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Last-modified: 2008-11-10 (月) 22:57:53 (5639d)

680 名前:1/2[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 17:38:46 ID:rPTsxrVi
「ねぇデルフー」
「ん。おや、相棒の娘っ子じゃねぇか。どしたい?」
「もー。私にはマリーって名前があるんだから、いい加減覚えてよねっ」
「あーわりーわりー。オイラ物覚えが悪くってねぇ。んで、今度はなんだい」
「いっつもそう言って、全然覚えてくれないんだから…」
悪気があるわけじゃねぇんだが、で、聞きたいことは何だろね。
「父さまって、体じゅうすっごい傷だらけなのどうしてかなーって思って」
ああ、確かアルビオンで七万止めたときのやつだっけ。…まぁ、「躾」の生傷は今でも絶えないみてぇだが。
「何で笑ってるの?」
「ああ、すまんすまん。ってか、いつも思うんだがどうして相棒に直接聞かねぇんだい?」
この子は何かあると決まって俺に聞いてくるからなぁ…。
「聞いたよー。けど、父さまただ笑うだけで話してくれないの。ねー、あれってもしかして…母さまが付けたの?」
ま、まぁあんな夫婦喧嘩をいつも見せられてる身にしてみりゃ、そう思うのも無理ねぇかもな…。いや、さすがに怪我の程度が違うか。
「そう思うのも無理はねぇ気もするが、それはちげぇな。あれは…そうかもう10年も前になるのか」
6000年生きているとはいえ、この10年はほんっと色々あったからなぁ…。
「デルフ?」
「おおすまねぇ。なに、年食っちまうと色々思うところあるんでな」
「じじくさーい」
「そう言うなよ、これでも気にしてんだぜ?」
ほんとは、今更気にするも何もねぇけどな。
「あの傷は、お前さんが生まれるより前に話が遡るんだ」
「へえぇ。じゃぁ、父さまと母さまが出会う前?」
「いや、それよりは後だが。半年とちょっとくらいだっけか?」
最近は思い出すことも少なくなったな。懐かしいもんだ。
「ね、どんなことがあったの?」
「ちっとばかし長くなるかも知れねぇが、いいかい?」
「うん!私デルフのお話聞くのすきー」

「ふぇ…」
「な、泣くなよ」
「そ、それでっ。父さまは死んじゃったの?」
そんなんじゃ俺が泣かせたみたいじゃねぇか。えぐえぐ言ってないで早く涙を拭きな。
「死んじまってたらお前さんも生まれてないだろ?大丈夫だって」
「うん。…それからどうなったの?」
「その時は、もう相棒は動ける状態じゃなかった。もうボロボロだったからな。でな、」

「へえぇ、テファおばちゃんとその時知り合ったんだー」
「そゆこと」
おばちゃん、ね。まぁこの子からみればもうそんな歳かねぇ。
「じゃぁ、今度テファおばちゃんにありがとうって言わなきゃ」

681 名前:2/2[sage] 投稿日:2006/11/20(月) 17:40:23 ID:rPTsxrVi
「と言うわけだ。分かったか?」
「ほえー、父さまって実は強かったんだ…」
「おいおい、なんたってガンダールヴだぜ。地上最強って言えるだろうな」
「がんだーるぶ?」
そういうことは話してないんかな。
「ガンダールヴ、神の盾。最強の使い魔よ」
「ふーん。でも、父さまって母さまと喧嘩したときはいっつも負けてるから、…やっぱり母さまが最強なのかしら」
いたずらして叱られた時のことでも思い出してるんかね。まーた涙目になってら。
「ま、使い魔が主人に勝つ道理はないやね。…そうでなくても勝てそうも無いか」
「デルフまた笑ってるー」
「あの二人いつ見ても面白いからな」
「そう?母さまがいっつも父さまを怒ってるだけな気がするけど。あ、でも母さまがこないだいじめられてた」
「へ?」
どんな状況なんだろ…。なんか嫌な予感がするんだが…。
「この前の夜にね、おトイレ行きたくなって廊下を歩いてたら、父さまと母さまが寝てる部屋から母さまの泣き声がしてて、覗いたら父さまが母さまをいじめてたから私やめてって言ったの。そしたら二人ともすっごい慌てて…。あ、父さまの体の傷はその時知ったの」
それはもしかしてあれか?アレなのか?
「ね、デルフ。父さまが言ってた『ルイズはここ弄られるの好きだよね』って、どういうこと?」
やっぱりー。
「父さま、母さまの弱点でも握ってるのかしら」
ある意味それは正しいが。
「えとなマリー。それは別にいじめてたわけじゃなくてだな…」
実はナニしてたんです、泣き声じゃなくて啼き声なんです。なんて言えねぇしなぁ…。
しっかしあの二人…。
「三人目も時間の問題かねぇ」
「三人目?」
む、声に出しちまってたか。
「三人目ってなぁに?」
「いや、マリーの妹か弟がそのうち生まれるかなー、ってな」
「えー!それほんと!?ね、ねねっ。いつ?いつ生まれるの?」
「さ、さぁいつかまでは…」
「母さまに聞いてくるっ」
「あ、おいマリー。…行っちまった」
ちっと口が滑ったかな。ま、いいか。それにしても、もういい歳だろうにいつまでたっても相変わらずだなあの二人は。
…おお、厨房の方からなにやらどんがらがっしゃんと。こりゃまた虚無の担い手とメイド長の大戦勃発だろうな。
「今度は何なんだ…」
そして、すべての元凶が現れると。
「よお相棒」
「何だよ」
「平和だねぇ」
「どこがだ…」
そんなに落ち込むなよ。俺はこんな日常が、ほんとに気に入ってんだから。
「「サイト(さん)!マリーに一体何話したのよ(んですか)っ」」
「し、知らないよ」
相棒もつくづく苦労人やね。

fin


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