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Last-modified: 2008-12-11 (木) 22:11:10 (5607d)

ドラゴン襲撃の翌日

 才人達がドラゴン達を撃退した翌日の昼、魔法学院の正門前には、長い行列が出来ていた。
 行列には、若い女性、老夫婦などの平民、傭兵が荷馬車にすし詰め状態で乗っていた。
 彼等の目的は、無論昨日の御礼である。(但し、若い女性は別目的だが)
 ハルケギニアでの移動は、現代日本とは、比べ物にならない程危険が大きい。
 その為、若い女性や、老夫婦達は護衛を頼もうとした。しかし傭兵達も御礼に行こうと
していた為、目的が合致し一緒にやって来たのである。

「すいません、御礼に来たんです。中に入れてください」
「トリスタニアから来たんです。お願いします」
「お願いします…」「お願いします…」無数の声が響き渡る。

「駄目だ、許可の無い者は、入れられぬ。お前達が礼に来た事は、伝えるから帰りなさい」
「御礼は、直接言わなければ、おかしいわ」
「あんた達は、せいぜい教師に平民が礼を言いに来た。としか伝えないんだろ。私達は、
 学院生、特に水精霊騎士隊に御礼がしたいだよ。いいからそこを退いてください」
「やめろ!私達が首になってしまうだろ」

 だんだんと正門前は、騒然となって来た。
「わかった。今聞いてくるから待っていろ」
 一人の衛兵がそう言って後ろを向いた瞬間、彼等は雪崩を打って学院内に押し寄せた。

 この様子を本塔5階の学院長室からオールド・オスマンが見ていた。
「ふむ、こりゃいかんのう」
 騒ぎを納めに階下に降りて行った。

 中庭は、大騒ぎになっていた。
「水精霊騎士隊の方々は、どこですか?」
「モンモラシー様は、何処ですか?」
「学院生の皆さんは?」
 彼等は、恩人を捜しまわった。

 水精霊騎士隊は、今何処にいるのか?
 それは、昨日馬鹿騒ぎをして、零戦格納庫兼騎士隊の溜まり場で酔い潰れていた。
 外の喧騒を聞きつけて、一人の隊員が扉を開けた。
 すると大勢の人々が雪崩れ込んで来た。
「此方にいらしたんですね、水精霊騎士隊の皆さん」
「ギーシュ様」「レイナール様」「ギムリ様」「マリコルヌ様」

「うわっ」
「なんだ?」
「何事?」

「有難うございます。お陰さまで家の息子が救われました」
「家を修繕して頂き有難うございます」
「私をメイドとして雇ってください」
「私とお付き合いください」
「モンモランシー様は、どちらですか?」
「家の娘を嫁に貰って下せぇ」

 矢継ぎ早に御礼やら質問やらお願いをされまくった。
「お、落ち着いてください。落ち着いて」
 こういう状況で落ち着く人など殆どいない。

少年達は身の危険を感じ裏口や窓から逃げ出した。
「待って下さいー」
「お返事をー」

 しかし、外も人で一杯だった。
「あちらにいらしたぞー」
「見つけましたわー」

 はっきり言って逃げるのが困難な状況だった。
 ギーシュが若い女性の一団に捕まり
「お付き合いください」
「専属メイドにして下さい」
「結婚して下さい」
 
 そして、そんな時に限って現れるのが…
「ギーシュ、そんなに大勢の女性に囲まれてさぞうれしいでしょう」
「モンモランシー、誤解だよ。…えっと皆さん、僕にはモンモランシーと言う心に決めた
 女性がいるんです。申し訳ないが先程の申し込みは、全てご辞退申し上げます」
(くうー。こんなにモテるのはもう2度とないなー)

「えー、そんなー。でもモンモランシー様がお相手では、私では相手になりませんね。
 残念ですが、お幸せに」
「レイナール様を探しましょ。後ギムリ様も」
 女性達は、お目当ての隊員を捜しに散らばった。

「無理しちゃって。こんな事2度と無いわよ」
「そうだね、僕もそう思うよ。でも君を悲しませたくないからね」
「ギーシュ」

「モンモランシー様がいたぞー」
「こっちだ、こっち」

 傭兵達が大勢集まった。
「有難うございます、モンモランシー様。貴女様のお陰で命拾いしました。本当に有難うございます。」
「有難うございます」
「有難うございます」
 御礼の大合唱になった。

