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Last-modified: 2011-10-17 (月) 21:31:00 (4567d)

才人達が王宮に着くのと、竜籠が着くのは、ほぼ同着だった
それだけ、単騎移動の方が速いのである
「ヴァリエール。次から零戦は譲るわ」
再会したキュルケがそう言って、それにタバサも頷いて、ヴァリエール姉妹は顔をお互いに見合わせたのである
そして到着して謁見に向かう時に、アニエスがツカツカ寄って来たのだ
「や、アニエスさん久し振り」
片手を上げた才人を、そのまま両手で襟元を持ち上げ引き寄せる
「お前、何で評価の時に、私を呼ぶ迄待たなかった?」
「え?何?怒ってんの?」
「当たり前だ、来い」
そのまま、才人が引き摺られて行ってしまう
「何が起きたの?」
エレオノールが聞くと、ルイズが答えた
「アニエスは、サイトの剣の師匠なんです。恐らく、扱きだと思います」
「私達はどうするの?」
「所定の時間迄、待ちかな?今日は、謁見の順番長そうだしね」
キュルケがそう言って、肩を竦めた

*  *  *
屋内稽古場は人払いをしてあり、誰も居ない
「稽古してる人、居ないねぇ」
「貸し切りだ」
アニエスから投げられた水剣を才人がパシッと受け取り、アニエスが真剣を抜く
「あの……殺す気?」
「当たり前だ。嫌なら打ち倒せ」
ダッ
アニエスからの打ち込みを才人は水剣で受けつつ、そのまま銅を薙いだ
ピシャッ
「アウッ!?」
そのまま崩れ落ちるアニエス
「大丈夫?」
「……ふぅ。きちんと稽古してた様だな。また、強くなりおって」
そのまま、才人の助け起こしを逆に引き倒す
「おわっ!?」
ドサッ
踏み固められた土の床に、アニエスが下、才人が上である
「何で……呼ばなかった?」
「仕事だって、言われたんで」
「馬鹿者。お前のせいで、腹が痛い。見てくれ」
「あぁ」
才人が制服のボタンを外すと、白い肌が見える
「ここ?」
才人が当てた場所を擦ると、アニエスが才人の手を取る
「違う、もっと下」
そう言って、ベルトをしてるズボンの下に、才人の手を誘う
流石に才人もピンと来る
「じゃあ、良く見ないと、四つ脚が見やすいかな?」
その言葉にアニエスは四つ脚になり、才人はベルトを外してズボンを脱がせる
「ありゃ、こりゃ酷い。今すぐ注射しないと」
才人がズボンを脱ぐと、そのままズニュっと挿入し、アニエスの顔に顔を寄せる
「随分来るの早かったね?」
「お前の……呼び出し指令の後、ずっと、内勤を」
「職権濫用だ」
「ひっ!?」
ズッチュズッチュと音がなり、二人共に高まっていく
「もう、もう」
「俺も……駄目」
才人が一際強く突き入れて固定し、アニエスがそのまま痙攣する
「あ……あ」
「アニエスさん。相変わらず綺麗だよ。今度、ドレス姿が見たい」
「……お前が望むなら」
そう言って、二人は再会の口付けを交わした

*  *  *
才人とアニエスが戻って来ると、素直に順番を待っていたルイズ達と合流する
「良かった、まだ順番回ってなかったか」
「何か、長いみたいよ?」
才人が言うと、ルイズが答える
「最近ずっとこうだ。輸入品が軒並み値上がりしてな、陳情が絶えんのだ」
アニエスがそう言って事情を説明し、エレオノールが呟いた
「軒並みか。そしたら、国内産で賄えるのは賄わないと駄目ね」
そして二人に匂いと土埃が付いてる事に、ルイズが気付いて指摘する
「何?外で組み打ちやって来たの?」
「嫌、屋内練習場だ。屋外は新編成された各連隊が訓練してて、使えんからな」
「あ、そうなんだ」
二人に匂いが移るのは、練習の結果の為、誰も気に止めない
それが、アニエスの強みである
