ち、才人の隣へやってくる。
にっこり笑って、顔を才人に近づける。つまり。

「…これ食べろっての?」

才人の言葉に、ティファニアは笑顔で頷く。
しょうがねえなあ、と才人は呟くと、ティファニアの桜色の唇から伸びた、黄色い舌のような蜂蜜漬けを食む。
しゃぐ、と柔らかい果実の感触が、才人の歯に伝わってくる。
そして舌に広がる甘い味。いつかウエストウッドで味わった、ももりんごの軽い酸味は、蜂蜜に漬けられることによって、凶悪なほどの甘みへと変貌していた。
確かに、これは旨い。トリステインにきてからこっち、これほどまでに甘いものを食べた事はなかった。
才人はもう一口、と短くなったももりんごの切れ端をもう一度食む。
すると。

ちゅ。

同じようにももりんごを食べていたのか、ティファニアの唇と才人の唇が合わさる。
驚いた顔の才人。してやったり、という笑顔のティファニア。
『夜伽の達人 〜ひと目でわかる殿方の悦ばせ方講習〜』教則その二十三、『殿方を悦ばせる食事の作法』の第四項、『両側から同時に食べてちゅう』であった。
ティファニアは口にももりんごの蜂蜜漬けを含んだまま、才人に抱きつき、唇を塞いで、そのまま舌を差し込んでくる。
甘い甘いティファニアの舌が、才人の口の中で踊る。
才人も負けじと、ティファニアの口の中に舌を差し込む。
そして、お互いの唇の間で、お互いの口の中のももりんごと唾液が行き来し、くちゅくちゅと音を立てる。
熱に浮かされたように行為を続けるていると、そのうち、口内の甘さが消えていくのがわかった。
お互いの唾液で蜂蜜が薄められ、そして飲み込んでいくうち、甘みがなくなっていったのである。
そして最後に、二人はほとんど味のしなくなったももりんごの切れ端を、同時にこくん、と嚥下する。
そうしてようやく、二人は唇を離す。
ぬちゃあ、と酷い粘りをたてて、お互いの唇の間に唾液の橋が渡される。

「えへへ…おいしかった?」

悪戯っぽく笑うティファニアに。

「…ったく。どこでこんなの覚えてくるんだ、このエロエルフ」

呆れたように、だがまんざらでもなさそうな顔で才人はそう言う。
ティファニアはその言葉に笑顔で応える。

「一生懸命お勉強してるもの。サイトにいっぱい可愛がってもらえる、えっちなペットになるために…」

言って、ティファニアはあっという間に制服のボタンを外してしまう。
凶悪なももりんごがばるん、とまろび出た。

…まずい!アレを使われたら…!

そう懸念する才人だったが、同時にティファニアの言葉で胸の内に沸きあがる、もう一つの自分。

…一生懸命お勉強した結果を、見せてもらおうか…!

そして勝つのは勿論後者の才人。
転がる方向が毎度間違っている気がするのだが、どうにも止められない。
これが彼の背負った、絶対運命なのだろう。
ティファニアはそんな才人の葛藤など他所に、机の上のガラス瓶を手に取る。
そして、左腕だけで自分の凶悪な両のももりんごを下から支え、右手で蓋の開いた瓶を掴み。
その上で、くるん、と百八十度回転させた。
ぼたぼたと零れる、ハーブ混じりの蜂蜜と、小さく分けられたももりんご。
それらはティファニアのももりんごを琥珀色に彩り、そして、黄色い果実のオブジェをその上に散らしていく。
ティファニアは下腹部までベトベトにして、椅子の上で才人に向かって体を開くと。
ほ、と軽く頬を染め、少し恥じらいのスパイスを効かせて、言った。

「はいどうぞ。『ティファニアのももりんご添え』です♪たぁんと召し上がれ♪」
「どっちがももりんごーっ!?」

意味不明な叫び声を上げ、才人は椅子の上のティファニアに襲い掛かった。

俺はすぴょすぴょ満足そうに眠るテファに、優しくシーツを掛けて思った。
やべえまずい計算外だ。
まさか、テファだけで3回も抜く事になろうとは…!
耳責めて一回で済ますつもりだったのに…!
しかしももりんごまみれのテファは存外強力で、俺は不覚にも蜂蜜まみれのテファの胸で一回、中で一回、外に一回致してしまった。
つうか、甘え方巧くなり過ぎだってこのエロエルフ!
『こっちも『蜂蜜漬け』にしてあげる♪』とか、『サイトの蜜漬けにして♪』とかどこのエロゲだよお前!
…まあ、三発目まで理性が吹っ飛んでさっさと済ませる事忘れてた俺も俺だけど。
まあいいや、時間的にはまだ大丈夫だし。
俺は、服を着なおすと、王都へ向かうべくテファの部屋を出た。

今日のサイトはすっごくエッチだった。
いつもより、その、少し積極的だったし。
何でかしらないけど、一回出してもすぐ元通りになるし。
調子に乗って、サイトの好きな胸でしてあげたんだけど、それでもまだ元気だから…。
…つい。その。おねだり、しちゃった…♪
そしたら、やっぱりサイトはちゃんとおねだり聞いてくれて、二回も続けてしてくれた。
さすがに二回もするとしんどそうだったから、私は二回目で満足しておくことにした。
本当は、もっともっと可愛がって欲しかったんだけども。
寝ているふりの私の横で、サイトがいそいそと服を着ていたから、私はとりあえず寝たふりをして、サイトが部屋を出て行くのをシーツの中から見送った。
…帰ってきたら、なんで急いでたのか聞いてみようっと。
そして私は眠りに着く。枕をサイトの代わりに、抱きしめながら。

 

王都の外れ、少し窪地になって水の溜まりやすくなった場所にある噴水が、待ち合わせ場所だった。
その噴水の縁石に、一人の女性が腰掛けている。
黒い短髪を短いポニーテールにまとめ、白いブラウスにトリスタニアの女性としては珍しい、黒い長ズボン。
物憂げに人通りの多い通りを見つめるその女性に、何人もの男どもが声を掛け、人を待っていますので、と玉砕する。
はぁ、と今日何度めかも知れない溜息をつき終わると、その視界が翳る。
目の前に、黒髪の少年が立ったからだ。

