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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:55:47 (5638d)

ぼくらの七日間戦争〜二日目

※「くじ引きアンバランス!」「ぼくらの七日間戦争〜一日目」の続きです。

王宮に来て三日目の朝。
才人は先日教わったとおりに、早朝から起き出して謁見の間の見回りをする。
本日も異常はなし。

「…はぁ」

しかし漏れる溜息。
仕事が辛いのではない。
欲求不満なのである。
昨夜、アンリエッタに奉仕したあと、出せずに終わってしまったからだ。
もちろんその後軽く自家発電したのだが…正直物足りない。
そんなわけで才人は朝っぱらから性欲を持て余していた。
具体的には、目の前のホットパンツのおねえさんの太股に欲情してしまうくらい。

「早いなサイト」

朝の仕事を終えた才人の前に、アニエスがいた。

「…ええまあ。ちょっと早く目が覚めちゃって」

謁見の間には、まだ小間使いたちは来ていない。
朝の掃除の前に、才人は謁見の間のチェックをしていたのだ。
もちろん悶々としていたせいで眠りが浅かったせいなのだが。
そして、アニエスは自分の太股に注がれる才人の熱い視線に気付いていた。
いつもなら、その辺の物陰で『お姉さんにまかせとけ』とばかりに才人の性欲処理をするところなのだが。
アニエスは、女王から言い含められていた。

『この一週間、サイト様に手を出してはいけません。もし手出ししたら…分かっていますね?』

…まあ、弟を虐められないぶんはどこぞのハゲ頭を虐げて晴らすとするか…。

アニエスは才人の視線に気付かない振りをして、彼に告げた。

「だが今日は謁見の間は使わないんだぞ?忘れたのか?」
「い」

なんだ見回り無駄なのかよ、とがっくりうなだれる才人。
アニエスは、当然の疑問を口にした。

「お前、陛下から今日の予定は聞いてないのか?」
「え?今日の朝教えてくれるんじゃ」

昨日はあのあと、自家発電してさっさと寝てしまった才人である。もちろんそんなことは知らない。
アニエスもマザリーニも、女王の部屋で才人が今日の予定を聞いているものだと思っていたのだが。
アニエスはあの女王、また何か企んでるな、と思ったが。
目の前で困っている才人を放っては置けず、今日の女王の予定を教える。

「今日は陛下はガンディーニ子爵の建てた時計塔の落成式に賓客として呼ばれている。
 お前の今日の任務はその護衛だよ」
「え?そんな塔王都にあったっけ?」

才人の疑問の通り、そんな時計塔など、トリスタニアのどこにもない。
つまりは。

「ガンディーニ子爵の領地はトリスタニアから馬車で三時間の場所にある。
 そこの、ブリュッセンという街に建てられたんだ。
 もちろん、陛下の馬車でそこまで行く。
 式典は昼から、終わり次第王都に引き返す。明日も陛下には公務があるからな」

その子爵領まで行き、式典に参加してくるのだ。

「はあ…でも俺準備とかしてないっすよ」
「その服と鎧があれば十分だろう。だがもうすぐ出発の時間じゃないのか?」

日はすでに昇りきっている。昼前までにその子爵領に着こうと思うのなら、そろそろ出発しなくてはならないだろう。
才人が慌てて駆け出そうとすると、謁見の間の入り口に、見慣れた女性が現れた。

「あら。こんな所にいらしゃったのですか」

そこにいたのは、この謁見の間にある王座に座ることを唯一赦された女性。
アンリエッタ女王であった。
アンリエッタはお付の者やマザリーニ郷を入り口に置いたまま、すたすたと才人の傍まで歩み寄ると、すまなさそうに言った。

「ごめんなさいね、シュヴァリエ・サイト。昨夜、本日の予定をお伝えするのを忘れていました。
 仔細は追ってお話いたしますので、着いてきてくださいな。
 ささ、馬車の用意ができていますので、急いで」

才人の手をきゅっと握り、まるで恋人を急かすようにその手を引く。実際恋人なのだが。
才人はあわあわ言いながら、女王のされるがままになる。
そんな二人を、アニエスがあきれたような顔で見送った。

