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Last-modified: 2017-09-12 (火) 05:33:55 (2417d)

「なぁ、ルイズ」
「何よ?」
「ルイズ達で一番成績の良い奴って誰?」
「あたしよ」
「本当か?」
「疑ってるの?」
「だって、実技でマイナスされてると思うんだが?」
「う〜、座学に関してはTOPクラスよ!!」
「一番じゃないのか」
「一人どうしても適わないのが居る」
「誰?」
「タバサよ」
「どの子?」
「ツェルプストーが絡んでる青髪の子が居るでしょ?」
「あぁ、あの娘か」
「そんなの聞いてどうすんの?」
「ん〜?文字とか教えて貰おうかと思って」
「そんなのあたしが教えて上げるわよ」
そこで、才人がルイズの耳元に口を近付けひそりと話す
「ルイズの友達を増やせれば良いかなって」
ぽんっと顔が紅くなる
「よ、よ、余計なお世話よ」
「使い魔たるもの、主人が過ごし易くなる為に動くものであります、サー」
耳元で囁く言葉と刺激にルイズはくらくらする
「馬鹿犬は私の側に居なさい」
「ま、大丈夫だって、この前みたいな事は起きないだろ」
決闘後、才人やルイズを直接からかう相手が激減しての台詞である
特に、ギーシュと連れだって行動する事が多くなり、女生徒はおろかメイドや教師に迄注目を浴びる様になり、ちょっとした有名人になってしまったのである
また、コック長たるマルトーの男惚れっぷりは強烈であり、才人の非難をしよう物なら、食事があからさまに減ったり品数が減ったりするという事が頻繁におき、成長期の少年少女には、非常に堪えるその仕打ちに皆口をつぐんだ
同じ平民たるメイド達からの人気は凄く、黒髪メイドのシエスタが頻繁に彼の元に居るのが目撃されてる為、ルイズは気が気でないのだが、勿論才人がそんな事には気付いてない
そんな訳で、例え自分の為でも、女の子に近付いて欲しくないルイズは不機嫌なのである
序でにギーシュバイ説は、広まりが抑えられない状態で、ギーシュ自身も最早諦めてるらしい

「あらダーリン、ようやく私の誘いに乗ってくれるの?」
「それも良いね、でも今回はタバサに用が有るんだ」
「んもう、連れないんだから、ダーリンの為なら何時でも扉は開いてるんだから」
「用って、何?」
「この前俺を運んでくれたんだって?ありがとう。実はさ、文字とか魔法の基礎を教えて貰えないかなって」
「貴方は平民、文字はともかく、魔法を使えないのに何で?」
「だからだよ、ギーシュとやりあった時は、ギーシュが温情を示してくれたから勝てた。でも、そんな事はまず無いからね。対策が練れる方が良い」それを聞いたタバサは、眼鏡を直し才人を見上げる
「…構わない」
「やっぱり駄目か、変な事頼んで悪かったな」
「ダーリン、構わないって言ってるわよ」
「へ?良いの?」
タバサはこくんと頷く
「頼んでばかりだと何か悪いな、俺に出来る事無い?」
「…貴方の国の話を聞かせて」
「そんな事で良いのか?」
再度こくんと頷く
「有り難うな、タバサ」
タバサの手を取りぶんぶん振る
タバサが興味を示す事に、キュルケは興味をそそられた
『あのタバサが、本以外に興味を示すとはねぇ』
視界の端には、その様子に、燃え上がる様にタバサを睨むのを何とか避けてるルイズが見える
他の生徒があからさまに避けていく中、其処に一人座っていた
『あらあら、ヴァリエールったら、あんなに余裕無くしちゃって、ダーリンってば、確かに面白いけど、其処迄執着するものかしら?』
其処でいたずらを思いつく
