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Last-modified: 2008-11-10 (月) 23:00:55 (5638d)

異端審問事件の後ティファニアの人気は全学院レベルになった。

 ある日の昼食、テファの周りには数十名の学生が男女を問わず取り巻いている。
「今度の虚無の曜日遠乗りに行きましょう」「あなたのために詩を書いてきましたわ」
などの声が離れたテーブルにいる才人達に届く。

「以前よりも取り巻きが増えたなあ」
「当然だね。あれ程の事をされて『お友達になりましょう』なんて言えるのは、この学院いやハルケギニア広しと云えど彼女しかいないだろう」

「だろうな。誰かさんもテファの半分、いや十分の一でも心が広ければ痛い思いをしなくても済むんだがな」
「百分の一でも十分だろう」

わははは・・と才人の周りの水精霊騎士隊連中が笑う。

「とはいえ助け舟を出してやりたいんだが、なにかいい手は・・」
 タバサが目に入り、才人は閃く。
 相談すると「わかった」と快諾してくれた。

「テファ今度の虚無の曜日、子供達に会いにトリスタニア修道院に行かないか?タバサに『シルフィード乗せてくれ』と頼んだら引き受けてくれたからさ」
「本当!うれしい!!でもサイト馬持っていなかった?」

「持っているけど、テファを乗せたらうまく走れないと思うから」
「どうして?」
「えっ!えーとね、そのね、テファを後ろに乗せるとね、そのー胸がね、そのー当たるとね、うまく走らせられないし、前に乗せると視線がそのー胸にね、いっちゃうからやっぱりうまく走らせられないんだよね」
 周りの男子から「あっ!」という声がした。才人の言ったことを即座に理解した様だ。
(この後、テファに遠乗りのお誘いは激減した)

「じゃあ出発は、9時でいいか?シルフィードなら1時間かからないし」
「うん!いいよ。じゃあ私お弁当作るね!3人分でいいのかな?」
「ああ、いいんじゃ・・」
「ねえ犬」
 ドスの利いた聞きなれた声が聞こえた。

「あんたてっばほんとに種まきに余念がないわね。きっ聞こえたわよ『胸が』『胸が』てね。やっぱりあんたお乳が大きい方がいいんだ、大きければ大きい程いいんだ!」

「ちょっと待てー。人の話はちゃんと全部聞けー。お前の悪い癖だぞ。いいか、俺はなテファをに助け舟を出しただけなんだ。やましい気持ちは、これぽっちも無いからな」

「そうやって今まで何人の気を引いてきたと思っているの?あんたにそのつもりが無くても相手がそうじゃない場合が多いじゃない!」

「確かにそうかもしんねぇけどよ、子供達だってテファに会いたいだろうし、そんなに目くじらたてんなよ」

「分かったわよ。じゃあ私も一緒に行く。いいわよね?」
「テファ、いいか」
「うん。もちろん」
「いいてっさ」
「まったくこの犬てっば、ご主人様に何のお伺いも立てずに決めちゃうだから。ふっんとに」

 当日 才人は、いつもより早く目が覚めた。ルイズは爆睡中であったが、まだ早いので起こさずに食堂に向かった。
 そこで才人は異様な光景を目の当たりにした。休日の早朝にも関わらず食堂がほぼ満員なのだ。
「あれっ?俺日にち間違えたっけ?」不安になり近くの人に聞くと「虚無の曜日ですよ」
 間違いじゃない。ではこの状況はなぜ?厨房にシエスタの姿が見えた。
「シエスタ」
「あ、サイトさん、おはようございます。早いですね、まだ6時位じゃないですか?」
 忙しそうに何か作っている。
「おはよう。何作っているの?」
「今日、貴族の皆様が、大勢トリスタニア出かけるとの事でお弁当を作っているんです」
「こんなに早く?」
「ええ、何でも10時くらいには着きたいとか。馬車だと4時間近く掛かりますから」
 10時にトリスタニアだと?まさかこいつら全員・・
 そうこうしているうちに食堂は、がらがらになった。

 暫くして才人が食事をしていると、ギーシュ達がやって来た。
「おはようサイト」
「ああ、おはよう。めずらしいな、休日にこんなに早く起きてくるなんて」
「目的地は君と一緒さ。尤も僕らは馬だから君らよりは先に出発しなきゃならんがね」
「何しに行くんだよ?」
「金色の妖精と天使の戯れる姿を見にね」
「モンモンに言いつけるぞ」
「安心したまえ、モンモランシーは僕と一緒に行くから」
「暇なやつらだなあ」
「いいじゃないかね。尤も他の連中は、『将を討たんと欲せばまず馬を射よ』だろうがね」
「まったく」
 ギーシュ達と無駄話しながら食事をする才人であった。

 さて「眠り姫」を起こすとしますか。
「ルイズ、ルイズ朝だぞ、起きろよ」
「今日は休みよ!もう少し寝る」
「わかったよ。俺たちだけで修道院へ行ってくるよ」
 と言うとベットから飛び起きた。
「ちょっと今何時よ!」
「8時くらい」
「もっと早く起こしなさいよ。時間無いじゃない」
「余裕じゃねぇか」
「女はね、準備に時間がかかるの」
 6時頃出発した連中は、一体何時に起きたんだろう?と考える才人であった。

 準備万端整って部屋を出ると、ルイズは立ち止まり部屋に戻って何かを持ってきた。
 それは「始祖の祈祷書」であった。
「どうしてそんなもん持っていくんだあね」とデルフ
「ここんと『これがあれば』ていうことが続いたじゃない。念のためよ」
「さよけ」
 
 9時近くになり中庭に出ると、テファ達以外にベアトリクス率いる空中装甲騎士団がいた。
「何してんだ?」
「ティファニア様の護衛に決まってますわ」
「まさか一緒に来る気か?」
「当然ですわ」
 遊びに行くんだぞ、戦争しに行くんじゃねぇぞと思ったが、才人達の説得なんか聞く訳ないのは分かり切っていたのでこのまま出発した。

 数十分後トリスタニアの街並みが見えてきた。
 テファの顔は、うれしそうに微笑んでいた。
 下を見ると馬や馬車が大量に走っていた。一遍にあんなに貴族が押し掛けたら迷惑どころじゃないだろうに、と思う才人であった。

 程無くして修道院に到着した。
 子供達がこちらを隠れるように見ていたが、テファを見付けると猛然と走ってきた。
「ジャック、サム、ジム、エマ、サマンサ」【7巻 256P】と言ってテファも子供達目がけて走りだした。
「みんな元気だった?病気とか怪我とかしていない?」
「うん!擦り傷は一杯あるけど、みんな元気だよ」
「お姉ちゃん、今日はどうしたの?」
「みんなと遊ぶために来たの」
「わーい、やったー」
 子供達が歓声を上げた。

「あっサイト兄ちゃんも来てる」
「ほんとだ」
「怖いお姉ちゃんも一緒だ」
「竜の上でサイト兄ちゃんとキスしたお姉ちゃんもいるよー」
 ルイズは、ぷるぷる震えていた。タバサは、何時も通りの無表情だった。

