34-688
Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:55:43 (5643d)
お金では買えないもの せんたいさん
やっぱりない。どこにもない。
捜し物は見つからない。かつては王都へ水を運んでいた、今は廃棄され枯れた地下水道を利用した文字通り地下市場でも、見つからない。
もう、表に出回っているぶんは、貴族の有閑夫人たちが高値で買い漁ったため、相場がとんでもなく上がり、自分では手が出ない。
具体的には、それを適量手に入れるには、トリステイン辺境に立派な庭つきのお屋敷が立つほどの金額がかかる。
…そりゃ宝石店の入り口に、宝石でできた瓶に入れられて飾られもするわね。
成分を抽出し、製法を突き止めるところまではできた。しかし、水魔法の専門家でない自分には、微妙な温度や水分量、材料の配合具合がわからない。
それに、突き止めた成分もろくでもないものばかり。ひょっとすると水魔法で再現できるのかもしれないが、自分にそこまでの水系統のスキルはない。
その原材料も、もし見つかればと思ってここへ来たのだが、やはりそれも見つからなかった。
…サイクロプスの角膜なんて、どこで手に入れるのかしら。
捜し物は、見つからない。
黒いフードを目深に被り、地下市場を小さな影が歩く。
大人に混じって小さな影がちょろちょろと薄暗がりを歩く姿は、異様であった。
しかし、この市場に居る誰も、そんな事は気にも留めない。
本来水の通っていた一段窪んだ道が、客の通る道になっていた。
二人も通れば肩がぶつかるような狭さだったが、客は水道の端から端まで合わせても10人にも満たないので、問題はない。
たまにすれ違う事があっても、お互い干渉しないように器用に道を譲り合う。
そして、両脇に居並ぶ、布の上に商品を数点並べただけの簡素な店の店員達はは、客寄せの声を上げることはない。
客が店の前で立ち止まり、商品を手にとって、その商品について尋ねられるまで、声を上げることはない。
石壁に覆われたこの廃地下水道は、石を蹴る音すら反響する。そのため、店員も客も、必要以上の音を立てない。
もちろんそれは官憲を警戒してのこと。この地下市場で取引されているのは地上では及びも着かないほどの非合法品ばかりだ。
たとえば、銃士隊隊長の履き古したタイツやら、魅惑の妖精亭No,1のサイン入り本人の脱ぎたておぱんつやら。
そのどれもが、当然の事ながら目の飛び出るような金額で取引されている。
しかし、彼女の目の付けた材料の相場を総合しても、表で取引されているそれの金額には届かない。
以前はせいぜい高価なドレス程度の値段だったのに、今や郊外に立派な屋敷が立つ値段である。
出所の確かでない噂によれば、それの人気に目を付けた業者がそれを囲い込んで、値段を吊り上げているらしい。
しかし、それは正しい情報ではないと、地下市場を歩く小さな黒い影は知っていた。
『あれ』の値段が吊りあがった原因は、先も述べたとおり。有閑夫人たちがこぞって大量に買い付けたためである。
それの持つ効果は同種のそれを遥かに越え、一度使うとまた使ってみたい、そう思わせるほどの効果があった。
その名は『オーガの血』。
それはオーガから採取されるものではないが、その効果と薬の色から、血の名を冠する、強力な媚薬。
女性が服用すれば全身が性感帯と化し、刺激に対し何倍も敏感になる。男性が使用すれば性器が肥大化し、体力と精力を何倍にも増幅する。
小さな黒い影は、この地下市場に一縷の望みを託し、それを求めていたのである。
しかし、本来ここは『手に入らないもの』を手に入れる場所。
『オーガの血』は『手の届かないもの』になってしまったが『手に入らないもの』ではない。
それは、百も承知していたはずだった。
だが、やはり望みを捨てきる事は、できなかったのである。
しかし結局、捜し物は見つからない。
うなだれ、地下市場の出口へと向かう小さな影。
その脇から、声を掛ける者がいた。
「そこのお嬢さん。あなた以前、私の店で品物をお捜しになっていた方じゃありませんか?」
この地下市場で店員が客に声を掛けることは滅多にない。
