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Last-modified: 2011-03-28 (月) 10:58:16 (4777d)

トリステイン空軍の演習場。今は廃船が地面に横たわっている
高空から急降下してくる竜騎士から物体が切り離され、物体から火を噴き加速。廃船に衝突
深い部分で爆発が起き、廃船が炎上する
演習を見てた空軍士官と近衛隊長達は息をのむ
「……何だ此は?2発で撃沈相当だと?」
「対艦戦で多数の竜騎士に搭載させれば、圧倒出来ますな。戦列艦なぞ、物の数ではない」
「…一番恐ろしいのは射程距離だ。300メイルから攻撃出来る。竜騎士のブレスの射程を考えれば、格段な延長だ。最長射程のマジックミサイルですら、優越する。散弾すら怖くなくなるな」
バサァ
竜が着陸し、竜騎士が降り、隊長達に敬礼する
「竜騎士ルネ=フォンク。演習終了しました」
「ご苦労。下がって良し」
「ウィ」
ルネは踵を返し、騎竜ヴァルカンに戻る
「良くやったな、ヴァルカン。初めてで一発成功。お前じゃなきゃ無理だったよ」
「きゅい」
ルネが竜の顎を撫でる為、手を上げると、竜の方から頭を下げて撫でられる
竜の身体には、身体に合わせたハーネスで、鉄製のラックが取り付けられている
ルネが演習をやったのは、魔法学院で製作したラックが、ヴァルカンに合わせて調整された為である
「量産化着手を進言しよう」
「問題が有ります」
今まで黙ってたアニエスが、初めて口を開く
「何かね?」
空軍士官達がアニエスを見る
蔑視や嘲りの表情は無く、純粋な興味の視線だ
「冶金技術が低いそうです。我々の製鉄技術では限界が有ると、設計製作を行った、サイト=ヒラガの言い分です」
「現に有るでは無いかね?」
空軍に取っては当然の疑問だ
アニエスは更に言葉を重ねる
「はい。それは、サイト=ヒラガが材料を吟味した上で採用してるからです。量産化となると、サイト=ヒラガ一人に全てを押し付ける訳にはいきません」
考え込む士官
「……成程。つまり職人にも、メイジと同じく、クラスが有るのだな?」
「その通りです」
「理由は承知した。だが、量産化は空軍に取って急務と判断した。まだ内々だが、出兵が近い。近衛は聞いてるかね?」
「勿論。ですから、無理を言って協力して貰ったのです」
「では、冶金技術の向上を図る良い手段を検討しよう。先ずは、同盟国ゲルマニアの技術者を招聘するか」
「他にも、一応有るには有るのですが」
アニエスは言葉を濁らせる
「ほう、何かね?」
「サイト=ヒラガに技術支援を仰ぐ事です。彼は剣士として有能なばかりか、本職が鉄鋼の技術者だそうで」
「では、仰げば良いのでは無いかね?」
アニエスは無表情に語る
「出来れば苦労は致しません。彼はトリステイン人ではなく異邦人であり、我々の命令等、聞く耳を持ちません」
「彼は使い魔契約によって、トリステインに無理矢理来させられた為、我々を恨みこそすれ、義理等無いのです。貴官らは、ゼッザール殿に勝てる相手に、無理矢理言う事聞かせる自信がおありか?」
全員肩をすくめる
「無理だな」
「ですから、何とか説得を行う為に、性急に動かない様にお願いする。以前にそれで臍を曲げられ、大事になってます」
「ミラン殿の言う通りだ。トリステインに敵対されたら敵わん」
ゼッザールが更に駄目押しする
「誰が説得に最適かね?」
「恐らく、主人たるルイズ=フワンソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=ヴァリエールかと」
「ヴァリエール!?あの公爵家か?全く、厄介な相手だな」
士官達も呆れてしまった

*  *  *
虚無の曜日。才人には色々困った事が起きる曜日でもある
ルイズが才人を連れて朝食が終わり、部屋に戻ってる最中、直した扉を開きながら、才人に話しかける
「さて、犬。今日は乗馬にでも行くわよ。あたしのブーツ出し………え?」
振り向くと何故か才人が居ない
階段登った時には確かに居た筈だ
「一体何処に消えちゃったのよ?今日は誰?あたしの犬を返せ〜〜〜〜!!」
ルイズの絶叫が廊下に木霊する
さて、今週の虚無の曜日も、ルイズは才人捜索に費やされる事になりそうだ

「あ〜キュルケ、廊下に迄、サイレンスの領域作ってたのか?」
隣の部屋の扉の前を通過途中にキュルケに拉致られ、部屋で溜め息をつく才人
才人は休日の虚無の曜日だけは、常に完全武装をしている
何故か平日より危険度が高い為だ
村雨は常に携帯してるが、デルフも欠かさない
