X3-738
Last-modified: 2011-06-09 (木) 17:28:20 (4702d)

此処は店長の執務室
中には売上と掛け、仕入れと支出の書類の束が山積みだ
更に、ブラック(出入り禁止)リストと要注意リストが、一番目立つ場所に貼ってある
妖精さん達を守り、お店を経営するノウハウの全てが中に詰まっている
「スカロン店長、お願いします!!」
「そうは言ってもねぇ。確かにルイズちゃんは魅惑の妖精のビスチェ使って無いけど、翌日のみの優勝景品よ?」
「店では使いませんから、お願いします」
「う〜ん、それなら権利放棄に違わないから良いけど、誰に見せるの?基本的に商売用よ?」
「……えっと、その」
ルイズがどもるのを見て、スカロンはにこりと微笑む
「わぁかってるわよ〜〜。やぁね、冗談よ、冗談。目指すは兄妹の垣根を越えた禁断の愛ね?素敵、トレビアン!!出来たら、ミ・マドモワゼルに顛末書かせてね?」
どうにも、ルイズの心情はバレバレらしい
スカロンは、明らかに面白がっている
今は、撃墜された才人を衛士隊が運び込み、ルイズの部屋で寝かせている
今なら才人を独占出来ると思ったルイズが、魅惑の妖精のビスチェの貸与をスカロンに交渉した所である
明日は、看病で休みの許可を得られ、ルイズにしては、幸運が続いてる……………多分
パタン
「待ってなさいよ、馬鹿犬。明日はうんと、メロメロにさせちゃうんだから!!」
借り受けたビスチェを手に、メラメラと魔力を立ち上げ髪の毛が逆立ち、ルイズは宣った
邪魔が入らなければ……多分大丈夫……な、筈

*  *  *
コンコン
「嫌よ」
部屋に戻るとすかさず扉を叩く音が聞こえた為、ルイズは即答する
「ひ、酷いですルイズさん。開けて下さい」
ガチャ
「嫌なもんは嫌。今日は絶対駄目」
パタン
ルイズは予想通り、やって来たシエスタを門前払いする
「ずるいです。私にも看病させて下さい!!」ガチャ
「私は翌日休み。あんたは違うでしょ?きちんと休みなさい」
顔だけ出して言い放ち、シエスタを追い払う
一度決めたら頑固な事をシエスタも知ってる為、大人しく引き下がる
「その代わり、次の休みには、才人さん貸して下さいよ?」
「次?良いわよ?その時には、この犬はこのあたしだけしか見てないんだから!?」
何時もこの自信の根拠が、何処から出てくるのだろう?
「じゃあ、見てなかったらどうします?」
「い、良いわ。何でも一つ、言う事聞いて上げるわよ」
「じゃあ、賭けですよ〜?」
そう言って、シエスタは左腕をキラリと光らせ、部屋に戻って行く
「あれ?ちょっと。何でシエスタが、あんな綺麗なブレスレット持って……」
地味だが良い品だと、ルイズは気付く。シエスタにそんな事する人間は、恐らく一人しか居ない
荷物から自分のペンダントを引っ張りだし、ぎゅっと握る
「ち、ちがうもん。あたしの方が……大事にされてるもん……大丈夫……大丈夫……ビスチェの効果があれば、サイトだってきっと……」
自分自身に必死にに言い聞かせ、ルイズはうしと両手で頬を叩き、気合いを入れ直した
才人が眼を覚ますと、ルイズが椅子に座ってウトウトしている
「あたたたた。ライトニングクラウド喰らうとはなぁ。まだちょっと余韻残ってるわ」
見ると、村雨とデルフも立掛けられている
「あれ、村雨が収まって………操りか念力だな。きちんと情報回ってんだな。って事は、アニエスさんから流したのか?」
一人ブツブツ言っていたら、声に反応したのだろう、ルイズが眼を覚ました
「ん……おはよ、サイト」
ゴシゴシ眼を擦りながらルイズは挨拶し、才人が返事をしようとして固まる
「あぁ、おは……」
『あれ?何だ?何時も以上に、滅茶苦茶可愛い……やべ、ドキドキしてきた』
ドキン、ドキン、ドキン
心臓が高鳴り、才人の耳に木霊する
思わずルイズに震えながら手を伸ばそうとし、ルイズが身を翻す
「まだ、痺れ残ってるんだ。サイトは休んでて。食事取って来る」
ルイズはそのまま立ち上がり、部屋を出た
パタン
「……あれ?俺、一体何を?あのビスチェは替えだよな?」
思わずそう言って、首を捻る
『まさか、ルイズを前に身体が震えるなんざ有り得ねぇ。あれは……感情が制御出来ない時に出るもんだ』
女性を前に無意識に手を伸ばし、震える
男に取って、恋焦がれる相手に取ってしまう無意識の現象
理性なんか吹き飛ばす、猛烈な欲求、苛烈な欲望
だが、今考え直しても符に落ちない
ちっとも、その気にならないからだ
「電撃食らって脳みそやられたんかな、うん。考えんのやめ」
ガチャ
「サイト、持って来たよ。朝ごはん食べよ?」
「あ、あぁ」
ドキンドキンドキンドキン
ルイズが来た途端に心臓が暴れ始め、苦しくなる才人
「「いただきます」」
二人してスープとパンを食べ、食後にお茶を飲む
そのまま才人がルイズに手を伸ばそうとしたら、ルイズはヒラリとかわし
「じゃあ、片付けて来るね」
パタン
出て行ってしまった
「……あれ?本当になんなんだ?」
まさか、ビスチェ自体に魔法が掛っているとは露とも思わず、才人は首を捻る
今迄見てきた魔法品には、服が含まれていなかったからである
とりあえず、デルフに聞いてみる事にした
「デルフ」
「あいよ」
「何か変じゃね?」
「相棒が変なのは前からじゃねぇか?」
「いやまぁ、そうなんだが……」
「雷に撃たれたせいで、頭おかしくなったんでない?」
「…仮にそうなら、防御しなかったてめえのせいだな」
「何言ってんだ?防御したから、相棒は生きてんだよ。あの雷、致命傷だったぜ」
「…つまり、戦闘不能にするのに必要にして充分な雷撃と……化物扱いされてんな、俺」
才人は溜め息を付いた
『俺っちが、嬢ちゃんの頑張り無駄にする訳にはいかねぇよ。おもれぇじゃねぇか』