だが例外はある。何度もこういった店を使い、『お得意様』となった人物は、信用のおける人物として、店員が声を掛ける場合がある。
その店員。中肉中背の、どこにでもいるような中年の親父は、黒い小さな影を知っていた。
彼は以前、トリスタニアの裏町で魔法具屋を営んでいた。
そこで、この人物に品物を売ったのである。
その後、彼は王都を出て別の場所で商売を始めたが、王都以外の場所で魔法具屋がそうそううまくいくはずもなく。
仕方なしにとっておきの品物とともに、この地下市場で王都に再び戻る資金つくりをしていたのである。
彼女とは以前敵対していたこともあったが、今は純粋に客と売り手の関係にある。
しかも、彼女なら支払いは確実だ。
店員はにこやかに続ける。
「『あれ』はここにゃあありませんが…代わりになるものが、入ってますよ」
最初は人違いを装って通り過ぎようとしていた黒い影だったが、『代わりになるもの』の言葉に、完全に足を止める。
「…あまり、沢山は出せない」
いつものように抑揚のない声で、黒い影はフードの奥から呟く。
店主は椅子にかけたまま、黒い影の下からにっこり笑って応えた。
「ええええ、貴女の置かれたお立場はよく存じておりますよ。
できるだけウチも勉強させていただきますから」
そして、自分の椅子の脇に置いてあった、十本ほどの薬瓶の詰まった小箱を正面に持ってくる。
「この箱の中身、一品につき全て以前にお買い上げいただいたものと同じ値段でようございます。
効果の説明は要りようで?」
店主はにやりと笑って小箱を差し出す。
黒い影は、効果をよく聞くためにフードをふぁさ、と外した。フードの内側からでは、小声で話される店主の声が聞き取り辛い時があるからだ。
フードの内側から、絹糸のように滑らかな、短めの青い髪がふわりと広がる。
「説明、聞かせて」
その表情はいつもと同じように微動だにしていなかったが、彼女の恋人なら彼女が興奮しているのを一発で見抜いただろう。
それが証拠に、耳の下の肉がぷるぷると震え、二つ名になぞられる雪のように白い頬が、ほんのり朱に染まっていた。
そして。
タバサは、才人のために、『オーガの血』の代わりを果たせる薬を一瓶、買ったのである。
タバサは薬を手に、学院にとって返した。
シルフィードを呼び、文句を垂れる使い魔に喝を入れ、通常の三倍の速度で学院に戻る。
へばって地面に潰れるシルフィードを他所に、いそいそとタバサは中庭へ向かう。
この時間、彼はいつも中庭で素振りをしている。
しかし才人は中庭にはいなかった。
だがしかし、才人の相棒が中庭の隅の木に立てかけられ、置いてきぼりにされていた。
「伝説〜♪伝説ぅ〜♪蝶伝説ぅ〜♪おいらはすっごい伝説の剣〜♪」
作詞作曲デルフリンガー、来春放映予定『パロの使い魔』主題歌『伝説レジェンド必殺の剣』である。
ここ最近の使い手の自分に対する扱いの悪さに、どうやらお頭の螺子が何本か弛んでしまったらしい。お頭はないが。
とりあえず、タバサは伝説に聞いてみることにした。
「…サイトはどこ?」
「おーメガネの嬢ちゃん。相棒ならメイドとエルフに挟まれて女子寮の方へ行ったぞ」
「…ありがとう」
伝説をそのまま放置し、どういう状況で才人が女子寮へ向かったのか想像して悶々としながら、タバサは女子寮へと向かう。
放置された伝説は、そのまま来期の脚本を練り始める。
「でだ、やっぱ初回のインパクトは大事だろ。そこで前期の主人公がフルボッコにされるわけよ…」
いつの間にやら一人遊びすら伝説級のデルフリンガーであった。
さて、その頃才人はと言えば。
「さて。今なんてほざいたか思い出せるかしら?犬?」
「いやあよく覚えてないなあははは」
ルイズに詰め寄られ、女子寮の壁に背中を押し付けられ、冷や汗をかいていた。
両腕をシエスタとティファニアの圧倒的な物量に囲まれ、女子寮に戻ってきたところをルイズに発見されたからである。
とりあえず誤魔化しては見るものの、正直に応えようが誤魔化そうが、結果が変わるはずもない。
世界はそう言う風に出来ている。
「ああそう。なら言ってやるわ。『そんな二人とも谷間で挟んだりしたら俺の腕がのしイカになっちゃうゼ☆』ですって!
