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Last-modified: 2011-04-11 (月) 10:21:39 (4757d)

(プライバシー保護の為、音声を変えてお送り致します)
あらやだ、また私にインタビューしちゃうの?
もう、本当にトレビアン!!
は、いけないいけない
そう言えば、この前アカデミーの研究員さん達が来たのよね
全員女性だったので、何で私の店なのかしら?
そしたら、ガラの悪い男に絡まれるのが面倒だからって話なのよ
金髪眼鏡の貴族様に、声を掛けようって勇者は居ないと思うんだけどねぇ
私が席に着いて適当に話を聞いたら、もう一人の女性が私に小声で話かけたのよ
「貴方の想像通りよ、困るのは私ね」
あ、成程
確かにもう一人の方は、物腰も柔らかで素敵よねぇ
そんな中で、二人は乾杯を交して、酒を片手に語り始めたのよね
「ぷはっ、やっぱりカトレアのスパークリングワインは最高ね」
「あら、そうなの?エレオノール」
「えぇ、この店選んだ理由の一つよ」
「あらあら貴族様、フォンティーヌの縁の方でしたの?」
「えぇ、領主は妹よ」
「では、まさか……」
「それ以上は言わなくて良いでしょ?」
まさか、あの大貴族が私の店に来て下さるなんて
ミ・マドモワゼル感激!!
「本当に、トレビアン〜!!」
「良いのよ」
あぁ、素敵ですわ
でも、なんてキツイ眼をしてらっしゃるのかしらね
折角美人なのに勿体無い
そんな中、もう一人の貴族様がご来店されたんです
「あら、いらっしゃいませ妖精さん」
「ふん、こんな下世話な店、指定しないで下さる?」
「あら、来たのヴァランタン。来ないと思って始めてるわ」
「ふん、やっとゴンドランの糞爺の御守りから開放されたのよ。あんまし、そう言わないで貰える?」
「妾が何を偉そうに」
「……ヴァリエール。言って良い事と悪い事の区別もつかないの?」
「ふん、で、どっちなのよ?」
「ノーコメント」
「つまり、キープって訳?全く、男なら誰でも良いのね」
「あぁら、貴女の記録には、とてもじゃないけど敵わないわぁ」
なんて言うか、竜とヒュドラの睨み合い?
もう、酔いも醒めちゃうわ
私が冷や汗足らしてると、もう一人の貴族様が仲裁してくれたんです
「ほらほら二人共、折角のお酒が不味くなるじゃない。今日はそういうの無し、解った?」
二人して、大人しくなったみたい
「マダム、おかわり」
「私はアルビオンのウィスキー、ロックで」
「はい、毎度あり」
何で妖精さんがやらずに、私が接客してるかですって?
こんなおっかない貴族様に粗相したら、妖精さん達の首がリアルに危ないじゃない
男性貴族は下心有るから柔らかいんだけど、女性貴族は逆に危ないのよね
同性だから容赦無いのよ
皆びびって、カタカタ震えちゃってるんですもの
ほら、私なら諦めがつくから構わないのよ
何か有ったら娘よ、妖精さん達を頼むわね
そんな中、別の席でドカンと、男性客が宙を舞っちゃいました
えっとあれは、グラモンの隊長さんよねぇ?
今日来てたっけ?
「こんの、馬鹿たれ〜〜〜〜!!」
あら、この声はミシェルちゃんじゃない
「痛ってぇな、ミシェル。魅惑の妖精亭で奢れって言うから、わざわざ隊員連れてやって来てんじゃねぇか。ちったぁ、楽しませろ!!」
「マダムが喜ぶから隊員連れて来たのは感謝するけどさ、私を目の前で熱心に口説きながら、妖精さん迄侍らせて口説いてんじゃない!!」
「其がグラモンだ、たわけ」
「いっぺん死ね!!」
あらま、綺麗な回し蹴りが決まったわね
あれ、暫く復活出来ないんじゃない?
