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Last-modified: 2011-02-18 (金) 12:20:57 (4815d)

翌日、アニエスが学院にまたやって来る
才人は何時もの如く、洗濯物を干している
「来たぞ、才人」
「やあ、アニエスさん」
「済まんが、先ずは王軍から依頼だ」
「依頼?」
「ああ、零戦に載っけてた武装を、竜騎兵用に搭載可能に出来ないかと」
「……出来るけど、軍用だと量産するハメになる。言っておくけど、材料選定が並じゃない。鉄に強い土メイジか、軟鋼レベルの製鉄が出来る高炉持ちのメーカーと取引する必要が有る。量産するなら断然後者」
「更に言うと、ハルケギニアの冶金技術は非常に低い。長口径砲ですら、鋳鉄だった。軟鋼が作れるとはとても思えん」
「な、あれだけで、そんなに技術レベルが違うのか?」
「あぁ、ついでに言うと度量衡も足りない。新しく単位を重力単位系で構わないから、大量に作る必要も有る」
「単位が足りない?」
「そう、サントじゃ大雑把。リーブルは使い勝手が悪い。熱量単位も圧力単位も温度も無い、何もかにも足らないんだ」
「おまけに単位を覚え込ませて図面通りに鍛冶師に作らせ、錬金で融合する必要がある。とてもじゃないが、其だけのバックボーンが、トリステインに有るとは思えない」
アニエスはガクリと落ち込む
「そんなに大変なのか」
「俺は全部単位を自分の中に持ってるから加工出来る。でも他の連中じゃ戸惑うだけだな。一から教育しないと駄目。当然、読み書き出来ないなら論外だ」
「つまり、魔法だけじゃ無理だと?」
「そもそも貴族が何人居るかも知らないんだが?」
「大体人口の5%って言われてるが、正確な数は不明だ」
「じゃ、無理。断言しちゃる。たった5%で国を維持しようと考えてる時点で、無謀極まりない。貴族ってどれだけ有能なのよ?たかが魔法使えるだけじゃねぇか」
アニエスは呆れる
「貴様だけだぞ?そう言うの…」
「一番必要なのは、底辺からの底上げだ。技術的な事はともかく、普遍的な事迄、一部の連中が独占しても意味が無い。だから進歩が低い。ま、為政者側には都合が良いだろうな」
「…貴様はピンポイントに問題点を指摘するな」
「ま、戯言と思ってくれ。で、量産はともかく、試作で良いのか?」
「あぁ、テスト用だからな」
「ふむ、じゃあコルベール先生に聞いてくれ。次弾を製作中だ」
「解った」
アニエスが研究室に行き、首をすくめて追い出される所に、洗濯物が干し終った才人は遭遇する
「どうしたの?」
「軍には協力しないとさ」
「ふぅん」
「才人はどうなんだ?シュヴァリエ拒否の件で、否定的なのは解るんだが」
「俺は、ハルケギニアの人間が開発して発展するなら、構わないと思ってる。進歩する道も閉ざす道も、自ら選択するなら、どちらでも構わない」
「なら、手を貸せ」
「反則技だと、言ってるだろう?アニエスさんは行き着く先が見えないから、気軽に言えるんだ。選択権を持ってるのは、コルベール先生だ」
「…貴様は一体何を見てるんだ?」
「多分、アニエスさんには解らん事だよ」
「……ふぅ、何とかもう一度説得する。付き合ってくれ」
「見てるだけだぞ?」
「構わない」
ガチャッ
二人して入ると、コルベールは才人に挨拶し、アニエスには厳しく接する
「やあ才人君、おはよう。シュヴァリエ、先程お断り申し上げた筈だが?」
「おはよう先生。俺は見物だ。好きに議論してくれ」
「才人もこう言ってるし、続けさせて貰う。女王陛下の御下命だぞ?女王陛下に盾付く気か?」
「さて、私は只の教師でしてね。王軍に提供出来るモノなど、持ち合わせておらぬのだが?」
「有るでは無いか?」
アニエスが製作途中のロケット弾頭を指す
「此は才人君が譲り受けた竜の羽衣、いや零戦ですな。その武装なので、才人君に許可なく渡す訳にはいきません。公式文書以外にも、噂は此方迄来てますよ。才人君はわざわざ決闘して迄、シュヴァリエ拒否してますね?協力する気が無い事の証では?」
「その才人の言い分だ。ハルケギニアの人間同士が頭を捻り開発、発展するなら、口を出す積もりは無いと。つまり、今回の件は才人は口を出さない。ミスタコルベール、どうか協力してくれ!!」
「…本当かね?才人君」
才人は頷き、先を促す
「では、私が決定権を持ってるのですか。何故ですか?才人君」
聞かれたので、才人は口を開く
「…俺は、ハルケギニアの人間じゃない。ハルケギニアの発展をさせるのは、ハルケギニアの人間じゃないと駄目だ。そして、発展の道を拓くも閉ざすも、酸いも甘いも経験した人間がするべきだ」
「……じゃあ才人君、更に質問だ。私がウィと言えばどうなる?」
「航空戦術に一大転機が訪れる。戦列艦が無力化するね。更に死と破壊を撒き散らしつつ、文明が一歩進歩するだろうね」
「……ノンと言えば?」
「この零戦と同じく、一過性の物で終わり、進歩の道を自ら閉ざす事になる。どちらを取るのも自由だ。俺は強制しない」
コルベールは才人の言い分に、青くなりながら更に問う
「……才人君、君は悪魔かね?」
「メフィストフェレスと呼んでくれ。コルベール先生の夢は?」
「火の力で、人々を幸せにする事だ。決して、破壊を撒き散らしたい訳じゃない」
才人は壁に寄りかかりながら、腕を組み目を閉じて言う
「俺に取っちゃ、発展と破壊は同義だよ。何故なら、破壊出来る力が、人々を幸せに出来るからだ。先生が知らないとは思えない。ベクトルが違うだけだ」
「……そ、それは」
とうとう、ガクリとコルベールは膝を付く
「先生は、何でガンダールヴのルーンが武器として製作されて無い物に迄、反応するか解るかい?」
「そりゃ勿論、使うと人を殺傷出来るからだろう?」
「今のが答えだよ」
「「あっ!?」」
コルベールはおろか、アニエスも気付く
そう、人を殺傷出来る道具こそが、人を幸せに出来る
何故なら、其を体現してしまうのが、使い魔ガンダールヴのルーンだからだ
「縫い針、包丁、ハンマー、鋏に鉈に錐に鐫、鍬に鎌に鋤、更に鋸。無くて生活出来るかい?全部、人殺せるぜ?」
「……」
「ま、ゆっくり考えてくれ。アニエスさん、行こう」
「あ、ああ」
パタン
才人とアニエスが去ると、コルベールは苦悩する
「才人君。君は本当に………悪魔だ。私の原罪を………知らずにえぐり出す」

