X5-703
Last-modified: 2012-03-27 (火) 00:49:02 (4412d)

シエスタの骨折は一応治った
だが、ずっと予断を許さない状態だ
水使い達が彼女の部屋に運搬した後、交代で治癒を掛け続けている
才人の方が一段落したモンモランシーは、シエスタの部屋に居た
「…何で、こんな事になるの?」
疑問を投げ掛けた相手は、昏睡から目を覚ましそうにない
今、詠唱が切れたら、終わるだろう
魔法で、何とかギリギリ持たせている状態だ
そんな中、大人の女性が二人、入室して来たのである
エレオノールとヴァレリーだ
ヴァレリーはバッグを持っており、中に大量に秘薬を持って来たのは想像に難くない
「ミスタヒラガの処置をしたのは誰?」
「私です」
聞かれたので、モンモランシーが手を上げて返事をする
「見事な処置ね。あっちは大丈夫よ。ちょっと見せて貰うわ」
そう言って割り込み、手で触って確めるヴァレリー
「不味いわね。この娘、生きる気力無くしてるわ。これじゃ、魔法なんか無意味だわ」
その言葉に、モンモランシーはキッて睨んだ
「シエスタの事何にも知らない癖に、勝手な事言わないでよ!」
自分の力不足が悔しい、何でこんなに助けたいのに、実力が無いから、隙間から命が零れ落ちる
ヴァレリーとはグラモンで全員顔見知りだ
水使い総動員時に音頭を取る、トリステイン最高の水スクウェアを知らない水使いは、人を助けた事が無い水使いだけだ
皆が彼女の様に力が有ればと、零れ落ちた命の前で泣いている
また零れ落ちる
そんなのは絶対に嫌だ
「生きる気力を無くしてる人を生かすのは拷問よ?知らない筈が無いでしょ?此処に居る子達、皆一緒に働いたんだから」
「シエスタはそんなに弱くない!私の友達を侮辱しないで!絶対……絶対助けるの!絶対よ!」
モンモランシーが力の限り叫び、ヴァレリーを睨み付ける
「私達はメイジ!奇跡の力を持つ魔法使い!だったら、今奇跡を起こしてよ!私の友達を助けてよ!こんな悲しい終わりなんか……認めるもんかぁ!!」
両の拳を握って首を振るモンモランシー
多かれ少なかれ、皆が同じ気持ちだ
「へぇ……言うじゃない。なら、貴女死になさい」
ヴァレリーの言葉に、モンモランシーが固まる
「私の命が……触媒になるの?」
「そうよ……っと、先ずは生命維持が必要ね。誰か、音楽室に行ってメトロノーム持って来なさい。急いで」
その言葉に、二人走り出した
暫くすると、肩で息をしてメトロノームを持って来る
「ご苦労様。エレオノール、アンタの無駄な魔力使うわよ。良い?」
「何をすれば良いの?」
すると、メトロノームを80の位置に合わせて、カチカチと作動させ始めたヴァレリー
「この拍子に合わせて、心臓を念力で揉みなさい。力を入れすぎれば、どうなるか解るわね?」
「了解よ。どれ位?」
「鼓動が戻る迄、ずっと。一時間だろうが二時間だろうが徹夜しようが、良いと言う迄ずっとやりなさい」
エレオノールはその言葉に、不敵な笑みを浮かべる
「上等ね。それでこそアカデミーよ」
エレオノールはそう言って詠唱をすると、杖をメトロノームに合わせて振り始めた
タイミングを取る為にやる動作である
心臓マッサージが行われ、血色が戻る
エレオノールは一心不乱にメトロノームに合わせて、とりあえず鼓動の代わりにはなった
「人工呼吸は?」
「風使いに弱く風魔法で」
「良し良し、中々出来る後輩達だ。卒業生としては非常に嬉しい。さてと」
時間が出来たのでヴァレリーがモンモランシーに向き、バッグから小瓶を出した
「あ、そうそう。誰か惚れ薬持ってない?精霊の涙入りの奴」
「惚れ薬ですか?禁制品じゃないですか」
「そう、今のこの娘は生きる気力が無いから、惚れ薬で誰でも良いから無意識レベルで惚れて貰う。恋と憎悪は生きる原動力よ。誰か持ってないの?」
「私……持ってます」そう言って、モンモランシーが手を挙げる
