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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:55:19 (5639d)

青春時代H  ツンデレ王子

 

 結局朝食を取り損ねたルイズだったが、その後は普段と変わらずに過ごし
ていた。いつぞやにもサイトが居なくなった事はあったが、あの時と違い今回
は直前に喧嘩をした訳でも無い。そして決定的に違うのが、今回は彼の目撃
情報が得られているのである。
 だからなのか、今日の昼には戻ってくるだろうと考えていたのだ。
 その上、自分が授業にも出ず部屋で帰りを待っているとすると、使い魔をの
ぼせ上がらせる事になってしまうとも。

(か、帰ってきたら、おお、おしおきなんだから!)

 ところが、授業が終わって部屋に戻ってみても、サイトが帰ってきた形跡は
見つからなかった。そのまま時間が過ぎて夕食の時間となり、就寝の時間に
なってもサイトは姿を現さない。
 途端にモンモランシーたちから言われた言葉が、現実のものとなって彼女に
襲いかかった。

 普段は三人で寝ているベッド。ルイズとシエスタの間には人一人分のスペ
ースが設けられている。何時もならそこに居るはずの人物を抱きしめようとし
て――

「サイトぉ…」

 空を切ると同時に、その鳶色のはずの目から大粒の涙がぽろぽろと零れ落
ちる。
 
「やだ…置いて行かないでよ…」
「泣かないで下さい、ミス・ヴァリエール」

 やはり眠れなかったのだろう。シエスタは隣でしゃくり出したルイズを見かね
て手を伸ばし、彼女の頬を濡らす雫を、目尻に溜まった雫を拭ってやる。

「大丈夫、サイトさんがミスを棄てたりするはずありませんよ。アルビオンの時
 だって貴女の下に戻ってきたんですから」

 釣られて泣き出しそうになるのを堪えて、勇気付ける様に語りかける。自分
だって辛いはずなのに、その表情は慈愛に満ち溢れていた。

 ここで思いもよらぬ事が起こった。

 なんと、ルイズは己の手を頬に宛がわれたシエスタの手に重ねると、そのま
ま頬ずりを始めたのだ。
 思わず手を引っ込めてしまう。

「あ…サイトぉ…」

 追いかけるルイズの視線が彷徨う。

「どこ、どこ行っちゃったの?サイト、サイト、サイトぉ」

――今しがたまで自分の頬に当てられていた彼の手が、突然に跡形も無く消え失せた

 ルイズの瞳にはそう映っていたのだ。
 止まったはずの涙がまたもや溢れ出し、シーツに濃い斑点模様を描いていく。

(ミス・ヴァリエール…)

 二人の間に出来た空間を見つめるその鳶色のはずの目は、シエスタには
若干澱んでいる様にも見えた。
 意を決した彼女は布団の中でもぞもぞと動くと、身体をずらしてルイズに近
寄る。サイト用のスペース、そこに身を置くと、彼女の桃色の髪の毛を優しく撫
でた。

「サイト、戻って来てくれたのね」

 虚ろな瞳をシエスタに向けて弱々しく笑いかける。

「ああ、おやすみルイズ」

 シエスタがサイトの口調を真似て囁きかけると漸く安心したのか、睡眠不足も
手伝って、やがて彼女は安らかな寝息を立て始めた。

 幼馴染がそんな状態になっているとは露知らず、トリステイン女王は本来自
分の物であるベッドの傍らでサイトと向き合っていた。いや、それだけでは無
い。彼等の距離はゼロと言ってもおかしくない状況で、二人の間からは舌が
絡み合う淫靡な水音と、鼻から漏れる悩ましげな息遣いが響いている。

「姫さま」
「サイト殿」

 漸く接点を切り離した二人だったが、【アンリエッタ】の口元からは通常より
も濁りを増した互いの混合した唾液が溢れている。更には二人の間に細い
銀の橋までもが架けられていた。
 これからの行為とそれがもたらすであろう結果に不安と緊張を隠し切れない
のだろう。しかしながら期待を多分に含んだ目で見つめ合うと、アンリエッタは
【サイト】の、サイトは【アンリエッタ】の夜着に手を掛ける。

 尚、この時点でもまだサイトの精神は【アンリエッタ】の躯に、アンリエッタの
精神は【サイト】の躯に入ったままである為、彼も彼女も自ら夜着を脱いだ事と
なる。

 少しの躊躇いを見せながらも一糸纏わぬ姿となった二人は、またもや抱き
しめ合うい、そして――そのまま【サイト】が押し倒す形でベッドに倒れこんだ。

「ん…」

 今度はただ触れるだけの軽い口付けを交わした後アンリエッタは顎、首筋、
肩へと舌を這わせて行き、物理的に客観的に見る事となった自分の豊満な
乳房へと吸い付いた。

(な、なんだこれ。昨日自分で触った時とは全然違う)
(凄い!普段は邪魔にしかならないモノなのに…)