ザッザッ
二人は稽古の為、広場に向かう
「…良かったのか?」
「きちんと考える時間が必要だ。アニエスさんは、国所か歴史にすら残すレベルの、重圧の選択に耐えられるかい?」
「…勘弁願いたい所だ」
「コルベール先生がやってるのは、正にそれ。即決で決められる訳が無い」
「本当に悪魔だな、貴様」
「異端だもの。悪魔扱いは誉め言葉にしかならん」
「……全くお前は。さて、久し振りに稽古と行くか。持って来てるな?」
「ごめん、忘れた」
聞いた瞬間、アニエスは才人に踏み込み、抜剣する
「ふん!!」
ザン!!キィン!?
「でぇ!?おっかねぇ!?」
何とか村雨で受けきる才人
「糞、直刀じゃ確かに無理が有るな」
「居相コピったな?」
「何度も見せて貰ったからな。運足が独特だから、苦労したよ」
「……嫌過ぎる」
「速く持って来い」
「イエッサー」

*  *  *
稽古をしながら午後になると、シエスタが才人に走り寄って来たので、慌ててアニエスの木剣を叩き落とそうとし、逆にしこたま叩かれる
ブン、ガン!?
「あだっ!?」
「いきなり大振りするからだ、馬鹿」
「ててて」
たたた
「才人さん、大丈夫ですか?」
「シエスタ、才人の自業自得だから放っておけ」
「ですけど」
「良いの良いの、アニエスさんが正しい」
「はぁ、所で出来ましたよ。昨日と今日休んで、仕上げました!!」
「お、有り難う。アニエスさんの分はある?」
「はい、持って来てます」
上下一着分のセーラー服を受け取り、アニエスに渡す
「はい、プレゼント」
「水兵服?私は水兵じゃないぞ?」
「いやいやいやいや。それはね、俺の国の魅了の魔法が掛ってる品物なんよ」
「…本当か?」
胡散臭げにアニエスはセーラー服を見る
「まままま、ちょっと着てみてくれない?」
「シュヴァリエ、騙されたと思って、着てみて下さい。ちょっと、私の部屋迄行きましょう」
シエスタに手を引っ張られ、アニエスは引きずられて行く
「な、ちょっと待て、私はまだ着るとは一言も」
才人は引きずられて行くアニエスに軽く手を振り、ニヤニヤしながら見送った

アニエスはシエスタの部屋に連れて来られ、シエスタに強引に脱がされようとしている
「あ〜、シュヴァリエ、制服に穴空いてますよ?こんなので才人さんの前に出てたんですか?」
アニエスはどもる
「私は繕い物が苦手で」
「じゃあ、私がやりますから、ちゃっちゃと脱いで下さい。代わりにセーラー服着れば良いです」
問答無用なので、アニエスは仕方なく制服を脱ぎ、セーラー服を着る
「ちょっと、スカートがひらひらして動き辛い」
「うん、サイズぴったり」
姿見で確認して顔を赤らめるアニエス
「……ちょっと待て、何か色々際どくないか?」
「才人さんの国の魅了の魔法ですよ?」
「…才人は、こういうのが好きなのか?」
鏡の前で、後ろを振り向くアニエス。すると裾が広がり、臍がチラリと見え、更に赤面する
「えぇ、大好きですよ。もしかしたら、ご褒美貰えちゃうかも」
「ご褒美って?」
「勿論キャッキャッな奴です」
「……解った。少し恥ずかしいが行ってみるか」
アニエスは決意して部屋を出ると、シエスタはアニエスの制服を繕いに掛った
「えっへっへ〜。私の旦那様はモテモテの旦那様〜。私は旦那様のお世話が、生き甲斐の女のコ〜♪」
才人に受け入れられ、気分が良いシエスタは、鼻歌を歌いながら針糸をリズムに乗せて、動かし始めた

