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Last-modified: 2010-07-08 (木) 20:16:08 (5034d)
それは蒼から始まった物語 (13):ウォッチメン 1 バレット氏
とある休暇、ラグドリアンの湖畔に設けられた小さめのお城にて。
「ねえ、サイト」 「ねぇ、イザベラ?」
「「んぁ、何だよ?」」
「「男女の夜の営みというものは一体どうやってするものなんだい?(なのですか?)」」
「「ぶほぁ!!?」」
別々の部屋で、徐に相席していた相手からそんな事を聞かれた2人の男女は、まったく同じタイミングで口に含んだワインと紅茶を噴き出した。
「い、いきなり何ちゅー事聞いてくるんだいアンタは・・・」
「いえだ、だって、私と忌憚無く話してくれる方といえばイザベラやシャルロットぐらいしか居ませんから」
そんなもんかねぇ、と大国ガリアの王女様であるイザベラは改めて目の前の女性を見つめる。
少女はイザベラと同年代だが、恰好は彼女同様豪奢だがイザベラが王家の血筋の現れである空よりも蒼い髪と同じ色のドレスに対して、少女の方は髪は柔らかい質感の茶色だがドレスは純白である。
顔つきとかも如何にも清楚っぽいけど、悪く言えば世間知らずな箱入り娘とも受け取れそうな雰囲気。
いやうん、身体の極一部はかなり攻撃的だけど。
―――まぁウチ(ガリア)とは違ってトリステインの王宮に居るのは固いのばっかりらしいしねぇ。
実際の所、主に王様である自分の父親がはっちゃけ過ぎなだけなのも彼女はよーく理解している。
「だからって、人に直球でそんな事聞くもんでも無いと思うよ、アン」
「しかしイザベラ達とサイト様との関係は、王宮内でもそれはとてもとても有名ですから」
トリステイン王国王女、アンリエッタ・ド・トリステインはちょっと恥ずかしそうにしながらもそう白状した。
ガリア・アルビオン・トリステインのそれぞれの王家の祖先はどれも同一人物――――始祖ブリミルとされている。
その為に国家間の政治的情勢はさておいて、王家間の関係は基本的に良好であった。
もちろん更に個人的な関係云々はまた別問題になるが、少なくともガリアの後継ぎたるイザベラとトリステインの後継ぎたるアンリエッタは仲が良かった。
同年代だが、感覚的には面倒見の良いちょっと強気な姉と蝶よ花よと大事に育てられてきたお淑やかな妹とでもいうべきか?
でもってイザベラの許嫁が表向き平民出身貴族のサイトである事はよく知られていて、更にサイトが他にもイザベラの従妹やアルビオンのハーフエルフの王家の少女とも『良好な関係』を築いているのも周知の事実であり。
ついでに言うと、アンリエッタにも許嫁が居た。
プリンス・オブ・ウェールズ、アルビオン王国皇太子ウェールズ・テューダーだ。
現在彼も休暇という事で、王族達のバカンス用の避暑地として利用されているラグドリアンの畔のこの城に滞在中である。
いかんせん2人共他国の人間だけに顔を合わせる機会は少ないが、関係そのものは良好なのはイザベラも知っている。
もちろんサイトもイザベラと一緒だ。あとシャルロットにティファニアにマチルダも。
但しこの4人は今この場には居ない。だからこそ、アンリエッタはこんな事を聞いてきたんだろうか。
「王宮の方でも少しはそういう話とか聞かないのかい?」
「関係云々といった内容の話はよく聞きますけど、行為等の詳しい話については流石に」
「メイド達だって居るじゃないか、その子達に聞こうとはしなかったのかい?」
「そうしようとした時もあるのですが、皆さん固くなってしまって聞けるような雰囲気ではありませんでしたし・・・」
「あーまあ確かにそうなるだろうねぇ普通は」
ウチの所はかなりフレンドリーだけどねぇ、と呟く。
だがガリアだってサイトが現れるまでは似たようなものだった気がする。
サイトがやってきた影響ってこんなに大きかったんだと再認識。父親があそこまで愉快になっちゃったの思い出してちょっと消沈。
やっぱり変わり過ぎだよ父様。魔法使えなくて絶望してたアンタどこ行った。
「せめてメイドに密かにそういった本街で買ってきて貰うよう頼めば良かったのに・・・」
「け、けれどそれも恥ずかしいではないですか・・・」
ゴニョゴニョゴニョとアンリエッタ、また赤面。
彼女も王家の一員として色々プライドとか体面とか気にしてるんだろうね、と思う。
しかしふと気になったので、ぶしつけとは分かっていとも一応聞いてみた。
「アンの母親のマリアンヌ様とかはそういうのは無いの?そういった話は私も聞いてないけどね」
「母は未だに亡くなった父に操を奉げているので」
「・・・私の所とは大違いだね」
道楽王として有名だが、ジョゼフは浮名を流してる部分でもかなり有名だった。新しく若い妻を娶ってからは彼女に夢中だけど。
「そ、それでは改めてお聞きしますけど、異性とのまぐわいというのは一体どのように行うものですか?」
少し鼻息荒くして詰め寄るアンリエッタの気迫にイザベラ、さりげなくちょっと後退。何をそんなに期待してるというのかこの子は。