そんなにのしイカがお望みならしてやるぅぉあぁぁぁぁぁ!」
ルイズの目にも留まらない高速の連打が、才人の腹筋に炸裂する。
『あべし!』とか『ひでぶ!』とか『うわらば!』とか叫びながら、才人は壁に何度も叩きつけられ、気を失う。
ちなみにメイドとペットの二人組は、メイドの機転でとっくに逃げ出している。
才人が気絶したのを確認すると、ルイズは髪をかきあげ、息を整えると、言った。
「ふん!コレに懲りたらもう二度と他の女にデレたりしないことね!」
そして、すたすたと女子寮に入っていく。
残されたのは、ぼろぼろになって目を回した才人だけ。
そこへ、一部始終を影から見ていた少女がやってくる。
青い髪の少女は才人を魔法で浮かせると、女子寮の中へ運んでいく。
そして、大きな杖を持った青い髪の少女は、無事才人を自分の部屋に連れ込んだのである。
目を醒ますと、どこかのベッドの上にいた。
ルイズの部屋ではない。天井のパターンは似ているが、板の色や木目のパターンが違う。
そして何より、部屋の匂いが違った。
焚かれた香に混じる、インクの香り。それは、この部屋の蔵書から香る、この部屋独特の香り。
才人はこの部屋をよく知っている。
タバサの部屋だ。
「うあー、いててて…」
殴られた腹を押さえながら起き上がる。
あれだけ殴られた後だったが、さほど痛みはない。ルイズの腕力がないせいもあるが、才人が普段から鍛えているおかげもあるのだろう。
そして才人は、ここに自分を連れ込んだであろう人物の名を本名で呼ぶ。
「…シャルロット。いるんだろ?」
視界内には見えないタバサを呼ぶ。すると。
むぎゅ。
背後から白い細い腕が抱きついてきた。
当然、タバサであろうことは才人には簡単に予想がついた。しかし。
「…いくら自分の部屋だからって、ハダカで抱きつくのはやめなさい」
才人の腕や首筋に当る素肌の感触が、タバサが裸であることを予想させた。
外に居る時は貞淑で知的な美少女なのだが、二人きりになると途端に大胆な小悪魔になるのがタバサという少女なのだと、才人は理解していた。
そして、覚悟を決めて振り向く。
「…裸じゃないから」
ベッドの柔らかいシーツの上で立膝になり、才人を上目遣いで見つめる小さな青い髪の少女。
その素肌を覆うのは、黒い小さな布。
いつもの白い飾り気のない下着とはかけ離れた、黒い布地の下着を、タバサは着ていた。
紅いレースの縁取りのついた、漆黒のニーソックス。それを吊り下げる、黒いガーターベルト。
ぎりぎりまでのローライズになった、フリルいっぱいの黒いショーツには、濃い紫の小さなリボンがその中央にワンポイントでつく。
そして、上は完全な裸だった。
興奮に薄い桜色に染まった胸の両の先端は、ぷっくりと膨らみ、タバサの興奮を表している。
才人の目が点になり、そして鋭角に突っ込みを入れる。
「なんつー格好してんだよお前ーっ!」
その突っ込みに、一瞬びくん!と怯えたように肩を竦めたタバサだったが。
すぐに才人を見つめ返すと、至極当然のことを言った。
「こういうの嫌い?」
才人の目が再び点になる。
「いや嫌いか好きかって言われると…ねえ?」
「きらい?」
今度はこくん、と首をかしげて言ってくる。
その幼い仕草と、妖艶な下着とのギャップに、才人の性欲が有頂天になった。
「大好きでございますともーっ!」
そのまま勢いよくタバサをベッドに押し倒す。
タバサは抵抗らしい抵抗もせず、ベッドの上に遠慮なくその幼い肢体を広げる。
そして、さらに才人に追い討ちをかける。
「…サイト、乱暴…」
少し困った笑顔で、タバサは才人を下から見つめ、言う。