「もし宜しければ、お付き合いください」
「え?」
「出来れば結婚を前提に」
「抜け駆けするなー」

「ちょっと待って下さい。私、そう言うのは」
「逃げるぞ、モンモランシー」
 ギーシュは、モンモランシーの手を握って逃げ出した。

 傭兵達も二人を追いかけた。
 普段鍛えてある傭兵達の方が足が速い。
 追い付かれるのも時間の問題。

「ワルキューレ」
 ギーシュは、7体の青銅ゴーレムを出した。
「彼等を足止めしろ」
 しかし、ワルキューレ7体で足止め出来るのは、せいぜい10人位までだった。
 30人以上はいる傭兵の足止めは、無理だった。

「ギーシュ、フライよ」
「分かった」

 二人は、フライを唱え、その場を離れた。
「お待ちになって下せー」
 後方で傭兵達が叫んでいる。

 何時までも飛んでる訳には行かないので、振り切った所で近くにあった倉庫に
逃げ込む事にした。

「アンロック」
 開錠して中に逃げ込む。
「ロック」
錠をして二人は、一息ついた。

「モンモランシーも、モテモテだね」
「あの人達は、私の趣味じゃないわよ。それよりギーシュ、さっき言った事、本当?」
「当たり前じゃないかね。もし君の事を何とも思ってないなら、あんな事言う必要
 無いじゃないかね」

「ギーシュ」
「モンモランシー」

二人は、息が掛るくらい接近し、ギーシュがモンモランシーの顎を持ち上げた。
モンモランシーは、目を瞑った。
ギーシュは、徐に唇を重ね合わせた。

二人は、お互いの唇をなぞる様に動かし、舌を入れディープキスを始めた。
今の状況をすっかり忘れ、唇を貪りあった。
そして、ギーシュの手がモンモランシーの胸を揉みだした。
B80(設定資料より)推定Bカップのモンモランシーの胸は、丁度手の平サイズ
であった。
揉んでいるうちに乳首が隆起して来た為、そこを集中的に刺激した。
やがてそれは、ブラウスの上からでもはっきり分かる程その姿を主張し、コリコリと
固くなって、モンモランシーに甘美な刺激を送り続けた。
ここぞとばかり、ギーシュは、モンモランシーのブラウスのボタンを外し始めた。

すると
[押すなよ]
[見えないぞ]
[早く脱がせよ]

囁く声が聞こえた。
二人は、慌てて離れた。
「誰だ、出て来たまえ」

「や、やあお二人さん、ご無事で何より」
 マリコルヌ、ギムリ他3名の隊員が物陰から出て来た。

「あんた達、覗き見してたわね!!」
「ち、違うぞモンモランシー。僕達は此処に隠れていただけだ。ちゃんとロックも
 掛っていただろう」
「確かにね。でも入って来た時、一声あっても良かったんじゃない?」

「慌てていたんだよ。何しろ外はあんな状況だからね」
「それに君達は、入ってすぐラブシーンを始めたじゃないか。とても声なんか掛けられる
 雰囲気じゃ無かったんだよ」
「それにギーシュがボタンを外し始めたからさ、その先が…ぐむっ」
 他の隊員が慌てて口をふさぐ。

「あんた達、やっぱり覗き見したいだけだったんじゃない!」
 ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴとモンモランシーの魔力が増大していく。

「僕達は、ただ君の裸が見たかった。じゃなくて」
「男女の秘め事を見たかった。じゃなくて」
「今晩のオカズに。じゃなくて」
 少年達は、才人の影響か「口にしてはいけない」事を連発した。
 普通水メイジは、慈愛の精神に充ち溢れている。モンモランシーも例外ではないが、
 彼女には、もう一面、ルイズ同様短気で、所謂魔神化するのである。
 その上彼女は、昨日スクウェアメイジになっていた。
 凄まじい魔力のオーラが周囲の景色を歪ませていた。

「あんた達、3回殺して3回生き返らせてあげるわ」
 無論不可能な発言であるが、冗談には聞こえなかった。
 モンモランシーが、詠唱を始めた。

 少年達は、逃げ出そうとドアノブに手を掛ける。
 勿論ロックが掛っているので開かない。
 アンロックを掛ければ開くが、恐慌状態の彼等は、そんな事に気が回らない。

「早く開けろ、殺されるぞ!」
「開かないよー」
 ガクガク震えながら、空しい努力を続ける。

 呪文の詠唱が終わり…
「ウォーター・カノン!!」
 消防車100台分の放水を軽く超える極太レーザーの如き水魔法が、彼等を壁ごと
 50メイル程吹き飛ばした。
 恐るべき乙女の怒りである。