まあ何となく分かるけど。アンリエッタも1人の年頃の少女、恋バナ(?)には興味津々なのだろう。
気を許せる同年代の友人がまったく居ない王宮にいつも居るのだから娯楽にも飢えてるっぽいし。
73 :13:ウォッチメン[sage]:2009/03/19(木) 11:52:47 ID:dyIv3Vo9
・・・でもやっぱり恥ずかしい。
つーかぶっちゃけ、自分と身内の恥を晒すようなものだ。
最初はともかく途中からシャルロットにティファニア、マチルダも加わって4(ぴー←修正音)は当たり前。
後ろの穴に胸使ったり口使ったり髪使ったり股に挟んだり玉なめなめしたりお漏らし異物、野外に羞恥にソフトSMとスライム―――――
少しは自重しろ、自分。
「・・・・・・」
「あら、具合でも悪いの?」
「いや、何かもう何時の間にここまで女として大切なもの無くしてたのかと思うと頭がね・・・・・・」
ちょっと泣きたくなった。でもまたその時サイトに求められたらやっぱり受け入れちゃいそうな気がビンビンしてホロリときた。
自覚があるだけまだマシである。
気を取り直して。
「でもアレかい、そういうのの相手にアンタが考えてるのはやっぱりウェールズなんだろ?」
「は、はい、国と王家同士の結束を強めるという理由があるとしても、私としても彼の事をお慕いしていますから」
どこか嬉しそうにアンリエッタは笑って言った。
確かに顔よし器量よし家柄メチャよし魔法の実力もトライアングルクラスで人望も高い。完璧超人とはああいうのを言うに違いない。
まぁ恋愛はそんな要素で100%決まってしまうものではないけれど、イザベラ自身サイトという相手が居てもウェールズの事は本当に良い男だと思っていた。
根っからの貴族の中には表向き平民上がりのサイトの事を良く思わない輩も多いが、ウェールズに限ってはそんな事も無くサイトと親交を育んでいるし。
ならば、と助けになろうとするのが彼女の姉御気質たる所以である。
まずはアンリエッタからちょっと離れてその身体を上から下まで舐めるように眺めた。
更に一緒に入浴した時の記憶も引っ張り出して邪魔なドレスを取っ払った姿を想像する。
顔は問題なし、身体つきもキュルケやティファニアほど攻撃的でないにしても同性のイザベラから見たって十分魅力的だ。
こう、ドレスなどであちこち締め付けられてはいるが実際にはふくよかだし。
「まずはそうだね、こう男のを刺激させて固くさせてから」
「と、殿方のものはどどどれくらい固くなるものなのでしょうか?」
「うーん、どう表現したらいいのか・・・・・・ユニコーンの角よりも硬そうな感じだねぇ」
ちなみにハルケギニアのユニコーンの角は火山山脈に生息する火竜の頑強な鱗も貫けるぐらい頑丈である。
「そ、そそそそこまで!?」
「そう、それでいて炉から出したばかりの鉄みたいに熱くてね」
「あああああああああ!?」
「それからこう、私とかの場合だと揉んだり挟んだり擦ったりしてだね」
「も、もも揉んだり挟んだり擦ったりとはどのような事なのですか!?」
「だから胸で―――――ってあーもう無理!やっぱり無理だよ私にはこれ以上言えないよ!」
唐突にうがーっ!!と頭を掻きむしりながらイザベラ絶叫。
頬もおでこも真っ赤っか、文面だけみれば淡々と説明してた風に思えるがやっぱり恥ずかしかった様で。
大体誰が好き好んで男との情事を赤裸々に詳しく解説してやらにゃいかんのか。何かもう普通に羞恥プレイの一環じゃなかろうか。
・・・・・・親友のゲルマニアからの留学生は初めて本気で付き合っている男性教師とのニャンニャンを喜々として教えてくれたりしてたけど、それはともかく。
「だ、大体だね、こういうのは勢いなんだよ!好きな男とそーいう雰囲気になったらあっという間に押し流されてコトに及んじゃうもんなの!
そ、そそそりゃあ自分の意思で行動しなきゃ始まらない時もよくあるけど!私の時だって最初は私からサイトがお風呂に入ってるのに押し掛けててって何白状してるんだよ私―!?」
「と、ととと殿方と一緒に湯浴みみみみぃ!?」
イザベラ、パニクリ過ぎて更に白状してしまい頭を抱えて絶叫。
アンリエッタ、自分が異性(もちろん相手は決まっている)と裸で同伴の図を想像してしまいイヤンイヤンと悶絶。
普通にカオスだった。
「と、とにかく付け焼刃の知識は役に立たないんだからとにかく夜中にウェールズの奴の寝床にでも忍び込んで押し倒せ!アンタぐらいかわいけりゃそれで大丈夫だよ!!多分!」
人、それを逆夜這いという。
「で、ですけれどやはりやり方が分からなければ、そこ止まりに終わってしまう場合もあるのではないでしょうか・・・?」
「ぬ、ぐうう・・・」
もっともだった。ただ流石にウェールズがそこまで朴念仁だったりアンを子供扱いしたりまさか彼女みたく彼もやり方知らなかったりする筈はないから大丈夫だと思うけど。
・・・・・・イザベラは知らない。文字通り最後がドンピシャである事に。
さてどうしたものか、とイザベラは再び頭を捻りだし、
「う〜〜〜〜〜・・・・・・仕方ないねぇ、アンタの為に一肌脱いでやるよ!」
顔を真っ赤にして、そう宣言したのであった。