「あら、助かるわぁ。じゃあ持って来て。アカデミーでも切らしてて、困ってたのよね」
モンモランシーは立ち上がって、言う通りにした
とにかく破天荒な治療方法だが、今はその治療方法にすがるしかない
モンモランシーは解毒薬と惚れ薬、両方持って部屋にまた入る
「じゃあ、彼女は飲めないか」
すかさず、モンモランシーが口移しでシエスタに送り、嚥下を確認すると、自身は直ぐに解毒薬を口に含む
「あら、用意周到ね」
ヴァレリーが思わず感心している
「この娘の好きな人を思い出させて上げて」
すかさず、モンモランシーが語り始めた
「ねぇ、シエスタ。シエスタの好きな人って誰?もしかして、私と同じで、黒髪の男の人じゃない?」
その後もつらつらと話し、出来る限りをやるモンモランシー
喋れる内容は全て話して、ヴァレリーに向く
「これ位で良いですか?」
「えぇ、充分よ。では本番ね」
モンモランシーに小瓶を渡すヴァレリー。更に周りには内服薬を渡して飲ませる様に指示をし、精神力切れの女性徒がシエスタに飲ませる
「此は?」
「感情狂化薬。メイジの感情を増幅して魔力と精神力を文字通り大幅に強化する。副作用は廃人になるわね」
ゴクリと唾を飲み込むモンモランシー
「何で?」
「レティシアを呼んでる暇は無い。誰かが私に合わせて同調詠唱しないといけない。でも相手はスクウェアじゃないと駄目。でも居ないから強化する。理解した?」
「…だから、死になさいと」
「そうよ。このままじゃこの娘は死ぬ。助けたいなら誰かが命を賭けないと助けられない。放っておけば一人の犠牲。やっても同調失敗すればやっぱり死ぬし、殺意が増幅されれば、私達全員皆殺し。つまり、賭けの勝率は非常に低い」
ヴァレリーの言葉に、周りで聞いた女生徒が難しい顔をする
「それでも、低い勝率を覆せる可能性は貴女しか居ない。何故なら、この娘を本気で助けたいと思ってるから。助けるという気持ちだけ強化出来れば、彼女も貴女も助かる。つまり、どれだけ純粋な気持ちが持てるかどうかが成功の鍵よ」
モンモランシーが小瓶をじっと睨み、ヴァレリーに視線を移す
「出来るのは私だけ?」
「えぇ、助けたいんでしょう?」
モンモランシーは暫く考えて、周りに言った
「私が暴れたら、お願いします」
そう言って、小瓶の中の薬を飲んだ
「うっうっ………うああぁぁぁ!?」
頭をかきむしり、感情が増幅されて、髪の毛が逆立てって行く
「ふぅぅぅぅぅ、ふぅぅぅぅぅ」
狂化により目が血走るモンモランシー
そのまま杖を抜くと、詠唱を始めた
「ちょっと待ちなさい!力を合わせてオクタにしないと……」
モンモランシーはヴァレリーの言は無視して、詠唱を止めない
助けたいと言う感情が迸り、最早自分でも制御出来ないのだ
「ええい、上等よ。一定の詠唱保ってなさい。私が全部合わせてやろうじゃないの」
そう言ってヴァレリーは、杖を出して目を瞑って、モンモランシーの詠唱と呼吸を聴き、全てに合わせ始めたのである
即興で、とんでもない事を始めたヴァレリー
だが、それはメトロノームのリズムが有ればこそだ
カチッカチッカチッカチッ
一定で拍子を刻むメトロノームにモンモランシーやヴァレリーも引き摺られていき、詠唱が同調したのである
一つの魔法が掛かる度に、顔色が良くなるシエスタ
何度も何度も治癒をかけて、ヴァレリーもモンモランシーも額に汗を浮かべて苦しそうにする
そして、エレオノールが宣言したのだ
「鼓動、戻ったわ」
すかさず別の生徒が耳を胸に当て、呼吸と鼓動が戻った事を確認し、ヴァレリーに頷いた
「処置……終了!お疲れ、皆!」
わぁっと喚声が上がり、ドタリと音がする
無理矢理力を出させられた、モンモランシーが倒れたのだ
ヴァレリーがそんなモンモランシーに手を当てて看てとり、うんうん頷いた
「やるわねこの娘。発狂しないで達成しちゃったわ。私が試した時は精神が一週間滅茶苦茶だったのに。いやぁ、若いって、本当に純粋ねぇ」
既に汚れまくった大人の発言である