「まぁまぁ、良いじゃない。何時もの事なんだから」
「…まぁな。で、今日は?」
「ふふふ、じゃあ〜〜〜ん!!この前買った新作のジグソーパズルよ。ダーリンの分も有るわよ」
キュルケがジグソーパズルを才人に見せ、意気揚々とする
「おっ、今度のはピース数半端無いな?」
「えっへっへ。何と5000ピースよ?」
「思いきったなぁ」
「でしょでしょ?皆恋愛ばっかでさ、こういうのに関心持ってくれるのダーリンだけなのよ。趣味に賛同出来る人がやっと出来て、嬉しいったらないわ」
キュルケは心底にこにこしてる
「じゃあ、早速やるか?」
才人がそう言うと、キュルケが一箱を開け、額縁を用意してひっくり返す
「おっけ、このピース数は初めてだから、一緒にやりましょ」
「そうだな」
才人は村雨とデルフを立掛け、床に小山になったパズルを前に、キュルケの対面に座ると、キュルケは当然の如く隣に移動し、鼻唄を出しながらピースとにらめっこを始める
アルビオン大陸が雨を運んだせいで、数日の曇天と雨天が続き、今日は久し振りの日差しで、朝から蒸し暑い
キュルケは遠慮無しに、シャツの前をはだけている
才人もピースとにらめっこをするが、ついついキュルケの胸元にも視線が泳ぐ
キュルケは才人の視線を感じ、くすりと笑う
「あらあら、前に比べて正直になったわねぇ」
「……まぁな」
「で〜も、ほら」
才人の右手を背後から誘導し、胸を触らせ、自身の左手は才人の股間に這わせる
「遠慮しちゃ駄目よぅ?ほら、こうすれば一緒に出来るでしょ?」
才人の左手と自身の右手で、パズルのピースを試行錯誤で合わせる
「キュルケ、誘惑が上手くなったな」
「あぁら、私はダーリンの牝でしょ?牡には頑張って貰わないとね。それにぃ」
才人に頭を預け、普通の男なら一発で欲情する色香を出しながら、言葉を紡ぐ
「この前助けた分の報酬も欲しいかしらぁ?」
勿論才人は普通の男である
痩せ我慢をしていた反動だろう
一度味わってしまったが為、自制が緩くなってしまった事を自覚している
「キュルケも十分恋愛脳じゃないか」
ついついキュルケの胸を揉みしだき、キュルケが股間を愛撫するのをするに任せる
「あぁら、微熱は元からそうじゃない?でも、ダーリンとジグソーパズルしたいのも本当。だから、全部まとめて相手して欲しいかなぁ?」
そう言いながら、才人の息子を露出させ、才人の手を自身の股間に誘導し、指を中に招く
既に、股間は濡れている
「濡れてるな」
「ダーリンとの事思い出すと、こうなっちゃうのよねぇ。このケダモノ」
キュルケはジグソーパズルを持ってた右手を才人の頬に添えて、キスをする
互いの舌を絡め、キュルケは我慢せずに才人に身体を乗せ、キスで勃起した才人に跨り、そのまま挿入する
「ふっ、ん」
口から吐息が時折漏れるが、キュルケから腰を振り、才人を容赦無く高ぶらせる
「くっ、キュルケ、はげし」
「だぁめ、ダーリン我慢しなくて良いからね」
腰を打ち付けるのではなく、生艶かしく動かし、キュルケの呼吸も一気に乱れていく
「はっはっはっはぁ、やっぱり、素敵」
「キュルケ、駄目。出る」
キュルケは才人の射精を受け止める為、両手両足で才人を抱き締めキスをし、才人の身体が痙攣すると、キュルケも痙攣する
「ふぅぅぅぅ!?」
キュルケから吐息が漏れ、暫く座位で硬直する
「ダーリンのおちんちんと子種でいっちゃった。キュルケは、ダーリンに種付けされるのが大好きで、ダーリンの心が大好きなコです。ダーリンはキュルケの事好き?」
悪戯っぽく尋ねるキュルケ
だが、互いに生死の境で付き合いしたせいで、軽い調子で有りながら、実は非常に真剣に聞いてる事を、才人は理解する
「あぁ、好きだよ」
「身体と心、どっちが好き?」
やっぱり、悪戯っぽく聞いてくる
『何時もより、幼い感じだな?』
「どっちもだ。誰よりも優しい心。そして魅力的な身体。どっちも良い」
「じゃあ、ダーリン。お嫁さんにして?」
流石に才人には断言出来ない
「えっと…」
「私、国に帰ると、老貴族に嫁がせられるの。嫌だから、ゲルマニアの魔法学院から、トリステインに留学したの。学生時代だけが、私の自由時間なの。今のままじゃ、私、老貴族に嫁がせられるの」
「…だから、恋愛に積極的だったのか」
「うん。貴族の子女は大抵そう。でも、私は嫌だから、本当に恋した人と結ばれたいから、沢山恋愛したの。学生時代に伴侶を見付ける事が出来れば、その人と結婚して良いのが、貴族の子女の最大のチャンスなの」
キュルケは繋ったまま、何時もより幼い口調で語る
「でも、俺は……」