あらま、周りからゲラゲラ笑い声が聞こえて来たわ
「ゲラゲラゲラゲラ」
「さて、隊長が後何回殴られるか、賭けるか?妖精さん達、当てたらチップ倍増だ」
「本当ですかぁ?」
「おぅ、どうせ隊長の金だしな」
流石は私の娘、すっと妖精さん達全員に回して賭けてるわ
そんな様を見てた三人が、ふぅっと溜め息付いてるわ
「何よ?ジェラール来てるじゃない」
この声はヴァランタンって呼ばれた貴族様
「全く、魔法学院時代から変わらないわね。アイツ、年下の癖に熱心に口説いて来たのよねぇ。可愛いったらありゃしなかったわ」
この声はヴァレリーって人
「え?私は無いわよ?」
金髪の貴族様がそう言うと、二人して目が点になってるわ
あらま、あのグラモンの隊長さんでも無しですか?
ちょっと凄いわね
「あの頃のジェラールは、チェリーで可愛いかったのにねぇ」
「何か、いやぁな言い方ね、ヴァレリー」
金髪の貴族様がそう言って
「あ、まさかヴァレリー、貴女がジェラールの初めての相手じゃないでしょうね?」
ヴァランタンって貴族様が確認しちゃってます
「んっふっふっふ〜」
にこにこ笑ってかわしてるわね
うっわぁ、ヴァレリーって人、一番怖いタイプだわ
「全く、アンタは何時もそうね。その上で結婚した相手が名もない下級貴族ってんだから、世の中判らないわよね」
「べっつっに良いじゃなぁい?私は旦那の事好きよ〜」
ふむふむ、一人は妾(?)で一人は結婚してて、一人は独身と
なんか面白い取り合わせね
「下級貴族なんか目じゃないわ、なんて言っても、私の婚約者は、伯爵よ〜?」
あらあら、金髪の貴族様にも婚約者が居るのね、なんて勇……ゲホンゲホン……いえ、素晴らしい事でしょう?
「ふん、どうせまた破談でしょ?また、笑わせてくれるのね」
「だったら貴女も婚約位してみなさい。ヴァランタン」
「何よ?どうせ貴女のお父様の差し金じゃない。自分の手柄の様に、言わないでくれる?」
「……えっと、伯爵の名前は?」
「あら、ヴァレリーには言ってるじゃない。バーガンディ伯爵よ」
三人共話に興が乗って、お酒と食べ物が進んでるわね
「新しいのお付けします?」
「油モノは抜いてね。太るから」
「承知しましたわ、ミセス」
流石に貴族様は皆様美容に気を使ってますわね
肉体労働のミシェルちゃんとは違うわぁ
あら、グラモンの隊長さんが起きたらまた殴られてるわ
あの人平気なのかしらね?
隊員達がまた笑ってるから、平気なのかしら?