「ごめん、待たせた」
「…遅刻です。もう帰ってしまおうかと思いました」

目の前に立った才人に対し、ぷい、と顔を背けてアンリエッタ女王の化けた少女、アンは不機嫌に言う。

「ごめんってば」

平謝りに頭を下げる才人を横目でちらり、と見ると、アンは。

「じゃあ、ケーキはサイトさんのおごりですね♪」

にっこり笑ってそう返した。
いくら財政が逼迫しているとはいえ、一介の騎士でしかない才人よりアンリエッタの方が金を持っているのだが、そう言う問題ではないのだろう。
才人はハァ、と溜息をつくと、まだ縁石に腰かけたままのアンに手を差し伸べる。

「分かりましたよ。とにかく、そのケーキ屋さんとやらに案内してください」
「はい、わかりました♪」

にっこり笑って、アンは才人の左腕を抱え込んだのだった。

アンの案内したのは、大通りから一本裏に入った場所にある、小さなカフェ。
大きな商家の次男坊が営むというそこでは、果物をふんだんに使ったケーキが人気だという。
値段も手ごろで味もよいので、すこぶる評判がよいのだ。
ネタばらしをするならば、その商家から新鮮な果物を格安で卸して貰っているため、格安で上質なケーキを提供できるのである。
白い壁紙に、木でできた丸椅子と丸テーブルのたくさん置かれた店内は、そんなケーキを求める客で一杯だった。
そのうちの一つに腰掛け、才人とアンは件のケーキを目の前にしていた。
真っ白なクリームの上に、イチゴの輪切りを並べて扇のように並べたその評判のケーキを、アンは頬張って嬉しそうに笑う。

「おいしい!これ、とてもおいしいです」

王室育ちで味には敏感な彼女のお墨付きだ。これ以上の誉れはないだろう。
才人も彼女に倣い、一口、そのケーキを頬張る。
確かに旨い。甘いだけでなく、果物の酸味が絶妙なバランスで、口の中に広がる。

「うん、うまいよコレ」

言って才人はもう一口食べようとフォークをケーキに向ける。
すると、横からするりとアンの手が伸び、自分の手元にケーキの皿を引いていってしまう。
才人はいぶかしげな顔でアンを見つめるが、その答えはすぐに見つかる。

アンは自分のフォークで才人のケーキを切り分け、刺すと。

「はい、あーん」

なるほど。
アンはこれがやりたいがために、才人のケーキを持っていったのである。
慌てて周りを見渡す才人。他の客の視線が気になったからだ。
しかしそれは杞憂に終わる。
周りには似たようなカップルが多く、既に周囲は『あ〜ん』の嵐であった。
アンがこのカフェに目を付けたのにはもう一つ理由がある。それがこれだ。
このカフェの店主が宣伝に使った文句…『甘酸っぱいケーキで二人の甘い時間を演出します』。
おかげでこのカフェはカップルに大人気なのである。
ちなみに店の隅っこのブースではげ頭の中年が褐色の肌の美女に『あ〜ん』をせがまれていたがその事はこの際関係ない。
才人は仕方なく口を開け、アンの差し出すケーキを食む。
才人がケーキの欠片をこくん、と飲み込むとアンは満面の笑顔で尋ねてきた。

「おいしいですか?」
「うん、うまいよ」

まあさっきと同じケーキだしな、と思ったがそんなツッコミを入れるほど流石に才人も野暮ではない。
しかし、アンはコレだけでは満足しなかった。
才人の方に、自分の食べていたケーキを押し出すと。

「じゃあ、今度はサイトさんの番ですよ♪」
「え?」
「はい、あ〜ん」

アンが何を言っているのかわからず、動きを止める才人に、アンは瞳を閉じて軽く唇を開き、小さく舌をぺろ、と出して、才人の『あ〜ん』を待ち構える。

「…しょうがねえなあ…」

半分呆れた才人だったが。
すぐに気を取り直してケーキを一欠けフォークに刺し、アンの舌の上に運ぶ。
ちる、と舌の上に乗ったケーキの欠片を口の中に運び、アンはもぐもぐと食む。

「…ん。食べさせてもらうと、もっとおいしいです…♪」

にっこり笑ってそう言うアン。
そしてケーキの皿を才人の方に寄せ、椅子を才人の横に移して、隣にかける。
もう、アンが何をしたいのか、才人には完全に理解できていた。

「はい、あ〜ん♪」

そして二人は仲睦まじい恋人さながらに、ケーキを交互に食べさせあったのである。

二人がカフェを出たのは、それから小一時間ほどしてからのこと。
さすがに混みあってきたので、二人は追われるようにカフェを出たのである。
アンは才人の腕に寄りかかり、満面の笑顔で道を歩く。
才人はちら、と空を見る。
時刻は日が西に傾き始めて少し、といった所。このまま無事王都を出られれば、夜になる前に魔法学院に帰れる。

…ひょっとすると、このまましないで済むかもしれない。

などと淡い期待を抱いてみるのだが。
しかし世の中はそんなに甘くもなく。
王都の城門までの通り、宿場の増えるあたりに入ったとき、才人は気付いた。
アンの息が異常に荒い。
はぁはぁと苦しそうに呼吸をしている。

「ど、どしたの?」

才人は心配そうにアンの顔を覗きこむ。
彼女の頬は赤く上気し、熱に浮かされたようにその瞳が潤んでいる。

「あの、サイトさん…少し、休んでいくわけにはいきませんか…?」

辛そうにそう言うアン。
しかし、ここで『休む』と言えば、当然のことながらその辺の宿でご休憩、ということになるのだが。
それだけは避けたい。

「…具合悪いならおうき…家まで送るけど」
「いえ、違うのです…」

具合が悪いのでなければなんなのだろう。才人の疑問にアンは続ける。

「私、先ほどのお店で、遅効性の媚薬を飲みました」
「なんですと?」
「ですから、今、体が、火照って仕方ないのです…。ですから、ね…?」

潤みきった目で催促をしてくるアン。
狡猾な罠であった。
しかし今日は才人も引くわけにはいかない。

「…今日はデートだけの約束だよな?」

先だって結んだ女王との契約を持ち出す才人。
だがしかし。
この程度の事態、王たるアンリエッタが予想していないはずなどない。

「…そんな、冷たい事を仰るのね。私、サイト様に悦んで欲しくて、このような事を、しておりますのに」
「…いや頼んでないし」
「…わかりました」

才人がそう断るのも予想の範疇。
ならば、彼が逃げられない決定的な一手を打つまで。
アンは、上気した唇を開き、決め手の言葉を漏らす。

「なら、その辺りの殿方にこの体の火照りを収めていただく事にします」
「へ」
「…私、サイトさんが来るまで、何人もの殿方にお声をかけていただきました。
 ですから、私から声をかければ、何人でも私の望みを叶えていただけるでしょうね。
 あなたに耕されたこの身体、どんな殿方の種でも受け入れるでしょうね」
「ちょ、ちょいまち!」