「ダーリン、貴族になって。私、ダーリン相手なら妾でも良いな。ダーリンならツェルプストーを更に発展させられるから、父様だって最初は反対しても、実績だせば頷いてくれるよ?」
「そうすれば、私は私のまま、ダーリンとずっと居られるわ。私はツェルプストー直系だから、ダーリンは次のツェルプストー伯になれる。私は、ダーリンが幾ら女作っても構わないわよ?だからダーリン、貴族になって?」
キュルケの何時もより幼い語り口は、本音を包み糊塗した物を、才人相手には出す必要が無い、年齢相応の少女の本音
だからこそ、才人は揺さぶられる
「……」
「ダーリンがトリステインに義理を果たすなら、私の代で、トリステインに倉替えしても良いよ?」
「キュルケ…」
「ヴァリエールとも仲良くする。首と胴さえあれば、腕や脚位、ヴァリエールが代償で欲するなら、くれてやる」
流石に才人が眉をひそめる
「キュルケ、そういう事言うな」
キュルケは才人の逸物を受け入れながら、腰をうねらせ、語る。
「ヴァリエールとツェルプストーは、先祖代々殺し合ってきた。ダーリンが考えてるより、ずっと遺恨を残してる。学院内でも、決闘にかこつけて消す事に、躊躇いは無いの」
「…じゃあ本来は、一年前にやってたのか?」
「えぇ、あの娘がゼロじゃなきゃ、私は多分実行してた。でも、私はゼロと呼ばれる相手を、いたぶる趣味は無いの」
キュルケのピロートークには、些か物騒な話題を振る
「父様の戦では、もう少しでヴァリエールの血脈が断てたのに、イーヴァルディに邪魔された」
「何?イーヴァルディは実在したのか?」
「有名だから名乗っただけかも知れない。でも、イーヴァルディと自称した人物に阻止された。それ所か、逆に私が産まれて無かったかも知れない。でも、ツェルプストーと知ったら、何故か見逃してくれたんだって」
「強かったのか」
「えぇ、物語に出てくるイーヴァルディそのもので、剣だけで圧倒されたって、父様が語ってた。あんなの後にも先にも一度だけだって」
「私ね、その時に思ったの。何でイーヴァルディは、ツェルプストーに味方してくれなかったのかなって」
腰の動きが才人を更に高め才人はキュルケの胸を吸うと、キュルケはそんな才人の頭を抱き締め、痙攣する
「はぁぁぁ!!また、ダーリンのおちんちんでいっちゃった。ダーリンのおちんちん、誰より堅くて素敵」
「比べた事有るんだな」
「うん。ちょっと撫でただけ。でも、ダーリンのが一番堅い」
キュルケが硬直してるので、才人から動かす
「はっはっ、トリステインに来れば、イーヴルディに会えるかも知れないって、思ったの」
才人が射精の痙攣をし、キュルケをキツク抱き締める
「あっあっ、ダーリン来てるの。痛い位が良いの。また、来ちゃう!?」
キュルケが才人の強い抱擁に痛みを感じながら絶頂する
「はっあっ……私ね、イーヴァルディを見付けたらね、聞こうと思ってた。何でツェルプストーに、味方してくれなかったの?って」
「…」
「でも、私が見付けたイーヴァルディは、父様と戦った壮年の剣士じゃなくて、優しい笑顔の、青年の使い魔だった」
「…」
「そのイーヴァルディは、異国の人間で、魔法も使えない癖に、私達メイジより魔法を理解して実践する化物だった」
「…」
「私が見付けたイーヴァルディは、私達メイジですら倒せないヒュドラすら狩ってみせた。本当にイーヴァルディじゃないの?」
「さぁ……な」
「私が見付けたイーヴァルディは、父様が戦ったイーヴァルディと同じく、トリステインを助けた」
「…使い魔だからな」
「私のイーヴァルディは、故郷にやり残しが有るにも関わらず、私達を助けてくれる優しい男」
「…」
「ねぇ、イーヴァルディ。物語の結末は男でも女でも去るけどさ、たまにはヒロインと結ばれて終わろうよ?私は、ヒロインになれないかなぁ?」
キュルケの顔は涙こそ流してないが、泣きながら笑ってる
「キュルケ……」
「困らせてるのは解ってる。でも、どうしようも無いの」
「ごめん」
「きちんと帰れて、また来れる手段を探しましょ?そうしたら、イーヴァルディの勇者の、ハッピーエンドが作れるわよ?」
「……そうだな」
キュルケは才人の返事に微笑み、一度離れて尻を向ける
「ねぇ、イーヴァルディ。ケダモノはお尻が好きよね?」
「あぁ、大好きだ」
才人が腰を掴み、ぬるりと挿入するとキュルケはビクリと反応し、そのまま身体を床に倒し尻だけ持ち上げ、呼吸を荒くする
「はっはっはっ、イーヴァルディ、イーヴァルディ、私の……ダーリン!!好き……大好き!!はぁ!」
才人が優しく出し入れし、また絶頂するキュルケ
だが、才人はそのまま腰を動かし、キュルケはビクビクしっぱなしだ
「キュルケ……出すぞ」
パン