「テファ姉ちゃん」
「なあに、エマ」
 エマと呼ばれた少女がテファを引っ張って内緒話を始めた。
「お兄ちゃんともうキスはしたの?」 
 一瞬でテファの顔は真っ赤になった。
「す・・する訳ないでしょ。サイトとは、お友達、お友達なんだから」
「そんな事だとお兄ちゃんを射とめられないよ!私の見た所お兄ちゃん結構モテてるようだけどキスより先に踏み込んでいないみたいだし」
「何でそんなことが分かるのよ」
「だって一番関係が深いのは、ルイズさんでしょ?でもあの様子じゃキスより先に進展しているようには見えないもの」
 随分おませな少女である。その上結構鋭い。
「お兄ちゃん軽そうに見えて結構堅物ぽいから本気で攻めないと落とせないよ」
「落とすだなんてそんな・・」
「私達はお姉ちゃんの味方だからお姉ちゃんに協力するね」
「何するつもり?」
「へへへ・・内緒」
 どちらが年上か分からない会話であった。

 所変わって1週間前の黒い森(ガリアとゲルマニアに跨る超広大な森・・外伝1巻)
 その上空にガーゴイルに乗った一人の女がいた。
 「この森に生きるドラゴン達よ。トリスタニアを破壊せよ」と言ってルーンが輝き、アンドバリの指輪から雫が眼下の霧深い森に落ち、一瞬森を覆う霧が紫色に光り、その後森に棲むレッサードラゴン達がトリスタニア目指して動き始めた。
 その数およそ100頭。
「あんたは、先頭に立って霧を発生させながら飛んで行きな」
 と言って一頭のドラゴンに雫を垂らした。
 このドラゴン、普通のドラゴンではなかった。全身が黄金色に輝く全長100メイル以上のゴールドドラゴンであった。
「ヨルムンガントの改良型が完成するまでこいつらと遊んでな」
 と言ってほくそ笑んだ。

 再び修道院。
 今ここでは壮大な鬼ごっこが繰り広げられていた。
「何が悲しくてこの年で鬼ごっこしなきゃいけないの?」
「主役は子供だからな」
「ふっんとに」
「ルイズ、君は鬼ごっこ大好きじゃないのかね?」
「何でよ」
「しょっちゅうサイトと…ぐえっ」
 ギーシュは、一瞬で突っ伏した。

 今ここでは、テファの気を引こうとしている(色々な意味で)数百人の魔法学院生が訪れている。中にはルイズと同様に鬼ごっこに嫌気の差した者、これでは点数が稼げないと思った者達が、レビテーションを使ったり、自分の使い魔を使って遊び始めた。

 一方肝心のテファは、子供達と才人を交互に見ていた。
 子供達が何をしでかすか気が気ではなかったのだ。
「サイトに迷惑掛けないでよね。嫌われるようなことしないでよね」
と他の事は、全く目に入らなかった。

 同日午前8時頃トリステイン王宮
「陛下、数日前より東方で発生している濃霧ですが、自然の物ではないようです」
「どういう事ですか?」
「簡単に申しますとトリスタニアを目指しているようです」
「なんですって!」
「軽率かもしれませんがガリアが攻め込んで来ていると思われます」

 ガリアならあり得るわね。

「では竜騎士隊2個中隊を現地に向かわせて、風魔法で霧を飛ばしてください。もし軍隊が隠れていたら無理はせずに引き返し、こちらで陣形を組みましょう。念の為ラ・ロシェールの戦列艦も出撃させて下さい。サー・ヘンリーボーウッド殿の使い魔はこちらに居ますね?彼と使い魔は、視覚・聴覚を共有していますから直ちに連絡してください。出撃出来る戦列艦すべてです」

「陛下、現在王軍は、二千名程しか居ません。もし1万を超える軍勢がいた場合持ちこたえられません。近在の諸侯に派遣要請しては如何でしょう」

 トリステインは、先の戦争から4ヶ月しかたっておらず、そのため財政に余裕がなく余分な兵力を抱えることが出来なかった。

「霧はあとどの位でこちらに来ますか?」

「あと4時間ほどかと」

「では諸侯軍は、間に合いませんね。一番近い所でも派兵まで3日はかかりますから。戦列艦の方は、大丈夫ですか?」

「4時間あれば20隻程来れるかと」
「30隻は来られるようにしてください」
「畏まりました」

 2時間程して竜騎士隊が戻ってきた。皆一様に焦燥と驚きと悲壮が入り混じった状態だった。
「大変でございます。霧の中には、レッサードラゴンの大群が隠れていました。その数およそ100頭程度と思われます。又信じられませんが誘導しているのは全長100メイル以上もあるゴールドドラゴンです」

「そんな有り得ないわ。ドラゴンが徒党を組んで攻めてくるなど。ましてや伝説にしか出て来ないゴールドドラゴンが誘導するなど」

「事実でございます」
 周囲は騒然となった。
 当然だろう。レッサードラゴン1頭で1個中隊(百名前後)が全滅することだってあるのだ。単純計算でも一万以上の兵力(しかも歴戦)が必要で、更にゴールドドラゴンとなると予想が付かなかった。
 メイジにしてもドラゴンは、恐ろしく厄介な存在だ。
 成竜の鱗は、スクウェアメイジでも傷つけられない。
 効果のある場所は、目・口の中など極限られた場所しかない。
 しかもレッサードラゴンはブレスを吐かないので、口を開けるのは、獲物を捕えるときと食べる時だけだ。

 ゴールドドラゴンにしても弱点は同じだと思われるが、なにせゴールドドラゴンと戦った人類は、歴史上存在しないので確証はない。伝説では一撃で山を消し飛ばすだの、強力無比な龍語魔法を使うと言い伝えられてるくらいだ。

 王国・軍首脳部は頭を抱えた。現戦力では全く太刀打ちできないのは明白だったからだ。
「住民を避難させましょう」と言う意見が出た。しかしトリスタニアの人口を避難させられる場所など皆無だった。ドラゴンの襲撃から逃れられたとして、トリスタニアが廃墟と化せば殆どの平民は死と隣り合わせになってしまう。
 ハルケギニアは、街から少しでも離れれば魔獣や幻獣などといつ遭遇するか分かったものではない。彼らにしてみれば、魔法も使えない・武器も持たない平民はごちそう以外の何物でもない。そんなごちそうが、何万と現れれば襲撃されない方がおかしいというものだろう。

 又その脅威以外にも盗賊団や人攫いの集団などの危険も多く存在する。それらに遭わずに無事に親戚などの元に辿り着けるのは、極少数と言えた。
 つまり避難は、見捨てることとほぼ同義なのだ。選択したくても選択できないのだ。
 戦っても逃げても結果はほぼ同じと言えた。

「ミス・ヴァリエールとその使い魔の少年に出撃を要請しましょう」
マザリーニ枢機卿が発言した。
「彼ら以外にこの状況に対応出来る‘力’は、我々には有りません」
「ルイズ達を捨石にするつもりなのですか?」
「そのようなつもりは御座いません。彼らで対応できなければ、我々は全滅するしかありません」
「私はヴァリエール公に『ルイズを戦いの道具にしない』と約束したのです」
「国が滅ぶかどうかの瀬戸際です。ヴァリエール公も理解なさるはずです」
「しかし」
「命令ではなく『要請』です。戦うか戦わないかは、彼らの判断に委ねましょう」
「詭弁です。このような状況で彼らが拒否する筈ありません」
「他に手立てが御座いません。時間も御座いません。ご決断を」
 ………………
「至急ルイズ達に要請を行ってください」
 苦々しくアンリエッタは言った。
「ルイズ達を捨石にしないためにも、こちらも戦闘準備を整えて下さい」
「畏まりました」