*  *  *
一方、扉を出たルイズは、食器片手にガッツポーズをしていた
「よっしよっしよっし!!あのサイトが、あんなに物欲しそうにあたしを見てる。イケる!今日こそはイケるわ、ルイズ」
弾む足取りで食器をかたし、お茶とお茶菓子を貰って、タンタンタンと軽やかに駆け上がる
ガチャ
「サイト、お待たせ」
「あ、あぁ」
才人の顔が赤くなるのを確認し、ルイズは内心飛び跳ねる
才人は起きて椅子に座って居るが、ルイズは茶器をテーブルに置いた後、さりげなくベッドに腰掛けた
ポス
「ねぇ、サイト。雷の後遺症は大丈夫?」
「あぁ、ちっと痛むが大丈夫だ。治療も一緒にして貰ってたみたいだな。きっついマッサージ食らったと思えば良い」
そのままルイズは菓子に手を伸ばし、パリッと噛み、欠片を溢す
「やだもう、溢れちゃった」
ニーソックスと同じく太ももの途中迄タイツがあり、素肌に欠片が落ちたのを、才人がゴクリと眺める
「やだもう、犬」
「……何でしょう?マイロード」
「犬は、溢れた残飯を漁るのよね?違う?」
ふふんとしながら、アップにまとめた髪の一部を払い、今度は才人の視線をうなじに注視させ、またゴクリと云う反応を引き出すルイズ
「答えなさい。主人の詰問よ?」
「…イエス、マイロード」
「貴方は犬よね?」
「イエス、マイロード」
「溢れた残飯を処理しなさい。勿論口でよ?」
「イエス、マイロード」
カタリ
椅子から立ち上がると直ぐにしゃがみ、ルイズの太ももに顔を近付ける
ドキン、ドキン、ドキン、ドキン
才人の心臓の鼓動が才人自身に木霊し、凄まじい迄の欲望を目の前の太ももに感じる
匂いと肌でクラクラだ
ルイズは、そんな才人を見て興奮し、顔を赤くするが、才人は太ももに注視し、一切気付かない
『やった、サイトがあんな顔してる。ほら、早くしなきゃ駄目じゃない。時間無くなっちゃうよ?』
そんな事を思いつつ、溢れた欠片を落とさぬ様に動かず、更に菓子を手に取る
次なる一手だ
そして、遂に才人が舌を伸ばし、菓子の欠片を舐め取り始めた
「〜〜〜〜〜!?」
ワザと内股に溢した為、才人の洗い鼻息がルイズの股間を刺激し、更なる匂いを才人に提供し、才人は熱心に舐めとる事で対応する
カリッ
「あ、こんな所迄溢れちゃった」
才人の頭にも掛ったが、狙い通り、股間にも落ちた
「ほぉら、犬。舐めとりなさい」
才人は素直に舐めとり、そのまま舐めると、ルイズの閉じてた脚が段々と開いていき、才人を誘い、才人は遠慮なく身体を割り込ませる
才人の舌はずっと股間をペロペロと舐め、決して休まない
「は、あ、まだ、取れないの?犬」
「……はい、菓子の欠片が繊維に食い込んでます」
そう言って、才人はまた舐め続ける
「…しょうがないわね。ふっ、ん、は、あむっ」
ルイズは才人の刺激に、身体を震わせつつ、されるがままだ
そのまま耐えられず、ベッドに背中を預けてしまう
パリ
ルイズがまた菓子を砕き、今度は胸の辺りに溢す
「はぁ、また溢れちゃった」
ルイズの股間を布越しに舐めてた才人は、その声で顔を上げると、素肌の上に欠片が乗っかっている
才人は無言で、そのままルイズの鎖骨から胸元迄を舐め始めた
「はっ、あん、本当に犬にふさわしいわよね」
ピチャ、ピチャ
敢えて音を立て、ルイズの身体を舐める才人
そのままビスチェを脱がす為、背中に手を回すと、ルイズが脱がされ易くする為に身体を浮かせ、才人が支えながら脱がせていく
そしてビスチェが脱げて、脚から抜けると、気恥ずかしげに自身の身体を抱き締めたルイズ
だが、ルイズは致命的な間違いを犯してしまう
魔法が掛っていたのは、あくまで『ビスチェ』なのだ
「……胸、ちっちゃいから…」
ルイズのそんな言葉とは裏腹に、スッと気分が醒めていく才人
そのままビスチェを睨み、ルイズを見て一言
「此が……胸?」
バカン!!
ルイズの脚が才人の側頭部に直撃し、そのままKOしてしまった
「何で?どうして?さっき迄あんなに……サイトの馬鹿ぁぁぁぁぁぁ!!」
ルイズはそのまま泣き出してしまう
「あぁ、相棒は魔法に気付いちまったんだよ。残念だったねぇ」
「うるさぁい!!黙れボロ剣!!」
枕をデルフに投げつけ、着替えてビスチェを持って、出て行ってしまった
パタン
「ったくよ。相棒は正攻法で行かないと駄目だっての。自分からやらないとなぁ。そう思わねぇか?相棒?」
「知らねぇよ、デルフ。あ〜効いた」
頭を振って才人は立ち上がり、村雨とデルフを握る
ジャケットはそのまま置いて行く
「で、探しに行くのか?」
「いんや、行かない。どの面会わせりゃ良いんだよ?」
「そうかい。じゃあ避難か?」
「そゆこと。行くぞ、デルフ」
「あいよ」
パタン