少し涙が流れたのは、半分は演技。
もう半分は、才人以外の男に抱かれるという行為を想像し、あまりにも悲しくなったため。
慌てて才人はアンの肩を抱く。

「…わかったよ、しょうがねえなあ。でも、夜には帰らないといけないから、何回もできないぞ?」

才人は折れた。
完璧なまでの罠であった。

「はい♪でしたら、急ぎませんと」

言ってアンは才人の肘を、発情し始めた乳房で挟み込んだまま、一件の宿の押し戸を潜ったのだった。

そこは、その宿屋でもかなりいい部類に入る部屋。
しかも、恋人用に壁を厚く作ってある、特製の部屋だ。
その部屋に止まるには予約が要ると才人が知ったのは、ずいぶん後のことである。
グレイの壁紙を橙色のランプの光が照らす、その部屋の中央には、天蓋こそないものの、王女の寝所とさほど変わらない大きさのベッドが鎮座している。
そのベッドの上、若葉色のシーツの中央に、女王の裸身がまるで白い蝶を展翅したように、飾られていた。
弾けそうな若さの潜む白い肌の内側から、媚薬に沸かされた紅い血潮が桜色に染め上げる。
紅もひいていないのに紅く染まった唇からは、とめどなく甘い溜息。肌から溢れる発情した女の汗と相まって、周囲には香炉も炊いていないのに極上の牝の香りがした。
愛しい人の行為を身体を広げて待つその様は、まるで娼婦のよう。しかし隅々まで手入れの行き届いたその肢体は、まさに神より授かりし王そのもの。
才人は変装を解いたアンリエッタに同じく服を脱ぎ、ベッドに上がる。
いつ見てもなんていやらしい、そしてなんて神々しい身体なんだ、と思う。
この身体が全部自分に向けられている、そう思うと支配欲と興奮でさらにいきりたってくる。

…でも、今日はさっさと終わらせないとだしな。

才人は、右拳に隠した、『アレ』を握り締める。
それは先だって、アンリエッタに使おうと買っておいたもの。
一、二回の行為では満足しないアンリエッタのために、裏町で買ってきたのだ。
ちなみにコレの売り文句は『もっと刺激を与えたい貴方へ!』である。
才人はそのままアンリエッタに覆いかぶさる。
アンリエッタはそっと両腕を持ち上げると、愛しい騎士の首に腕を回した。

「あの、何度もできませんから…今日はいっぱい、口付けをくださいまし…」

アンリエッタはキス好きだ。
というか、ルイズとタバサもキスが好きである。
シエスタとティファニアはそこまでキスが好き、というわけではない。
貴族の三人はキスを愛の交換の儀式のように思っている節があるが、平民と平民出の二人は、キスよりも身体のスキンシップを好む傾向にある。
やはりこれは、受けてきた教育の違いなのだろうか。

まあそんあことはともかく。
才人は何度も何度も甘い口付けをしてくるアンリエッタの下半身に手を伸ばす。

くちゅ…。

媚薬の効果もあってか、アンリエッタの女陰はすでにとろとろに煮溶けていた。

「ふンっ…」

交わされた唇の隙間から、アンリエッタの溜息が漏れる。
そして、少し不満げに言う。

「…今日は、いきなりなんですのね…?」
「…どんだけ濡れてるか確認したくてさ。それに」

くに。

「ひぃ!」

才人は、興奮しきって少し皮を押し上げてきたアンリエッタの核を、指の腹で押した。

「お豆も、もうこんなになってるし」
「だ、だめです、そこは感じすぎ…あひ!」

もう一度こねると、アンリエッタは悲鳴を上げて悶える。
神経の塊である上、普段は皮に納められて保護されている器官をこね回されているのだ。
ぴりぴりとこめかみに走る電流と、背筋を蛇が這い回るような感覚に、アンリエッタは悶えた。

…これなら、いけそうだな。

才人は勝利を確信し、ベッドの上では女王ではなく、自分の忠実な牝奴隷のアンリエッタに、命令を下す。

「じゃあ、姫さま。四つん這いになって、お尻を上げてみせてよ」

犬のように這い蹲る、屈辱的で恥ずかしい格好を要求され、アンリエッタの眉が曇る。
しかし、愛しい主人の要求を、淫乱な牝奴隷が突き放すはずもなく。
己が騎士の前で、絹よりも肌理の細かい真っ白な臀部を高く持ち上げ、女王は四つん這いになってみせる。

「あ、あの、これでよろしいでしょうか…」

アンリエッタのうなじに、心臓からどくん、と黒い獣の血が流れ込む。
これから、後ろから、獣のように交わるのね。
それを考えるだけで、アンリエッタの中の牝が容赦なく吼える。
とろりとろりと女陰から蜜を零し、アンリエッタは真っ赤に割れた女王の果実をふるふると震わせて才人を待つ。

「それじゃあ、ご褒美だ」

そして、才人は握っていた右手を開き、掌の中から小さな、半透明のヒマワリの種のようなものを取り出す。
それは先の欠けた楕円の形をしていて、欠けた部分を口とした小さな壷の様になっている。
よく見ると、口の部分から中にかけて、細かい襞が刻まれているのが分かる。
これは、南方に生える植物の樹液を、型にはめて固まらせたもの。ゴムのような弾力性があり、つまむとスポイトのように中にモノを吸い込む。
才人はそれを軽く押し、入り口が開いた状態にさせると。
アンリエッタの下半身を抱きこみ、左手で女陰をこね、一番硬い塊の皮を剥きあげる。

「…ひ!お、おまめは、おまめは堪忍してくださいましと!」

しかし、アンリエッタの願いはさらなる刺激によって塗りつぶされた。

かぷ。

「あ───────────────────────っあ!」

目の前に稲妻が走ったと思った。
最も敏感なあの部分が、何か、ぶにぶにした、こりこりしたものの中に収められた。
それは普段そこを守っている皮の内側とは正反対に、膨れ上がったそこをこりこりと容赦なく締め上げる。

「なにっ!?な、なにを、なさ、なさいました、のっ?」

怯えに近いアンリエッタの声に、才人は。

ぶちゅう!

