XX1-478
Last-modified: 2013-03-25 (月) 22:15:20 (4022d)
才人はカトレアに連れられて艦長室に入ると、内装が変えられていて一目見た時点では特に何も言わなかった
「あの、感想とかは?」
不安そうに聞くカトレアに、才人は感慨も無く答える「ん?良いんじゃない?正直良く解らないんだわ」
頑張って驚かそうとしてみたのに不発。カトレアはガックリ来てしまう
「うぅ、せっかく頑張ったのに」カトレアがしゅんとなってしまったのを見て、才人は後ろから抱きすくめる
「あっ…」「悪かった。素敵だと思うよ?」
カトレアの顔はぶすっとして才人は汗が滴っていて、何とかご機嫌を戻そうと無い知恵を絞っている
「むぅ〜〜〜」そう言いながらもカトレアは才人の後ろからの腕は離さず、頬を膨らませながらジトッと才人を上目使いに見ている。瞳の要求は、もう一声だ
男は仄かに薫る髪を顔で分け入り耳たぶを噛んだ
ピクンとして桃髪の貴婦人はその行為を受け入れ、顎を上げて反応していて、男は片腕を腰に回し、細い腰を自身に引き寄せつつ甘噛みしてる口を開いて、吐息と共に耳元で囁く
「不安だったんだね。ゴメン」「…後は?」
そのまま男が首筋を舐め、恐怖と背徳感に襲われた女がブルッと震え、官能の息を漏らした所で更に囁いた
「安心したい?」その言葉に、女はこくりと頷いた。男が抱きすくめたままベッドに連れて行き、女の前後を入れ替えつつ押し倒し、一緒にベッドにどさりと倒れこむ
ギシ
ベッドが軋み、そのまま女のマントを外し、ドレスのファスナーを、手を背中に潜り込ませてジィィと下し、袖を抜いて一気に脱がせると、自分もジャケットを脱いで村雨とデルフをベッド脇に放り投げ、ジーンズを脱ぎつつベッドに上がりながら、シャツ事パーカーを脱ぎ捨て、寝てる女の膝立てしてる足元に陣取った。あっという間にお互いパンツだけだ
「手…冷たいですわ」才人は抗議を無視して下着の紐を外し、自身のパンツもすかさず脱ぐ
「手、冷たいから使用禁止です」「じゃ、暖めて」「はい」
才人の体は冷えてはいたが、ずっと暖房の中に居たカトレアには心地良い冷たさで、そのまま自分から引き寄せて、男の顔を両手で挟んで自分の唇に重ねつつ、身体を重ねると脚で男の腰を密着させ、股間のモノを自身の股間で擦りだし、男も合わせて腰を動かし始め、舌と舌が絡む音と、股間の粘着質な音が、二人の耳に届き興奮を加速させていく
暫く互いの口腔を堪能し、ぷはっと軽く吐息が漏れる
「早く、来て下さい」そう言って、手で男のモノを掴むと自身の花に誘導し、男が腰を進めると、ずにゅりと入った
「はん、んん…」
にちゃ、にちゃ
淫猥な音が二人に届き、呼吸が荒くなっていき、男が汗を掻き始め、だんだんと熱が身体に行き渡り下に居る女が、彼を更に暖めようとして、両手両脚できゅうきゅうに抱きしめる
「うわっ。カトレアさん、やば」男の言葉に、官能に染まった女が吐息を男の耳に被せつつ、囁く「我慢しちゃ、だめ」
「くぅ!?」「おくぅ、すてき」そう言って、両足で拘束された状態でも腰を動かすと、女が呼吸を合わせて動かし、あっという間に頂点に持って行かされた
「も、駄目」「だして」
男の突き入れを全て迎い入れ、お互いに一番深い所で止めると、歓喜の精が迸る
「うっ、あっ」「はあ、すてきぃ」
才人は余りの快楽に身体が震えて制御が出来ずびくびくし、カトレアは久し振りの男の熱い抱擁に身体の芯から喜び、離れる事をせずに全て吸い込もうと、抱き締める力を緩めない
「カトレアさん」「だぁめ、呼び捨て」
