その2 
 翌日,シエスタは眼を覚ましたが寝不足だった。何故なら昨夜
テファと祈りを捧げた後、部屋に戻ったのだがずっと考え込んで
いたのだ。正直言うとサイトが自分を選ばずにルイズを選んだ事
を悔しくも無かったし、ルイズに対する嫉妬心も無かった。
何故ならずっと二人の側にいたシエスタは最初から分かっていた
からだ。「サイトさんがミス・ヴァリエールを選ぶのは当然の事。
だって、サイトさんがミス・ヴァリエールをずっと好きだったの
と一緒でミス・ヴァリエールもずっとサイトさんを思っていたん
だもの」強くそう思いだしたのはつい数日前だ。そう、サイトの
相棒、デルフが壊れてしまったドラゴンとの戦いのあった翌日。
サイトの死を恐れたルイズが[世界扉」を使ってサイトを地球に
送り返した時だ。あの時、ルイズはサイトに対し、偽りの笑顔を
見せていたがサイトの姿が消えた途端、大粒の涙を流していたか
らだ。「只の使い魔としかサイトさんを見ていなかったら自分が
死んでもサイトさんが助かればいいという選択はできないわ」と
思った。アンリエッタやタバサならサイトが死のうが構わずにリ
ーヴ・スラシルの力を使わせていたはずだからだ。「これから私
はサイトさんとミス・ヴァリエールの仲を護って行こう」シエス
タは強く思った時、ドアをノックする音が聞こえた。「はい、少
々お待ちください」と答え、着替えを終えてドアを開けたらキュ
ルケが立っていた。「おはよう、シエスタ。ちょっといいかしら?」
「おはようございます、ミス・ツェルプストー。どうかなさったん
ですか?」シエスタが聞くとキュルケは「部屋の中で話しましょう」
と言った。部屋の中に入った後、キュルケはシエスタに聞いた。
「貴女、昨日サイトがルイズにプロポーズしたの、冗談だと思ってる?」
シエスタは「いいえ、サイトさんは本当に心からミス・ヴァリエールを
愛しているからこそ、プロポーズしたんだと思ってます。あのサイトさん
が冗談で言って、ミス・ヴァリエールの心を傷つける訳ありませんもの」
するとキュルケは「そう思うでしょう…でもね、アンリエッタ様とタバサ
はまだ諦めてないみたいよ。私達はサイトが好き、サイトは私達のために
帰ってきた。そう思ってるのよ」「まあ、アンリエッタ様とシャルロット
様、まだ諦めてらっしゃらないんですの?」シエスタは呆れて言った。
何故なら自分とテファはサイトの気持ちを尊重しようと決めたのだ。
「そうなのよ、昨夜私が聞いたのよ。サイトの事を諦める気があるか
どうか…無いって答えたのよ。二人揃って…だから貴方の気持ちが聞
きたくて」「私は最初から分かってました。二人の気持ちが」
シエスタが呆れていた頃、アンリエッタも考えていた。「私はサイトさ
んが好き。サイトさんと結婚出来るのはこの私。ルイズ一人を幸せに
させるもんですか」アンリエッタは全く考えていなかった事に気付いた。
自分がサイトを横取りする、言い替えると親友であるルイズの恋人を
取り上げることになる。そう思った時、アンリエッタは以前、ルイズに
言われた事を思い出した。「姫様は昔からそうですわ。私が気に入った
ぬいぐるみ等をすぐに『ルイズ、私にも貸しなさいっ』と言って取り上
げて飽きたらすぐにポイして…私、姫様のためにどれだけ耐えたか分か
りませんもの。でもサイトだけは女王の命令ですと言われても渡しませ
んわ」「いやね、私ったら親友の一番の宝物まで取り上げようとして…
女王失格だわ」そして、二人の事を考えた。彼がこの世界の人間では無
いから…そんな理由で一生の別れになるかもしれない行動を選んだルイズ、
でもそんな健気な彼女を放っておけず、自分の命を懸けてまでこの世界
の危機を救い、眠りについているサイト、そんな彼の側に付きっきりのルイ
ズ、二人のそんな互いの想いを感じた時、アンリエッタは気付いた。
いから…そんな理由で一生の別れ、つまり自分の死に繋がる行動を選んだ
ルイズ、でもそんな健気な彼女を放っておけず、自分の命を懸けてまでこ
の世界の危機を救い、眠りについているサイト、そんな彼の側に付きっき
りのルイズ、二人のそんな互いの想いを感じた時、アンリエッタは気付いた。
[あの子には到底敵わないわ…サイトさんに対する想いは…]
そして、サイトに言われた事を思い出した。
「俺、元の世界に居たときは凄くいい加減な性格だったんです。でもこっち
の世界に来てみて分かったんです。俺が生きている意味が。ルイズの事がど
れだけ好きだったかと言うことに今はルイズといたい。ルイズを護りたい。
俺に出来ることはそれしか無いから」同時に思った。[サイトさんの眼に入っ
て居たのはルイズだけだったんだわ…」結論が出たとき初めて自分がサイト
とルイズを苦しめている事に気付いた。「私やシャルロット女王はどうすれ
ばいいの?親友とその恋人を苦しめていて…でも叶わない恋はある」アンリ
エッタは過去の想い人の事を考えていた。「自分は皇太子だから…」そんな
理由で戦地に残り、自分がルイズ達の護衛に頼んだワルドに殺されたウェー
ルズ皇太子。「やっぱり、二人の幸せの為に身を引こう」アンリエッタはそ
う思った。ウェールズも生きていたら「アンリエッタ、身を引きな」そうい
うと思った。タバサもサイトの事を考えていた。「私がサイトを幸せにする、
私しか出来ない」そう思った時、昨夜のキュルケの言葉を思い出した。「ふ
たりがサイトを思っている=サイトをその分苦しめているのよ。無理矢理サイ
トと結婚しようとするのはいいけど、それでサイトが幸せになるかどうかわか
らないわよ。サイト、ああ見えてもけっこう純情だから嬉しくないと自殺する
かもしれないわよ。それでもいいと言うんならルイズから奪い取りなさい。
それで貴方が満足するのなら」
それを思い出した時、タバサは「サイトが幸せになるのはルイズと結婚する事
かも知れない」そう思った。タバサも暗い顔のサイトより笑顔のサイトの顔の
方が好きだ。「サイトが幸せそうな笑顔はルイズと居るときだけ。ルイズが側
に居ないときはいつもつまらさなそうな顔でいる。私ではルイズに勝てない」
負けたと思った。サイトとルイズの互いの想いの大きさは自分達は敵わない。
 そう四人とも思った日の夕方、ジュリオがロマリアで手配した秘薬を持って
きた。サイトが眼を覚ましたのはその二日後である。しかし、サイトはドラゴ
ンをルイズと共に倒した周辺の記憶が抜けていた。リーヴスラシルの力を一気
に使ったせいで自分の命を護ろうとしたガンダールヴの行動によって。


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