騒動の発端となった日の前日、サイトとコルベールは一緒に ネフテスのルクシャナのオアシスで見つけた戦闘機を眺めていた。 「先生、本当にこれを直す気でいるんですか？」 「うん、サイト君、これを直すことができたら、 この世界の技術が大きく変わるからね。」 「俺も手伝いますよ。訓練が終わった後は。」 「ありがとう、サイト君」 そんな二人をルイズ達は遠目で眺めていた。 「本当にサイトとジャン、仲がいいわね」キュルケが呟いた。 「いいじゃないの。ギーシュの様に他の女の子と仲良くしてるより」 とモンモランシーが相槌を打つ。キュルケはルイズに聞いた。 「あなた、サイトの側に行かなくていいの？」 ルイズは答えた。「うん、サイトとコルベール先生、 二人きりの世界に入り込んでるもの」 そして、キュルケはモンモランシーに唐突に言った。 「あら、ギーシュったらまた女の子を口説いているわ」 モンモランシーは走り出していった。 「本当にあんたって男は！あれだけ痛い目にあっても懲りないのね！！」 「ご、誤解だ。モンモランシー！！ ちょっと相談に乗ってあげてただけだよ」 「言い訳は聞きたくないわ！もう、頭にきたわ！！」 「や、やめてくれ！！ぎゃあああああ！！」 ルイズとキュルケは顔を見合わせ、溜め息をついた。 「モンモランシー、ルイズの性格がうつったんじゃないの？」 「私、サイトにあんなことしてないもん！！」 「ウソ言わないの。あら、サイトにケティ達が差し入れしてるわ」 ルイズがそっちの方を見ると、確かにサイトの側にケティ達がいた。 「サイト様、どうです？」 「ああ、ケティか。ありがとう」 「いいの？怒らなくても」キュルケがルイズに聞くとルイズは 「あれくらいの事は、許してあげなさいとお姉様に言われたから」と答えた。 それを聞いたキュルケは「あらあら、やっぱりサイトは押しに弱いわねー」 といいながらサイト達の方を見ると意外な展開になっていた。 サイトはケティ達に戦闘機の事を説明していただけだったのだ。 「これは俺が生まれた世界の武器でね、一瞬で船を沈めたり街を壊せるんだ」 「へえ、すごいですねー！あ、あんまりいるとルイズ様に怒られますね、 それじゃあ」といってケティ達が離れていくのが見えた。 「あら、サイト変わったんじゃない？」とキュルケが聞くとルイズは 「だって、父様と母様とエレオノールお姉様にルイズを泣かしたら、 ヴァリエール家伝統の魔法で痛め付けると脅されているからよ」と答えた。 「へえ、伝説の使い魔ガンダールヴでオンディーヌ副隊長のサイトも ヴァリエール家の婿殿の地位につくと形無しねー！」と キュルケはからかっていた。 そんなことを話していた翌日一つの事件がおきた。 そう、モンモランシーが学院から姿を消したのだ。 その日の休み時間、ルイズの席にキュルケがやってきて、 「ルイズ、お昼休み、暇？」 「サイトと一緒べるけど」 「じゃあ、サイトにも一緒に話聞いてもらおうかしら」 「いいわよ、昼休みに一緒にサイトのところに行きましょう」 そして、昼休み。ルイズとキュルケがサイトのところに向かうと サイトはコルベール先生と二人で戦闘機の エンジンを取り出す作業をしていた。 「サイト、お昼よ」 「ああ分かった。先生、午後からは俺がエンジンの錆びとりしておきますよ」 「ああ、サイト君頼んだ」 「治りそう？これ」 「治るとしてもかなり時間が掛かるよ。さ、昼飯食おうぜ。 あれ、何でキュルケが一緒に居るんだ？」 「貴方とルイズに話したいことがあるの」お昼を食べながらキュルケはいった。 「今日、モンモランシーいないでしょ？」 「そうね、一体どうしたのかしら？」 真面目なモンモランシーはめったに授業を休まない。 「昨夜、私の部屋に来てね。親が見合いしろとうるさいから 実家に行ってくるって言ってたのよ」 「ふーん、何でギーシュとの事、親に話さないんだ？」 サイトにはそれがわからない。