X5-548
Last-modified: 2012-02-18 (土) 22:50:48 (4443d)

○月×日
何か、大変な事態になってきた
才人さんに秘書がやってやって来た
どうすれば、平民が貴族を従える事が出来るんです?
全く、才人さんには常識が当てはまらないよ〜〜
で、その貴族様は、何とミスヴァリエールのお姉さんだったんです
おっかしいなぁ?世間って、こんなに狭かったっけ?
ま、良いや。朝から順を追って書いてこ
私達が洗濯場で洗濯してたら、件の貴族様がいらっしゃったんですよ
そして私達を見回して
「何よ?ゼロ機関の所長なんか居ないじゃない。ツェルプストーめ、わざと間違い教えたわね?後でやっぱり殺す」
え?殺す?
い、幾ら何でも物騒過ぎる〜〜〜
もう、皆青い顔しちゃって、私達全員半径2メイル以内には絶対に近付け無いです
こんな恐ろしい貴族様、は、初めて
「あんれ?初めましての人かい?」
あ、才人さんがもう一度干す為に戻って来た
にしても度胸有るなぁ、流石才人さんだ
でも貴族様は完全に無視してますね、あ、才人さんがカチンと来た
あ〜あ、もう知らない
「返事位したらどうだ?屑貴族」
出た、才人さんの屑発言
もう終わりだ、衝突けって〜い
「……上手く聞こえなかったわ。空耳ね」
「屑に用はねぇぞ。さっさと帰れ」
ははは……流石は才人さん……お……お願いです!く、空気読んで〜〜〜〜!!
「……平民、もう一度言ってみなさい」
「屑の上に、無駄にプライド高い役立たずがこんな所で突っ立ってんな。邪魔なんだよ」
「…あんた、貴族にそんな事言って、無事で済むと思ってんの?」
「さあね。女だからと言っても、屑に優しくする積もりは無い。さっさと帰って、召し使いに怒りでも巻き散らして遊んでろ。俺はあんたの相手してる暇なんざ無い」
お……終わったぁ……今、誰かの人生が終わっちゃった……ははは、才人さんはもう止まらない
あはははは……心臓に悪いや
「…生意気な平民には教育が必要ね」
「死にたくなきゃ帰れ」
私達は二人のやり取りを見て、おろおろしっぱなし
だって、こんなに険悪なの、見た事無い
「ちょっと、教育してあげるわ」
「場所を替えろ、馬鹿女。洗濯物を巻き込む気か?」
「ふん、良いわ。付いて来なさい」
あ、才人さんと二人で行っちゃった
私達も行こうかとしたんだけど
「シエスタ、止めときなさい。巻き添えあり得るわ。行かない方が良いわね」
「そうかも……ローラの言う通りね。皆、仕事してからにしましょ」
その一言で皆で洗濯物を干した後、結果が気になって皆で手分けして探すと
「居たわよ〜〜!教室前の校庭ね」
その言葉に皆でぞろぞろ小走りで行くと
あれ?何か女の人の悲鳴が
「痛い痛い痛い!止めて〜!!」
あ、何あれ?
才人さんがさっきの貴族様のお尻ひっぱたいてる
「何してるの?あれ?」
「才人さんが決闘に勝って、お仕置き中。もう駄目だわ、あの人。平民に負けて、あんな恥かいたら、終わりねぇ。何せ衆人環視、言い訳出来ないわ」
「……女の人だと……」
皆、顔を見合わせちゃって、溜め息ついちゃいました
だから言ったのに、人生終わっちゃったって
ま、貴族様がどうなろうと私には関係無いし、良いかな?
後は知〜らない
我らの剣に喧嘩売る方が悪いのだ
魔法学院はおろか、王宮ですら喧嘩売る人は居ない……筈
さてさて、私達は顛末見た後はいつも通りです
だって、今は帰っちゃった子達の分まで、仕事が山積みなのです
私達は厨房に行って、昼食の準備と連絡です
「シエスタ、才人さんとさっきの貴族様がミスタコルベールの研究室に行ってるわ。貴女行きなさい」
ゲッ、雰囲気最悪じゃないですか
幾ら才人さん相手でも嫌だぁ〜〜〜〜!!