 時刻は10時、竜騎士が魔法学院との往復で約2時間弱ドラゴンの到達予測時間は約2時間後、時間的にギリギリね。レッサードラゴンだけなら土メイジの作る土塁で多少は時間が稼げるけど、ゴールドドラゴンは飛んでいるので足止め方法がないわ。なにかいい方法はないかしら?。
 戦列艦で砲撃…無駄ね、ゴールドドラゴンに効く訳ないわ。逆にそのせいで戦列艦が全滅、最悪トリスタニアも全滅しかねないわね。

「陛下、只今市街外郭に土塁と堀を三重に作成を命じました。
 又市街東側地域の住民には、西側に移動するように命じました」

「ご苦労様です。それでどの程度持ち堪えられますか?」
「5分、長くて10分と思われます」
「もっと多く作れませんか」
「数だけならいくらでも作れますが、ドラゴンの突進に少しでも耐えられるものとなると三重が限度です」
「そうですか。ではゴールドドラゴンの足止め方法は何かありますか?」
「残念ながら何も御座いません」
「やはりそうですか」
「申し訳ありません」
「相手が神に等しき力の持ち主だけ人智では無理がありますわね」

「では戦闘配備の方はどのくらいで完了しますか?」
「12時までには完了します」
「分かりました」

 11時50分頃 再び修道院
「辺りがなんか騒がしいなー」
「あんたちょっと聞いてみなさいよ」
「ああ」
「どうしたんですか?」
「王政府の方からね『東の方からドラゴンの大群が来てるから西側に移動しなさい』て命令があったのよ」
「それならもっと安全な場所へ避難しないと」
「どこへ?」
「他の町とか近くの森とか」
「何言ってんだい!護衛も無しにそんな事したら危険じゃないかい。傭兵は皆借り出されて一人も居ないし、着のみ着のまま街から逃げ出したら魔獣や盗賊団の餌食になっちまうよ」
 そうか、ここは日本じゃないんだっけ。危険だらか避難すれば助かる訳じゃないんだ。
「大群てどのくらい?」
「なんでもレッサードラゴンが100頭くらいに100メイル以上もあるゴールドドラゴンだって言う話だったよ。本当かどうか分からないけどね」
「そうですか。気をつけて」

「デルフ」
「なんだね、相棒」
「今のドラゴン、説明して」
「レッサードラゴンっていうのはな、他の竜と違って、空は飛べねーしブレスも吐かねーが、でかくてやたら凶暴だ。相棒が本気を出しても一撃じゃ倒せねーな、せいぜい鱗を斬るので精一杯だーね。ゴールドドラゴンに至っては、傷すら付かないだろーね」
「そんなに凄いのか、ゴールドドラゴンて言うのは」
「ああ、だがそれだけじゃねぇー。ブレスも火竜よりも遙かに強力だし龍語魔法(ドラゴンスペル)というとんでもねぇー魔法つかうし」
「どんな魔法?」
「簡単に言えばエクスプロージョンの何倍も強力だ」
「そんなに?」
「あぁ。けどおれっちもゴールドドラゴンのこと全部知っているわけじゃねぇ。6000年以上生きているが、5回くらいしか見たことがねぇんでね」
「デルフでたったそんだけ?それじゃ人間が生きている間に見ることなんて」
「あぁ、奇跡に近い確率だぁね。だからゴールドドラゴンが自分の意志でこんなとこに来る訳ねぇんだよ。多分強力なマジックアイテムで操られているんだと思う」
「ゴールドドラゴンを操れるマジックアイテムて一体」
「恐らくアンドバリの指輪だと思う」
「ウェールズ皇太子に偽りの命を与えたやつか」
「それ以外考えられねぇな」

「水精霊騎士隊全員集合!」
「サイトどうだったのよ」
「今説明するから」
「サイト、一応隊長の僕に一言声を掛けてからにしてくれないか」
「緊急事態なんだよ。そんなの構ってられるか」
「一体どうしたんだね」
「今聞いたんだが、東の方からゴールドドラゴンとレッサードラゴンが100頭くらいがこっちに向かって来てるらしいんだ。王政府の方から『西の方に移動しろ』て命令が出てるんだと」
「一大事じゃないかね。で、後どの位でこっちにくるんだね?」
「そこまではわかんねぇよ」

 するとタバサがシルフィードとともに空から降りてきた。
「今『遠見』の魔法で調べた。市街外郭まであと5分から10分といったところ。ただ土塁や堀を作って時間稼ぎをするみたい」
「そんなに近くまで来てんのか!それじゃ早く東側へ行こうぜ」
「今からじゃシルフィード以外間に合わない。それに何の対策も無しにいったら全滅するだけ」
「レッサードラゴンなら少しくらいなら何とかなると思う」とレイナールが言った。

「本当かね。一体どういう作戦があるんだね」
「レッサードラゴンの口の前に牛や馬などをレビテーションで浮かす。で口を開けたところに魔法で集中攻撃。以上さ」
「そう都合よく口を開けてくれるかね」
「絶対開ける。なぜなら奴らは、外国から来ているからだ。トリステインにはレッサードラゴンが100頭も生息できない。東から来ていると言うから、恐らく「黒い森」から来たんだと思う。そうするとここまで約1週間くらい掛かる。ここまでの道のりで100頭分のエサなんかない。ほとんど空腹のはずだ。絶対食らいつく」
「じゃあその時を逃さず集中攻撃すればいいわけだね」
「あぁ。ただ攻撃は、火と風メイジで土メイジは誘導と防御、水メイジは怪我人が多数出るだろうから治療専念で」

「治療なら私達もお手伝いいたしますわ」
 ケティ率いる女子援護団が申し出た。
「気持ちは有り難いが危険だよ」
「危険から逃げているばかりじゃ貴族とは言えませんわ。戦闘では足手纏いですが、治療の出来る者は一人でも多い方が宜しいと思いますわ」
「僕(私)達も手伝うよ」
「君達」
「理由はその子と一緒。メイジは一人でも多い方がいいだろう」
 遊びにきていた学院生は一斉に頷く。

「わかった。では世間に我々魔法学院の力を知らしめようではないか。すまないがモンモランシー」
「分かっているわよ。治療の指揮は私が執るわ。でもギーシュ死んじゃ駄目よ。死んだら治せないんだからね」
「もちろんさ。君を置いて死ねるものかね」
「分かっているならいいのよ」

「ゴールドドラゴンの方はどうするのよ」とルイズ
「何とかするのは、俺たちの役目だな」
「簡単に言わないで。倒せる方法あるの?」
「ない」
「あんたねー」
「ボロ剣何かいい方法ない?」
「そうさね、100メイル以上のゴールドドラゴンとなるとトリスタニアを消し飛ばすくらいの『エクスプロージョン』が必要だぁね。娘っ子今それだけの精神力あるかね?最もあってもこんな街中じゃ打てんがね」
「じゃあどうすれば…」
 突然「始祖の祈祷書」が光り輝いた。
 ルイズは急いでページを捲った。
「上の中の中…ラグナ・ブレイド」ルイズの頭の中に呪文のルーンが滑り込んでくる。

