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Last-modified: 2010-10-22 (金) 12:17:20 (4927d)

オーク退治した日の宿
繁忙期で無い為か、宿には才人達だけである
「くぁ〜、やっぱり風呂は良いねぇ」
「風呂に入ると上機嫌だぁね、相棒」
「あったり前のこんこんちきだぞ、ちきしょうめぇ」
「そりゃ一体何でぇ?」
「江戸っ子の粋って奴だよ」
「さっぱり解んねぇぞ、相棒」
ガラッ
「あ、才人も入ってたんだね」
「え?ギーシュ、此処は男湯だぞ?」
「今は、宿は僕達だけじゃないか。だから必然的に、こうなるんだけど」
「……そっか」
「才人、背中流して上げるよ」
「あぁ、助かるよ」
「フフッ。才人の背中って広いよねぇ。惚れ惚れしちゃうよ」
才人の背中を洗い、そのまま後ろから抱き締める
「ギーシュ?」
「な・ま・え」
「カトリーヌ?」
「宜しい。だって、テントじゃ僕だけ除け者だったじゃないか。今は独占させてくれよ」
「ん、あぁ」
「才人」
「何だ?」
「僕さ」
「うん?」
「こうしてるだけで、幸せになっちゃうんだけど」
「そうか」
「そうだよ。才人はやっぱり良いよねぇ。ふふっ」
そのままギーシュからキスを求め、才人は応じる
「ん、あはぁ、才人ぉ、好きぃ」
「カトリーヌ」
「なぁにぃ?」
「きちんと洗おうぜ、オークの臭いが落ちて無い」
「…本当?」
「本当」
「嘘っ、大変だ。ラブシーンはお預けだ。隅々迄洗わないと」
「だね」
才人は苦笑した

夕食後、各自部屋に戻ると、ギーシュはきっちりロックをかけ、才人の隣に座る
「ふふふ。今の時間は才人は僕のモノ〜」
「あ〜さっさと寝ない?」
「勿論寝るよぉ。才人の腕枕でねぇ」
ギーシュは、全裸で才人に寄りかかっている
「今日はさ、無茶したから、疲れてんだけど?」
「僕の指揮はどうだったぁ?」
「はなまるです」
「じゃぁ、ご褒美ぃ頂戴」
ギーシュは才人を押し倒し、そのままキスをする
ギーシュは忘れていた
そう、自身よりクラスが上の女性が二人居る事を
「あれ?ロック掛かってるわ」
「アンロック」
カチャ
「タバサ、ありがと。ダーリン、私の美貌で主人からお酒貰って来たわよ。此でぱぁっと、打ち上げやりましょ」
部屋に入ったキュルケ、タバサ、シエスタは硬直し、モンモランシーは頭を抱える
「あちゃー」
「ふうん、ロック掛けたって事はメイジね。何処の雌猫か知らないけど、この微熱、キュルケ=アウグスタ=フレデリカ=フォン=アンハルツ=ツェルプストーが目を付けた男を寝取るだなんて、良い度胸じゃない」
「ツェルプストーの赤き血に誓って、寝取る事は有っても、寝取られる事は無いのよ?この微熱の炎で灰にしてあげるわ。覚悟は宜しくって?」
周りが制止する前に一気に詠唱し、爆炎を放つ
「やば、デルフ」
「おう」
才人はギーシュを突き飛ばし、側に立掛けてたデルフを抜き、爆炎を吸い込む
「あぢぢぢぢぢぢ」
ザパァ
「才人、大丈夫?」
モンモランシーが才人に水を掛け、残り火を一気に消火する
「ちょっとダーリン、何で邪魔するのよ?そいつ、灰に出来ないじゃない」
「良いから落ち着け。そして良く顔を見ろ」
「顔?」
三人が女性の顔を覗き込み、驚きの声をあげる
「「ギーシュ?」」
「ミスタグラモン?」
「そうだよ、僕だ」