「メイド長〜〜。勘弁して下さぁ〜い」
「あぁ忙し忙し、さっ、他の仕事しないとね〜〜」
パンパン
メイド長が手を叩いて皆に号令を掛けてます
「さっ皆、休んだ人達の分まで働くわよ。さっさと動いた動いた」
「「「は〜い」」」
「えるふ〜〜〜!あくま〜〜〜!ひとでなし〜〜!」
私が叫んでも皆スルーです
ポンとメイド仲間に肩を叩かれました
「流石才人さん一筋。後は任せた!」
またまたポン
「いやぁ、アツアツで羨ましいわ。頑張ってね〜〜」
更にポン
「悲しいけど、これ、仕事なのよね」
またポン
「代わりに使い魔さん達のお昼やるから頑張って」
私は涙をだらだら流して皆に抗議です
「女の友情ってこんなに儚いの?皆酷いよ〜〜〜!!」
皆して笑みを浮かべながら逃げて行く
あ、あんまりだぁ
そんな時に通り過ぎようとした、背の低い赤毛のメイドの肩をガシリと掴みます
良し、捕まえた。ミミが汗を垂らしながら、私に振り返ります
いやぁ、見事に顔が引きつってる
「……わ、私も仕事有るから」
「ジュリアン紹介しないわよ?」
「よ、喜んでお付き合いさせて頂きます」
ふっふっふっふ、義姉の言う事は聞くものよ?
よぉく判ってるわね、ミミちゃん
そして私達は茶器を持ってゴロゴロとワゴンを押して行きます
「…こんな義姉さん、嫌だなぁ」
「あら、聞き分けの良い義妹は好きよ?」
え?もう決定事項みたいにやってるって?
いやぁね、二人共に予行演習に決まってるじゃない
そんなこんなで二人で茶器とお菓子を持って扉の前で深呼吸して、ガチャリと入って行きます
もうなる様になれ!
「平民の癖に、魔法も使えない癖に、偉そうな事言わないでよ」
「俺の国じゃ、魔法無しでそれ位やってるわ。抗議したきゃ、要求基準満たしてから言え」
「ふざけないでよ!!魔法のなんたるかを知らない平民風情が、貴族に説教?10年早いわよ!!」
さ、最悪だ、滅茶苦茶口論してるじゃないですか
しかもあの才人さんの顔、見た事無い
あんなに無表情になってるなんて、才人さんじゃない
ミミなんか、お菓子持つ手がガタガタいってる
「今、何と言った?ミスヴァリエール」
うわちゃあ、駄目だ、私達が居たら、とばっちり食らいかねない
いつもの才人さんの空気じゃない。凄いピリピリした感覚が私達に迄伝わって来る
下手に何かしたら最悪だ、私はミミに目線で合図するとミミも頷いて、二人でそそくさと逃げ出しちゃいました
今の才人さんには近寄れない
さっさと厨房に戻って来ました
「おぅ、お帰り。我らの剣の様子はどうだったよ?」
「マルトー料理長。さ、最悪です。あんな才人さん、見た事無いです。無表情で空気が張り詰めてて、居るだけで胃がきりきりしちゃう位」
あれ?マルトー料理長が黙り込んだ
「…やっぱりか。我らの剣はガチの職人か」
「あ、あの?マルトー料理長?」
一人うんうん頷いて、私にはさっぱり
「…やっと仕事の顔を出しやがったな?あの野郎……やっぱり非情が本質か」
「…え?」
「あぁ、気にしないでいい。職人モードに入っただけだ。職人モード中は不必要に干渉すんなよ?例え、女房や恋人相手でも怒鳴りちらすぞ?」
え?才人さんが?
「う、嘘ですよね?だって、才人さんですよ?いっつも、笑ってるじゃないですか?」
「嘘じゃねぇよ。職人は、仕事中は洒落にならない位おっかねぇぞ?」
う〜、そう……なのかな?