喜びの表情に不満をない交ぜにした、そそる表情だ。男はちっとも休ませて貰えないが、快楽に呼応して股間はギチギチで萎える気配を見せず、更なる射精を求めて膣が蠕動し、男は一気に追い詰められ、思わず頭と背中に腕を回して強く抱きすくめると、桃髪の女性は身体から痛みが走るのにも関わらずに自身の抱擁を強め、豊かな胸が存分に男の胸の上で潰れ、柔らかな感触と、彼女自身の匂いに蠱惑された男は、そのまま固まり二回目を吐き出すと、女はびくびくしながら男の唇に啄ばみ、更に舌を潜入させて口腔まで蹂躙し、存分に味わい、彼の歓喜に自身の歓喜を重ね姿勢を崩さず、二人に汗が滲み出、身体が存分に暖まった事を知らせる
そのまま、二人には至極長い、だが短い歓喜の時間が過ぎ、身体の悲鳴に応じた女は、抱擁の手足を弛めると、男が呼応して弛める
暫し二人は無言で互いを見つめ、女の表情は完全に官能に染まり、短い逢瀬に全力を傾ける為、彼が離れようとするとすかさず脚に力を入れ、逃がす素振りを見せない
「…報告は?」「貴方のアマンである事が先です」
絶世の美女にそう言われて耐えられる男は、そうは居ない。才人も疲労は溜まっているものの、大変健康な男であり、この要求には耐えられそうもない
しかも、彼女の中は脈動と共にきゅっと吸い上げつつ、腰と脚を使ってゆったりとだが、確実に追い込んでくる。もう、彼女の匂いに蠱惑され、頭に霞がかかる様に目の前の肢体に虜になって行く
「前より…凄い」「…嬉しい」
そのまま、背中に回した腕に力を込めて持ち上げると、身体を起こし、桃髪の彼女を自身の上に座らせ上下逆になると、繋がりが更に深まって、真っ白い彼女の裸体が歓喜に震え、乳房が揺れ、男から見たら絶景の中、彼女がゆっくりと腰を艶かしく深く繋がったまま、ナメクジ以上の官能の動きを見せ付けつつ、動きを止めない
「ちょっと休ませて」「だぁめ」
快楽と彼女の求めに我慢が利かなくなり、ベッドの下から突き上げ、一気に追い詰めていく
スプリングを利用して深く突き上げられ、桃色かかったブロンドが揺れ、非の打ち所が無い身体が男の上で揺れ、一気に戦慄く
「や、やだ、強い…いぃ!!」「…くぉ」
パンパンパン、パン
最後の一突きを一際強く突出し、そのまま両腕で太ももを自身に抑え付け、女が絶頂の痙攣と刺激から逃れようと無意識に動く様を制し、自身の上に固定すると、女の口から涎が一筋垂れ、目が虚ろになっている
「あひっ、あひっ」
そのまま女は深く繋がったまま、男の胸に上体を倒し、完全に預け、ゆっくりと彼の顔を両手で慈しむ様に挟み舐めつつ啄ばみ始める
目の前の男に全てを委ねる安心感、欲しい時に来てくれる実行力、居ない時の不安と不満と、彼を楽しませたい一心の悪戯と、受け入れてくれる優しさ
どれもこれもが新鮮で、余りに離れ難い
「好き、大好き」
男は返事をしてくれないが、心は既に吐露している。だからこそ、カトレアは彼に惹かれたと実感出来た
今、ここにある事が全て。そう、カトレアの全てだ。だから、少しでも時間があるなら、常に全力。姉様にだって負けない
彼とのひと時を、彼女は全く無駄にしなかった
* * *
後戯もとい、ピロートークと言ったら、お互いを労いつつ睦み合うのだが、カトレアの場合は、決して離れずに繋がったまま。本気で才人の精を全て吸い取る積もりであるのが明白だが、才人は彼女の無言のおねだりに付き合い、互いに激しくは無いが射精に導く動きは止めず、カトレアは胸を乳首すれすれで触れさせて官能を呼ばせたり、逆に抱き付いて艶かしく唇や耳たぶを舐めつつ啄ばみ、才人が硬くなると、子宮口に合わせた状態で腰を固定し、そのまま膣をうねらせて才人が堪らずに吐き出し、彼の射精を悦んで受け入れている
既に、結合部からは白濁したモノが溢れ、カトレアが最高の女性だと、態度で示し、カトレアはそれが解るので、一際強く彼の舌に自身の舌を絡ませた
これから報告する事は、彼の気分を一気に冷めさせる事を知っているからだ。既に約束の時間迄、後30分。報告しないといけない