蜜の溢れる女陰を貫く事で応えた。
そして同時に。
アンリエッタのクリトリスをくわえ込んでいる、透明な樹脂のカタマリを指でぴん、と弾く。

「ひぅぁ─────────────────っ!?」

びくんびくん、とアンリエッタの身体が震え、膣が蠕動する。
才人は奥まで差し込んだあと、連続した絶頂に行きも絶え絶えのアンリエッタの耳元で囁いた。

「これな。姫さまが普段俺のちんぽにしてることを、姫さまのお豆で感じられる道具なんだよ」
「う、うしょ、さ、サイトさまぁ、いつ、も、こん、なぁ…?」
「その通り」

ぴん!

「くぁ、ひぃっ───────────っ!」
「いっつも俺、こんなすごいの感じてるんだぜ?たまには姫さまも感じてみてよ」
「う、うひょ、らって、こんなの、ガマン、できるわけひ────────────!」

アンリエッタが反論するたび、才人は樹脂でできたアンリエッタの擬似的な肉棒をぴん、と弾く。
そのたびに絶頂を迎え、盛大に膣を震わせるアンリエッタ。
媚薬の効果もあってか、アンリエッタは気が狂いそうなほど感じていた。

「そう言うけどさ。俺結構ガマンしてるんだぜ?」

ぴん!

「ひくぅっ!らめまたぁっ!ひぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「堪え性がないのは姫さまなんじゃないの?」
「ひ、ひが、ひがいまひゅ、ひがいまひゅぅ!」
「ロレツもまわんないくらい感じてるんだな。ほんと、やらしい姫さまだ」

今度は、指で樹脂ごと押しつぶす。

くにゅ!

「───────────────────────!」

かくかくと声もあげられずにアンリエッタの喉が震え、ぎゅう、と才人を締め上げる。

同時に。

ぷしゃっ…!

肉豆を咥え込まれた股間から、潮が噴出す。
その数瞬後、身体から力が抜けたのか、くたん、とベッドに突っ伏すアンリエッタ。
一度に酸素を消費した身体に酸素を送り込むべく、ひはひはと荒く息を貪る。
だが、休息を与えてはダメだ。

ぶちゅ!ぶちゅう!

才人は完全に脱力したアンリエッタを容赦なく犯す。

「や──!ひ───!や、め、いま、いきまひた、いきまひたばかりです!や…め!」

だが才人は止まらない。
どろどろの蜜の溢れるぐちゃぐちゃのアンリエッタの牝を、容赦なくかき回す。

「今日は早く終わらせるんだろ?まだ俺が終わってないから」
「やめ!も…う!きがくるひゅ────────────────ひぁぁ?」

ぴん!

肉豆を強く弾かれ、意識も同時に弾かれ、腰の抜けかけたアンリエッタの膣が、ぐりゅぐりゅと才人を締め上げた。

「ひは─────あ──────────────!」
「で、出るよっ、アンリエッタっ…!」

どくどくどくどく!

最後だけ名を呼び、才人はひくつくアンリエッタの奥で、ようやく果てた。

水魔法で抜けた腰をなんとか治し、不機嫌な顔でアンリエッタの化けた街娘、アンは馬上の才人を見上げた。

「…あんな酷いことされると思いませんでした」

いくら自分から誘ったとは言え、あそこまで無理やり気をやらされるとは思っていなかったアンであった。
しかし、そのアンよりも、馬上の才人の方が不機嫌であった。

「今回は、アンが悪い」
「え?どうして…?」

才人は、不思議そうな顔のアンに、ちょっと怒った顔で言った。

「『他の男に抱かれてくる』とか言ったろ?あれで、俺相当トサカにきたぜ」
「…あ…」
「ああいう、自分を人質に取るようなやり方、俺は好きじゃないな」
「…ご、ごめんなさい!もうしません、もうしませんから!」
「わかればよろしい」

泣きそうなアンの頭を優しく撫ぜ、才人はそう言った。
そして。

「じゃ、これはお土産。アンにあげるよ」

言って、馬上から先ほどまでアンの下半身を苛んでいた半透明のヒマワリの種を落とす。
思わずそれを受け取り、アンは真っ赤な顔で今度は怒った。

「い、いりませんこんな、こんなはしたないモノ!」
「そんな事言って。すっごい感じてたじゃん」

才人の言葉に、アンは耳まで真っ赤になって。

「そ、そうですけれど!でも、あんな、あんな」
「すっごい可愛かったぜ?メチャクチャに感じてるアンはさ」

才人の言葉に、アンの顔がさらに赤くなる。まるで熟したトマトのようだ。
アンは、才人に手渡されたそれを、大事そうに両手で包み込む。

「わ、わかりました。では頂いておきます。
 で、でも、次は使いませんよ?」
「さあてどうかなあ?自分で出すんじゃないかなあ?」
「さ、サイト様のばかぁ!」

怒って拳を振り上げるアンに、才人は馬を走らせる。

「じゃあ、また今度な!」

走り去る才人を未だ赤い顔で見送りながら、アンは才人の『お土産』を抱きしめる。
そして、思った。

…あんなに無理やり急ぐってことは…ルイズ絡みかしらね…?

明日辺り、お忍びで学院に行ってみよう、そう思う女王様であった。

 

さて、才人が王都を発ったのは、日の沈みはじめてからの事だった。
西の地平線が紅い空を飲み込んでいくのを焦りながら見つめ、才人は愛馬を飛ばして学院へ向かう。
自分の到着を心待ちにしている、愛しいご主人様の下に。
全力で飛ばしたお陰で、才人はなんとか太陽とのチキンレースに勝利する。
厩舎に馬を預けた才人は、まるで、睡魔に抵抗する、薄く開かれた紅い目のような西の空を眺めながら、慌てて女子寮へ向かう。
階段を駆け上り、ほどなくしていつも自分が寝起きする部屋へ着く。
そして、ドアの前で深呼吸。
呼吸を整えると、部屋のドアをノックする。

「…開いてるわよ」

返ってきたのは少し不機嫌そうな声。

…ヤッヴェ!怒ってはる!?