「…そんなの、才人さんじゃないです」
「じゃ、我らの剣なんか止めておけ。男の真価を発揮してる最中を認められないなら、不幸になるだけだ」
「…」
私は黙り込んじゃいました
「良いか、シエスタ。やっと、本物の男の背中を見せてくれる機会だ。そんじょそこらのチャラい兄ちゃんと、我らの剣の違いをその眼にしかと焼き付けろ。理解出来た時、シエスタは女を更に磨けた事になる。我らの剣好みの女になれんぜ?」
「ほ、本当ですか?」
「あぁ」
バンって、背中を叩かれちゃいました。あたたたたた
「ウチの若いのもソコまでいければ、料理長譲っても良いんだがね。まだまだだ、気張れよ、お前ら。先ずは、副料理長目指せ」
「「「「ウィ、マルトー料理長」」」」
マルトー料理長の言い分なら、多分含蓄は有るんだろうけど、今の私には分からないなぁ
要は、出来る事から一つずつ、かな?
とりあえず私は、メイド長探して苦情を言いますか
ミミは自分の仕事に行っちゃった
皆に聞いて駆け回って、見つけました、メイド長
「ちょっと、メイド長。私に押し付けるなんて酷いです!」
「あら、何か酷い事された?」
「…いえ。でも酷いですよ!あんなギスギスした一触即発に飛び込めだなんて、貴族様が暴発したら、私死んでます!」
「あら、貴女だから大丈夫と思ったのよ」
「嘘です!」
あ、頭に指付いて盛大に溜め息つかれちゃった
「はぁ〜〜〜。確かに、あの貴族様は昔学院に居た生徒で、私達長く勤めてる人なら誰でも知ってる、非常に近付きたくない人よ」
「やっぱり」
「最後迄聞きなさい。でもね、貴女なら、才人さんが命を掛けて守ってくれるわね。だから貴女を指名したの。残念だけど、私が行っても無理よ。貴女の懸念通り、暴発した時は死ぬわね」
「……すいません、生意気言いました」
私は素直に頭を下げちゃいました
「才人さんは、誰でも守る訳じゃないわ。少なくとも、親切にしてくれた人、好意を寄せてくれる人。そういう人を優先的に守るの。貴女は正にそうでしょ?」
う、その通りだ
思わず頷いてしまいました
「彼は、基本的に周りなんか好奇心が満たされたら、どうでも良いって思ってる節が有るわ。異国に無理矢理召喚されたんじゃ、仕方ないんじゃないかしら?」
「……そうですよね。帰りたくなりますよね」
私も、二度と家族に会えないと思ったらゾッとする
やっぱり、長生きしてる分、年の功って有るんだなぁ
「あんまり深く考えなくて良いわ。貴女は、貴女の仕事と好意をぶつけなさい。中々良い男なんだから、全部受け止めてくれるわよ」
「あ、有り難うございます」
「私にも、若い時は有ったのよ。さっさと仕事に戻りなさい」
「は、はい!」
パタパタ足音を立てて離れて行き、私は仕事に戻ります
何時もは厳しいメイド長の、あんな言葉はちょっと意外
私も、もっと頑張らねば
そして厨房に戻って来たら、才人さんが来てました
あはは、きっちりやる事はやるんですねぇ
「あら、シエシエ来たか〜」
「ローラ、シエシエ言うな!」
「良いじゃんシエシエで。ねぇ、才人さん」
「シエシエだなんて、中々可愛いあだ名じゃんか」
「え?ホント?じゃあ、シエシエで良いです」
「ぶ〜、何よ、その身代わりの早さ?」
そう言いながら、ローラが私の代わりに使い魔さん達の食事を用意してます
私も一緒に立って参加だ
お鍋の様子をグツグツ煮てるのを見て、才人さんが食材をトントンと刻んでる
ローラも参加してるから三人だ
「ねぇシエシエ。才人さんの包丁捌きって、何か踊りたくならない?」
「うん、なるなる。凄くリズム良いよね」
そして私達は才人さんの包丁のリズムに合わせて二人で手の平を合わせてパンパンパン
クルリと回ってローラと後ろ手に手を合わせてパン
更に右腕同士を組んで、ステップ踏んでクルクルクルクル
「イヤッホー!」
村祭りの踊り子のシエシエ、ここに健在!
