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Last-modified: 2012-03-15 (木) 13:09:12 (4417d)

ルイズが目を覚ますと、隣にもう才人は居なかった
眠り自体は、今迄で最高の快眠。不安も何もかも消し飛び、身体に活力が漲ってるのが解る
でも、才人が居ない。それだけで不安が増大し、涙が溜まる
「ふぇ、サイトは?」
涙が溢れるに任せ、ベッドの上で呆然とする
ガチャ
才人が水を汲んで戻って来ると、ルイズがベッドの上で涙を溜めていた
「おはよう。どうした、ルイズ。怖い夢でも見たか?」
才人がルイズに近寄ると、抱きつき嗚咽する「ヒック、居なかったの」
「ん?」
「サイトが居なかったの!!」
「俺は此処に居るだろう?」
「起きた時に居なかったの!!」
「ルイズ、何か年齢下がってないか?」
「ご主人様の言う事聞きなさい!!」
「はいはい」
「ご主人様の寝起きには側に居なさい」
「はいはい、俺の我が侭なご主人様」
才人は撫でながら、軽く嘆息する
『一人前になる迄、えらい時間かかりそうだな』
才人の悩みは尽きない
コンコン
「誰?」
「私だ、アニエスだ」
「随分と早いな、開いてるよ」
ガチャ
アニエスが入ると、ルイズが才人に抱きつき、軽く嗚咽しながらも、陶酔してるのが見える
「おはよう、才人にミスヴァリエール」
「おはよう、アニエスさん」
「…あたしの使い魔との時間を邪魔しないで」
「ルイズ、挨拶しなさい」
「ふん、おはよう」
舌を出し才人からは離れない
「随分と才人を気に入ってる様だな?」
「サイトにしか笑顔見せない癖に、そういう風に言うんだ?」
「ルイズ」
「解ったわよ。サイトが困るから、これ位にするわ。で、こんなに朝早く何の用?」
「ああ、例の稽古用剣が出来たので、才人に試して貰おうとね。上手く行かないなら、直ぐに返して、手直しさせたいからな」
「もう出来たのか?」
「殿下が強権発動させて、徹夜させたらしい」
「無茶するな、姫様も」
アカデミーのスタッフに同情しつつ、才人はルイズから離れ、剣を受け取る
「抜いてみろ」
「あぁ。本当に水の刀身だ」
「どうだ?」
才人は素振りし答える
「反応してない」
「良し、これで行こう。試しに私に斬り付けてくれ」
パシャ
「ありゃ、本当に水になったわ」
「次、壁」
ガン
「お、きちんと手応え有るわ」
「剣と言うより、剣型のマジックアイテムだからな。でも、稽古に使うには充分だろう」
「はぁ、この目で見ても信じられんわ。本当に便利だなぁ」
「これで稽古が出来るな。手紙で本数揃える様に書いてくる」
「俺からも姫様に伝言。スタッフに、余り無茶させない様にって」
「ハハハ。了解だ、殿下も才人の言葉なら聞くだろう」
アニエスは手を振り、手紙を書くために去って行く

「サイト」
「さてと、水汲んだから、顔洗って準備だな」
「う、うん」
「何か言いたかったか?」
「…アニエスって、朗らかに笑うんだね」
「だろ? それがムスってしてると、勿体無いって思わないか?」
「む〜、確かに」
二人は朝食を取りに食堂に降り、才人達の周りで一斉に頂きますの言葉が走るのは、最早恒例行事になっている
これは才人に近付けた印として広く認知されたのだが、何分始祖への祈りがおろそかにされてると、評判は宜しく無い
ルイズが軽く
「あら、あの言葉に、始祖への祈りも込めてるもの」
と、一蹴してしまった為、誰も何も言わなくなったが
才人が絡むとこの主人は、例えゼロでも非常に恐ろしい事を、皆肌で感じている
それを見たアニエスは
「何だ? 今のは?」
「俺の国の食前の祈りだな」
「何で、他の連中迄やっているんだ?」
「私達がしたいから」
タバサが答える
尚、タバサの食卓はタバサスペシャルとでも言うべき物で、常にはしばみ草サラダが付き、メインは通常の5倍は有ろうかと言う大ボリュームである
学年一の成績と、マルトー料理長のえこひいきが、この状態を生んでいる
その食いっぷりは、作り甲斐が有ると、シェフ達に非常に人気なのだ
「そうなのか? 才人」
「俺は、やれとは言って無いんだけどなぁ」
「凄い影響力だな」
アニエスは眼を丸くした