「ラグナ・ブレイド…神斬剣か。確かにこの状況は、この呪文しかないだろうな」
「神斬剣?!随分物騒な名前じゃない」
「あぁ、なにせゴールドドラゴンの様な神のごとき存在を倒すための呪文だかな」
「どんな呪文なのよ?」
「文字通り虚無版ブレイドさ。但し、この呪文は、お前さんの杖じゃなくてガンダールブの剣、つまり俺様にかけるんだがね」
「なんで私の杖じゃないのよ」
「この呪文はな、お前さんだけじゃ完成しねぇんだよ。担い手とガンダールブそして俺様が揃って始めて使える呪文なんだよ」
「どういうこと?」
「つまり担い手の魔力(精神力)とガンダールブの力(心の震え)を俺様が光の剣にするんだよ」
「随分面倒な呪文ね。例えば光の矢みたいにして相手を貫く呪文にすればいいのに」
「そう言う呪文も確かあったな。だがこの呪文が出てきたってゆう事は、それじゃ倒せないからだろうな」
「どうしてよ」
「忘れたか?強力な龍語魔法を使うって言ったことを!良くて相殺なんだよ。しかし娘っ子、それ程の呪文連発はできねぇだろ?そうすると敗戦確実なんだよ」
「なるほど。でもこの呪文も問題が多すぎよ!このルーンの長さからしてとんでもない量の精神力が必要だわ!初めて使ったエクスプロージョンなんか問題にならない程よ!そんな精神力溜まっていないわ。ううん、私の精神力が満タンでも全然足りないわ」

「いや、これが読めたって言うことは精神力の器はその呪文を上回っているはずだ。今までの戦闘経験でお前さん自身成長しているんだ。自信を持ちな。もっとも毎日無駄遣いしているが」
「うっ」
 痛いところを突かれたルイズであった。
 
「兎に角この呪文で勝てるんだな?」
「まだだ」
「へ?」
「この呪文は、相手の懐に入って斬り付けなきゃいけねぇ。だがこのままだと相手の攻撃を受けて即死だ」
「シルフィードの乗せてもらって攻撃を避けながら接近すれば?」
「相手が並みの相手でここが無人の荒野ならな。今ここでそれをやれば流れ弾が何処行くかわかんねェし、最悪業を煮やして全方位魔法なんか繰り出されたらトリスタニアが消し飛ぶゼ」

「じゃあどうすんだよ」
「真正面から突っ込んで斬り倒す。これしかないね。ラグナ・ブレイド使ったら奇襲の類は出来ねぇ。近付いてから魔法を発動させようとしても気付かれねぇ訳ねぇ。不測の危険を感じたら全方位魔法だ。だから正面から切り込むしか無いんだよ。そうすれば奴の攻撃は、その一点に絞られるから他の場所に被害は行かない」

「でもそれじゃサイト死んじゃうじゃない」
「だからまだだと言ったんだ。娘っ子、指輪と祈祷書ハーフエルフの娘っ子に貸しな。俺様の予想どうりなら読めるはずだ」
「わかったわ。テファ」

「はい」
 ティファニアは受け取ると指輪を嵌め祈祷書を開いた。するとルイズの時の様に祈祷書が光を放った。
「上の中の下…神衣」呪文のルーンが流れ込んでくる。

「神衣…ゴット・クロスかそれなら唱えきれば多分耐えられるな」
「多分なのかよ」
「ゴールドドラゴンと闘ったことねぇからな」
「サイト」
「なんだいテファ」
「私の今の精神力じゃこの呪文唱えきれないわ」
「テファもか。やっかいだな虚無の呪文は!」
「何かいい方法はないの?」

「サイト・テファ私に考えがあるわ」
「どんな?」
「テファ、サイトとキキキキスをして。嫌かもしれないけど今すぐ私の精神力を限界まで引き上げるにはこれしか無いと思うの」
「テファの精神力が下がるんじゃねぇのか?」

「あ、あのねサイト下がらないと思うわ。でね私も精神力を引き上げないといけないの。でね、そのね、方法なんだけど…」
「うん」
「私の胸触って」
「ゑ?」
「以前サイトに触ってもらった時精神力が少し上がったの。でね、もっとよく触ってもらえればきっと上がると思うの」

「ご両人、今ここでそれらをやれと?こんな大勢の前で?」
「し・・仕方ないじゃない。嫌だけどもう時間無いし、他に方法あるの?」
「ねぇけど、テファいいのか?」
「う・・うん、サイト私とじゃ嫌?」
「そんな事はねぇけど」

「時間が無い。ゴールドドラゴンは市内上空に入って来た。王宮の方に向かっている」
 再びタバサが状況を教えてくれた。

「サイト迷っている暇ないわ」
「じゃあ、やるよテファ」
「うん」

 ティファニアは目を瞑った。
 才人は、ゆっくりとティファニアに近づいた。
 才人の視界には、大勢の人間が映っていた。
 ルイズ・水精霊騎士隊・学院の大部分の生徒・孤児達・野次馬
 その眼がいろいろな意味を持って二人を見つめていた。

「やべぇ、き・緊張するー。これが終わったら変態の烙印確実だな」
 そんな事を考え震えながらキスをした。

「サイトとキスしてるー。私の初めてのキス。なんだか頭がぼーとする。で・でもサイト胸さわってない」
 ティファニアは、サイトの手を取ると自分の胸を触らせた。

「ちょっと待てー、確かに触ってと言われたがこっちの心の準備が出来てねぇのに」
 硬直状態だったのでティファニアは、キスをしながら才人に言った。

「手を動かして揉んで。そうしないと精神力が上がらない」
 
 才人の中でメガトン級の爆弾が炸裂した。
「如何に正当な理由が有るとはいえ、この先に進めと?取り返しが付かない事態になりそうな」

「早く」ティファニアが急かす。
「どうにでもなれ」と才人は凶悪な桃りんごを揉みまくった。
 二人は、周りの状況を忘れ、二人の世界に没頭した。

 間近で見ていたルイズからドス黒いオーラが立ち上り、そこから黒い稲妻が放たれていた。
 その昔、大魔神が大激怒した話があったが、その大魔神が裸足で逃げ出すほどの大激怒ぶりであった。そのためルイズの精神力は上限まで高まっていた。

 一方、ティファニアの方は、才人とキスをしながら愛撫され続け羽化登仙の境まで達していた。ティファニアからは、対照的に桃色のオーラが立ち上り、優しさに満ち溢れたオーラであった。ティファニアの方も上限まで高まっていた。

「犬!いつまでやっているつもり。いい加減にしなさいよね!」

「ルイズ落ち着け!」

「分かっているわよ。詠唱するから準備しなさいよ」
 冷やかに、しかしドスの利いた声であった。

「あぁ、分かったよ」

「俺様に作戦がある。眼鏡の娘っ子・太っちょとキザな貴族の小憎一寸来てくれ」
「なんだいデルフ」
「相変わらず失礼な剣だな」
「どんな作戦」

「いいか、ゴールドドラゴンとの交戦場所は王宮上空だ」
「ちょっと待て、デルフ幾らなんでもそれは」
「ここしかねぇ。ここ以外で奴を倒したら被害がでかい。王宮上空なら広い中庭に落下させるのは簡単だろう。王宮にはメイジがごまんといるからな」