名残惜しく唇が離れ、カトレアが事務的に伝える
「報告です。魔法学院が襲撃され銃士隊と連携して対応し、撃退しました。その時の戦闘で、副所長が戦死。魔法学院は閉鎖され、ゼロ機関の業務はヴァリエールがアカデミーに居を移して遂行中です」
「…」
才人の動きが止まり、返事が来ない。カトレアは初めて見る、彼の無表情がそこにあった
「…コルベール先生が?」「はい」「…そうか…」
そう言って、落とし込むと更に独り言の様に呟く
「少し、我儘言って良いか?」「はい」「10分、いや、1分泣かせてくれ。そしたら、何時もに戻るから」
彼が本当に弱った時に見せる弱さ。周りに常に頼り甲斐のある男を演じる事が出来なくなる瞬間、カトレアはこの瞬間に居るのが自分だけであるのがとても嬉しく、そしてそう思う自分が卑しい女である事に嫌気をさしつつ、口を開いては精一杯の慈愛を込めて、優しく囁く
「勿論です。私は、貴方の止まり木ですもの」
才人はその言葉を聞くと、彼女の胸に顔を埋めるとそのまま静かに嗚咽を漏らし、そんな黒髪の男を、桃髪の女は両の腕で優しく包み込んだ
才人は本当に1分で元に戻ると、カトレアの裸体を見つめ、散々に見せつけていたのだが、急に恥ずかしくなってくるカトレア
「あの、そんなに見詰められると照れてしまいます」
「いや、綺麗だなって、思ってさ」
滅多に言わない賞賛の言葉に、カトレアは一気に顔を赤くする
「もう、何時もそう言って下さればいいのに」「不意打ちで言うから効果が高いのさ」「ばか」
そう言って、更に腰をくねらせ始めた「あんな事言うから、また欲しくなっちゃいました。ミスタを私達の子供として、呼び戻しましょ」「ハゲの子供は、嫌だなぁ、俺」
そう言うと下から才人が突き上げ始め、カトレアが喜びに身体を捩じらせ本日最後の睦み合いに突入し、カトレアは今迄の不満が全て解消し、とても満たされた
彼のハルケギニアに拘る理由が一つ消滅した分が自分で補えるか不安で、災厄の箱を開いた気もするが、多分気のせいだろうと頭の隅に追いやり、気付かない様にした
* * *
まだ時間が有ると少しだらけていると、カトレアが呼び鈴を鳴らす
「イーヴァルディ〜!!」双子メイドが勢い良く飛び込み、ベッド上に居る才人に突撃、一人が首筋に、もう一人が腕にカプリと噛み付いた
ちうぅと思い切り吸われて、思わず才人がくらりとする
「ちょっ、待っ!!吸い過ぎ!眩んでる!眩んでるから!」
すると、首筋に吸い付いていたメイドが、今度は唇にちゅうぅと吸い付いた
「イーヴァルディ、イーヴァルディ、イーヴァルディ!!」
イーヴァルディしか言っておらず、そのまま雨あられとキスの雨を降らすアミアスの行動は、大好きな主人が帰って来た時に全身で喜びを示し、どうしていいか分らない位興奮してる犬みたいだ
「アミアスさんて、犬?」「吸血鬼です!」「いや、何か犬みたいで」
むうと唸ったアミアスが、ムッとしながらも邪魔をしない隣のカトレアの匂いをくんくんと嗅いで、そのままメイド服をグイッと脱ぎ出し、思わず才人がぎょっとする
「アミアスさん、何を」「ずるいです!私だって子供欲しい!こんなに!こんなに!種付けしてる!私にもして下さい!」
カトレアを指さして、思い切り涙目で、才人は訳が分からない
「…いや、カトレアさんに全部出しちゃって…」
カトレアをキッと睨んでから、涙を溜めて泣き出したのだ
「う、うわあぁぁぁ!カリンの娘が虐めるよう。私は虐めてないのに〜〜!チョット位分けてくれてもいいじゃんかぁ!」
思わず、カトレアもきょとんとしてしまう。まさか、自分より遥かに年上の彼女が、しょうもない理由で泣き出すとは思わなかったのだ
「私達は寿命が長い分、精神もゆっくり成長するんです。私達は人に直すと15〜20歳位かな?」
