X6-13
Last-modified: 2012-06-19 (火) 07:01:53 (4322d)

アニエスとルイズは風呂に入った後はバーに入っていた
スタッフ達が他の連中と共に陽気に盛り上がっている
「仕事してるの……あれ?」
ルイズが疑問を呈し、アニエスが肩を竦めた
「ま、酒を味わうのは空軍の仕事の一つだからな。外の寒さ洒落にならんだろ?あれも一応査定の一部だ」
「……オストラントのお陰で、すっかり忘れてた」
「おや、これは美女二人がこんな所に、では御近づきの乾杯を」
そう言って、カウンター席から降りてルイズの手を取ろうとした瞬間に、サーベルが喉元に突き付けられた
「……またか」
「何だ?才人の時はもっと厳しいんじゃないか?一応奴の代わりでね。触れた奴の殺害命令を貰っている」
アニエスがそう言って、ジュリオは手を引っ込めた
「これは銃士隊隊長。艦長がそんな事を?」
「あぁ、奴の代わりってのは中々キツイ。ついつい寸止め出来ずに殺してしまうかもしれん」
「だ、そうですぞ?第三竜騎士中隊長殿」
バーテンに言われて、ジュリオは肩を竦めた
「なんつうおっかない艦長なんだよ、ったく」
「ハッハッハ。才人君の壁を突破するのは、男の醍醐味でしょう?。是非とも頑張って下され。私は楽しく観戦させて頂くよ」
そう言って、カウンター席に座ってたコルベールが酒を煽っている
そして監査に来た連中は酒盛りしていて、司令部も配置された船室には付属されていなかったので、こちらで全員飲んでいる
中には本を持って来て、飲みながら読書してる奴も居た
本のタイトルは、新作のイーヴァルディの暗殺者だ
お伽噺だが、毎回皮肉が効いてるので、大人でも好きな読者が居るらしい
アニエス達もカウンター席に座って、ルイズはごく弱い酒を、アニエスは普通にワインを頼み、バーテンがすっと差し出した
「ではシュヴァリエ、貴女になら……」
アニエスの手を取ろうとしたら、切っ先がちょっと顎に当たってしまった
「あぁ、済まん。命令は女性全員でね。私も例外じゃないんだ」
「解った、自重する。自重するから。せめて乾杯位は良いだろう?」
降参と両手を掲げたジュリオに、アニエスがフッと笑うとグラスを掲げてみせ、ルイズも硬いがにこりと微笑んでみせた

ジュリオ達四人のグラスがカチンと音が鳴って、皆が酒を堪能している

*  *  *
アンリエッタは湯船に浸かってご機嫌だった
「う〜ん。才人殿と二人っきり!やっぱり嬉しいぃぃ!」
「……あのね」
「嬉しく有りませんの?」
下にいる才人に肌を触れてご機嫌なアンリエッタに、才人は苦笑している
「サイト殿はこんなに元気なのに」
そう言って、才人の勃起に、くにくにちゃぷちゃぷ擦るアンリエッタが逸る心のままに、才人に抱き付いたり肌をこねこねさせたりしている
「鼠取りじゃ無かったっけ?」
「あら、貴方のトリステインに対する勧誘と、あの子を出し抜く楽しみと、その他どろどろの愚痴話。全部一括りで出来るのはサイト殿だけですのよ?」
そう言ってアンリエッタは唇を啄む
「ん、ん、ん」
ちゅっちゅっちゅっと、ひたすらバードキスを才人に連発し、心のままにはしゃぐアンリエッタ
「ね、早くしましょ?連れて行って下さいまし」
風呂は流石にちょっと小さいので、才人がザバッとアンリエッタを抱えて立ち上がると、「きゃあ!?」アンリエッタが本当に嬉しそうに抱き付いた
そのまま脱衣場迄運んでバスタオルで拭くと、アンリエッタも才人の背中を拭き、二人してバスローブを羽織る
ちなみに洗濯物は、作業員が備え付けのは回収して、訓練中に洗濯して干している
つまり、着替え以外はシーツから何から毎日パリッとなっている
一番二番デッキの部屋だけだが。何度も書くけど、船舶内は階級社会なのですよ
そして二人共に前ははだけて、アンリエッタが抱っこを要求するので、才人は忠実に応えた
「きゃん」
アンリエッタはとろんとした顔で才人を見つめて才人はアンリエッタと共にベッドに向かう
トサッと降ろすと、そのままアンリエッタが才人の首に巻いてた両腕を思い切り引き込んで、才人をベッドに引き倒した
「おわっ」
「きゃあ!すけべぇ!」
そう言って、アンリエッタは才人にキスをしてそのまま唇を貪る
「ん……ん」
そのままキスをしながら下から軟体動物の様に身体をくねらせて才人に身体を合わせて誘導し、股を開いて勃起したモノを自身の入口に合わせようとし、才人が応えると、腰を動かして挿入した
「ふぁ!?あっはっはっは。ちょっと待って、まだ果てないで下さいまし」
「アン?」