3人はギーシュを取り囲む
「さて、説明して貰いましょうか?事によっては、灰にしてあげるわよ」
「僕の家、グラモン家の家風だよ」
「本当ですか、ミスタグラモン?い、いえ、ミスグラモン」
「…モンモランシー」
「本当よ。ギーシュは、小さい頃から男として教育されてるわ」
「何で、学院でも男で通してるのよ?」
「グラモン家の家風だから」
「それ、本当?」
「残念ながら、本当だ」
「武門とは言え、変なしきたりね」
「全くだ。気が付いたら、女装出来なくなってたよ」
「そうなの?」
「うん、スカートとか穿けない。硬直しちゃうんだ」
「難儀ね」
「全くだ」
「で、何時まで逃げてる積もり?」
「やっぱり駄目か」
「良いから答えなさい」
「簡単だよ。僕も才人の事が好き。其だけさ」
「全く、ダーリンの周りは女しか居ないの?」
「あれ?言われてみれば確かに。日本に居た時は、女っ気なんざ無かったってのに。あ、そうだ、コルベール先生が居るじゃないか」
「ミスタは、一緒に行動はあんまりしないじゃない」
「ん〜と、じゃあヴェルダンデ」
「もぐらじゃない」
「フレイム」
「サラマンダーでしょ?」
「シルフィード」
「…女のコ」
「へ、そうだったのか。じゃ、ロビン」
「ロビンも雌よ」
「ギムリ、マリコルヌ、レイナール」
「えっと、誰だっけ?」
「キュルケ、クラスメイト位、憶えておきなよ」
才人は溜め息をつく
「全く、で、何時まで全裸なのよ?ギーシュ」
「此処は僕と才人の部屋だからね」
「タバサ」
こくりと頷き、キュルケとタバサが同時に詠唱を始め、ジャベリンとファイアランスが出現する
「はい、其処まで」
才人がデルフを突き出し、二本の槍を吸い込む
「ギーシュ服着ろ、皆で打ち上げだ」
「才人がそう言うなら諦めるよ」
「ギーシュ、あんた迄才人の言う事しか聞かないの?」
「才人の言葉を最重要にしてるだけだよ」
「全く、困ったもんね」
「キュルケに言われるとはなぁ。あ、そうそう。僕が女だって他の連中には言わないでくれよ。僕が女でいるのは、才人の前だけだ」
ギーシュの眼は剣呑を示しており、キュルケもタバサも息を飲む
とてもドットとは思えない魔力を二人は感知し、頷いた
「解ったわよ。あんたは瞬間魔力は洒落にならないタイプみたいね。そんなの相手じゃ、力が読めないからやりたくないわ」
「僕自身じゃ解らないけど、そんなに出た?」
「…ライン、いやトライアングル」
「へぇ、そんなに出たの5年振りだ」
「5年前にはどれだけ出たのよ?」
「父上の話じゃ、スクウェアらしいよ」
「…絶対に言わない事を、ツェルプストーの赤き血に賭けて誓うわ」
皆も頷いた
「武門の名門グラモン家の血筋は、伊達じゃないのね」
「只の女好きな家系だよ」
「ギーシュの場合は?」
「才人専用で男好きになる」
「モンモランシーはどう思うの?」
「私以外も、ギーシュを知ってくれて、助かったって所かしら?」
「あぁ、そういえば、ギーシュが隣に居たせいで、男が寄って来なかったもんねぇ」
キュルケは笑い始めた
「さてと、気を取り直して、打ち上げだ」
「あ〜ら、まだ尋問は終わって無いわよ。ダーリン」
「その通りですね。ミスツェルプストー」
タバサがこくりと頷く
「ギーシュとは、何処までやったのかしらぁ?」
「そうですね。私も聞きたいです」
「え〜と」
「僕は才人の愛人だよ」
「ミスグラモン?」
「其で良いでしょ?才人は悪くないから、あまり責めないで」
「でも、いきなり愛人って」
「才人の恋人の席は他に譲るよ。僕は愛人で充分だ」
「吹っ切れたみたいね、ギーシュ」
「そうかな?…うん、そうだね」
「ふぅ、やれやれだ」
才人はベッドに腰掛け、酒瓶を一本取るとラッパ飲みを始めた
その才人の膝の上にタバサが乗り、頬を膨らませている
「タバサ?」
「ダーリン、タバサがヘソ曲げちゃったわよ〜。此はもう、朝迄離れないわね」
「ヘソ曲げたのは私もです!!」
シエスタが左に座り、才人の手から酒瓶をブン取り、一気に飲む
「私だって私だって私だって」
その後、やけ酒大会になり、自分達がどれだけ才人に迫ったかの暴露大会になり、才人は針のむしろに座らせられた気分に陥った