 サイトにしてもアンリエッタにしても、躯からの信号を心が完璧に捕らえてい
る。図らずとも昨晩の自慰が功を成した様であった。だが、本来の自分では
感じ得なかった感覚に戸惑いを覚えていたのも事実である。
 乳房へと行っていた口撃[コウゲキ]を、その頂で頭をもたげつつある乳首へと
移すと同時に、逆の乳房を揉み始めた。

「きゃふ…」

 意識せずに漏れ出した声に慌てて口を噤むと、ギュッと目を閉じて顔を背け
てしまうサイト。

「い、痛かったですか?」

 たとえ昨夜の事があったとしても、肉体が入れ替わって未だ二日目なのだ。
男の躯での力加減に完全には慣れきっていないアンリエッタは、申し訳無さそ
うに声を掛ける。
 ところがサイトは、背けた顔を僅かに揺らして否定の意思を伝えるのみ。微
かな逡巡の後アンリエッタが取ったのは、彼の表情を見ながら愛撫を続ける事
だった。

「ん…ぁあ…」

 切なげに歪ませながらも決して痛がっている風ではない表情から、アンリ
エッタは安心して【サイト】の手と口を動かし続ける。力加減を先程よりも若干
強めにしながら。
 一度は止まった愛撫に物足りなさを感じたものの、再び流れ込んでくるやや
強めの波にサイトは絶えず声を漏らし続ける。

(なん、で…だ…声が止め…られな…い…)

 自身が発する声を止める事が出来ず、また本来男である自分が嬌声を上げ
ているという事実が彼の羞恥を高ぶらせており、しかもその声が【アンリエッタ】
のものであるという矛盾が相乗効果を生み出し、更にサイトを高みへと押し上
げていく。
 だが…どれだけ昇ったとしても、頂上へと到達するには至らなかった。何か、
決定的な何かが足りないのだ。

 サイトがそんな事を考えていた時だ。まるで彼の思いが通じたかの様に
乳房を揉みしだいていた手が離れたかと思うと、触れるか触れないかといっ
た微妙な加減で肌を滑り降りて行く。
 やがて【サイト】の手は【アンリエッタ】の股間へと宛がわれ、

――クチュ

既にしとどに溢れ出していた蜜に触れ、淫猥な音を立てさせた。

「あっ…」

 異物を飲み込んだ経験は無いに等しいながらも十分に濡っていたそこは、
宛がわれただけの指に物欲しげに蠢き、僅かな力でも簡単に侵入を許して
しまう。
 女の指とは太さ硬さ共に違う男の指の侵入、しかもそれまでの愛撫によって
存在を訴え始めていた陰核に掌が当たり、それまでに無い大きな波に飲み
込まれ――背を大きく反らして絶頂を迎えてたのだった。

 女性の性感は、男性の数倍にも及ぶと言われている。
 それを身をもって体感したサイトは、あまりにも強烈な快感故に瞬間的に意
識を手放す事となった。
 恍惚とした表情を浮かべながらもぐったりとしている彼をゆさゆさと揺り起こ
そうとするが、呼びかけてみても反応が得られない。

(わたくしは一体どうすれば…)

 アンリエッタは困り果てていた。
 それもそのはず、彼女とて未だ生娘なのだ。
 今回の目的は子を宿す事では無いにしろ、【サイト】が【アンリエッタ】の中で
“果てる”事にある。だが、慣れない男の躯では次にどういった行動を起こせ
ば良いのかが分からない。
 サイトが達するのを目の当たりにして既に臨戦態勢を取っている【サイト】の
肉棒を持て余し、おろおろとしながら【アンリエッタ】を揺さ振っていると、漸く
彼は気だるそうに躯を起こした。

「サイト殿、大丈夫ですか?」

 心配そうに顔を覗き込むアンリエッタに微笑んで応えると、サイトは逆に彼女
を押し倒しその躯に跨っていく。そして仰向けになった【サイト】の聳え立つ
一物に手を添えると【アンリエッタ】の秘唇へと宛がい、そのまま肉槍に密を
塗すかの様に、手を前後に動かし始めた。

(初めての時って痛いらしいけど、上になったら多少はマシだって何かで読ん
だ気がするしな)

 何度か往復させて亀頭が十分に蜜で濡れると、入口に狙いを定めて【アン
リエッタ】の躯をゆっくりと落とし始める。ところが、亀頭を飲み込んだ辺りで
激しい痛みに襲われ足に力が入らず、重力に従って一気に肉棒を咥え込む
事となってしまった。

「―――っっ!!!」

 声にならない叫びを上げて【サイト】の胸へと倒れこむ。

(いってー、こりゃ七万なんか目じゃない痛さだ)