「軒並み値上がりか。スッゲーチャンス。俺が為政者なら、大喜びしちまう状態だな」
その言葉に、皆が振り向いた
「困った事じゃないの?サイト」
「一時的にはね。でも、今まで負けてた国内産業が価格競争出来るだろ?国内各地で生産出来る代替品は、飛ぶように売れてる筈だ。俺なら喜ぶね」
アニエスは、才人の意見に溜め息をついて答えた
「全く、お前はなんで此だけで其処まで読む?その通りだ。現在の政策支持の国内業者の陳情と、輸入業者の陳情が真っ二つだ」
「ま、私達ゼロ機関に掛かれば、こんなもんよ」
エレオノールが得意気に髪を揺らし、ルイズ達がじとーっと、エレオノールを見る
「な、何よ?私も似たような事言ったじゃない」
「「べーつーにー?」」
ルイズとキュルケの声がハモり、珍しく協和音を出した

*  *  *
才人達が謁見したのは一番最後である
理由は、そのまま夕食会を兼ねたからだ
王族の客人専用の食堂で宴が催され
軍代表でアニエス、政務代表でマザリーニが入った
アニエスは才人の望み通り、背中と胸元が開いたドレスを着ており、才人が親指を立てて、アニエスが薄く笑ったのである
それに、ゼロ機関の二人とルイズは正規メンバー
後の二人は友人兼関係者であり、キュルケはツェルプストー伯代行を任じ、正式な代表として連ね、タバサはやんごとなき姫様なのだが現在身分を隠しており、度重なる危機に対する使い手として、才人の背中を守る事を自らに課しており、出席が許された
先ずは、タバサが使い手ぶりを披露し、ディテクトマジックで部屋全体を一気に精査する芸を見せ、各員に納得させたのだ
夕食では有るが、お互いに忙しい身の上であり、そのまま協議に入る
「姫様がお呼びの様で。俺も交渉しないといけない事が有ったので、助かりました」
「そろそろ資金枯渇の時期ですものね」
そう言って、アンリエッタが笑い、マザリーニが意見を出す
「所長殿。感謝状はお読みになって頂けましたか?」
「えぇまぁ」
「今、国内は空前の好景気に包まれつつありますぞ?国内の産業が回る回る。我々としては処理が追いつかない事態で、嬉しい悲鳴を上げとります。このままでも、来年度の租税収入は非常に期待出来ますぞ?」
「そいつは良かった」
「軍代表から言わせて貰おう。さっさと新型艦作れ」
アニエスがワインを飲みながら、才人に吐き出す
そんなアニエスに、ナイフで才人が指した
「それだ。問題が出た」
「値上げですか?」
アンリエッタが聞くと、才人が頷く
「グラモンからSOSだ。貨幣交換で資金重量が2/3になって、鉄鉱石輸入も2/3になる」
「そいつは不味いですな」
マザリーニが事態の深刻さに頷くと、キュルケが肉を刺したフォークを振って答える
「そこで、私達ツェルプストーからの提案です。軍事同盟に基づき、ゼロ機関の新技術をツェルプストーに導入並びにゲルマニアで独占する事のバーターとして、トリステインに、以前価格での輸出を致しましょう」
スープを飲みながらアンリエッタが一度拭き、才人に問い掛けた
「サイト殿。取引する価値は有りますか?」
才人が切り分けた肉を放り込み、飲み込んだ後、答えた
「有る。100メイルのパイプは是非とも欲しい。こちらの技術指導でパイプ自体強化も可能。ゼロ級のメインフレーム作製素材はツェルプストーに一任したい」
「解りました。そういう事なら仕方ありません。国内で作れない物は国外に頼ると、最初の契約でやってますからね。後で親書をしたためましょう」
「有り難うございます陛下。父も喜ぶでしょう。大使は是非とも、所長に任じて頂けますか?」
其処でアンリエッタは悩み、首を振る
「申し訳ありません。貴族でない方に、大使の任は無理です。ルイズ、私の女官として、大使の任に赴きなさい。実務は、サイト殿達がやって下さるでしょう」
