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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:55:45 (5644d)
虚無の魔法 ※恐喝・陵辱あります 部屋の片隅にそっと置いてある自分用の物入れの中から、何度か読み返した手紙をもう一度取り出した。 以前は学院で留守番をしている間、行く先がはっきりしていても噂程度しかサイトの安否を計る方法はなかった。 郵便の制度がしっかりしていない為、金銭的な負担は大きかったが、逆にそれを知ったサイトは返信用の封筒を同封すると真面目に返事を出してくれた。 戦時中の国からの郵便のため検閲された跡は有ったが、その字は確かにサイトの字で丁寧に現状が綴られていた。 ――戦争が終わったので、まもなく戻れそうだ。 その一言を、何度も読み返した。 手紙の費用の心配や、学院の様子を尋ねる文章にシエスタは返信を書きかけるが、今出しても行き違ってしまう可能性が高い。 (早く、会いたいなぁ……) 皺にならないように注意しながら、サイトの手紙を柔らかく抱きしめると胸の奥がほんのりと暖かくなる。 (…………会いたい……なぁ……) ミス・ヴァリエールはずるい。 少し落ち着いてから、手紙の続きに目を通す。 女王陛下や、教皇聖下に頼み事をされていて忙しい。 わたしの好きな人はこんなに凄い人なんですよ。 でも…… 一人置き去りにされた部屋で、ひっそり泣くのが彼女の日課。 それでも気を取り直した彼女は、いつもの通りに部屋の掃除を始める。 無心に掃除をすることで、ようやく彼女は立ち直る。 いつもならば、彼女の一日はそうして過ぎるが、その日の作業は珍しく中断された。 「申し訳ありません、ただいまこの部屋の方達は留守にしております」 慌てつつも、来客に向かって粗相のない様に…… 「あぁ、知っているよ」 見たことは有る人物だった。 シエスタが疑問に思う間に、ジュリオは彼女に話しかけた。 「ちょっとした特技が有ってね、ガンダールヴより先行したんだけれどね」 何度か小耳に挟んでいたので、ガンダールヴがサイトの事だと理解したシエスタは大人しくジュリオの話しの続きを聞いた。 「学院長に用事があるのだけれど、彼を少し預かって貰いたくてね。 ここは確実に誰も居ないと思ったのでね。 「ちょっ……待ってください、困ります、こんな勝手にっ!」 頭からすっぽりと聖衣を被った見るからに怪しい人物が、部屋の中央でぐるりと周りを見回して…… 「や、やめて下さい。女性の部屋なんですよ」 身体を張って怪しい人物の視線から、ルイズの部屋を隠す。 「わが子らの部屋に入る事に、何も問題は有りませんよ」 怪しい人物の思いのほか整った顔に驚きながらも、シエスタは叫んだ。 ヴィットーリオ 「……………………」 部屋の隅で、延々何かを唱え続けていた。 (こ、怖いよぉ……サイトさぁん……) すぐにもジュリオを追いかけるか、せめて人を呼びたかったが、主のいないこの部屋に不審人物一人を残すのは気が引けた。 そんなわけで、見知らぬ男と二人きりで部屋に残された彼女は緊張しつつも、ヴィットーリオを監視していた。 それでも何も無いよりはましだと、しっかりと箒を握り締めながら、何か良からぬことをたくらんでいそうな青年を見据えた。 ――シエスタの危惧は正しい。 ヴィットーリオの狙いは単純にこの部屋から何かを持ち出す事だった。 何か。 文字通り何でも良かったのだが、人が居た為にジュリオが利かせた機転の結果、ヴィットーリオはここで足止めされていた。 今頃ジュリオは学院の各所で、様々な物を入手している予定だったが…… (……人がいるとは計算外でしたが……丁度良い……) ここは最も重要な拠点で、出来れば今後も継続的に利用できる手札が必要だった。 ……無機質な目でメイドを見ながら、ヴィットーリオは呪文を唱える。 (ミツケタ……) ヴィットーリオは顔を上げ、メイドに笑いかけた。 「これを……見てもらえますか?」 静かに呪文が響き渡る。 ――魔法の存在に竦むシエスタの後ろで、静かにドアが開き…… (え? え? な、なに?) 手に抱えた大量の洗濯物は、サイトが毎日訓練に使用していた動きやすい服。 (わ、わたし? どうして? 何がおきているの?) 一つ一つを丁寧にたたみ、サイトとルイズの洗濯物を仕舞ってゆく。 「……これ……と……これ……かしら?」 その服をサイトが着るところを想像しながら、彼の為に思う存分時間と費やす、彼女の至福の時間。 「やっぱり、この間のお洋服……無理してでも買うべきだったかしら?」 貴族育ちのルイズや、異世界の服の相場の知識がないサイトに黙ったまま、サイトの生活必需品はシエスタの蓄えを切り崩すことで得られていた。 サイト付きのメイドとして、給金は前より多く貰っているが、支出のほうが遥かに多い。 「ん……これでいいかな?」 あまり似た取り合わせが続かないように注意しながら、全ての服を並べ替える。 「……何か言ってくれるかしら……」 そんな風に思ってしまう自分を、シエスタは慌てて戒めた。 