その後、授業にルイズを送り出した後、才人は洗濯物を持って水場に行くというので、アニエスは付いて行く
「洗濯か」
「ま、日課だね」
「ふむ」
「才人さんおはようございます、えっと、そちらはシュヴァリエですよね?」
「シエスタ、おはよう」
「アニエスで構わないぞ、え〜と」
「シエスタです。シュヴァリエ」
「……まぁ良いか、宜しく」
「宜しくお願いします」
「シエスタ、今日の洗濯はどんなもんだい?」
「此方はシーツ類がメインですね」
「これ終わったら手伝うよ」
「有難うございます。才人さん」
「あ、才人さんおはようございます」
「「「おはようございます」」」
「お、皆おはよう。それ全部シーツかな?」
「はい、ちょっと大変です」
「じゃ、皆でちゃっちゃっとやっちゃうか」
「「「はい」」」
「あ〜才人」
「何?」
「何でメイドの仕事迄、手伝うんだ?」
「俺の仕事も手伝って貰ってるからね」
「普通はやらんぞ?」
「そうかね? アニエスさん、此処に居るなら、勿論手伝ってくれるよね?」
「いえ、シュヴァリエに手伝って貰うなんて、とんでもないです」
「いや、やろう」
アニエスはメイドに混じり洗濯を始める
「ふ〜ふん♪」
才人はそれを見、鼻歌を歌いながら洗濯をする
「才人さん、何か企んでますね?」
「俺はそんな陰謀家じゃないぞ?」
「嘘ばっかり」
シエスタは笑う
「本当だって」
「どうだか」
メイド達と一緒に洗濯し終えた物を全て干すと、メイド達はお茶の準備を始める
メイド達の休憩時間だ
午後は、貴族のお茶の給仕をしなければならない為、この時間になる
「才人さん、シュヴァリエ、一緒にお茶しましょう」
「いや、私はメイドの休憩を邪魔する訳には」
「こういう時はお呼ばれすんの。洗濯手伝ってくれたお礼なんだから」
「才人さんの言う通りです」
皆してクスクス笑う
「そういう事なら」
才人と一緒に席に着き、給仕の居ないお茶が始まる
「今日のお菓子、私が焼いたんですよ」
「お、美味いね。また腕上がったんでない?」
「才人さんがそう言ってくれると、嬉しいです」
メイドの一人が紅くなりながら答える
「確かに美味いな」
「だよね。アニエスさん」
空から風竜が降りてくる
「きゅい」
「お、何だ? シルフィード。匂いにつられたか?」
「きゅいきゅい」
「シルフィードさんって、本当に食いしん坊ねぇ」
メイド達が笑う
「ほれ、口開けて」
才人はお菓子をひと掴みすると、シルフィードの舌に載せた、シルフィードはそれをぺろりと飲み込む
「きゅい」
「皆の分が無くなるから、これで終わりな。あの娘に礼を言って」
「きゅい」
菓子を作ったメイドの顔を、そのデかい舌でべろりと舐める
「やだ、涎だらけ」
それを見たメイド達は笑い、アニエスもつられて笑っていた
「ん、良い傾向」
「才人さん」
「何?」
「やっぱり、何か企んでません?」
「俺はそんなに陰謀好きに見えるか?」
「女のコ喜ばす事にかけては、陰謀しますよね?」
「シエスタには敵わないなぁ」
「で、何が目的なんですか?」
「耳貸して」
「……あぁ、成程」
「肩肘張るのも疲れるからね」
「私にも、同じ位して欲しいです」
「やって無いかな?」
「シュヴァリエに焼きもち妬いてる位です」
「…頑張ります。で、協力してくれる?」
「はい、勿論です」
シエスタは笑って頷いた