「は、はい!光栄にございます」
思わず声を掛けられたルイズが、元気に返事をする
「宰相殿、新型銃の件ですが」
アニエスがマザリーニに話を振り、マザリーニも答える
「解っておる!近衛三隊長の協同署名は無視出来ぬ!」
「え、やだダーリン。新型銃作っちゃったの?買う買う、3000挺で良い?皇帝親衛の装甲擲弾兵に回すわよ。皇帝に多少は回すって約束してるの」
「ちょっと待ってくれ!こちらに回らなくなるでは無いか!!宰相殿!ゲルマニアに全部持っていかれるぞ!!」
キュルケの物言いに、アニエスが憤慨して噛み付く
「あぁ、解った解った。採用する。全て採用するから!!そういきり立つな。全く、後でデムリ卿にどやされるわい」
マザリーニが汗を拭きつつ、ワインを煽る
そんな様をアンリエッタがクスクス笑い
「あぁ、サイト殿が居るだけで、協議すら楽しいですわね。それで、現在のゼロ機関の中間報告をお願いします」
「エレオノールさん、頼む」
才人の振りに隣席のエレオノールが頷く
「はい、では秘書としてお答えします。現在蒸気機関の主機と補機の内、補機の製作に成功。一分間に1500回転の回転を叩き出せました」
「‥‥一分間に?冗談でしょう?」
アンリエッタ達の身体の動きが止まり、思わず問い返す
「いえ、事実です。燃焼室は元々主機用に設計されており、同じ回転数で単純計算で6倍の力が発揮可能です」
「‥どれ位の力なのでしょう?」
「こちらで計算した所、20メイル級ゴーレムの自重を持ち上げる事に匹敵します」
「‥恐ろしい力ですね」
「はい、ですが、それですら、最大出力の1/4です」
「‥‥は?」
「1/4と申し上げました。その強大な力で空を飛び、海を進み、陸を駆け、更に精密且つ高威力の工作機械を作れるでしょう。トリステインの未来は明るいかと存じ上げます。陛下」
ゼロ機関の威力が余りに規格外の為、マザリーニ達も絶句して話せない
「‥あの、魔法は要らないですか?」
そのアンリエッタの疑問に、才人が答える
「そうだな。要らないっちゃ要らない。けど魔法無しじゃ製作期間は10倍になる。魔法と科学、両方必要だ。どちらか一方を否定したら、何も上手くいかない」
「例えば燃焼に関しても、実は魔法を使って浄化しないと毒物ばかり出る。トリステインが毒に汚染されるんだ。人が住めなくなる」
「まことですか?所長」
マザリーニが問いかけ、才人が頷く
「あぁ、だけどこの毒物にちょっと浄化と錬金を固定させて工夫すると、硝石と硫黄が取れる」
「な、何!?」
アニエスが思わず乗り出す
「事実だよ。エレオノールさん、サンプルを」
頷いたエレオノールが、テーブルに硫黄と硝石を差し出した
「所長の指示に従い、排気から取れた物です」
「……こんな事が……可能だとは」
マザリーニも息を飲む
「後は二酸化炭素と水として、窒息の元になるけど、まぁ無害だ。植物が吸収してくれる」
皆が才人の意見に耳を傾ける
「つまり、魔法の利点、科学の利点双方を使うべきだ。どちらか一方なぞ馬鹿げている。俺は此を、魔法科学と名付けた」
才人は水を含み、また話す
「こうして無害化しながら必要な代物まで産出する。一石二鳥だろう?」
才人の言い分に、アンリエッタは自分自身に落とし込みに時間を掛け、マザリーニに声を掛けた
「‥マザリーニ」
「言いたい事は解っております。陛下。」
「ゼロ機関所長殿。必要な資材、人員が必要なら、何時でもおっしゃって下され」
その言葉に、才人は答える
「じゃあ、頼まれてくれっかな?」
「何なりと」
「今魔力カートリッジを作って運用してんだけど、同規格で使ってるから、後方に居るメイジに、燃料になって欲しいんだわ」
「成る程、カートリッジとやらに魔力を込める仕事をして欲しいと」