料理さん達からも喝采浴びて、う〜ん、気分は上々!
って、やってたら
ガチャリと扉が開いて、マルトー料理長とメイド達がぞろぞろ入って来て、踊ってる私達を見て眼が点になっちった
「……此方は食器の準備してたってのに、何やってんだ?」
私達はそのままぴしりと固まっちゃって
才人さんは、裏口からフレイムさんを入れて、フレイムさんにご飯載っけて
「じゃ、フレイム頼むな」
「きゅるるる」
さ、才人さ〜〜〜〜ん
な、何とかして〜〜〜
あははは、才人さんは一人黙々とやってて、私達は冷や汗だらだら
「……こんの……馬鹿もんがぁ!!今日は踊りながら給仕してろ!」
「「ご、ごめんなさぁ〜〜〜〜い!!」」
……はい、踊りながらは必死に謝って勘弁して貰えました

ひいお爺ちゃん
私、悪くないよね?
ね?ね?
ちょっと、悪のりしただけだよね?

○月×日
ここ数日、才人さんに敢えて付きまとって、給仕を完全にこなしてます
え?だって、あのミスヴァリエールに近付こうってメイドは唯の一人も居ない訳でして
「私って、犠牲の羊なのね、よよょ」
そう言ってハンカチを手にしてさめざめと泣いてると、皆して笑うんです
「ひっどいなぁ、皆」
「なぁに言ってるのよ?受け狙いなのミエミエじゃない」
「ちぇっ、バレたか」
頭を小突いて、舌をペロッってだしてテヘッ
可愛い?可愛い?
良いじゃん良いじゃん、これっ位やったって許されるんだい!
それっ位、精神に負荷がかかるんだい
初日なんか、悲惨だったんだからぁ
研究室で才人さんとミスヴァリエールがむっつり黙ってシュッシュッって筆記の音と、魔法の詠唱をして舌打ちする音
い、嫌すぎる
こんなの才人さんじゃないよう〜〜〜
「平民、チェック」
「見んでも解るわ、やり直し」
「ウグッ」
あああ、ミスヴァリエールの額に酷い皺が
「ふ、ふざけ「良いからやれ、役立たず」
「ングッ」
ひ、酷い、有無を言わさないなんて
私の紅茶を受け取って一息入れて、また集中して詠唱
「こ、今度こそ」
「やり直し」
「あぁぁぁぁぁぁ!」
ガキンって魔法で出したパイプ叩き付けて、怒り心頭です
「さっきから見ないで何が解るのよ!!ふざけないでよ!!」
「態度で解るわ、んなもん」
げっ、そんなもんなんですか?職人恐るべし
ガチャリと扉を開けて、ミスタコルベールが入って来ました
周りを見回して、溜め息ついちゃいましたね
「ちょっとミスタ、平民に言って下さい!この馬鹿、見もしないのに不合格連発するんです!」
ミスタコルベールが転がってたパイプを拾って材質確認してますね
流石メイジ、目付きが鋭い
「才人君の言う通り、不合格だ」
「……えっ?」
「才人君、何で見もしないのに解るのかね?」
「態度で解るよ、んなもん。こんなもんで大丈夫だろうって甘えが、ありありと解るわ」
「……」
あ、ミスヴァリエールが黙ってしまいました
「何で解るのかね?」
「仕事に真摯に向き合ってるかどうかなんか、態度と空気、それに音で解る。はっきり言って、現時点じゃ戦力外だ」
こ、怖いなぁ。職人って、そんなので判ってしまうのか
ん?待てよ?って事は、私の仕事振り迄バレバレじゃないですかぁ!?