『夕方まで帰ってこれない』とは言っていたものの、先に才人が部屋に戻っていなかった事に腹を立てているのだろうか。
才人はおそるおそる、ドアを押し開ける。
そして、おっかなびっくりいつもの台詞。

「ただいまー、ルイズー…」

才人は、開いていくドアの隙間から中を伺うようにして、そう言った。
部屋に帰ってきたとき、ご主人様がいるときは、ちゃんと『ただいま』の後に名前を呼ぶの!わかった!?と躾けられているからだ。
ただいまだけでもいいんじゃないか、と言う才人の反論は勿論却下された。結局どうして名前を続けるのかは分からずじまいだったが、とりあえず才人は折れておく事にした。
その本当のところはといえば、ルイズが図書館で借りてきた本に由来する。
『勇者王バルバロイ』というタイトルのその冒険活劇は、半分獣の騎士と、美しい貴族の娘が、愛の力で襲い掛かる困難を一切合財粉砕していくという、破天荒な物語なのだが。
その二人が夫婦になったシーンで、娘が『旦那様は帰ってきたときに、妻の名前を呼ぶものよ』と言って、ただいまのあとに自分の名前を呼ばせるシーンがある。
そして騎士は帰宅の度に妻の名と愛を確かめる、という描写が続く。
なんてことはない、帰宅時の夫婦の所作が書かれているだけなのだが、ルイズはいたくこれに感銘を受けてしまった。

…へ、部屋に帰るたんびに私の名前呼んでれば、私への忠誠心…もとい愛はより一層深まるわよね!

などと妄想してしまうくらい。
そんな理由があるとは露ほども知らない才人は、少し暗い部屋できょろきょろと主人を捜す。
既に日が暮れ始めているので、部屋の中は随分暗い。まるで影絵のように、調度が黒く染まっている。
そんな中、才人はルイズのシルエットを見つける。窓の脇に立ち、外を見ているようだ。
灯りも点けずになにやってんだ、と思いながら、才人はいつもランプの置いてある、ベッド脇の円卓に向かう。

「もう暗くなるから、灯り点けるぞ?」

返事はない。
…やっぱり怒ってはる?と戦々恐々、しかし逃げ場はない諦めの境地から、才人は逃げ出さずに火口箱から火を作り、ランプを点す。
ええいもうどうにでもなれ、と覚悟を決めて窓際のルイズを振り向いた才人は。
目が点になった。
怒ったように眉を吊り上げ、才人の方ではなく自分の右斜め前を意味もなく睨みつけるルイズは。
限りなく白に近いピンクの、ふわふわの布地を身に纏っていた。
上半身は胸元が大きく開き、袖がない。肩紐の間には、はっきりと肩甲骨が見て取れる。その布と肌の境界線は、過剰なほどの白いフリルで覆われている。
その左胸、心臓の真上にはよく見ると布地と同じ色の糸で見事な薔薇の刺繍が施されていた。
細い腕は同じ色のグローブで覆われて、ルイズの華奢さを寄り一層際立たせている。
背中に纏められた紐できゅっとくびれた腰から続くスカートは、上半身の布から素直に続き、綺麗なフレアになっている。
そのスカートを覆うように、薄手の、これまた限りなく白に近いブルーの布がまきつく。レースをふんだんに使った、外付けの引き裾であった。
ルイズの桃色の美しい髪は、半透明の布に覆われ、その布は彼女の顔の前にまで垂れている。
才人は、ランプと月の灯りに照らされたその美しさと可憐さに思わず見とれ、そして、ようやく声を出す。

「ちょ、おま、な、なんて格好してんだよルイズ!」

どう見てもウエディングドレスです。本当にありがとうございました。
脳内で河内音頭をパラパラのリズムに乗せて踊り狂う才人の思考が、そんな結論を出す。
ルイズは不機嫌そうに、赤い顔で、やっぱり右斜め前を意味もなく睨みつけながら。

「あ、姉さまたちが、お、『お土産』だって、くれたのよ!」

学院にやってきたカトレアとエレオノールが、複数の恋敵相手に苦戦する妹に、とんでもない最終兵器を持ってきたのである。
妹に満面の笑顔で決戦兵器を手渡すカトレアに対し、エレオノールは最後まで『こんなのちびルイズにはもったいないわよ』なんて言っていたが。
カトレアが結局、エレオノールが一生懸命このドレスの生地を選んでいた事をばらしてしまうのであった。
結局ヴァリエールの姉妹は、末の妹が可愛くて仕方ないのである。
そして、カトレアは一計を案じる。

『今夜あたり、それを着て騎士殿に見せてお挙げなさい。彼、きっとアナタにメロメロになっちゃうわ』

そしてその作戦は大成功を収めた。のだが。
当のルイズには、これが成功なのかいまいち理解できていない。
ルイズはちらり、と才人を見る。
真っ赤になって、狼狽している。どうしてだろう?少し疑問を覚えたルイズは、率直にそれを才人に尋ねる。

「に、似合ってない?」

不安そうな顔で、今度は才人を見つめながら。

どきゅん。

才人の心臓に何か硬くて太いものがブッ刺さった。
くぁ、かは、となんとか止まっていた呼吸を戻し、応える。

「い、いや、似合ってるとか似合ってないとかそういう次元の問題じゃなくてだな」
「…可愛くない?」

今度は泣きそうな顔で、首を傾げながら。

ずっきゅん。

才人の心臓のど真ん中に、桃色の徹甲弾でどでかい穴が開いた。
ずは、ぶは、と吐き出すのを忘れていた二酸化炭素を追い出し、ようやく言葉を返す。

「いやだって反則だろソレ!チートだろソレ!いや正直言うけど、すげえ似合ってるしとんでもなく可愛い」

今度はルイズが歓喜の波に襲われる番だった。
『すげえ似合ってるしとんでもなく可愛い』『すげえ似合ってるしとんでもなく可愛い』『すげえ似合ってるしとんでもなく可愛い』『すげえ似合ってるしとんでもなく可愛い』…。
頭の中でこだまのように、才人の言葉が反響する。
心臓が早鐘のように脈打ち、身体が悦びのあまり浮き上がったように感じる。

「で、でも、どうしてそんな格好なんか」

最初の疑問に立ち返った才人に、ルイズはかろうじて現実に踏みとどまり、応える。

「…どうせ、そのうち着る事になるから、そ、その」

その先を言おうとするが、中々言葉にならない。
というより、この先を吐いてしまったらもう後戻りは出来ない。そんな決定的な言葉だった。
才人は、中々言い出せないでいるルイズに、少し不安を覚えながらも、その言葉を待つ。

「え、えっと、その、だ…だん…、じゃなくて、サイトが、サイトで、そのね」

まともに言葉にならない。

何度も言おうと決めてたじゃないの!練習だってしたじゃない!私の意気地なし!
『私の旦那様になるサイトに、このドレス似合うかどうか見てもらおう』って!