「あぁ。後、グラモンで土のメイジ欲してた。回して欲しい。モンモランシにも、工場でやって欲しい事がある」
「手配致しましょう。職人は如何ですかな?」
「……そうだな……職人は何処も手一杯だ。手先が器用な失業者を雇用してやってくれ。彼らに教育して使える様になって貰った方が、底上げに繋がる。スラムが減るぞ?」
「ふむ、考慮致しましょう」
「後は、鉄器で鉄屑品をグラモンに回して欲しい。例えば新型銃を手配されたら、旧型は全部新型に鋳直す」
マザリーニは言い分に頷く
「鉄を無駄にしないのですな」
「その通り。後は軍を使って、散らばってる使用済み砲弾とかを回収してくれると大分助かる」
「了解した。鉄不足では軍も勝てないからな。訓練で行えば一石二鳥だ。進言しよう」
アニエスが頷きつつ答える
正にゼロ機関が政策に関与してる事の証明だ
ルイズは、自分の使い魔の言い分に眼を輝かせて聞き入っている
内容は、あんまり理解出来なかった訳だが、女王、宰相、近衛隊長の反応で、何やら大した事をやってるのは解ったのである
「所長殿。意見を伺いたい」
「何でしょう?宰相殿」
「現在の輸入品の値上がりに付いて、どう思いますかな?」
才人はワインを飲んで一息付き、答えた
「…俺の失策だ。金本位での、重量取引を完全に失念していた。為替条約で済むと思ってた。済まない」
こう言って、才人は頭を下げた
マザリーニはサラダを突きつつ、答えた
「実は、弊害は我々政府も認識しておりました。それでも我々は採用したのです。どんな政策も一長一短が有ります。所長殿もお若い、お気になさるな。なのに、我々でも考えつかぬ政策を思いつかれた。我々は感謝しておるのですぞ?」
「…そう言ってくれると助かる」
「で、現在の状況をどう読みますか?」
アンリエッタが尋ねると、才人が答えた
「国内代替産業振興の決定的チャンス。輸入業者には、国内産品の流通に力を回して欲しいとお願いした方が良いと思う。どっちにしろ、景気が上がって国内流通が逼迫してるんだろ?」
アンリエッタとマザリーニが顔を見合わせ、二人して笑いだした
「クスクスクスクス。本当に、只では起きないお方ですわね」
「ハッハッハッハッ。いや、せっかくイビって楽しもうとしてたのに。見事に返されましたなぁ」
才人の意見を聞いたエレオノールが、アンリエッタに問い掛ける
ゼロ機関は意見も只では無い
知恵からなる果実こそが、ゼロ機関の原資である
「今の分のレポートは必要ですか?陛下」
「えぇ、出しなさいな。きちんと評定させて頂きましょう」
アンリエッタは機嫌良く笑っている
そして、皆が食事が終わると、少人数ながら、そのまま音楽会が催された
楽士達が集まり、音楽が奏でられる
そして、気付いたら周りは女ばかりで、男は才人一人
「ちょおっと、待て。マザリーニさんは?」
「政策指示に戻りましたわ」
アンリエッタが、ニコニコしながら答える
「ダンスの相手は俺は無理なんだけど?」
「あら、でしたら今勉強すべきですわ。ジェントルマン」
そう言って、アンリエッタは才人の前でスカートを持ち上げて、足を交叉させて礼をする
「最初は、私と一曲お願い致しますわ」
才人はあ〜とかう〜とか言いつつ、結局はアンリエッタの手を取った
ルイズがメラメラしながら睨むが、エレオノールにぺしりと叩かれて我に返る
「痛いです。姉さま」
「…あのね。さっきの話、理解出来た?」
「……ホンの少し」
「あの馬鹿、宰相の仕事したのよ。しかも、国内の貴族平民問わず、全員が利益出る様にしたの」
「……本当に?」
「本当。ダンスの一番手は、絶対に陛下じゃないと駄目。私達と言えど、序列はその後ね。アンタの使い魔で私の所長は化け物だわ。父様に匹敵するんじゃないかしら?そりゃ、陛下が貴族にしたがる訳だ」