「う…あっ…」
 全員死んでいないが、虫の息であった。
 モンモランシーは、彼等に治癒の魔法を掛けた。

 少年達が気が付くと…
「あと2、3発お見舞いして上げようか?」
 少年達は、怯えながら逃げ出した。

「ギーシュ、ティファニアって記憶消去の呪文が使えるって言ってたわよね?」
「ああ、その通りだが、それが如何したんだい?」
「勿論、あいつ等の記憶を消してもらうのよ。あんな所見られた上に、乳首が立っている
 所を見られたのよ。ギーシュは、あいつ等に覚えていてほしい訳?」
「そんな訳無いじゃないかね。モンモランシーの乳首を覚えていいのは、僕だけだ」
「あんたも一発欲しい?」
「君のあの一発は、御免被るが君には、僕の一発を差し上げたいね」
「あんた、こんな真昼間から良くそんな事言えるわね。全く呆れるわ」
「君は欲しくないのかい?」
「ま、まあ正直興味は、有るわね」
「ならば早速僕の部屋に行くとしよう。傭兵さん方もこっちに向かって来ているし」
「し、仕方ないわね。じゃあ行きましょ」
 二人は、ギーシュの部屋に逃げ込み、しけこんだ。

 さて逃げ出した少年達は…
「サイトといい、ギーシュといい、どうしてあんな恐ろしい女達を彼女にするんだ?」
「分からん。2人共いつも虐待を受けているんだがな」
「暫くはモンモランシーから逃げていた方がいいな。さっきの魔法食らったら次は死ぬ」
「ああ、その通りだな。それにしてもとんでもない威力の魔法だったな」
「スクウェアになったんだもんな。まだまだ余裕って感じだったし」
 少年達は暫くモンモランシーに近づかない事を、心に固く決めたのであった。

 魔法学院玄関付近

 騒ぎを納める為、オールド・オスマンが現れた。
「皆さん、落ち着いてくだされ、此処は学び舎ですじゃ。皆さんのお気持ちも分かりますが、
 こんなに大勢で押し掛けられては困りますゆえ、お引き取り願いますじゃ」

「オールド・オスマン、私をメイドとして雇ってください。お願いします」
「お願いします」
「お願いします」
 百人を超える若い女性達が、オールド・オスマンに懇願した。

「メイドになりたいとな、フムしかしメイドの手は不足しておらんでのう」
 暫く考えて…
「おお、そうじゃ。この中で読み書きの出来るものは居るかの?」
 数名の女性が手を挙げた。
「フム、10名程か。実は秘書がこの1年程居なくての、色々不自由しておったのじゃ。
出来れば有能な秘書が欲しいでのう、B85以上、W65未満、H85以上でおさわりグホ」
 隣にいたミセス・シュヴルーズが見事なレバーブローで一撃で仕留めた。

「当学院では、人手は足りています。もし、この爺に貞操を奪われてもいいと言う剛の者
 がいらしゃれば採用致しますが」
 当然一人もいなかった。

「当学院の生徒が、国を救った事は誇りに思います。皆様の感謝の気持ちも嬉しく思います。
 ですが此処には、皆様の働き口は御座いません。申し訳有りませんがお引き取り下さい」

 しかし彼女達も、此処まですし詰めの荷馬車に4時間近く乗ってやって来ているので、
 簡単に諦める訳には行かなかった。

「では、何方か個人のメイドとして雇ってください。それなら出来るんじゃ有りませんか?」
「それは私どもでは、決められません。生徒の親御様がお決めになることですので」
「では、シュヴァリエ・サイト様は?」
「既に王命による専属メイドが居ります」
「そんなー」

 漸く諦めがついたのか荷馬車の方にすごすごと戻って行った。
 尤も一部の人達は、学院生のポケットや服の隙間にラブレターをねじ込んでいた。
 無論、既成事実を作って、玉の輿に乗る為である。
 やがて、学院を訪れ大集団は引き上げていった。
 何人かの胸の内に、
「早くいらして、私の虜にして差し上げますわ」
 と腹黒い事を考えながら。


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