「ちょっと待ってよ。確かにそうかもしれないけど、何の連絡も無しにそんな事したら」

 その時一騎の竜騎士が舞い降りた。
「サイト・ルイズ殿出撃要請です」
 才人と友人のルネだった。彼は王命で魔法学院に行ったこと、二人とも不在でこちらに遊びに来ていると聞かされたことを話した。

「こんな近くに居たなんてな。一刻を争うのに往復時間が無駄だったな。そんな事より王宮に行くから二人とも騎乗して」

「ルネ、俺達に作戦がある。これから言う事を姫様…いや女王陛下に伝えてくれ」

 才人は、デルフの作戦を伝えた。

「状況からして正しい作戦だが死刑と言われてもおかしくないぞ」

「大丈夫だよ。姫様は理解してくれる。伝言頼んだぞ」

「わかった。必ず倒してくれよ。君達だけが頼りだからな」

「あぁ」
 ルネは王宮に向かって飛び立った。

「デルフ、僕達は何をすればいいのかね?」

「まず、お前さんの魔法で花びらを沢山出してくれ。次に太っちょの小憎、お前さんの魔法で花びらをゴールドドラゴンまで道を造る様に運んでくれ。この時奴の2、300メイル手前からは、奴と水平にしてくれ。そうしないとこの辺一帯消し飛ぶからな。で次にお前さんの『錬金』で花びらを石に変えてくれ。最後に眼鏡の娘っ子、戦闘終了後相棒を竜で受け止めてくれ」

「わかった」

「うまくいけば、レッサードラゴンも何とかなる筈だ。ラグナ・ブレイドなら威力を絞っても倒せる」

「そんなに凄いのかよ」

「あぁ凄い。ま、娘っ子見りゃ聞くまでもないがね」
 凄まじい怒りのオーラを発しながら朗々と虚無のルーンを唱えている。
 世界が今終わっても可笑しくないと思える程の魔力のうねり。
 詠唱による安心感がなければ死んでしまう程の恐怖を感じる才人であった。

 トリステイン王宮
「ご報告いたします」
 ルネは才人達の伝言を伝えた。
「分かりました。現状取り得る最善の方法ですわね。マザリーニ全員に命令を『ゴールドドラゴンの遺体を安全に中庭に誘導する様に』
「倒せるでしょうか?」
「私は信じています」
「畏まりました」

「サイト殿どうか、どうかご無事で」
 アンリエッタは、心の中で祈った。

 修道院
 ルイズとティファニアがそれぞれ虚無の詠唱をしている。
「相棒、良く聞け」
「なんだ、デルフ」
「さっきも言ったが、この呪文は俺達が力を合わせなければ完成しない」
「そう言ってたな」
「この呪文で一番肝心なのはお前さんなんだよ」
「ルイズじゃないのかよ」

「いいから聞け。俺様が娘っ子の魔力を光の剣にするには、お前さんの震える心、闘う気力『闘気』が無ければ絶対できねぇんだよ。『闘気』を使って『虚無の魔力』と『闘気』の両方の力を併せ持った光の剣を作り出すんだ。つまりガンダールブの能力を使いきっちまったらこの呪文は、終わりだ。同時に相棒の『闘気』が高まれば高まるほど威力は上がるんだ」

「なんかアニメとかゲームの設定みてぇだなぁ。ガンダールブの力と時間は、反比例の関係なんだろ」
「そういう事だ。俺様が言いたいのは、ここから能力全開で走って行ったら辿り着くまでに力を使いきっちまう。だからここから奴までは、力を押さえて命中させる瞬間に一気に高めるんだ。そうしなきゃ敗戦確実だ」
「簡単に言うなよ」
「相棒ならできるさ」

 そうこうしているうちに、ゴールドドラゴンは、王宮の上空に差し掛かった。
 地上ではレッサードラゴンが防壁群を突破して市中になだれこんで来ていた。

「ギーシュ・マリコルヌ頼んだぞ」
「応」
 二人は、デルフの指示通りゴールドドラゴンへの架け橋を作った。

「僕達は、レッサードラゴンの方へ行く。ゴールドドラゴンの方は任せたよ」
「あぁ、お前達も死ぬんじゃねぇぞ」
「もちろんさ」と言って魔法学院の一団は、市中東側へ向けて馬を走らせていった。
 彼らがレッサードラゴンと遭遇するまで5分と掛からない。それまでに片を付けなくてはならない。

「ルイズ・テファ準備はいいか?」
 二人とも頷いた。
「じゃあ頼んだぞ」
 二人同時に才人に向けて杖を振り下ろした。
 才人とデルフが光に包まれた。

「いいか相棒、俺様の言ったこと忘れるなよ」
「あぁ、分かってるよ」
 才人は、デルフリンガーを右肩に乗せ一つ深呼吸した。
「行くぞ、デルフ」
「行け、相棒」
 左手のルーンが輝き才人は、ゴールドドラゴン向けて走り出した。

眼前のゴールドドラゴンがどんどん大きくなっていく。

「なんちゅうでかさだ」
 才人が200メイルくらいまで近づくとゴールドドラゴンは、口を開けた。

「相棒、ブレスが来る。気を付けろ」
「と言ってもよけられねぇだろ」

才人が100メイルまで近づくとゴールドドラゴンは、灼熱のブレスを吐いた。

「ぐっあっちー」
「妙だな、ゴールドドラゴンのブレスは、こんなもんじゃねぇ」
「これでかよ」
 デルフリンガーの指摘通り本来の威力の半分も出ていなかった。加えてブレスが才人よりやや上に向けて放たれていた為、足場が消える事なく接近する事ができた。

「今だ!相棒」
「おおおおおおおおおお」
 ルーンが燦然と輝き長さ20メイルもあるラグナ・ブレイドがその姿を現した。
「やれぇ、相棒」
 才人は、懐に潜り込みながらラグナ・ブレイドを振り下ろした。
 ラグナ・ブレイドは、最強に近いゴールドドラゴンの身体を見事に斬り裂いた。

 断末魔を上げながら、ゴールドドラゴンは、地上に落下していく。
「やったか?」
「完全には死んじゃいねぇ。さすがにゴールドドラゴンだ。だがもう力を発揮する事はできねぇだろう」

 落下する才人をシルフィードが受け止める。
「凄いのね。ゴールドドラゴンを倒すなんてサイトは、人間じゃないのね、きゅい」
「俺じゃなくてルイズの魔法が凄いんだ。あとテファの魔法もな」

「謙遜する事はないぜ相棒。お前さんがいなきゃ絶対倒せなかったんだからな」
「そうなのね、そうなのね、きゅい」

「まだ全部終わってない」
「その通りだな。レッサードラゴンが100いや120近くいるな。早くしないと街が廃墟になっちまうな」
「デルフさっきの呪文まだ残っているか?」
「あぁ大丈夫だ。相棒の力が尽きなきゃまだまだ行けるぜ」