「さてと、そろそろ昼の準備だね」
「はい、皆片付けるわよ」
才人が声を出し、メイド達がお茶を片付ける
「じゃあ、アニエスさんはどうする?」
「私か? 才人が何かやるなら付いて行くぞ」
「解った。シエスタ行くよ」
「はい」
三人はそのまま倉庫に向かい、扉を開ける
其処には虫達とミミズが、うねうね動いていた
「な、何で倉庫にこんな物が?」
「使い魔さん達のご飯ですよ」
「成程」
アニエスはひくつくが、何とか耐える
「もしかして、アニエスさん虫駄目?」
「正直言うと、苦手だ。何と言うか、背中がぞわぞわする」
「じゃ、無理しないで良いよ。シエスタそっち宜しくね」
「はい」
二人が抱えて、アニエスは付いて行き、厨房前に着くと、既に使い魔達が待っている
「お、早いな」
「それじゃ皆さん、仲良く食べて下さいね」
シエスタが言い、虫を逃げさない為にしていた蓋を外すと、使い魔達が順番に食べ始める
「アニエスさん、厨房行くよ」
「わ、解った」
厨房に行くと、一つまな板が空いており、普通の食材とは違う植物や、大量の肉と骨が用意されている
普段なら使わない屑肉の部分が多い
「お、来たか我らの剣。お前さんの包丁ショーを、若いのが待ってんぞ」
「親父さんのが上手いでしょ?」
「我らの剣には負けらあ。使い魔クビになったら、ウチに来い。お前なら副料理長だ。異論有るか、てめえら」
「「「「我らの剣なら、納得です」」」」
「何て言うか、料理人って凄いな」
「凄いでしょ? シュヴァリエ」
「さてと、それじゃやりますか。シエスタ、何時も通りに」
「はい」
才人が包丁を握り、ルーンが輝く
そして、包丁一閃
骨が両断され、更に包丁が閃く度に、細かく分断される
屑肉も骨からあっという間にこそぎ落とされ、綺麗に切り分けられる
シエスタがそれらを仕分けし、並んだ寸胴鍋にぶちこむ
その間に一度洗った包丁と、ひっくり返したまな板で、堅い植物を有り得ない速度でざっぱに刻み、それはそのまま桶にぶちこむ
暫くすると鍋から良い匂いが漂いだし、それを才人が味見し、薄味である事を確認する
「良し、こんなもんかな」
「全く、何度見ても、我らの剣の包丁捌きはスゲーな」
マルトーが言い、皆が頷く
「才人、それ、まさか使い魔の能力か?」
「そだよ、俺は、こういう使い方のが好きだね」
「良し、てめえら。次は俺達が仕事する番だ、やるぞ」
「「「「ウィ、マルトー料理長」」」」
一気に慌ただしく、動きだす
厨房は喧騒に包まれた
才人とシエスタ、アニエスは厨房から先程の鍋と桶を持ち出し、他の使い魔に邪魔にならない場所へと置く
既に肉食と草食の使い魔達が待っている
「良し、お待たせ〜」
「きちんと仲良くですよ〜」
才人とシエスタがそれぞれ声を出し、使い魔が食べ始める
「使い魔達の世話迄してたのか」
「マルトー料理長には助けられたからね、代理でやってるだけさ」
「何かもう、本当に凄いんだな」
アニエスは本気で感心する
「じゃあ、シエスタ。ルイズの所に行かないとならんから、後お願いね」
「はい、解りました」
「才人待て、私も行く」
アニエスは才人に付いて行くと、ルイズ達の教室に入る
「お、来たか才人」
「とりあえず、ルイズを何とかしてくれ」
「何があった?」
「まぁ、見ろ」
才人達が振り向くと、ずっと何かを呟いていて、身振り手振りでパタパタやっている
「何やってんだ?」
「使い魔自慢スイッチが入って、朝からあのまんまだ」
「先生達は?」
「諦めた」
「はぁ〜」
才人は深い深い溜め息を付き、才人はルイズに近付く
「ルイズ」
「でねでねサイトったらねこんな事も出来てあんな事も知っててねそれでねそれでね凄く凄く凄くカッコいいのねハルケギニアで一番カッコいいのもうキャーなのキャーなのキャーなの剣振るわせたらハルケギニアで一番で凄くあったかくて凄く優しくて…」
「ルイズ、ルイズ」
「それでねそれでね………サイト?」
「どうしたルイズ、キョトンとして」
「え、あ、今の………聞いた?」
「何を言ってたんだ?」
「そそそそんな事言える訳無いでしょ! このっ馬鹿犬!!」
「グハッ!?」
ドロップキックをまともに食らい、吹っ飛ばされる才人
「…才人、蹴られる必要が有るのか?」
「……こうしないと、正気に戻らないもんで」
「……苦労してるんだな」
「あれ? 今何時?」
「もうすぐ昼よ、ヴァリエール」
キュルケは呆れながらそう言った