「ねぇ、ダーリン」
「何?キュルケ」
「あたしも参加して良いかしら?」
「良いのか、タバサ?」
タバサはこくんと頷く
「やぁん、タバサ有り難う」
タバサをキュルケがその胸で抱擁する
タバサは抱擁そのままで、読書に勉める
羨ましいかなと才人が思ってると、ガタっと音がして、ルイズが近付いてきた
「ここここの馬鹿犬は、あたしの使い魔だからあたしが教える」
「ヴァリエールじゃ、実践を教えられないじゃない」
「そそそれでも、ツェルプストーにだけは、任せられないの」
「タバサ、良いのか?」
再度、タバサが頷く
「じゃ、皆で教えてくれ」
「じゃ、放課後図書室ね」
キュルケが仕切る
「…解った」
「はいよ」
「し、仕方ないわね」
女生徒と連れだって教室に入って来たギーシュが、最後の部分に反応する
「才人が勉強するんだったら僕も」
周りの女生徒がギーシュに生温かい視線を送りながら
「あら、ギーシュ様、私との勉強はお嫌ですの?」
「私とは?」
「私達より、殿方とが良いんですのね」
「やっぱり、あの噂は本当でしたのね」
「……ねぇ、ギーシュ。一度楽になってみる?」
背後からの声に女生徒達が逃げ去り、ギーシュ一人が取り残される
「や、やぁ、僕のモンモランシー、何の事だい?」
「あら、解りきってるのに、そういう事言うの?」
「とりあえず、頭冷やしなさいな」
トプンと水に包まれる
「ガボボボ!?」
「本当に楽になりたいなら、そう言ってね?」
水の中で必死に頷く
すぐに解放されるが、モンモランシーは何も言わず去って行く
誰にも聞こえ無い様にギーシュは呟く
「僕だって、解ってるさ」
モンモランシーも廊下で呟く
「まったく、どいつもこいつも不器用すぎよ」

「何をやってるんだ?ギーシュは?」
才人がその様子を見て呆れる
「モンモランシーとギーシュは、いつもあんな感じよ」
「そうなんだ」
才人はそれ以上考えるのは止め、タバサに小声で話かける
「で、本当に二人を参加させて良かったのか?タバサの邪魔にならないか?」
「…キュルケは炎の応用力が非常に高いから、その線では私より上、ルイズは理論だけなら、私でも適わない部分がある」
「そっか、有り難うな」
コクンと頷く
思わず手が伸びタバサの頭を撫でる
「…///」
タバサを撫で始めてから、タバサの顔色が少し良くなった感じがする
それを見た瞬間、ルイズが一瞬にして沸騰する
「……馬鹿犬」
「……わん」
「何で他の女の頭を撫でてるのかしらぁ?」
「撫でちゃ駄目なのか?」
「駄目よ」
「理由をお教え下さい、マイロード」
「そんな事言える訳無いでしょ!!」
「そんなんで納得出来るか!!」
「駄目なもんは駄目〜〜〜」
「グハッ!?」
ドロップキックをまともに喰らい、才人が吹っ飛ばされる
「ねぇタバサ、頭撫でられただけよね?」
コクンと頷く
「良かったの?」
コクンと頷く
「魔性の手だねぇ」
「…キュルケもして貰えば解る」
「じゃあ、放課後にして貰おうかしら」

放課後、才人達は先ずは全員で図書室に入り、ハルケギニア文字と発音の修得に入る
その時、初めて違和感を才人が感じた
「なぁ、俺の言葉解るか?」
「何言ってるの?当然じゃない」
「…どうしてそう思う?」
「なんて言うのかな?発音としゃべってる意味が一致しないんだよ。俺が喋るのはハルケギニアと違う言葉なんだけど、ハルケギニア語じゃないのに、ハルケギニアの皆に意味が通じてるんだ。全く知らない違う言葉で話してるのに、意味が完全に通じるなんて変だろ?」
それを聞いてルイズが首を傾げる
「タバサ,キュルケ、使い魔って皆言葉通じるよね?」