才人が射精でがっちり掴み奥に一際強く叩き入れ、そのまま固定する
「はっ、あっ、うっ」
キュルケが才人の射精を受け止め、声を上げる
二人の睦あいの被害にあったジグソーパズルは、散乱していた

*  *  *
「ちょっと、モンモランシー開けて」
ドンドンと扉を叩くルイズ
ガチャ
「もう何よ?今忙しいんだけど?」
モンモランシーの部屋では調合途中の秘薬と香水が所狭しと並んでいる
「あれ?サイトを拉致したのモンモランシーじゃないの?隠してると全部吹っ飛ばすわよ?」
「私が拉致する予定は午後よ、残念ね。今は知らないわよ」
「むぅ、一体誰が?」
部屋の扉の前で考え込むルイズ
「物音はした?」
「ううん、しない」
「じゃあ、メイジね」
「メイジ………はっ!?タバサね!!」
ダダダダ
ルイズは走り去って行く
「もう、午後から拐う宣言したのに、気付かなかったのかしら?まぁ良いや。さっさと調合終わらせましょ。授業料も掛ってるんだから」
パタン

*  *  *
ガチャ
「あ、開い……」
タバサの部屋の扉を開け侵入すると、直ぐにサイレンスのフィールドに取り込まれ、音が聞こえなくなる
タバサはベッドに腰掛け、本を読んでいる
ルイズはタバサの肩を叩くと、立掛けた杖を握り締め、読書の邪魔をされたルイズに向かってエアハンマーを行使する
無音の為、音はしないまま、ルイズは壁に叩き付けられる
「…!?」
やっと気付いたのか、サイレンスを解くタバサ
「…虚無の曜日」
「いたたたた。いきなり酷いじゃない」
「虚無の曜日!!」
「読書邪魔されるの嫌いだっけ?」
タバサはコクリと頷き、読書を再開しようとする
「むぅ。そうだ、サイト知らない?」
パタン
本を閉じ、すっくと立ち上がり、ルイズを下から睨む
「な、何よちびっこ。やろうっての?」
「…何処?」
「え!?」
「…才人が消えた場所」
「此方よ」
捜索隊が二人に増えた

*  *  *
二人がルイズと階段の廊下途中で、魔力の痕跡を追跡する
「この階段から、あたしの部屋迄の間よ」
タバサはディテクトマジックをかけ、魔力反応のあった部屋を片っ端からアンロックで開けていく
ガチャ
「きゃっ、何よ?」
「あ、ごめん。サイト知らない?」
「なぁに?またぁ?あんた達いい加減にしてよね?知らないわよ」
パタン
ガチャ
「おわぁぁぁぁ!?」
「きゃあぁぁぁぁ!?」
男女がベッドの上で悲鳴を上げる
パタン
「…今の、上級生だったね」
コクリと頷くタバサ
二人共頬を染めている
最早、二人共質の悪い覗きである
部屋を一つ一つ確認し、最後に来るのは当然キュルケの部屋である
「…開かない」
「嘘?タバサのクラスで?」
「もう一度やってみる……アンロック!!」
魔力を先程の倍を込めると、非常に重い音を出しながら、やっと開く
ガチリ
「……やっぱり、キュルケは凄い」
額に汗を流してタバサは呟く
ガチャ
「ちょっとツェルプストー。此処に犬………………犬〜〜〜〜〜!?」
ルイズはタバサの呟きなど無視し、ズカズカと部屋に入り、目当ての物を発見する
才人はキュルケに膝枕をされながら、二人でジグソーパズルをやっている
正に睦まじい恋人同士の仕草で、非常に絵になっている
自分がやると、まず脚が痺れて才人の身体は支えられない。もう、嫉妬やら悔しいやら、ヴァリエールの寝取られ記録更新やらが頭の中をぐるぐる回る
「あああ何膝枕なんかしてんのよ馬鹿犬あんたのご主人様はあたしなんだからツツツツェルプストーなんかに何デレてんのよふふふふざけんじゃないわよ」
「あら、ヴァリエール、いらっしゃいな。タバサも来たのね」
キュルケは何時も以上の色気を出しながら、余裕の笑みを浮かべてる
「ななな何してんのよ?」
「見ての通りジグソーパズルよぅ。ねぇダーリン」
「そうだな」
二人してピースの方に集中している
「ばばば馬鹿犬。その膝枕を止めなさい!!」
「俺はして貰ってる立場だよ。キュルケに言ってくれ。キュルケに悪いだろ?」
「ツツツツェルプストーに悪い事なんかなあぁぁぁぁい!!」
ルイズがわなわな震えていると、タバサがスタスタ通り過ぎ、才人の上に座って本を開く
つい急いでいた為、本を持って来てしまった
「タバサも報酬欲しいわよね?」
コクリと頷くタバサ
うぐっと言葉を詰らせる、ルイズ
この前の戦闘支援の報酬を要求されては、ルイズと言えど何も言えない
何故なら、トリステイン国内の問題なのに、外国籍の二人が手を貸してくれたからだ
報酬内容としては、破格に安いとさえ言える
「うぐぐぐぐぐ」
「まぁまぁ、一緒にジグソーパズルやらない?結構夢中になれるわよ?」
