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女王シャルロット一世。
ガリアを統べる女帝の名である。
彼女は前王であり叔父であるジョゼフ一世をその手に掛け、王の座を手に入れた。
ガリアの貴族の大半は『狂王』と呼ばれたジョゼフの暗殺を受け入れたが、ジョゼフと繋がっていた一部の貴族たちからの突き上げは相当なものであった。
また、正式に譲り受けたものではないその王座は、教皇庁から返還を要求されている。それも、反対派の追い風となっていた。
さらに、国民の中にも彼女を『血塗れ女王』と呼び、蔑むものもいた。
だがしかし、彼女は負けなかった。
国民や貴族たちの誹謗中傷を浴びながら、それでも彼女は膝を折ることはなかった。
なぜなら、彼女には守るべきものがあったから。
それは、彼女の娘たち。愛する人との間に儲けた、三人の娘たち。
まだ幼く、自らを守る力を持たない娘たちを守るために。
母は、倒れるわけにはいかなかったのである。

「国賊、覚悟ぉ!」

それは、老朽化したプチ・トロワの改修完了記念式典での出来事。
匕首を構えた若者が、突然演台の脇から飛び出し、中央で工事の終了を祝う言葉の最中であった青いドレスの女王の背中めがけ、駆け抜けていく。
護衛の騎士が慌てて杖を抜くが、このままでは間に合わない。
男を捕らえることはできるが、匕首は確実に彼女の背中を貫くだろう。
しかし、そうはならなかった。
女王は細い右腕をす、と上げると、突進してくる若者に向けてその掌を開く。
その瞬間ごう、と凄まじい風が唸り、若者を吹き飛ばす。
吹き飛んだ若者は演台から放り出され、プチ・トロワの新たな名物となる予定の、薔薇の花壇に突っ込んで気を失う。
すぐさま護衛の騎士たちが若者を取り押さえる。
演台の周りの貴族たちは、その出来事に騒然となっている。
若者が襲い掛かってきたことにではない。
詠唱もせずに、烈風を巻き起こした、女王の力にである。

「あれが、詠唱破棄…!」「初めて目にしたが、なんと恐ろしい…」

そう、彼女はある程度の魔法なら呪文の詠唱抜きに魔法を行使できる。
その場面を目にした者は少ないが、彼らは口をそろえてこう言った。

『あの所業、人間の技ではない』と。

呪文の詠唱と杖が必要不可欠な一般的なメイジと、女王の差がまさにそこであった。
彼女がその力を身につけるに至ったのには、ある人物の協力が必要不可欠であった。

「きゅいきゅい。だーから言ったのね。シルフィも一緒に連れていけって」

そこは、王宮グラン・トロワの回廊。謁見の間と女王の私室を繋ぐ、長く白い回廊だった。
ならんで歩く二人の姿は、まるで仲のよい姉妹のように見える。
そろえた様な長い青い髪に、見事なプロポーション。方やドレス、方や狩衣であったが、二人はまるで姉妹のようにその容姿が似通っていた。
そう、シャルロットの使い魔、シルフィードが先住魔法によって変えていたその姿は、成長したシャルロットの姿だったのである。
今、彼女は騎士の位を与えられ、シルフィード・ド・モレノを名乗っている。
先住魔法を駆使し、女王の近衛を勤める彼女もまた、反対派に怖れられる人物である。
しかしその話口調は一切緊張感がなく、ある意味ガリア王宮のマスコット的存在にもなっている。
そして、彼女こそが、シャルロットの詠唱破棄の開眼に一役買った人物。
シルフィードはシャルロットに先住魔法を教え、そして先住魔法を理解したシャルロットは、現代魔法と組み合わせることで、詠唱破棄を可能にした。
つまり、現在詠唱破棄は、ガリア女王のみが使える超常の力なのである。