すかさず、ベッド脇の小机に手を伸ばすので手伝うと、引き出しから薬が出てきた
繋がりながら両手で薬を持ってニコッてするアンリエッタ
「ふふっ。アニエスから聞きましてよ?主席研究員の内緒のバイト」
「まさか……分析して調合?」
「無理でした。スクウェアじゃないと駄目みたい。だから、お小遣いで買っちゃった」
そう言って、ぺろっと舌を出すアンリエッタ
「水使いのデータ提供と引き換えに安くして下さりましたわ。水使いには、多分麻薬だって、言われてしまいましたけど」
麻薬、つまりアンリエッタが使うと、習慣性才人依存症になる訳だ
「後、伝言です」
「…はい?」
「もし黒髪の男なら、こう言って欲しいって『迷惑かけないから味見させてよ』」
「…」
「『未亡人になったら宜しく』とも言ってました」
「…あははは」
才人はもう、笑うしかない。彼女には借りが有る
「サイト殿。皆を幸せにし過ぎてしまいましたね?」
ヴァレリーの所には、順調に才人のデータが積まれてるらしい
「じゃあ、私もその一人に参加」
そう言ってクイって飲んで、才人には口移しで飲ませた
浸透した瞬間に、アンリエッタの目が見開かれる
「ひあぁぁぁ!何これ?何これぇぇぇ!!!」
才人の喜ぶ位置を把握し、才人を射精するべく、本人の意思を無視で身体が勝手に動いてしまう
他の女性は気持ち良いだけだったが、アンリエッタは水の流れが解ってしまう、水使い特有の能力で、完全にシンクロしてしまった
身体が言う事全く聞かない、目は焦点が外れ、腕は勝手に気持ち良い抱き締めを行い、腰は才人の一番射精し易い位置を決めて、脚が彼を逃がさない様にがちりと締まり、才人に耐える事をさせない
「あっそんな、出る!」「ひあ゛ぁぁぁ!!」ドクンドクン
才人が耐えさせてくれないアンリエッタの柔らか過ぎる抱擁に震えていると気付いた
「鼓動が…同じ?」
そう、才人の鼓動とアンリエッタの鼓動が完全にシンクロしている
「はひっ、はひっ、はひっ。はひ、何れす?我慢らんて馬鹿なひろ。私、こんなにきもひいい」
アンリエッタの視線は完全に虚ろだ、才人を見て妖艶に笑ってるのに、才人を見てない
才人もヤバさを感じ取る
「不味い、離れ」「らめ」
キュッと、才人が喜ぶ絶妙な全身の動きに才人が唸る