「さてと、ちょっとベッド貸して、私も無茶をしちゃったわ」
そう言って立ち上がって歩き出すヴァレリーは、そのままこてんと倒れてしまった
こちらも精神力切れである
ヴァレリーが倒れたのを契機に、次々にバタバタと倒れていき、精神力を使い果たした水使い達の小山が、一山幾ら状態で積み上げられたのである
そんな彼女達を邪魔にならない様に遠巻きに眺めてた友人達が、彼女達を敬意を以てレビテーションで運び出した

*  *  *
才人はルイズのベッドで寝かされていた
ルイズは、そんな才人の看病を頑張った
身体を拭き、下着を替え、洗濯もし、才人が来る前みたいにメイド達に混じって、一人無言で洗濯板で洗う
そして、倒れてから二日目で、才人は意識を取り戻したのだ
傍らでは、ルイズがベッドに一緒に入って寝息を立てている
憔悴した顔は、一向に目を覚まさない才人に、このまま逝ってしまうのではと、心配してる証だろう
「生きてる……のか?」
「おぉ〜相棒〜。やっと目を覚ましたかぁ!」
デルフが大声を上げると、ガチャッと扉開いて人が入って来た
「モンモン?ヴァレリーさん?」
「動かないで、診察するわ」
ヴァレリーがそう言って、全裸になってる才人の毛布を捲って、あちこちチェックを入れて、モンモランシーがバインダーに挟んだ用紙にヴァレリーの言葉を正確に記していく
「医者みたいだな」
「あら、水使いは医師の資格持ち多いのよ。私もその一人」
「おっと、こいつは失言でした」
「解ったら、何されても黙ってなさい」
「はい」
「ミスモンモランシ。貴女の所見は?」
「神経毒と血液毒の複合型。血行障害と神経伝達を阻害して生命維持を不能にする魔法毒。末端関節に障害が無いか、確認が必要」
「良し、中々に分析に優れてるわ。貴女、医者になりなさいな」
そう言って、ヴァレリーは後輩の出来の良さに喜んでいる
「有り難うございます。先輩」
「では、貴女ならどうやって確認する?」
「こうします」
そう言って、才人の手を持ったモンモランシーは、指を一本一本しゃぶり始めたのである
「……まぁ、良いわ。まだ動かしちゃ駄目よ。感じるかどうか答えて」
「感じる、何で動かしちゃ駄目なんだ?」
才人の疑問にヴァレリーが答えた
「血行障害を起こす毒が一気に血管を詰まらせる時が有るの、良く見なさい。杖を持ってるでしょう?あれ、愛撫だけど、きちんとした治療行為よ」
「血栓治療か」
「良く知ってるのね。じゃあ大人しくしてなさい。多分もっと酷くなるから」
「羞恥プレイかよ」
そう言って、才人はモンモランシーのくすぐったいが真剣な治療を見つつ、何故かモンモランシーの手が股間に伸びて来る
「ちょっと、何で?」
「そこも末端よ。寧ろ詰まって不能になりやすいし、下手すれば腐り落ちるから、念入りに必要なの」
「……はい」
流石に不能は才人も嫌だ
その言葉に才人も黙る
そして、ルイズが目を覚まし、才人の診察を見て真っ赤になったのである
「な……何を」
「一応診察。エロいのは助手の趣味。邪魔するなら出ていきなさい」
「……邪魔しません」
そう言ってルイズはベッドの上で鎮座し、黙ってモンモランシーの愛撫もとい、治療を赤い顔をしながら見ている
両手の指、両足の指と終わり、何度か詠唱が皆の耳に届いた
そこで一旦終了したモンモランシーが、さらさらとまたバインダーにメモしていき、ヴァレリーに渡す
「……参ったわね、これ、不能コースよ」
そう言ってヴァレリーの顔が歪み、ルイズと才人の顔がショックで蒼白になる
確かに、先程からの股間の愛撫には、反応してないのだ
「あああ、な、治して!治して下さい!お願いします!お金は今は無いけど、全部払いますから!」
そこでヴァレリーとモンモランシーがニコリとし、ルイズに突き付けた
「お金は、この男の口座から実費貰ってるから大丈夫よ。けどね、治すにはちょっとねぇ」
ヴァレリーとモンモランシーがニヤニヤしている