*  *  *
ルイズが飛び出した後は、やさぐれた気分を落ち着かせる為に、適当に街の中をうろついて居たのだが、騎馬のアニエスを見掛けて、つい声を掛ける
「アニエス久し振り。何してるの?」
「悪いが任務中………いや待て、ちょっと付き合って貰う。前に乗れ」
「え?えぇ?」
そう言って、ルイズを前に乗せる
そうして見ると、アニエスの凛々しさが、二人を騎士と平民の良く居るアベックにしてしまう
騎士が平民の女性に手を出し、キスやら胸に手を入れながら騎馬で歩き回るのは、良く見掛ける光景である
マントとルイズに隠れて、身体のラインが完全に隠れ、黙っていると、正に美男子である
正に美少女を此から頂く騎士様の図に、完璧にハマる
「あの、付き合うって何処によ?」
「楽しみにしておけ。やっと、総仕上げの段階だ」
「はぁ?」
ついつい、そんな反応を示すルイズ
そして、ルイズはアニエスの苛烈な捜査を真の当たりにし、絶句してしまった
メイジ相手に一歩も引かずに容疑者を捕えると、いつの間にか控えてた銃士隊の隊員達に引き渡す
トリステイン一の剣士である才人の師匠は、やはり伊達ではない
ルイズはメイジの優位性等、特定条件下でないと発揮されないと、自覚させられる
「ちょっと、あれ、捕まえる時にアルビオンって」
「その通り、今は狐狩りの時間だ。もう少しで袋小路に追い込む。陛下の女官なら手伝え」
思わず、ルイズは頷いた

