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Last-modified: 2017-09-12 (火) 05:30:21 (2411d)

峠に高いエキゾーストが響く
男は久し振りの休みに峠にツーリングに出ていた。ライディングジャケットに下にはパーカー、ジーンズに、ノートパソコンや道具類をバッグに背負う
十国峠から下る途中、左直角コーナーから右ブラインドコーナー
前を走る車がかなりの勢いでクリアしたのを見て、度胸一発で同じ速度で飛び込む
左コーナーから右ブラインドコーナーに入った瞬間、センターラインを割り迫る対向車、どう見ても避けられない
「ヤバい、こりゃ死んだ、母ちゃんそれに・・・」
衝突したバイクが落下するのを見ながら、自身も飛ばされたのだが、その先に鏡の様な物が出現したのには、男は気付かなかった
どんっ!!
「あだだだだ」
「きゃあ〜〜、ギーシュ〜!!」
何かを下敷きにした感覚で、とっさに下を見る
「ああ悪い、大丈夫か」
ヘルメット付きでの体当たりを、もろに食らった相手からの返事は無い、只の屍の様だ
「ちょっと、どきなさいよ」
「あだ、幾ら何でも事故にあった人間突き飛ばすたあ、非常識だぞ」
「ちょっと」
金髪縦ロールの少女が倒れた生徒の介抱を始めるのを見て、端と気付く
「あれ?待てよ、あのまま落ちるなら林だよな?何で草原?」
「ちょっと、あんた」
「それになんでこんなに人が?」
「こっち見なさいよ」
「まさかこれが死後の世界って奴か?」
「だからこっち向けって、言ってんでしょうがぁ!!」
ドゲシッ!!
「ぐはっ!?いきなり蹴り入れるたぁ、どういう了見だ?」
「あんたが、こっち向かないからでしょうが!?」
ライディングジャケットのお陰で大したダメージも無かったので、そのまま振り向くと、今迄見たことも無い様な美少女が立っていた
背丈は低いが髪は桃色がかった金髪、肌は白磁の如く白い、ブラウスにスカートに膝上迄有るニーソックス、右手には指揮棒の様な物を持ち、背後にはやや短めのマント?
胸はこの草原より起伏が無い、正に平原
う〜ん、それだけが残念だ

「此処は何処だい?」
「トリステイン魔法学院、あんたは使い魔召喚の儀式で呼び出されたの」
「はい?」
「召喚門をくぐって来たでしょう?」

「何だいそれ?」
少女は持ってる棒で差し示す
その先には空中に固定されてる鏡の様な物が消えつつあり、その面の延長線上に先程の生徒が倒れ、少女が介抱してるのが見えた
そこでようやく男は合点がいく
「どうやら君が助けてくれた様だね、ありがとう。おっと、俺は平賀才人、君は?」
「ルイズ。ルイズ=フランソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=ヴァリエールよ」
「えらい長い名前だなぁ。どっかの貴族みてぇ」
「どっかの貴族みたいじゃなくて、貴族よ」
「ふうん、さっきは助かったけど、今度は帰してくれないかな?」
「無理ね、帰し方知らないもの」
「マジかよ」
顔に手を当て空を仰ぎ見ると其処には月が二つ見え、才人は愕然とする
「月が二つ!?」
「は?何言ってるの?月が二つ有るなんて普通でしょ?」
才人は才人自身にしか解らない理由で落ち込む
「ははは、異世界か別惑星に飛ばされたか、これじゃ死ぬのと変わんね」
「何ブツブツ言ってるの?あんた魔法は使える?」
「魔法ってあれか?ゲームとかで、炎出したり雷バリバリしたりするあれか?」
「良く知ってるじゃない、それよ」
「出来ねぇよ、それに普通は可燃物に点火するか、静電気起こしたり発電すんだろ?」
「点火?発電?何それ?あんた平民なのね。コルベール先生やり直しさせて下さい」
「ミスヴァリエール、使い魔足る者を召喚したのですから、きちんと契約しなさい。例外は認められません。出来ないのであれば貴方は落第です」
「う〜、あんた、あたしの使い魔になりなさい」
「使い魔ってぇと、魔女っ娘が黒猫や烏を使役したりする奴か?」
「それよ」
「使い魔ってのはどんな仕事するんだ?」
「主人を守る為に、爪や牙で戦ったり、偵察したりするんだけど、あんたには無理ね」
「実も蓋もねぇなぁ。確かにその通りだ」
才人は苦笑する
「だからあんたは主人の身の回りの世話をしなさい。洗濯とか掃除とか」
「報酬は?」
「使い魔なんだから出ないわよ。その代わり、寝床と食事は用意して上げるわ。それとも行く所有るの?」
「確かに無いな。良いだろう、使い魔って奴になってやるよ」
「決まりね。貴族が平民にこんな事はしないんだけど今回は特別なんだから、感謝しなさよ」
「我が名はルイズ=フランソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と成せ」
ルイズは背伸びをして才人の唇に自身の唇を重ねる、才人はびっくりして硬直してると、左手に灼熱と激痛が走り、思わず左手を抑え膝をつく
「ぐぁっ!!事故った時に痛めてたか」
暫くすると、痛みが引いたので、今迄してた革グローブを外し左手を見ると、見慣れない文字が甲に刻まれていた
「これで、今からあんたはあたしの使い魔よ」
才人の左手に出た文字を、写し終わったコルベールが号令をかける「ミスヴァリエールで使い魔召喚の儀も、無事とは言えませんが終了しました」
「ミスタグラモンもミスモンモランシーの介抱で、意識が無いだけで問題無さそうですね、一応医務室に運んでおいて下さい」
「では本日の授業はこれまでとします、解散」
ぞろぞろと生徒達が帰りの路につく際、ルイズ達に話かける
「流石ゼロのルイズ。何回も失敗したと思ったら、平民を呼び出しやがったよ」
「オマケにギーシュ迄KOするたぁ派手な召喚だったなぁ」
笑いながら去っていくのを見て、才人はルイズを見ると、唇を噛み締めてたルイズが、才人の視線で毅然とした表情で才人を睨む
「行くわよ」
「何処に?」
「あたしの部屋、あんたの寝床にもなるんだからね」
「あいよ、ご主人様」