「な、何が必要なんですか?秘薬の材料?なら取りに行きます!火竜の肝だろうがヒュドラの心臓だろうが取って来ますから!」
「何でもする?」
「はい!」
必死なルイズに、モンモランシーがこう言ったのだ
「私達が詠唱している間、才人のを口に喰わえて、勃起と射精する迄頑張りなさい」
「……へ?」
流石にルイズが固まる
いやまあ、寝てる最中なら出来たけど、起きてる才人にやるなんて恥ずかし過ぎる
「出来ない?なら良いわ、別の女呼ぶから。エレオノールも泊まってるし、彼女に「やります!」
決然とルイズは言い放ち、才人を見据えた
今回エレオノールを完全に追い出している
最後に良いところ持って行くなんて、我が姉だからこそ許せない
「いいい犬、ちちち治療なんだから、仕方ないんだから、か、勘違いしないでよね?」
「イエス、マイロード」
才人はまだ動いて良いと言われて無い為、まな板の上の鯉である
そして、ルイズが才人の股間に移動しルイズの小さいお口が才人のモノをパクりと喰わえ、二人が詠唱を始めた
ルイズの粘膜が才人のモノを包み込み、舌がぬるりと舐めあげる
「ふぁいと、ひもひいい?」
「あぁ」
だが、ぴくりともしない。才人もショックだ
「うっわ、マジで不能かよ。嫌すぎる」
才人が本気で衝撃を受けているのを見て、ルイズは彼女達がからかったのかと思ったのだが、ガチだと知って真剣にやり始めた
『あたしが産むのはサイトの子だけ。絶対に、絶対に治すんだ』
時には出し入れし、先端を唾液まみれにしてペトペトと唇でキスの雨を降らせ、自分を伺ってる才人にニコリとする
『大丈夫。汚くないし、才人の匂いは好きな匂い。それになんか可愛い』
そして30分経った辺りで、ピクンと反応し、ルイズが喚声をあげる
「反応した!」
「頑張って、結構こっちもキツイわ。男性器は繊細なのよ」
ヴァレリーがそう言って詠唱に戻る
ルイズはその言葉に頷いて、またパクりと喰わえ込んだ
一生懸命に自分に奉仕するルイズに、段々と才人の呼吸が粗くなっていく
そして、少しずつ、少しずつ才人の分身が硬く硬くなっていき、ルイズは疲れた時には休憩を挟みつつ、喰わえるのは止めない
堪らなくなった才人が報告した
「今……ガチガチ」
その答えにルイズは一心不乱に射精を促すためにしゃぶり続け「出る」と才人の言葉で、えづかないギリギリ迄才人の分身を深く喰わえ、そのまま射精を飲み込んだ
暫くその姿勢で固まり、ルイズは、ぼーっとしながら姿勢を入れ替え、才人の顔の前に可愛いお尻を向けて、シックスナインの状態になる
最早本能の行動だ。そして下は穿いてない
才人と一緒に寝ると洗濯物が増えるだけなので、穿くのを止めたのだ
誰よりも可愛いアソコから、蜜が大量に溢れて才人に垂れていく
その匂いと視覚に、才人のモノがまたビキビキといきり勃ち、ルイズははむと口に喰わえる
暫くくちゅくちゅしたが、我慢出来なくなったルイズが、才人の上を移動して、可愛いアソコを才人の分身に当てがった
そのまま腰を落としたら、にゅるんと外れてそのままぺたんと才人の上に座ってしまい、そしてルイズはそのまま痙攣する
「んん〜〜〜」
ビクッビクッと痙攣してるルイズのお尻の下で、才人もビクッと射精していた
ルイズは絶頂に浸りながら涙を流す
『し、失敗、失敗、失敗ぃぃぃぃぃ』
「……ちょっとあれ、見た?私達居るの忘れてたわよ?」
「見ましたわ、奥様。そもそも治療行為なら手で充分だったのに、いつ気付くか見てたら、ずっとやってたわよね」
「本当、貴女の言う通り、面白い娘だわぁ」
正気に戻ったルイズが、サァッとなって二人を見ている
「あ、あの、その、まさか、騙して」
「いやぁね、人聞きの悪い。騙して無いわよ、ちょっと魔力ケチって治療長引かせたりしたけど」
そう言って、ヴァレリーがニヤニヤ笑っている
そして、書いてたカルテの欄外をルイズに見せた
そこには、モンモランシーがこう書いていた

ちょっとルイズからかって良い?