こういう時、軽く否定的な言葉を吐くのが、彼のスイッチをやばい方向に入れるためのコツである。
その効果は覿面で、才人の鼻息の量が普段の1.5倍になる。
「そーいうシャルロットも、期待してたんだろ。こーされるの」
言って、才人はタバサのむき出しの勃起した右の乳首をくにゅ、と人差し指の指先で押しつぶした。
その刺激に、びくん、とタバサの身体が震える。
いつもならここで折れるところだが、今日は少し頑張ってみる。
「…乱暴なのは期待してないもん…」
しかし、才人の反撃はタバサの予想の斜め上をいっていた。
「いやぶっちゃけキミがその格好で迫ってくる方が乱暴。正直お兄さんしんぼうたまりません。
そんなわけでこっからはスーパーサイト君タイムでーっす!」
言って才人は、タバサのない胸の先端で自己主張を続ける桜色の乳首に両の親指をかける。
そして、まるでゲーム機の十字キーを扱うかのように、こりこりと指の腹で上下左右にこね回す。
「うえー」
「ひんっ」
「下下右左っ」
「あっ、やっ、ひぅ!」
「右左左下下右下右AB!」
「やっ、ひ!え、えぇびぃってなにっ?」
「ナイショの呪文だよー。ほれほれ次は爆裂究極拳だ♪」
「や、やめっ!ひ、ひうぁ!」
乳首を玩具のように蹂躙されながらも、タバサは才人の下で悶える。
胸を愛撫されるのはどちらかというと好きなタバサだったが、正直この苛烈な責めは好きになれなかった。
だから、自分の乳首を玩具にする才人を、別の場所へ誘導する。
「さ、さい、と、まって、おねぁい、まってっ」
切羽詰ったタバサの声に、才人は流石にまずいと思ったのか、動きを止める。
「何?」
「あ、あの、別の、場所も、いじって…欲しい…」
そう言って、才人の下でもじもじと太股をすり合わせる。
もちろん、その隙間をいじってほしいのだが。
そんなタバサから滲み出るいぢめてオーラが、才人の嗜虐心に火をつけた。
「じゃ、言ってみ」
「…え?」
「シャルロットのどこをどういうふうにいじってほしいのか、言ってごらん。
その通りにしたげるよ」
完全にやばいスイッチが入っている。
タバサは、才人のあまりにやわな理性に呆れつつ、自分の計画が上手くいっていることに内心ほくそ笑んでいた。
そしてタバサは、才人の予想以上の言葉を吐いてのけた。
タバサは両手を自分のお尻の下に敷くと、そのまま両手でお尻を持ち上げ、膝を立てて足を開いた。
そして、あくまで恥ずかしそうな紅い顔で、視線を逸らしながら、トドメの一言を放つ。
「…シャルロットの、え、えっちな穴を、えっちなお豆を、いっぱいいっぱい、いじってほしいの…」
くぁ、と才人は変な声を上げ、のけぞった。
タバサの口撃が効いている証拠だ。
そしてタバサはさらに畳み掛けた。
「指でくにくにして。舌でぺろぺろして。いっぱい、キス、して…」
「いいですとも!!」
才人の理性は完全に吹っ飛んだ。
才人は持ち上げられたタバサの太股の間に顔を埋める。そのまま指に黒い小さな下着を絡める。
むぁ、とずらした黒い下着の内側から湯気が立ち上った。
興奮したタバサの零した露が、上気した肌の温度で気化し、股間を蒸していた。
つんとした愛液独特の香りが、才人の鼻腔をくすぐる。
才人は堪らず、タバサの股間に舌を伸ばし、溢れる愛液を舐め啜る。
股間全体を舌で愛撫し、勃起した陰核を指で押し潰す。。
ちゅるっ、ちゅるるっ。
「あっあっあっ…いいっ、それいいっ…!」
愛液の音と共に甘くなく声が、少しずつ登りつめていく。
だがそれは、絶頂の手前で止まる。
才人が、股間への愛撫をやめたからだ。
「…ふぇ…?」