二人とも頷く
「多分使い魔契約のせいじゃ無いかしら?」
「契約前から通じてたぞ?」
ルイズはうって詰まる
「召喚門をくぐった時かしら?」
キュルケがそれを受けて答える
「…そうだとすると、こちらの文字にも影響があるかもしれない」
タバサは簡単な単語録を持ち出し、才人に示す
「…この単語の発音と意味を教えるから、復唱して」
「解った」
タバサの予測は当たり、才人は単語をどんどん吸収していく
一時間もすると、簡単な文章なら書ける様になっていた
「凄いじゃない」
「流石はダーリンだわ」
「いやいや、此は明らかに魔法の影響だって。こんな短時間に修得なんざ出来ないよ」
「…今日の仕上げにこれ読んで聞かせて」
渡されたのは、イーヴァルディの勇者
子供向けに優しい文章で書かれてる物語を持って来ていた
「では」
「才人、奇遇だね」
「やぁ才人、ギーシュが図書室に行こうって煩くてさぁ」
「なんだ、ギーシュとマリコルヌか、おまえらも勉強か」
才人がギーシュ達と話し始めると、タバサは本を広げ読み始めた
何時もと違う仕草にキュルケが気付き、ルイズに肘打ちで知らせる
「何よ?」
「タバサがヘソ曲げた」
「解るの?」
「えぇ、才人の朗読楽しみにしてたみたい、ルイズは?」
「そりゃ、あれだけ出来る様になった成果を見るのはね」
「じゃ、決まりね」
「あたしがやるの?」
「ダーリンは優しいから」
「解ったわよ」
「後でご褒美貰えば良いじゃない、ほら撫でて貰う奴」
一瞬で真っ赤にゆで上がる
「知ってるの?」
「知らないわよ、むしろ知りたい位だわ」
「絶対駄目」
「何でよ?」
「あんなに気持ち良くて安らぐのは、絶対あげない」
そして席を立ち、ルイズはギーシュ達に話かける
ギーシュがしぶしぶ引き下がる間に、キュルケはタバサに話していた
「ねぇ、タバサ」
「…何?」
「ダーリンの手って、気持ち良くて安心出来るの?」
コクンと頷く
「どれ位?」
「…癖になる」
「あらあら、歳上の魅力かしらね?」
ルイズが事情を才人に耳打ちし、才人が慌てて、タバサの所に来る
「タバサ、ごめん遅れた」
ふるふると首を振る
「…構わない」
「じゃあ改めてっと」
朗読を始めてから、タバサの眼は才人から見ても、非常に楽しそうに映っていた
「三人とも今日は有り難うな」
「…ん」
タバサは、撫でやすい位置に移動し、才人はタバサを撫でた
和らいだ表情でタバサは撫でられ続けるが、横から浴びせられる桃色のオーラが段々激しくなってきた為、途中で切り上げる
すると次はキュルケが才人に催促する
「ダーリン、あたしも」
皆子供っぽいんだなぁと思いながらも、同じように撫でる
キュルケも暫くすると淘然とした表情を浮かべ
「やだこれ、良いわぁ、癖になっちゃう」
「ツツツツェルプストー」
「邪魔しないでよ、ヴァリエール、今日の報酬よ」
「う゛〜〜〜」
キュルケを撫でた後、ルイズが期待に満ちた目を才人に向けるが、才人は本日の報酬をとタバサに話しかける
「タバサ、今日はどんな話が聞きたい?」
「…今日は貴方の国の言葉が気になった、それを知りたい」
「解った。じゃあ平仮名からだな」

部屋に戻ると、ルイズは振り向き抱きつく
「どうしたルイズ?」
「撫でて」
「ん?」
「頑張ったご主人様にご褒美!!」
「ルイズは良く頑張ったな」
「うん」
「仲良くなれそうか?」
「ツェルプストーは嫌い。でも凄い」
「タバサもキュルケもルイズの事、褒めてたぞ」
「二人の事よりサイトは?」
「俺?」
「サイトは?」
「偉いぞ、ルイズ」
「うん」
抱きつきながら寝てしまったルイズを、ベッドに運び着替えさせる