うんうんと頷いて、エレオノールが胸の前で腕を組んで、指をクルクルと回している
本当に気分が良いのだろう
「もう、ゼロ機関絶好調じゃない?今回ので、収入迄入って来ちゃうじゃない?いや、私ってば最初は恨んだけど、やっぱり付いて来て正解じゃない?始祖ブリミルよ、感謝致しますわ。今迄の試練は、全てこの出会いの為に有ったのですね?神よ、感謝します!」
そう言って聖具の象に切ってから両手を胸の前で組み、悦に入ったエレオノール
そんなエレオノールからすすすっと、距離をいつの間にか取ったルイズはルイズで、ブツブツ呟いていた
「ちょっとちょっと何をしてんのよこの腐れ馬鹿犬あ今あんた耳元に唇よせたわねああああんたそんなに姫様の胸密着させてだらしなく鼻の下伸ばしてんじゃ無いわよふざけんじゃ無いわよ後で鞭叩き100回なんだからねおおお憶えて起きなさい」
そんな二人を見つつ、キュルケは肩を竦め
「…何て言うか、痛さ二倍?」
「…放っておくに限るな」
アニエスが頷き同意しつつ、次のダンス待ちである
そしてタバサが、漁夫の利を虎視眈々と狙っている
そんな中、アンリエッタは上手く指導しながら、才人と話をしていた
「まだ、貴族になって下さいませんの?」
「…申し訳ない」
「上手く音楽に合わせて……そうですわ。もう、私、怒ってるんですよ?」
「…何をでしょ?」
二人は踊りながら会話をしている
「だって、王宮を何度も使ってるにも関わらず、ルイズの所には来たのに、私の所には来ないじゃ有りませんか?」
才人が踊りながらアンリエッタの耳元に唇を寄せ
「ごめん」
「許しません。個人的に、まだ話さねばならぬ事が有りましてよ?ですから、今日はとことん付き合って頂きます」
「仕事の話ですか?」
「はい、私のケアは、ゼロ機関の仕事の一つでしょう?」
「承知しました、姫様」
そして一曲終わると、才人とアンリエッタが一礼して離れ、アニエスがスッと進み出た
「ふっ、私のタイミングが一番早かったみたいだな」
「アニエスさん」
「…宜しく頼む」
今度は大人の二人に相応しくチークだ
才人の胸にアニエスが身体を預け、そのまま眼を瞑り、才人が背中に手を回す
「ふふっ、まさか私に、こんな踊りをする相手が出来るとはな」
お互いの耳に、吐息がかかる距離だ
「……正直、今すぐ押し倒してぇ」
「嬉しいぞ?何時でも押し倒せ。私も押し倒されたい」
「この後は、姫様が仕事の話だって」
「なんだ……つまらん。では、護衛の任に就くとしよう」
「宜しく。アニエスさん」
その後は二人共に黙って最後迄踊り、名残惜しい離れ方に、見てる者達の背筋をゾクゾクと貫く色気が、アニエスには出ていた
その後、キュルケとタバサと踊って練習を重ねる才人
そして、ずっと世界に突入してたヴァリエール姉妹は、とうとう才人と踊らずにお開きになり、なった後に気付いたのだ
「あ、あれ?ダンスは?」
「え、ちょっと?もう終わり?」
キュルケがそんな二人に、呆れた声を掛ける
「はぁ?何言ってんのあんた達?全員2回以上踊って、慣れないダンスでダーリンふらふらよ?ダーリン更に仕事ですって、残念ね。じゃ、オヤスミ」
楽士達も引き上げ、ぽつねんと残される二人
「ちょっとルイズ、あんた何してたのよ?」
「そう言う姉さまこそ、何してたんですか?」
二人共、何をやっていたかを振り返る
「…何してたんだっけ?」
「あたしも……」
どうにも、似た者姉妹である

*  *  *
アンリエッタの部屋に才人は通された
アニエスは廊下でドレスのまま、剣を杖にして、直立不動で待機している
二人きりになった才人に、今まで言えなかった泣きを、アンリエッタは言い出した
完全に俯いている
「何ですか?姫様」
「‥‥死んで‥‥しまいました」