「ぐぅ」「らいじょうぶ。出したいだけ。うん、わかかりまひた」
才人に話してるにも関わらず話してない
腕の抱擁を解いて才人を腰を繋げたまま突き上げて才人と合わせて流れる様にくるりと態勢を変えて、絶妙な位置で尻を向けながら押し付けて繋がるアンリエッタ
あくまで才人がやり易い、一番深いポジションを、絶妙に取り、才人の興奮を更に高めると、全く同じ呼吸で身体を荒らげる
上半身はベッドに倒れている
「らいじょうぶ。だすのすき、ふ、ん」
理想的なタイミングで吸い込まれ、蠢かれ、才人の呼吸が完全に乱れる
「アン……絶妙過ぎ」パンパンパンパン、パン
最後に一際強く叩き込んで、二人して硬直する
「あひっあひっ。すごっ、わたしすご、サイトどのいちばん、いちばん〜」
才人が射精に酔ってると、アンリエッタもサイトに当たってる子宮口が、射精の脈動を完全に吸い込む感覚に虚ろな目のまま、シーツを掴んで酔っている
「何もいわないでらいじょうぶ。わたくひ、サイトさまのことぜんぶわかる。しあわせ、ひゅごいしあわせ。だからぜんぶわたくひのなか」
才人が覆い被さると、揉まれ易い様に身体を少し起こして彼の手を絶妙のタイミングで迎え入れ、才人の荒い呼吸に、自分の呼吸が完全にシンクロしてる息を吐く
「はい、わかりました。いってきも、にがしません。ぜんぶ、やや子のへやにおくります」
「アン、さっきから誰に?」
「だれって、あなた」
才人の脈動とアンリエッタの脈動が完全に一致し、一体感は洒落にならない
「アン」「はひ」
そのまま、三回目の射精は脈動と蠕動だけで射精してしまい、二人共に震える
水使いの水を感じ取り出来るレベルは、クラスに比例する、その精査が本能を探り当ててしまった
才人の本能イコールアンリエッタの本能、アンリエッタが溺れるには充分過ぎる
完全に同調したアンリエッタは才人がしたい、絶妙な欲求を全て叶えた
才人が興奮しない訳がない
「おうぞく、こづくり‥‥しごと‥‥わたくひ‥‥おしごとじょうず」
「……上手過ぎ」
才人は、後ろから抱き締めたアンリエッタの首筋にキスするだけで精一杯だ
ずっと蠕動が止まず、もう二人共に奥に入れてるだけで良い

才人が軽く動かすと、アンリエッタが絶妙に腰を合わせ、絶妙な呼吸であっという間に高めていく
才人が腰を強く押し出すと完全に受け入れ、才人に最高の環境で射精させる
才人は黙って震え、アンリエッタは涎を垂らして震えている
「わたくひ‥‥いきっぱなひ‥‥どこまでサイトどの?」
「…知らねぇ」
結合部分からは一滴も漏れてない、本当に全て吸い込んでいる
「すき‥‥すき。もっと、こつこつびゅっびゅっ。おしごとほめて、びゅっびゅってほめて」
「アン」
射精して力を失ってもすぐに復活する
アンリエッタの匂いはどんどん強くなる
牝が持つ天然の媚薬が、才人を虜にすべく存分に汗と共に振り撒かれ、その匂いと肌触りに酔ってしまう
「ごほうびください。もっとごほうび、びゅっびゅってください」
「ん」
才人が要求に応じる為に、腰をぐりんと動かし始め、アンリエッタはビクビクしながら合わせて動いて、二人共に溺れる
「相棒」
カチンと出て小声のデルフに、射精した後だった事も手伝い、才人が一瞬で引き戻された
一気にアンリエッタから離れると、アンリエッタがビクビクしながら瞳に焦点が戻る
「ローブ着てソファーに」
才人の囁きに、アンリエッタは頷いた

