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Last-modified: 2011-09-15 (木) 02:07:09 (4600d)

次の日の朝、二人が起きた時には才人は居なかった
その代わり、才人ではなく、お互いを抱えており、更にタバサの隣には、シルフィードが丸くなっている
「…あれ?ダーリンは?」
キュルケがキョロキョロすると、タバサがむくりと起き、眼を擦った後で眼鏡を掛ける
「朝練かしらね?」
キュルケがそう言って伸びをすると、タバサはそのままストンとベッドから降りて、スタスタ歩き出した
「あら、何処行くの?タバサ」
キュルケも化粧をせずに付いて行くと、タバサが向かったのは母親の部屋だ
扉の前に着くと声が聞こえて来る
「流石ですね夫人。シャルロットちゃんにもあげましょうね。はい、あ〜ん」
「あ〜ん。あんもう、シャルロットったら溢しちゃって」
「あらら、シャルロットちゃん溢しちゃいましたね。お腹一杯なのかな?」
「まぁ、シャルロットったら、イーヴァルディ様が来たから興奮しちゃってますのね」
二人がそっと扉を開けると、イーヴァルディと夫人が人形と一緒に食事を取っていた
わざわざ人形の口元にスプーンを持って行って、人形から溢れているが、二人共にシャルロットの粗相として笑っている
そのままそっと扉を閉めて、二人は準備を始める為に戻る
「手馴れてるわね」
キュルケの言葉に、こくりと頷くタバサ
「……きっと、待ってる人にやってたんでしょうね」
「…」
タバサでは出来ない。何故なら、タバサの姿が一番恐慌を来すからだ
「…せめて…母様が元に戻る迄…」
「そういう事は、今日のあいつら追っ払ってからにしましょ」
二人が部屋に戻って準備した後、朝食に向かうと、イーヴァルディが遅れてやって来た
昨日とは違い、ペルスランが忠実に動いている
「イーヴァルディ様。奥様のご様子は?」
「飯もきちんと食べたし、身体拭いて歯も磨いたし、今はすっきりしたせいか、満足して寝てるよ」
「左様でございますか」
そう言って、ワインをイーヴァルディに注ぐ
「いや、今日は」
「前祝いでございます」
二人に何かあった事だけは、キュルケもタバサも感じ、特に何も言わずに食事を始める
「頂きます」
イーヴァルディが両手を合わせるのを見て、ペルスランが呟く
「おや、そのお祈りは、イーヴァルディ様が教えたのですか」
「ん、あぁまあね」
そう言って、イーヴァルディはタバサと同じく大量の料理を、一気に平らげ始めた

*  *  *
才人はベルトに擲弾の革帯を左後部に通して下げ、村雨を左脇に吊し、ジャケットを着込んでからデルフを背負い、ポケットの中の革グローブを確認し、細々とした物は銅貨程度にして、屋敷を出て外で待機する
「相棒、何で短銃持って来なかった?」
「新型出来てたら、持って来たけどな。普通のじゃ単発だし、機動戦闘メインの俺じゃ、あんま使えねぇ」
「どっちにしろ単発じゃねぇか」
「威力に差があるんだよ。後装式銃、さっさと作れば良かったぜ」
才人が頭をガシガシ掻き、キュルケとタバサがやって来た
制服姿ではなく、思い思いの服に身を包みマントを纏っている
キュルケは胸元が開いた長衣にスラックスを合わせた格好で、タバサはひらひらしたフリルの付いた服にスカートだ
「女のコって、何着ても似合うな」
「ふっふっふっふ。タバサのコーディネートは私。どう、可愛い?」
「あぁ、二人共綺麗だぞ。ったく、此で今から戦闘じゃなきゃ、最高なんだがな」