そう言ってダルシニが助け船を出すと、才人はダルシニに聞いてみる
「ダルシニさんでも?」「うん。おんなじ事されたら、思い切り泣くよ?」
『成程、あの親父を泣き落としたのか』才人は一人納得してアミアスの涙を、彼女がするみたいに舐め取った
その行為に、泣いていたアミアスがスンスンと鼻をすすって、次第に落ち着いていく
「アミアスさん。他の人じゃ「やだ、イーヴァルディがいいの!」
「俺、責任取れないよ?「取らなくていい。ダルシニが居る。私達は吸血鬼の裏切り者。貴方迄人間の裏切り者になっちゃ駄目」
才人は傍らに居るカトレアを見ると、彼女はついっとそっぽを向いた
助け舟は無い。才人は頭を掻こうとして、カトレアに腕を掴まれているのを思い出し、首を軽く傾ける
「大丈夫だよ。ダルシニの子供達も居るし、だから私と、お願い!」そう言って全力で抱き締められ、才人はツェルプストー伯の言葉を思い出していた
「(子作りは立派な人助け…だっけ。俺、つくづく可愛い女のコに弱いな…)分った。でも、もう時間が無いんだ。だから、な?」
そう言ってアミアスを離すと、彼女はうぅ〜と言いながら、カトレアをジト目で見ながら離れ、カトレアからは盛大につねられ、才人は脂汗をだらりとかきつつ、悲鳴は上げない
若き日のヴァリエール公の苦労が何となく解って来た
あの親父はやはり傑物なのだろう
少なくとも、人間の敵たる吸血鬼の蔓延るハルケギニアで、吸血鬼の嫁さんを貰って破綻させなかったのだから、その手腕は常人の成せる業では無い事だけは、才人は理解出来た
そして、今、自分もその道を歩み始めた事に、才人は更に頭が痛くなったのである
* * *
才人が艦長室で宜しくやっている最中、食堂では女性達を迎えてパーティーが行われていた
「ミスターはどんな仕事をしてなさってるの?」
「俺?この船みたいな新型船の製作やってるよ。ここに居る連中全員そう。黒髪の兄ちゃんは俺達のボスだな。あいつはムカつくが本当に仕事出来る奴でさ、俺達全員奴にゃ敵わん」
「あら、そしたらミスターも素晴らしい方ではないですか」
「何で?」
「だって、そんな素晴らしい方が雇ってるのは、貴方も仕事出来る方なんですよね」
そう言ってにっこり笑われると、照れながら笑い、あちこちで歓談と性に合いそうな相手への値踏みが行われ、全員が楽しんでいた
特に、今迄殆んどモテなかった連中は、しどろもどろだ。娼館で数限りない男達の相手をして来た女性達にはそれすら新鮮で、好感度が上がっている
今迄の環境が、天国から地獄、そしてまた人並みの生活に戻れるチャンスに巡り合えたのだから、明るく前向きに取ろうと頑張っているのが、男達の目にも明らか
だが、男達は指摘するほど無粋でもない
正直、彼女達の微笑ましい位の真剣さが可愛らしく思えて来てしまう
あちこちで、これはと思う組み合わせが出来つつあり、少しずつだが、過去の悲劇は目を瞑り、前に向かって歩こうとの意思が見え始めている
そんな最中、何人かが席を外すと、女性陣から誰何の目が向けられ、男達は答えた
「交代の時間さ。エンジンの御守りは大事な仕事でね。代わりの連中が来るから、そいつらとも宜しく頼むよ」「はい、喜んで」
そうして何人かが交替し、歓談が続いていると、黒髪の男が顔を出してきた
ちょっと青白く、疲れた表情を見せていて、その顔を見た男達から冷やかしの声が掛けられる
「よう、随分絞られたみたいだな?」「猿かお前ら」「嫉妬炸裂で燃えたか?」
「…全部その通りだよ、こんちきしょう」才人の返事はとても弱弱しい
「あらやだ、凄いわ」「病弱って聞いたけど、嘘みたい」「あそこまでは絞れないわねぇ」
女性陣の感想に、艶々のカトレアが隣で気恥ずかしそうにしているが、才人はげっそりだ。文句を言う元気すらない