「モ・ン・モ・ラ・ン・シ・ー」
すっくとルイズが立ち上がって、モンモランシーが逃げ出した
「きゃあ!ルイズが怒ったぁ〜〜!」
「待ちなさぁい!」
二人してドタドタ部屋外に飛び出して行ってしまい、才人とヴァレリーが取り残された
「あんまりルイズからかわないで下さいよ」
「貴方は寝てたからそう言えるのよ。とてもじゃないけど見てられなかったわ。言っておくけど、上下両方!」
「…そうなのか」
「あれもう本能的な行動よ。本当に何時死ぬか解らない事が堪えたから、とにかく一刻も早くって思ったのね」
「…」
返事が出来ずに沈黙で返す才人
才人はそこで、聞いてみた
「……で、俺はいつ動いて良いの?」
「ちょっと待ってて。後は頭部に対してやるだけよ」
その前にヴァレリーは、舌で才人の上に散った精液を舐め取っていく
「えっ、あっ、ちょっ、何を?」
「何って、異人種に対する医学的興味兼、エレオノールの男の味見」
「だぁ、止め、エレオノールの友達にそんな事……」
「何よ、失礼しちゃうわね、サービスよ」
精液を全部舐め取って、プンプンするヴァレリー
「お願いだから治療お願いします」
ヴァレリーが溜め息を一息ついてから、才人の上半身を起こし、胸の谷間に直接後頭部を置いて、詠唱し始めた
「何でこの姿勢?」
「うっさい。触診で水の流れを把握しないと駄目なのよ」
「……了解」
黙って目を閉じて、涼やかな詠唱を聴く才人
「…良い声だ」
ヴァレリーの身体がピクンとし、詠唱が突然止まって、また再開する
「…終わりよ。動いて大丈夫、塊は全部砕いた」
「本当に助かったよ。有り難うヴァレリーさん」
そう言って、ヴァレリーに振り返ると、ヴァレリーからキスされた
才人は舌の侵入もそのまま返し、熱いが短く離れる
「ん、やっぱり良い男だわ。これ位は、役得有っても良いでしょ?」
「まぁ、これ位なら」
「これからも宜しく」
そう言ってヴァレリーが手を差し出し、才人も手を出して握手を交わす
「服着て良いわ。食事にしましょ。外でメイドが、貴方に一刻も早く目覚めたら見せなきゃならない奴が有るって、ずっと待ってるのよ」
才人が服を着ると、ヴァレリーが呼び鈴を鳴らし、ミミとローラが飛び込んで来た
「才人さん!良かった!シエスタの事嫌わないで!」
自分に毒を盛った相手の事を、無意識に考えるのを避けていた事に気付いて、才人は舌打ちする
「才人さんがそうしたくなるのは解ります。とにかく、これ見て下さい!」
才人は黙って受け取った
「シエスタの日記?」
「知ってるんですか?」
「あぁ、一緒に外に出た時にも書いてた。中身は知らないけど」
そう言って、指定されたページを見て固まる才人
「あの、才人さんが倒れた後、シエスタも自殺を試みて」
ローラがそう言って、才人の様子を伺う
段々、そう、見てる者達に伝わる位、ビリビリとした気配が伝わって来る
「シエスタの容態は?」
「きちんと助けたわ。後は目覚めるの待つだけ」
「そうか、ゼロ機関がアカデミーに、器材を貸し出して貰いたいモノがある」
「何かしら?」
「最高の水スクウェアを一台。残酷耐性が高くて口が堅いのが適任だ」
「随分な注文ねぇ。丁度一台、心当たり有るわよ?」
そう言って、ヴァレリーがにこやかに答える
「やっと決まったのね」