「でねでね、私は良く才人さんのお風呂にですね」
「ちょっとシエスタ、そんな事してたの?」
「私なんか、ダーリンを良く部屋に誘うんだけど、中々してくれないのよねぇ。ジグソーパズルやりには来てくれるんだけど。結構楽しいけどね」
「私の所には、本を読みに来てくれる」
「タバサの本って、マダムバタフライの件から?」
「ん」
「私の所は薬と日用品関係ばっかだわ。ベッドでしな作っても、普通にかわすのよ?」
「何だ、皆結構誘ってるんじゃないか。僕が最遅参じゃないか」
「あんたが一番羨ましいわよ、馬鹿」
「「「そうだそうだ」」」

「……俺、何したんだよ…」
「相棒は本当に女難だぁね〜」
デルフはカタカタ笑い、自身の相棒のモテっぷりを楽しんだ

*  *  *
「ふぅ、皆呑んだなぁ」
才人が目覚めると、タバサがガッチリ掴んで才人の上で寝ており、シエスタが左隣で寝て、ギーシュが右隣で寝息を立てている
キュルケとモンモランシーは、床で潰れていた
「本当にキュルケの言う通り、片時も離れなかったな」
タバサの行動に苦笑しつつ、皆を起こすかどうか迷う才人
「ちっこい嬢ちゃんが、一番想い強そうだな」
「俺が知らないもん、背負ってんだろうな」
「相棒、解るのか?」
「いんや、只の憶測。ガリアの騎士って事は、半端じゃない仕事して来たんだろうなって、思っただけさ」
「そんだけ解れば、上等だと思うがね」
見るとタバサが目を覚まし、才人を見ている
「済まない、起こしちゃったか」
ふるふる首を振るタバサ
「良く寝れたか?」
コクリ
「…ルイズが、羨ましい」
「そうか?」
「才人と、一緒に寝られる」
「そんなに良いのか?」
コクリ
「…暖かくて、安心する」
「じゃ、今の内にたっぷり味わえ」
「大丈夫、サイコロは得意」
「ほぅ、皆をハメたな?タバサ」
タバサは才人の胸に顔を伏せ、表情を隠そうとするが、含み笑いを才人に見られる
才人は指でタバサをツンツンとつつき、タバサは身体を震わせ、笑いを噛み殺した

*  *  *
「ったく、外れでも魔獣や亜人は出るんだから、参っちゃうわよね」
「ま、お陰で良い練習にはなってるよな。あんまり殺すのはしたく無いけど」
「才人、一度相対した相手は敬意を持って、全力でやらないと。生死は結果だよ」
「ギーシュは流石武門だな。俺はまだ、其処まで達観出来ないや」
ぼこり
突然土が盛り上がり、全員が身構える
「あれ?ヴェルダンデじゃないか?」
ひくひく鼻をひくつかせ、才人を見付けると才人に大い被さる
「相変わらず、主人の僕より才人優先なのかい?僕はとっても悲しいよ」
「何だ?仲間に入れて欲しいのか?」
コクコク頷き、更に毛皮の中から、蛙が飛び出し才人の顔に引っ付く
「おわっ!?ロビン迄」
「しっかし、良く見付けたわねぇ」
モンモランシーが言うと
「クエッ」
ロビンが何かジェスチャーを始める
「ちっと解り難いな、イエスノーでやるか?」
ロビンが頷く
「匂いで追ったのか?」
首振り
「およ?ならどうやって?」
「まさかロビン、計画を話したのを憶えてて、検討付けて来たの?」
頷く
「其でこちらの移動と考慮して、先回りした後、大体近く迄来たら、後は匂いか?」
頷く
「……大したもんだ」
「私もびっくりだわ」
「ロビンさん、凄いです」
「私のフレイムも良いけど、ロビンって頭良いのねぇ」
「シルフィード、負けてる」
「きゅいきゅいきゅいきゅい!?」
「こりゃ、置いて行けないな。ロビンはモンモランシーの薬入れポーチに専用席があったっけ?」
「勿論有るわよ。来なさいな、ロビン」
ロビンがモンモランシーに飛び上がり、モンモランシーが受け止め、ポーチに入れる
「ヴェルダンデはどうすっかな?」
才人が言うと、ギーシュが思案した後、答える
「空中移動時以外は、地中移動で良いかな?ヴェルダンデ」
ヴェルダンデは頷く
「良し、2体参加でパーティー強化だ。行くぞ」
「「「「おー!!」」」」