「よし、倒しに行こうぜ」
「韻竜よ、10頭ばかり見えるあの通りに降ろしてくれ。相棒、力を無駄遣いしない様に俺様の指示通りに動いてくれ」
「あぁ、頼んだぞ、デルフ」

修道院にて

「あのお兄ちゃん凄い!あんな大きな竜倒しちゃった」
「うん、凄い凄い」
 子供達は口ぐちに話した。

「やったわね、テファ」
「うん。だけど本当にサイト凄いね。あんなブレス突っ切ってゴールドドラゴン倒しちゃうんだから」
「だけどあいつ、怪我とかしてないかしら?いくら魔法で防御していても、あのブレス浴びて無傷でいられるか不安だわ」
「うん。それじゃサイトの所に行きましょ」
「ううん。今はまだ駄目。精神力の切れた私達が行っても邪魔になるだけ」
「確かにそうね」

「テファ姉ちゃん」
「おめでとう、テファ姉ちゃん。これでお兄ちゃんと恋人同士だね」
「ち・違うのあれわね、その私の精神力を上げるために必要だったの。サイトと恋人同士になったわけじゃないの」
「でもお兄ちゃんが好きだから上がったんでしょ。他の男の人じゃ上がらないでしょ」
「あうあうあう」

「素直に自分の気持ち認めて、思いのたけをお兄ちゃんにぶつけないと。これでお兄ちゃん国中の人気者になるから、あの手この手でものにしようとする女の人絶対出てくるから」
「でもでも」
「今日の大活躍のご褒美とか言って、お兄ちゃんをベットに押し倒すの!そうすればお兄ちゃん年頃の男の人だから…」

「だめよ、だめよそんなの」
「自分から胸揉ませたくせにー。お姉ちゃん、お兄ちゃんのお嫁さんになる夢見た事あるでしょー。だったら現実にしないと」
「あうあうあうあう」

「結婚式には呼んでね!精一杯祝福するから」
「あうあうあう」

「テファ、あなたやっぱりあいつの事好きだったのね」
「え」
「ま、まあ予想はしてたわ。あいつてっば胸が大きければ大きいほど好きだから」
「ル、ルイズ?」
「でも絶対負けないんだから。あいつてっば私にメロメロなんだから」

「お姉ちゃん頑張れ、負けちゃだめよ」
「おー修羅場、修羅場」

「こんな所で言い合いしたら不味いわね。終わりにしましょ」
「ええ」
「もう終わりー?」
「つまんなーい」

「さ、みんなサイト達が迎えに来るまで遊びましょ。ね」
「そうやって誤魔化すんだからー」
 そう言っても子供達は、ティファニア達と遊びまくった。

トリステイン王宮

 アンリエッタは、才人達の連絡を受け王宮詰めの文官メイジを中庭に集結させていた(武官メイジは、レッサードラゴン退治の為不在)。
「全員に告げます。サイト殿がゴールドドラゴンを倒したら速やかに『レビテーション』を掛け中庭中央に誘導して下さい」

 程無くしてゴールドドラゴンが上空にやってきた。
(何てゆう巨体なの。とても人間が倒せるとは思えないわ。でも変ね。王宮まで来たのに、全く攻撃しないなんて)

 ややあってバラの花びらが風に運ばれ「錬金」でゴールドドラゴンへの架け橋が出来上がった。
(いよいよなのですね)
「全員、詠唱準備」

 西の方角から光の点が、猛スピードで駆け上がって来た。
 両者の距離が100メイルくらいになった時、ゴールドドラゴンは、ブレスを吐いた。
 直撃!(サイト殿ー)
 次の瞬間、ゴールドドラゴンの懐から強烈な閃光!(ガンダールブの力を瞬間的に最大にした場合、常人の肉眼では捉える事が出来ない。)光が萎むと同時にゴールドドラゴンは、斬り裂かれた。

 アンリエッタを含む文官メイジ全員、放心状態になっていた。
 目の前で起こった事が自分の理解の範疇の遥か彼方の為、固まってしまったのだ。

 しかしゴールドドラゴンの断末魔が聞こえ、アンリエッタは我に返り、指示を下す。
「全員、レビテーション詠唱」

 文官メイジ達も我に返り、急いで詠唱する。
 そしてゴールドドラゴンに呪文を掛ける。

 初動が遅れたのとゴールドドラゴンの重量があまりにも重いため、中庭中央ではなく、王宮の建物よりに落ち、激しい震動を伴った。

「陛下、ご無事ですか」
「ええ、大丈夫です。怪我人は、出ていませんか?」

「全員、無事です。ただ王宮内部に損傷が出ている模様です」
「人が無事なら構わないわ」

「しかし驚きました。この眼で見たというのに、未だに信じられません。正に伝説に偽りなし、いや彼は『新たな伝説を生み出している』と言うべきですな」
「私も話には聞いていたのですが、これ程とは」

「これで、アルビオンでの7万足止めも事実であると国中に広まることでしょう」
「枢機卿、サイト殿のこれまでの功績を公表しようと思うのですが」
「もう隠しておく必要もありますまい。陛下の御心のままに」
(ふむ、これで例の計画は実現可能になりますな。後はヴァリエール公爵を説得するのみ)

市街 才人

「タバサ、ギーシュ達の援護頼む。それとこっちに治療できるメイジを、まわせるだけまわすよう言ってくれ」
「わかった」

 王軍は潰走していた。
 無理もなかった。
 1頭でも手こずるレッサードラゴンが100頭以上、しかも1週間もエサにありつけなかったので、空腹で凶暴さが倍増しになっているのだ。その上狭い市街道路では、有効な集団戦法が執れなかった。逆にレッサードラゴンは、巨体なので脇道などには容易には侵入出来なかった。その為逃げ出す者が大勢出たのだ(最も広い道の方に大勢人間(エサ)がいたので襲いやすい方に向かった為)

「相棒、ゴールドドラゴンの時の応用だ。相手は120頭近くいる。力を出し過ぎるな」
「ああ、分かってるよ。まずここからだな」

 才人は助走をつけレッサードラゴンの脇を通り過ぎた。
 しかしレッサードラゴンは、10頭とも斬り裂かれていた。
 才人はコンマ1秒単位でラグナ・ブレイドに強弱を付けていた。
 ガンダールブの能力が発動している時、ゆっくり時間が流れている様に感じるため出来る芸当だった。少しでも力を温存するために。

 しかし周りで見ていた者は、文字通り「通り過ぎた」様にしか見えなかった。
(ゴールドドラゴンの時の数分の一しか力を出していない為、肉眼で追い切れない程のスピードは出ていない)

「相棒、次交差点右だ、その先に12,3頭いる」
「分かった」
 こうして才人は次々とレッサードラゴンを斬り裂いていった。

「今の奴何をやったんだ?」
「剣を持っていたから剣で斬ったんだろ」
「剣でドラゴンを斬れる訳ないだろ。それにこの切り口3メイル以上は軽くある。奴の剣は、1.5メイル位しかなかったぞ」

「じゃあ魔法か?」
「いや詠唱していなかったぞ。それに王軍のメイジが何人も魔法使っても一瞬の足止め程度にしかならなかったぞ」
「奴は一体何者だ?」

「奴がかの有名な『サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ』だよ」
「あんな小僧がか?アルビオンで7万止めたってゆう」
「あぁ、下らんデマかとも思っていたんだが、事実の様だな」