そう言いながら、振り返って、彼方に呼び掛けた
「なぁ、変態兄弟」
「変態じゃない。元素だ」
ザッザッザッザ
下草を踏み分けて、四人が姿を表した
紅一点の少女は日傘をさしている
「ダミアン兄さん、あの男ムカつく。殺して良いだろ?」
「助っ人の生死は問われて無いですね。好きになさい、ドゥードゥー」
「やった。兄さん達は手を出さないでよ。アイツは僕の獲物だ」
長兄の児童の言葉を受けた少年、ドゥードゥーが杖を抜き出した
合わせて、グローブをした才人もデルフを抜く
「ヒューヒュー、ご指名だってよ。モッテモテだね、相棒」
「男にモテんのは、日本で飽きてるっつうに。何で、こっちでもおんなじ展開になるんだよ?」
「そりゃ、人間の精神が変わらないからじゃね?」
「あぁ、やだやだ。やってらんねぇわ」
才人達の軽口に怒りを滲ませつつ、少年が応じる
「僕はドゥードゥー。元素の兄弟の三男だ。一応名前を聞いてあげるよ?」
距離が開いてるのでお互い大声だ
「イーヴァルディ」
「何?」
「今の俺は、イーヴァルディだよ!!」
ダッ
口上と同時にイーヴァルディが駆け出し、同時にドゥードゥーが詠唱を行い、その巨大なブレイドが展開し、イーヴァルディに向けて振るわれる
ブン
イーヴァルディはそれを縄跳びの要領で跳躍して回避し、そのままドゥードゥーにデルフを大上段から叩き付けた
カシィィィィィン!!
ブレイドの刃を戻して受け止めたドゥードゥーが、ニヤリと笑う
「ウフフ、アハハハハ!!まさか、こんな所でイーヴァルディに出会えるなんて!?おわっ!?」
デルフがブレイドを吸い込み始めた為に、流してそのまま飛び退く
「僕はなんて運が良いんだ!?母さん達に自慢出来るよ!!」
満面の笑みで言いつつ、今度は走り出した
「ちょっ、待て、速っ」
今迄で一番の健脚、流石にイーヴァルディが面喰らうが、ドゥードゥーはそんな事お構い無しで、攻撃を開始する
「普通のメイジは、魔法を防御に使うから攻撃は対して強くない」
キィン
才人が追随出来ずに、太刀を受けては流し、返すブレイドは、その鞭状の杖のお陰で、軌道がずれて襲いかかる
「相棒右」
ギィン
「糞ッ」
「でも、一流のメイジは、攻撃に全て費やせるんだ!」
ドゥードゥーの太刀筋自体は鋭くは無い
しかし、攻撃範囲と軌道がおかしい
敵も味方も範囲から外れて観戦である
「糞ったれ!斬艦刀かよ!?」
ギィン!!
一際高い音を発してお互いに斬り結んで飛び退き、目線を外さない
「デルフ、どうだ?」
「おぅ、ようやく解った。ありゃ関節に先住を仕込んでんな。だからあんなに速く動ける。しかも、反射神経迄上乗せされてるわ。相棒の太刀筋全部見切ってらぁ」
「やだねぇ。堪んないねぇ。勝てるか?」
「無理」
「即答すんな、この野郎」
すかさず攻撃範囲の広いドゥードゥーが、そのまま攻撃範囲に侵入して右から振るい、イーヴァルディがデルフを右手で斜めに構えて、左腕を峰に添えて上方にいなす
キィン
そしてイーヴァルディが隙と判断して突撃したら、手をくんと動かし
「上だぁ!!」
咄嗟に上から来たブレイドを、デルフの警告で吸い込みながら跳ね飛ばし、そのまま接近すると袈裟懸けに斬りかかった
「取った!!」
ガシ
「うん、中々。でも相手が悪かったね」
ドゥードゥーが肩口で、デルフを硬化で受け止めている
「おおぉ!!」
更に力を込めたイーヴァルディがそのままドゥードゥーを地面に押し込める
「うっく、なんて力」
「デルフ、解放」
「おぅ」
キュイィィ