「必要ない。あなたは子供たちの護衛をしてくれていればいい」

そう言って、女王は念のため、己が使い魔に尋ねる。

「今、子供たちは結界の中にいる?」
「きゅい?結界なんかいらないのね。今パパが面倒みてるのね」

シルフィードの言葉に、ぴた、と女王は歩みを止めた。

「今なんと?」

再度尋ねる。声のオクターブが一段下がっていた。

「きゅい?結界なんかいらないって」
「もう少し後」
「パパが面倒見てる?」
「なんでそれを言わないのー!」

女王の綺麗な回し蹴りがシルフィードの延髄に完璧に入り、韻竜の末裔を一撃で昏倒させる。
シャルロットのシルフィードに対するお仕置きにはランクがあり、耳をひっぱる、髪を蝶結びにする、角の付け根を殴打する、脳天を強打する、とその激しさのレベルはだんだん上がっていくのだが。
今回のコレは、かなりランクの高い突っ込みである。
もちろんシャルロットがそうしたのにはちゃんとした理由がある。
王宮に、三人の娘の『パパ』が来ている。
虚無の魔女に幽閉され、行方のしれない、シャルロットの愛する世界でただ一人の男性が、ここにいる。
それを即座に報告しなかっただけでも、万死に値する。
シャルロット的には、さっきの突っ込みには相当な温情が入っていた。
使い魔をノックダウンさせた女王は、回廊を必死に掛けていく。
そして、荒い息をつきながらやってきたのは大きな赤い扉の前。
そこは育児室。三人の赤子が、ふわふわの床の上で気ままに転げまわる、子供のための部屋。
その中から、かろんかろんと子供用遊具の鈴を鳴らす音と。

『いないいない、ばぁ!』『だぁー。ばぁー』

子供をあやす男の声、それに応じる赤子のうれしそうな声が聞こえてきた。
その男の声を聴いた瞬間、シャルロットの体中に電撃が走った。
目が潤み、頬が紅潮し、心臓がきゅんきゅんと切なく鳴き始める。
ごく、と唾を飲み込み、そして。
コンコン、と扉をノックする。

『どーぞー』『どーぉー』

男の声がそのノックに答え、それを真似した娘の声が聞こえる。
シャルロットはそっと扉を開ける。
キィィ、と頼りない音をたてて、普段は四大魔術では傷をつけるのも難しい、先住魔法で守られた赤い扉がたやすく開いていく。
育児室の中央で、三人の愛娘をあやしている、黒髪の男。
あまりぱっとしない、青年がそこにいた。
シャルロットの目の端から、つ、と涙がこぼれた。

「サイト…!逢いたかったっ…!」

王になって数年、彼女がついぞ見せたことのない涙を流させた男の名は。
平賀才人。
異世界からやってきた、虚無の使い魔ガンダールヴ。
ハルケギニア救世の英雄にして、トリステイン王家との婚姻をブッチさせられ、虚無の魔王に連れ去られた悲劇の英雄。
そして、うら若きガリア女王とトリステイン女王とエルフの女頭領を孕ませた、希代の種馬。
シャルロットの、かつてのタバサの愛した、ただ一人の男性であった。
女王という立場も忘れ、長い青い髪をなびかせて才人に抱きつく。

「お、おい?」

いきなりの抱擁に、才人は驚く。
主に、以前とは比べ物にならないほどたわわに実った二つの果実にびっくりしながら。
そんな才人に、シャルロットは尋ねる。

「どうして今まで、逢いに来てくれなかったの…?」

当然の疑問である。
ジョゼフを追い出し、ガリアの王となったシャルロットは、身篭っていた。
それはもちろん、才人の子。
虚無に連れ去られたとしても、いつか才人が逢いに来てくれる。そう信じ、シャルロットは待った。
そして王座に就いて十月後、シャルロットは三つ子を産む。
当然、生まれた娘たちに逢いに、きっと才人は来てくれる。そう信じ、シャルロットは待ち続けた。
だが、半年が過ぎ、二年が経っても、彼は来なかった。
それでも、彼女は待ち続けた。ただひたすらに、彼を待ち続けた。
つい、愚痴のような言葉が漏れても、それは致し方のない事と言えた。

「いやまあその…ルイズがさ…」

歯切れ悪くそう言う才人に、シャルロットはああなるほど、と思わず頷いてしまう。
彼が世間から姿をくらませた最大の理由が、彼の主人、ルイズその人である。
『ただひとつ』の虚無となり、トリステイン女王から彼を奪い取り、いずこかへ姿を消した。
彼女が彼を監禁し、外へ出さないようにしていたであろうことは、容易に想像がつく。
かつてのトリステイン魔法学院でのドタバタを思い出し、シャルロットは納得していた。
そして今、彼は逢いにきてくれた。虚無の手を掻い潜り、自分の下へやってきてくれた。
それだけで今まで鬱積していたものが流され、嬉しくなってしまうシャルロットだった。

「…どのくらい、いられるの?」
「わりい、明日には戻らないと」

二年余り逢えなかった代償にしては、あまりにも短い。
しかし、ここで我侭を言うほど、シャルロットはもう子供ではなかった。

「…そうなの」

ならば、今できることをするまで。
そしてシャルロットは、この部屋にいる才人と自分以外の視線に気づく。
二人の周りでおとなしく待っていた愛娘たちのうち、一番小さな末の娘を抱き上げると、才人に差し出す。

「なら、この子たちの相手をしてあげて。
 …お父さん」
「…ああ、わかったよ」

そして、一年余りお預けになっていた、家族の団欒が始まった。

夕方には、三人の娘たちは疲れて眠ってしまった。
すやすや眠る三人をベッドに寝かしつけると、才人とシャルロットは育児室を出る。
王宮の廊下を歩きながら、二人は語らう。