*  *  *
才人も、ルイズと顔を合わせるのが気まずい為外出し、昼飯を食べて更にぶらついて居ると、軽く雨がぱらついて来た為、そのまま雨宿りで軒下に佇む
すると、同じ様に雨から逃げて来たフードを被った人物が、同じ軒下に駆け込んで来た
「はぁ、はぁ。あの、すいません。魅惑の妖精亭は、どちらにあるかご存知ですか?」
「あぁ、それでしたら、案内しましょうか?」
「有り難うございます。良かった、聞いても大体の場所しか教えて下さらない方々ばかりで、助かりました」
呼吸を整えた女性の声に、才人は身に覚えがある
「あれ?その声まさか?」
女性も気付いた様だ
「……サイト殿?何故トリスタニアに?」
「それは此方の台詞ですよ、姫様」

*  *  *
才人がフードを被ったアンリッタに連れ添い歩いていると、兵士達がバタバタと走り去って行く
「居たか?」
「空振りだ。範囲を広げるぞ」
そんな声が聞こえて来た
「……脱走しましたね?」
「はい。ちょっと家を、煙で燻す必要がありまして」
「……成程ね。虫は出そうですか?」
「今頃、アニエスが上手くやってるでしょう」
「ゴキブリ退治か。そりゃ、大変だ」
「ゴキブリ?」
「えぇ、俺の国に居る昆虫で、大抵の女性には恐怖の的ですね。家の中に良く居ついてます。中には、硬直しちゃう人迄居ますよ?」
形と大きさを手で示して、アンリッタはキョトンとした後、笑い出した
「アハハハハ。そんなに小さい虫を怖がるなんて、随分可愛いらしい女性ばかりなんですね?妖魔や幻獣に比べれば、遥かに易しい相手でしょうに」
「全くです。一番怖いのは人間なのにねぇ」
「‥‥その通りですわね‥‥本当に」
魅惑の妖精亭は目前に迫っていた

*  *  *
魅惑の妖精亭に着いた二人は、アンリッタをルイズの部屋に押し込み、才人はサイズの近いジェシカから、服を借り受けた
「済まないね、ジェシカ。君の服じゃないと、サイズ合わなくて」
「あら、良いのよ。あの娘、彼女?」
「似た様なもんだ。知り合いでね、ちょっと家出して来たんだと」
「あぁ、そゆこと。平民に化ける必要有りって事は、貴族でしょ?」
「ノーコメント。何か変わった事起きてない?さっき、兵士が慌ただしく駆けてくのを見てさ」
「あら、そうなの?知らないわよ?私もさっき起きたばっかで」
そう言って、軽く伸びをするジェシカ
「そっか、悪いね」
「いえいえ。借りはアフターで返してね」
そう言ってにこりと微笑むと、店の準備に部屋を出、才人もルイズの部屋に戻る
ガチャ
「服を借りて来ました。こちらに着替えましょう。その服じゃ、此処に居るって宣言してる様な物だ」
「‥すいません。何から何まで」
「いえ」
そう言うと、才人は服を渡して扉に向き、デルフを杖代わりに両手で付く
変事に対する警戒だ
そんな才人の姿勢に、アニエスの背中を重ね合わせ、思わずくすりとするアンリッタ
「そうしてると、アニエスみたいですね。やはり、師匠には似てしまいますか」
「まだまだアニエスさんには及びませんよ」
「くす。謙遜し過ぎが悪い癖だと、アニエスもゼッザールも言ってますのに」
「……早くお着替えを」
「あ、そうでしたね」
才人の背後で衣ずれが聞こえ、暫くするとアンリッタから声が掛った
「あの、もう大丈夫です」
その声に才人が振り向くと、胸元を大きく開き、髪をアップでまとめたアンリッタが居た
「全く、美女は特だねぇ」
才人がそう言って、賞賛を贈る
「サイト殿の褒め言葉は、素っ気無いのが良いですわね」
そう言って、アンリッタはくすくす笑う
「では、今からは私の事を、アンとお呼び下さいまし」
「判ったよ、アン」
才人が呼び捨てにした途端、嬉しそうに才人の腕を取り微笑む
「では、ここだと検問に引っ掛かります。既に検査した所に行きましょう」
「了解」
そう言って、才人はデルフをベルトを使って背負い直し、アンリッタを伴って外に出た