*  *  *
扉の外では、ジュリオが鍵穴から覗いていた
『サイレンス無しとか馬鹿だろ?洩れてんじゃないか』
スキャンダルを握るのは、ロマリアに取っても有益になる
ジュリオはバーに集まった面子をさりげなく確認すると、トイレと言ってちょっと出て来て、密談覗けるかと期待したらビンゴだったと云う訳だ
耳を寄せて、一番薄い扉に身体を付ける
暫くしたら音が聞こえなくなった
『なんだい?終わりか?』
そう思ってると、不意に身体を崩して部屋に入ってしまった
扉が内側に開いたのだ
狭い通路に対応する為に、扉は全て内開きなのだ
ごろんと崩れた身体を引き摺り込まれて、素早く扉が閉められた
バタン
すかさず詠唱が聞こえて、サイレンスのフィールドが発生したのが判る
引き摺られた後は、そのまま背中を素足で踏んづけられて、首筋に刃が迫っていた
「カッカッカッカッ、いらっしゃ〜い」
デルフがカタカタ笑いながら言い、扉の真ん前に立て掛けられてた事に気付いたジュリオ
「インテリジェンスソード使ってハメられた!?」
「そういうこった。あんまり相棒舐めんじゃねぇぞ。綺麗な兄ちゃん」

「わざわざこういう状況作れば、興味を抑えられないかと思いましたの」
アンリエッタがソファーに座ってバスローブ姿の背中をまま、ワインを飲んでいる
「まさか、命令?」
「一つもしてないが?」
才人がバスローブ姿のまま否定する
「誘導されてたのに気付きませんでしたのね。艦長が艦内人員の行動を把握してないとでも?」
「ま、でかい餌が来たら、そりゃ誘惑には勝てないよな」
ジュリオが自身の失策に舌打ちする
「さてと、国家機密覗いたスパイはどうする?女王陛下」
「殺すしかないでは有りませんか?ゼロ機関所長。空の上ですし、問題有りませんわね」
二人共に、この会話が本気で有る事に気付く
才人達の言に、脂汗を垂らし始めるジュリオ
「安心しろよ。殺しはしねぇ」
「まぁ、なんて残酷」
才人の台詞にアンリエッタが応じ、ジュリオが得体の知れないモノを感じ取る
「殺さない方が残酷だと?」
思わずジュリオが問い質すと、アンリエッタが背中を向けたまま、言い放った
「つい最近、アストン伯が何者かに襲撃されてしまいましたの。なんと、生かしたまま切り刻まれ、胴体残して股間も含めて全て切り取られ、舌と目をくり貫かれていたにも関わらず、命に別状は無かったそうよ」
「そいつぁ残酷だぁ。誰だやったの?」
デルフが合いの手を入れて混ぜっ返し、アンリエッタが更に喋る
「さぁ?イーヴァルディの暗殺者って、呼ばれてますわね?ねぇ、イーヴァルディ?」
アンリエッタが背中が面白そうに語っており、才人が応えた
「さぁて、何の事やら」
一気に震え出すジュリオ
「ま、まさか、やったり……しないよな?」
ガタガタ言ってるジュリオに、才人は興味無く宣った
「人間活き造りは実に難しいからねぇ。素材が手に入って、実に嬉しい」
「止めろ。何が望みだ?」
「いや、あんた自身に興味無いのよ、俺。序でに情報も」