「トリステイン空軍ですね?」
「‥‥はい‥‥明確に‥‥私の命令で‥‥沢山‥‥たくさん‥‥ひっく‥‥死んで‥しま‥い‥ひっく‥ました」
ぽたぽたとアンリエッタの眼から大粒の涙が零れ、拳は膝の上でギュッと握られ、嗚咽する
「わた‥くし‥‥が‥‥彼らを‥‥殺した‥‥のです」
「そうですね。姫様の命令で死にましたね」
「そうじゃないと‥‥言って‥‥下さらないの?」
アンリエッタは顔を上げて才人を見る
才人の表情は消えている
「自分自身が望んでいない言葉を言われて、満足ですか?姫様」
才人の口調で、アンリエッタは首を振る
「どうすれば‥‥良いの?」
「止めますか?それこそ、死んだ連中は浮かばれない。全員無駄死にだ」
アンリエッタは首を振る
「だ、駄目です。それだけは‥‥それだけは‥‥」
才人は椅子の肘掛けに肘を付き、拳で頬を突く
「もう、復讐者の路は終わる迄前しか見てはいけない。後ろは奈落だ。振り向いた途端に、呪詛が返って来る」
「わ‥‥わたくし‥‥わたくし‥‥」
「辿り着く場所は殺伐とした荒野。それでも貴女は、荒野に向けて歩き出した。ようこそ、感情を擦り切らし、自らの行為に憎悪し、自分自身を嫌悪しながら、それでも歩みを止められないこの路へ」
「こんな事になるなら、わたくし‥‥」
「甘えるな。俺は言った筈だ。後悔するぞってね」
アンリエッタはテーブルに崩れ、とうとう泣き出した
「ああぁぁぁぁ!!」
アンリエッタが泣き止む迄才人はじっと待ち、泣き止んだ所で話掛けた
「だが、姫様はまだ幸せだ」
「ひっく‥‥ひっく‥‥わたくしが‥‥しあわせ?」
「そう、大義名分で押し隠せる。そして、俺みたいな人殺しに全部、押し付ける事が出来る」
アンリエッタは、そんな才人の言葉に、泣きながらも疑問に思う
「戦争中ならば、人殺しはやむを得ないのでは?」
「違うね。そんな優しいもんじゃない。俺は此から大量に殺す。アルビオン人を文字通り、虐殺する」
「サイト‥‥殿?」
「敵戦列艦を全滅させて、敵竜騎士も全滅させる。姫様が俺に託した仕事は、そういう代物だ。そして俺は、最初からそうなる事を知っていた」
アンリエッタは才人の言葉に引っ掛かりを覚え
「‥‥最初‥から?」
「そう、最初からだ。俺は異端にして悪魔の化身そのもの。ブリミル教が正義なら、俺は間違いなく悪だ。知恵と言う名の元、破壊を撒き散らし、従わない者達を等しく潰す、破壊の権化だ」
「サイト殿‥‥」
「その悪魔の警告に耳を貸さず、安易に契約を交わしたのは貴女だ。アンリエッタ=ド=トリステイン。さぁ、今回の貴女の悪業の全ては、俺が引き受けよう。だから貴女は、その潔白の白い姿で民衆の前に立つが良い。自分自身を嫌悪しながら、ね」
「‥‥サイト殿。余りに‥‥余りに辛い仕打ちです!!」
そんなアンリエッタの手を引っ張って抱き止め、背中をさする
「……だから言ったんだ。もう……進むしか無いんだよ……アン」
「ふぇ‥‥‥あああぁぁぁぁ!!」
ガチャ
アニエスが部屋に入って来て、才人の膝の上で泣き崩れるアンリエッタに膝を付いた
「陛下、全て聞こえて来ました」
「わだぐじ‥‥わだぐじぃ〜〜〜」
「私も復讐者として、陛下の復讐に手を貸しましょう。我らには、悪魔が憑いている。そう、神すら恐れぬ悪魔の化身。イーヴァルディという名の悪魔です」
「アニエズ‥‥」
「我らの取引の代価は、我々自身の心と身体。7つの大罪に堕ちる事により、得られる力です。陛下、罪に堕ちましょう。さすれば我々の悪魔は対価として、陛下の望みを叶えるべく、誰より働くでしょう」
アンリエッタはこくりと頷く
「さぁ、我らの悪魔よ。我らに快楽を植え付けよ、存分に堕ちてやる」
アニエスそう言って悪魔に口付けを交わし、悪魔はドレスの隙間から手を入れる