「元気に育ってるな。さすがシャルロット、いいお母さんしてるみたいじゃないか」
「…みんなが、手伝ってくれるから」

主に子供の面倒を見ているのはシルフィードなのだが、そのへんは割愛するシャルロットだった。
そして、ふと外を見る。
西の山に紅い日がかかり、夜の始まりを告げようとしている。
そして彼女は思い出す。

『わりい、明日には戻らないと』

もう、時間がない。
だったら。

「ちょっと、ここで待ってて」

シャルロットは廊下を突き当たったところ、来賓をもてなすゲストルームに才人を押し込む。
そして、自分は別の部屋へと向かう。
才人はシャルロットに言われたとおり、ゲストルームのソファに腰掛けて待つ。
窓の外の夕焼けを眺めながら、才人がぼーっとしていると。

こんこん。

部屋のドアをノックする音。たぶんシャルロットだな、と才人は思い、返事をする。

「どうぞー」

ぎぃ、と重い音を立てて扉が開く。
そこから現れたのは──────。

「い?」

短く切りそろえられた青い艶やかな髪。
表情を消されたような仏頂面はそのきめの細かい肌と美しい顔立ちも相まって、人形を連想させた。
背の低い細い体には、トリステイン魔法学院の制服と、黒いマントを羽織り、大きな樫の木の杖を手にしている。
その姿は。
かつて、『タバサ』と呼ばれていた頃の、シャルロットだった。

「おまたせ」
「って、シャルロットそのカッコ──!」

シャルロットは才人をこの部屋に待たせている間、別室の床に魔方陣を展開し、ある魔法を自分に掛けた。
それは『形態変化』の術式。術式のかかった対象を半日の間、三年ほど若返らせる術式。
もちろん、それは。

「サイトはこっちの格好のほうが好きだと思って」
「あ、あのなあ、俺ロリコンじゃねえって!」
「そうなの?」

こくん、と首をかしげて才人を見上げるシャルロット──いや、タバサ。
ぐぐ、と才人の喉が鳴る。
トリステイン魔法学院でさんざん味わった、あの官能の日々が蘇る。
幼い容姿のタバサが、従順すぎるまでに自分の調教を受け入れ、乱れていくその姿──。
男であれば、ロリコンのおにいさんでなくても反応してしまうのは致し方のないことであった。
ましてや、元々そのケのある才人では。
次の攻撃に、耐えられるはずもなかった。
タバサは杖を傍らに転がすと、才人の前に立つ。

「な、なんだよ」
「私、サイトと逢えない間も、貴方の事ばかり考えてた」

潤んだ瞳で、才人を見上げる。
1Hit。

「へ、へえ」
「いつ貴方と逢ってもいいように、準備してたの」

そのまま、薄い胸を才人の体に密着させ、もたれかかる。
2Hit。

「じゅ、準備って何を…?」

思わず口走ってしまったが気づいたときには遅かった。
タバサは才人から一旦体を離すと、近くのソファにぽす、と腰掛ける。
そして、両足をそのままソファの上に上げる。
すると、足は自然にM字に開き、短いスカートの中身を才人にさらけ出す。
そこから覗くのは。
毛の一本すら見当たらない、つるつるとした一筋の割れ目。
そしてその下で桜色に染まる、両手の指で引き伸ばされてはくはくと蠢く肛門。
色素の沈着などまったくなく、まるで生まれたばかりの子供のような、きれいなサーモンピンクの器官。
才人の度重なる肛門調教と、自らの消毒による、結果。
それは、二年余りの年月を経てなお今、変わらなかった。

「毎晩、きちんと、お尻キレイにしてたの…」

頬を染めながら、指を震わせ、必死に肛門を押し広げながら。
99Hit。

「い、いやそのあのだなっ!?」
「サイトのせいなんだから」

そして強い声。
頬を赤く染めながら、痴態を晒しながら、タバサは続ける。

「サイトのせいで、私は変態になっちゃったの。
 責任、とって…」

泣きそうな顔で強要、というとんでもなくレベルの高い責めをタバサはあっさりとやってのけた。
100Hit。
そして才人は。

「そんなに言うなら好きなだけ責任取ったろうやないかいー!」

がばぁ!とソファの上で身体を開くタバサに覆いかぶさっていった。

タバサは肘掛から下半身を放り出すようにソファの上に上半身を投げ出すような格好にされ、才人に肛門を責められていた。
肛門に舌を差し込まれ、丁寧に丁寧にほぐされている。
部屋の周囲には『サイレンス』がかけられていたが、タバサはあえて声を押し殺し、才人の責めに耐えていた。
もちろん、才人が喜ぶからそうしている。
声を出して善がるよりも、声を押し殺して責めに耐えている姿のほうが、才人の好みだとタバサは理解していた。
才人はそんなタバサの肛門を、飽きることなく三十分近く舐め続けている。
完全に性器と化しているタバサのそこは、排泄器官らしい臭いなどかけらも臭わせず、香水のようなわざとらしい男に媚びる香りもたてず、ただの『性器』として、雄を誘う甘い香りを放っていた。
それは長きに渡るタバサ自身の肛門開発の成せる業であった。