才人がそう言って、左手の手袋を皮膚事切り裂き、ジュリオが痛みに震える

「……ぐっ」
「お、中々我慢強い」そのまま、今度は右手の手袋を切り裂いた
「あっ!?」
皮膚を軽く切り裂かれたにも関わらず、思わず隠す動作が気になった才人
更に手袋だけを器用に切り取り、手の甲を隠す仕草に怪訝な表情を示す
「姫様。魔力は充分?」
「充実してますわ」
ダン!
「……がっ」
左手に村雨が突き立てられても、苦しむだけで、喚かない
「ほぅ、男だ」
才人は力が抜けたジュリオの手の甲を見て、驚いた
「ルーン!?使い魔の証?」
アンリエッタが立ち上がって、素足のまま近寄り、ルーンを読んでみる
「これは……ヴィン…ド…アー…ルヴ。ヴィンダールヴ。以前調べた時の、始祖ブリミルの使い魔の一人」
才人はその言葉にふふんと態度を変えた
「訂正、興味出たわ。姫様。ジャケットとブーツ持って来て」
「はい」
アンリエッタが才人の装備を持って来ると、才人がジュリオの服を床にナイフで縫い付けて行く
ダンダンダンダン
そして、村雨をズボって抜いて、軽く振ると鞘に収めた
チン
「一度治療して上げて下さい。話し易いでしょう」
「はい、イル・ウォータル・デル」
アンリエッタが杖を振って癒すと、脂汗を浮かべてたジュリオがふぅと溜め息を付いた
「何で魔法で拘束しなかったか解るか?活きながら切り刻んでも、死なない様に治療する為だ」
「……解った」
ジュリオには恐ろしい宣告である
使い魔として使えないのに生きてるなんざ、主人にすら見捨てられる
二重の苦しみだ
「姫様、聞きたい事は?」
「はい、ロマリア神官の階位と姓名をおっしゃって」
「ロマリア助祭枢機卿ジュリオ=チェザーレ」
アンリエッタは息を飲む
「ロマリアの枢機卿猊下では有りませんか。駄目ですよ、出歯亀しちゃ。殺さなきゃ駄目になってしまいます」
「僕はどう足掻いても死ぬのかい?なら、何も話さないよ」
「あら、そんな事は御座いませんよ。国家機密には国家機密。バーターとしては、イーブンでしょう?」
ジュリオは縫い付けられたまま苦笑する
「確かに……では何がご所望かな?」
「何故傭兵になっておられるのですか?」
「義憤だよ。レコンキスタはロマリアにも邪魔だ」
「成る程。では何故この艦に?」

「只の軍令部の命令だ。残念ながら今の僕は、一竜騎士の範囲から逸脱してない。今回のは僕の勇み足だ」
才人は、目の前で何か行動を起こした時に備えて村雨片手に待機している
「姫様、どうですかね?」
「理は通ってます。艦に付いては何故嗅ぎ回るのです?異端審問?」
ジュリオは少し考えて、答えた
「僕は狂信者を自称しても良いが、異端審問に躍起になる程暇じゃない。有り得ざる工芸品の生産者に興味を示しただけだ」
才人はぴくんとする
「今の話、聞かせろ」
ジュリオがぷいっと横を向くと、ナイフを取り出してダンと手を縫い付けた
「…グァ」
「身体、縫い付けられたいのか?」
「ぐ………良いさ、隠す物でも無い」
「なら正直に言えよ。俺は人傷付けるの、これでも嫌いなんだぜ?」
才人はすかさず抜くとアンリエッタが治癒を唱え、ジュリオが喋り出す
「ハルケギニアには、我々にはどうやって作ったかも解らない品々が時々発見される。それを指して、有り得ざる工芸品と言うのさ」
「ほぅ、良い情報を有り難う。ヴィンダールヴの能力は?」
ジュリオは躊躇った後「獣を全て操るだ」
そう答え、才人が
「成程便利だ。ま、後はあんたの主人だな。言わないと、両足から刻んでやるよ」
ジュリオがその言に、唇を噛み締めた
「……屈辱だ。ヴィットーリオ=セレヴァレ。現教皇聖エイジス32世だ」
才人とアンリエッタは顔を見合わせた
「教皇が虚無の使い手か…」
「では貴方は、教皇聖下の使いで此方にいらしたのですね?」
「…そうだ」
アンリエッタはその情報に考えを廻らせる
「つまり、ロマリアとしては、レコンキスタをトリステインが潰せるなら万々歳と。良く分かりました」
そう言って、はらりとローブをはだけて、才人の精が垂れ出した綺麗な割れ目をジュリオに見せる
思わずジュリオが釘付けになってしまう
「あらあら困ってしまいました。マザリーニにもスキャンダルには気をつけなさいと言われてますのに、なんと枢機卿猊下に証拠を見られてしまいました」
そう言っておろおろするアンリエッタ
「私の裸を見て良いのは、旦那様になる方と‥‥‥死に行く者だけですわ」
才人はその言葉に、肩口に外向きにした村雨をスラリと抜き始め、濡れた刃が霧を纏いファンの空調に揺られて霧がふわぁと舞っていく