昼食をルイズ達と食べ、教室に戻ると、コルベール先生が才人を探してるのに遭遇する
「ああ、やっと見つかった。才人君」
「何でしょう? コルベール先生」
「ちょっと、ここら辺の事で、意見が欲しいんだが」
図面を広げ、才人に見せる
「これは何でしょう?」
「以前に才人君が言ってたのを、僕のアイデアでまとめたモノでね、蒸気を動力にしようかと」
「成程、蒸気機関か。これ単位は何でしょう?」
「サントだが、問題かね?」
「サントだとセンチと同等か。問題有りすぎですね」
「本当かい?」
「えぇ、先ずこういうのは、メイルの1/1000、サントの1/10が基本単位で、実際に力を発生させる、駆動部分や摺動部等の細かい部分は、更にその1/100を求めるのが普通ですね」
「そんなにかい?」
「はい、それを求める為には、先ず計測器具が必要になります。マイクロメータはともかく、ノギスや計算尺は有りますかね?」
「ノギスと言うのはどういうのだい?」
「ノギスと言うのは」
才人が黒板にノギスを書き出し、各部の説明を始める
「ほうほう、そんな道具が有るのか。流石才人君だな。では先ずノギスの開発からだ。有難う才人君」
メモを取り、コルベールは礼を言う
「いえ、頑張って下さい」
「才人、今のは何だ?」
アニエスが聞く
「昨日言った、科学の一部。どっちかってと工学だけど」
「あれで一部か? さっぱり解らなかったぞ?」
「才人のカガクの話に付いて行けるのは、コルベール先生ぐらいよ」
ルイズが呆れまじりの声を出す
「何と言うか、才人は奥が深いな」