「ふん、解ったわよ」
キュルケの対面にすとんと座り、ギロリと二人を睨む
才人は思わず笑いを堪えて身体を震わせる
「何がおかしいのよ?犬」
「いやまぁ。ルイズに出来るのか?5000ピース有るから難しいぞ?」
「5000!?」
ルイズは小山になったピースを見て呆気に取られる
試しに合わせてみる
絵柄も何も合わない
「むぅ、何よこれ?全然合わないじゃない」
「全く、ヴァリエールは不器用ねぇ。ほら、箱に絵柄書いてるでしょ?そこから探して合わせて行くのよ」
ルイズは段々熱中しだし、周りの事が見えなくなる
「これと此が……んしょ、良し合った」
「あぁ!?何やってんのよ!?無理矢理ピース合わせないでよ!?壊れるじゃない」
「え?違うの?」
「ジグソーパズルは切口も微妙に違うのよ?そんな事したら完成しないじゃない」
才人とキュルケは少しずつだが絵柄が合わさって行くのだが、ルイズのそれはモザイクになっている
どうにもこうにも生来の不器用は、こんな所でも遺憾なく発揮される
「もう、何でこんなちまちましたのが好きなのよ。全く」
「あぁら、判断力と器用さが試されるのに、何言ってるの?ダーリンが良い例じゃない。ダーリンが色々上手なのは、理由が有るのよ、理由がね」
キュルケと才人は同時にやってるのだが、才人の範囲のが広い
「ま、細かい仕事はお手のもんさ」
才人は膝枕をされ、たまに口笛を吹きながら、ぺたぺたとピースを合わせていく
ルイズは才人を見ると真剣にやり出す
『こんなに身近に目標が居るんだ。あたしも追い付ける為には、遊びも真剣にやらないと』
ルイズは集中力だけは凄い。途端に周りが見えなくなる
そんなルイズを見てクスリと笑い、キュルケはタバサに耳打ちする
「私は充分に報酬貰ったから、ダーリン連れて行って良いわよ」
タバサはコクリと頷くと、才人を引っ張り起こす
「ん?何だタバサ?」
「…私の部屋」
才人がキュルケを振り返ると、手を振っている
才人も手を振り返し、キュルケの部屋から去る
パタン
扉が閉じられる音にも気付かず、ルイズはジグソーパズルに集中する
『ダーリンを独り占めなんて、出来ないわ。残念だけどね』
キュルケはルイズが気付くのを遅らせるべく、自身も集中する
中々の暇潰しになりそうだ

*  *  *
タバサに手を引っ張られ、タバサの部屋に着く
ガチャ
「きゅい!?」
「あっ、この前の欠食メイド!?そのセーラーの丈、キュルケのか?」
扉を開くと何故か青髪の女性が中に居て、机の上で何かを書いていて、こちらを振り向いて驚いている
タバサは風を纏い、一気に女性に突貫し、杖で殴り始める
ボカボカボカ
「きゅ、きゅいきゅい!!お姉さま、痛い、痛いのね〜止めるのね。シルフィ悪い事してないのね〜〜きゅいきゅい」
「……」
無言の怒りをぶつけるタバサ
才人は後ろから羽交い締めでタバサを制する
身長差でタバサが浮く
「まぁ、何やったのか知らんが、いきなり杖は無いだろ杖は?」
「…此所に居る」
「何だ?不法侵入か?」
才人がギラリと睨む
「ち、違うのね。えっとイルククゥはお姉さまのつか………姉妹なのね」
「姉妹?まぁ髪の色は一緒だし、随分成長してる妹だなぁ」
才人は余りの姉と妹の成長差に苦笑する
「あぁ、そうか。姉の分迄食べてんだろ?イルククゥも食いしん坊だったしな。だからタバサがちっこいんだな」
「そ、そうなのね。だからお姉さま、イルククゥが居ると、沢山食べれないから嫌がるのね」
「タバサ、可愛い妹だろ?せっかく遊びに来てるのに、追い出したら可哀想だろ?」
ぷいと横向いてふて腐れるタバサ。そんなタバサを見て才人は笑みを浮かべる
「大丈夫なのね。お姉さまの邪魔はしないのね。沢山恋して卵を産むのね。きゅいきゅい」
「卵?」
「こっちの話なのね〜」
才人がタバサを離すと、ブスッとしながらも大人しくなり、杖を振り、扉が閉まってロックがかかり、サイレンスが掛かる
貫通暗号付きのサイレンスだが、才人は中に居る為、通常と変わらない筈だ
「で、イルククゥは何書いてんだ?」
才人が後ろからイルククゥが書いてるのを見て尋ねる
「原稿なのね」
「作家を目指してんのか?」
「そうなのね、お父様やお母様に負けない作家になるのね」
「へぇ、タバサの両親って作家なのか」
何故かタバサが首を振る
「へ?違うの?どういうこった?」
「…イルククゥは養女。多分本当のご両親」
「あ、成程な。悪い事聞いちまった」
「構わないのね〜。才人も感想聞かせるのね」
そう言って、原稿をぱさりと渡す
「どれどれ………」
受け取った原稿を読み始め、そのままシルフィードの頭をはたく才人
スパーン!!