才人がベンチに座ってのんびり空を眺めて待っている
傍らには、デルフを立掛けている
「相棒」
「何だよ、デルフ」
「最近シリアス続いたから出るの躊躇してたんだけどよ、俺っちとも遊んでくれよ」
「お前はガキかよ?」
「だってよ〜、鞘に居っぱなしってのも、辛いんだもんよ。バトルの時しか相手してくれねぇんじゃ、つまんねぇじゃねぇか」
「大事な時に裏切る癖に良く言うわ」
「色事嫌いなんかよ?相棒」
「いんや、大好きだ」
「なら良いじゃねぇか?」
「メイジ相手は命がけなんだよ」
「相棒なら上手く渡れるさね」
「ったく、お前は無責任に炊き付けやがる」
ふぅと溜め息を付く、才人
「そんなに暇なら、毎日包丁として使ってやろうか?」
「あ、いや、勘弁です。はい」
「今度、丸々牛一頭仕入れるらしいからな、マジでマルトーの親父さんに頼まれてんだが?」
「俺っち使って解体か?」
「そういう事」
「村雨使えよ」
「村雨だと、水気が付くから駄目なんだよ」
「俺っちは剣であって包丁じゃねぇって」
「どっちも変わんねぇよ」
「勘弁してくれよ、相棒」
「道具の癖に仕事選ぶな。使われるだけ幸せだと思え。また武器屋の片隅で、何百年と過ごしたいか?」
「そいつはご免被る。俺っちの行く末は、相棒のガキんちょ共の遊び相手って、決めてんだ」
「勝手に決めんな」
「いいや、決めたね。俺っちは相棒の血筋を見て行くのが、楽しみでしょうがねぇんだ」
「血統の語り部兼守護剣か。剣ならではの楽しみだな」
「おうよ。面白れぇだろ?」
「まあ、無限に近い寿命じゃ、それ位しか楽しみねぇもんな」
「相棒だからおもれぇんだよ。つまんねえ連中は、腐る程見てきたわ」
「お前は何が面白いんだ?」
「相棒そのものだぁね」
「……変な剣だな」
「だって、こんなにメロメロにされたのに、いつ結婚してくれるの?」
図太い声を裏返してデルフは喋る
「ふ、将来なんざ誓った覚えは無いな」
「ひ、酷い。何言われても付いて行っちゃうからね、覚悟してよ!!」
「……何をやってるんだ?」
アニエスが近寄って来たのを、全く気付かなかったらしい
「何時もの漫才だけど……」
才人はアニエスを見て絶句する
鍛えぬいた太ももは眩しくすらりと伸び、ミニスカートの上は臍がチラリと見えそうで見えない、魅惑的なゾーンを形成し、胸がセーラーを押し上げ、先端のぽっちが微かに盛り上がっている
アニエスの髪は短いながら綺麗な金髪で、才人はぐうの音も出ない
「ど、どうだ?似合ってるか?」
こくこく頷く才人
「相棒が見惚れて、声も出ないってよ」
アニエスは気分を良くし、くるりと回ってから喋り出す
「嫌、最初は才人の頭が沸いたかと思ったんだが。そうか、似合ってるか」
「「「おおお〜〜〜〜!?」」」
いつの間にか放課後になり、マリコルヌ、レイナール、ギムリ他、男子生徒が駆け寄りアニエスを凝視する
「ななななんだ?」
「「「「ななななんたるけしからん衣装なんだぁぁぁぁぁ!!」」」」
「はぁ?」
アニエスが怪訝な顔をする
「アアアアニエスさん。あの、前から良いなって思ってました。つつつ付き合って下さい!!」
ベンチに置いてた木剣で、レイナールの脳天に叩き込む
ボグッ!!
「こんなのも避けられないガキは趣味じゃない」
「じょ、女王様と呼ばせて下さいいぃぃぃぃ!?」
マリコルヌが飛び込み
ボグッ!!
「一昨日来な」
「あの、シュヴァリエ僕も一緒に訓練…」
ボグッ!!
「一撃でやられるな、アホウ」
そんなこんなで、男子生徒の屍が、アニエスの周りに高く積まれていく
才人は其を見て笑い転げる
「ぷっ、くっ、あっはははははは!?想像以上の破壊力。クククク。駄目だ、腹痛ぇ」