才人はあれよあれよという間に馬車に積み込まれ、ガンディーニ子爵領へと向かっていた。
目の前で、女王に並んだマザリーニが今日の女王の予定を語る。
まず、子爵領に到着したら用意された御用宿へ。そこで式典用のドレスに着替え、式典に参加。
その後子爵と会食後、再び着替えて王都に戻る。
それが一日の予定だった。
才人の役割は、お付の騎士たちとともに御用宿の検分、式典中の女王の警護。

「あれ?でも先行しないと御用宿の検分はできないんじゃ」

才人の言葉どおり、女王に同行していては御用宿の検分はできない。
実際お付の騎士たちは先行してガンディーニ領に向かっており、既に御用宿の検分を始めている。

「シュヴァリエ・サイトには、最後の確認をお願いします。
 トリステイン女王の御用宿検分の最終確認ですよ。しっかりお願いしますね」

にっこり笑ってそう言うアンリエッタ。
その笑顔には、何か確信めいたものが混じっていた。
才人は女王の吐いた言葉をよ〜く考えてみる。
『トリステイン女王の御用宿検分の最終確認』…つまり。
『女王の寝所の最終検分を任せるに値する人物』。
そんな人間は、トリステイン広しといえども、マザリーニ卿を含めて数人しかいない。

…やばい、なんかどんどん深みに嵌ってないか俺…?

なんだか自分の与り知らぬところでどんどん自分の評価が変わっていっていることに軽い恐怖を覚える才人だった。
そんな才人の気持ちを知ってか知らずか、女王は目の前でニコニコ笑っている。
そして、馬車はまるで坂を転がり落ちる石のように、盆地の底にあるブリュッセンを目指す。

当然のことだが。
最終検分はあっという間に終わった。
騎士たちが認めたチェックリストに一通り目を通し、女王の使う予定の部屋を自分の目で検分する。
それすらチェックリストの確認作業にすぎない。
あとは、無事準備が整ったことをアンリエッタに伝えればいいのだが。

コンコン。

扉が突然ノックされた。
来客か?それとも…。
才人は一応警戒をしながら扉に声をかける。

「どなたですか?」
『私です。アンリエッタです』

本来この部屋を使うべき賓客が、ドアの外で才人に呼びかけていた。
才人は慌ててドアを開ける。
そこには、満面の笑顔のアンリエッタがいた。

「お部屋のチェックは終わりました?シュヴァリエ」
「ええ、まあ」

呼びに行く約束だった女王が自分から来たことに軽く驚き、才人は言葉を続ける。

「終わったら呼びに行くって言ってたのに。どうしたんです?」

才人の言葉に、アンリエッタは少し困ったように眉根を寄せる。

「実は、式典用のドレスが二着用意されてたんです。
 …それで、どっちを着ていくべきか、悩みまして。
 自分では決められなくて、サイト様に選んでもらおうかと」

言って、それまで小脇に抱えていた小さな革表紙の冊子を広げる。
そこには、二着のドレスの見本の肖像が描かれていた。
片方は、薄いブルーを基調とした、シンプルなイブニング・ドレス。腰の右側でひらめく大きな黄色いリボンがアクセントになっている。
ただスカート丈が短く、膝から下が露になるデザイン。その上から長いオーバースカートが被さり、脚が見えるのは正面からのみとなっている。
もう一つは、濃い紫を基調として、各所に黒いレースのあしらわれた豪奢なイブニング・ドレス。
ふわりと開いたAラインのスカートは、たっぷりのギャザーと縁にあしらわれた黒いレースで装飾されている。
こちらはスカートはごく普通のドレスだったが、上は胸を半分だけしか覆わないデザイン。
才人は二点を見比べ、そして、それを着たアンリエッタを想像する。

…姫様の生脚…うん、悪かないな。でも…。

正直言って、アンリエッタの下半身が他の男の前に晒されるのはいい気がしない。

…あの尻とふとももは俺のもんじゃい!