「い、痛いのね、何するのね〜!?」
涙目でこちらを向いて、両手で頭を抑えるイルククゥ
「何するじゃねぇ!!てめぇがタバサを腐らせた張本人か?何で俺が総受けなんだよ!?」
「イーヴァルディの新作書いてるのに酷いのね」
「新作?」
「お父様も書いてるのね。一族のライフワークなのね、きゅいきゅい」
「…本当に?」
タバサも大好きな作者不詳のイーヴァルディシリーズ
まさか、こんな所で作者が出てくるとは、タバサもびっくりである
「ライフワークって、先祖代々書いてるのか?」
「んっと、大体1000年前位からって聞いてるのね」
「……そりゃ、大したもんだ」
「だから才人も大人しくモデルになるのね、きゅい」
「まぁ、作家の一族じゃあ仕方ないか。でもな、イルククゥ。どう考えても迷作にしかならんぞ?」
才人の苦言に、イルククゥは拳をぐっと握って力説する
「他と一緒の事しても駄目なのね。目指すはやおい穴なのね!!きゅい」
「…駄目だこりゃ」
才人は溜め息を一つすると、ベッドに腰掛け、その上にタバサがちょこんと乗る前に、イルククゥに布を取り出して被せる
「な、何するのね?」
「貴女は原稿を書く、私は本を読む。お互い不干渉」
「そんなの建前で、才人といちゃいちゃしたいだけなのね。参考になるから見せるのね〜〜!!」
図星を指されたタバサ
ぷるぷると震えている
ボカッ
そのまま布の上から杖で殴り、流石にイルククゥがキレる
「いい加減にするのね!このおちび!!今回は、イルククゥはちっとも悪く無いのね」
ガバッと反撃を始めるイルククゥ
ベッドの上でキャットファイトが始まり、才人が退避する
体格差であっさり抑え込み、イルククゥが杖を取り上げ、くすぐり始める
「や、止め」
「良いではないか、良いではないか、なのね。ほら、あ〜れ〜って言って、くるくる回るのね」
「あはは、やめ」
「…何でそのネタ知ってんだよ?」
「イルククゥの一族じゃ、基本なのね〜」
「…色々聞きたくなって来たな、おい」
10分近くくすぐられ、タバサは笑い過ぎてぐったりする
「ふう、料理の準備完了なのね。後は任せるのね」
額の汗を拭い、一仕事終えた満足感を示すイルククゥ
そのままばさっと服を脱ぐと、窓から飛び出した
「お、おい。ここ五階…」
才人が驚きながら窓から外を見ると、落ちて居ない
「どっかに、杖隠し持ってたのか?にしても、何故全裸?」
考えても仕方ないかとタバサに向くと、小さい少女が涙目で服も乱れてぐったりしてる
『なんつうか、壷を良く知ってる。料理の準備完了って、性的な意味かよ。ありゃ窓から覗いてても、おかしくないな』
才人がタバサに寄り、声をかける
「大丈夫か?」
ふるふる首を振る
「喉渇いたか?」
コクリ
才人が水差しを持って来ると、タバサが潤んだ目で才人の腕を掴んで、小さくお願いする
「…口移し」
「解った」
才人は要求に答え、水差しの水を口含み口付けをし、水を飲ませる
コクンコクン
もう一度水を含み飲ませると、飲み終ってもタバサが離れず、才人の頭を抱え、そのままキスを要求し舌が才人に入って来る
才人は其に合わせ舌を絡める
口から時折ピチャりと音が漏れ、口を離すとタバサはすっかり真っ赤になっている
「…私、人形じゃないよね?」
「あぁ」
「私、女のコだよね?」
「おぅ。滅茶苦茶可愛い女のコだ」
タバサの顔が歪む
「私の父様、殺されちゃった」
「…そうか」
「私の母様、私の事解んないの」
「…そうか」
「叔父に毒を盛られて、狂っちゃった」
「…大変だったな」
「従姉妹は私の事、仕事にかこつけて、苛めるのが趣味なの」
「…何処にでも居るぞ?」
「…才人も?」
「あぁ。仕事上はそういうのは普通に有る。出来る人間程妬まれるのは、何処に行っても変わらない。だから、俺に愚痴って良い」
才人はタバサを抱き起こし、頭を撫でつつ、抱擁する
「辛いよ」
「あぁ」
「苦しいよ」
「良く頑張った」
「…助けて」
「勿論だ。俺はタバサに約束したろ?」
「約束は絶対?」
「絶対だ。だから大丈夫。俺に頼れ。タバサがピンチになったら、俺が駆け付ける。タバサのイーヴァルディは、此処に居る」
「…泣いて、良い?」
「あぁ」
「ふぇ、ああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
安堵による号泣
タバサが泣き止むまで、才人はそのままの姿勢で、タバサを撫で続けた
才人は、泣き止んだタバサの涙をハンカチで拭う
「すっきりしたか?」
こくり
「そうか」
にこりと笑う才人
「さてと、まだ昼迄時間が有るな」
「ん」
タバサは才人の上に座り、背中を才人に預け本を開く
「昼飯迄?」
「ん」
「了解、お姫様」
「…才人」
「何だ?」
「私が本当にお姫様だったとしたら、どうする?」
「どうもしないよ。タバサはタバサだ」
「…本当?」
「本当」
タバサは気分を良くする、が
「でも」
「何だ?」
「全身からキュルケの匂いがする」
「あぁ、その」
くるりと振り向いて、タバサは詰問する
何時も以上に饒舌だ
「…キュルケの方が良いの?」
「いや、そんな事は無い」
「…嘘つき」
「えっ」
「嘘つき嘘つき嘘つき」
しどろもどろになる才人
「言葉ばっかで手を出そうとしないヘタレ。やっぱり、私じゃ魅力無いんだ」
「あのな、タバサ。普通は男は「沢山の美女を侍らすのが、ハルケギニアの貴族の常識」