「才人……一体なんなんだ?」
「俺の国の魅了の魔法の威力は凄いだろ?」
「全く、こんな事やらせてからに」
アニエスは赤面する
「んじゃ、そのまんま稽古しますか」
「ちょっと待て、こんなひらひらな格好でか?」
「敵は待ってくれないんでしょ?アニエスさん」
笑いながら才人が立ち上がり、構える
「くぅぅぅぅ、私で遊ぶな!?」
真っ赤なまんま、アニエスも構える
「「はぁっ!!」」
ガキッ!!
剣を交えた瞬間、お互いに笑みが凄惨な物になる
「貴様、今日は足腰立たなくしてやる!!」
「そりゃ、別の意味でかい?」
「言ってろ!!」
木剣を振る度にセーラーがふわりと舞い、スカートがひらりと舞う
そして、お互い構わずに斬撃の応酬
季節は初夏だ。当然激しい運動をすると大量に汗をかく
一気にアニエスの身体から汗が吹き出し、セーラーが身体に張り付いて行く
胸から何から、くっきりと形を主張し、非常にエロティックだ
才人はそのままアニエスを茂み近くに攻めたて、茂み前でわざと鍔競り、一気に足を引っ掛け茂みの中に押し倒す
ドサッ
「くそっ」
才人はそのままアニエスの両手を掴み、話かける
「アニエスさん、今自分がどんな格好してるか見てみ?」
アニエスが下を見ると、乳房から乳首から身体のラインから全て汗でくっきりと出ている
「あっあっ、いや」
アニエスは赤面し、女の顔になる
「今のアニエスさん、エロすぎ」
才人はそのままアニエスの股に膝を入れ、股を割り、アニエスの両手を頭上で片手で押さえ直し、片手でズボンを下ろし、最後の武器を露出させる
そのままアニエスのスカートを捲り上げ、ショーツを見ると際どいレースがあしらわれた下着が現れる
「もしかして、勝負下着?」
アニエスは更に顔を赤くし、そっぽを向く
「声出しちゃ駄目だからね〜」
そのショーツをずらし、一気に挿入する
「ん、ひっ!?」
ズッチュズッチュ
才人が動く度に腰を自ら打ち付け脚を絡める
才人は手の束縛をしたまま、アニエスにキスをすると、アニエスは首を必死に才人に合わせる為、持ち上げる
ズチュズチュ
汗と愛液で音がなり、アニエスの身体からそろそろ来そうな所で才人は離れる
「あ…何で?」
アニエスをゴロンとうつ伏せにし、アニエスの尻を持ち上げるとショーツをずり下ろし、また挿入する
「ひっ!?」
アニエスが必死に口を手で押さえ、才人が覆い被さり、胸と腰を掴む
「出すよ」
才人がアニエスの耳に囁き、アニエスが頷き、才人が射精すると、アニエスも絶頂し、痙攣する
ビクッビクッ
暫くそのままで居ると、アニエスから腰をうねらせる、催促だ
「後一回だけな」
囁かれたアニエスは頷き、そのまま腰を振り始め、あっさり二回目の絶頂を迎える
「ん゛〜〜〜!?」
才人は絶頂中のアニエスに構わず腰を振る
ズチュズチュズチュ
「ん゛ん゛ん゛〜〜〜!!」
ドクン
才人が二回目の射精をきっちり奥に繋げた状態でやり、アニエスは絶頂のし過ぎで暫く動けない
「ごめん、アニエスさんエロすぎで、我慢出来なかった」
「はぁ……何時からこちらの稽古も入ったんだ?」
「良かった?」
「………最高だ。無理矢理されるのも良いな」
お互い後背位のままのピロートーク
才人はゆっくり腰を動かし、アニエスも応じている
「お前はセーラー服に欲情するのか?」
「そんな訳無いじゃん。アニエスさんが余りにもエロかったから欲情したんだよ」
「お陰で埃だらけだ」
「プレゼント気に入った?」
「あぁ。けど、稽古じゃもう着ない。お前以外に、あんな格好見せられるか」
「めちゃめちゃエロいもんな」
「ふふ。お前の趣味もあれだな。この変態」
「誉めてくれて有り難う」
アニエスからキスを要求し、才人は唇を重ねた