「それにしてもなんちゅう戦闘力だよ」
「ゴールドドラゴンがいねぇ。どうやら奴が倒しようだな」

「ゴールドドラゴンもかよ。奴は人間じゃねぇのか?」
「さあな、噂ではエルフにも勝ったことがあるとか」
「ますます人間じゃねぇ」
 
 喧噪の中4頭立ての大型荷馬車が数台やって来た。
 白衣を着た集団が現れ、レビテーションで次々とレッサードラゴンを載せて行った。
 ガラスビンを持った女が現れ、呪文を唱え地面に流れたレッサードラゴンの血をビンに入れて行った。
「レッサードラゴンの大群が来るって言うから準備しておいて正解だったわね。それにしてもあの平民、あれ程の戦闘力を持っているなんて…後でゆっくり研究したいわね」
 ルイズの姉エレオノールであった。

「それにしてもこんな貴重品がこんなに大量に手に入るなんてね。大部分がオークションに懸けられるなんて納得がいかないけど、アカデミーの取り分はきちんと申し立てておかないとね」

「あいつら何者だ?こっちには、死んだ奴や怪我人、壊れた建物が無数に有るってゆうのにドラゴンの回収に血眼になって」
「静かにしろ。奴らが悪名高き王立アカデミーの連中だ。機嫌を損ねると実験台にされちまうぞ」
「げぇ、あいつらがか。噂じゃ人間じゃねぇ悪魔だとも言われている、あのアカデミーか」
「あぁそうだ。だからあいつらには、何も期待するな。するだけ無駄だ」

 市街 水精霊騎士隊・魔法学院生他
「サイトがゴールドドラゴンを倒したぞー」
「やってくれたぜ」
 大歓声があがった。
「僕達も負けていられないな。レイナールの作戦を決行する。全員配置につけ」
「了解」

 レイナールの作戦
 それは、レッサードラゴンを1頭づつおびき出しての各個撃破である。
 一人が馬に乗り、囮となっておびき寄せ、撃破ポイントで牛や馬などのエサを一瞬だけレビテーションで浮かせ、ドラゴンが口を大きく開けた所でエサを退かして、ファイヤーボールやウインドブレイクなどの魔法を叩き込んで倒すのである。(複数来た場合は、1頭が通過した後、土魔法で壁を作り、突破される前に別のエサでおびき寄せ別の撃破ポイントまで誘導)

 ギーシュは冷や汗ダラダラであった。
「諸君!おびき寄せたぞ!後は頼んだぞ」
 隊長であるギーシュは、囮役を買って出たのである(自分が有効な攻撃魔法を持っていないためだが)
 作戦が当たりドラゴンが口を開けた所に騎士隊は、魔法を叩き込んだ。
 鋼鉄よりも強靭な鱗に覆われたレッサードラゴンだが、口の中は、他の生物と大差ない。
 口の奥にある脳髄や脊椎に魔法の直撃を受けては、強大なドラゴンも死あるのみ。

「やったぞ!僕達ドラゴンを倒したぞー!!」
「うまくいったな」
「予想通りだね」

「いい作戦だな、本能を利用して倒すとは」
「アニエス殿」

「実にいい作戦だ。君の案かね?ミスタ・グラモン」
「いえレイナールです」
「この事は、陛下にもご報告しよう。きっと喜ばれるだろう」
「お褒めにあずかり誠に光栄です」

「ミスタ・グラモン、我々銃士隊もこの作戦を実行したい。すまないがメイジ何人かお借りしたい」
「了解です。アニエス殿」

 アニエスは、水精霊騎士隊から5人メイジを借り、出撃した。

 暫くしてタバサがシルフィードに乗ってやって来た。
「サイトから伝言。『市街東側外郭付近にて王軍壊滅、至急水メイジの応援大勢頼む』」
「サイトにしちゃ随分堅い要請だな」
「サイトは、もっと砕けていた」
「やっぱり」

「タバサ、外郭付近もう安全かい?」
「安全。サイトは最初の一太刀で10頭斬り倒した。もう30頭以上は倒している筈。馬で外郭付近に着く頃にはもういないと思う」
「流石だねー。僕達も負けていられないな。モンモランシー」
「聞こえていたわ。何人くらい連れて行って大丈夫?」
「タバサが来てくれたし、この分なら騎士隊他20人くらい居れば大丈夫そうだ」
「分かったわ」
 
 モンモランシーは、大多数の学院生を引き連れて東側外郭付近に向かった。
 別動隊からも「ドラゴン打倒」の報告が来る。
「僕らも負けていられないぞ!どんどん倒そうぜ」
「応」

 こうして水精霊騎士隊は、レッサードラゴンを倒していった。

「今時の魔法学院生はやるもんだねぇ。ドラゴン倒しちまったよ」
「あれが女王陛下の肝入りで創られた水精霊騎士隊よ」
「確か平民上がりが居なかったけか?」
「何言ってんだい。さっきゴールドドラゴンを倒したじゃない」
「あの光っていた奴?あれ人間だったの?」

「そうだよ。わたしゃ見ていたからね。男の子が光ってゴールドドラゴンに突進するのをさ」
「どうやって倒したんだい?」
「剣持っていたから剣じゃないの?」
「剣で斬れるの?」
 
「私に聞かないでおくれよ」
「魔法も剣も効かない筈だよ」
「でも倒されているよ?」

「我々には、理解出来ないって事さ」
「そういうこったな」
 いつの時代、どの世界にも野次馬は必ず居るものだ。
 彼らは、ゴールドドラゴンが倒されるや、逃げるのを止め、ドラゴン退治を見物に来ていたのだ。その数はどんどん増え続けていた。
 
 彼らは勝手気ままにしゃべり続け、ドラゴンが倒される度に歓声を上げた(学院生がバリケードを作っていた為、才人がレッサードラゴンを倒しまっくているのは見にいけない)

 モンモランシー、他
「酷い」
「壊滅ですわね」

 モンモランシー達は、ドラゴン達に突破された外郭付近にやって来た。 
 その状況は、彼女たちの想像を遥かに超えていた。
 二千人いた王軍は、約半数が逃走し死者約500人、重軽傷約500人という惨状だった。
 無論メイジもいたが、多数のドラゴンの突進にパニックになり、効きもしない魔法を打ちまくって早々に精神力が切れ半数以上が死亡した。
 
 王軍の戦果はゼロ、つまり1頭も倒せなかったのだ。
 無理もなかったかもしれない。
 各個撃破できる状況では無かったし、レイナールのような作戦も無かったのだから。

 とにかく治療しなくては。
 モンモランシーと共に来た魔法学院生は、約280名程だった。
 単純計算で一人で二人治療すればいい計算だが、事はそう単純では無い。
 
 治療する力量に差があるためだ。

「系統別に分かれましょう。水メイジは、重傷者、風・土メイジは軽傷者、火メイジは水の秘薬の買付をお願いしますわ」

 モンモランシー達の治療が始まり、どんどん負傷者の数が減ってゆく。
 軽傷者はドットスペルでも十分間に合ったので開始10分で治療が終了した。
 
 問題は、重傷者だった。
 水メイジと云えど、学院生の殆どがドットメイジ、ラインは数名、トライアングル以上は、一人もいなかった。
 その為、レッサードラゴンによる怪我、特に切断されたり、食べられたり、抉られた怪我には対応出来なかった。精々止血してこれ以上悪化しない様にするのが精一杯だった。
 水の秘薬を併用しても完治は無理だった。