ハイテンションなコミュニケーションだこと
おっと、此方のテーブルに集中々々
「……ん〜と、そのバーガンディって人?止めた方が良い様な?」
「何よ、ヴァレリー。あんたいっつも反対してるじゃない?私に恨み有るの?」
「……無いわよ。ただ、なんとなく」
「あぁら、ヴァレリーの忠告は聞くモノよ?今の所、的中率100%じゃない」
「ふん。次こそハズレよ。そして最高の大外れ。あのお方こそ私の運命。おぉ、始祖ブリミルよ、今までの試練は、全てバーガンディ伯爵との巡り会わせの為に有ったのですね?神の御心に添わぬ相手だから、破談したのですね?神よ、感謝します!!」
あらあら、身振り手振りで演劇始めちゃったわ
ちょっと痛いわね
「まぁた、始まった」
「毎回言ってるわよね、これ」
テーブルに肘付いて、二人してたっぷり溜め息吐いてるわ
気持ちが、すっごく解るわあ
「あの、御三方の御関係は?」
「ああ、魔法学院時代からの腐れ縁よ。私達皆、そのままアカデミーに就職したの。本当はもう一人居るんだけど、アッチに居るジェラールの兄の嫁さんになっちゃったのよね」
「へぇ、そうなのですか」
「主席研究員になるのは凄い大変なの。就職出来ても8割が脱落、一生平役が一割九分、残りがやっと主席研究員になれるの。私とエレオノールは、主席研究員」
「ヴァレリーさん、詳しい説明有り難うございます」
ちょっと、この人達、超エリートじゃない
「あら、構わないわよ。でもね、レティシアったら、主席研究員の最短就任記録を塗り変えてたのに、辞めちゃったのよねぇ。あ、その後、私が塗り変えたけど」
ヴァレリーさん、さりげなく自慢してるわ
「皆様、優秀な方なのですね」
「そうよ。主席研究員の定員は僅か30名、評価に家名は関係無く、実績のみで下される。主席研究員の椅子は成績が悪ければ、平役と入れ替わりがあるの。でも私達は一度も降格無し。これは中々達成出来ない偉業よ?」
「ヴァランタンは別よ。なんせコイツ、アカデミートップの秘書だから」
「ふざけないでよ、ヴァリエール。秘書だって異動有るわよ。若い娘入れば、私だってどうなるか解らないわ」
凄い競争社会なのね
貴族の名誉も大変ねぇ
すると、ヴァレリーさんが時計を見てから言ったんです
「悪い、用事有るからごめんして。代わりに、此処までのお代持つわ」
そう言って、席を立ってしまいました
「全く、アンタは何時もの事よね。じゃあ旦那さんに宜しく」
そう言って、二人はミセスに手を振ってました
其を見てた私に、妖精さんが来て囁いたんです
「ミ・マドモワゼル。衛士隊の皆様の呑みっぷりが、半端じゃ無いです。酒蔵が後一時間持ちません」
「あら、困ったわね。じゃあ、私が仕入れて来るから、後宜しくね。ジェ〇カなら、そつなくこなせるわ」
「はい」
「私も用が有るので失礼しますわ」
「あら、残念ね。ヴァリエールの破談話を、沢山しようとしてたのに」
「ふん、アンタのもてなさっぷりも大概よね」
う〜ん、大丈夫かしら?
私が立つと、娘も席を立って連絡です
「頼むわよ」
「任せて」
さて、私が外に出て酒屋に樽を仕入れる為に荷車引いていたら、先程のミセスが、噴水前に居たんです
あら、旦那様と待ち合わせかしら?
熱々で羨ましいわ
すると、一人の男性貴族が駆けて来たんです
「待たせたね、済まない」
「あら、構いませんわ、伯爵」
え?伯爵?
確か旦那って、下級貴族って言ってたわよね?
何で爵位持ち?
「では行きましょ。夜は短いのよ?」
「そうだな。僕のヴァレリー」
そう言って、宿屋街に消えてしまいました
……見てはイケナイものを見てしまったわ
忘れましょ
そうして酒屋から酒樽を仕入れて戻って来ると、貴族様と私の娘が肩組んで騒いでるわ
「「男なんて〜〜」」
「男なんてぇ」
「「皆馬鹿モノだ〜〜!!」」
「馬鹿モノだぁ!!」
「話が解るわね、妖精ちゃん」
「有り難うございます!!」
「私達からの奢りだ、飲め!!」
「はい!!頂きます!!」
任せて大丈夫そうね
あらあら、チップ迄弾んで貰ってるわ
流石私の娘、酔っ払い扱わせたら、店内一は伊達じゃないわね

そんなこんなで夜も更け、貴族様達は帰ったと言うか、二人して潰れたから、女性客御用達の宿屋に連絡して引き取って貰って、閉店迄衛士隊の皆様は馬鹿騒ぎ、そのまま勤務ですって
無尽蔵の体力よね
「ふぅ、今日も終わったわ」
私は閉めた店の前で朝日を浴びながら、汗を拭いて、妖精さん達はアフター以外は就寝
アフターで何をしてるかは関知しないわよ?