心の中で自分にエールを送るルイズ。しかし口はもごもごと蠢くだけで、意味のある言葉を紡がない。

「どうしたんだ?ルイズ?」

さすがに疑問に思ったのか、才人が震えるルイズに寄ってくる。
その距離が、あと半歩まで迫った瞬間。

すん。

ルイズの鼻に、才人の匂いが届いた。
ほんの少しの、異臭を伴って。
即座にルイズはその異臭の種類を理解する。
少し甘い、香水交じりのその匂い。紛れもない。
他の女の匂い。

…こ の エ ロ 犬。
一体今日一日、何ヤッてたのよっ…!

ふわふわとした幸せな気分が一点、殺意の波動に変わる。
一瞬、このまま引き倒してお仕置きモードに移行しようかとも思ったが。
しかし、ルイズは閃く。閃いてしまう。

「ねえ、サイト?」

急にいつもの顔に戻り、あからさまな作り笑顔でそういうルイズに、ただならぬものを感じた才人は、思わず後ずさる。

「な、何かな?」

にっこり笑ったまま。
がしい、とルイズのグローブに覆われた手が、才人の胸倉を掴む。
ケープごしでもわかる凄みを増した視線が、怯えるガンダールヴを容赦なく射抜く。

「私ね、自分の旦那様になる人は、私を心の底から愛してくれて、誠実で、勤勉な人がいいなって思うわけ」
「そ、それがいいいよねうん」
「でね?私の旦那様候補って言ったら、今誰がいると思うかしら?」
「え、えっと、その、ワルドとか」
「いっぺん死んでみるか駄犬」
「いえ冗談です私めですはい光栄至極で犬死んじゃいそう」
「そうね。どこかの冴えないガンダールヴだわね。で、私思うのよ」
「…な、何をでありますか?」
「その旦那が、誠実さのほかに、情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さまで足りなかったらどうすればいいのかしらね」
「…え、えと、とりあえずこの手を放すのはどうでしょう、マム」
「却下します。そうね、とりあえず調教かしらね。二度と浮気色目味見妄想その他もろもろできないように」
「す、すいません痛いのは勘弁願えないでしょうか」

才人のその言葉を聞いて。

いい度胸してんじゃない、サカリのついた駄犬のくせしてっ…!

ルイズの中で、何かが反転した。

「脱ぎなさい」
「へ?」

胸倉を締め上げられている使い魔に、主人は完全な半眼で冷徹に命令する。
あまりにも唐突な命令に、一瞬ルイズの言葉の意味が理解できない才人。
ほけっとしていると、次の命令が降ってきた。

「全部脱いでベッドに仰向けになりなさい。反論も異論も抗議も一切受け付けない。
 やらないと塵に返す」

言ってどこから取り出したのか、ぱりぱりと充填された魔力で電撃を放つ杖を、才人に向ける。
完全に犬モードになった才人は、慌てて全裸になり、ベッドに仰向けになる。
それを追いかけるように、ルイズは、ベッドの上に、白いヒールだけを脱いでドレスのまま登り、才人の足元で仁王立ちになる。
そして据わった目でくなんとしおれた才人の一物を見下ろす。

「二度とおいたができないように、調教してあげる」

ルイズはスカートのまくれるのも構わず、ガーターベルトに吊られた、白いニーハイソックスの脚を持ち上げて、その足の甲で垂れた才人の一物を持ち上げる。

「ちょ、ルイズっ?」
「ご主人様以外、見れない身体にしちゃうんだから」

言いながら、才人の裏筋を、右足の親指路人差し指の隙間で擦り上げる。
その刺激に、あっという間に才人の息子は完全に勃ち上がる。
その弾力はまるで、才人の牡がルイズに屈さないとばかりに抵抗するかのよう。
しかしルイズは無慈悲に冷たく笑うと、ぐに、と脚に体重をかけて哀れな牡を下腹部へ押し倒す。

「なによ、踏まれて感じてるワケ?変態ね、変態犬ね」
「いや待てって!これまじでまずいって!」

焦燥感と、たまらない屈辱、そして背筋を這い上がってくる負の快楽に抵抗しながら、才人は体を起こそうとする。
その鼻先に、ルイズの魔力の充填された杖が突きつけられる。

「痛いの嫌なんでしょ?だったら大人しくしてなさい。伏せ」

ルイズはまるでペットの犬に命令するようにそう言い放つ。
才人はそんな冷酷な花嫁の命令に逆らえない。仕方なくベッドの上に再び上半身を戻す。
そして、ルイズは才人がベッドに背を預けたのを確認すると。

こしゅっ、こしゅっ、こしゅっ。

シルクの布地に覆われた足先で、才人の肉棒を下腹部に押し付けながら擦りあげる。

「く、くぁぁ」

才人の喉から漏れる、切ない悲鳴。
それと同時にルイズの背筋を走る、ぞくぞくとした負の電流。
薄い布地越しに感じる牡の肉の抵抗が、ルイズの嗜虐に火を点した。
ヴェールをふわりと持ち上げ、冷たい笑みで才人を見下ろす。
そして言った。

「言っとくけど、このドレス汚したらひどいかんね。
 一生口きいてあげないんだから」

随分可愛い『ひどい』だったが、その制限も随分無茶であった。
この状況でどうやってドレスを汚さずに済ませというのか。

「ちょ、そんなのムリだって!」
「簡単じゃないの。私に向けて出さなきゃいいのよ」

ということは。

「きったない犬の精液、自分のおなかの上にぶちまけなさい♪」

冷酷に言い放つと、才人の牡をぎゅう、と彼の下腹部と自分の足の裏でサンドイッチにし、シルクの肌触りでこしゅこしゅと擦りあげる。

「く、うぁ、うあぁぁぁぁっ!」
「ほ、ほら、こんなのでこんなにカチンコチンにして。変態ね、変態犬ね。ほんとどうしようもない変態なんだから」

そう言い放つルイズの頬は朱に染まり、瞳は潤みきっていた。
才人の硬い牡を擦りあげるたびに蠢く股間の肉が、熱く熱く疼いてくるのが分かった。

…私だってこんなことして興奮してるじゃない。変態なのは私の方かも…。

思いながらも、足は止まらない。止められない。
容赦なく自分の知る才人の一番感じる部分、竿の付け根の一番固い場所を脚の腹でこりこりと押しつぶし、指先で竿の裏筋をなぞって責める。