「別に、感謝して欲しくてやってるわけじゃないもの……サイトさんが、綺麗な格好してると、わたしも嬉しいし……」 少し悔しかった。 それでも……サイトが見ているのは、同じ部屋にいる素直に成れない貴族の女の子。 ――様子を見ることしか出来なくなっているシエスタは、この後に起こることを思い出し、必死に叫んでいた。 (だ、だめっ、だめだからっ……見られてっ、見られてるっ……) どれだけ叫んでも、彼女の声は彼女自身に届かない。 ――サイトの服の中から、シエスタは一着選んで持ち出した。 替えを作ってあげたかったけれど、編み方が解らなくて挫折してしまった不思議な感触の洋服。 そうっと抱きしめてから、恐る恐ると部屋の入り口を見る。 サイトの服をルイズの使っている鏡台の横につるすと、その胸元にすりすりと頬擦りをする。 この部屋に来る前も、相部屋の友達が居たシエスタは自分を慰めるのに、幾つも問題を抱えていた。 シエスタの自慰はいつも着衣のまま行われていた。 片足を鏡台の上に乗せた、はしたない格好のまま床に着けたままの足の力を緩める。 腰がじりじりと動かされ、馴染んだポイントを探す。 シエスタは下着一枚挟んで、鏡台の角をぴったりとスリットの上に重ねると、たたまれたままの左足と、伸ばされ床に着けられた右足でバランスを取ると、ゆっくり上体を揺らす。 体重が集中しているポイントが不規則に乱れ、快感がシエスタの理性を溶かしていく。 (サイトさぁんっ……いっぃよぉ……) 胸の奥一杯に愛する人の匂いが満ちると、下腹部で燻っていた炎が激しく燃え上がった。 シエスタの体がゆくっりと傾き、鏡台の上にぺたりと片手が付けられる。 ドロワーズの中で硬くなり始めた肉芽が強く押し付けられ、しなやかな肉体と硬質な木材の間でくにくにとその形を変える。 ルイズの鏡台が、ぎしぎしとリズミカルに軋み始めても、シエスタの衝動は止まらない。 サイトの服を見つめながら、薄く目を瞑ればシエスタはサイトの上で人とは思えないほど硬くなった部分に責められていた。 「サイトさ……ん……そんなに……つよくしっ……ちゃ…………だめで……す……」 妄想のサイトはシエスタの言葉に笑うと、しっかりと肩を掴んでシエスタの動きを止めさせた。 「ひぁ…………ふ……ぁ……だ、だめ……やめないで……」 思わず漏れた声の大きさに、シエスタは慌てるが理性の制止を振り切りシエスタの身体は貪欲に快楽を貪った。 シエスタの頭の中のサイトは腰に手を回すと、そのまま肉棒を押し付ける。 ほんの数分、そうやって一息ついたシエスタは上気したままの顔でじっとサイトの洋服の袖を見ていたが、やがてスカートを緩めると震える手でコルセットを外す。 (い、今誰か来たら、言い訳できない……) からからに渇いた喉が、自分がどれほど恥ずかしいことをしているのかを教えてくれる。 メイド服をめくり上げ、お腹の所からサイトの服の袖を差し込むと、そのまま胸に押し付ける。 (だ、だめっ……みられちゃう、サイトさんに見られちゃうよ……) 頭の奥が燃えるように熱く、心臓が煩いほどに高鳴る。 ――くすくすという笑い声が聞こえ、シエスタは真っ赤になってヴィットーリオを睨みつける。 しかし、彼女の記憶は言っている。 目の前で床の上に転がり、持ち上げるように胸をこねているのは間違いなく過去の自分。 「まるで犬ですね」 優しげな声が、容赦ない裁断を下す。 サイトの服の上を這わせていた指先を、シエスタは水音を立てながら唇の中に吸い込んだ。 服と共に圧迫された胸も、浅く出入りを繰り返す秘所も、何時まで経ってもシエスタの渇きを癒すことが出来ない。 それが出来るのは一人だけで…………そんな望みはずっと叶わなくて。 「切な……い……よぅ……サイトさぁ……ん……」 媚と色を含んだ自分の声に、黙ってシエスタは俯く。 「っく……サイトさん……ね……」 噛んだ唇に血の味が滲んだ。 メイジは――貴族は、平民の事なんてモノ程度にしか考えていない。 「ガンダールヴが……」 ヴィットーリオの囁きに、シエスタの身が竦む。 「コレを知っても、彼はまだ貴女を側に置くでしょうか?」 溢れたの恐怖。 「コレは何度でも繰り返し見れるのですよ……ガンダールヴの帰還が楽しみです」 一瞬だけ途切れる魔法。 そしてその度に嘲られ、馬鹿にされ、サイトに焦がれる透明な想いを土足で踏み荒らされていく。 「も、もう……許して……許してください……」 自慰行為を覗かれるだけでも恥ずかしいと言うのに、ヴィーットリオはシエスタが泣き出すまでその手を緩めなかった。 「貴族は……始祖の信徒はこのような真似いたしませんよ」 些細な棘が、胸の奥にずっと残る。 「この様な行為に耽る貴女は、彼に相応しいのですか?」 サイトに相応しくないといわれるのが、彼女には何より辛かった。 繰り返し語られるヴィットーリオの言葉で誘導されていく。 そして……ソレが、どんなに罪深く、そんな自分がサイトの側に釣り合わないのか講釈を受けた後でヴィーットリオは尋ねた。 『ガンダールヴに見せて差し上げてかまいませんか?』 と ――何でもするから、それだけは許してください。 |
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