洞窟に前に立つ5人
シエスタ達は外で待機である
「今回は何が出るかね?」
「獣臭だね」
「どういう魔獣やら」
「…コボルト」
「私もそう思うわ、ダーリン」
「どういう連中だ?」
「犬型の亜人ね。頭は犬並。コボルトシャーマンが居たら要注意よ。先住魔法を使ってくるわ」
「わんころ相手か。集団戦が得意そうだな」
「解るの?ダーリン」
「犬と言えば群れだからね」
「当たりよ」
「そうか」
「気配消すぞ、サイレンス頼む。封鎖解除の合図はこのサインね。今回は俺が指揮する」
コクリと全員頷き、タバサがサイレンスをかけ、歩き出す
才人が先頭をきり、他のメンバーと多少距離を取る
折れ曲がった角を曲がった瞬間、コボルト二体と相対し、才人は村雨に手をかけ抜刀、霧を撒きつつ二体を瞬時に斬り伏せる
その抜刀の速さに、皆が度肝を抜かれる
才人が先に行く合図をし、更に奥に進む
稽古により、五感を研ぎ澄ませた才人には、警戒した連中が息を潜めて待機してるのを感じ、封鎖解除の合図を出す
タバサが解くと直ぐに才人は怒鳴った
「封鎖解除!!ライト頼む!!破壊力を調整!!火炎系は酸欠に気を付けて使え。出来るだけ使うな!!」
「解った。私がライトする。ギーシュ、タバサ頼むわよ」
キュルケがライトを唱え、洞窟に明かりが灯されると、数十体のコボルトがひしめきあい、警戒の唸り声を上げている
「ギーシュ、ワルキューレで戦線を支えろ!!タバサ援護!!モンモン、ロビン全方位警戒、行くぞ、デルフ!!」
「おぅ!!」
才人はデルフを抜き、襲いかかって来たコボルトの群れに、単身飛込み、出会い頭の一体を斬り伏せ、隣のコボルトを横に薙払う
「ぎゃわん!?」
悲鳴を上げつつ倒れるコボルトを無視し、次の獲物を捕捉し、既にデルフを叩き付ける
「タバサ、才人の背中を!!僕のワルキューレじゃ遅い!!」
ギーシュがワルキューレを展開しつつ、タバサに言い、タバサは頷きブレイドを展開、身体に風を纏わせ、一気に才人の背中に詰め、才人の背後に回り込もうとしたコボルトを斬り伏せる
「デルフ、何で警告しねぇ?」
才人が前方のコボルトを斬り伏せつつ尋ねる
「ちっこい嬢ちゃん来てたからな」
ザッ
才人が前方にデルフを構えた姿勢でコボルトを威嚇し、その背中にタバサが背中を預け、ブレイドを構える
「ワルキューレは?」
「もう少しかかる」
「しゃあねぇ。二人で暴れるぞ。俺の間合いに入るなよ?」
村雨を抜きつつ才人は言い、タバサは頷く
この日のコボルト達には、正に災厄の型をした人間が、襲い掛って来た
ダッ
才人が先行し、二刀で複数のコボルトを斬り伏せ、タバサがその他のコボルトを斬り、付いて行く為に駆ける
その頃、ワルキューレ達がやっと到着し、討ち漏らしを仕留めつつ、戦線を押し上げる
才人に比べ、与しやすいと判断されたか、タバサに一気にコボルトが殺到する
タバサが反撃する前に才人が間合いに入り、コボルト達を斬り、タバサは才人の横を迂回し、コボルト達を横撃する
そして相手が引いたら今度は二人で逆方向に飛び、左右から圧力を掛け、一気に斬り伏せる
二人の攻撃は、音楽が其処で流れているかの様に流麗で、舞踊と見まごうばかりだ
但し、舞う度にコボルトの悲鳴が付く訳だが
「うわぁ、二人で踊ってるわよ」
「こういう時は、風使いが羨ましいって思うわよねぇ」
「……僕も頑張ってるのに」
「大丈夫よ、ギーシュ。あんたが討ち漏らしを仕留めてくれてるから、私達は此処でのんびり出来るのよ。今回は洞窟内のせいで、私、使用制限されちゃったし」
「そうよね、才人の指示も的確だし、其をきちんと実行してるんだから、誇って良いわよ。ロビン、後ろは大丈夫?」
コクコク頷くロビン
「あの二人のリズム。舞姫だわ」
「あぁ、だからあんなに呼吸合ってるのか。シュヴァリエの稽古って、本当に役に立つんだねぇ。僕も稽古して貰おうかな?」
「ギーシュじゃ、死ぬんじゃない?」
「…否定出来ない所が嫌だ」
「でも、あいつら、逃げ出さないわね」
「出入口を、私達が押さえてるからじゃない?」
「狩りに出てる連中が、居たらどうかしら?私達に聞こえない声、持ってた様な?」
「可能性は有るわね。かなり大きい群れだし」
「ロビン、後方警戒厳にして」
ロビンはコクコク頷く
「クエッ」
モンモランシーは振り返る
「…ビンゴ」
「参ったわね。ダーリン、挟撃よ」
「何!?タバサ、戻るぞ!!」
「礫よっ!!」
石礫がタバサと才人を襲い、とっさに才人がタバサをかばい、背中で受けつつ身体を丸める
ビシビシビシ、ゴン
「あだ、頭の分が痛ぇ」
「嬢ちゃん、悪いがブレイド吸わせて貰った。相棒が傷ついちまう」
「…才人」
「大丈夫だ。ライディングジャケットは軽鎧だ。此位は屁でもない」
「でも、脚と頭。血が出てる」
「伝説の使い魔は、この程度じゃやられないさ。ギーシュ、ワルキューレ二手に分けられるか?」
「解った、此方に2体残して、後衛に回す。才人、頼むよ」
「駄目ね、向こうも取り込み中よ。私達でやるしかないわ」
「私、攻撃嫌なんだけど?」
「そんな事言ってたら、全滅よ」
「そうよね。仕方ないわ。思い切って引き付ける。討ち漏らし宜しくね」
モンモランシーが詠唱を始め、完成するとコボルトの死体から、血液が無数の水滴となり中に浮く
吠えながら突撃してきたコボルトの群れをぎりぎり迄引き付ける為、機を図る
「キュルケ、タイミングお願い」
「任せなさい。まだよ、まだ、もう少し。今だ、ファイエル!!」
洞窟と云う閉鎖空間内では、回避出来る場所が無い
モンモランシーのウォーターバレットはドットで有りながら、最大の効果を発揮し、一気にコボルトの群れを撃ち抜き、悲鳴が上がる
「ヒュ〜ッ。ブラッディレイン見れちゃった」
「それ、水使いには不評なんだけど?」
「炎使いからの賛辞よ。受け取りなさい」