 荒い息を吐くサイトとは対照的に、破瓜の血を漏らしながらも内部へと侵入
してきた肉棒へ絡みつく襞。本来の彼ならばそれくらいでは絶対に果てはし
ないのだろうが、男の肉体で感じる女の膣の感触に肉体ではなく心が耐え切
れなかったのであろう。アンリエッタは【アンリエッタ】の膣内で果ててしまった。
同時に、破瓜の直後であるとは言え騎乗位で男を奥深くまで飲み込んでいた
女の躯は子宮口に迸りを受ける事となり、痛みで朦朧としつつもこれまた心
が反応したのか、サイトは絶頂を迎えるのだった。

 さて、何故に昨日の今日でこうなったのか、それは――

『二人同時に、何かしらの強い刺激を味わえば戻るかもしれない』

というサイトの提案が切っ掛けであった。そして次いで彼が言った同時に刺激
を味わう方法、それがこの“行為”であったのだ。
 アンリエッタ自身、“二人同時”という台詞から浮かんだのは彼と同じであっ
たが為に断る理由もなく、しかも彼女にとってそれは願っても居ない事であっ
た。
 彼の言う行為が子を宿す為の営みである事は勿論知っていたし、ハルケギ
ニアの倫理観からして婚前交渉は好ましくない事であるのは理解していた。
しかも自分は女王である。禁忌を犯す事になるのだ。
 しかし、一国の女王という立場にいたとはしても、彼女とて女である。純潔を
愛する男に捧げたいと思うのは無理の無い事。しかも彼女には、過去に想い
を遂げれなかった苦い思い出さえあるのだ。人一倍その思いが強くなったと
して誰が責められよう。

「…姫さま」
「サイト殿…」

 息を整えながらもお互いを呼び合うその声は、ここにきて漸く本来の肉体から
発せられていた。サイトの予想通り、そしてアンリエッタの予想と希望通りに、
肉体を交える事によって二人は元に戻る事が出来たのだ。

(この痛み、これがサイト殿を迎えた証なのですね)

 身体に残る痛み、それは確かに凄まじいものではあったが、破瓜の瞬間に
サイトが感じたものと比べると大したものでは無い。またそれは彼女の純潔が
今肌を重ねている愛する男によってもたらされたものである為に、アンリエッタ
は愛おしさを感じていた。
 サイトとしては彼女の膣内に埋まったままの肉棒も未だ衰えを見せておらず、
このまま第二ラウンドへと突入したい気持ちも有ったのだが、今しがた彼女の
躯で感じた痛み、それが未だ引いていないのは明らかだったので、動きたい
のを堪えて彼女を抱きしめると唇へと吸い付いた。

「ぁむ……んむ……んぁ…」

 舌を絡め合い、唾液を混ぜ合わせてお互いを貪り合う。アンリエッタが覆い
被さる格好になっている為に、彼女の唾液がサイトの口内へと流れ込む。ゴ
クゴクと喉を鳴らしてそれを飲み込むと、アンリエッタははにかみながらも
はっきりとした口調で告げた。

「サイト殿、動いてくださって大丈夫ですよ」
「え、でも…まだ痛いんじゃ…」
「あの時のサイト殿に比べたら、我慢できない程ではありませんわ。それに…」
「それに?」
「この痛みは貴方がわたくしに与えてくださったものですもの」

 健気なその言葉に、サイトは胸の奥が熱くなるのを感じていた。

「姫さま…」

 その想いに応えようと、サイトは繋がったままにそっと身体を入れ替えると、
今度は彼女を下に組み伏せる形になる。

「じゃあ…」

 一応念のためにとサイトが同意を得ようと口を開いたところで、アンリエッタ
は頬を染めて見上げながら『お願いがあるのですが…』と切り出した。

「お願い?」
「あの…今だけ、今だけで良いのです。わたくしのことを『姫さま』でも『アン』
 でもなく…『アンリエッタ』とお呼びくださいませんか?」

 幾度と無く見てきた、女王としての彼女の貌。そしてそれしか見せないと
自ら宣言しながらも時折見せる縋る様な表情。そのどちらでもない潤んだ瞳
で見つめられ、思わずクスッと笑ってしまう。すると彼女はそれを拒否と取っ
たのか寂しそうにすると、

「も、申し訳ありません、忘れてください」

と顔を真っ赤にして背けてしまった。

「…わかったよ、アンリエッタ」
「――!サイト様!」

 要望を聞き入れられた事に満面に笑みを湛えると、感極まったのか目尻に
涙まで浮かべるてサイトにしがみ付く。
 それを合図にサイトは動きを開始し――結局この夜、アンリエッタの膣内で
彼は合計三度の精を放つのだった。

 

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