 その状況を一番苦々しく思っているのはモンモランシーだった。当時自分が無力でコルベールを助けられなかったと思った彼女は、水の使い手として成長し自分の周りの不幸を取り除きたいと切に願った。猛勉強もして、ラインまで成長していたが、現在の力量では、力不足であった。

 ややあって治療していた兵の容態が急変した。どんどん命の灯が弱くなっていくのがはっきり分かった。
「駄目、死んじゃ駄目。もう人が悲しみの涙を流すのは見たくない。だから死んじゃ駄目ー」
 彼女の体が光り輝いた。
 彼女の感情の昂ぶりが、トライアングルを超え一気にスクウェアメイジにした。
 今までとは比較にならない超強力な治癒のスクウェアスペルを唱え、兵はみるみる回復していく。
 一人でも多く、いいえ絶対全員助けてみせる。強大な意思で次々重傷者を治癒していく。鬼神の如く、聖母の如く。

 再び才人
「デルフ、次はどっちだ?」
「もう奴らに気配は感じらんねぇ。いまの奴で最後だな」
「気配を殺しているとか、お前の感知外に出たという事は?」

「両方とも無いな。奴らは気配消せねぇし、空を飛べねぇから大丈夫だ」
「お前がそう言うんだったら大丈夫だな。しかし何頭くらい倒したのかな?」
「103頭だ」
「良く数えていたな」

「まあな。それより相棒、娘っ子たち心配しているだろうから戻ろうぜ」
「あぁ、そうだな。それに安心したら急にお腹がすいたぜ」
「まあ、あんだけの大活躍したんだ。腹くらいすくさ。それにちょっと遅いが昼どきだしな」
「そうだった。戻ってテファの作った弁当食べるとするか」

 すると空からシルフィードが降りてきた。
「サイトお疲れさんなのね。きゅい」
 ゴツン、鈍い音が響く。

「しゃべっちゃ駄目」
「周りに人なんかいないのね。きゅい」
「それでも駄目」
「お姉様のけちー」

「上空から見た限りもうドラゴンはいない。全滅した」
「そうか、じゃあ修道院まで乗せて行ってくれるか?」
「わかった」

 シルフィードは才人を乗せ、上空に舞い上がった。
「ギーシュ達は何頭くらい倒したんだ?」
「10頭。あと銃士隊が6頭」

「さすがアニエスさん達だな」
「銃士隊もレイナールの作戦を聞いてそれを実行した」

「それじゃレイナール大手柄だな」
「一番の大手柄は、貴方」
「それは違うぞ、タバサ。俺一人じゃレッサードラゴン1頭すら倒せねぇ」

「確かにルイズ達の魔法は凄い。でも魔法でゴールドドラゴンは倒せない。それに放出系の虚無では、こんな街中でレッサードラゴン100頭以上も倒せない。すべて貴方がいなければ不可能。貴方の代わりは誰にも出来ない」

「眼鏡の娘っ子の言うとおりだぜ。なにも自慢しろって言ってんじゃないんだ。自分の成し遂げた事を誇りに思ってもバチは当たらないぜ」

「分かったよ。でもそれより腹が減ってんだ。早いとこ昼食にしようぜ」
「修道院へ最速」
「了解なのね、きゅい」

 修道院
「来た」

「終わったぞ、ルイズ・テファ。早いとこ昼食にしようぜ。もうお腹ペコペコ」
「うん、それじゃ用意するね」
「それよりあんた、怪我とかしていない?」

「あぁ、テファの魔法のおかげでね。ただゴールドドラゴンのブレスは熱かったけどね」
「それなんだが、あのブレス昔見たときよりかなり弱かったな。それに狙いが意識的にずらされていた」
「どゆこと」
「多分ゴールドドラゴンが、操られながらも必死に抵抗したんだろうな」

「そういや攻撃してきたのはあの時1度だけだったな」
「奴が本気で此処を攻撃しようと思えばもっと遠くから龍語魔法を使えば済むこった。しかしそうしなかった。だから王宮決戦なんて無茶が出来たんだ」
「それじゃ倒す必要なかったんじゃねぇのか」
「いや、奴にだって限界はある。それが分かっていたからこそ、俺達が攻撃出来る様にしたんだ」

「なんとなく後味悪いな」
「ほっとけばトリステインは、消えていた。相棒が気に病む必要はねぇよ」

 ギーシュ・モンモランシー 他
「モンモランシー、こっちはどうだい?」
「大体終わったわ」
「モンモランシー様凄いんですよ。スクウェアスペル連発して、重傷者どんどん治療したんですよ」

「スクウェアスペル!!」
「ま、まあ突然唱えられるようになったのよ」
「流石だ。僕のモンモランシー」

「ところで、貴方達で精神力が残っているのはどのくらいいる?」
「僕と他土メイジ10人程くらいだけど」
「じゃあその全員で、壊れた建物と外郭できるだけ修復して」

「わかった。ところでモンモランシー。レッサードラゴンの姿が見えないが?」
「王立アカデミーが運んで行ったわよ。ルイズのお姉様もいらしたわね。嬉々としてドラゴンの血をビンに入れていたわ」

「あのきつい方のお姉様か。あの方々にすれば、入手難度が極めて高いドラゴン系のマジックアイテムの原料が100頭分以上なんて、絶対入手不可能だから内面は、大喜びだろうね」
「大部分は、オークションに懸けられるらしいわ。そんな声が聞こえたから」

「オークションねえ。レッサードラゴンって1頭いくら位になるんだい?」
「正確には分からないわ。ただ牙や爪は、1本1万エキューくらいで好事家達が取引してるって聞くから多分100万エキュー位じゃないかしら?」

「100万!!と言う事は全部で1億以上!!」
「そうなるわね」
「じゃあゴールドドラゴンは?」

「皆目見当もつかないわ」
「だよね」

「しかし1億か。トリステインの国家予算が1億5千万くらいだから凄い金額だな」
「アルビオン戦役で国庫が空になったて聞くから国にすれば有難い臨時収入ね」

「でも本来倒した者の物になるんじゃないのかね?」
「ええ、でもサイトのことだから要らないって言うと思うわ」
「僕もそう思うね」

「そんなことより早く修復しなさいよ」
「分かったよ、モンモランシー」

 修道院
「もっとゆっくり食べなさいよ」
「うるふぇー」

「サイト、子供達も見ているんだし、もう少し綺麗に食べて」
「うっ」
「あんた、テファの言う事は聞くのね」

 その時、竜騎士が1騎舞い降りた。
「ルネ」
「サイト、女王陛下が君達全員お呼びだ。今すぐだそうだ」

「姫様が?なんの用だろ」
「馬鹿ね、ドラゴンの件に決まってるでしょ」
「その通り、俺はこれから魔法学院生達を呼びに行くからすぐ向かってくれ」

「タバサ、王宮まで乗せて行ってくれるか」
「いい」

 サイト達は王宮に向かった。

 X00-42-1へつづく

 

 


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