魔法ランプに照らされて実に幻想的で、背筋が凍るに相応しい光景だ

「う………嘘だろ?きちんと喋ったじゃないか?なぁ、約束が違う!卑怯だぁ!」
「あらあら、約束なんて何もしていませんわ」
ジュリオがその言葉に唖然とする。確かに約束してない
バーター(引換)と言っただけだ
「あ……待て、機密喋ったぞ?なぁ?主人の名前は機密中の機密だ!誰にも言わない!頼む!まだやり遂げて無いんだよ!なぁ!」
ジュリオが騒ぎだすが、才人はゆっくり抜くのは止めない
「止めてくれ!誰にも言わない!絶対だ!僕にも大事な人が居るんだ!約束してるんだよ!頼む!ジョゼット!」
遂に抜いた才人が村雨の刃を振り下ろした
ダン
ジュリオの目の前に突き立ち、真っ青で涙目になっている
「その娘の事、好きか?命懸けられるか?」
「今懸けてる!僕はその為に参戦してるんだ!」
才人はフッて笑うと、チンと村雨を収めた
「俺、嫌いになれねぇわ」
「まぁ、見せ損ですわ」
アンリエッタがぷんぷん言いながら才人に接吻し、ジュリオを睨む
「約束破ったら、貴方は私のイーヴァルディの刃にかかる事、憶えておきなさいな」
「誓う!神に誓って守る!だからお願いだ」
才人はそんなジュリオのナイフを全部抜き、装備品にしまってジュリオに対して笑っている
「ま、これに懲りたら出歯亀は止めとけ、美少年」
「……胆に命じるよ。で、僕は退艦処理かい?」
才人は首を振った
「いんや。可愛い女のコの為に働く一途な男は好きでね。頑張ってくれよ。一応戦友になる予定だろ?」
「…監視だと言ってくれ。生きた心地がしなくなる」
そう言ってパンパンと服に付いてもいない埃を払う
精神を落ち着かせるのに必要なのだろう
「お互い様だ、ロマリアの神官殿。俺は何人に狙われてるか解りゃしない」
「事実ですわ。かれこれ100人は殺しましたものね」
アンリエッタの発言の瞬間に、ジュリオはゾッとした
「何で生きてるんだい、君は?」
「往生際が悪いのさ。じゃあ、さっさと帰った帰った」
才人の手の振りにジュリオは頷いて退出する
「了解。艦内では大人しくしてるよ。艦長」
パタム
艦長室の扉が閉まって、今度こそアンリエッタはロックした
「では、続きですわ」