ルイズの部屋
「あんた、何処から来たの?」
「日本、多分異世界だ」
「はぁ?」
「此処は何処だい」
「トリステイン魔法学院女子寮のあたしの部屋」
「じょ、女子寮、ハァハァ、じゃなくて、国の配置とかの話」
頭の可哀想な子を見る目を、才人に向けながら答える
「此処は小国トリステイン、北に大国のガリアとゲルマニア、西にアルビオン、南に宗教国家ロマリア、東にサハラ、更に東にロバ・アル・カイリエが有ると言われてるわ、日本なんて何処に有るの?」
「だから、別世界だって」
「証拠は?」
「おし、見せてやる」
バッグからノートパソコンを取り出し、電源を入れ、えろい方のダミーで入れてた、ある工程を表示する
「良し、壊れて無かった」
「何それ?」
「パソコン」
「魔法で動いてるの?」
「うんにゃ、科学」
「カガクって何?」
「物理法則で動かすシステムだよ」
「何それ、訳解んない」
「やっぱりネットには繋がらないか」
作動確認後、電源を落とす
「これだけじゃ解らないわ」
「手厳しい事で。ご主人様の歳は?」
「16、あんたは?」
「26」
「随分歳上ね」
「好みのタイプかい?」
「冗談言わないでよ。貴族が平民に興味持つ訳無いでしょ。あんたなんか其処ら辺の犬よ、犬」
「はぁ、さいですか」
「今日は疲れたから、寝るから着替えるわ」
「そうか」
「何言ってるのよ?あんたが着替えさせるの」
「へ?それ位、自分でやりなよ」
「あんたの仕事は、あたしの身の回りの世話でしょうが」
「言われてみればそうでした、でも俺、男なんだけど」
「犬に見られても、恥ずかしい訳無いでしょ」
「いつか犯すぞこのアマ」
「何か言った、犬?」
「いえ、何も」
男として意識されずに、際どい着替えを手伝わさせるのは、非常に屈辱だと才人は確信した
「では可愛いご主人様の為に、この使い魔が添い寝をしてしんぜよう」
「はぁ?何馬鹿な事言ってるの?」
「でもベッド一つしか無いじゃん」
「あんたは其処で寝なさい」
指で床を指す
「そうですか」
ルイズはランプを消し床ににつく
「そのランプも魔法かい?」
「そうよ、結構高いんだから、おやすみ」
「おやすみなさい、ご主人様。(こりゃ先が思いやられるわ)」


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