*  *  *
アニエスは手拭いで汗を拭き取り、着替えると乗馬訓練に切り替え
一足先に森に向かったモンモランシーを追い掛け、徒歩で森に入り訓練を行った後、モンモランシーをアニエスに任せ先に戻り、シエスタからセーラーを受け取り、皆に渡す事にする
ベンチに座ってまったりしている
「キュルケ、タバサも居るのか」
「なぁに?ダーリン」
キュルケは才人から声を掛けるとしなだれ掛って来る
「おいおい」
「別に構わないじゃなぁい……さっき、シュヴァリエとしてたでしょ?」
耳打ちされて、才人は冷や汗をかく
「……見てた?」
「私だけよ。黙っててあげるわ」
「助かる」
お互いに耳打ちで話す
「でも、見返りが欲しいかなぁ?」
キュルケはにまにましながら才人に催促する
「そうだ、二人にプレゼントあったんだ。はいこれ」
才人はセーラー服を二人に渡す
「あら、さっきシュヴァリエが着てた水兵服?」
「魅了の魔法の威力は、さっきの通り」
「ダーリンが思わずしちゃう位?」
「…場合によっては」
「タバサ……着る?」
キュルケがタバサに問いかけると、タバサはこくんと頷く
「二人が着ると、違った魅力が出るだろうなぁ」
「ダーリン……本気?」
キュルケはやや渋面をしている
「本気本気、俺の国での学生の衣装なんよ、これ。つい懐かしくてさ」
才人が説明すると、やや不機嫌だったキュルケも納得する
「だから皆に同じ物なのか。ちょっとムカついたけど、そういう理由じゃ仕方ないわね。着てあげるわ」
キュルケは受け取ると、ひらひら手を振る
「明日を楽しみにしててね、ダーリン」
「ああ、楽しみにしてるよ」

モンモランシーが、そんな三人に近付いて来る
「あら、才人。セーラー出来たのね」
「お、モンモンにも渡すよ。はい」
「そんなに良いのかしら?これ」
モンモランシーはセーラーを受け取ると、怪訝な表情をする
「ダーリンが暴走しかねない効果有るわよ」
「キュルケ、本当?」
「本当」
「じゃ、着る」
「そう言えば、アニエスさんとギーシュは?」
「アニエスさんはもう帰るって、ギーシュは見てないわね。部屋かしら?」
「そっか、研究室に顔出してから寄ってみるわ」