そして泣きまくって落ち着いたアンリエッタは、すかさずロックとサイレンスを掛けた
夜は………長い

*  *  *
椅子に座った悪魔の股間に美女が二人蹲り
契約の証たる代物に堕落の口付けを交わし、二人で舐め上げる
二人で呼吸を合わせて袋を含み、ぬらりと舐め
そのまま、竿を両側から呼吸を合わせて唇と舌で往復させる
「う……あ…」
ピチャッ、ピチャッ
時折唾液が鳴る音が響き、亀頭を両側から舌で包んで刺激する
「駄目だ……出る」
二人の顔に白濁液が飛び、射精が終わったモノを舐めとりつつ、互いに散った白濁液を舐め取った
美女二人の饗艶、嫌が上に高まる
そのままアニエスがアンリエッタのドレスを脱がし、ベッドにアンリエッタを寄り掛からせ、自身はドレスをまくってアンリエッタに股がり、穿いてない局部を露出した
「どちらにする?」
無言で悪魔が近寄り、いきり勃ったモノを二人に擦り付ける
「あ‥‥焦らさないで下さいまし。お願いです、焦らさないで…」
アンリエッタの身体は、何処もかしこも柔らかい、男に愛される為に有るような身体
アニエスの引き締まった上に丸みを帯び、脂肪が乗った身体とは違う
そんなタイプの違う女の尻が、悪魔を待っている
悪魔は、ひたすら柔らかい秘部に自身のモノを埋め込んだ
「は‥ぁ。ん」
そのまま暫く止まると、抜いて上の尻に突き入れる
「ふぅ…ん」「やぁ‥抜かないで」
そのまま、一気に突き出した
「あ、あっあっあっ、来る、来るっ!」
ピストンが激しくなっていき、一際強く突き入れられ、アニエスは痙攣し、精を迎え入れる
暫く二人共に硬直してると、アニエスから腰を動かす
「もっと……」「いやぁ‥‥私に‥‥私にぃ」
力を取り戻したモノを抜き、今度は下の尻に突き立てた
「来ましたっ来ましたぁっ‥‥あっあっあっひぃ」
焦らされたせいで一気に高まり、痙攣をしてもそのまま突かれ、止まらない
そんなアンリエッタの上から離れ、アニエスはアンリエッタの耳を食み、豊かな乳房を弄くる
二人がかりでの刺激に、アンリエッタは顎を震わせ、目が見開かれた
「あ゛〜〜〜っあ゛〜〜〜っ!」
パン
悪魔がアンリエッタの腰を掴んで最奥で固定し、そのまま欲望の証を注ぎ入れる
アンリエッタの息は絶え絶えになり
「ひっひっひっひっ、ひう゛!?」
悪魔が入れたままアンリエッタの身体を回しつつ体位を変え、自身もベッドに上がり正常位になると、そこから脚をアンリエッタの片足を持ち上げて、松葉崩しに姿勢を取る
更に奥迄入り、アンリエッタの上体が思わず跳ねた
「‥‥‥!」
すかさずアニエスがアンリエッタの唇を啄み、アンリエッタが応じる
そのまま、失神するまで二人がかりで責められた

*  *  *
翌朝、才人が爆睡してる傍らで、二人の美女が起き出した
「ん‥‥はぁ、すっきり」
上体を起こして腕を伸ばして伸びをし、気分良さそうにするアンリエッタ
「……お早うございます。陛下」
挨拶だけはするが、非常に気怠げにアニエスは才人を抱き枕にしている
「お陰で良い気分です。アニエス、今日も頑張りますわよ!!」
「……」
アニエスの反応が非常に鈍い
「‥‥アニエス?」
「いえ、昨晩は陛下が失神してから……」
そのまま、眼を閉じてしまうアニエス
「下手に体力が有るのも、大変ですわね」
そう言って、アンリエッタはクスクス笑う
「…はぁ……」
「さて、私達のイーヴァルディにだけ、働かせる訳にもいきませんね」
時計を見ると、まだ起きるのは早いのに気が付いたアンリエッタは、指を口元に一本立てて考えた後
「ん〜と、一緒に寝ちゃいましょ」
そう言って、また毛布をひっ被った

*  *  *


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