「ひさしぶりだけど、タバサのお尻、相変わらずいい色と臭いだよなあ」
「ぃ、いわないでっ…!」

恥じらいを乗せた声を、才人の責めに合わせて返す。
すると、才人は気を良くし、さらに責めの言葉を浴びせてくる。

「そんな事言って。おまんこの方はよだれ垂らしっぱなしだぜ」

才人の言葉通り、タバサの股間からはだらしないほど愛液があふれ出て、太ももの内側までぬらぬらと淫靡に光らせている。
そして、タバサの予想の斜め上を行く言葉責めが降ってきた。

「ほんと、こんな淫乱でへんたいなお母さん、ハルケギニア中探してもいないんじゃね?」
「!!」

それまで軽く緩んでいたタバサの肛門がその言葉にきゅ、と閉まり、括約筋に押し出されて愛液がぴゅ、と数滴飛び出た。
タバサは───シャルロットは、まぎれもなく三人の娘の母親である。
それが、愛する男のために毎晩肛門調教を自らに施し、自らの容姿を幼く変えてまで、男に媚びている。
これが、変態と言わずしてなんだというのか。

「ち、ちがっ───!」
「ちがわないだろ?」

否定の言葉を吐こうとした瞬間。

ぎゅぷぷぷぷぷぷぷ!

「──────────っ!?」

きつく絞られた、しかしそれでも男に媚びるよう開発された肛門を、才人の肉棒が容赦なく貫いた。
二年余り待ち望んでいた感覚に、タバサは一瞬で絶頂に達する。
直腸を通して感じられる愛しい温度に、脳髄が溶かされていく。

「ほら、入れただけでびくんびくん痙攣してさ。どんだけおしりえっち好きなんだよ」

その言葉に、タバサに残されていた、最後の冷静な部分が反応した。

「ち、違う───」
「だから、何が違うんだっての」
「私が好きなのは、えっちじゃない。
 サイトが、好きなの…。サイトに抱かれるのが、だいすきなの…」

1000Hit Combo!
潤んだ瞳で必死に顔を上げ、後ろを貫かれながら男を見つめるその視線に、才人の中で何かが吹っ飛んだ。
そして。

「だから、ね。
 思いっきり、好きなだけ、して」
「ラジャーーーーーっ!」

才人は幼いタバサの細い腰を乱暴に鷲づかみ、全力で腰を使い始めた。

目を覚ますと。
才人は牢獄にいた。

「へ?なんで?」

着ていた服はそのまま、才人は石造りの牢屋にとらわれていた。
声を上げようとすると、金格子の前に、豪奢なドレスを着た長い青い髪の女性が現れた。
先刻さんざん愛し合った女性──シャルロット女王である。

「ちょ、シャルロット、これ何?」
「あなたは罪を犯しました」

女王の声で、シャルロットは言った。
なんのこっちゃい、と才人はシャルロットに詰め寄る。

「お、俺がいったい何を!」

そしてずばり、とシャルロットは答えた。

「未成年者との淫行」
「ぶ!」

ちょっとまて。誘ってきたのそっちじゃん、と突っ込もうと思ったが。

「罪を着せられて捕まっていたのなら、ガリアに長居した言い訳もできるでしょ?」

にっこり笑ってシャルロットはそう言ってのけた。
つまりは。
シャルロット──タバサは、才人をしばらく囲うため、彼に無実の罪をなすりつけたのである。
それも、正妻であるルイズに言い訳をしやすくするために。
それなら、と才人は諦める。

「まあ、それならしょうがないな。
 ほんと、困った女王様だな」
「とりあえず、一週間は拘束するから。
 ──その間、女王自ら『取調べ』をしますので」
「どんな『取調べ』なんだか」

そして二人は笑いあった。
そしてそれから一週間の間、才人はガリア女王と蜜月の日々を過ごすのだが──。

帰還した才人がガリアに捕まっていた罪状を知って、ルイズとシエスタからとんでもない折檻を受けるハメになったのは言うまでもない。

「──計算どおり」
「──おねえさまずいぶん黒くなったのね。まるでどっかのトリステイン女王みたい」

その発言を追ってシルフィードが半殺しの目に逢ったのも、もちろん言うまでもない。

〜fin

Yesロリータ、Noタッチ。


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