生殺しはマジキツイなと思いながら、才人は外に出た

「こりゃ見損なってた、兄ちゃん使い手かい?」
自身を握った才人に、インテリジェンスソード「デルフリンガー」がそう話かける。此処は王都のとある武器屋、ルイズが剣を買ってくれると言うので、二人で武器屋巡りをしていたのだ
「兄ちゃん俺を買いな」
「ふむ」
才人はその剣を見る
日本刀に酷似した反りをもつ片刃の剣、刀身は柄迄含めると才人の身の丈に近い、斬馬刀か?長年手入れをしてないせいだろう、全体的にボロい
剣の台詞が才人には引っ掛かる
「主人、こいつをくれ、幾らだい」
「デルフだったら只でいいわ、持ってってくれた方が助かる」
「ちょっとサイト、そんなボロい剣より、マシなの有るじゃない」
「大丈夫だってルイズ。それにこいつ面白いし」
「そんな理由で選ばないでよ」
「ま、心配すんな」
「もう」
「主人、砥石付けてくれ」
「あいよ」
「これからよろしくな、相棒」
才人の為の勉強会はギーシュとモンモランシーを加えた。参加者にとって基礎を含めた復習になり、各々に成績向上をもたらす結果となった。マリコルヌは参加したりしなかったりするのだが
報酬となる才人の話にコルベールが飛び付き、最早補修授業と実践授業の領域になっていた
マリコルヌに言わせると
「面白い時と、全然解らん時の落差が激し過ぎる。良く皆、付いて行けるな」
との事
その時の話で、盗賊『土くれのフーケ』を捕まえる為、才人に剣を渡そうと、ルイズとキュルケが張り合ったのが前述の話になる
キュルケからは立派な剣、ルイズからデルフを貰い、才人はデルフを使おうとしたのだが、賭けでキュルケの剣を使って捕まえる事になった
「相棒、研ぎ方上手いねぇ、プロだろ?」
「ねぇ、才人」
「なんだ?」
「暇さえあればボロ剣を研いでるけど、キュルケの剣のが良いんじゃない?」
「フーケの時には使うって決まったから使うけど、デルフも中々良い剣だぞ」
「流石相棒、解ってるじゃねぇか」
「解るの?」
「元々、鉄とかの金属を加工する職人だからね、多少は解る。それに俺の国の太刀に似ているし、多分俺には使い易いと思う」
「じゃあ、何であの時」
「見栄は二人ともあったかもしれないけど、善意で動いてくれたんだ。受け取らないとね」
「馬鹿」
「何を今更」
「ふん」
『サイトがあたしの剣のが使い易そうだって、ウフフフフフフフ』
才人は無言でデルフを研ぐ
「相棒」
「なんだ、デルフ」
「嬢ちゃんから気持ち悪い笑い声が」
「聞かなかった事にしとけ」
「相棒も苦労人だねぇ」

どうやってフーケを捕まえるか考えるてる内に、学院内の倉庫から破壊の杖が盗まれる事件が発生
此に追跡部隊として志願したのは、キュルケ,タバサ,ルイズ,サイトである
ミスロングビルの案内で、森の小屋迄追跡したルイズ達
偵察役の才人が小屋に着いた瞬間、扉が弾け出現するゴーレム
「でけぇ、ワルキューレより三倍でかくないか?」
「下がって」
キュルケとタバサが同時に呪文を詠唱し、それぞれ炎と氷の槍が出現する
ゴーレムの一撃を剣を握ったままバク転で回避した才人の後方から、二本の槍がゴーレムに突き立つ
「「やった!!」」
突き立った場所を破壊したは良いが、すぐに形状を復元され、キュルケは頭を抱えた
「あちゃ〜、こりゃ駄目だ。練習通りには行かないわね。タバサ、アイスストームは?」
「…ゴーレム相手じゃ意味無い。爆炎」
「タバサのジャベリンにファイアランスの威力合わせたせいで、魔力足りないわ」
「…ブレイド」
「あれ相手じゃ、死ぬわね」
「…撤退」
「しかないわね」
バキン!!