「邪悪な人間共め。我が眷族を屠りおって」
骸骨を頭に乗せたコボルトが2体、姿を現す
「親玉御登場か」
「我等の巣に何の用だ?」
「あ、ごめん、荒らしちゃった?此方は、宝探しで入っただけなんよ」
「宝探しで他種族を屠るか。傲慢な人間共め」
「うっわ、その通りだから、何とも言えんわ」
「差詰め我等の秘宝土精魂が目当てだな?」
「お宝も有るのかい」
才人は苦笑すると、タバサが首を振る
「違うのか?タバサ」
「コボルトは人間の敵。奴らの神は人間の犠を要求する」
「へ〜。そうなのかい?シャーマン様」
「その通りだ。我が眷族の魂に報いる為にも、お前の肝を捧げさせて貰おう」
「まぁ、肝臓だったら、1/3位ならくれてやっても良いけど。再生するし、水メイジ居るし。此で手打ちって事で」
「…」
タバサが無言で才人をぽかぽか叩く
「シャーマン様、却下されちゃいました。残念だけど、どちらかの死で決着だぁね」
「…変な人間だな」
毒気を抜かれた体で、コボルトシャーマン達は答え、構える
「良く言われるよ」
才人は村雨とデルフを収め、自然体になり、左手のみ村雨に触れる
「人間、精霊の力を舐めてるのか?」
「いんや、舐めてないよ。口語詠唱なんだろ?だから、最速の構えになってるんだが?」
「ふん、なら死ね。我と契約せし…」
コボルトシャーマンが唱え始めた時には、才人が一気に間合いを詰め、抜刀
霧が舞い、才人の左手のシャーマンが袈裟掛けに斬り上げられ、真っ二つになり、返す刀で、そのまま右手のシャーマンの首が跳ねられた
「…ハヤスギル」
左手のシャーマンが斬られながら喋り、血を吐き動かなくなった
ぶんっ、チン
血を払い、村雨を収める
「何か、悪い事したなぁ」
才人はコボルト達に片手で拝む
「才人は優しいね」
ギーシュが答える
「いんや、ちょっと偽善入ってる。仏になった奴は、皆平等さ」
「其が日本の死生観かい?」
「そういう事」
「ダーリン、此方も掃討完了よ」
「良し、お宝が有るらしいから捜そうぜ」