午後の授業の最後、今日は音楽が入る
貴族たるもの、余興程度でも楽器の一つは使えねばというのが目的
担当はミセスシュヴルーズ
其処で初めてアニエスが授業に干渉する
「あの、シュヴァリエ、授業に干渉はしない約束では?」
「ちょっとした余興ですよ。楽器を演奏出来る者に指揮者が居て、更に此処には女剣士です。としたら、どうします?」
「あぁ、ですがあの曲は難しいので、余興にはならないかも知れませんよ」
「それでも構いませんよ。此方も才人に見せられれば良いので」
「まさか、トリステイン一番の剣士のアレが此処で見られるとは」
「やってくれますか?」
「楽しい余興になりそうですわね」
「では皆さん、今日は予定を変更して、この曲を演奏しましょう」
変更した楽譜を皆に渡す
「げ〜、マジかよ」
「俺、これ苦手」
「俺もだ」
男性陣が悲鳴を上げる中、女性陣が歓声を上げる
「嘘、授業でこれやるの?」
「素敵」
ガタタ
同時に二つの席がなり、二人が同時に発言する
「「このバイオリンソロは私がやる」」
タバサとモンモランシーである。顔を見合わせ言う
「「この曲だけは譲らない」」
「二人ともハモらない。それなら二人でやって貰いましょう。誰かピアノは出来ますか?」
「じゃあ、私がやるわ失敗しても許してね」
キュルケが手を上げる
「へ〜、皆楽器使えるんだ、ルイズは?」
「あたしはバイオリンとフルート」
「ソロには手を上げないのか?」
「あれは難し過ぎるもの、あたしにはフルートで精一杯」
「そういえば、前から音楽あったっけ?」
「サイトが午前中とか居ない時にやってたのよ、授業は先生の用事で結構変わるもの」
「ああ、成程ね」
「では、楽器を外に運びましょう。ピアノとか重い物は、全員でレビテーションをかけて下さいね」
「「「はい」」」
楽器が外に運ばれ
広場の一角が演奏場になり、其処に生徒達が譜面を立て用意する
指揮者はシュヴルーズ
そして広場にアニエスがレイピアを持ち、屈んだ状態で両手を広げ、顔を伏せていた
「おい、あれ」
「まさか、見れるのか?」
「はい皆さん、本日はシュヴァリエが余興として参加して下さります。シュヴァリエに負けない演奏をしましょう」
「「「はい」」」
「こりゃ、気合い入るな」
「うっわ、マジ緊張する」
才人は興味津々で何が起きるか見物する
シュヴルーズが指揮棒代わりの杖を振り上げ、キュルケがピアノの伴奏を始める
そして、アニエスがゆっくりと舞い始めた
伴奏から合奏になり、更にテンポが上がる
アニエスは剣を滑らかに弧を描きながら振るい、更に突き、斬り、踊る
剣士としての技量と踊り子としてのリズム感、どちらが欠けてもなし得ない、正に剣の舞姫が其処に居た
そしてタバサとモンモランシーのバイオリンに切り替わり、一気にクライマックスに持って行く
その舞踊は更に激しく、更に剣は美しく
そして、最後は柔らかに、元の位置で伏せた
パチパチパチパチ
才人は本気で感動し、拍手を贈る
それに演奏を終えた生徒達とシュヴルーズも拍手に加わった
歓声も上がる
「スゲー、シュヴァリエ最高」
「アニエスさん素敵」
アニエスは、才人の側により話かける
「どうだった?」
「凄い綺麗でした。本気で感動したよ。で、何て舞踊なんですか?」
「…歌劇イーヴァルディ 剣の舞姫」
「タバサ知ってるのか?」
「…ガリアで知らない貴族は居ない」
「トリステインでもそうよ」
モンモランシーは答える
「ゲルマニアでも有名よ、これ」
キュルケが答える
「へ〜、じゃあハルケギニア中で知れ渡った曲と舞踊なんだな」
「でも踊るのは、一番難しいと言われる曲でね」
アニエスが答える
「何でです?」
「これの始まりは、一人の女剣士が舞踏会の余興で舞ったものって言われててね。剣士の技量が無いと、絶対踊れないんだ」
「なんつう剣士だよ」
才人は呆れる
「実は私がやったのも未完成でね」
「あれで?」
「本来は2刀で舞うのが正式なんだ。その女剣士は、2刀使いだったらしくてね」
「はい?」
「此の舞踊を極めるのに、剣を学ぶ踊り子が居る位だ」
「でも2刀って」
「かじった程度や踊り子じゃ、絶対無理だな」
「あれ? まさか?」
「お、気付いたな、才人。お前さんは通常の剣技の他に、この舞姫を修得して貰う」
「え〜と、必要?」
「踊りとは言え、舞姫は剣士の技量に直結するんでな。これを覚えておくと、色々応用効くんだよ。特に女の場合は、非力さを上手く補正出来る様になってる」
「あの踊りの中に、そんな動きが有るんだ」
「やる前は全員疑うんだが、やった後は確実に腕が上がるんだ。銃士隊の、稽古メニューの一つだぞ」
「そりゃ、やるしか無いか」
「そうそう、お前は2刀修得な」
「はい? アニエスさんでも未完成なのに?」
「2刀使いの自身を恨め、才人」
「あはははは」
才人は乾いた笑いを返す
「音楽はほら、生徒達に頼めば良いし、これなら楽しく練習出来るだろ?」
アニエスが才人に向けて笑うが、どう見てもこれからのシゴキの喜びに満ちている
「その顔は、地獄見せる直前の顔にしか見えないんだけど?」
「当たりだ才人、例の剣持って来い。稽古開始だ」
「…イエッサー」
後に、アニエスには近付くなと言われる様になる、修羅地獄の幕開けであった

*  *  *


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Last-modified: 2012-03-15 (木) 13:09:12 (4417d)

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