才人はアンリエッタのおねだりに、抱っこしてベッドに運び込んだ

*  *  *
バーでは、ルイズの愚痴をアニエスがひたすら聞いていた
弱い酒を更にちびちびと飲んでいるルイズ
まるで小動物だ
「いつもいつもいつも何であたしばっかりのけ者で失敗ばかりでゼロでゼロで駄目駄目でそれなのにサイトはすんごくてかっこよくてもてまくって強くて優しくて悲しくて泣きたくなる位寂しい背中でそれをなんとかしたいのに皆して邪魔してふざけんじゃないわよ」
ここまで一息である
流石にアニエスが笑っている
「お〜流石主人だな。良く解ってるじゃないか」
「解る?アニエス。サイトの背中はすんごくかっこいいけどすんごく寂しいの〜〜〜」
舌を出してちびちび飲んでるルイズ
猫と栗鼠、どっちの表現が近いか微妙な所だ
「だから、皆で幸せになるにはどうしたらって、考えは無いのか?」
ダンと、一緒に出されてるチェイサー(水)のコップを叩き付けて、更にルイズは愚痴る
「そんなの友達で、しかもムカつくけど既にサイトの愛人になってる人からも散々言われてるわよ。私その友達大好きよ。一緒に居るのも悪くないって本気で思うの!」
「うんうん」
「でも駄目なの!気持ちばっかりはどうしようも無いの!あたしは独り占めが良いの!」
自分自身でも滅茶苦茶なのだろう
酒で何とか紛らわすので精一杯なのだ
「ねぇ、どうしたら良いのアニエス〜?あたし我が侭だよね?男少ないのに、また戦いで減るのに。あたし友達を不幸にするのが幸せだと思ってるんだよ?」
アニエスはルイズが気の毒になって来た
「そりゃあたしは失敗ばっかりでゼロだったけどさ、頑張って頑張ってこれから伸びるの。姫様は幼少の頃から帝王教育受けて来たんだから、あたしが敵う訳無いじゃない」
「何で才人がルイズを大事にしてるか、良く解るな。ルイズ、お前愛されてるぞ?」
アニエスが嫉妬心を隠しもせずに、ルイズに言ってしまう
「嘘嘘、嘘だ。絶対に嘘。だってサイトは愛より仕事の朴念仁だもん。女なんて、仕事の延長線上になきゃ、振り向きもしないわよ」
「確かにそれも当たってるな。でもな」
「でも何よ?」
「例外はお前だ。ルイズ」
「…へ?」
「私はこう思う。多分、ルイズは才人に取ってハルケギニアそのものなんだ。だから、ルイズと関係すると、絶対に気持ちが囚われるから、常に躊躇してるんだ」
「そう……かな?」

「そうだ。先ずは才人を振り向かせる事に専念したらどうだ?ちょっとは進展したか?不肖の弟子」
あの頃に比べて進展した、だからルイズは頷いた
「良し、成果を見てやる」
ガタッと立ち上がったアニエスがルイズを連れて行き、バーテンは何も聞かなかったかの様に振る舞った
酒の席ではお約束なのだ

*  *  *
一番デッキ左舷、アンリエッタの貴賓室に、アニエスとルイズが入ると、二人部屋のベッドが二つ付いている
右舷は各長室で排気管が艦橋に向けて走っており、出っ張りが有るから、貴賓室は無い
アニエスはルイズをベッドの一つにちょこんと乗せると聞き出した
「具体的には何をやった?」
「サイトの舐めた。沢山出してくれた」
「どんな風に?」
指二本を模して口に持って行くと、ルイズはぱくりと食わえてチロチロと舐め出した
アニエスはほろ酔いだが、ルイズは酒に弱いので酔っ払っている
舌を絡ませて唾液をつつぅと繋げて、時には舌でチロチロと先端を舐める
「こんな感じ」
「中々だな、ルイズ。他には?」
「昨日サイトをあたしの大事な所に挟んで、寝ながらずっと擦った。姫様邪魔しなきゃ、今日は絶対に結ばれたのに」
そう言って涙を流すルイズ
「気持ち良かったか?」
コクリと頷くルイズ
「才人はどうだった?」
「ずっと硬いまんまで、あたしがビクビクして何も考えられなくなると、サイトも敏感な所に押し付けてた手にびゅっびゅって、5回は出したかな?でも、してくれなかった」
アニエスは苦笑する
「気持ち良すぎる相手と言うのも考えものだな。アイツが喜ぶの教えてやる」
「うん、教えて」
アニエスが微笑みながらルイズにキスし、ルイズはヌボーと酔ったまま受け入れた
『あれ?何でアニエスとキスしてるんだっけ?えっと、アニエスは恋の技の先生だから、良いんだっけ?』
うつらうつらと纏まらない考えをぐるぐる考えつつ、巧みに脱がされていくのを黙って受け入れた

