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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:57:37 (5617d)
32 名前:サイト×アンリエッタ[sage] 投稿日:2006/11/07(火) 00:24:59 ID:3+OOSXmo
アニエス…感謝します…
既に夜が始まる時間となっていた。アンリエッタは街の灯りと、妖しげな雰囲気に飲まれそうになりながら、小さな路地を駆けていく。
長く美しい髪を結い、長袖のブラウスにコートを羽織れば、近付かれない限りそうそう一国の女王とはわからないだろう。
大衆に紛れるには美人過ぎるのだが、そんな事を考えずアンリエッタは傍らの男の袖を引っ張り、夜の街へ駆け出していた。
「嘘みたい…またこんな事が出来るなんて…」
はやる気持ちが声に出ている。サイトは少々たじろいでいるのだが、
いつも苦労してるもんな…
と思い、相変わらず腕を組んでいる相手に流されるままでいた。
今夜はアンリエッタの息抜きとして、アニエスが気を利かせたものだ。つまり、デート。
サイトが相手となったのは当然、アニエスが二人の仲を知っていたからであり、アニエスが色々思案した結果、アンリエッタに一晩の自由が与えられたと言う事だった。
落ち着いた見た目とは裏腹に、アンリエッタははしゃいでいるようでなかなか足を止めない。
この時間に開いている店など「そういう店」しかないせいか、どの店も妖しく輝いて見えるのだ。
「ひ、姫様、ちょっと落ち着きましょうよ!」
「今はその呼び名はいけません!アンです!」
アンリエッタはやっと足を止め、サイトの方を振り返った。目は少女の様に輝いているのだが、その口調は強い。
「で、でもそろそろこの辺で落ち着きたい…」
「…え?」
肩で息をしながらサイトは周りを見渡し、自分の言った事の、アンリエッタがどう捉えたかの意味を悟った。
周りは、「そういう」宿。窓から漏れる光は恋人達をその気にさせる、そんな通り。
「サイトさんったら…もう…」
アンリエッタは手を頬にあて、恥じらうように視線を向けた。
「…いいですけど…しちゃうん…ですか?」
「あ、違う!そーじゃなくて!」
「…そーじゃなくて?」
まんざらでもなさそうな顔をひっこめ、オウム返しに問う。
「その…ゆっくり二人きりで夜の街を歩くのも…いいと思いますよ?」
「…そうですわね。すみません。あなたにお任せしますわ」
アンリエッタはペコリと頭を下げると、体を寄り添わせた。
本当の所はサイトと一緒ならばどこでもいいのだ。
サイトは緊張しながらアンリエッタの肩を抱き、複雑に入り組んだ道へ向かって行った。
代わりにはなれませんが…アン様…続きますorz
59 名前:サイト×アンリエッタ[sage] 投稿日:2006/11/08(水) 00:31:40 ID:GQhirUNz
>>32
「アン?寒くない?」
「ええ。サイトさんのお陰で…」
アンリエッタはサイトのコートの中に入って歩を進めていた。
温かなサイトの体温を感じ、うっとりとした瞳で身を寄せている。
愛しい人と、街を歩く始めての経験に酔っていた。
開けた場所に出た。広場の中央には噴水があり、その水に月が歪んで見える。
少し高い場所なのか手すりが存在し、その向こうには、もうすぐ寝静まろうとしている街が見えた。
少しだけ水の散る噴水の周りを通り過ぎようとした時、アンリエッタがふと、足を止めた。
「…サイトさん?」
「なんですか?」
「何か聞こえません?」
二人が行こうとした道とは別の細い路地から、確かに、何かくぐもった音が聞こえた。その道の方に目をやると、闇で塞がっていてよく見えない。
「なんですかね?」
「ちょっと…覗いてみましょうか…」
アンリエッタの好奇心が勝ったのか、サイトの腕を引っ張る様にしてその闇の中に進んでいく。
少しずつその音…声がはっきり聞こえて来た。
突き当たった所にもう一つ曲がり角があり、そこから首だけを出してその先を覗いた。
60 名前:サイト×アンリエッタ[sage] 投稿日:2006/11/08(水) 00:33:07 ID:GQhirUNz