デルフが今まで吸ったブレイドを放出し、硬化事切り裂き始める
「う、うわぁ!?」
思わず斬られるのも構わずに後ろに飛び退き、ドゥードゥーが肩で息をする
「ふぅふぅふぅふぅ」
「いやぁ、流石お宅のブレイド。切れ味が違うねぇ」
「ば、馬鹿にして、馬鹿にして。馬鹿にすんなぁぁぁぁ!!」
そのまま治癒を詠唱してた所に、カランコロンと足元に三つ円筒型の物体が転がり、一気に煙を吹き出した
プシュウ
ドゥードゥー一帯に煙が撒かれ、視界が完全に塞がれる
「うっ、糞ッ。何処だ、イーヴァルディ!?」
煙に撒かれて判断が追い付かず、ブレイドを出しながらゲホゲホと咳き込むドゥードゥー
「此処だよ」
そう言って、踏み込んだイーヴァルディは、ドゥードゥーの正面に村雨を手を添えて低い姿勢で構えていた
イーヴァルディが一気に抜刀し、それを宙返りで避けるドゥードゥー
「マジかよ!?」
すかさず左手を後ろ手に回し、擲弾を抜き取ると、コンコンコンと三つの弾頭を柄頭で叩く
「一」
すかさず着地してウィンドを唱えて、煙を飛ばすドゥードゥー
「二」
煙を飛ばしたドゥードゥーの足元に、また円筒型の物体が転がっている
「何度も同じ手が通用すると……」
「三」
バババン!!
才人が後方に走りつつ、地面に刺してたデルフを抜いて振り返るタイミングと、擲弾が炸裂するタイミングが同時に起こった
周囲に黒煙と炎が撒き起こり、その様子を元素の兄弟とタバサとキュルケが唖然として見ている
「決まったか?」
「まだみてぇだな。アレ見ろ」
イーヴァルディが見た物は、煙が晴れて、服が見事にグシャグシャになりつつ、煤だらけになりながらも、必死の形相で立っているドゥードゥーだ
「ふぅふぅふぅ。ぼぼぼ僕がそそそそう簡単にややややられるものか」
完全に歯の根が合わずガチガチいっている
「おいおい、魔法は攻撃に全部使うんじゃ無かったのか?防御に使ってんぞ?」
「色男だね、兄ちゃん。モッテモテだね、ヒューヒュー」
「ふざけるな…ふざけるなふざけるな!?もう殺す!!絶対殺」
ドゥードゥーがそう吐き捨てた時には、イーヴァルディは既に接近し、剣の間合いに入っている
ダメージを負ったドゥードゥーは反応が遅れ、イーヴァルディはそのまま右手に持った村雨で袈裟懸けに霧を纏いつつ斬り上げ、続けて左肩に乗せてたデルフで逆袈裟に斬り下ろし、更にトドメに村雨の刃を上にして心臓を突いた
辺りに霧が舞い、時間が止まる
「……ガハッ」
「悪い、お前さん強すぎて、手加減出来ねぇわ」
そのまま村雨を引き抜くと、ドゥードゥーはゆっくり倒れた
そのままイーヴァルディは村雨を一払いし、鞘に収め、続けてデルフも払い収める
「何だよ相棒。勝っちまったのかよ」
「相手が少年で助かった。挑発に乗りやすいのなんの」
パンパンパンパン
拍手が鳴り響き、拍手をした人物が、イーヴァルディに話しかけた
「流石イーヴァルディだな。首跳ねられ無くて助かった。ジャネット」
「はぁい、ジャック兄さん」
そう言って日傘をさしてた少女、ジャネットがトンと一跳びで近寄り、ドゥードゥーに治癒を掛ける
イーヴァルディ達は眼を見張る
心臓を貫かれたドゥードゥーの身体がみるみる傷が塞がり、鼓動と呼吸を再開し始めた
「…デルフ」
「異常過ぎらぁ。先住並……いや、先住なのか?」
「…規格外かよ」
すると、いつの間にかジャネットがイーヴァルディの傍に立っており
興味津々で顔を寄せる
「…おい」
「へぇ、本当にイーヴァルディなんだぁ」
そのまま、顔を近付けたジャネットは、イーヴァルディの頬をペロリと舐める