ぐっと拳を握り締め、才人は決断した。

「紫の方がいいと思いますよ。
 そっちの方が陛下に似合ってる」

その言葉を聴いたアンリエッタは、にっこりと微笑むと。

「ありがとうございます、サイト様。ではこちらにいたしますね」

言って、部屋を出て行った。
その後しばらくして、才人を迎えに来たのはマザリーニ卿だった。

時計塔を見上げるガンディーニ子爵の屋敷の中庭で、その式典は執り行われた。
時計塔を作った平民の職人や、貴族の設計技師たちが和気藹々と料理に舌鼓を打ち、招待された賓客たちはガンディーニ子爵の時計塔自慢に耳を傾ける。
会場がそうやって盛り上がっていると、突然、鋭いファンファーレが鳴った。
この式典に招待された、最も位の高い賓客が会場に到着したのだ。

「トリステイン国王、アンリエッタ・ド・トリステイン陛下、おなりになりました!」

女王の来訪を告げる小間使いの声が、会場に響き渡る。
一瞬で会場は静まり返り、自慢話をしていたガンディーニ子爵は慌てて会場の入り口へ向かう。
中庭に通じる開かれた大扉から、紫のドレスに身を包んだ女王が姿を現す。
いつの間にか、会場の入り口から会場に設えられた最奥の舞台まで、貴族たちが並んで列を作る。
その周囲を平民たちが取り巻く。貴族たちが防壁となり、女王を守っているのだ。
女王はその様子を眺めると、す、と右手を差し出した。
すると、アンリエッタの右斜め後ろに控えていた才人の小脇を、マザリーニがつつく。
小声で才人は何事かとマザリーニに尋ねる。

「え、なんすか?」
「馬鹿者、舞台まで陛下をエスコートするんだ。
 近衛騎士の役割だぞ」
「い?」

こんな衆人環視の中、女王の手を引いて舞台まで行けというのだ。
緊張しないわけがない。
さらに、マザリーニの言葉が才人に追い討ちをかける。

「…姫様を、よろしく頼む」

その声は、まるで娘を嫁にやる父親のように震えていた。

…いやまってちょっと待ってーーーーーーーー!?

ついに、マザリーニのお墨付きまで出た。
しかも、この状況。
辺境諸侯の居並ぶ中、女王の手を引いて歩くのだ。
つまり、これは宣伝活動だったのだ。

『ここに、女王の婚約者がいますよ』

と、貴族たちに吹聴するための。
汗をだらだらと垂らし、妙なプレッシャーにつぶされそうになる才人。
その重圧の主な原因は、頭の芯に響き続ける、『市ね、この駄犬!』というどこかの誰かの甲高い声だった。
しかし。
もう、ここまで来たら後戻りはできない。
ていうか後戻りしたらかなりひどい事になりそうな…。
才人は観念し、女王の手をとる。

「大丈夫、舞台まで一緒に歩いてくださればよいのです。
 心配しないで、サイト様」

小声でそうささやくアンリエッタだったが。
思わず才人は反論しそうになってしまった。

謀ったな!姫様!

才人はその手をとり、貴族たちのなす列の中を歩いていく。
女王の歩にあわせ、ゆっくりと進むその姿を、貴族たちが嘗め回すように見つめる。
ひそひそ声が、才人の耳にも届いた。

…あれが、トリステインの盾。単騎で七万を止めた英雄か。
…功績、若さ、ともに女王にふさわしいが、あの貧相な顔はどうにかならんのか。
…まあ風格はおいおい付いていくだろう。女王陛下とマザリーニ卿が教育してくださるに違いない。

…いやまって何その肯定的な意見ッ!?

むしろ非難されたほうが気が楽だったが、居並ぶ諸侯のすべてが、女王の選んだ騎士を肯定しているようだった。
もう、完全に女王の術中だった。
舞台に着いた女王は、己が騎士にねぎらいの言葉をかけ、舞台に上がる。
そして、式典の祝辞を述べ始めるのだが…。
才人に、その言葉は届いていなかった。

…オワタ。俺の人生オワタ…。

この噂を聞きつけ、必ず自分の下へやってくるであろう虚無の魔王に恐怖していたのである。
そして、式典はつつがなく終わり。
二人は、昼食を採るべく、用意された部屋に向かったのだった。