しばしそれを見た後、二人は急いで噴水の前まで引き返した。
二人「は」何もしていないのだが、お互いが動揺した事はわかる。
「すごかった…ですね…」
「俺…まだまだ…」
サイトは今までの、自分がアンリエッタとして来た「コト」を振り返った。先程、暗がりで見たカップルと比べて。
あれが…大人の…
スゴいキス。それがサイトの感想だった。
男女が外で、というのは珍しい話では無い。彼等からすれば世界は二人の為にある様なモノで、周りが見えていないのも仕方が無いだろう。
ただ、まだ少年少女とも言えるこの二人には衝撃的な光景だった。
女の方はされるがままに体を任せていたが、その声には明らかな艶があった。
男の方は女を抱きすくめたまま唇を重ねていたが、その絡みが、サイトたちとは比べ物にならないほど激しかった。
サイトがぼんやり回想していると、アンリエッタが近付いて来た。
どこか遠慮がちで、情熱を秘めた瞳。上目使いは大抵、彼女が男女としての何かを求めた時の瞳だ。
「サイトさん…?」
「…?」
「私たち…まだまだですね…」
「…はい」
サイトは自分の、アンリエッタの愛し方が先程のカップルに比べて余りにも拙すぎるので、
アンリエッタをがっかりさせたのだと思った。が、アンリエッタの瞳は何かに目覚めたかの様に輝いている。
「サイトさんも…うまくなりたいのでは?」
「…はあ…」
アンリエッタが何を言いたいのか、サイトは図りかねていたが、アンリエッタはそのまま、小さな声で言葉を続けた。
「だから…ですね…」
「はい?」
「その…」
「…何ですか?」
「…練習…しませんか…?」
「…」
「私が相手になりますから…サイトさんは思う存分練習して下さって結構です…」
217 名前:サイト×アンリエッタ[sage] 投稿日:2006/11/10(金) 23:10:42 ID:BmFC3LZc
>>60
「ん…」
「ふぅっ…」
深夜と言われる時間になっていた。
朝帰りをアンリエッタは認められていたが、流石にいつまでも外で…と言うわけには行かないだろう。
例え着込んでいようとも、服の隙間から入る寒気は冬を感じさせ、外で夜を越せば死んでしまうかも知れない。
それでも二人は街を見下ろせるベンチに座り、噴水の音を聞きながら、延々とその行為を続けていた。
「あ…少し上手くなりましたね…」
「姫様…わかるんですか?」
「ええ…だって…」
唾液で濡れた、薄桃色の唇をなぞった。
「サイトさんで…いっぱいって感じがします…」
「…んっ」
サイトは何度も、唇と唇をふれ合わせた。その一回一回が、深く、長いキス。
例え下手でも、舌を絡めようとすれば絡め返して、唾液を送りこめばコクリと飲み干した。
アンリエッタの懸命な「お返し」に、サイトの方が魅了される。
「…おい…し…」
「まだ…しても?」
「もっと…いいですよ…」
サイトに唇を支配されている事。それがアンリエッタには嬉しかった。
サイトに何もかも捧げたくて、仕方がないのだ。
サイトの片手が、服越しにアンリエッタの胸に触れた。美しい膨らみの形をその手が崩していく。
ガマンできない…
手は、その欲望に応える様にアンリエッタの胸を弄ぶ。
ふいに、突起の部分を布越しに擦ると、アンリエッタの動きが止まった。
「…ふぅっ」
硬さを帯びていくソコを、サイトは何度も弄っていく。
「サ…サイトさん…」
耐えきれず手で押しやり、アンリエッタは距離を離した。
紅くなった頬。
濡れきった唇。
何よりもすぐに反応してしまった胸が、アンリエッタに取っては恥ずかしかった。
服の中ではピンと張ってしまった、その突起をサイトに気づかれている。
「あ…ゴメン」
「もう…」
少し怒った様な表情を見せ、平静に戻ろうとした。しかし、胸の高鳴りと、相手が欲しいという欲望が止まらない。
遠慮がちに呟いた。
「…早く宿を探しましょう…」
「え?」
「私も…その…だんだん我慢できなくなってしまって…早く愛して頂きたいのです…」
「…」
「こ、今宵も存分にお相手して下さいますか?」
「…ええ」
「どうか好きなだけ…よろしくお願いします…」
胸を高鳴らせて、今夜の自分を「お願い」した。
続く?終わり?…悩んでますorz