X00-42-17
Last-modified: 2008-11-10 (月) 23:01:05 (5637d)

 X00-42-16のつづきです。

 王宮 執務室

「姫様、お早う御座います」
「お早う御座います」

「皆さん、朝早くから御足労様です。今日此処に来て頂いた理由は、御存じですわね?」

「はい」
 全員揃って返事をした。

「では、伺います。この話を受けますか?ハルケギニア中から非難されようとも」
「受けます」
 全員揃って返事をした。

「分かりました。枢機卿、全員一致でこの話受ける事になりましたわ」
「心よりお喜び致します」

「すいません」
 シエスタであった。

「貴女は、サイト殿のメイドでしたわね。何でしょうか?」
「私もサイトさんの妾の一人にお加え下さい。お願いします!」

「貴女もサイト殿の事を…御覚悟は出来ていますか?中途半端な気持ちでは、到底耐えられない非難を浴びる事を」

「勿論です。サイトさんと離れ離れになる方が余程耐えられません」
 真摯な瞳でアンリエッタを見詰めた。

「分かりましたわ。御覚悟十分のようですわね。貴女を妾の一人として御認め致しますわ」
「有難う御座います。女王陛下」

「陛下、この件の公表は、オークション開催日に行いたいと思います。ハルケギニア中の有力者が一堂に揃いますからな。これ程の機会はそうそう御座いません」

「分かりました。皆さんも宜しいですわね?」
「はい」

「サイト殿、不束者ですが、宜しくお願い致しますわ」
「え!は、はい宜しくお願いします。姫様」

「サイト殿、公表したら『アンリエッタ』と御呼び下さいな」
「え、えっと直ぐは難しいんじゃないかと」
「御努力下さい」

「私の事は、今から『シャルロット』と呼んで」
「タバサ、分かった。『シャルロット』」

「サイト殿、前言撤回致しますわ。私も、今から『アンリエッタ』と御呼び下さい」
「いや、その、それは不味いんじゃ」

「サイト殿は、差別なさるのね。王位に就いているからって。もし御呼びくだされなければ王位を御譲り致しますわよ」

「それは、止めてください。お願いですから。呼べばいいんですよね、呼べば。えっと『アンリエッタ』」

「うふふ…『あなた』今後もそう御呼び下さいね」

「新婚ごっこは、此処ではしない方が宜しいかと」
「ルイズったらやきもちですわね。でもこれからその調子だと大変ですわよ」

「え、いえそんなんじゃ…そうですわね。結婚式以降は毎日此処に居る全員と…」
「皆さん、フライングだけはしないで下さいね」

「…も、勿論です」
「え?したんですか?」

「未だです」
「良かった」

「では、『あなた』何時ものように公務を致しましょう。皆さんは、如何致します?」
「もう御用が無ければ帰ります」
「分かりました。では御気をつけてお帰り下さい」

「失礼します」
「あっ、姫様もフライングしないで下さいね」
「えっ、も、勿論ですわ」

「サイト、したらどうなるか、分かってるわよね?」
「も、勿論」
「なら宜しい。では失礼いたします」

 昼

「もう終わりそうですか?」
「もう少しで、一段落着きます」

「あ・な・た」
 アンリエッタは、才人にしだれかかった。

「姫様、ちょっとフライングはしないと…んぐっ」
 アンリエッタは、才人の唇を己の唇で塞ぎ、舌を入れ身体を預けた。
 やがて唇を離し、多少の怒り顔で…

「フライングは、しておりませぬ。少しキスをしただけです。それに私の事は、『アンリエッタ』と呼ぶ事になった筈。ですから罰として…」
 再びアンリエッタは、才人と唇を重ね合わせた。
 ルイズやアニエスが思ってた通り、抑え込んでた反動が出てきている。
 このままでは、一歩手前いや最後まで突き進まれてしまう。
 
 何とかしなければ…
 漸くアンリエッタは唇を離してこう言った。
「今夜から此方でお住まいになっては如何です?何でしたら一緒の部屋で構いませぬが」
「えっーと『アンリエッタ』まだ早いと思います。ルイズが嫉妬深い事は御存じでしょう?」

「私は不安なのです。貴方は毎日ルイズと一緒に寝ているのでしょう?何時過ちが起こるか分からないでしょう?」
(此処に住んだ方がよっぽど確立が高いと思う)

「大丈夫ですよ、ルイズは、頑固者ですから一度決めた事はやり通しますから」

「では、他の方々は?」
「えっ?多分大丈夫じゃないかと。ルイズが居ますから」

「ルイズの目の届かない所では?」
「昼間は、此方ですし、夜はルイズの部屋ですからそんな事は、起こりませんよ」

「では、せめて夕餉は、此方でお願いします。お母様と御一緒に会食して頂きたいのです」
「まあ、夕食なら良いですけど」

「良かった。其れでは、昼餐に致しましょう」

―――――――――――――――――――――――――――ー

 夕餉
「サイト殿、娘との結婚御承諾して下さって本当に有難う御座います」

「あ、はい宜しくお願いします。皇太后陛下」

「お・義・母・様と御呼び下さいな」
(親子だなー)

「お義母様、宜しくお願いします」

「此方こそ宜しく御願い致しますわ。では、今夜からアンリエッタと夜を…」

「いえ、それは結婚してからです。勿論ルイズ達共です」

「それは残念、早く孫の顔が見たいのですがね」

「慌てなくても大丈夫ですよ」
(余り怖い事言わないで下さいよ)

「確か公表するのは、今度の虚無の曜日ですわよね。其の日以降なら宜しいんじゃ有りません事?」

「いえ、やはり結婚してからでないと、不味いと思いますよ」
(だから、言わないで下さい)

「そんなに堅物にならなくても」

「お母様、もうその辺にして上げたら如何です?」
「ふふふ…心にもない事を…本当は口説き落として欲しいのでしょ」

「え、まあ本心はそうですが、やはりサイト殿の事を考えると…」

「もうこの辺にして下さいよ」

「そうね、今日は此処までにして置きますか」
(今日は?)

――――――――――――――――――――――
「それでは失礼致します」
「お待ちになって下さい」

 再びアンリエッタは、才人と唇を合わせた。
「お休みなさい。明日も早くいらして下さいね」

「ええ、まあ、お休みなさい」


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