本当に、そのまま結婚退職する妖精さんも居るから、邪魔は野暮と言うモノよ?
さてと、衛士隊の皆様が大量に消費したせいで、また補充しないと
私はまた荷車をゴロゴロと引いて行くと、またミセスと遭遇しちゃいました
「もう逢瀬も終わりか。名残惜しいよ」
「あら、お上手ね。バーガンディ伯爵」
「君の水になら、僕は喜んで溺れてみせると言うのに。酷い言い草だ」
「エレオノールに言って下さらない?」
「おぉ、よしてくれ。今日はあの女帝のご機嫌取りを、一日しなきゃならないんだよ?今から、憂鬱にさせないでくれ」
「私の友達の悪口を言わないで下さる?」
「おぉ、ごめんよヴァレリー。僕の胸の内を見せられるなら、見せたいよ。君の旦那から、決闘して奪いたい位だ」
「殿方は、皆そうおっしゃるのね」
「僕は本気だよ。では愛しの人よ、また」
「えぇ、また」
そう言って頬にキスをして、行ってしまいました
そして私の姿を見た瞬間、にっこり微笑んでます
「あら、見付かっちゃった」
杖を握って、しゅるりと水を出してます
ヤバい、私の人生も終わりね
娘よ、後は頼むわね
私の首に水が巻き付きます
「さて、マダムの取る路は二つ。黙って私の共犯になるか、死人に口無しになるか、どっち?」
「…共犯になるとどうなるの?」
「内情教えてアゲル。ウィ?ノン?」
私はまだ死ねないわ
だって、娘の花嫁姿を見ていないもの
「ウィ……よ」
すると、ミセスが水を解いてくれます
「賢い選択ね」
ふう、生きた心地しなかったわ
「で、寝取りの何処が内情なの?」
「あら、私は一度も自分からアプローチした事無いわ。エレオノールが恥ずかしがって、顔合わせに付き合わされたり、一緒の所に会うと、毎回男からアプローチして来るのよ。私が愛してるのは旦那だけよ」
「一度も?」
「えぇ、一度も無いわ。杖に掛けて誓う」
貴族の杖に掛ける誓いは重いわね
違ってたら、彼ら自殺しちゃうもの
「信じるわ。でも何故受け入れるの?」
「一番被害が少ないからよ」
「……どういう事?」
「最初の内は拒んでたのよ。でもね、そしたら決闘になって、どんどん死んでいったの」
「……嘘」
「本当よ。だから受け入れたら、決闘は起きたけど、そんなに大きい被害が出なくなったのよ」
「……魔性の魅力ね」
そう言ったら、寂しそうに微笑んじゃった
「嫌よ、こんなの。毎回勝手に取り合って、勝手に殺し合って。私は、旦那が誰よりも好きなのに」
あぁ、涙を流しながら笑ってる
「あの娘の為に内緒にしてね。お願い」
「えぇ。で、彼女の元婚約者達は、何人生き残ってるの?」
「くすっ、半分位かしら?決闘禁止令のお陰で、全部事故死や病死や戦死扱いだから、あの娘達は知らないわ。生き残りは自分の領地に引っ込んでる。わざわざトリスタニアに来て、宮廷政治に参加する元気は無くなったみたい」
「……誰にも言わないわ」
「えぇ、お願いね。行方不明増やしたく無いのよ」
……やってるんだ
「……目撃者全員?」
「ご想像にお任せするわ」
そう言って、去って行きました
貴族社会の闇を見ちゃった
皆も私が言ったって事、絶対に内緒よ?
じゃないと、私と一緒に闇から闇に葬られちゃうわ

*  *  *


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