じ、上司じゃなくて良かったぁ
「ふむ、トップとしてはどうするかね?」
「相手が職人なら30分で蹴飛ばして追い出してっけど、一応貴族様だからな。ま、一週間は様子見するさ」
「だ、そうだ。ミスヴァリエール」
あ、ミスヴァリエールが飛び出して行ってしまいました
ミスタコルベールは特に気にせずに、才人さんが書いた図面を読み込んでます
「全く、何という設計だ……これが才人君の頭の中に全て入ってるとは、想像するだに恐ろしい」
「ま、組み立ては更に難儀しますよ」
此所まで無視してると、ちょっと気の毒になって来た
「ちょっと才人さん」
「何?」
「幾ら何でも、酷く無いですか?」
「は?何冗談言ってんだ?シエスタ。仕事に甘えてる奴なんざ、俺は要らないね。男女も貴族平民も関係ねぇ、出来ねぇ奴が悪い」
私迄、固まってしまいました
き、厳しい
「…」
「シエスタ君」
ミスタコルベールが私の肩に手を置いて、首を振りました
うん、言いたい事は解ったので頷きました
私も一旦出て、ミスヴァリエールを探してみます
そしたら、随分解り易い所に居ますね
校舎に両腕を付いて、涙流してる
「ひ、ひっく、ひっく、く、口惜し」
うわちゃあ
ちょっと見付からない様に、そっと離れようとしたら、もう一人のミスヴァリエールにぶつかってしまいました
「しっ」
コクンと頷いて、ルイズさんの方のミスヴァリエールを見ます
「お、驚いたわ。姉さまの悔し涙なんか、初めて見ちゃった。何が有ったか知ってる?」
「えぇ。仕事で全部駄目出しされた上に、戦力外通告迄されて、一週間進歩無ければクビだって」
「……誰が言ったの?」
「才人さんです」
「……嘘?」
「ホントです。現場に居合わせましたから」
「ちょっと、サイトに言って来る!」
ダって駆け出したミスヴァリエールを捕まえ様としたんですけど、間に合わなかったぁ
だ、駄目だって、今の才人さんは、何時もの才人さんじゃないんですよ〜〜〜〜
私も急いで追って行って入ろうとしたら
「るせ〜〜〜!仕事は出来ねぇ奴が悪いんだ!知らない癖に口出しすんな!学生は学生の仕事してろ!」
とんでもない怒鳴り声
ガチャリと開けたら、あ、ミスヴァリエールがぺたんと尻餅付いてる
「ご、ご主人様の言う事「だったら、この図面読んでみろ。出来たら聞いてやる」
才人さんが渡した図面を見て、ミスヴァリエールは暫く黙って、直ぐに放り投げちゃいました
「何よこれ?こんなの解る訳無いじゃない」
才人さんが、地面に落ちた図面を拾って、無表情に睨んでます
「此だから、良いとこのお嬢ちゃんは……人の仕事を知りもしないで、露骨に足蹴にした上に頭ごなしに命令出来ると思ってやがる」
うっわ、痛烈
「仕事中は来んな、邪魔だ。シエスタ、連れてけ」
「は、はい」
「な、私の使い魔なんだから「姫様から依頼された仕事だ。文句ねぇな?」
あ、ミスヴァリエールが黙り込んじゃいました
「なら、私は姫様の女官なんだから」
「姫様の仕事を邪魔する成果を誰に誇るんだ、お前は?」
うわぁ、本当にキツイ
「ミスヴァリエール、今の才人さんは駄目です。何時もの才人さんじゃないです」
「……こんなの、サイトじゃない」
そんなこんなで、私はミスヴァリエールを引っ張り上げようとしたら、お姉様の方がやって来ました
「何してんのよ?ルイズ。仕事の邪魔よ」
「言われなくても出て行きます」
そう言って、妹のミスヴァリエールが出て行って、才人さんが姉のミスヴァリエールに声をかけてます
「何だ、帰ったかと思ってたわ」
「舐めないで頂戴。ちょっと、長い休憩取って悪かったわ。また試験お願い」
「ヒュ〜〜〜。一個訂正。将来有望」
「今に見てなさい」
「あいよ」
こんなにぶつかり合ってるのに、ギリギリの所で踏み留まってる
ミスタコルベールが私に囁いて来ました
「互いのプロとしての矜持だよ。あれは暫く収まらない。シエスタ君には心労を来すだろう。あんまり来なくて構わない」
カチンと来ました
だって、
私 も 給 仕 の プ ロ な ん だ !!