「ほら、みっともなく出しちゃいなさいよ!私の足で踏まれて、出しちゃいなさいよっ!」

侮蔑の言葉を吐く桜色の唇は、舐めあげたせいで妖艶に光り、その目は嗜虐の悦楽に蕩けていた。
もう、ルイズは完全に自覚していた。

…私、変態なんだ。大好きな人にこんなことして感じちゃう、変態さんなんだ…。
…で、こんなことされて感じてるサイトも十分変態ね。変態同士、お似合いの夫婦になれるかも…。

なんてことを考えながら、いよいよ脚の動きを早めていく。
にちゃにちゃと溢れた先走りでシルクのソックスが滑り、早い動きの摩擦を打ち消す。
粘液と柔らかい足の裏の感覚に、才人はいよいよクライマックスを迎えた。

「も、もうだめだぁっ!」

ぶる、と才人の体が震える。そして。

どくどくどくっ!

ルイズの脚によってしっかりと下腹部に押し付けられた才人の牡は、自らの腹部に白濁をぶちまける。
その光景を見て、花嫁衣裳を着たルイズの身体がふるっ、と震える。
愛する人を責めあげてしまった負の法悦に、震えていた。
そして。
己の中で目覚め始めた牝が、目の前の牡を喰らい尽くせと吼え始める。
ルイズはその牝に従うまま、才人の上に腰を下ろす。

「ちょ、ま、待てルイズ汚れるっ」

ルイズが腰を下ろそうとした才人の下腹部には、たった今吐き出された新鮮な精液が飛び散っている。
ルイズは、そういえばドレス汚したらひどいとか言ってたわね、と無責任に自分の発言を思い出し。
踵を返してベッドから降りると、ベッド脇に置いてあるタオルを取った。
そのままベッドに上がり、上半身を軽く起こして呆けている才人の脇にに腰を下ろす。
そして、乾いたタオルで才人の下腹部を拭き始めた。

「え?い、いいよルイズ俺が拭くって」

まだルイズがご主人様モードなのかと思っていた才人は、思わずそう言って自分の下腹部を優しく拭くルイズを止めようとする。
しかしルイズは手を止めずに、どんどんタオルで精液を拭き取っていく。ほどなくして、下腹部に飛び散った才人の分身は、ルイズの手によってきれいに拭き取られた。

そして。
ルイズはその汚れた布の塊を、自分の鼻先に持っていく。
愛する牡の匂いに染まりきったその布に、花嫁姿の牝は、その美麗な鼻筋を埋める。

サイトの、サイトのにおいだぁ…!

鼻腔の奥から、生臭い獣の匂いが侵入し、ルイズの脳幹を焼く。
ぴりぴりとした静電気のような快感が、血管を通して身体中に運ばれていく。
脊髄を通して、下腹部の器官に、封を解けと命令が下る。
才人の匂いを吸い込むたび、ルイズの身体は『おんな』に染まっていく。
才人はといえば、目の前で可憐なウエディングドレスに身を包み、自分の精液の染み込んだタオルの匂いをかいで、法悦の笑みをこぼすルイズに、とんでもないいやらしさを感じていた。
目の前で痴態を繰り広げる花嫁に、花婿の牡は完全に天を衝いていた。
ひとしきり匂いを嗅ぐと、ルイズはタオルから顔を上げる。
タオルに顔を埋めている間に、布に染み込んだ精液の味も存分に味わっていた。
そのせいで、股間の牝は完全に目覚めていた。
外からは膨らんだドレスの裾に隠れて見えないが、ルイズの下着には、溢れ出た淫水で染みができていた。
はぁ、と溜息をつくと、ルイズはスカートの前をたくしあげ、才人を跨ぐ。
才人からは、たくし上げられたスカートの中身が丸見えだった。
そこは、花婿以外には晒される事のない、秘密の花園。
レースたっぷりの白いガーターベルトに吊られた、薄いピンクのニーハイソックス。
そして、純潔を意味する真っ白なフリルいっぱいのショーツは、ルイズの愛液で濡れそぼっていた。
ごくり、と才人の喉がなる。
ヴェールをはだけ、スカートの前を開き、淫らに火照った花嫁は、言った。

「ほらあ、サイトがあんまり変態だから、見てる私まで変な気分になっちゃたじゃないのぉ…♪
 責任、とんなさいよぉ、ばかいぬぅ…♪」

言って、今度は左手だけでスカートを保持し、右手で愛液に濡れたショーツをにちゃあ、とずらす。
そして、器用に才人の先端をそこに押し当てる。
そこから先は、才人の仕事だった。
才人は左手でルイズの腰を抱え込み、右手を己の竿に添えて固定する。
才人も、興奮で限界だった。
この愛しい淫らな花嫁を、早く己の欲望で貫きたい。
己が欲望の命ずるまま、才人はそのまま左手に力を込め、ルイズの腰を抱き寄せた。

ずぷぷ・・・。

湿った音を立て、才人の肉棒がルイズの裂け目を貫いていく。

「あっ…ふぁぁっ…!」

ルイズが声を上げ、天を仰いだ拍子に、捲り上げていたヴェールがふぁさ、と再び彼女の顔を覆う。
淫欲に呆け、桜色に染まる顔が、純粋の象徴である半透明の布を隔てる事で、より一層淫靡さを増す。
スカートを自らたくし上げ、自分の分身を咥えこんで腰を振りたてるルイズに、才人の欲情はどんどん加速していく。

「ルイズっ、ルイズぅっ!」

名を呼び、自らも腰を突き上げ、花嫁を犯す。

「サイトっ、だいすき、サイトぉ!」

名を呼ばれ、花婿に下から愛され、ルイズは腰を捻り、腰を振りたて、快楽を貪る。
肉同士のぶつかる音と、粘液をかき回す水音が、容赦なく部屋中に響く。
二人の声が淫らに絡み合い、互いを高めていく。

そして。

「る、ルイズ、お、俺もうっ」

一度果てたにも拘らず、才人が先に限界を迎えた。
そんな使い魔の限界を聞き取ったルイズは、絶頂の期待に震えながら、命令を下す。

「ど、ドレス、よごしちゃ、だめ、なんだからっ、なかにっ、中に全部出してぇっ!
 わたしのこと、あいしてるなら、中に、中にぃぃっ!」

言いながら腰を下ろし、子宮口を才人に密着させて完全に牡を咥えこむ。
その膣道がびくんびくんと蠕動を始める。
絶頂の前触れであった。

「い、いくよルイズっ!」
「わ、わたしも、わたしも、いっちゃう、いっちゃうのぉっ!」

いつの間にか二人は互いに両手の指を絡めあい、見詰め合っていた。
そして、ルイズの膣の最大震度が、才人の肉棒を直撃する。

きゅうううーっ!