「…え?」
「…力は感じないけど、あの左手?そこから感じるかなぁ?アハッ、面白い人。メイジじゃないのに、メイジでも規格外の兄さんに勝つなんて、俄然興味出ちゃった。ドゥードゥー兄さんにはいい薬よ。いっつもいっつも、失敗繰り返してたんだから」
そう言ってくるりと振り返り、すたすたと歩き出しながら、ドゥードゥーをレビテーションで持ち上げた
「でも残念。私、女のコが好きなの。それでも、兄さん達全員に勝ったら、惚れちゃうかも」
そう言って、元の位置に戻ると、ジャックと呼ばれた大男が進み出た
「此で終わりじゃないよな?イーヴァルディ。次は俺だ」
「いやぁ、勘弁。勝てそうにねぇや」
「まぁ、そう言うな。俺とも遊んでくれよ!!」
ジャックが言い切った時には、既に間合いに入っていた
咄嗟に村雨を抜いてる最中にジャックのボディーブロー
ギィン!!
金属が裂ける甲高い音が鳴り響き、イーヴァルディの腹にジャックの右拳が入って
「ぐぁっ!?」
ジャックが思わずたたらを踏んで後退する
硬化で変化した右拳が、中程迄亀裂が入っている
「あっぶね、間に合った」
イーヴァルディは村雨を鞘から半分程抜き、刃を立てた状態で防御していた
「く、何なんだその剣。普通は折れるだろ?」
「日本刀舐めんな。俺の国で、一時代を築いた業物だぜ?」
そのままイーヴァルディが接近し、村雨を振るうが、霧を残してジャックが横に跳ぶ
「ならコイツはどうだ?」
ジャックの詠唱に気付いたイーヴァルディはデルフを抜き、二刀を構える
「出番だぜ、デルフ」
「おうよ」
イーヴァルディの台詞と共にジャックが杖を振り、一斉にブレッドの散弾が降り掛かった
キキキキキキン
二刀流で打ち払いながら吸い込み、急所と脚の負傷は避けるが、顔や腕や脇にかすっていく
ビスビスビス
「ってぇな、畜生」
「相棒の下手糞」
更に散弾が降り注ぎ、堪らなくなったイーヴァルディは両腕を顔の前で交叉し、デルフを突き出しながら耐えた
ドスドスドス
威力が弱められたと言っても、身体に直撃弾を貰って、そのまま吹っ飛ばされる
ドサッ
「……効いた、畜生。バイクで交通事故した時みてぇだ。身体が……動かねぇ」
「あちゃー。痛み無視出来ても、身体動かないんじゃ無理だねぇ」
ザッザッザッザ
「良く耐えたな。まぁ、別に恥じる必要無いぜ」
「んだよ、糞っ」
「イーヴァルディ殺したって言うと、恨まれるけど、これも巡り合わせだ。悪いが、後で謝っとくから、ヴァルハラ行ってくれや」
「…何?」
ヒュン、カツ
イーヴァルディにトドメを刺そうと寄ったジャックに、氷の矢が突き立つ
「…一騎討ちの邪魔すんのか?」
「一騎討ち?何言ってるの?私達は承諾した憶えは無いわよ?」
キュルケとタバサが炎と冷気の魔力を立ち上げ、周囲の空気を歪める
「あぁ、そう言や確かに一騎討ちの作法してねぇな。良いぜ、集団で来な」
その言葉に、タバサとキュルケが高らかに詠唱を始めた
「ラグース・ウォータル・イス・イーサ・ハガラース」
「ウル・カーノ・イーサ・ティール・ギョーフ」
詠唱を聞いたジャックが鼻を鳴らし
「高がジャベリンとファイアランスで、俺達が仕留められると」
「思ってるわよ!!イーヴァルディの本当の恐ろしさ、味わいなさい!!ファイエル!!」
ヒュン
二人が同時に杖を振り下ろし、その狙いはジャックを外れ更に奥に行き
「俺じゃないだと?」
「違うわ、あんたもよ」
丁度後方で観戦してた兄弟と、ジャックの中間地点の同箇所に突き刺さった
ドォォォォン!!