更に奥に祭壇が有り、其処を中心に探す
「ギーシュ、どうだ?」
「多分此だ、土石だね」
「お宝か?」
「精霊石の一つで、土メイジにはお宝だね。ゴーレムや錬金の材料になる」
「それじゃ、頂きましょ。俺ら、完全に押し込み強盗だなぁ」
「コボルト相手に同情するの?」
「自分達がやられたら嫌だろ?」
「確かに」
「どうしても…な」
才人の言葉に全員思い思いに祈りを捧げ、洞窟を後にした

「皆さんお帰りなさ〜い」
「ただ今、シエスタ。此方は大丈夫だった?」
「あ、駄目です、才人さん」
「おわっ!?」
ズドン
「あたたた」
「ヴェルダンデさんが、落とし穴掘ってたんですよ。私達の周り全部」
「あらま、どうやって渡るの?」
「シルフィードさん、お願いします」
「きゅい」
シルフィードがフレイムとシエスタを乗せ、軽く羽ばたきキュルケ達の側に来る
すると、ヴェルダンデが土から顔を出した
「流石、僕のヴェルダンデ。偉いぞ」
ギーシュがヴェルダンデにキスをすると、皆が引くつく
「お〜い、そろそろ引き上げてくれ〜、上がれん程深いわ」
「じゃ、行きましょうか皆」
「そうですね。ミスモンモランシ」
皆で、スタスタ歩き出す
「え、ちょっと、待ってくれ〜」
「ダーリンなら大丈夫よね」
「僕もそう思う」

「…相棒、置いていかれたぞ?」
「どうやって上がるよ?此?」
「俺っちは知らん」
「なら、お前使ってやるよ」
デルフで壁面を掘り、取っ掛かりを作り、登り出す
「俺はシャベルじゃねぇ!!」
「うるせぇ!!黙れ、万能工具!!」
才人が皆に追い付くのに、少々時間が掛った

*  *  *


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Last-modified: 2010-10-22 (金) 12:17:20 (4927d)

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