*  *  *
「先生失礼します」
ガチャッ
才人が部屋に入ると、コルベールは渋面である
「才人君」
「なんすか?」
「何で私に、あんな選択をさせるんだ?」
「科学を知り、ハルケギニアの社会を知る人物は、コルベール先生だけだからです」
「才人君じゃ駄目なのかい?」
「駄目です。私意的判断が多分に入る。政治体制すら、ひっくり返しかねない。本当の意味で、俺はハルケギニアの根本が解ってない。所詮、間借りの知識です」
「……だからか。私には正直、荷が重い」
ギシ
コルベールの椅子が軋み、机の上で肘を付き、両手を組む
「じゃあ、今までの研究成果、全部捨てて下さい。出来ますか?」
「出来る訳無かろう」
コルベールは即答し、今まで考えてたモノを語り出した
「政治とは、時に何の罪も無い人間を虐殺するものだ。新しい玩具を与えた場合、使う誘惑にかられない訳が無い」
「その通りですね」
「だが、普遍的に広がれば、結局大砲となんら変わらない手段になるのだろう?」
「その通りです」
「だが、だからこそ、進歩すると、才人君は言うのだな?」
「はい。技術開発と軍事を完全に切り離すのは難しいです。切り離す事が出来るのは、他国にやられない保証が有る程度出来た時のみです。俺の国の様にね」
「才人君の国では切り離す事が出来たのか?」
「同盟国に軍事を丸投げしました。結局変わらない事になります」
「つまり、完全には不可能と」
「そうです。完全に民生でも、敵対国に出した場合、軍事転用出来る物が大量に有りました。輸出規制掛った一般品は、大量に有ったんですよ」
「結局、死の匂いは付きまとうのか……」
「零戦にしたって、兵器ですからね」
「……そうだな。技術は使い方か。使う側が自覚せねばならないんだな」
「ま、貴族の誇りで、頑張って貰えば良いのでは?」
「……ふむ、では聞こう才人君」
才人に向き直し、コルベールは語り出す
「貴族の誇りでやった事が全て間違いで、しかも誰かに踊らされた結果、罪も無い民を殺したとしたら、どうする?」
才人は即答する
「そんなの簡単だ。自分をそんな風に駆り立てた相手にきっちり引導を渡す迄、死ねないね。自分がどれだけ汚れても、やらざるを得ない」
「才人君ならするのかね?」
「……似たような事は」
「……そうか」
コルベールは更に聞く
「後悔……したかね?」
「……いんや、代償に心を捧げたよ」
「そうか……」
コルベールは思考に耽る
『結局、誰も彼も、汚れていると云う事か』
「所で先生、コンパウンドの件は?」
「あぁ、出来ている。確認してもらえないか?」