盛大な水蒸気爆発が起き、元素の兄弟が全員吹き飛ばされた
「う…ぐぁ…」
「ふん。イーヴァルディの強さは単体じゃなくて、コンビネーションで発揮されんのよ」
イーヴァルディ自身は倒れて居た為、爆風のダメージを負ってない
「つつつ、良し動ける」
イーヴァルディが立ち上がると村雨を収め、吹き飛ばされたジャックに近寄る
「さてと、どうするタバサ?」
「…強すぎる」
「…だよな」
タバサの言わんとする所は、イーヴァルディにも解る
才人がデルフを振り上げ首に振り下ろした時、俯せに倒れてたジャックが素早い仕草で杖を持ちつつ、デルフの前に両腕を交叉させて防いだ
ザクッ
「ぐぅっ」
「生命力も人間じゃねぇな、こりゃ」
デルフの呆れた声に才人も呆れる
「まだやれんのかよ」
ジャックがそのまま跳ね起き、イーヴァルディに向かって、満身創痍ながら、ちっとも衰えない闘志を見せる
「…何だ今のは?聞いた事ねぇぞ?」
「だろうな。教えてやらん」
「くっ、コイツら攻撃力だけなら、俺達並だと?」
「まだやるか?」
「当然」
その声にイーヴァルディが動き出し、袈裟懸けに一撃
しかし、ダメージを負ったジャックは身体を硬化して耐える
「ぐ、おおぉぉ」
「吸え」
「おうよ」
デルフが硬化を吸い込み、肩口に刃がめり込んでいく
「ぐぁっ!?」
その隙にデルフを引き斬ったイーヴァルディが懐に潜り込み、相手の腕を取り、そのまま自身も一緒にガンダールヴの力で跳ぶ、一本背負い巻き込み
ドスン
ジャック自身の体重に才人の体重が加算され、非常に重い一撃になる
「グッハッ、何だ?この投げは?」
そのまま立ち上がったイーヴァルディがデルフを突き下ろすと、間一髪で逃げるジャック
ババッ
イーヴァルディから離れ、荒い息をしながら呟く
「ふぅふぅ。此が、イーヴァルディとそのパーティーか」
「デルフ……」
「……了解だ、相棒」
ダッ
デルフを横薙ぎに払うとジャックが跳び、そのままデルフが才人の腕からすぽっと抜け飛んだ
「しまった、すっぽ抜けた」
「相棒の馬鹿たれ!!」
イーヴァルディはすかさず村雨を抜き、ジャックに攻撃の隙を与える事が無いよう、霧を撒き散らしながら猛攻を加える
そのまま飛んだデルフは、キュルケとタバサの前に突き立つ
「嬢ちゃん達、相棒から伝言だ………」
「……了解よ。粗悪品で良いのね?」
「おうよ。逆に不味い方が、嫌がらせになるって」
「あっはっはっは。ダーリン流石ね。タバサ、行くわよ」
コクリとタバサが頷き、二人の詠唱が始まった
ジャックとイーヴァルディが攻撃をいなしながらも攻撃するが、お互いにダメージを負った身体では、切れがなく、お互いにダメージを与えられない
お互いに体を入れ替えながら、人間には不可能な動きで捌き、攻撃する
ジャックの方がダメージが強く、結果的に同じ位の体捌きになっている
「こんなに、持ちこたえたのは、お前が始めてだ」
「ざけんな化物。てめえ、人間じゃねぇだろ?」
「俺は化物じゃねぇ!!」
才人の言葉に激昂し、拳を打ち下ろしたまま、地面迄勢い余って穿ってしまうジャック
その瞬間、ジャックがの周りの地面が大量の白い粉に変化する
そして、その粉が風に舞い、ジャックの身体全体を覆った
「また、目眩ましか。ゴホッ、小麦粉?しかも不味い。てめ、ふざけんのも大概に」
才人が村雨を突き出し、聞こえない様に呟いた
「ウル・カーノ」
ボン!!