流石に才人も絶句する
まさか、15の少女に言われるとは思わなかったのだ
「俺、貴族じゃ「貴族になれば良い」
才人の上で身体を入れ替え、才人の股間に自身の股間を当てたまま、タバサは語る
「私を助けるって約束した。私を助けるって事は、貴族にならないと駄目。だから才人は貴族になる。貴族になれば、才人は愛妾持っても文句言われない」
「……貴族じゃないと駄目なのか?」
「その内判る」
くすりと笑うタバサ
「何を隠してる?」
「内緒」
くすくすと、特大の秘密を抱えて、さぁ驚けと企む少女に、才人は降参の手を上げる
「参った。降参だ」
「ハルケギニアで愛妾が行われてる理由が解る?」
「理由………戦争か?」
「正解。戦争や小競り合いで、貴族の若い適齢期の男性は常に戦死している。貴族の女性がその分余る。教会は一夫一婦を強いてるけど、平民以外で広まらないのはその為」
「平民ですら余裕が有れば妾を作る。貴族は戦場で常に死ぬ。だから男児を産める迄、妾を作る事も珍しくない。結婚も、早く行わないと、いつ男性が戦死するか解らない」
「それと此とどう「才人が沢山の女性を愛しても、女性側は納得出来るから大丈夫」
ハルケギニアの常識で言われてしまうと、才人にもどうしようもない
「俺の国じゃそういうのは「此処はハルケギニア。日本じゃない」
「…そうだな」
「……お願い。約束の証が………欲しい」
才人にすがり震えるタバサ
色々と一杯々々で、何かにすがりたい気持ちが、才人にも伝わる
「良いのか?」
こくりと頷くタバサ
「言っておくけど、俺ロリコン気味なんだ」
「…ロリコン?」
「タバサみたいな、小さな女のコが好きって事」
「本当に?」
すると、才人がタバサのお尻を触り、自身の股間に密着させ、タバサがびくりとする
「ほら、硬くなってるだろ?タバサが可愛いくて可愛いくて、滅茶苦茶に汚したいって思ってんのさ」
「…本当に?」
「此所に居るのは狼さんです。可愛い子羊が大好きな狼さんです」
才人がタバサの頬をぺろりと舐め、タバサがびくびくと反応する
「嫌な感じはしたか?。したら止めるぞ?」
ふるふる首を振るタバサ
「嫌なら言えよ……壊したくない」
タバサはコクリと頷く
「私が大事だから……しないの?」
「そうだ。こんなに折れそうなのに……俺は男だから、いざとなったら乱暴になっちまう。跡をつけたくなっちまう。このメスは俺のモノだってな」
そんな才人の告白にタバサは笑みを浮かべる
「今ね、凄く心臓が跳ねた。この感情……嬉しい?」
タバサの上着をそのまま脱がし、首筋にキスをする
チュッ
「はっ、ん」
そのままシュミーズを脱がす
タバサの平坦な胸が露出すると、タバサが真っ赤になる
「胸………無いから」
「何言ってんだ。滅茶苦茶可愛いぞ」
才人が乳首をペロリと舐める
タバサはビクビクと反応し、そのまま為すがままだ
「嫌な感じしたか?」
才人が心配げに話しかける
「良く……解らない」
「どんな感じ?」
更にペロリと舐める
「ひぅっ…くすぐったいのと、身体が勝手に反応するの」
「そっか」
更に才人が丹念に舐めると、更にビクビク反応する
「ふっふっふっん〜〜〜〜〜!?」
くてりとなったタバサを横たえ、スカートとショーツを脱がす
「…やぁ、見ないで……」
「綺麗だよ、タバサ」
タバサは顔を手で隠し、消え入りそうな声を出す
「…シャルロット」
「え?」
「シャルロットが私の名前」
「そっか、シャルロット」
コクリと頷くタバサ、顔を隠しっぱなしだ
才人はそのまま脚を開こうとすると、タバサがぎゅっと太ももを締める
「嫌か?」
ぶんぶん首を振りながら、タバサは答える
「…恥ずかしいの…恥ずかしいの」
「そっか、じゃあ止めるか」
才人がすっと離れると、慌ててシャルロットが才人を掴み、涙目で訴える
「…き、嫌わないで」
「何言ってんだ?俺がシャルロットを嫌う訳無いだろ?」
そのままシャルロットを抱き寄せる
「解ったか?シャルロットは、まだ身体も心もおっかなびっくりなんだ。もう少し成長したらにしような。大丈夫、シャルロットはとても可愛い。俺の息子が硬くなってるのはな、シャルロットがとっても可愛いからだ」
シャルロットは目を瞑り、返事をする
「…うん」
「大丈夫。自信持て」
「……うん」
「無理しなくて良い。そんな事しなくても、俺はシャルロットの味方だよ」
「…うん」
「納得出来たか?」
「…少し」
「…おぢさんも、もう少し頑張らないと駄目か」
「…才人はお兄様。おぢさんなんて、言っちゃ駄目」
「何でだい?」
「…年齢差にくじけそうになる」
「そうか」
才人はくすりと笑う
暫くシャルロットが才人に身体を預け、ぼぅっとしてると、凄まじい音で扉を叩く音が聞こえる
ドンドン!!ドン!!ドンドンドン!!
ビクッ!?
二人して固まる
「…シャルロット、暗号ノック誰に教えた?」
「…才人だけ…キュルケにも教えてない」
「……偶然で、そんな事出来るのは……」
「多分、ルイズ」
「シャルロット、服着ろ服」
悪戯を思いついたのだろう、首を振るシャルロット
「おい」
「ロックを掛けてる。ルイズなら平気」
「待て。今のアイツの破壊力は洒落にならん。扉爆破されんぞ?」
「…前から扉位なら爆破してる」
「いや、そうじゃなくてな。最近見境無いと言うか」
「見境無しの発情犬は貴方」
「おい」
くすくす笑って、才人の腕の中からシャルロットは離れない
ドカン!!