くたん、とベッドに身体を預け、タバサは思わず呆ける。
その目の前で、才人はいそいそとズボンを脱いで、言った。
「シャルロット、舌でいっちゃうのは勿体無いだろ?」
そして、ベッドの上に膝を立てて仰向けに寝転んで、ぽんぽんと自分の下腹部を叩いて、タバサに言った。
「シャルロットの大好きなコレでいきたいだろ?」
その言葉に、タバサは。
「…うん…」
素直に頷く。
指なんかより…舌なんかより…サイトの、おちんちんで…逝きたい。
よろよろと立ち上がり、才人の立てられた太股に腰を預け、勃起した才人の上に腰を持ってくる。
そして、自ら黒い下着をずらし、股間の裂け目を晒す。
自らの下で待ち受ける愛しい人に、タバサは目で尋ねる。『いい?』
才人は、それに黙って頷いた。
才人の太股に腰を滑らせ、タバサはゆっくりと才人を飲み込んでいく。
溢れた愛液が淫らな水音を立て、才人の一物はゆっくりとタバサの中に飲み込まれていく。
やがて、腰と腰がぶつかり、タバサは奥まで才人を飲み込んだ。
奥をえぐられる感触がタバサを狂わせ、奥が吸い付く感触が才人を目覚めさせる。
子宮口と亀頭が押し合った瞬間、どちらからともなく腰を振り始めていた。
才人の膝頭に手を掛け、全身で才人を貪るタバサ。
腰を振りたて、下からタバサを貫く才人。
お互いの動きで股間から溢れた愛液が粘っこい音を立てる。
そして、その接合は長く続かない。
互いに迎えた限界を、タバサの方から告げた。
「…っあっ、いくっ、わたしいくっ、サイト、サイトぉ!」
「どっち、に、欲しいっ、シャルロットっ?」
どっちに、とは。
一瞬考えたタバサだったが、すぐに思い出す。
あの薬の効果を発揮するには──────────中出しされる必要がある。
「なかっ、なかにっ、なかにちょうだいっ!」
ぎゅに、と才人の腰に自分の腰を押し付け、最後の絶頂に震えるタバサ。
才人はタバサの言葉通りに、子宮口に自らの先端を押し当て、中に熱い塊を注ぎ込む。
「く、ぁ、だすよ、シャルロットっ!」
どく、どくどくどく!
溢れるほどに才人は精液をタバサの狭い膣内に流し込む。
そのうち何割かは、確実に子宮口を抜け、タバサの聖域に火を点した。
────────とくん。
その瞬間、タバサの心臓が熱く鼓動する。
─────胸が───────熱い──────。
あの薬の効果が出てきているのだ。
タバサが薬の効果の発現と絶頂の余韻に呆けていると、才人が放出を終えて力を失った分身をタバサから引き抜こうとした。
それを止めるため、タバサはぎゅ、と腰を押し付け、腰を捻って、才人に刺激を与える。
タバサの中で、再び才人は力を取り戻し始める。
「ちょ、シャルロット、なにすんだよ?」
「何を言っているの」
反抗する生意気な才人の上で、タバサはくすり、と淫靡に微笑む。
それはまるで、小さな淫魔のよう。
「私はまだ満足してない」
「い、いやだけどさ?少し休もうぜ?」
反論する才人の唇を、タバサは自分の唇塞いで、そして、続けた。
「ここからが…本番」
タバサは、自分の胸に点った熱が、どんどん上昇しているのを感じていた。
才人の胸に密着したまま、タバサは腰を器用に動かし、再び膨らんだ才人を刺激し続ける。
その度に、タバサの膣道の襞に、子宮の襞に、吐き出された才人が染み込んでいく。
それでもなお、タバサの膣肉は貪欲に才人を喰い締め、射精をねだる。
タバサは逝きそうになると腰の動きを止め、気を抜くと才人を咀嚼しようとする胎内を緩め、達しそうになる才人を静める。
「お、おいシャルロット、いい加減辛いんだけどっ」