*  *  *
才人達が出て暫くすると、魅惑の妖精亭に兵士が入り込むのが見える
「間一髪でしたわね」
「そうだな、アン」
「はい、サイト殿」
そう言い、才人の腕に胸を押し付け、恋人の演技をするアンリッタ
「ん、役得だな」
「まぁ」
くすくすと笑いながら仲睦まじく歩く二人に、街中を走る兵士は気付かない
「でも、わざわざ目立つ様に歩くのも何だし、食事でも。そのまま宿に入ってしまいましょ」
「はい」
才人は適当に店を見繕い、酒場に入ると、アンリッタと一緒に乾杯をする
「焙り出しに、乾杯」
「か、乾杯です」
カチン
才人の気安い音頭に、アンリッタはつい照れて応じ、更に微笑んだ
「あの、こういう感じのは初めてです」
「そう?じゃあ、今の内にやろうか」
「はい」
才人と共に杯を傾け、料理が来ると舌鼓を打つ
「くす、こういうのも良いですね」
「そう?」
「はいっ」
語尾が上がり、ぱくぱくと食べる姿を見て、才人は面白そうにする
『あぁ、そっか。王族は、食事すら厳しい躾や監視が有るんだな』
アンリッタには、何もかもが新鮮なのだろう
気安い食事、誰の目も気にしないでいられる立場。駆け引き無しで相席出来る男性
『だから、あんなにウェールズ王子に執着したんだな』
同じ立場でなければ、苦しみは共有出来ないであろう
「お腹一杯になりました?」
「あ、はい」
「じゃ、続きの酒は部屋でやりましょ。イケるクチでしょう?」
「はい、サイト殿」
二人は、宿になっている二階に登って行く

*  *  *
「〜で、〜なんです。聞いてます?」
「あ〜はいはい」
酒が入ったアンリッタは、延々と才人に愚痴を溢しまくっている
才人はそんなアンリッタの愚痴に適当に相槌をうちつつ、苦笑している
『鬱屈しまくってるな。ルイズじゃ、ちょっと付き合えないだろうな』
そんな中、先程と昼間と同じ様に、また雨が降り始めた
サアァァ
雨音が聞こえた瞬間アンリッタは硬直し、暫くするとガタガタ震え始める
「?どうした、アン?」
「あ、雨‥‥‥‥雨!?」
歯の根が合わず、顔を真っ青にし、ガチガチいって震える為、才人が立ち上がってアンリッタの肩に手を置くと、アンリッタがすがりついてくる
「お‥‥お願いします。暫く‥‥私を‥‥抱き締めて‥‥下さい」
「……あぁ」
抱き締めたまま才人は立ち上がり、ベッドに座るとアンリッタがされるがまましがみつき、ガタガタ震えている
才人はそのまま、落ち着く迄背中を撫で続け、アンリッタは身体の震えが止まる迄、才人に身を預ける
暫くして雨音が止むと、アンリッタは才人の胸で深呼吸をする
「‥‥ふぅぅぅぅ」
「…大丈夫?」
「‥‥はい。あの、お見苦しい所を‥‥」
「いや、構わない」
「すいません。‥‥あの時以来、雨が駄目になってしまいました」
「……あの時?」
「私が‥‥貴方方に杖を向けた時です。あの時止めて頂けなければ、私は私の友達を‥‥この手で殺めて‥‥‥」
また震え出すアンリッタ
「解っていたのです‥‥解っていても‥‥杖を向けたのです。私‥‥私!!」
堪えに堪えて、身体を震わせる。王としてしか、周りは見ない
こんな姿は、誰にも晒せない
「今は王じゃない、アンだ。だから大丈夫、泣いて良い」
「‥‥はい」
そのままアンリッタは泣き出し、泣き止む迄、才人は微動だにしなかった