扉が爆破され、もくもくとした煙の中から、桃髪の鬼神が一歩一歩近付いて来る
「タ〜バ〜サ〜。人が夢中になってる隙をついて、私の犬を拐うだなんて、やってくれるじゃなぁぁぁい?」
パキ、パキ
扉の破片を踏み、先程とは違い、乗馬服に身を包み、ブーツを履き、更に乗馬鞭と杖を手に持ちゆらりとする
ギラリと睨んだ先には、全裸のタバサが自身の犬に抱きついていて、犬も特に拒否していない
あっという間に魔力が立ち上がり、髪が一斉にぶわりと逆立つ
「なぁにしてるの?裸で」
ジャリジャリ
余りの怒りにどもりも吹き飛んでいる
「…この前の報酬」
「なぁんで、裸なの?」
「…裸でマッサージしてもらってた」
「へぇ、どんなの?」
「性的な奴」
完全に逆上するルイズ
一気に詠唱を始める
『死んだ。俺、絶対に死んだ』
「デルフ」
「あいよ」
「虚無は吸えるか?」
「さあて、どうだっけ?多分無理じゃね?」
「素粒子単位じゃ、俺も無理だと思う」
「相棒、サヨナラかね?」
「…多分」
「もうちっと遊びたかったねぇ」
そんな中、タバサが全裸のまま杖を取り、ブレイドを詠唱し風で一気に近付き一閃
あっという間にルイズの杖を斬り落とす
「え、あれ?」
「人の部屋爆破しないで。貴女が悪い」
ブレイドの刃をルイズの首に当てるタバサ
残念ながら、場数はタバサのが遥かに上で、ルイズはあっさり攻撃手段を失い制圧される
「ちょちょちょっと。ああああんたがサイトを」
「報酬」
「う、でも」
「じゃあ払って。才人の主人は貴女。貴女に払う義務が有る」
完全に正論である
「い、幾らよ?」
「耳」
タバサがブレイドを納めるとルイズが耳を出し、タバサが耳打ちする
「ちょちょっと、何その値段?」
「私のガリア騎士としての一仕事の報酬」
タバサは手を出す
「そんな金、学生のあたしに出せる訳無いでしょ?」
「そんなの知らない。ガリア騎士を働かせるとはそういう事。私は貴女と違って、報酬から学費と生活費を工面しなければいけない。私は友達のよしみで、才人と遊ぶ事を報酬に当てている。其を取り上げるなら、正当な対価を要求する」
先程のキュルケの言った事と、以前に才人が言った事が痛烈に刺さる
才人がアルビオンに行く前に姫様に言ってた事は、正論だったのだ
本当に、才人が居るからこそ、円滑に進んでる事を実感させられる
「で、でも」
「色恋だけで世間が渡れると思ってるの?」
痛烈な皮肉である
裸のまま、タバサは更に言葉の棘を放つ
「私、貴女の尊敬してる所は、才人を喚んだ事。後は何も無い。せっかく目覚めた魔法を嫉妬にしか使えない愚か者。そう言われるのが嫌なら、有効な使い方を考えるのね」
「才人は破壊する力を、新しい物を産む力や、更なる破壊をもたらす力にする事が出来る。私達には出来ない発想。貴女に其が出来る?」
「私は、才人になら全て捧げても惜しくない。主人なだけの貴女に、私の行動をとやかく言われたくない」
「ハルケギニアの常識は、妾を取る事にも寛容。覚悟出来てないのは貴女だけ。いい加減にするのね」
年下に完全に叩きのめされるルイズ
とうとう、その場でぽろぽろと泣き出してしまう
「え、えぐ、ひ、ひど」
「タバサ」
才人がタバサの肩に触れ、首を振る
「私、このルイズ嫌い。守って貰う事ばかり。そんなんじゃ、才人の命、幾つ有っても足らない」
「才人のガンダールヴだって、万能じゃない。才人がピンチになった時、誰が助けるの?ルイズは助けた?何時もルイズを守る為に、命削ってるのは才人!!ルイズじゃない!!」
とうとう、タバサも泣き出す
「才人に死んで欲しくない!!泣きたいのは私!!」
二人して泣き崩れ、才人はおろおろした後、二人を抱き寄せる
「「離して!!」」
「駄目だ。要は、俺が更に強くなれば良いんだろ?」
「…嫌だよ。才人は全部背負い込むから。私も一緒に背負わせて?」
そんなタバサに、才人は優しく声をかける
「タバサ。ありがとな。俺の背中はタバサに任せる。タバサが守ってくれるなら、俺は安心して前を見れる」
「…うん」
次いでルイズにも声をかける
「ルイズ」
「ひっく……何よ?」
「今は無理でも、一歩ずつ進むんだ。タバサが辛辣なのはな、ルイズより先に、社会に出て苦労したからだ。ルイズも社会に出れば解る」
「でも、二人共思春期だ。恋路が一番大事な年頃だ。だから大いに恋して悩め。ほんの少しだけ人生を先に行く、枯れた男の戯言だけど、道程に迷ったら、参考にしてくれ」
「……うん」
「タバサ、服着て。昼飯に行こうぜ」
「うん」
タバサはすっくと立ち上がり、着替えを取り出して才人に渡す
脱いだ奴は埃まみれになってしまった
「着替えさせて」
「了解。お姫様」
才人はルイズから離れタバサを着替えさせる
ブラウスが汚れたのでセーラーだ
「さぁ、片付けは飯食ってから。混む前に行こうぜ」
こくり
二人して才人の袖をひっ掴み、食堂に三人で向かった

*  *  *


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Last-modified: 2011-03-28 (月) 10:58:16 (4777d)

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