「なんだ、この鈍は〜!?ギーシュの剣のがましじゃねぇか!!」
剣が折れたらしく、牽制攻撃を仕掛けてた才人から、怒声が上がる
ヒュイ
タバサが口笛で飛竜を呼ぶ
「ダーリン撤退よ」
「ルイズ連れて下がれ、殿をする」
「嫌よ」
「…ルイズ」
「馬鹿な事言わないで!!あんたの失敗魔法で相手出来る奴じゃないわ」
キュルケとタバサの二人から説得されるが、ルイズは構わず才人の方に走り出す
「サイト!!」
「何でこっち来てんだ!!この馬鹿!!」
才人は折れた剣を手に、ゴーレムの攻撃をキュルケ達からそらす様に、何とか誘導していたのだが、ルイズが来たので台無しである
「だって」
「だってじゃねぇ!!全体を見ろ!!俺の脚なら振りきれるが、ルイズじゃ無理だろうが!!さっさとタバサの風竜で逃げろ」
『サイトは貴族じゃないのに、サイトが戦ってるのに貴族のあたしが逃げる訳』
サイトは、その間もルイズから注意をそらす為に、必死にゴーレムに攻撃をかわしながら、斬撃を繰り出す。が、浅い斬撃ではすぐに再生されてしまう
「敵から逃げないから貴族なの!!」
ルイズは魔法の詠唱を行いゴーレムに杖を向けるが、パンとなるだけで何の効果も無い
それに気付いたゴーレムは才人からルイズに目標を移し、その巨大な拳をルイズに差し向ける
更に詠唱を行い攻撃するが効かない
「ひっ」
拳が届く刹那、ルイズは抱きしめられ、何かと一緒に転がる
我に返ると男の胸が眼の前、そして頭が何か暖かいもので濡れるのを感じる
「サイト?」
「大丈夫か?ルイズ」
「サイト、血が」
「頭の皮が切れただけだ、キュルケ、頼む」
「解った、ルイズ、こっちよ」
二人が転がったのを見て、キュルケが駆け寄りルイズを引き渡す
「だったらサイトも」
「俺達の仕事はなんだ?」
「フーケを捕まえる」
「違う、破壊の杖の奪還だ」
「だったら、あたしも」
「ルイズ、今のでまだ懲りないの?私達が居ると、ダーリンの足手まといになるの。ダーリン死なせたい訳?」
ピタリとルイズの動きが止まる
「い、犬。きちんと破壊の杖を奪還して、ご主人様に手柄を立てさせなさい」
「いえす。マイロード」
小屋の方に走りながら、Vサインを送る
ルイズ達はタバサの風竜で離脱した
「どうやら小娘達は、あんた見捨てて逃げ出したみたいじゃないか。麗しい友情だねぇ」
フーケが姿を現し、才人に話かける
「ダンスの相手としては不服かな?お嬢さん」
「あんたなんかに、アタイのダンスに付き合えると思うのかい?かばった時に、左腕効かなくしたんだろう?」
「ありゃ、バレてら」
「アタイのゴーレム倒せたら、ダンスの相手してやるよ。何ならベッドの中でも構わんよ」
「熱いラブコールだねぇ。ようし、パパ頑張っちゃうぞ〜」
「誰がパパなんだい!?」
才人がフーケの台詞の後半から、一気に駆け小屋を目指す
当然ゴーレムが先を塞ぐが、フェイントをかけ、股下を潜り抜け小屋に入る
フーケはその速さに改めて驚く
「さっきから見てるが速いね。あれが人間の動きかい」
小屋の中に破壊の杖と呼ばれる物が無いかと見回すと、すぐに見つかったが、逆に才人を驚愕させる
「こいつは?」
小屋に一撃を加えたゴーレムの脇に行く為、窓から飛び出し、左手を無理やり動かし破壊の杖を展開、セーフティを解除しゴーレムに照準を合わせる
「ベッドの約束守れよ!!フーケ!!」
トリガーを引くと、ロケットが飛び出しゴーレムに直撃
爆発と共にゴーレムが四散する
「きゅい!?」
風竜が驚き声を上げる
「サイト!?タバサ、降ろして」
「まだ駄目、状況が解らない」
「ルイズ、さっき言ったの忘れたの?」
「サイト、サイト、サイト」
ゴーレムを撃破した後、ホッと一息着いた時に、後ろから破壊の杖を奪われる
「おわっ!?」
フーケが直接奪ってこちらに破壊の杖を向ける
「ベッドの話はまた今度になりそうだねぇ。破壊の杖を奪ったのは良いが、使い方が解らなくて困ってたのさ」
「ありゃ、ロングビルさん」
爆風でフードが外れて、素顔が露出している