*  *  *
「ギーシュ、開けてくれ、ギーシュ」
ドンドン叩いて知らせるが、ギーシュの部屋は開かない
「くっそ、ドアをガタガタするしかないか」
ドアを暫く叩きガタガタさせると、揺れに気付いたのだろう、カチャリと音がして、ギーシュが出てくる
「才人か。早く入ってくれ」
「解った」
パタン
ギーシュは以前の如く、ショーツ一枚で、タオルを肌掛け、上手く胸を隠している
「俺以外が出て来たらどうすんだよ?って、かつら?」
ばさりと金髪のかつらを外してギーシュは微笑む
「今の調子で、取り込み中を演じるのさ。女のコ来る時、大抵今ので怒って帰る」
「……大したもんだ。男の場合は?」
「魔法ぶつけて退散させるのさ」
「はは、そりゃ凄い」
「実はこのかつら、僕の地毛なんだ」
才人は感心する
「大した凝り様で」
「で、わざわざ来たのは、抱きに来てくれたんだよね?」
才人にふわりと身体を預け、才人の答えを聞く前に、自ら唇を合わせる
「ちゅ、うく、ちょっと待てカトリーヌ。今日は夕飯迄に帰る。プレゼントを届けに来たんだよ」
「嫌だと言ったら?」
「悪いが、扉切り裂いて行く。ルイズが不安定なんだ」
「むぅ」
才人がそう言った場合、本当にやるのをギーシュも熟知している
「しょうがないなぁ。やっぱり翼人の件?」
「だけじゃない感じだな。良く解んね、悪い」
「良いよ。プレゼントって、何?」
「はい、此」
才人はギーシュにセーラー服の上下を見せる
「あぁ、セーラーか。出来たんだね………スカート?」
「あぁ。カトリーヌがきちんと女装した姿が見たくてね」
「……僕が、女装出来ないの知ってるよね?」
「うん。だから、俺の前だけならどう?」
「……才人がそう言うなら」
才人から身体を離し、タオルを放り、セーラーをトサッと被り、才人に魅せる
「どう?」
「かつらも」
「解った」
かつらをしたギーシュを、姿見の前に立たせ、見せる
「ほら、見てみな。こんなに美人が此所に居るよ」
「此が……僕?」
ギーシュは自身の姿に驚く
「ふわぁ、どっから見ても女のコになってるよ」
ギーシュは顔を赤らめる
「良し、その調子。片足上げて」
「うん」
片足を上げるとスカートを通される
「はい、もう片方」
「うん」
スカートが通り、才人が腰迄引き上げ、ボタンを留める
「うん、ぴったり。流石美人だな」
「うわぁうわぁうわぁ。何これ?本当に……僕?」
鏡に映ったのは、肩迄伸ばしたブロンドがさらりと揺れ、すらりと伸びた手足が非常に美しい、セーラー服の美少女が居た
胸の膨らみは多少ある程度だが、そんな事は魅力に減衰を感じさせない
才人による変身で、顔が真っ赤になっている
「かつら取っても良いよ」
「うん」
かつらを取っても、ショートカットの美少女の魅力は損なわれない
「うわぁぁぁぁぁ」
ギーシュは姿見に両手を起き、びっくりしている
「カトリーヌなら映えると思ったんだ」
ギーシュの両肩に背後から手を置き、才人はにまにましてる
「有り難う才人。何か僕、自信が持てそうだ」
「そりゃ良かった」
「ねぇ才人。その……して欲しいんだけど?もう、すんごく無茶苦茶に」
「……悪い。本当に戻らないと」
「じゃあ、今度の虚無の曜日開けておいて」
「ははは、お手柔らかに」
「一日吸い取ってあげる。僕は才人の牝だからね」
「おいおい、牝って」
「だって、そっちの方が、興奮するんだもの」
そう言うと、ギーシュは才人に唇を舐めた
「才人…早く僕を傍に置いて。気が………狂いそう」
「……」
「良いよ、返事しなくて。僕は、才人の邪魔はしたくない」
「佳い女だよ。カトリーヌ」
「才人の前だけさ」
そう言うとギーシュは才人の両手を自身に巻き付け、ほぅと溜め息をついた

*  *  *
ガチャッ
「只今」
サッ
ルイズは何かを机の下に隠す
「今日は早かったじゃない」
「あぁ、ルイズが寂しがってるかと思って」
才人は歩いて、村雨とデルフを立掛ける
「寂しくなんかないわよ?何勘違いしてんの?」
「そういう事にしときましょ」
「寂しくなんかないって、言ってるでしょ!!」
「はいはい、解りました」
才人はキリが無いので、適当にあしらう
「ルイズ、はい、プレゼント」
才人が近寄り、ルイズにセーラーを手渡す
「あぁ、この前のセーラー?こんなの着ないわよ。あたし、軍人じゃないもの」
ルイズは不機嫌だ
才人にしてみれば、何時もの通りである
「でも、ルイズのサイズに仕立て直しちゃったから、クローゼットの肥やしにでもしといてくれ」
「しょしょしょしょうがないわね。べべべ別に欲しくないけど、特別に貰ってあげなくもないわ」
「寛大な処置。この犬めには、感涙を流さずにはおられません」
そう言うと、才人は腕に顔を伏せ、泣き真似をする
スコン
「あいた!?」
「馬鹿やってないで、夕食行きましょ」
ルイズのチョップを頭に軽く喰らい、才人は頷いた
「あい、マム」
「誰がマムだ!!」
ゲシっ!!
蹴りのオマケが付いた

*  *  *


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Last-modified: 2011-02-18 (金) 12:20:57 (4815d)

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