爆風が才人の身体と髪を撫で、ジャックの肺迄浸透した小麦粉が粉塵爆発を起こし、ジャックの呼吸器系事焼き、全身を黒焦げにする
ゆっくりと、ジャックが地面に倒れ伏した
ドサッ
「悪いな。コイツも知らんかったろ?」
暫く動きが無かったダミアンとジャネットが、やっと起き出した
まさか自分達が攻撃されるとは思わず、もろに食らってしまったのだ
「あつつつ、いや参りました。スクウェアスペルもかくやですね……ジャック!?」
「痛たた。あんもう、お気に入りの服がズタズタですわ。ジャック兄さん!?」
ダッ
ジャネットが破れてはだけた胸を顕に駆け出し、急いで治癒を唱えながら杖を振り、ジャックとイーヴァルディの間に両手を広げて立ちはだかり、イーヴァルディを睨む
「お願い、負けを認めるわ。剣を引いて」
「いや、あんたら強すぎるんだよ。正直またちょっかい出されたら、一人じゃ勝てないんだわ。減らせる時に減らさないと」
「その私達に勝ったなら満足でしょ?お願い」
「……」
才人が村雨を肩に、頬をかりかり掻いている
どうにもこうにも、女には弱い
「ダーリン、女の色気に騙されちゃ駄目よう」
決着が着いたので、タバサとキュルケが歩み寄っている
「いや、随分騙されて来たから、更に騙されてもな」
「全く、美人には本当に甘いんだから」
キュルケがプンスカしつつも、イーヴァルディの意見に異を挟まない
そして、タバサが尋問を始めた
「…依頼者は誰?」
「……イザベラ王女よ」
「…貴女達も花壇騎士?」
「そうよ。雪風さん」
北花壇騎士のみ、方位を冠さない
つまり、裏部門をお互いに認めたのだ
「…解った」
「タバサの同僚か?」
イーヴァルディの問いに、タバサが頷く
すると、イーヴァルディが村雨を収めた
チン
「タバサの同僚じゃ仕方ないな。もう手出ししないって誓うなら、行って良いぞ。普通じゃ死ぬダメージでも、あんた達なら死なないんだろ?」
「えぇ、そうよイーヴァルディ。もう、雪風は狙わないって誓うわ。じゃあ、見逃してくれるお礼ね」
そう言うと、イーヴァルディの頭を抱えてキスをする
たっぷりと舌を絡め、堪能したら離れた
「ん、美味し。じゃ、またの機会にね」
ひらひらと手を振り、ジャックをレビテーションで浮かすと去って行く
「ダミアン兄さん、行きましょ?」
「……ジャネット、依頼主を明かす事は無かったでしょう?」
「あら、明かさなかったら、ジャック兄さんとドゥードゥー兄さん殺されてたわ」
「確かにそうですが……」
二人してレビテーションして二人を運搬して、木々の中に消えて行く
そして、消えた途端、イーヴァルディがトスンと腰を降ろした
「も、駄目」
「まさかダーリン、逃がしたのって」
「あぁ、あれが限界…後の二人に、敵討ちだと迫られたら終わってた」
そのまま大の字になって寝転がる
「済まん、動けねぇ。後頼むわ」
そう言うと、才人は意識を手離し、タバサはそんな才人を、レビテーションで屋敷に運んだ

*  *  *


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Last-modified: 2011-09-15 (木) 02:07:09 (4600d)

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