「…ひめさま。どーゆーつもりなんすか」
「はい?何がですか?」

円卓に並べられた、豪華な昼食を前に、才人は女王に問うた。

「公の場であんなことして!俺にも立場ってもんがあるんすよ!」

その立場とはぶっちゃけ『ルイズの使い魔』なのだが。
女王はにっこりと笑って言葉を返した。

「その立場、できる限り高い場所にまで持っていかなくてはなりませんから。
 いつまでも『平民出の英雄』では困るのです」

主に私がですけれどもね、と心の中だけで注釈を入れ、女王は優雅にスープを飲む。
才人は頬張ったパンを紅茶で流し込み、言った。

「いやそんなの俺望んでないですって!」

才人の言葉に、少しむっとするアンリエッタ。

…このひとわー。いい加減往生際の悪いー。

仕方がないので、決定的な言葉を吐いてやることにする。

「私が望みました。それではいけませんか?
 女王が番としてあなたを選びました。それではいけませんか?
 それとも。サイト様は、私が嫌いですか」

アンリエッタは一瞬で真剣な顔になり、才人をじっと見詰める。
その視線を受けきれず、才人は思わずアンリエッタから視線を逸らす。
その意味するところは。

「…ルイズですか」
「い」
「…それともシエスタさん?」
「え、あの、その」
「…ガリアの姫君かしら?」
「い、いやちょっとまって」
「…ティファニア、なんですか?」
「いやだからー!」

アンリエッタは才人の手癖の悪さを知っている。
というよりも、周囲の状況の方がまるで神の悪戯のように才人に転がって行っているのだ。
そう、まるで流砂の渦のように。
だから。
アンリエッタは決めていた。
彼には、『王』になってもらおうと。

「…あなたが誰に心を移していようと私は構いません。
 私は女王として、貴方を手に入れるために、如何なる手段も講じる覚悟です。
 でも、私の事が嫌いなら…その時は…言ってくださいね…」

言って、はらりと涙を流す。
もちろん演技である。
才人はそんなことは露知らず、慌ててフォローする。

「い、いや嫌いじゃないですって!
 …で、でもまだ俺心の整理がついてないっていうか」

そう言って狼狽する才人に、アンリエッタは席を立ち、彼の横へ跪く。
そして、才人の太股に両肘を乗せ、見上げた。

「側室としていくらでも娶ればいいんですよ。
 私は構いませんわ。だって、サイト様のものになれるんですもの」

言って顔を赤らめ、身体を才人に押し付ける。
紫色のドレスから半分はみ出た豊満な胸が才人の太股でぶにゅ、と潰れた。
そして。
その刺激に節操なく反応する、才人の息子。
目の前で膨らみ始めたズボンの前に、アンリエッタはくすりと笑う。

「あら。心の整理がついてないわりに、ここは元気なんですのね」
「…いや心の整理関係ないでしょーよ」

呆れたようにそう言った才人に、アンリエッタは意外な方向から反撃した。

「昨日は結局お預けでしたものね?
 …で、昨日は結局あの後どうされたのですか?」
「へ?」

昨夜、アンリエッタにお預けを喰らった後、才人はあてがわれた部屋で自家発電をしたのであるが。
もちろんそんな事、言えるわけはない。

「な、なにをいきなり」

慌てて誤魔化すが、アンリエッタはお見通しだった。

「…ご自分でなされたのですね?」
「ぶ!」

当然の帰結であった。
しかし才人は必死に否定する。

「し、してませんて!」
「嘘。サイト様がそんなに自制の効く人なら、学院にあれだけ恋人がいるはずありませんわ。
 それにアニエスに迫られても反応するでしょ。このせっそーなし」

言ってアンリエッタは限界まで張り詰めた才人の山頂をぴん、と指で弾く。

「うを!」
「正直におっしゃい。昨日ご自分でなされたでしょ?
 正直になれば、イイコトしてあげます♪」

もう完全にエロスイッチの入ったアンリエッタは、王冠を机に置き、愛しげに才人の前を撫で回し始めた。
そんなアンリエッタの『イイコト』に、才人の期待が高まる。
そして、昨日お預けを食ったこともあって、彼は折れた。

「…しましたよ。しましたとも」

その答えに、アンリエッタは淫靡ににやり、と嗤う。
そして、再び問いかける。

「誰で、ですか?」
「へ?」
「誰の事を想いながらなされたのです?私?それとも…」
「ひめさまに決まってます」

言って才人は、攻めて来るアンリエッタに対し、反撃に出た。
その言葉と同時にアンリエッタの顎をつまみ、唇を奪う。
びっくりしたように目を見開いたアンリエッタだったが、すぐに頬を弛緩させ、才人の口付けを受け入れた。
少しすると二人は唇を離し、見詰め合う。
そして、先に口を開いたのはアンリエッタだった。