「あぁ、楽には死なせてやらん。って訳で飯だ。悪いけど消化が良くて滋養の良い奴大量に持って来てくれないか?後は腹ごなしの運動相手」
「はい、ただいま」
二人してダッシュで走り去り、代わりにタバサが入って来た
「才人」
「お帰り。わざわざお見舞い有り難うな」
するとタバサは首を振る
「ん、違うのか?」
「任務で貴方を殺しに」
「…そうか」
才人は立ち上がり、タバサに向かって両手を開いた
「タバサじゃしょうがない。どうぞ」
ヴァレリーが思わず目を向く
「な、何を言ってるの貴方?さっき……」
そしてタバサはカランと杖を落として、才人の胸に飛び込んだ
ヴァレリーは思わず凝視する
「…調べて来た」
「そっか、大変だったな」
才人がタバサの頭を撫でつつ抱擁し、タバサがその腕の中で満足そうにしている
「私、任務で戦わないといけない。私に一個傷を作って。負傷撤退する証拠が必要」
「俺にタバサを傷付けるだって?んな無茶な」
そう言って才人は唸り、結局抱擁を解いて、額にデコピン一発ビシっと当て、タバサが額を両手で押さえて涙を溜める
「痛い。私、戦って負けた。貴女証人」
そう言ってヴァレリーを指差す
そんなタバサを見て、ヴァレリーに笑いが込み上がって来た
「あっはっはっはっは!いや、面白い!面白い!貴方達最高!あっはっはっはっは!証人、証人ね、うん、アカデミーの水の主席研究員のヴァレリーが貴女の負けを証明するわ」
「任務達成」
タバサがそう言って胸を張り、才人は頭をガリガリする
「負ける任務?」
「そう、出来るだけ消耗無しで」
「……あぁ、成る程ね。ガリアもえげつない真似を。こりゃ、ガリアのが一枚も二枚も上手だな。一番馬鹿なのは、トリステインの封建貴族じゃねぇか」
才人には、どういう事かそれだけで解った
「リストにアストン伯は居たか?」
タバサはコクリと頷き
「更に外に傭兵隊。フル武装が50人。暗黙の戦場で待機してる。さっき矢文を見付けた」
タバサに渡された内容は
サイトーネ=ヒリーガを本日夕刻迄に差し出せ。さもなくば、魔法学院を落とす。こちらにはメイジ有り。脅しではない

「……俺の機嫌が悪い時に、馬鹿かコイツら?デルフ、戦の狼煙を上げるぞ」
ガチッ
「おうよ、相棒。この騒ぎにケリつけんぜ」デルフは相棒と、戦場を駆ける方が好きなのだ

*  *  *
ザッザッザッザッ
森の中をライディングジャケットにジーンズ、ブーツを履き、背中に大剣を背負い、腰には刀を帯びた、ハルケギニアの常識からは異様な風体の黒髪の男が歩いている
そして向かう先には完全武装の傭兵達が現れ、その様をニヤニヤと眺めている
馬鹿かこいつと顔が物語っている
そんな才人が一味の頭が座る所に赴いた
「来たぜ」
「お前がサイトーン?」
「平賀才人だ」
「馬鹿かこいつ。何で一人で来てんだ?こっちは50だぜ?魔法学院がバックに居るって聞いたから、こんなに警戒してんのに馬鹿じゃねぇかよ」
「「「「ゲラゲラゲラゲラ」」」」
周りの傭兵達が思いっきり笑っている
「誰に依頼された?」
「言える訳ねぇだろ?一応傭兵は信用第一だ。負け戦は逃げっけどな」
「「「「ぶわっはははは」」」」
「話したくならねぇか?」
「馬鹿じゃねぇ?だったら、50相手に勝ってみろ」
「…そうか」
「大方ここの血の痕も……」
ダガン!
