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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:56:19 (5639d)

622 名前:つづきの蛇足[sage ] 投稿日:2006/10/01(日) 18:45:01 ID:15BWmCsY
それは、貴族の結婚式としては余りにも粗末で、簡素なものだった。
呼ばれたのは、気の置けない友人たちと、恩人だけ。
豪華な料理こそ出なかったが、質素ではあるが心のこもった料理が、来賓たちを出迎えた。
久しぶりに会う顔もあれば、ずっと一緒だった者もいる。
彼らは、この宴の主賓を、今か今かと待ち構えていた。

「遅いわねぇ。ない胸に盛り土でもしてるのかしらあの子」
「…言いすぎ」

真紅の髪の貴婦人と、水色の髪の貴婦人が、料理を挟んで新婦の話をしている。

「…ホント、早く終わらせて帰りたいわー。ダーリンが仲人じゃなきゃ出ないわよ、お隣さんの結婚式なんて」
「…私が誘っても?」
「…ガリアの王命じゃ、出ないわけにはいかないけどさあ」

真紅の髪の貴婦人は、困ったように肩を竦める。

「でさ。アンタは公務おっぽってなんでわざわざ来てるワケ」
「…新郎に文句言ってやろうと思って」
「…彼も勇気あるわよねえ。一国の女王の求婚を二件も断るなんて。下手したら戦争もんよ」
「…私がいる限り二度と戦争はさせない」
「冗談よ冗談。あー早くしなさいよもー!」

その隣では、ブロンドの家族連れが、並べられた料理を蹴散らしていた。

「あーこらこら、貴族の子弟がそんな食べ方しちゃダメだろー」
「あなた、こっちも手伝ってよ!身重なんだから少しは気遣いなさいよね!」
「そ、そんなこと言ってもだな、こっちも三人見てるんだぞ」
「そっちの三人はほっときゃ自分で食べてるでしょ!八ヶ月二人はムリだってば!あーこらこらナッツなんかたべないの!詰まっちゃうでしょー」
「で、でも、グラモン家の子弟として最低限のマナーはだな」
「貧乏貴族が見栄はってどーすんのよ!ていうか今日は平民貴族関係なしに呼ばれてんだから気にしても意味ないじゃない」

金髪の夫はやれやれ、と肩を竦めて大きなお腹の金髪巻き毛の妻の下に駆けつける。
離れた席では、物腰の優雅な黒髪の街娘と、眼光の鋭い金髪の街娘が、取り分けた料理の皿にも手を着けず、話をしていた。

「陛下。いかに親友の結婚式とはいえ、ムリに予定をつめる必要はなかったのでは」
「親友?今親友とおっしゃって?あの子は親友などではないわ。トリステインから至宝を奪った仇敵よ。
 頬の七つも張ってやらないと気がすまないわ。ああもう憎い憎い憎い」
「…の、わりには嬉しそうですね」
「それはもう!久方ぶりにあの方と逢えるのですもの!公務なんて馬鹿らしくてやってられないわ!違って?」
「…他人の夫に手を出す気ですか」
「本当ならね?王命で無理矢理奪ってもよかったのよ?でもね、でもね、あの方があの子がいいって…うわぁぁぁぁぁぁ」

そう言って泣きはらす黒髪の街娘の後ろには、ワインの空き瓶の林が。

「…酒でも飲まないとやってられんな、確かに」

そんな来賓たちに、ハーフエルフの女性が声をかける。

「みなさーん!新郎と新婦の準備が出来ましたよー!」

そして開いた小さな家の扉から、新郎と新婦が姿を現す。

『おめでとう!』
『おめでとうルイズ!』
『おめでとうサイト!』

祝福の声が、幸せな二人を出迎えた。

623 名前:つづきの蛇足[sage ] 投稿日:2006/10/01(日) 18:46:03 ID:15BWmCsY
会場の隅で給仕の手伝いをしながら、シエスタは二人を見守る。

「綺麗。ミス・ヴァリエール…」

祝福の声に応えるルイズは、ドレスとその輝く笑顔で、いつもの何倍も美しく輝いて見えた。
自分も、あそこに立ちたかった。
でも、自分は選んだ。
死ぬまで、サイトさんのメイドでいます。
2番目でいい。1番でなくても、サイトさんの傍にいられればいいんです。
ルイズと結婚する、と告げられた時、シエスタはそう返した。
それ以来、二人の間に関係はない。
だが、シエスタは幸せだ。

「私はお二人とも大好きですし。それに…」

そっと、自分の下腹部に手を添える。
十月後、このお腹は大きく膨れているだろう。その種は、今ルイズの隣で微笑む、才人が宿したもの。

「一個勝ち、ですよ、ミス・ヴァリエール♪」

かと思ってたら。

「で、なんで若奥様も妊娠してるんですかっ!」
「アンタがサイトの子身篭ってることがおかしいんだけど!」
「それは置いといて。で、なんですかお願いって」
「…置いとくのもアレだと思うけど。
 あのね、お医者様の話だと、私お乳が出ないらしいの」
「そりゃ胸もゼロですからね」
「いいから聞きなさい。だから、あなたに乳母をして欲しいの」
「えー?若奥様の子供にお乳あげるんですかぁー?」
「サイトの子よ」
「喜んで!」
「あなたねえ…」

こうして乳母となったシエスタは、それ以降も虎視眈々と才人を狙っていくのだが…。
それはまた、別の話。

624 名前:せんたいさん[sage ] 投稿日:2006/10/01(日) 18:48:12 ID:15BWmCsY
ふと思いついたので補足してみた。
詳細は
ttp://ja001.sukiwikiweb.com/zero/pg/%E3%81%9B%E3%82%93%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%95%E3%82%93.html
の下二つよりです。
まー思い付きだけなんでいまいち…アレだなあ…。
他の書いてきますノシ


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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:56:19 (5639d)

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