「それじゃあ、イイコト…してあげますわ。
 立って、ズボンを脱いでくださいな」

アンリエッタの言葉通り、才人は立ち上がり、ズボンを脱ぐ。
完全に屹立した才人が、そそり立つ。
アンリエッタは、才人の目の前で、右腕を高く上げる。
すると、綺麗な白い腋が、露になる。
アンリエッタはそこを、ぐい、と才人の裏筋に押し当てた。

「ちょ、ひめさまなにやってはるんですかっ?」
「うふ。こういうのもいいでしょ?」

うろたえる才人に構わず、アンリエッタはそのまま、腋で才人を挟みこむ。
そのまま肩をきゅっとすくめて、上半身を前後に揺すり始める。
こりゅこりゅと、才人の雄を責めるアンリエッタの腋が、奇妙な音を立てる。
力を込めて締め付けられるアンリエッタの腋は、まるできつめの膣のようだった。
息を荒げ始めた才人に、足元からアンリエッタは語りかける。

「キモチイイですか?サイト様…?」
「いや確かにキモチイイけどもっ…!」

確かにアンリエッタの言うとおり、腋で擦られるのは気持ちのいいものだった。
しかし、本来そこは性器ではない。そんな場所で擦られる感覚に、才人は背徳的なものを感じていた。

…っていうか腋コキってゆーのかコレ!

思い当たったときには、既に息子は臨界突破寸前だった。
膨らんできた才人を感じ、アンリエッタは才人を一旦解放し、そして。
ぱく、と口に咥えた。

「ひ、ひめさま、出るっ、出るっ!」

才人の切羽詰った声とともに、アンリエッタの口の中で、才人が吼えた。

どぷぷぷ…!

アンリエッタの舌の上で、喉の奥で、才人の精液が跳ね回る。
アンリエッタはそれを、少しずつ味わって飲み干していく。
そして、勢いをなくし始めた才人の、尿道に残った精液すらも、ちうちうと愛おしげに吸い上げる。
ぷは、と淫乱な女王は吸い尽くした才人を口から解放する。
そして、足元から才人を見上げ、尋ねた。

「どうでした?私の腋のお味は」
「いや、サイコーでした…。つうかこんなのドコで覚えてくるんすか」

才人の疑問符に、アンリエッタはくすりと笑う。

「乙女の秘密です♪
 さて、それでは…」

アンリエッタの言葉に、才人はいよいよ本番か、と再び己を滾らせたが。
アンリエッタは口の周りに残った精液と唾液の飛沫を拭き取ると、言った。

「間もなく、トリスタニアに帰る時間ですわ。
 ささ、サイト様、ズボンを履いて」

い、と才人の顔が歪んだ。
いかに一発抜いてもらったとはいえ、このままでは不完全燃焼だ。
というよりも、昨日のお返しにひめさまをヒイヒイ言わしたい才人であった。

「い、いやまってちょっと待って?
 昨日に引き続き今日も途中で強制終了っすか?そんなのアリ?」

不満げにそう訴える才人に、アンリエッタはにっこり笑って。
才人の鼻先に、指を突きつけた。

「がっつくんじゃありません。
 王都に帰ったら、飽きるほど女王の身体を堪能させてあげますから♪
 だから、今はお・あ・ず・け♪」

言って、くるりと才人に背を向けるアンリエッタ。
実際、今日中に王都に着こうと思ったら、そろそろここを出ないと間に合わない。
才人はそれを悟って、大人しくズボンを履いた。
そして、アンリエッタに抗議する。

「じゃ、帰ったら続き、絶対っすからね?」

いつもなら自分がおねだりする立場なのに、今日はサイト様がおねだり…。

奇妙な高揚感に、アンリエッタは身体の芯が疼くのを感じた。

そして、二人は再び王都に戻ったのだが。
結局その夜、女王はさっさと寝てしまい、才人の欲求は果たされぬまま一日は終わってしまうのだった。
それもまた、女王の計略のうちであることを、才人はまだ知らない。

*続く*


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