才人がデルフを居相抜きし、話してた頭の身体が袈裟懸けに真っ二つになる
デルフは勢い余って土にめり込んだ
「依頼主が言えねえなら要らねぇよ。来い」
才人が肩にデルフを掛けて右手で持ち、左手の人差し指をくいっと自分の方に寄せる
「……」
ガチャガチャ
あちこちで武装を帯びる音が鳴り響き、更に詠唱が重なって来る
「ハッハッハ!祭だ祭だぁ!俺っちは相棒の左腕、デルフリンガー様だ。てめぇら覚悟しやがれ!今の相棒は何時もの倍強ぇぇ!」
そう、左手のルーンは何時も以上に輝いていたのである
才人が駆け寄った速度に度肝を抜かれ、才人は一刀で七人を横に薙ぐ
「デルフお前、七つ胴かよ。最高クラスじゃねぇか」
「んだそりゃ?魔法来るぞ。後方だ」
言った瞬間にそのままデルフを背後に差し、そのまま村雨を抜刀して更に踏み込み、逆袈裟に叩き斬り、そのまま跳ね上げて隣の兵を斬り、更に次の兵の首を落とす
才人に向かった魔法は全てデルフが吸い込み、メイジ達が愕然とし、開いたスペースですかさず振り向き村雨も地面に差して懐に両手を入れ、振り抜き様に投げナイフが複数宙を舞った
ガスガスガスガス
メイジ達に深く突き刺さって、虎の子のメイジ隊があっさり壊滅し、才人はデルフと村雨を握って、縦横無尽に振りだした
「ク、クロスボウ。第一射、放て!」
味方が居るにも関わらず、クロスボウ隊が射撃し、気付いた才人は振り向き様に腕で叩き落とす
「馬鹿な!?」
「ガッ」「グアッ」「アギッ」
味方を殺してしまったが、目標はピンピンしている
「わりぃなぁ。風魔法付きなんだよ。良く狙わないと当たらんぜぇ?」
デルフの言葉に才人はクロスボウ隊に駆け出した
向かってた相手は、クロスボウが一掃してしまったのだ
「怯むな、第二射、放て!」
クロスボウが矢を発射し、才人は村雨の一振りで斬り捨て、そのまま左手のデルフをクロスボウ隊に叩きつけ、一気に指揮官事殺し、更に殺戮する
既に30人以上が倒れた
まだ5分も経ってない、傭兵達に動揺が広がっていく
そして、逃げようにも、奴の方が遥かに速い
向かって活路を開くか、散り散りに逃げるかしか
そう思案した傭兵達が頷きあってたのだが
「外はメイジで包囲してんぞ?矢文なんか入れたから、学院長がキレちまった。出た瞬間に蜂の巣だ、てめぇら。逃げたきゃ、相棒の首が通行証だって言ってたぜ」
「う……うわぁぁぁぁ!?」
残った兵達が恐慌を起こし、遮二無二才人に挑みかかり、全てを一刀で才人が両断する
立ってる人間が5人になった所に、上方から銃声が轟いた
ダダダダーン
木の上から才人を狙ったのだが、ジャケットの魔法で命中弾はゼロ
才人は二振りを突き刺し、また投げナイフを懐から抜いて、ブンと投げた
一撃で仕留めて、バタバタと人間が落下し、とうとう恥も外聞も関係無しに逃げ出した
才人はガチッとシングルアクションライフルを取り出し、左腰に擲弾の代わりに用意した弾薬入れから弾をセット
撃鉄を引いてトリガーを引く
ダァン!
一番遠くに逃げ出した兵の頭が撃ち抜かれ
驚いた兵の頭に、また穴が出来る
ダァン!
「う、嘘だ。銃がこんなに素早く撃てる訳が……」
ダァン!
また一人倒れ
ダァン!
更に一人倒れる
「や、止めてくれ!降伏する!降伏するから!撃たないでくれ!依頼主も言うから!な?な?」
逃げるのも諦めて頭を抱えて震える傭兵
ザッザッザッザッ
才人は歩いて傭兵の所に辿り着き、銃口を頭に当てる
「あぁ、もうどうでも良いよ。来た奴全部殺すから」
「や、止めて、お願い。俺には帰りを待ってる家族が」
「…だから?」
才人は無感情に引金を引いた
ダァン!
「……そんなのは俺も同じだ」

*  *  *
才人が森から出ると、エレオノール達が待っていた
包囲はデルフのハッタリであり、逃がさない様にする言い分だ
「終わったの?」
「あぁ、ナイフが10本中半分未回収。また頼むわ」
「了解よ。ちょっと、服の魔法効果切れそうじゃない?何を避けたのよ?」
「クロスボウと銃弾」
「クロスボウじゃ仕方ないか。寧ろ、良く避けたわね」
「あぁ、相棒の体捌きとの合わせ技だぁね。どっちかじゃ無理」
デルフが会話に乱入して、エレオノールが錬金し、それをタバサが風魔法を付けて才人に渡し、更に風魔法をジャケットに掛け直す
魔法にはデルフがある。才人に取って一番ヤバいのが銃弾だと、経験で判断したからだ
元々隠密をメインにはしてない為、問題は無い
「何時も通り、アニエスさんに言うかは任せる」
「何人殺したの?」
「さぁ?一々数えるのなんか、止めちまったよ」
「自力は45人、同士討ちが8人だ」
デルフがそう言って、才人は学院に戻って行き、入口で待っていたモンモランシーに浄化を掛けて貰い、死臭を消したのである

*  *  *


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