*  *  *
ルイズとアニエスは騎馬で更に進んでたのだが、検問に引っかかってしまう
「マズイな。今素性がバレるのは、ちょっと困る」
わざわざマントを普通のマントにし、只の貴族の騎馬武者を装おっているアニエス
ルイズが前に居る為、女に見えない
「どうするのよ?」
「こうする」
そう言って、ルイズの顎を持って、アニエスはルイズの唇を奪った
更に舌迄侵入させ、ルイズの口内を存分に犯す
「ん!?ん゛〜〜〜〜〜!?」
ルイズとアニエスが検問の通過中にキスをしっぱなしの為、兵士が毒付く
「ちっ、此だから貴族のボンボンは良いやな。行って良いぞ。そのまま宿に連れてって、宜しくやってくれ」
「ったく、俺達は緊急動員されたってのに、羨ましいこって」
パカッパカッパカッパカッ
蹄鉄が石畳みの舗装路を叩く音を響かせ、アニエス達はそのままの状態で通過していく
「……プハッ!!ももももう良いでしょ?」
「何だ?連れないな?夜は此からだろう?」「だだだ誰に向かって言ってるのよ?」
「勿論ルイズだが?」
「ああああんたね……」
「あ〜、此は老婆心なんだが」
「……何よ?」
「下手くそなキスだな。そんなんじゃ、アイツは欲情せんぞ?」
「な!?………いい今はかかかか関係……」
「きちんと相手されて無いだろう?」
バシバシと図星を指され、どもるルイズ
「う゛ぅ〜」
「やっぱりか。キスは大事だぞ?」
「ななな何よ?アニエスなら出来るって言うの?」
「あぁ、キスだけで、あいつを勃たせる事が出来るぞ?味わって見るか?」
「ちょっと待ってよ?いつ確認したの?」
「奴が動けなくなる迄稽古した時は、口移しで薬飲ませてたからな」
「私が授業中に?」
「そう云う事。ルイズの前じゃ、倒れる事なんかしなかったが、アイツはしょっちゅう倒れてた。私がモンモランシーに、良く叱られたっけ」
「なっ!?」
「やっぱり知らなかったか。アイツは、そういう弱みを見せるのが大嫌いだからな。見直したか?」
「ふ……ふん、何時もの事じゃない」
「ま、時間もまだあるし、ちょっと教えてやる」
「えっ?ちょっと?何する積もり?」
アニエスはそのまま宿に向かって馬を進め、とある宿に馬を預け、投宿すると、ルイズをベッドに放り出した
「きゃん!?ちょっと、何するのよ?」
「授業だ、授業。男と女の授業だよ。女というだけで、男が満足すると勘違いしてるお子様に、男を喜ばす術を教えてやる」
「え、やだ、あたし、そっちの趣味な、いぃぃぃぃ!?」
アニエスがルイズの言葉を無視し、ルイズの胸と股間に手を這わせる
「ほら、プライドを捨てろ。所詮裸になってしまえば、平民も貴族も皆同じだ」
「あっ、や、駄目、だめ、サイトじゃないとだめなの、サイトじゃないと感じちゃだめなの!!」
アニエスの手の動きに反応し、身体をビクビクさせながら、何とか抵抗しようとするルイズ
だが、アニエスはニヤニヤしながら止めない
「知るか。私も才人以外欲しくない。だが、どうにも見てられん」
「いやぁ、だめぇ、ウグッ!?」
ピチャッピチャッ
アニエスがルイズの唇を塞ぎ、ルイズの声が途切れる
唇が離れ、唾液がつーと繋り、切れる
「ルイズ、才人はな、誰でも良いタイプじゃない。自分が此だって相手以外は、基本的に興味ないタイプだ」
真っ赤になり、コクンと頷くルイズ
「だが、女に対する反応は正直でな、其が奴がドツボにハマる原因でもある。つまり、誘惑に弱いんだよ」
「うん」
「良いか?男の欲が強いのは10代だ。才人はな、欲をコントロール出来る年齢だ。ルイズ程度の誘いじゃ、ちっとも誘いに感じないんだよ」
黙り込み、下を向くルイズ
「だから、授業その一だ。キスで私を欲情させろ。才人なら簡単にやってくれるぞ?ルイズはどうだ?」
「……うん、あたしもなる」
「やってみろ、奴の舌使いと手の使い方を考えながらな」
ルイズは言われた通り、武装した状態のアニエスを欲情させるべく、唇を自ら合わせた

*  *  *


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Last-modified: 2011-06-09 (木) 17:28:20 (4702d)

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