「私も給仕のプロです。ミスタコルベール」
「おっと、これは失言だった。才人君が評価する娘がそんなにやわな訳があるまい。いや、失敬失敬」
ミスタコルベールが頭に手を置いて撫でてます
「では才人君。私は何をやるかね?」
「図面の読み込み把握をして下さい。ミスヴァリエールは魔力切れ次第、同じ事をやる事。基礎はコルベール先生に聞いてくれ」
「了解」
って感じで、マルトー料理長とメイド長に報告したら、二人共に苦笑してました
「我らの剣にかかると、金の女帝も戦力外かよ」
「流石ねぇ。あの貴族様、ここ20年で最高成績修めた才媛なのに。今のミスタバサより、ずっと凄かったわよ」
「そ、そんなに凄いんですかぁ!?」
すんごいびっくりだ
もう、本当に最高の人材を持って来たんだ
「おう。あの女帝様に勉学と魔法で勝負売った連中結構居るけど、全員返り討ちにしたしな。正に貴族の中の貴族、ヴァリエールに相応しい貴族だったもんだ」
「……ほへぇ」
「思い出すわぁ。まだ就任したてのミスタギトーを風魔法を貫通する土魔法を出して、こてんぱんにのして、一週間出て来なくしたのよねぇ」
「スクウェアで威張ってた当時のギトーは気に入らなかったし、良い気味だったな」
「そうねぇ。フフフ。あれから、大分丸くなったもんねぇ」
中々面白い話を聞けてしまった
「職人モードの我らの剣、おっかなかったろ?」
「はい」
「仕事場でしか見れない貴重な代物だ。たっぷり体感しとけ」
「はい」
「って事で、明日からもシエスタはミスヴァリエールの給仕役宜しくね」
はっ、しまった
二人の顔を見たらニヤニヤしてる
私は思わず二人を指差して
「ふ、二人してハメた〜〜〜〜!?」
ぽんぽんぽんと後ろから手が肩に伸びて来て
「いやぁ、流石シエシエ。メイドの中のメイドだねぇ」
「こんな義姉さんなら、ちょっと好きかも」
「厳しいけど、これ、仕事なのよね。ま、頑張れ。誰かがやらねばならないんだ」
「うわ〜ん」
大声で叫んでも、皆笑ってばかり
私のお調子者め、えぐえぐ
その後は気になったのでミスヴァリエールの部屋に行ってみて、ちょっと確認をば
ふっふっふっふ
ミスヴァリエールは魔法が殆ど使えないから、音が聞こえる聞こえる
「ちょっとサイト。昼間のはなんだったのよ?」
「仕事中のか?悪ぃ、仕事やってる時はああなんだわ。だから仕事中は、近付かない方が良いぞ」
「仕事中だけ?」
「あぁ。訓練中とかは平気。昔からの悪い癖で、仕事は妥協効かねぇのよ」
「解ったわ。ギスギスするのも嫌だし、でも姉さまにも」
「仕事の上では聞けないね。言ったろ?妥協出来ないんだよ」
「どうしても?」
「どうしても。俺は人死に出す位なら、俺が非難される方が良い」
「……妥協すると、人が死ぬの?」
「あぁ、死ぬ。大量にね。それだけ危ない代物だ」
「……良く判らないけど、解った事にする」
「そうしてくれ」
う〜ん、良く判らないけど、私も解った事にしておこう

ひいお爺ちゃん
私はまだまだ未熟です
頑張れって、ヴァルハラから言って下さい


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Last-modified: 2012-02-18 (土) 22:50:48 (4443d)

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