「あ、ああぁぁぁぁぁぁーっ…!」

どくどくどくどくっ!

「ルイズっ…!」

全てを絞りつくさんばかりのルイズの締め付けに、才人は花嫁の奥で果てた。

「あ、ふぁ、いっぱい…」

夢見心地でルイズは、才人の胸板に倒れこむ。
その股間からちゅるん、と勢いを失った才人抜け、緩んだ膣道を、どろり、と子宮に入り損ねた才人の精液が流れる。
ルイズはその感覚に、慌ててずれたショーツを直し、弛緩した牝の入り口を封じる。
自分の上でもじもじと何かをしているルイズに、才人が疑問をぶつける。

「ルイズ、何してんの?」
「え」

しかし才人の精液が零れるのが勿体無くてショーツで蓋をした、なんて恥ずかしくて言えるわけがなく。
ルイズは、先ほどの約束事を持ち出す。

「あ、あんたがバカみたいに出すから、溢れてきたのよ!そ、それにドレス汚したら、まずいから…」

ドレスを汚してまずいのは才人の方なのだが。

完全に出来上がったルイズには、才人と一生口を聞かないなどというのは、彼女にとってマイナスでしかない。
でも。
もっと、して欲しい。メチャクチャにして欲しい。
それには、身に纏う、花嫁の証が邪魔だった。
ルイズはそう考え、ベッドを降りる。
そして、ヴェールを外し、上半身を締め付ける紐を解き、一本の布の筒になったドレスをふぁさ、と脱ぎさる。
薄いピンクのグローブと、白いガーターベルトにニーハイソックス、そして愛液と精液でどろどろの純白のショーツという姿になると。
ベッドの上に舞い戻り、上半身と一物を立ち上げて待っていた才人に抱きつく。

「あ、あのまだスルんすかルイズさんっ?」

才人の間抜けな、しかし切羽詰った一言に、ルイズは応えた。

「あ、当たり前でしょう!今夜一晩かけて、絞りつくしてやるんだからっ…!」

言って、乱暴に唇を奪って才人を押し倒し。
復活した才人を、今度はニーハイソックスに覆われた太股と、ショーツを履いたままの女陰の間に出来た隙間で挟み込み、擦り始めたのだった。

次の日。
才人が目を醒ましたのは、昼過ぎ。
眠ったのは日が昇る直前。ソレまでの間、才人は乱れる可愛いご主人様に何度も立ち上がってしまい、そして何度も搾られた。

…覚えてるだけで、七回、させられました…。

何の備えもナシだったら一週間ほど寝込んでもおかしくないほどの一日だったが。
あらかじめ備えておいたタンパク源のおかげか、才人はかろうじていつもよい少し顔面が蒼白なだけだった。
ふらふらとベッドから降り、ベッド脇の円卓に載った水差しから水を飲む。
こんなに旨い水を飲んだのは久しぶりだった。
ほう、と一息つき、才人はベッドに腰掛ける。
そして、勝利を確信した。

…やった。やったぞ。俺は地獄の一日を乗り切ったんだ…!

それは、七万の軍勢を相手に戦った時よりも、大きな達成感だった。

がたん!

その達成感に浸る才人を、ドアに何かが当る音が現実に引き戻す。

どたん!どたん!

どうやら部屋の外で誰かが暴れているらしい。

…ったく、せっかく人がゆっくりしていたってのに。

不機嫌に、才人はドアに近寄る。
騒ぎはひと段落したのか、騒音は消え、代わりにひそひそと声がする。
その向こうから聞こえる、聞き慣れた声、声、声、声。

「…じゃあ、順を追って話をまとめてみるわよ。まずタバサ」
「…本を寄付しにいったら、図書館でサイトがしようって言い出した。
 …それで、サイレンスをかけて、行為に及んだ」
「…っ!あ、あんのバカ犬…。まあいいわ、次、淫乱エルフ」
「ひ、ひどいです…。ひ!わ、わかりました、話します…。
 お、お弁当とももりんごの蜂蜜漬けを食べさせてあげて、そのあと、いっぱいおねだりしちゃいました…」
「…死ぬといいのだわ…」
「まあまあ落ち着いてルイズ。
 私なんか酷いのよ。こんな器具を使われて、お豆をさんざん嬲られながら気が狂うほど犯されてしまいました」
「……ほほおおおおおおおう」
「あ、あとですねえ。朝随分お元気でしたから、私が一発抜いて差し上げたんですけれども」
「……なああるほどねええええええええええ」

それは、偶然女子寮のルイズの部屋の前で集ってしまった、才人の恋人たちの会話だった。

一部始終を聞いた才人は。
覚悟を決めてベッドに戻り、シーツを頭までひっかぶって寝たふりを開始する。
ばたん!と部屋のドアが勢いよく開いた。
そしてつかつかつかと寄ってくる、複数の足音。

『あの、手加減してあげたほうが』『まあ一度くらいは酷い目に会ったほうがいいのかもしれませんねえ』

あくまで主人を心配するペットと、傍観を決め込んでいるらしいメイドの声。
そして、残る3つの足音が、ベッドを取り囲む。
まさに──────────────────四面楚歌。
がばあ!と勢いよくシーツが跳ね上げられる。
才人は、自分を見下ろす、ご主人様と女王様とお姫様にガクブルしながら、あくまでにこやかに、言った。

「や、やあおはようみんな」

十分な蓄えがあり、困難があらかじめ予想されていれば、乗り切れる──────。
そう考えていた時代が、ボクにもありました──────。

後に包帯まみれの英雄は、病床で相棒の伝説の剣に、そう賜ったという。
そして、そんな彼に対する伝説の剣は一言だけこう言ったそうな。

「…バカだね」 〜fin

※四面楚歌:周りを敵や反対者に囲まれて孤立し、助けのない状態のたとえ。孤立無援。

 

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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:55:18 (5644d)

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