*  *  *
一方才人は、アンリエッタとベッドでお互いの身体を触れさせつつ、先程のジュリオの件を考察していた
「姫様は本気で殺す気だったでしょう?」
「勿論です。タングルテールを忘れてなるモノですか」

才人に豊かな胸をクニクニと合わせつつ、アンリエッタはそう言って満足そうに才人に絡まっている
薬は一晩効く分量を飲んでるので、才人の心地よさが全部判るのだ。止めるに止められないので、艶かしく動いている
「タングルテール?何処かで聞いたような?」
才人がはてと首を傾げていると、アンリエッタが更に言った
「アニエスの故郷です。新教徒達の開拓村だったのですが、新教徒を気に入らないロマリアの謀略によって、我々トリステインが焼き払いました。20年前の話です」
才人がいきなり顔を厳しくする
「何故先に言わなかった?アニエスさんの敵じゃないか」
「だから言わなかったのです。サイト殿が何をするかなんて、大体想像付きますわ。そんな事したら、アニエスが完全に貴方に夢中になってしまうではないですか」
思わず才人が身動ぎした
「あん」「……はっ?」
アンリエッタが官能の吐息を立てながら説明する
「勿論、今でも貴方に夢中ですよ。ですが、現在微妙なバランスに立ってるアニエスの心が、貴方に傾倒してしまいます」
「…」
「私の剣を、奪わないで下さいまし」
そう言って、嫉妬の顔をするアンリエッタ
情を寄せる相手であり、アニエスが情を寄せる相手でもあり、アニエスを奪う敵であり、才人をアニエスが奪う恋敵でもある
アンリエッタの心情もぐちゃぐちゃだ
「今が一番楽しいのです。誰かを選ぶのではなく、お願い‥‥」
アンリエッタはそう言って才人の胸に頬を寄せ、眼を閉じ、鼓動を聴いて満足そうに唇の端が微妙に上がる
「誰よりも安心する‥‥ずっと‥‥」
「……」
才人は返事をしなかった
でも、アンリエッタには今は何を感じてるか解る
無言で動く才人の手がアンリエッタの頭を撫でた時、満足の吐息を洩らした
「‥この刻が末永く‥‥」

*  *  *
ルイズが目を覚まし、むくりと起きると、アニエスと同じベッドだった
「え、え、えぇぇぇぇぇ!?」
毛布がパサリと起きた時にずり落ち、自分の身体にキスマークが全身に付いている
そう、首元迄もだ
「なぁ!?なぁ!?なぁ!?なんでぇぇぇぇ!?」
試しに下半身も見てみるが、そこまでキスマークが付いていた
「ま、まさか……」
ばっと素っ裸で飛び降りて姿見で背中を見てみると、背中にもあちこち付いていた
「いやぁぁぁぁぁ!?何でこんなになってるのぉ!?」
思わず叫ぶルイズ

「……五月蝿いぞ、嫁」
「嫁じゃなぁぁぁぁい!!」
素っ裸でアニエスに叫ぶと、アニエスが身体を起こした
アニエスの身体にも、キスマークがあちこちに付いている
「いやぁ、昨日は激しかったなぁ。いや、成長したな、嫁」
そう言って、アニエスがニヤニヤしている
「アニエスまさか、そっちの趣味ぃぃぃ!?」
「何を言ってるんだ?褥の技を全て教えろって言って来たのはそっちだろうが」
ガガーンとなるルイズ
「……何も憶えてない」
「そうか、じゃあアドバイスだ。ルイズは、酔った方が遥かに良い仕事するな。お前今度酔って迫れ」
ルイズは呆然としている
「いやぁ、まさかルイズに寝取られるとは思わなかったな。不束者だが、宜しくだ、嫁」
ニヤニヤ笑ったアニエスにそう言われ、ルイズは真っ白な灰になった
ルイズ=フワンソワーズ=ル=ブラン=ド=ラ=ヴァリエール
昨夜の戦果はアニエス=シュヴァリエ=ド=ミランを自らの使い魔から寝取る事に成功す

*  *  *


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