上に跨られているせいで主導権の握れない才人は、逝くに逝けないツラさをイヤと言うほど味あわされている。
しかし、それはタバサも同じ。
「待ってっ…もう、少し、だから…」
その言葉と同時に。
タバサの胸の奥から、漏れ出す何か。
それは乳腺を満たし、乳首の先端を押し開け、薄白い水滴となって、乳首からあふれ出す。
それを合図に、タバサは身体を起こし、才人の視界に身体を晒す。
タバサの薄い胸からは、母乳が溢れていた。
これが、彼女が買った薬の効果。
男性の精子を胎内に受ける事で、擬似的な妊娠を体験できる薬。
子宮内にはタバサの卵子はないため、妊娠はしていない。
しかし、タバサの子宮は普段より遥かに敏感に、才人の子種の存在を感じていた。
胎内で波打つ液体のもらたす、とんでもない多幸感。
身体を合わせる肉欲とは別物の、満たされる幸せが、タバサを抱きしめていた。
そして、薄い胸の乳腺から溢れる、母の証。
あふれ出した母乳が肌を伝う。それは酷く熱く感じられた。
才人は、タバサの胸を流れる白い液体を凝視する。
幼い肢体から母乳を零すその姿は、酷く現実味を欠いて見えた。
「しゃ、シャルロット、それ…」
驚く才人に、タバサは。
女神のような優しい微笑みで、応えた。
「ママの、おちち…」
その言葉に凍りつく才人。
「え、ま、まさかシャルロット妊娠したのっ?」
魔法の薬かなんかで一発妊娠コースですかー?と慌てた才人だったが、タバサがすぐにそれを否定する。
「…妊娠はしていない。薬で、擬似的に孕んだのと同じ状態になっているだけ…」
そう言って、タバサは胸の下に両手を当て、薄い胸の肉を掻き集め、軽く隆起させる。
そのせいで乳腺が圧迫され、乳首の先端から母乳が溢れて、ぷく、と小さな水玉になる。
「あじみ、してみて」
「い」
いきなりな言葉に才人が戸惑っていると、即座にタバサは追い討ちをかけてきた。
「おねがい……パパ」
頬を染めて、そうねだる偽りの母親に、才人は完全にプッツンした。
「しょ、しょうがねえママだなもう!」
そう叫んで母乳を零すタバサの右胸にむしゃぶりつく。
ちゅうちゅうと吸い上げると、口の中に乳成分独特の香りが広がる。
淡白でほとんど味のしないはずのその母乳は、才人の口の中で、練乳よりも甘く才人の舌を溶かした。
夢中になって吸い上げる才人の口から、じゅるじゅると浅ましい水音が響く。
乳腺を吸い上げられる感覚は、タバサの新しい官能を呼び覚ます。
「も、もっと吸って…ほんとの、あかちゃん、みたいに…!」
ぎゅっと才人の頭を抱きしめ、搾乳をせがむタバサ。
才人はその言葉の通りに、乳輪の外側まで口に含み、ちゅうちゅうと母乳を吸い出す。
しかし薄いタバサの胸は、母乳をそれほどストックできるわけではない。
すぐに右の乳腺はからっぽになり、才人の口の中には唾液しかなくなる。
だが、胸はもう一つあるのだ。
母乳の溢れるそこに、才人はむしゃぶりつく。
「あっあっあっあっ…すわれちゃう、全部…!」
母乳を吸われる感覚に震えるタバサ。
そして、彼女の身体の変化はそこだけではなかった。
出産する際に開かれる場所…子宮口が、弛み始めたのだ。
下から貫かれているせいで、圧力のかかりっぱなしになった肉の門が、開いていく。
ぼぞ、と肉の内側で重い音をたてて、タバサの門が開く。
子宮までも貫かれ、タバサの肺から空気が搾り出される。
「──────っ!────────かはっ──」
それは、亀頭を襲う異常な肉の圧力とともに、才人にも伝わる。
だが。
限界まで煮えたぎった才人の獣は、すでに理性を完全に押し流していた。