「じゃ、戦争行ってくる」「おう、死んだらフォンティーヌ嬢は頂くから、心置きなく死んで来い」
「ぬかせ。彼女達の事、頼むぞ」「任せろ」
そうして、才人はオストラントから下船し、再びアルビオンの大地を踏んだ
* * *
才人が元娼館の中に戻ると、ルイズが独り暖炉の前で陣取り身体を暖めていて、無言で振り向きもしない
「ルイズ、スマン、遅れた」
そう言って、ブーツを鳴らして近づくが、ルイズは反応を見せず、炎を見続けている
炎の揺らぎがルイズの端正な顔を照らしていて、艶やかな彩りを加えており、才人は思わず見とれてしまい、二の句が継げない
暫くそのままで、無言の静けさを破ったのは、ルイズからだった
「仕事でしょ」「…あぁ」「なら、謝らないでよ」「…分かった」
そのまま、ルイズの言葉は、才人を見ないで続く
「あたしね、幾つか考えてた事があるの」「なんだ?」
反応しながら、才人は椅子を持って来て、ルイズの隣に持って来て座る。ルイズの独白をそのままの体勢で待つ。ルイズの考えが言葉になるのを急かさない様に
ルイズは使い魔の気遣いが解かって、思わずくすりとする。こんな、ぶっきらぼうな気遣いが、自身の使い魔の最大の魅力だと再認識したからだ
「一つは、あたしは、この先どんなに頑張っても、多分サイトは越えられない」「…」
才人は言葉にはせず、続きの言葉を待つ
「どんなに頑張っても、やっぱりあたしは女で、男の才人には、勝てない。女の限界って、悔しい位低いんだね。何か、姉さまがサイトにベタ惚れなの、すとんと理解出来ちゃった。姉さまってさ、今迄の婚約者全員が実力で歯が立たない位の女傑で、あたしが目標にしてる貴族の鑑なんだ。あ、姉さまには内緒だよ?」
そう言って、ルイズは姿勢を変えて両脚を前方に放り投げ、伸びをする
「だからね、あたし、サイトを越えるんじゃなくて、サイトに恥ずかしくないご主人様になろうと思う」「…」
才人はルイズの独白を黙って聞いていた
「あたしは、まだまだ未熟で、失敗ばかりだけど、それでも、サイトに恥ずかしくない様にしたい。あたしが虚無の使い手で、サイトが召喚されたのだって、サイトからは偶然かもしれないけど、あたしは必然だと思える様になった」
一呼吸置いて、更に言葉を紡ぐ
「だってさ、サイトがやってるのは、ハルケギニアの歴史を変える事で、ハルケギニアの未来を変える事に繋がるの。あたしにはね、サイトがやってる事の真意なんか、出来てからしか解らない。だから、サイトの仕事には、絶対に口出ししない事にした。だからさ、仕事の時は遠慮しないで。それが、ご主人様の命令よ」
「…分った」
「でも、たまには、帰って来てね。使い魔の巣は、ご主人様の所なんだからね」
そう言って、泣きそうな顔をきりっとしてみせるルイズ
才人はルイズが見せる美しさと、脆さを含む儚さに見惚れてしまう
「もう一つはね、使い魔契約って、才人が言う通り、呪いなんだね」「…」
才人は、はいとも、いいえとも言えず、黙っている
「サイトはさっき、あたしの触れた拳一つで、とんでもなく痛がった。あたしは、サイトを片手でぶん投げる事が出来る。魔法も使わずにこんな事が出来るだなんて、もっと早くに…気付けば良かった」
そう言って、涙を流し始めるルイズ。そのまま、移動してサイトの胸に収まり、恥も外聞もなく泣き出した
「ごめんね、サイト、ごめんね。あたし、サイトを絶対に逆らえない奴隷にしてるよ…ごめ…ひっく」
才人は、黙ってルイズを抱き締めた。ルイズは、とうとう気付いてしまったのだ。才人は、自身の精神が侵されているせいで、自分の気持ちが解らずに、手を出す事が出来ない、と
聖地を取り戻す努力をせし者に、我は歓喜と絶望を与えん
ブリミル=ル=ルミル=ユル=ヴィリ=ヴェー=ヴァルトリ
* * *