「魔法学院の連中なら誰か使い方が解るだろうと、餌撒いたんだけど、一発で釣れるとは思わなかったよ。じゃあ、使い方も解ったし、お別れの時間だねぇ」
「いやいや、これからベッドルームの時間だと思うよ」
「随分余裕だねぇ、じゃあ、さよならだ」
「余裕って訳じゃ無いんだけどね」
カチ、カチ、カチ
フーケが幾らトリガーを押しても、何も反応しない
「なんだい、一体どうして出ないんだい?」
「そいつの名前は破壊の杖じゃなくて、M72ロケットランチャー、単発なんだ」
「単発って、なんだい?」
フーケが混乱している最中、才人は一気に詰め寄り、慌てて杖を構えたフーケの杖を折れた剣で両断し、脚を掛けて押し倒し首筋に刃を当てる
「さて、ベッドの時間かな?」
「アタイの負けだ。好きにしな」
それを聞いた才人は、刃は軽く当てたまま、フーケの唇を奪う
舌を絡め、先程迄の戦闘の余韻がお互いの興奮に火を付ける
「ふぅ、ん」
互いの口内を犯し、すすり、ねぶり、また犯す
唇を離した時、フーケはすっかり出来上がっていた
「此処でするのかい?アタイは構わないけど」
「いやぁ、怖いご主人様が上で待ってるからねぇ、お預けだね」
「じゃあ、捕えるかい?」
「捕える気にもならんのよ。話は聞いたけど、フーケみたいな泥棒好きなんだよ。キャッツみたいじゃん」
「キャッツ?」
「俺の国の美女怪盗3人組」
「変な男だね。じゃあどうしたいんだい?」
「何でこんな事してるんだ?食わせなきゃいけない連中でも、居るのかい?」
フーケが硬直する
「うっわ、解り易っ」
「だ、だったら、なんだって言うんだい?」
フーケが開き直る
「泥棒なんか止めて、真当な仕事するってんなら、逃がす」
「何馬鹿な事言ってるんだい?アタイは泥棒だよ?音に聞こえた土くれのフーケに説教かい?」
「さてね。後ろで食わせてる子達に、誇れる仕事をしなって言ってるだけさ」
「何も知らない癖に」
そっぽを向きつつ赤面する
「そうだな、今度会った時にでも聞かせてくれ」
「逃がす積もりかい?」
「こっちは、どうとでもなるから気にすんな」
「ちっ、アタイも焼きが回ったよ、剣貸してくれ」
下げてた道具袋から取り出した人形に、自ら傷つけた指から滴る血を垂らすとフーケがもう一人出来た
「スゲー、コピーロボットみたい、何これ?」
「スキルニル、本人の身代わりになる最高級の人形さ、以前忍びこんだ屋敷で逃走用に仕入れてね」
「あんたの命令を聞く様にしてある。これを捕まえれば、あんたの面目も立つだろ?それにアタイも距離を稼ぐに丁度良い」
「しかし、フーケってスタイル良いなぁ」
「じろじろ見るな!!馬鹿!!」
「あだ」
全裸のスキルニルを上から下迄観察し、フーケにはたかれる
フーケは自身の服をスキルニルに着せ、マントだけで離脱する
「その格好だと痴女だな」
「うるさい!!借りはいつか返す」
「おぅ、ベッドで待ってる」
「馬鹿!!」
フーケが去って行った後、スキルニルに軽い拘束をし、フーケを連れ、空から見える所で合図をする
風竜が降りて来てルイズが才人に抱きつく
「サイト!!」
右手を頭の上に乗せ
「終わったよ。ルイズ」
其所で初めて、才人の左手が動いてないのにルイズは気付く
「サイト、左手は?」
「ゴーレムとやりあってた時にやっちまって、痛だだだだだだ」
今迄ルーンと脳内麻薬で無視してた痛みが一気にぶり返し、才人は悶絶する
「も、駄目、後頼むわ」
才人はあまりの痛みに気絶した
「サイト!?」
「ダーリン!?」
「…痛みで気絶しただけ。一応軽い手当は私がする。キュルケはフーケ、ルイズは破壊の杖を頼む」
「「解ったわ」」


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Last-modified: 2017-09-12 (火) 05:33:55 (2417d)

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