才人はぐぼぐぼと鈍い音を立て、タバサの子宮口を犯し始める。
それと同時に、心臓の上から、タバサの母乳をずるずると吸い上げる。
「────────────ぁ!─────────ひ!」
奥を突き上げられるたびに、ぱちんぱちんとタバサの視界で虹が弾け、意識がなくなる。
門を肉の破城槌が出て行くたびに、血を吐きそうな快感に意識が戻る。
あまりの刺激に頭痛すら覚え、タバサは声も上げられずに絶頂し続ける。
そして。
一番奥で才人がぴたり、と止まった。
「く、ぁ、で、出るっ!」
才人のその言葉と同時に。
ぴっちりと張り付いた膣肉に、才人の性器が膨れる感覚が伝わってくる。
射精の前触れだ。
限界まで敏感になった肉襞が、才人の精液が肉棒を昇ってくるのを伝える。
そして。
子宮の一番奥、子をなすべき場所に、びゅるびゅると直接熱い子種が注がれる。
「ひぁ!あぁぁぁぁぁぁ────────────!」
その熱さにタバサの喉が獣のように長く吼え、そして、彼女の身体は意識を手放した。
目を醒ますと、サイトがおっぱいを吸っていた。
私が目を醒ましたのに気付いたのか、サイトは慌てて私のおっぱいから顔を上げる。
…キモチよかったのに。
そう思ってちょっと不満そうな顔をしたを誤解したのか、サイトはいきなり謝る。
「わ、悪い!も、漏れてたからもったいないかなって思って!」
…そっか。まだ薬の影響が残ってるんだ。
私の右胸は、サイトの言うとおり、とろとろと母乳を零している。
でも、サイトの咥えていた方の乳首からは、何も出ていない。きっと、サイトが全部飲んじゃったんだろう。
けど、この母乳を吸われる感覚は、結構クセになるかもしれない。
いつものピリピリするような快楽の感覚じゃなく、自らを分け与える感覚。必要とされている、という幸せ。
世のお母さんたちは、みんなこうして子供を育てるんだ。
そして私は、当然ある人の事を思い出す。
…母様も、こうやって私を育ててくれたんだ。
そう思うと、胸の奥が酷く切なくなる。
思わず涙が出てくる。
「お、おい、シャルロット?」
いきなり泣き出した私を、心配そうな顔でサイトが見つめている。
…大丈夫。悲しいわけでも、なんでもないから。
私はそれを、彼に伝える。
「大丈夫。ちょっと、涙が出ただけ」
ほっとする彼を見て、私は微笑む。自然と笑みがこぼれてくる。
…私は、今、幸せだ。
理屈じゃなく、身体が幸せに火照っている。
それは、薬のせい。薬のせいで、私の体は今、「おかあさん」になっている。
からっぽの子宮に満たされた精液を子供に置き換えて、私の身体は偽者の喜びに震えている。
でも、そう頭で理解していても、湧き出る幸せに頬が弛む。
…これが、本当の妊娠なら、どれだけ幸せなんだろう。
そう思いながら、私は目の前でほっとして胸を撫で下ろすサイトを見つめる。
そして、決意を込めて、言った。
「サイト、いつか、本当にあなたの子供を孕ませてね」
「え!?いや、でもそのあの」
…なによその答え。
私はちょっとだけむっとするけど。
すぐに彼の弱点を思い出し、詰め寄った。
「おちちは、パパと赤ちゃんではんぶんこね♪」
…我ながらこの台詞はどーかなー、と思ったけど。
結構効いてるみたいで、サイトは指を絡めながら何か言おうとする。
「いやちょっとまってやっぱあのその…」
「いらないなら他の人にあげる」
両方の胸をきゅ、と寄せて上げて、母乳を胸から搾り出す。
私の最後の一撃は、予想通りの効果を示した。
「ゴチになりますっ!」
サイトは襲いかかってきた。
…このぶんだと、私が本当に孕むのもそう遠い日の話じゃないのかもしれない。〜fin